JP2007269127A - 後車軸の傾斜角調整構造および調整方法 - Google Patents

後車軸の傾斜角調整構造および調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プロペラシャフトと後車軸との交差角を適正な角度範囲にするために、簡単かつ容易に後車軸の傾斜角度を調整可能な調整構造および調整方法を提供することを課題とする。
【解決手段】後2軸のトラニオンサスペンション装置1の後前車軸14の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結して車体前後方向に伸びるアッパラジアスロッド20bと、前記後前車軸14の下部と車体側部材とを連結して車体前後方向に伸びるロアラジアスロッド20a、20cとを備え、前記アッパラジアスロッド20bと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド20bと前記後前車軸14との間の少なくとも1箇所にスペーサ100、110を介装して後前車軸14の傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばトラックやバスなどの大型車両に好適に使用されるトラニオンサスペンション装置やエアサスペンション装置において、プロペラシャフト軸心と後輪の差動機のドライブピニオンの軸心との交差角度を適正な範囲に調整するための後車軸の傾斜角調整構造および調整方法に関するものである。
大型トラックのリヤサスペンション装置は、1軸当たりの軸重を軽減するために車軸を2軸としたものが多く見られ、トラニオンサスペンション装置として広く知られている。このトラニオンサスペンション装置1は図8、9に示すように、トラニオンブラケット2によって車体前後方向に伸びるフレーム4に固定されたトラニオンシャフト6と、このトラニオンシャフト6上に、スプリングシート8を介してUボルト10、10によって取付けられたリーフスプリング12とを備えている。
そして、リーフスプリング12は、後前車軸14と後後車軸16上に、コンタクトシート18を介して支持されて、これによって荷重を支えている。また、リーフスプリング12は、コンタクトシート18に接しているだけのため、計6本のラジアスロッド20a〜20fをブラケット22a〜22hに連結して車軸14、16の位置決めを行っている。
ラジアスロッド20a〜20fは、車軸14、16より上方に配置されるアッパラジアスロッド20b、20eと、下方に配置されるロアラジアスロッド20a、20c、20d、20fとからなり、アッパラジアスロッド20b、20eは車幅方向中心部分に車体前後方向に配置され、ロアラジアスロッド20a、20c、20d、20fは、左側用のロアラジアスロッド20a、20dと右側用のロアラジアスロッド20c、20fが車幅方向両側に配置されている。
各ラジアスロッド20a〜20fの端部とブラケット22a〜22hとの取付けは、図9のA部分を拡大した図10に示すように、ラジアスロッド20bの端部のリング部24にブッシュ28が圧入され、ブッシュ28のピン30を通しボルト32とナット34を用いてブラケット22bに連結している。
前側アッパラジアスロッド20bの前端部を支持するブラケット22bは、後前車軸14に取り付けられ、後端部を支持するブラケット22gは、左右のフレーム4、4間を連結するクロスフレーム36の略中央に取付けられている。また、後側アッパラジアスロッド20eについても同様に、その前端部を支持するブラケット22hはクロスフレーム36の略中央に取り付けられ、後端部を支持するブラケット22eは、後後車軸16に取付けられている。
上記のようなトラニオンサスペンション装置においては、駆動力と制動力の車体前後方向の力は、ラジアスロッド20a〜20fで受けてフレーム4に伝え、車体ロール方向の力は、リーフスプリング12の板間摩擦力によって受け、さらに車体横方向の力は、リーフスプリング12とリーフスプリング12を支持するコンタクトシート18との係合爪による係合によって受けるようになっている。
また、後前車軸14の中央部には、前差動機38が設けられ、後後車軸16の中央部には、後差動機40が設けられ、前差動機38にはエンジンから動力を伝える主プロペラシャフト42がユニバーサルジョイント44を介して連結され、前差動機38と後差動機40との間には副プロペラシャフト46が設けられ、該副プロペラシャフト46がユニバーサルジョイント48を介して後差動機40に連結されている。
また、前差動機38の上部に前側アッパラジアスロッド20bの前端部を支持するブラケット22bが取付けられ、後差動機40の上部に後側アッパラジアスロッド20eの後端部を支持するブラケット22eが取付けられている。
そして、主プロペラシャフト42の軸心と前差動機38のドライブピニオン50の軸心とが交差角度θ1をもって交差しており、また、副プロペラシャフト46の軸心と後差動機40のドライブピニオン52の軸心とが交差角度θ2をもって交差している。また、この交差状態において後前車軸14が鉛直に対して傾斜角度α1だけ傾斜し、後後車軸16が鉛直に対して傾斜角度α2だけ傾斜している。
この種のトラニオンサスペンション装置を装着した車両にあっては、車種毎にホイールベースの長さやエンジン種類やエンジンの搭載位置が異なるため、主プロペラシャフト42長さや交差角度θ1が異なり、さらに、同じ車種においても、架装物によりサスペンションのばね上荷重が変わると、車体フレームの高さが変わることにより、主プロペラシャフト42、副プロペラシャフト46の交差角度θ1、θ2が変わってくる。
エンジン側の傾きと後軸の車軸の傾きとが同じで、そこを主プロペラシャフトで連結するようにすること、すなわち主プロペラシャフト42の交差角度θ1が小さいほど主プロペラシャフト42のねじれ振動の発生が少なく、プロペラ振動上好ましく、また後2軸間を連結する副プロペラシャフト46においても交差角度θ2が小さいほど副プロペラシャフト46から発生するねじれ振動の発生が少なく、プロペラ振動上好ましい。
このため、従来から、車種に応じてまたは積載荷重に応じて、交差角度θ1、θ2が所定の範囲内に収まるように調整するために、長さの異なる複数のラジアスロッドを製造し、ラジアスロッド20a〜20fとブラケット22a〜22hの配置関係を車種毎、または積載荷重毎に変更して、車軸の傾斜角度α1、α2を変更することによって調整を行なっていた。
また、特許文献1に示されるようにラジアスロッドの長さは変更せずに、ラジアスロッド両端のピン30の位置を図11(a)(b)に示すように、リング部の中央より径方向外側に偏心させたもの、内側に偏心させたもの等を複数種用意して調整するものが知られている。
特開平2002−174283号公報
しかし、長さを変えた複数種のラジアスロッドを用意して調整する場合は、寸法の異なる複数種のラジアスロッドを製造する必要があるため、部品点数が多くなってコストがかかる問題を有している。
また、特許文献1に示されるようなラジアスロッド両端のピンの位置を径方向に偏心させたものを複数種用意して調整する場合は、ピンの位置が中央に位置しないものではゴムブッシュのゴム容量がピンの周囲に均等に存在しないため、ゴムブッシュのばね特性が均一化せず、ラジアスロッドとしての反力支持性能にばらつきが生じる問題がある。さらに、ラジアスロッドの本体長さが同一で、ピンの位置が異なるものを複数種用意しなければならず、部品点数が多くなるばかりでなく、本体長さが同一でピンの位置が異なるだけであるため、組み付け作業において誤組み付けを生じやすい問題も有している。
そこで、このような問題点に鑑み、プロペラシャフトと後車軸との交差角を適正な角度範囲にするために、簡単かつ容易に後車軸の傾斜角度を調整可能な調整構造および調整方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、エンジンの駆動力がプロペラシャフトと、該プロペラシャフトと連結され車軸に設けられた差動機のドライブピニオンとを介して後輪の車軸に伝達される車両のリヤサスペンション装置を構成する部材であって、前記車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるアッパラジアスロッドと、前記車軸の下部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるロアラジアスロッドとを備え、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって前記プロペラシャフトの軸心と前記ドライブピニオンの軸心との交差角度を調整可能に構成したことを特徴とする後車軸の傾斜角調整構造を提供する。
かかる発明によれば、アッパラジアスロッドが車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結し、ロアラジアスロッドが車軸の車幅方向左右端部の下部と車体側部材とを連結して車体前後方向に配設されているため、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって、アッパまたはロアラジアスロッドの長さを実質的に変えたのと同様に後輪の車軸の上部または下部の位置が車体に対して移動でき、アッパまたはロアラジアスロッドを複数種準備することなくプロペラシャフトの軸心とドライブプニオンの軸心との交差角度を簡単に変えることができる。また、アッパラジアスロッドは車幅方向中央部に配置されその前後だけを調整すればよいため簡単かつ容易に調整できる。すなわち、車軸の上部位置を前方に押し出すようにスペーサを介装すれば後車軸は前に傾き、車軸の上部位置を後方に引くようにスペーサを介装すれば後車軸は後ろに傾くように調整できる。
後車軸の中央部には差動機が設けられているため、スペーサを介装することによって差動機の入力ドライブピニオンの軸心の傾斜角度を簡単容易に調整することが可能となるため、差動機に連結されるプロペラシャフトの軸心と、差動機の入力ドライブピニオンの軸心との交差角度(以下プロペラ交角という)を調整することができるようになり、プロペラ交角に起因するプロペラシャフト振動の発生を簡単に抑えることができる。
そのため、車種の変更、トラックの積載荷重の変更に対応して最適なプロペラ交角の許容範囲、すなわちプロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リヤサスペンション装置が後2軸車のトラニオンサスペンション装置であり、前記アッパラジアスロッドが、後前車軸を支持する前側アッパラジアスロッドと後後車軸を支持する後側アッパラジアスロッドとからなり、スペーサを前記前側アッパラジアスロッドの前後の少なくとも一方に介装して前記後前車軸の傾斜角度を調整可能にし、スペーサを前記後側アッパラジアスロッドの前後の少なくとも一方に介装して前記後後車軸の傾斜角度を調整可能にすることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、トラニオンサスペンション装置において、前側アッパラジアスロッドの前後にスペーサを介装することによって後前車軸の傾斜角度を簡単かつ容易に調整することができ、また、後側アッパラジアスロッドの前後にスペーサを介装することによって後後車軸の傾斜角度を簡単かつ容易に調整することができる。
後前車軸の中央部には前差動機が設けられ主プロペラシャフトと連結しているため、後前車軸の傾斜角度を調整することによって、主プロペラシャフトの軸心と前差動機のドライブピニオンの軸心とが交差する交差角度(以下前プロペラ交角という)を、プロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
また、後後車軸の中央部には後差動機が設けられ後前車軸と後後車軸を連結する副プロペラシャフトとで連結されているため、後前車軸の傾斜角度を調整することによって、副プロペラシャフトの軸心と後差動機のドライブピニオンの軸心とが交差する交差角度(以下後プロペラ交角という)を、プロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リヤサスペンション装置が後2軸車のエアサスペンション装置であり、前記アッパラジアスロッドが、中央部が車軸側に連結し左右方向に分かれた左右端部が車体側に連結したVロッドで構成されて、後前車軸を支持する前側Vロッドと後後車軸を支持する後側Vロッドとからなり、スペーサを前記前側Vロッドの左右端部または中央部の少なくとも一方に介装して前記後前車軸の傾斜角度を調整可能にし、スペーサを前記後側Vロッドの左右端部または中央部の少なくとも一方に介装して前記後後車軸の傾斜角度を調整可能にすることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、後2軸車のエアサスペンション装置において、前側Vロッドの前後に、すなわちV型の中央部または左右端部にスペーサを介装することによって後前車軸の傾斜角度を簡単かつ容易に調整することができ、また、後側Vロッドの前後、すなわちV型の中央部または左右端部にスペーサを介装することによって後後車軸の傾斜角度を簡単かつ容易に調整することができる。
後前車軸の中央部には前差動機が設けられ主プロペラシャフトと連結しているため、後前車軸の傾斜角度を調整することによって前プロペラ交角を、プロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができ、また同様に、後前車軸の傾斜角度を調整することによって後プロペラ交角を、プロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
請求項4記載の発明は、後車軸の傾斜角調整方法に係る発明であり、エンジンの駆動力がプロペラシャフトと、該プロペラシャフトと連結され車軸に設けられた差動機のドライブピニオンとを介して後輪の車軸に伝達される車両のリヤサスペンション装置を構成する部材であって、前記車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるアッパラジアスロッドと、前記車軸の下部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるロアラジアスロッドとを備え、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって前記プロペラシャフトの軸心と前記ドライブピニオンの軸心との交差角度を調整することを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、アッパラジアスロッドが車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結し、ロアラジアスロッドが車軸の車幅方向左右端部の下部と車体側部材とを連結して車体前後方向に配設されているため、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって、アッパまたはロアラジアスロッドの長さを実質的に変えたのと同様に後輪の車軸の上部または下部の位置が車体に対して移動でき、アッパまたはロアラジアスロッドを複数種準備することなくプロペラシャフトの軸心とドライブピニオンの軸心との交差角度を簡単に変えることができる。また、アッパラジアスロッドは車幅方向中央部に配置されその前後だけを調整すればよいため簡単かつ容易に調整できる。すなわち、車軸の上部位置を前方に押し出すようにスペーサを介装すれば後車軸は前に傾き、車軸の上部位置を後方に引くようにスペーサを介装すれば後車軸は後ろに傾くように調整できる。
後車軸の中央部には差動機が設けられているため、スペーサを介装することによって差動機の入力ドライブピニオンの軸心の傾斜角度を簡単容易に調整することが可能となるため、プロペラ交角を調整することができるようになり、プロペラ交角に起因するプロペラシャフト振動の発生を簡単に抑えることができる。
そのため、車種の変更、トラックの積載荷重の変更に対応して最適なプロペラ交角の許容範囲、すなわちプロペラシャフト振動を低減できる最適な範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
本発明のリヤアクスルの傾斜角調整構造および調整方法によれば、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって、アッパまたはロアラジアスロッドの長さを実質的に変えたのと同様に後輪の車軸の上部または下部の位置が車体に対して移動でき、アッパまたはロアラジアスロッドを複数種準備することなくプロペラシャフトの軸心とドライブピニオンの軸心との交差角度を簡単に変えることができる。
その結果、プロペラ交角を簡単かつ容易に調整することができるようになり、プロペラ交角に起因するプロペラシャフト振動の発生を簡単に抑えることができ、車種の変更、トラックの積載荷重の変更に対応して最適なプロペラ交角の範囲内に容易かつ簡単に調整することができる。
次に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
参照する図面において、図1は、本発明に係る後車軸の傾斜角調整構造および調整方法の第1の実施の形態を示す側面図である。図2は図1の平面図である。図3はアッパラジアスロッドの端部の拡大図であり、(a)は図1のB部拡大図であり、(b)は図1のC部拡大図であり、(c)はアッパラジアスロッドの端部に用いられるスペーサの平面図である。図4は第2の実施の形態を示す側面図である。図5は図4の平面図である。第6はVロッドの中央部の拡大図であり、(a)は図5のD部拡大の平面図であり、(b)は(a)のF矢印方向から見た側面図であり、(c)は中央部に用いられるスペーサの平面図である。図7はVロッドの左右端部の拡大図であり、(a)は図5のE部拡大図であり、(b)は左右端部に用いられるスペーサの平面図である。
(第1の実施の形態)
本発明をトラニオンサスペンション装置に用いた場合を図1〜図3に示す。トラニオンブラケット2によって車体前後方向に伸びるフレーム4に固定されたトラニオンシャフト6と、このトラニオンシャフト6上に、スプリングシート8を介してUボルト10、10によって取付けられたリーフスプリング12とを備えている。
そして、リーフスプリング12は、後前軸の車軸14と後後軸の車軸16上に、コンタクトシート18を介して支持されて、これによって荷重を支えている。また、リーフスプリング12は、コンタクトシート18に接しているだけのため、計6本のラジアスロッド20a〜20fをブラケット22a〜22hに連結して車軸14、16の位置決めを行っている。
ラジアスロッド20a〜20fは、車軸14、16より上方に配置されるアッパラジアスロッド20b、20eと、下方に配置されるロアラジアスロッド20a、20c、20d、20fとからなり、アッパラジアスロッド20b、20eは車幅方向中心部分に車体前後方向に配置され、ロアラジアスロッド20a、20c、20d、20fは、左側用のロアラジアスロッド20a、20dと右側用のロアラジアスロッド20c、20fが車幅方向両側に配置されている。
各ラジアスロッド20a〜20fの端部とブラケット22a〜22hとの取付けは、図9のA部分を拡大した図10に示すように、ラジアスロッド20bの端部のリング部24にブッシュ28が圧入され、ブッシュ28のピン30を通しボルト32とナット34を用いてブラケット22bに連結している。
前側アッパラジアスロッド20bの前端部を支持するブラケット22bは、後前車軸14に取り付けられ、後端部を支持するブラケット22gは、左右のフレーム4、4間を連結するクロスフレーム36の略中央に取付けられている。また、後側アッパラジアスロッド20eについても同様に、その前端部を支持するブラケット22hはクロスフレーム36の略中央に取り付けられ、後端部を支持するブラケット22eは、後後車軸16に取付けられている。
上記のようなトラニオンサスペンション装置においては、駆動力と制動力の車体前後方向の力は、ラジアスロッド20a〜20fで受けてフレーム4側に伝え、車体ロール方向の力は、リーフスプリング12の板間摩擦力によって受け、さらに車体横方向の力は、リーフスプリング12とリーフスプリング12を支持するコンタクトシート18との係合爪による係合によって受けるようになっている。
また、後前車軸14の中央部には、前差動機38が設けられ、後後車軸16の中央部には、後差動機40が設けられ、前差動機38にはエンジンから動力を伝える主プロペラシャフト42がユニバーサルジョイント44を介して連結され、前差動機38と後差動機40との間には副プロペラシャフト46が設けられ、該副プロペラシャフト46がユニバーサルジョイント48を介して後差動機40に連結されている。
また、前差動機38の上部に前側アッパラジアスロッド20bの前端部を支持するブラケット22bが取付けられ、後差動機40の上部に後側アッパラジアスロッド20eの後端部を支持するブラケット22eが取付けられている。
そして、主プロペラシャフト42の軸心と前差動機38のドライブピニオン50の軸心とが交差角度θ1(前プロペラ交角)をもって交差しており、また、副プロペラシャフト46の軸心と後差動機40のドライブピニオン52の軸心とが交差角度θ2(後プロペラ交角)をもって交差している。また、この交差状態において後前車軸14が鉛直に対して傾斜角度α1だけ傾斜し、後後車軸16が鉛直に対して傾斜角度α2だけ傾斜していることになる。
以上の構成は、図8〜10の従来技術で説明したものと同様であり、本願発明においては、前プロペラ交角θ1および後プロペラ交角θ2を調整するために、後前車軸14の傾斜角度α1および後後車軸16の傾斜角度α2を調整するための構造および方法を次のように改良している。
図1に示す前側アッパラジアスロッド20bの前端部のB部拡大図を、図3(a)に示す。この図に示すように、ラジアスロッド20bの端部のリング部24にブッシュ28が圧入され、ブッシュ28のピン30を通しボルト32とナット34を用いてブラケット22bに連結しているが、このピン30とブラケット22bとの間にスペーサ100が介装されている。ナット34とピン30との間にはワッシャ102が設けられている。なお、スペーサ100は図3(c)に示すように平板状の鋼材からなり、中央部にボルト32が貫通する大きさの孔104が形成されている。スペーサ100の両面は平行であり、複数枚を介装することもできる。
このようにスペーサ100をピン30とブラケット22bとの間にのみ介装することによって、ブラケット22bを図3(a)の矢印X1方向に移動させることになり、ロアラジアスロッド20a、20cについては一定長で変更しないため、後前車軸14の傾斜角度α1は、図1中の矢印R方向に傾くこととなる。それによって前プロペラ交角θ1は小さくなる方向に変更される。
また、前側アッパラジアスロッド20bの後端部のC部拡大図を図3(b)に示す。この図に示すように、後端部においても、前端部と同様にブッシュ28のピン30を通しボルト33とナット34を用いてブラケット22gに連結しているが、このピン30とブラケット22gとの間にスペーサ110が介装されている。ナット34とピン30との間にはワッシャ102が設けられている。なお、スペーサ110の形状、材質は図3(c)に示すようであり、スペーサ100と同一である。
このようなスペーサ110をピン30とブラケット22gとの間にのみ介装することによって、前側アッパラジアスロッド20bを図3(b)の矢印X2方向移動させることになり、ロアラジアスロッド20a、20cについては一定長で変更しないため、後前車軸14の傾斜角度α1は、図1中の矢印L方向に傾くこととなる。それによって前プロペラ交角θ1は大きくなる方向に変更される。
次に、後側アッパラジアスロッド20eについて説明する。後側アッパラジアスロッド20eも、前述の前側アッパラジアスロッド20bと同様に、前端部に図3(b)と同様にピン30とブラケット22hとの間にのみスペーサ110を介装した場合(図示せず)には、後側アッパラジアスロッド20eを後方に移動させることになり、ロアラジアスロッド20d、20fについては一定長で変更しないため、後後車軸16の傾斜角度α2は、図1中の矢印R方向に傾くこととなる。それによって後プロペラ交角θ2は小さくなる方向に変更される。
さらに、後側アッパラジアスロッド20eの後端部に図3(a)と同様にピン30とブラケット22eとの間にのみスペーサ100を介装した場合(図示せず)には、ブラケット22eを前方向に移動させることになり、ロアラジアスロッド20d、20fについては一定長で変更しないため、後後車軸16の傾斜角度α2は、図1中の矢印L方向に傾くこととなる。それによって後プロペラ交角θ2は大きくなる方向に変更される。
以上のように、第1の実施の形態によると、前側アッパラジアスロッド20bの前後端部の少なくとも一方にスペーサ100、110を介装することによって、後前車軸14の傾斜角度α1の傾きの調整が簡単かつ容易にできる。それによって前プロペラ交角θ1をプロペラ振動低減上の最適範囲に設定できる。
また、同様に後側アッパラジアスロッド20eの前後端部の少なくとも一方にスペーサ100、110を介装することによって、後後車軸16の傾斜角度α2の傾きの調整が簡単かつ容易にできる。それによって後プロペラ交角θ2をプロペラ振動低減上の最適範囲に設定できる。
また、後前車軸14に対しては前側アッパラジアスロッド20bの1本だけを調整すればよく、後後車軸16に対しては後側アッパラジアスロッド20eの1本だけを調整すればよいため、簡単かつ容易に調整できる。
なお、前後端部の両方にスペーサを介装してもよいが、介装するスペーサの枚数に前後で差を持たせることで調整できることは勿論である。
(第2の実施の形態)
次に、後2軸車のエアサスペンション装置150に適用した第2の実施の形態を、図4〜7を参照して説明する。
後前車軸14と後後車軸16との間において、フレーム4の外側面に固定されて後車軸14、16よりも下方まで垂下しているに伸びるハンガー151が設けられている。また後前車軸14と後後車軸16の下部には、それぞれサポートビーム152が車体前後方向に伸びて取付けられ、各サポートビーム152の前後の端部と車体のフレーム4との間には、エアばね154が介装されている。エアばね154は、後前車軸14と後後車軸16とについて計8個用いられ、後前車軸14と後後車軸16に作用する荷重が8個のエアばね154で分散支持される。
各サポートビーム152とフレーム4との間にはフレーム4の振動減衰のためのショックアブソーバ156が配設され、各サポートビーム152の下部にはU字型をなして車幅方向に配置されるスタビライザ159が取付けられている。
そして、ハンガー151の下端と各サポートビーム152の下部との間には、車体前後方向に伸びるロアラジアスロッド158a、158c(図4)が設けられている。また、図4の紙面と反対側においても、同様にロアラジアスロッド158b、158d(図示せず)が設けられている。
図5に示すように、後前車軸14と後後車軸16との間の中央位置において、左右のフレーム4、4間にクロスメンバ160が掛け渡され、このクロスメンバ160の両端部がフレーム4と交差する交差部162と後前車軸14の中央位置との間には、前側Vロッド163が配置されている。後前車軸14の中央位置にはV型の中央部が位置されて中央ブラケット164によって後前車軸14に取付けられている。また、左右のフレーム側にはV型の左右端部が位置されてサイドブラケット166によって、左右のフレーム4、4に取付けられている。
同様に、図5に示すように後後車軸16についても、後後車軸16と左右のフレーム4、4との間に後側Vロッド168が、設けられている。
なお、前側Vロッド163の中央部を支持する中央ブラケット164は、後前車軸14の車幅方向の中央部に設けられる前差動機170の上部に取り付けられ、また後側Vロッド168の中央部を支持する中央ブラケット164は、後後車軸16の車幅方向の中央部に設けられる後差動機172の上部に取り付けられている。
前側Vロッド163の中央部のD部拡大図を図6(a)に示し、(a)のF矢印方向から見た側面図を図6(b)に示す。これらの図に示すように前側Vロッド163の中央部には、リング部180にブッシュ182が圧入され、ブッシュ182の中央にピン186が左右方向に突出して固定されている。そして、ピン186にはボルト188の貫通孔190が設けられ、ボルト188を用いてピン186を中央ブラケット164に連結している。さらに、このピン186と中央ブラケット164との間にスペーサ200が介装されている。
なお、スペーサ200は図6(c)に示すように平板状の鋼材からなり、中央部の2箇所にボルト188が貫通する大きさの孔202が形成されている。スペーサ200の両面は平行であり、複数枚を介装することもできる。
このようにスペーサ200をピン186と中央ブラケット164との間にのみ介装することによって、中央ブラケット164を図6(b)の矢印Y1方向に移動させることになり、ロアラジアスロッド158a、158bについては一定長で変更しないため、後前車軸14の傾斜角度α1は、図4中の矢印R方向に傾くこととなる。それによって前プロペラ交角θ1は小さくなる方向に変更される。
また、前側Vロッド163の左右端部のE部拡大図を図7に示す。この図に示すように、左右端部において、リング部204にブッシュ206が圧入され、ブッシュ206に固定されたピン208を、ボルト210を用いてサイドブラケット166に連結している。このピン208とサイドブラケット166との間にはスペーサ212が介装されている。なお、スペーサ212は図7(c)に示すように平板状の鋼材からなり、中央部の1箇所にボルト210が貫通する大きさの孔214が形成されている。スペーサ212の両面は平行であり、複数枚を介装することもできる。
このようなスペーサ212をピン208とサイドブラケット166との間にのみ介装することによって、前側Vロッド163を図7(a)の矢印Y2方向移動させることになり、ロアラジアスロッド158a、158bについては一定長で変更しないため、後前車軸14の傾斜角度α1は、図4中の矢印L方向に傾くこととなる。それによって前プロペラ交角θ1は大きくなる方向に変更される。
後側Vロッド168は図5に示すようにV型の向きが前側Vロッド163とは逆になっているだけであり、前述した前側Vロッド163と同様に、V型の中央部に図6に示すスペーサ200をピン186と中央ブラケット164との間にのみ介装した場合(不図示)には、ロアラジアスロッド158c、158dについては一定長で変更しないため、後後車軸16の傾斜角度α2は、図4中の矢印L方向に傾くこととなる。それによって後プロペラ交角θ2は大きくなる方向に変更される。
さらに、後側Vロッド168の左右端部に図7と同様にピン208とサイドブラケット166との間にのみスペーサ212を介装した場合(不図示)には、ロッドを押し出す方向に移動させることになり、ロアラジアスロッド158c、158dについては一定で変更しないため、後後車軸16の傾斜角度α2は、図4中の矢印R方向に傾くこととなる。それによって後プロペラ交角θ2は小さくなる方向に変更される。
以上のように、第2の実施の形態によると、前側Vロッド163の左右端部または中央部の少なくとも一方にスペーサ200、212を介装することによって、後前車軸14の傾斜角度α1の傾きの調整が簡単かつ容易にできる。それによって前プロペラ交角θ1をプロペラ振動低減上の最適範囲に設定できる。
また、同様に後側Vロッド168の左右端部または中央部の少なくとも一方にスペーサ200、212を介装することによって、後後車軸16の傾斜角度α2の傾きの調整が簡単かつ容易にできる。それによって後プロペラ交角θ2をプロペラ振動低減上の最適範囲に設定できる。
また、後前車軸14に対しては前側Vロッド163の1本だけを調整すればよく、後後車軸16に対しては後側Vロッド168の1本だけを調整すればよいため、簡単かつ容易に調整できる。
なお、Vロッドの左右端部と中央部の両方にスペーサを介装してもよいが、介装するスペーサの枚数に差を持たせることで調整できることは勿論である。また、Vロッドの左右端部に介装するスペーサの枚数は、左右輪の平行度を維持するために同数とする必要がある。
さらに、前記第2の実施の形態においては後2軸のエアサスペンション装置について説明したが、後1軸のエアサスペンション装置についても、同様に後車軸の傾斜を調整できることは勿論である。
また、第1および第2の実施の形態においては、アッパラジアスロッド側にスペーサを設けることで後車軸の傾斜を調整したが、ロアラジアスロッド側にスペーサを設けても、同様に後車軸の傾斜を調整することができることは勿論である。この場合には、後車軸の下部位置が車体に対して移動し、車軸の傾斜角度を変更する。
本発明の後車軸の傾斜角調整構造および調整方法によれば、簡単かつ容易に後車軸の傾斜角度を調整でき、プロペラシャフトと後車軸との交差角を適正な角度範囲にできるので、トラックやバスなどの大型車両に好適に使用されるトラニオンサスペンション装置やエアサスペンション装置への適用に際して有益である。
本発明に係る後車軸の傾斜角調整構造および調整方法の第1の実施の形態を示す側面図である。 図1の平面図である。 アッパラジアスロッドの端部の拡大図であり、(a)は図1のB部拡大図であり、(b)は図1のC部拡大図であり、(c)はラジアスロッドの端部に用いられるスペーサの平面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す側面図である。 図4の平面図である。 Vロッドの中央部の拡大図であり、(a)は図5のD部拡大の平面図であり、(b)は(a)のF矢印方向から見た側面図であり、(c)は中央部に用いられるスペーサの平面図である。 Vロッドの左右端部の拡大図であり、(a)は図5のE部拡大図であり、(b)は左右端部に用いられるスペーサの平面図である。 従来技術を示すトラニオンサスペンション装置の概要図である。 従来技術を示す図1対応図である。 図9のA部拡大図である。 従来技術を示すラジアスロッドの平面図であり、(a)はピンの位置を両端とも外側に偏心したものを示し、(b)はピンの位置を両端とも内側に偏心したものを示す。
符号の説明
1 トラニオンサスペンション装置
4 フレーム(車体側部材)
14 後前車軸
16 後後車軸
20b 前側アッパラジアスロッド(アッパラジアスロッド)
20e 後側アッパラジアスロッド(アッパラジアスロッド)
20a、20c、20d、20f ロアラジアスロッド
42 主プロペラシャフト
46 副プロペラシャフト
100、110、200、212 スペーサ
150 エアサスペンション装置
158a、158b、158c、158d ロアラジアスロッド
163 前側Vロッド
168 後側Vロッド

Claims (4)

  1. エンジンの駆動力がプロペラシャフトと、該プロペラシャフトと連結され車軸に設けられた差動機のドライブピニオンとを介して後輪の前記車軸に伝達される車両のリヤサスペンション装置を構成する部材であって、前記車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるアッパラジアスロッドと、前記車軸の下部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるロアラジアスロッドとを備え、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって前記プロペラシャフトの軸心と前記ドライブピニオンの軸心との交差角度を調整可能に構成したことを特徴とする後車軸の傾斜角調整構造。
  2. 前記リヤサスペンション装置が後2軸車のトラニオンサスペンション装置であり、前記アッパラジアスロッドが、後前車軸を支持する前側アッパラジアスロッドと後後車軸を支持する後側アッパラジアスロッドとからなり、スペーサを前記前側アッパラジアスロッドの前後の少なくとも一方に介装して前記後前車軸の傾斜角度を調整可能にし、スペーサを前記後側アッパラジアスロッドの前後の少なくとも一方に介装して前記後後車軸の傾斜角度を調整可能にすることを特徴とする請求項1記載の後車軸の傾斜角調整構造。
  3. 前記リヤサスペンション装置が後2軸車のエアサスペンション装置であり、前記アッパラジアスロッドが、中央部が車軸側に連結し左右方向に分かれた左右端部が車体側に連結したVロッドで構成されて、後前車軸を支持する前側Vロッドと後後車軸を支持する後側Vロッドとからなり、スペーサを前記前側Vロッドの左右端部または中央部の少なくとも一方に介装して前記後前車軸の傾斜角度を調整可能にし、スペーサを前記後側Vロッドの左右端部または中央部の少なくとも一方に介装して前記後後車軸の傾斜角度を調整可能にすることを特徴とする請求項1記載の後車軸の傾斜角調整構造。
  4. エンジンの駆動力がプロペラシャフトと、該プロペラシャフトと連結され車軸に設けられた差動機のドライブピニオンとを介して後輪の車軸に伝達される車両のリヤサスペンション装置を構成する部材であって、前記車軸の車幅方向略中央部の上部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるアッパラジアスロッドと、前記車軸の下部と車体側部材とを連結する車体前後方向に伸びるロアラジアスロッドとを備え、前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと車体側部材との間または前記アッパラジアスロッド若しくは前記ロアラジアスロッドと前記車軸との間の少なくとも1箇所にスペーサを介装することによって前記プロペラシャフトの軸心と前記ドライブプニオンの軸心との交差角度を調整することを特徴とする後車軸の傾斜角調整方法。
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