JP2007268409A - リン除去方法、およびリン除去装置 - Google Patents

リン除去方法、およびリン除去装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 カルシウム供給やpH調整を行うための装置を別に設けることなく、水中のリンを効率よく処理する(排水処理能力を高める)ことができ、リン除去材の寿命を長く維持することが可能である、リン除去装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水中のリンを除去するリン除去装置であって、珪酸カルシウム水和物を固定床として用いた反応槽3と、前記反応槽3から排出された処理水の一部を前記反応槽の入口側に返送する返送手段4とを備えたことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生活排水、各種事業所排水などの排水や、池水や内湾など閉鎖性水域における水中のリンを除去するためのリン除去方法に関するものである。また、本発明は、生活排水、各種事業所排水などの排水や、池水や内湾など閉鎖性水域における水中のリンを除去するためのリン除去装置に関するものである。
従来、水中のリンを除去する方法としては、微生物の代謝を利用する生物学的脱リン法、金属塩や石灰を用いる凝集沈殿法、さらに晶析脱リン法などが知られている。
このうち生物学的脱リン法は、微生物によるリンの摂取や放出を利用して行われるが、微妙な溶存酸素濃度の調整を必要とし、リンを含む余剰汚泥の処理は残された課題となる。
また、凝集沈殿法は、消石灰や塩化第二鉄などを排水に添加し、これらとオルトリン酸が反応して生じる、溶解度の小さな金属リン酸塩を固液分離することにより、水中のリンを除く方法である。この方法において用いられる金属イオン種はCa2+、Al3+、Fe3+等が主であるが、陽イオン種がCa2+の場合は石灰凝集沈殿法と呼ばれる。
この方法では、水中のオルトリン酸に対して大過剰のCa2+を消石灰として加え、その反応物である難水溶性のヒドロキシアパタイト(Ca10(OH)(PO)を凝集沈殿させるが、生成するスラッジの処理が必要となることと、処理水のpH調整、ならびに過剰Ca2+の処理が必要となる。
晶析脱リン法は、過飽和溶液からリン酸塩結晶を析出させる晶析反応を応用している。具体的には、石膏や消石灰などの添加によって供給されるCa2+と水中のオルトリン酸イオンとを反応させ、リン鉱石、骨炭などの種結晶の表面上に、ヒドロキシアパタイトとして析出させる方法である。ヒドロキシアパタイト結晶が種結晶の上に一旦析出すると、さらにその表面上に析出が繰り返されるので、脱リン槽の後方にスラッジが発生することはなく、この点において前記の二つの方法に比べて有利である。
しかしながら、晶析脱リン法では排水のpHを一定範囲に綿密に維持し、オルトリン酸と反応するカルシウムイオンを系外から供給する必要がある。
また、近年では、晶析脱リン法の変法として、種結晶に珪酸カルシウム水和物を用い、リン鉱石や骨炭などと同様に、その表面にヒドロキシアパタイトを生成させる脱リン方法が知られている。
例えば、特許文献1では、珪酸カルシウム水和物を主たる構成鉱物とし、50〜90%の空隙率を有する多孔質処理材を用いた脱リン方法が記載されている。珪酸カルシウム水和物としては、水熱処理法によって合成されるトバモライト(Ca(Si18)・4HO)、ゾノトライト(Ca(Si17)(OH))、CSHゲル等が挙げられている。
また、特許文献2では、水中のリンのみならず窒素を除去する水処理材として、トバモライト結晶を有する多孔質珪酸カルシウムが記載されている。
さらに、特許文献3には、トバモライトやゾノトライトなどの珪酸カルシウム水和物のみならず、これに酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物を加えた混合物の水質浄化材が記載されている。
このように珪酸カルシウム水和物等の資材を用いた晶析脱リン法では、資材のリン除去能力をバッチ処理によって基本的に評価したり、資材をカラムに充填して模擬排水を流通させてリン除去能力を評価したりしている。
例えば、特許文献2では、リン除去材を0.5%の濃度でリン濃度5%の水溶液に懸濁させて、6時間後にリン濃度が0.5ppmに達したことが記載されている。
また、特許文献4では、表面を炭酸化したリン除去材50gをリン濃度5ppmの模擬排水に24時間接触させて、リン濃度が2.5ppm〜2.7ppmに達したことが記載されている。
このような回分式の実験例では、資材の初期特性としてのリン除去能力を知ることはできるが、リン除去能力が実用的な持続性を維持できるか否かについては不明である。
一方、特許文献5では、リン除去材を1000mL充填したカラムに、リン濃度4.7ppmの模擬排水を1000mL/hで1週間通水し、リン除去率が70%〜84%であったことが記載されている。
また、特許文献6では、ステンレス繊維に珪酸カルシウム水和物を析出させたリン除去材を用いて、392mLのカラムに392mL/hで10ppmのリン濃度の模擬排水を通水して、リン濃度を28日間、1ppm以下に維持したことが記載されている。
また、特許文献3では、400Lのリン除去材を充填した反応槽に2ppm〜3ppmのリン濃度の溶液を1000L/日で流通させ、90日間0.5ppm以下に維持できたことが記載されている。
以上のように、カラムや反応槽にリン除去材を充填し、1週間から90日間もの比較的長期の期間、模擬排水を通水した実験では、リン除去能力の実用的な持続性を評価することができる。
いま仮に、リン除去材によるリン除去能力を、リン除去材の容積当たりの除去リン量で評価すると、上述した引用文献においては、概ね500〜6000mg−p/Lとなる。この数値を基に、5ppmのリン濃度の排水を1日に50m排出する事業所に1mのリン除去材を設置したときの持続日数を計算すると、概ね2日〜24日となる。しかし、リン除去材を用いて水処理が行われた後に、排出される使用済みリン除去材の処置について新たな方策を講じなければならない。また、そうしたリスクをできるだけ少なくするためにも、リン除去材の寿命を延ばすことは実用的に重要な意味がある。
珪酸カルシウム水和物を用いたリン除去方法については、そのカルシウム供給能力を補うために、リン除去材以外からカルシウムイオンを供給する方法や、水酸アパタイト結晶の晶出を助ける目的で、薬液によるpH調整を行う方法が知られている。
例えば、特許文献7、特許文献8、および特許文献9では、高速で長期のリン除去を可能にするために、反応槽にカルシウムイオンを供給する機構が示され、また、水酸アパタイトを晶出する晶析反応槽にpH調整機構を付加する等の処置が講じられている。
また、特許文献10では、珪酸カルシウム水和物とセメント水和物とから製造したリン除去材を用い、排水の曝気を行うことで、カルシウムイオンの添加やpH調整を必要としない技術が開示されている。
さらに、特許文献11では、排水を、カルシウムイオンとアルカリとを供給するカラムを通過させた後に、種結晶が充填された反応槽を通過させることにより、薬注(カルシウム)やpH調整の必要のない脱リンが可能であることを開示している。
特開昭62−183898号公報 特開昭63−116798号公報 特開平04−200788号公報 特開平09−019680号公報 特開平08−182993号公報 特開平10−192843号公報 特開平09−308889号公報 特開平10−085762号公報 特開平10−085763号公報 特開2001−205276号公報 特開2001−300549号公報
以上説明したように、晶析脱リン法は、オルトリン酸イオンが種結晶へ到達した際に、カルシウム供給とpH調整とが適切に行われていることが前提となっている。珪酸カルシウム水和物を用いた晶析脱リン法は、カラムを用いた連続式の装置が採用されることが多く、カルシウムイオン供給とpH調整とは、薬注等の別機構によって補うか、あるいは晶析反応槽の前にその機能を有するカラムを付加することが提案されている。
前者の場合、珪酸カルシウム水和物を含むリン除去材が一般的に有する性質、すなわち、カルシウム供給とpH調整とをそれ自身が有するという性質を活用できていないという問題がある。また、後者の場合、その機能を分化させて、別々の反応槽に設置しているにすぎず、根本的な解決には至っていない。このような構成は、リン除去装置に求められる能力を達成するために、珪酸カルシウム水和物を含むリン除去材の能力を補完する考え方から提案されたものである。また、従来技術においては、設備費やその運転に要する費用、さらには材料が寿命を終えたときの処置については、充分な対策が講じられていないという問題もある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、カルシウム供給やpH調整を行うための装置を別に設けることなく、水中のリンを効率よく処理する(排水処理能力を高める)ことができ、リン除去材の寿命を長く維持することが可能である、リン除去方法を提供することを課題とする。また、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、カルシウム供給やpH調整を行うための装置を別に設けることなく、水中のリンを効率よく処理する(排水処理能力を高める)ことができ、リン除去材の寿命を長く維持することが可能である、リン除去装置を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水中のリンを除去するリン除去方法であって、珪酸カルシウム水和物を固定床として用いた反応槽に前記水を通水させる通水工程と、前記通水工程後の処理水の一部を前記反応槽の入口側に返送する返送工程とを備えたことを特徴としている。
また、本発明にかかるリン除去方法においては、前記返送工程にて返送される処理水と前記通水工程前の水とを予混合させる、予混合工程を有する構成が好ましい。
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水中のリンを除去するリン除去装置であって、珪酸カルシウム水和物を固定床として用いた反応槽と、前記反応槽から排出された処理水の一部を前記反応槽の入口側に返送する返送手段とを備えたことを特徴としている。
また、本発明にかかるリン除去装置は、前記返送手段にて返送される処理水と前記反応槽へ通水される前の水とを予混合させる予混合槽が、前記反応槽の上流側に設けられている構成が好ましい。
本発明によれば、カルシウム供給やpH調整を行うための装置を別に設けることなく、水中のリンを効率よく処理する(排水処理能力を高める)ことができ、リン除去材の寿命を長く維持することが可能である、リン除去方法を得ることができる。また、本発明によれば、カルシウム供給やpH調整を行うための装置を別に設けることなく、水中のリンを効率よく処理する(排水処理能力を高める)ことができ、リン除去材の寿命を長く維持することが可能である、リン除去装置を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本件発明者らは、まず、珪酸カルシウム水和物を含むリン除去材(以下、単に「リン除去材」という。)を充填した充填カラム(固定床カラム)内におけるカルシウムイオン濃度とオルトリン酸イオン濃度の分布について考察した。
リン除去材を充填した固定床カラムに通水が行われると、リン除去材からはカルシウムイオンが溶出するため、固定床カラム内部においては、カルシウムイオンとpHの勾配が生ずることとなる。これは、固定床カラム内ではリン除去材からのカルシウムイオンの溶出が連続的に起こる結果、流れの後方側ほどカルシウムイオンの蓄積が起こるためである。pHは、リン酸カルシウムの晶出にとって重要な因子であり、pH8〜pH10が好適と考えられているが、これはカルシウムイオンの溶出と関連しているので、基本的にはカルシウムイオン濃度と同様に、流れの後方側ほど高くなるものと考えられる。
一方、オルトリン酸イオンは、リン除去材からカルシウムと反応してリン酸塩を生成すると考えられるので、その濃度は流れの後方側で次第に低くなっていくものと考えられる。上述したように、オルトリン酸イオンと反応すべきカルシウムイオンは、流れの後方側で濃度が高くなっているものと考えられることから、オルトリン酸イオンとカルシウムイオンの濃度は、不適合が生じていることになる。すなわち、反応に与らなかったオルトリン酸イオンとカルシウムイオンは、固定床カラムから排水と共に流出するため、リン除去率の低下を来すことになる。
本件発明者らは、以上のことに鑑み、固定床カラムから排出されるカラム排水の一部を返送することによって、オルトリン酸イオン濃度とカルシウムイオン濃度との不適合を解消する技術に想到した。つまり、カラム排水の一部返送によって、カルシウムイオン濃度の高い部分(カラム排水)を固定床カラムの入口側に戻すため、カルシウムイオン濃度の分布をオルトリン酸イオン濃度の分布に適合させることが可能となる。また、同時に、このカラム排水の一部返送によって、固定床カラムの出口側でpHの高くなった排水を固定床カラムの入口側に戻すことになるため、固定床カラム内のpHを、その入口付近から、リン酸カルシウム結晶の晶出に適したものにすることが可能となる。
以下においては、上述した原理に基づき、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるリン除去装置の概略構成図を示したものである。この図1に示すように、本実施形態にかかるリン除去装置は、送水ポンプ1、送水ポンプ1の下流側に設けられた予混合槽2、予混合槽2の下流側に設けられた反応槽3、反応槽3から排出された処理水の一部を反応槽3の入口側(具体的には、予混合槽2の上流側)に返送する返送ライン4(本発明の「返送手段」に相当)、および所定箇所に設けられた第一バルブ5、第二バルブ6等を用いて構成されている。
図1に示すように構成された本実施形態にかかるリン除去装置において、リンを含む排水(本発明の「生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水」に相当)は、送水ポンプ1によって、まずは予混合槽2に送られる。本実施形態にかかる予混合槽2は、装置の下流側から返送される処理水の一部(返送水)と排水とを予め混合すべく設けられている。このように予混合槽2を設けることによって、排水中に、処理水に相対的に多く含まれるカルシウムイオンを混合することが可能となる。また、予混合槽2を設けて処理水の一部を返送水として戻すことによって、処理水の塩基性側のpHにより、排水のpHを予め塩基性側に調整することもできる。
なお、本発明は、予混合槽2を設けて、処理水の一部(返送水)と排水とを予混合させる場合を示しているが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、特に、予混合槽2を設けることなく、返送ライン4を直接的に、反応槽3の上流側の排水供給ラインに接続して、返送水と排水とを予混合すべく構成してもよい。さらに、必要に応じて、返送水を反応槽3内に直接流入させる構成としてもよい。ただし、予混合槽2を設けずに、返送水を反応槽3に直接流入させると、返送水と排水とが充分に混合しない状態で反応槽3内を流れて、返送水による効果をうまく得られない場合もある。したがって、本実施形態のように、反応槽3の上流側に予混合槽2を設ける構成が好ましい。
予混合槽2の内部構造は、特に限定されるものではないが、例えば、球状の不活性球状体を充填したり、あるいは内部にじゃま板を設置したりして、排水と返送水とが予混合槽2内を通水する過程で、効果的に混合されるような構成であることが好ましい。
反応槽3は、珪酸カルシウム水和物を固定床として用いて構成されており、具体的には、所定容器内に珪酸カルシウム水和物を含むリン除去材を充填して構成されている。この反応槽3内に充填されているリン除去材を製造する際の原料としては、例えば、石灰石、牡蛎殻などのカルシウム原料を用い、珪酸質原料として、珪石、非晶質シリカ微粒子、陶磁器セルベンなどを用いることが可能である。また、その他に可塑材やベントナイトなどの粘土鉱物を用い、これらも珪酸質原料として反応に寄与することとなる。さらに、廃セメント等の珪酸カルシウム水和物は、上記のカルシウム原料と珪酸質原料の双方を兼ねるものとして利用することができる。
なお、本実施形態にかかる反応槽3を構成するリン除去材は、何等かの構成に限定されるものではない。つまり、珪酸カルシウム水和物を水酸アパタイト析出の種結晶として用いることによって、排水中のリンを除去可能であれば、如何なる原料等からなるリン除去材であってもよい。本実施形態にかかる反応槽3においては、珪酸カルシウム水和物(種結晶)の周囲にリン酸カルシウム結晶(水酸アパタイト)を析出させることによって、排水中のリンの除去が行われる。
また、本実施形態においては、反応槽3の下流側に、返送ライン4が設けられている。この返送ライン4は、反応槽3の下流側と予混合槽2の上流側とを接続すべく設けられており、この返送ライン4には、返送ライン4を介して予混合槽2に返送される返送水量を調整するための第二バルブ6が設けられている。また、本実施形態においては、反応槽3および返送ライン4の下流側に、返送水および処理水の排出量を調整するための第一バルブ5が設けられている。
さて、以上のように構成された本実施形態にかかるリン除去装置においては、予混合槽2内では、排水中のオルトリン酸イオンと、返送水に含まれるカルシウムイオンの両者が存在し、pHは塩基性側に変化して、これら(排水と返送水とが混合されたもの)が反応槽3へ送られる。これら(排水と返送水とが混合されたもの)が、反応槽3内に充填されているリン除去材と接触すると、リン除去材を構成する珪酸カルシウム水和物を種結晶として、その表面にリン酸カルシウム化合物、すなわち水酸アパタイト結晶が晶出されることによって、排水中のリンの除去が行われることとなる。
ところで、もし仮に、返送水によるカルシウムイオン供給が行われないとすると、先にも説明した通り、反応槽3の入口付近はカルシウムイオン濃度が相対的に低くなり、pHも中性に近くなることから、水酸アパタイト結晶が晶出する条件は整わないこととなる。
しかしながら、本実施形態においては、反応槽3に流入した返送水を含む排水は、その中に含まれるオルトリン酸イオンを水酸アパタイト結晶として晶出させながら反応槽3の出口へと移動していくため、オルトリン酸イオン濃度は、反応槽3の入口から出口に向かって減少する濃度勾配を示すことになる。
本実施形態においては、上述したように、反応槽3の出口から流出する処理水の一部を予混合槽2の上流側に返送するための返送ライン4が設けられている。本実施形態においては、返送ライン4の下流側に設けられた第一バルブ5と、返送ライン4上に設けられた第二バルブ6とを適宜調整することによって、返送水と排出される処理水(流入される排水(流入水)に同じ)との割合を制御することができる。
例えば、排水の50%を返送する場合を考えると、そのさらに1/2、すなわち1/4は再び予混合槽2の上流側に返送されてくることになる。本実施形態においては、こうしたことが繰り返され、流入水(流入される排水)と返送水との和は、「1/2+1/4+1/8+・・・・・=1」のように、等比級数で表されることになる。つまり、返送率を1/2(=50%)とすると、定常状態における流入水量は1/2であるから、流入水は反応槽3を二度通過したのと同じ効果があることになる。
次に、より具体的に、本発明の実施例について説明する。なお、リン除去装置の基本構成は、図1と同様であるため、以下においては、図1を参照して説明を行う。
<第一実施例>
本発明にかかる第一実施例は、反応槽3に12L(2000g)の珪酸カルシウム水和物リン除去材を充填し、下水処理場の放流水(リン濃度0.75mg/L、以下「原水」という。)(図1における「排水」に相当)を、400mL/min、および800mL/minの速度で通水させ、反応槽3から流出される処理水を全て反応槽3の入口側に返送した。この実験は、リン除去率と原水の接触時間(反応槽3内の滞留時間)の関係を調べるために行った。その結果を図2示す。つまり、図2は、処理水を100%返送したときのリン除去率の変化を示したグラフである。この図2において、横軸は原水の通水時間、縦軸はリン除去率を示している。
図2のグラフによれば、原水の通水速度が400mL/minの場合も、800mL/minの場合も、リン除去率は概ね同様に変化した。したがって、原水の通水速度に関わりなく、これらの近似関数を求め、これに基づいてリン除去率と滞留時間の関係を求めると次のようになる。
滞留時間 リン除去率
11.4h 60%
14.7h 70%
16.8h 75%
19.5h 80%
35.0h 90%
滞留時間は空間速度の逆数であるから、図2に基づいて必要とするリン除去率に対する滞留時間を求めれば、その逆数としての空間速度を求めることができる。この実施例によれば、リン除去率と空間速度との関係は次のようになった。
リン除去率 空間速度
60% 0.088h−1
70% 0.068h−1
75% 0.060h−1
80% 0.051h−1
90% 0.029h−1
しかしながら、本発明においては、処理水の一部を返送水として返送することにより、原水の反応槽3内の滞留時間を調整するため、反応槽3内の実際の空間速度は早く、上述した空間速度は見かけの空間速度となる。
<第二実施例>
本発明にかかる第二実施例は、反応槽3に5000g(31L)の珪酸カルシウム水和物リン除去材を充填し、リン濃度1.0mg/Lの原水(図1の「排水」に相当)を通水させ(本発明の「通水工程」に相当)、処理水の一部を反応槽3の入口側(予混合槽2の上流側)に返送させた(本発明の「返送工程」に相当)。
本実施例においては、上述した第一実施例の結果を基に、リン除去率80%を得るための条件を探り、その結果、原水を滞留時間20.6hで通水させる場合、処理水の返送率は95%であった。ここで、図3にリン除去率の原水通水量に対する変化を示す。第一実施例の結果を基に予想したように、リン除去率は概ね80%で安定的に推移した。この図3において、横軸は原水通水量を示し、縦軸はリン除去率を示している。
このように、滞留時間(空間速度)とリン除去率との関係を、リン除去材に対して求めておけば、リン除去材充填量との関係から、処理水の返送率を求めることが可能となる。
<第三実施例>
本発明にかかる第三実施例は、反応槽3に第一実施例および第二実施例と同様の珪酸カルシウム水和物リン除去材5000g(31L)を充填し、リン濃度2mg/Lの原水(図1の「排水」に相当)を通水させ(本発明の「通水工程」に相当)、処理水の一部を反応槽3の入口側(予混合槽2の上流側)に返送させた(本発明の「返送工程」に相当)。本実施例においては、原水の滞留時間20.7h、返送率を50%とした。
ここで、図4にリン除去率の原水通水量に対する変化を示す。この図4から明らかなように、リン濃度が変化しても、滞留時間(空間速度)を一定にすることで、リン除去率は80%に維持される。この図4において、横軸は原水通水量を示し、縦軸はリン除去率を示している。
<第四実施例>
本発明にかかる第四実施例は、反応槽3に第一実施例等と同様の珪酸カルシウム水和物リン除去材3000g(18.6L)を充填し、リン濃度3mg/Lの原水(図1の「排水」に相当)を通水させ(本発明の「通水工程」に相当)、処理水の一部を反応槽3の入口側(予混合槽2の上流側)に返送させた(本発明の「返送工程」に相当)。本実施例においては、原水の滞留時間12.4h、返送率を95%とした。本実施例のおける滞留時間および返送率は、リン除去率60%に対応している。
ここで、図5にリン除去率の原水通水量に対する変化を示す。この図5から明らかなように、リン濃度が変化しても、滞留時間(空間速度)および返送率を調整することによって、所望のリン除去率(ここでは60%)を得ることができる。この図5において、横軸は原水通水量を示し、縦軸はリン除去率を示している。
<第五実施例>
本発明にかかる第五実施例は、反応槽3内におけるカルシウム濃度の変化を見るために、第一実施例等と同様の珪酸カルシウム水和物リン除去材15gをカラム(1カラム〜4カラム)に充填し、これらを直列に連結して、純水を2mL/minの流速で通水し、それぞれの入口と出口とで流出液を採取し、そのカルシウムイオン濃度を原子吸光フレーム法で測定した。ここで、図6に各採取ポイントにおけるカルシウムイオン濃度の流出液量に対する変化を示す。なお、1カラムの入口のカルシウム濃度は0mg/Lである。
図6によれば、カラムから流出する溶液のカルシウム濃度は、カラムが後方側になるほど、高くなっていることがわかる。特に、1カラムから3カラムまでは、段階的にカルシウムイオン濃度が高くなっており、その濃度は3.5mg/L〜4mg/Lになっている。また、3カラムと4カラムの間の濃度変化は小さいことがわかる。さらに、15gのリン除去材は4カラム合わせて60gであるが、約10Lの純水を通水してもその濃度は安定していることが明らかである。
このように、珪酸カルシウム水和物リン除去材から溶出するカルシウムイオンは、返送によって、カラム(反応槽3)の入口側に戻されることにより、カラム入口付近におけるオルトリン酸イオンとの反応速度を高めることに寄与すると考えられる。
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および各実施例に限定されず、必要に応じて、種々の変更を行うことが可能である。
上述した本発明にかかる実施形態および実施例においては、反応槽から排水される処理水の一部が、単に反応槽の入口側(具体的には予混合槽の入口側)に返送される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。つまり、上記実施例等においては、反応槽から一段階の返送が行われる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、一つあるいは複数の反応槽が設けられたリン除去装置において、返送水が段階的に複数回返送されるような構成としてもよい。すなわち、適切なカルシウムイオン濃度等の調整を行うために、返送水が多段階返送されるような構成としてもよい。
以上説明したように、本発明は、珪酸カルシウム水和物リン除去材に対して適用され、珪酸カルシウム水和物リン除去材を充填した反応槽の排水ラインから反応槽の入口側に返送ラインを設けるだけで、これまで有効に使われていなかった反応槽の入口側への水酸アパタイト結晶の析出を助けることができる。また、反応槽の後方で濃度が高くなるカルシウムイオンを有効に活用することができる。
いずれも、珪酸カルシウム水和物リン除去材を用いた晶析脱リン法におけるリン除去能力不足の課題を解決に導くことができ、リン除去装置の初期投資を行う上で経済的である。また、反応槽に充填した珪酸カルシウム水和物リン除去材の寿命を長く維持することが可能となるため、珪酸カルシウム水和物リン除去材の交換頻度を少なくすることが可能となり、ランニングコストを低く抑えることができる。さらに、従来技術にかかる同規模のリン除去装置との比較において、リン除去率を大幅に高めることが可能となる。
本発明の実施形態にかかるリン除去装置の概略構成図を示したものである。 処理水を100%返送したときのリン除去率の変化を示したグラフである。 リン濃度1.0mg/Lの原水における原水通水量に対するリン除去率の変化を示すグラフである。 リン濃度2.0mg/Lの原水における原水通水量に対するリン除去率の変化を示すグラフである。 リン濃度3.0mg/Lの原水をリン除去率60%にするための原水通水量に対するリン除去率の変化を示すグラフである。 各カラムからの流出液中のカルシウム濃度を示すグラフである。
符号の説明
1 送水ポンプ
2 予混合槽
3 反応槽
4 返送ライン
5 第一バルブ
6 第二バルブ

Claims (4)

  1. 生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水中のリンを除去するリン除去方法であって、
    珪酸カルシウム水和物を固定床として用いた反応槽に前記水を通水させる通水工程と、
    前記通水工程後の処理水の一部を前記反応槽の入口側に返送する返送工程と
    を備えたことを特徴とするリン除去方法。
  2. 前記返送工程にて返送される処理水と前記通水工程前の水とを予混合させる、予混合工程を有する
    請求項1に記載のリン除去方法。
  3. 生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水中のリンを除去するリン除去装置であって、
    珪酸カルシウム水和物を固定床として用いた反応槽と、
    前記反応槽から排出された処理水の一部を前記反応槽の入口側に返送する返送手段と
    を備えたことを特徴とするリン除去装置。
  4. 前記返送手段にて返送される処理水と前記反応槽へ通水される前の水とを予混合させる予混合槽が、前記反応槽の上流側に設けられている
    請求項3に記載のリン除去装置。
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