JP2007268395A - マイクロリアクタの冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】化学反応を安定した精密な温度で進行させ、温度変化により反応速度が変化することなく、副生成物の生成や反応の暴走を抑制する。
【解決手段】反応溶液A104を導入する導入流路A108と、反応溶液B105を導入流路A108に合流させる導入流路B109と、反応溶液A104と反応溶液B105とが合流してから反応させる反応流路111と、を備えたマイクロリアクタを冷却するマイクロリアクタの冷却システムにおいて、導入流路A108と導入流路B109とが合流する合流部に設置されたガス流路112と、ガス流路内を負圧にする真空ポンプ122と、ガス流路112へ冷媒溶液を送るポンプ101と、を備え、冷媒溶液をガス流路112内で気化させる。
【選択図】図1
【解決手段】反応溶液A104を導入する導入流路A108と、反応溶液B105を導入流路A108に合流させる導入流路B109と、反応溶液A104と反応溶液B105とが合流してから反応させる反応流路111と、を備えたマイクロリアクタを冷却するマイクロリアクタの冷却システムにおいて、導入流路A108と導入流路B109とが合流する合流部に設置されたガス流路112と、ガス流路内を負圧にする真空ポンプ122と、ガス流路112へ冷媒溶液を送るポンプ101と、を備え、冷媒溶液をガス流路112内で気化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロ加工技術などにより作製された微細な流路内で流体を混合させ、バイオ・医療分野、あるいは化学反応に応用されるマイクロリアクタに関し、特に、反応熱を冷却するものに好適である。
化学品および医薬品を化学反応にて製造する際に、ビーカーおよび生産用タンクなどの反応容器を用いた、いわゆるバッチ法が用いられている。バッチ法により反応を行った場合には、反応溶液(原料溶液)の混合が不完全であると、反応溶液の分布の不均一さに応じて反応が進行してしまうため、濃度が濃い部分において、反応熱によって局所的に温度が上昇する部分、いわゆるホットスポットが生成する。特に反応熱が大きい場合には、ホットスポットの生成により、温度変化に伴う反応速度の変化による副生成物の生成や反応の暴走が起こる恐れがある。
さらに、マイクロリアクタにおいては、反応場のサイズを低下させているので、流体の体積に対する表面積の効果が相対的に大きくなるため、反応溶液の迅速な混合が起こり、反応溶液の合流部を中心に局所的に発熱する。
また、一方の流路に揮発性液体の蒸気を飽和状態で含みかつ霧状の微細な揮発性液体の微粒子を大量に浮遊させた気体流Aと、他方の流路に冷却すべき流体Bを通し、気体流Aと流体Bとの間で顕熱交換を行い、気体流Aの温度上昇に伴い気体流A中に浮遊する揮発性液体の微粒子が気化し、蒸発潜熱によって流体Bを冷却することが知られ、例えば、特許文献1に記載されている。
さらに、マイクロリアクタにおいては、反応場のサイズを低下させているので、流体の体積に対する表面積の効果が相対的に大きくなるため、反応溶液の迅速な混合が起こり、反応溶液の合流部を中心に局所的に発熱する。
また、一方の流路に揮発性液体の蒸気を飽和状態で含みかつ霧状の微細な揮発性液体の微粒子を大量に浮遊させた気体流Aと、他方の流路に冷却すべき流体Bを通し、気体流Aと流体Bとの間で顕熱交換を行い、気体流Aの温度上昇に伴い気体流A中に浮遊する揮発性液体の微粒子が気化し、蒸発潜熱によって流体Bを冷却することが知られ、例えば、特許文献1に記載されている。
従来のマイクロリアクタは、除熱性能が反応熱による発熱量に追いつかず、反応速度が変化し、副生成物の生成や反応が暴走する恐れが極めて高くなり、効率的な冷却により精密な温度制御を必要とする。
また、マイクロリアクタの冷却に冷媒を用いたしても、適量の冷媒を発熱体の発熱量に比例して供給しないと過冷却のおそれがあるため、精密な温度制御が困難であった。さらに、特に発熱量が大きい場合には、冷媒流れの下流に行くにつれ、冷媒の温度が上昇してしまうために冷却効果が上がらなくなり、適切に発熱体を冷却できるものではない。
さらに、マイクロリアクタの流路にガス流路を併設し、揮発性液体をミスト状に流して蒸発潜熱により冷却したとしても時間遅れが生じ、発熱量が大きい場合には対応が困難であった。
また、マイクロリアクタの冷却に冷媒を用いたしても、適量の冷媒を発熱体の発熱量に比例して供給しないと過冷却のおそれがあるため、精密な温度制御が困難であった。さらに、特に発熱量が大きい場合には、冷媒流れの下流に行くにつれ、冷媒の温度が上昇してしまうために冷却効果が上がらなくなり、適切に発熱体を冷却できるものではない。
さらに、マイクロリアクタの流路にガス流路を併設し、揮発性液体をミスト状に流して蒸発潜熱により冷却したとしても時間遅れが生じ、発熱量が大きい場合には対応が困難であった。
本発明の目的は、より微細な流路で構成されたマイクロリアクタであっても、化学反応を安定した精密な温度で進行させ、温度変化により反応速度が変化することなく、副生成物の生成や反応の暴走を抑制することにある。
また、他の目的は、多段階の反応を行うマイクロリアクタにおいて、段階ごとに異なる安定した温度とすることにある。
また、他の目的は、多段階の反応を行うマイクロリアクタにおいて、段階ごとに異なる安定した温度とすることにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、反応溶液Aを導入する導入流路Aと、反応溶液Bを前記導入流路Aに合流させる導入流路Bと、前記反応溶液Aと前記反応溶液Bとが合流してから反応させる反応流路と、を備えたマイクロリアクタを冷却するマイクロリアクタの冷却システムにおいて、前記導入流路Aと導入流路Bとが合流する合流部に設置されたガス流路と、前記ガス流路内を負圧にする真空ポンプと、前記ガス流路へ冷媒溶液を送るポンプと、を備え、前記冷媒溶液を前記ガス流路内で気化させるものである。
本発明によれば、化学反応を安定した温度場で進行させることができ、温度変化に伴う反応速度の変化による副生成物の生成や反応の暴走を抑制できる。また、多段階の反応メカニズムをもつ反応において、各段階で異なる温度にして各段階を安定して進行させることができる。
マイクロリアクタの場合、熱交換の効率が極めて高く、反応溶液の迅速な混合が起こるので、反応溶液の合流部付近で一気に反応が起こり、発生する反応熱により、反応溶液の合流部を中心に局所的に発熱する。従って、マイクロリアクタの除熱性能が反応熱による発熱量に追いつかず、完全に発生した熱を除くことができないため、温度変化に伴う反応速度の変化による副生成物の生成や反応の暴走につながることがあった。
また、バルクでは反応溶液および生成物溶液に対して耐腐食性が確認されている材質でマイクロリアクタが作られている場合にも、局所的に発生した反応熱により、一時的に反応流路内が非常に高温の状態となるため、合流部付近の反応流路壁の腐食が促進されてしまうことがあった。さらに、シリコン樹脂などの融点の低い材質でマイクロリアクタが作られている場合には、局所的に発生した反応熱により、一時的に反応流路内がマイクロリアクタの材質の融点に達してしまい、反応溶液の合流部付近の反応流路が変形してしまうことがあった。
安全上の観点から、この冷媒としては水が用いられることが多いが、水の場合には、過冷却などを考慮しても−12℃ぐらいまでしか冷却できず、冷媒に水を用いている限り、様々な化学反応に応じた反応温度を実現するのは困難である。実際には、化学反応に応じて、化学反応が進行するのに必要な活性化エネルギーが異なるとともに、反応中に生成する反応中間体の安定度が異なるため、マイクロリアクタ内で反応を進行させる際にも、その反応に応じた反応温度に保つ必要がある。
さらに、生産量を上げるために、反応溶液の導入流量を大きくするだけでなく、複数のマイクロリアクタをナンバリングアップして用いることがある。この場合、マイクロリアクタを恒温槽に入れて冷却すると、熱容量と反応熱との関係から、恒温槽のサイズをある程度大きくしなくてはならないため、マイクロリアクタのサイズが小さいという利点を活かしきれない。
さらに、接合型のマイクロリアクタで接合が不十分な場合、もしくは分解可能型のマイクロリアクタでうまく密着できていない場合、マイクロリアクタ内に循環液が浸入してしまい、反応溶液もしくは生成物溶液に循環液が混ざる恐れがある。
さらに、冷蔵または冷凍ジャケットで挟んで冷却すると、反応熱に対応した冷却性能をもつ冷蔵機や冷凍機を用いる必要があるため、システム全体が大きくなってしまい、マイクロリアクタのサイズが小さいという利点を活かしきれない。
さらに、生産量を上げるために、反応溶液の導入流量を大きくするだけでなく、複数のマイクロリアクタをナンバリングアップして用いることがある。この場合、マイクロリアクタを恒温槽に入れて冷却すると、熱容量と反応熱との関係から、恒温槽のサイズをある程度大きくしなくてはならないため、マイクロリアクタのサイズが小さいという利点を活かしきれない。
さらに、接合型のマイクロリアクタで接合が不十分な場合、もしくは分解可能型のマイクロリアクタでうまく密着できていない場合、マイクロリアクタ内に循環液が浸入してしまい、反応溶液もしくは生成物溶液に循環液が混ざる恐れがある。
さらに、冷蔵または冷凍ジャケットで挟んで冷却すると、反応熱に対応した冷却性能をもつ冷蔵機や冷凍機を用いる必要があるため、システム全体が大きくなってしまい、マイクロリアクタのサイズが小さいという利点を活かしきれない。
そこで、マイクロリアクタの流路に微細なガス流路を併設し、蒸発潜熱を利用したものを一実施の形態として図1〜図3を参照しながら説明する。
マイクロリアクタは、反応溶液を送液するためのポンプ,反応溶液を導入して混合し、生成物溶液として排出させるための反応溶液導入流路および反応流路,反応流路に併走して反応流路内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路を有し、その他、冷媒溶液を送液するためのポンプ,蒸発潜熱の大きい冷媒溶液,気化した冷媒溶液を液化させる凝縮器,真空ポンプを設置している。
図1は、マイクロリアクタ冷却システムの概要を示し、反応溶液を送液するためのポンプ101,物質Aを含む反応溶液A104および物質Bを含む反応溶液B105を導入して混合し、生成物溶液115として排出させるための導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を有するとともに、反応流路111に併走して反応流路111内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路112が設けられたマイクロリアクタ110,冷媒溶液を送液するためのポンプ116,蒸発潜熱の大きい冷媒溶液118,気化した冷媒溶液118を液化させる凝縮器121,真空ポンプ122などが設置されている。
マイクロリアクタは、反応溶液を送液するためのポンプ,反応溶液を導入して混合し、生成物溶液として排出させるための反応溶液導入流路および反応流路,反応流路に併走して反応流路内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路を有し、その他、冷媒溶液を送液するためのポンプ,蒸発潜熱の大きい冷媒溶液,気化した冷媒溶液を液化させる凝縮器,真空ポンプを設置している。
図1は、マイクロリアクタ冷却システムの概要を示し、反応溶液を送液するためのポンプ101,物質Aを含む反応溶液A104および物質Bを含む反応溶液B105を導入して混合し、生成物溶液115として排出させるための導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を有するとともに、反応流路111に併走して反応流路111内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路112が設けられたマイクロリアクタ110,冷媒溶液を送液するためのポンプ116,蒸発潜熱の大きい冷媒溶液118,気化した冷媒溶液118を液化させる凝縮器121,真空ポンプ122などが設置されている。
真空ポンプ122により、反応流路111に併走して反応流路111内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路112を反応の進行させたい温度に対応した冷媒溶液の蒸気圧に保持しておく。また、冷媒溶液を送液するためのポンプ116により、シリンジ
117に詰めた冷媒溶液118を反応流路111に併走して反応流路111内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路112に導入する。
ポンプ101により、シリンジ102に詰めた反応溶液A104をチューブ106および導入流路A108を経て導入するとともに、シリンジ103に詰めた反応溶液B105を、チューブ107および導入流路B109を経て導入し、反応流路111およびチューブ113を経て混合する。そして、反応溶液A104内の物質Aと反応溶液B105内の物質Bを反応させ、生成物容器114内に生成物溶液115として排出する。
反応溶液A104内の物質Aと反応溶液B105内の物質Bとの反応により発生した反応熱により、ガス流路112内の冷媒溶液118が気化し、そのときに奪われる蒸発潜熱により発生した反応熱が除去される。気化した冷媒溶液118は、チューブ120を経たあと、凝縮器121にて外気と熱交換されて凝縮され再び液化する。
ガス流路112内の圧力は、所定の蒸気圧に保持されるので、設定圧力において冷媒溶液の液層と蒸気層(気層)の平衡が保たれ、それ以上の蒸気が発生することはない。例えば、冷媒溶液118が水であるとき、ガス流路内の圧力を10℃での水の蒸気圧に対応する12.28hPa に減圧すると、シリンジ117から導入される水の一部は沸騰して蒸発するが、その蒸発潜熱を奪われた残りの水は冷却される。そして、水の液層と蒸気層の平衡が保たれたあとは蒸気が発生しなくなるため、さらに蒸発潜熱を奪われることはなく沸騰は止まり、過冷却になることはない。
冷媒溶液としては、設定したい反応温度で液体であるものであれば良く、発生した反応熱を効率的に除去するためには、蒸発潜熱が大きい液体のほうが好ましく、水(蒸発潜熱:40.69kJ/mol)のほかには、メタノール(蒸発潜熱:35.28kJ/mol),エタノール(蒸発潜熱:38.77kJ/mol)といったアルコール類などが好ましい。
117に詰めた冷媒溶液118を反応流路111に併走して反応流路111内を流れる溶液を冷却するために用いるガス流路112に導入する。
ポンプ101により、シリンジ102に詰めた反応溶液A104をチューブ106および導入流路A108を経て導入するとともに、シリンジ103に詰めた反応溶液B105を、チューブ107および導入流路B109を経て導入し、反応流路111およびチューブ113を経て混合する。そして、反応溶液A104内の物質Aと反応溶液B105内の物質Bを反応させ、生成物容器114内に生成物溶液115として排出する。
反応溶液A104内の物質Aと反応溶液B105内の物質Bとの反応により発生した反応熱により、ガス流路112内の冷媒溶液118が気化し、そのときに奪われる蒸発潜熱により発生した反応熱が除去される。気化した冷媒溶液118は、チューブ120を経たあと、凝縮器121にて外気と熱交換されて凝縮され再び液化する。
ガス流路112内の圧力は、所定の蒸気圧に保持されるので、設定圧力において冷媒溶液の液層と蒸気層(気層)の平衡が保たれ、それ以上の蒸気が発生することはない。例えば、冷媒溶液118が水であるとき、ガス流路内の圧力を10℃での水の蒸気圧に対応する12.28hPa に減圧すると、シリンジ117から導入される水の一部は沸騰して蒸発するが、その蒸発潜熱を奪われた残りの水は冷却される。そして、水の液層と蒸気層の平衡が保たれたあとは蒸気が発生しなくなるため、さらに蒸発潜熱を奪われることはなく沸騰は止まり、過冷却になることはない。
冷媒溶液としては、設定したい反応温度で液体であるものであれば良く、発生した反応熱を効率的に除去するためには、蒸発潜熱が大きい液体のほうが好ましく、水(蒸発潜熱:40.69kJ/mol)のほかには、メタノール(蒸発潜熱:35.28kJ/mol),エタノール(蒸発潜熱:38.77kJ/mol)といったアルコール類などが好ましい。
図1のマイクロリアクタ冷却システムは、特に発熱量が大きく、精密な温度制御が困難な場合、具体的には反応熱が10kJ/mol 以上のときに使用するのが好ましい。特に、反応時間が短く(〜1s程度)、数十Wレベル以上の発熱量になる反応,酸化反応やニトロ化反応といった100kJ/mol程度の反応熱が発生する反応や、ハロゲン化反応といった10kJ/mol程度の反応熱が発生する反応に適し、発生した反応熱をより適切に除去することができるため、安定した温度場で反応を進行させることが可能であり、温度変化に伴う反応速度の変化による副生成物の生成や反応の暴走を抑制することが可能になる。
また、物質Aと物質Bの間の反応ではなく、単純に反応溶液A104内の物質Aと反応溶液B105内の物質Bを混合するのみで、物質Aと物質Bの間でいわゆる化学反応が進行しなくても、混合により混合熱が発生する場合にも利用することができ、反応溶液A
104を反応溶液B105にて希釈する、もしくは逆に反応溶液B105を反応溶液A
104にて希釈する場合に、希釈熱が発生するので、これを除去して副生成物の生成を防ぐにも良い。
104を反応溶液B105にて希釈する、もしくは逆に反応溶液B105を反応溶液A
104にて希釈する場合に、希釈熱が発生するので、これを除去して副生成物の生成を防ぐにも良い。
図1におけるマイクロリアクタにおいて、反応溶液A104と反応溶液B105との反応を促進するため、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111の形状をY字型としている。反応溶液A104と反応溶液B105が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合するのであれば、T字型とすることが良い。
また、反応溶液A104が流れる流路の壁面に反応溶液B105を吐出するためのノズルが並ぶように配置したり、反応溶液A104が流れる流路の底面に反応溶液B105を吐出するためのノズルが並ぶように配置したりすれば、より反応を促進するうえで効果的である。
さらに、図1に示すものでは反応溶液A104と反応溶液B105が混合したあとの反応流路111の形状を直線としているが、反応を安定に行うには蛇行したり、渦巻き状としたりして、滞留時間を設けるようにすることが良い。
また、反応溶液A104が流れる流路の壁面に反応溶液B105を吐出するためのノズルが並ぶように配置したり、反応溶液A104が流れる流路の底面に反応溶液B105を吐出するためのノズルが並ぶように配置したりすれば、より反応を促進するうえで効果的である。
さらに、図1に示すものでは反応溶液A104と反応溶液B105が混合したあとの反応流路111の形状を直線としているが、反応を安定に行うには蛇行したり、渦巻き状としたりして、滞留時間を設けるようにすることが良い。
さらに、図1のマイクロリアクタにおいて、導入流路A108,導入流路B109とチューブ106,107,反応流路111とチューブ113はマイクロリアクタ110の上側面で接続しているが、反応の種類によってはマイクロリアクタ110の下側面で接続したり、横側面で接続したりするとよい。同様に、ガス流路112とチューブ119,120はマイクロリアクタ110の下側面で接続しているが、マイクロリアクタ110の横側面で接続したり、上側面で接続したりすることがよい。
図1のものにおいて、ポンプ101に変えて、シリンジポンプとし、手動でシリンジを押すこととすれば低コストとなり、プランジャーポンプや、ダイヤフラムポンプや、スクリューポンプを用いたり、水頭差を利用したりすれば反応溶液の導入が確実となる。
また、チューブ106,107,113,119,120は、冷媒溶液に悪い影響を与えないものであり、設定する負圧に十分に耐えうるものが良く、冷媒溶液および負圧の程度に応じて選択する。例えば、ステンレス,シリコン,ガラス,ハステロイ,シリコン樹脂のいずれかが良く、チューブごとに変えて組み合わせても良い。さらに、グラスライニング,ステンレスやシリコンなどの表面にニッケルや金などのコーティングをしたもの,シリコンの表面を酸化させることのいずれかとし、耐食性を向上させることがよい。
また、システムの立ち上げ時、実験条件の変更時、反応溶液A104および反応溶液B105の変更時、マイクロリアクタ110の洗浄時などに、シリンジ102,103内、チューブ106,107,113内、マイクロリアクタ110内の各溶液を廃液として回収する機構を有することが良い。
図1におけるマイクロリアクタ110では、反応溶液A104と反応溶液B105の2種類の溶液が混合する流路を保持しているが、3種類以上の溶液が混合する流路や、流路を多層状にすれば、より多種類の反応に対応できるものとなる。
また、複数の溶液を導入し、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合して、反応溶液A104もしくは反応溶液B105として排出するための機構,生成物溶液115および1つまたは複数の溶液を導入し、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合して、それぞれ別の反応の生成物溶液として排出したり、抽出や蒸留などの物質を精製したり、すればより広範囲の応用が可能となる。
また、複数の溶液を導入し、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合して、反応溶液A104もしくは反応溶液B105として排出するための機構,生成物溶液115および1つまたは複数の溶液を導入し、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合して、それぞれ別の反応の生成物溶液として排出したり、抽出や蒸留などの物質を精製したり、すればより広範囲の応用が可能となる。
さらに、マイクロリアクタ110内の流路は、基板にマイクロ加工技術などにより流路を作製し、別の基板を重ね合わせて接合することが漏洩等を考慮した場合は有利であり、基板にマイクロ加工技術などにより流路を作製し、別の基板を重ね合わせてネジなどで留めることで、低コストで分解可能となる。さらに、流路となるチューブを複数組み合わせても良く、加工が容易となり、より低コスト化に適している。
マイクロリアクタ110の材質は、反応に悪い影響を与えないものが良く、例えば、ステンレス,シリコン,金,ガラス,ハステロイ、およびシリコン樹脂などのいずれかが適している。また、グラスライニング,金属の表面にニッケル,金、および銀などのコーティングをしたもの,シリコンの表面を酸化させたものなどを用い、耐食性を向上させる。特に、冷却性能をより効果的に発揮するためには、熱伝導率の高い、主に金属を用いるのが望ましい。
マイクロリアクタ110における導入流路A108,導入流路B109および反応流路111の幅は、バッチ法による実験において撹拌することにより得られる渦塊の直径より小さい値、すなわち1mm以下の範囲が良く、流路を微細にするほど混合効率を向上できるが、流路を微細にするほど流量すなわち生成量が減少し、不純物の混入や反応による晶析などにより、流路が閉塞する危険性が高まるので、反応の種類や使用目的に応じて略1
μm以上において決定する。また、反応流路111の深さも1μm以上1mm以下程度が望ましい。
μm以上において決定する。また、反応流路111の深さも1μm以上1mm以下程度が望ましい。
また、図1では、マイクロリアクタをマイクロリアクタ110の1つだけとしているが、2つ以上とすれば量産にも適したものとなる。この場合、ひとつのマイクロリアクタ
110以外は、複数の溶液が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合するマイクロリアクタとする必要はなく、通常のバッチ法で用いられている物質の製造装置とすれば生産が容易となる。
110以外は、複数の溶液が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111を経て混合するマイクロリアクタとする必要はなく、通常のバッチ法で用いられている物質の製造装置とすれば生産が容易となる。
また、抽出や蒸留などの物質の精製装置とした場合、各マイクロリアクタおよび物質の製造装置に続いて1つずつ置くことが良く、特定のマイクロリアクタおよび物質の製造装置のみに続いて置いたり、特定のマイクロリアクタおよび物質の製造装置に続いて2種類の物質の精製装置を置いたりすることが良い。
さらに、より複雑な製造装置,精製装置とする場合には、反応溶液A104および反応溶液B105のいずれか、もしくは両方を、別のマイクロリアクタから取り出した生成物溶液としたり、反応溶液A104および反応溶液B105のいずれか、もしくは両方が別のマイクロリアクタを経由した別反応の目的生成物溶液としたりすることがよい。また、冷却溶液が凝縮器121内で保持するばかりでなく、凝縮器121にて液化された冷媒溶液をポンプ116に導入し、再び使用するための冷媒溶液の循環機能を有することが望ましい。
さらに、より複雑な製造装置,精製装置とする場合には、反応溶液A104および反応溶液B105のいずれか、もしくは両方を、別のマイクロリアクタから取り出した生成物溶液としたり、反応溶液A104および反応溶液B105のいずれか、もしくは両方が別のマイクロリアクタを経由した別反応の目的生成物溶液としたりすることがよい。また、冷却溶液が凝縮器121内で保持するばかりでなく、凝縮器121にて液化された冷媒溶液をポンプ116に導入し、再び使用するための冷媒溶液の循環機能を有することが望ましい。
図2はマイクロリアクタの詳細を示し、(a)は分解図、(b)はA−A′面での断面図であり、基板201,204,マイクロ加工技術などにより流路が作製された反応流路基板202,ガス流路基板203が接続部207,208,209により重ね合わせて接合される。
導入流路A108,導入流路B109および反応流路111に併走するガス流路112は、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111と異なる平面に直線形状で作成されている。また、反応溶液が混合して反応する際に発生する反応熱を十分に除去できる場合は、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111とガス流路
112は、同一平面状にすれば充分である。
導入流路A108,導入流路B109および反応流路111に併走するガス流路112は、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111と異なる平面に直線形状で作成されている。また、反応溶液が混合して反応する際に発生する反応熱を十分に除去できる場合は、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111とガス流路
112は、同一平面状にすれば充分である。
ガス流路112は、反応流路基板202に作成された導入流路A108,導入流路B
109および反応流路111の経路に添うように反応流路基板202の下側に接合されたガス流路基板203に設けられ、直線部が反応流路111に併走し、かつ導入流路A108,導入流路B109の合流部206及びその上流部に近接するように反応流路111より導入流路A108,導入流路B109側へ合流部206の上流まで延伸して設置される。
109および反応流路111の経路に添うように反応流路基板202の下側に接合されたガス流路基板203に設けられ、直線部が反応流路111に併走し、かつ導入流路A108,導入流路B109の合流部206及びその上流部に近接するように反応流路111より導入流路A108,導入流路B109側へ合流部206の上流まで延伸して設置される。
反応溶液が混合して反応する際に発生する反応熱を十分に除去できる場合は、2本のガス流路が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111に併走させることがよく、3本以上の複数のガス流路が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111に併走させることが良い。
また、ガス流路が導入流路A108,導入流路B109および反応流路111の周囲を取り巻くように併走することが冷却効率向上の点で望ましい。
さらに、反応溶液A104と反応溶液B105が混合したときに急激に発熱するので、特に反応溶液A104と反応溶液B105が混合する部分にガス流路112が併走している必要があり、より温度制御を厳密に行うためには、導入流路A108および導入流路B109,反応溶液A104と反応溶液B105が混合する部分,反応流路111の全経路にわたってガス流路112が併走していることが望ましい。ただし、反応時間が非常に短く、反応流路111の上流部で反応が終了している場合には、反応溶液Aおよび反応溶液Bの合流部206、および反応流路111のうちの反応が進行している部分にのみガス流路112が併走していればよい。
接続部207,208,209は基板201上に設けられているが、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111とチューブ106,107,113を接続できるのであれば、反応流路基板202上に設けてもよく、さらに別の基板上に設けてもよい。
さらに、反応溶液A104と反応溶液B105が混合したときに急激に発熱するので、特に反応溶液A104と反応溶液B105が混合する部分にガス流路112が併走している必要があり、より温度制御を厳密に行うためには、導入流路A108および導入流路B109,反応溶液A104と反応溶液B105が混合する部分,反応流路111の全経路にわたってガス流路112が併走していることが望ましい。ただし、反応時間が非常に短く、反応流路111の上流部で反応が終了している場合には、反応溶液Aおよび反応溶液Bの合流部206、および反応流路111のうちの反応が進行している部分にのみガス流路112が併走していればよい。
接続部207,208,209は基板201上に設けられているが、導入流路A108,導入流路B109および反応流路111とチューブ106,107,113を接続できるのであれば、反応流路基板202上に設けてもよく、さらに別の基板上に設けてもよい。
また、接続部210,211は、図2のマイクロリアクタでは基板204上に設けられているが、ガス流路112とチューブ119,120を接続できるのであれば、ガス流路基板203上に設けてもよく、さらに別の基板上に設けてもよい。
そして、図2のマイクロリアクタでは、冷媒溶液118がガス流路112の空間全体に導入される構造となっているが、冷媒溶液118が気化するときに奪われる蒸発潜熱による除熱効果をより高めるためには、ノズルを用いたり、冷媒溶液118を噴射したり、反応流路111とガス流路112の間に冷媒溶液118が流れる流路を作成し、その流路からガス流路112表面に冷媒溶液118を染み出させたりすることにより、できるだけガス流路112の反応流路111側に沿うように、冷媒溶液118を導入することが良い。
図3は、反応温度を多段階に変更させることが可能なマイクロリアクタを示し、(a)は分解図、(b)はAの部分をB側から見た図であり、基板201,204,マイクロ加工技術などにより流路が作製された反応流路基板202,ガス流路基板203が接続部
207,208,209により重ね合わせて接合される。
ガス流路112は、ガス流路基板203に作成され、合流部206より下流となり、反応流路111の上流側と下流側の2箇所に独立して、各反応メカニズムの反応温度の段階に合うように反応の進行方向へ段階的に設置される。
207,208,209により重ね合わせて接合される。
ガス流路112は、ガス流路基板203に作成され、合流部206より下流となり、反応流路111の上流側と下流側の2箇所に独立して、各反応メカニズムの反応温度の段階に合うように反応の進行方向へ段階的に設置される。
つまり、多段階の反応メカニズムをもつ反応においては、反応開始から反応終了まで同一の反応温度に設定するのがよいとは限らず、反応メカニズムのそれぞれの段階に対する適切な反応温度が存在する。通常のバッチ法においては、反応溶液の混合が不完全であり、反応溶液の分布の不均一さに応じて反応が進行してしまうため、反応の進行度合いにバラつきが生じてしまい、反応の途中で温度設定を変更したとしても、反応温度を変更した効果が得られない。そして、温度設定を変更したとしても、反応溶液内の溶液の温度を迅速に変化させることは難しいため、実際には反応温度を変更したことになっていない。
図3のようにガス流路112を多段階に独立して設置すれば、複数のガス流路112ごとに反応流路の途中で温度設定を変更することができる。したがって、反応流路の途中で温度設定を変更すると、反応の途中で反応温度を変更して反応メカニズムのそれぞれの段階に対する適切な反応温度で反応させることにより、さらに副生成物の生成を抑制することができる。
また、微細流路を応用して反応溶液の迅速な混合を行えば、合流部付近で一気に反応が起こり、反応の進行度合いのバラつきが少なく、また、反応流路に沿って秒単位かそれ以下の短い時間単位で反応経路を追うことも可能となる。
図3のようにガス流路112を多段階に独立して設置すれば、複数のガス流路112ごとに反応流路の途中で温度設定を変更することができる。したがって、反応流路の途中で温度設定を変更すると、反応の途中で反応温度を変更して反応メカニズムのそれぞれの段階に対する適切な反応温度で反応させることにより、さらに副生成物の生成を抑制することができる。
また、微細流路を応用して反応溶液の迅速な混合を行えば、合流部付近で一気に反応が起こり、反応の進行度合いのバラつきが少なく、また、反応流路に沿って秒単位かそれ以下の短い時間単位で反応経路を追うことも可能となる。
101,116…ポンプ、104…反応溶液A、105…反応溶液B、106,107,119,120…チューブ、108…導入流路A、109…導入流路B、110…マイクロリアクタ、111…反応流路、112…ガス流路、114…生成物容器、115…生成物溶液、121…凝縮器、122…真空ポンプ、201,204…基板、202…反応流路基板、203…ガス流路基板、206…合流部。
Claims (10)
- 反応溶液Aを導入する導入流路Aと、反応溶液Bを前記導入流路Aに合流させる導入流路Bと、前記反応溶液Aと前記反応溶液Bとが合流してから反応させる反応流路と、を備えたマイクロリアクタを冷却するマイクロリアクタの冷却システムにおいて、
前記導入流路Aと導入流路Bとが合流する合流部に設置されたガス流路と、
前記ガス流路内を負圧にする真空ポンプと、
前記ガス流路へ冷媒溶液を送るポンプと、
を備え、前記冷媒溶液を前記ガス流路内で気化させることを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。 - 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路は、前記反応流路から前記合流部の上流となる部分に設置されたことを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路内の圧力を所定の値に保持することを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路内の圧力を反応温度における前記冷媒溶液の蒸気圧に保持することを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記導入流路A,前記導入流路B,前記反応流路は反応流路基板に作成され、前記ガス流路は前記反応流路基板に重ね合わせて接合されるガス流路基板に設けられていることを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路は前記反応流路の流れ方向に段階的となるように複数設けられたことを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路は前記反応流路の流れ方向に段階的となるように設けられ、それぞれ異なる圧力となるように設定されていることを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ガス流路は前記反応流路の流れ方向に段階的となるように設けられ、それぞれの前記ガス流路内の圧力は、各反応段階の温度における前記冷媒溶液の蒸気圧に保持することを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記反応流路の幅は1mm以下1μm以上、深さは1
μm以上1mm以下とされたことを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。 - 請求項1に記載のものにおいて、前記反応による反応熱が、10以上100kJ/mol以下であることを特徴とするマイクロリアクタの冷却システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006096361A JP2007268395A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | マイクロリアクタの冷却システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009106916A (ja) * | 2007-11-01 | 2009-05-21 | Jfe Engineering Corp | マイクロチップ、マイクロチップデバイス及びマイクロチップを用いた蒸発操作方法 |
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KR101787407B1 (ko) * | 2015-09-30 | 2017-10-18 | 명지대학교 산학협력단 | 미립화된 수용액 방울의 증발냉각을 이용한 미소유체 냉각장치 |
-
2006
- 2006-03-31 JP JP2006096361A patent/JP2007268395A/ja active Pending
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