JP2007265683A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 空気極層21、電解質層22及び燃料極層23を有する発電セル20と、該発電セル20と液体燃料を貯留する燃料貯留体10とを接続する液体燃料供給体30とを少なくとも備える燃料電池Aであって、前記液体燃料供給体30は、少なくとも、液体燃料を誘導し得る毛管力を有する有底の断面形状の流路を備えた燃料誘導体部31と、疎水性面と親水性面を有する多孔質体部35との積層体から構成されていることを特徴とする燃料電池A。
【選択図】図1
Description
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池、所謂、パッシブ型燃料電池は、発電セルに燃料を毛管力によって供給する方式であるため、燃料供給用のポンプやバルブ等を設ける必要が無く、発電機の小型化が期待できる燃料供給方式である。
本願出願人は、液体燃料、及び、発電セルを通過した排燃料の輸送に、多孔体及び/又は繊維束体(ウイッキング材)の毛管力を利用した燃料電池用の液体燃料輸送方法等について具体的な例示を行っている(例えば、特許文献6〜11参照)。
更には、上記のようなウイッキング材を用いた燃料電池においては、製造に際して、ウイッキング材を配置させる工程が必要となり、ウイッキング材そのものに関する材料費が必要となる。
このようにウイッキング材を用いた燃料電池は、製造コストについての不利な条件も予想される。
しかしながら、この構造の燃料電池において、燃料溶液を吸い上げて、電極面に沿って液体燃料を供給する場合、電極面積が広くなると電極面上における燃料濃度や液供給速度に大きな分布が生じ、電極面全体を発電に有効に活かせない場合がある。また、電極面全体に燃料用液を確保するために多孔質板の厚さが比較的厚くなる結果、電池全体の容積が増え、燃料電池パッケージの小型化に不利になる。更に、メタノール等の液体燃料のクロスオーバーにより燃料の一部が損失してしまうことがあり、非発電時において制御することができないなどの若干の課題がある。
(1) 空気極層、電解質層及び燃料極層を有する発電セルと、該発電セルと液体燃料を貯留する燃料貯留体とを接続する液体燃料供給体とを少なくとも備える燃料電池であって、前記液体燃料供給体は、少なくとも、液体燃料を誘導し得る毛管力を有する有底の断面形状の流路を備えた燃料誘導体部と、疎水性面と親水性面を有する多孔質体部との積層体から構成されていることを特徴とする燃料電池。
(2) 前記燃料誘導体部の流路において、有底の断面形状の流路の断面線長をL1、有底の断面形状の流路部分の断面積をs1、液体燃料の比重をρ1、液体燃料の表面張力をγ1、液体燃料と流路表面との接触角をθ1、重力加速度をgとした場合、前記燃料供給板部の流路の長さh1が下記式(I)で表される範囲の流路を備えてなる上記(1)に記載の燃料電池。
h1≦(L1×γ1×cosθ1)/(s1×ρ1×g) ………(I)
(3) 前記燃料誘導体部の流路の断面形状が、長方形の一辺を欠いた形状の有底の断面形状の流路である上記(1)又は(2)に記載の燃料電池。
(4) 前記燃料誘導体部の流路の一部が、管状である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の燃料電池。
(5) 前記燃料誘導体部の流路表面を親水化処理してなる上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の燃料電池。
(6) 前記親水化処理がプラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、レーザー処理の何れか一つから選ばれる上記(5)に記載の燃料電池。
(7) 前記燃料誘導体部のうち、流路表面以外の部分を疎水処理してなる上記(1)〜(6)の何れか一つに記載の燃料電池。
(8) 前記燃料誘導体部の流路の一部に、渦巻き型の流路、波型の流路及びつづら折状の流路の何れか一つを有する上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の燃料電池。
(9) 前記多孔質体部の親水性面と接する燃料誘導体部が渦巻き型の流路面、若しくは波型の流路面、又はつづら折状の流路面である上記(8)に記載の燃料電池。
(10) 前記燃料誘導体部及び/又は多孔質体部が、炭素材料、ガラス材料、セラミックス材料、高分子材料から選ばれる少なくとも1種から構成される上記(1)〜(9)の何れか一つに記載の燃料電池。
(11) 前記燃料供給体は、平板状である上記(1)〜(10)の何れか一つに記載の燃料電池。
(12) 前記燃料供給体の厚さが、0.05〜30mmである上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の燃料電池。
(13) 前記燃料極層と、前記燃料供給体との間に多孔質体層を設けた上記(1)〜(12)の何れか一つに記載の燃料電池。
(14) 前記多孔質体層がガス排出層を兼ねる上記(13)に記載の燃料電池。
(15) 前記多孔質体層の厚さは、0.05〜5mmである上記(13)又は(14)に記載の燃料電池。
(16) 前記多孔質体層は、炭素材料、ガラス材料、セラミックス材料、高分子材料から選ばれる少なくとも1種から構成される上記(13)〜(15)の何れか一つに記載の燃料電池。
(17) 前記多孔質体層には、少なくとも孔径50μm以下の孔が形成されている上記(13)〜(16)のいずれか一つに記載の燃料電池。
(18) 前記燃料貯留体から、前記発電セルに至る液体燃料供給体上の何れかの部分に燃料供給の遮断機構を設けた上記(1)〜(17)の何れか一つに記載の燃料電池。
図1〜図4は、本発明の実施形態の一例となる燃料電池を示すものであり、図1(a)は、燃料電池の要旨を示す縦断面図、(b)はその横断面図、図2(a)は、燃料誘導体部の基本形態の平面図、(b)は(a)のx−x線での横断面図、図3(a)は、多孔質体部の表面側の平面図、(b)は多孔質体部の裏面側の平面図、(c)は多孔質体部の縦断面図、図4は、燃料誘導体部と多孔質体部とを積層して燃料供給体とした基本形態の平面図である。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
また、空気極層23としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
上記燃料誘導体部31の流路32は、燃料誘導体部31の表面側に、有底の断面形状となるスリット溝からなる流路であって、該流路32は液体燃料を誘導し得る毛管力を有する構造となっている。具体的には、図2(a)及び(b)に示すように、燃料誘導体部31には、中央下端部より4本の直線状の流路32を有し、夫々、燃料入り口部となる起点流路32a、直線流路32b、長方形渦巻き状とした渦巻き流路32cとを有するものであり、更に、終点流路32dを一体に備えたものであり、渦巻き流路32c以外は、角部を有する直線状の流路となっている。この4本の流路32は、燃料誘導体部31上でほぼ均等に四分割されたその領域面において液体燃料が進行するように形成されている。
本発明において、「流路32の断面線長L」とは、前記燃料誘導体部31を流路32に直角な断面図、例えば、図2(b)の場合、流路を構成する壁面、底面と前記断面との交線の長さを合計したものである。
例えば、液体燃料の流れの「上流」の流路(即ち始点流路32a近傍)に撥水処理を施し、「下流」の流路(即ち終点流路32d近傍)に親水化処理を施すことなどによって、適宜液体燃料の流れを制御することができる。
流路32内及び燃料誘導体部31表面は、上記したような理由に応じて、親水化処理、疎水処理を施すことができる。流路32内部へ親水化処理を施すことで、流路32の毛管力を高め、燃料輸送速度を更に高めることができる。
特に、レーザー処理、電子線による処理、イオン注入法による処理、イオンビームによる処理、イオン照射による処理としては、出力調整されたレーザー光や電子ビーム等を流路41内を走査させる要領で照射して処理することが挙げることができるが、特に限定されない。
レーザー照射処理は、流路32の所定の表面部、例えば、少なくとも流路面の一部又は全部に、−OH基,−COOH基、>C=O基などの少なくとも1つ以上の親水性官能基を効率良く形成増加せせる点、経済性の点から、室温下(25℃)空気雰囲気中、若しくは、少なくとも酸素を含むガス雰囲気中で行うことが好ましい。また、室温下以上の加湿状態で行ってもよいものである。
なお、上記3〜15Wの間での出力調整は、レーザーの仕様、照射条件等により変動し一概には言えないが、出力が3W未満であると、親水官能基の形成増加が困難となり、また、処理に要する時間が増大したり、経時的にも親水性官能基の固定機能を発揮できないことがある。一方、出力が15Wを超える照射であると、照射量が多大となり、照射部を深く削ることとなるので、目的の親水性官能基の形成増加と凹凸部を形成することができず、しかも、流路表面、あるいは、流路面の寸法精度が問題となり、燃料電池の性能が不安定となる。
即ち、前記燃料誘導体部31の流路32において、有底の断面形状の流路の断面線長をL1、有底の断面形状の流路部分の断面積(スリットのすりきり断面積)をs1、液体燃料の比重をρ1、液体燃料の表面張力をγ1、液体燃料と流路表面との接触角をθ1、重力加速度をgとした場合、流路の長さ(スリット入り口と発電セルまでの距離)hが下記式(I)で表される範囲の流路を備えていることが好ましい。
h≦(L1×γ1×cosθ1)/(s1×ρ1×g) ………(I)
ここでは、燃料電池を利用する電子機器との高低差を10cmとし、液体燃料の貯蔵部を床に置いたものとした(即ちh=0.1m)。また、接触角の測定には、協和界面科学株式会社製接触角計CA−Xを用いて、親水化処理を施したものを用いた場合、全ての測定値が20°以下であったことをから、cosθ≒1とした。更に、スリットの断面形状を図2(b)に示すような「幅」=「深さ」の「コの字型」であると仮定して、L1=3a,s1=a2で近似的な計算を行った。
h≧0.1mより、
h=(3a×γ1×cosθ1)/(a2×ρ1×g)から、a=3γ1/0.98ρ1
メタノール濃度0%(即ち水)を記載したのは、発電時、燃料電池の燃料極を予め水で湿潤させる必要があるなど、水用のスリット溝を作らねばならない場合があるからである。
H×a×b×ρ1×g=〔2(a+b)〕×γ1×cosθ1より
H=〔2(a+b)×γ1×cosθ1〕/(a×b×ρ1×g)
と、スリットの幅及び深さ等の数値から吸い上げのできる高さが計算することができる。ここでは試算は省略する。なお、液体燃料として、メタノール水溶液以外の燃料、例えば、ジメチルエーテル(DME)、エタノール水溶液、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液などを使用した場合も、各燃料の濃度別の表面張力及び比重を算出すれば、同様に、最適となる流路32の幅を上記表1のメタノール水溶液と同様に示すことができる。
前記炭素材料の素材としては、例えば、ガラス状炭素、等方性炭素材、黒鉛粉末〔高配向性熱分解黒鉛(HOPG)、キッシュ黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛、フラーレンを含む〕、炭素繊維〔気相成長炭素繊維、PAN系炭素繊維、黒鉛繊維を含む〕、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛シート等が挙げられる。また、これらの材料を適宜組み合わせて構成してもよいものである。
この燃料誘導体部31の厚さとしては、必要量の燃料液を供給するための溝を有しつつ、装置の小型化を可能にするという点から、0.05〜30mm、好ましくは、0.1〜2mm程度とすることが望ましい。
前記多孔質体部35の設定領域を親水性面36,36…とする方法としては、多孔質体部35自体が親水性となる場合には、そのままの状態で使用でき、更に、親水性面を増強する場合又は親水性面とする場合は、上述の燃料誘導体部31での親水化処理方法(例えば、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、レーザー処理、電子線による処理、イオン注入法による処理、イオンビームによる処理、イオン照射による処理等)により設定領域を親水性面とすることができ、好ましくは、作業効率性、確実な親水化処理の点から、上述の照射条件でのレーザー処理、特に、YAGレーザー処理により行うことが望ましい。
また、前記多孔質体部35の設定領域を疎水性面37とする方法としては、上述の燃料誘導体部31での疎水化処理方法〔例えば、フッ化ポリビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)や、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、トリメトキシフルオロアルキルシランなどでコーティングする方法〕により行うことができる。
なお、上記多孔質体部35自体が親水性となる場合には、上記疎水化処理により設定領域を疎水性面37とすることにより、多孔質体部35に親水性面36と疎水性面37を形成することができることとなる。
更に、この多孔質体部35の面には、図3(b)及び(c)に示すように、電極での生成ガスである二酸化炭素の排出用のスリット溝38を形成することが望ましい。スリット溝38としては、幅0.1〜5mm、深さ0.1〜5mmのスリット溝を、溝間隔0.1〜10mmで形成することが望ましい。このスリット溝38は、図3(b)及び(c)に示すように、多孔質体部35の横方向を横断せしめることにより、生成ガスを多孔質体部35外(外気)に排出することができるものとなる。なお、スリット溝は、多孔質体部35の縦方向を縦断せしめるものであってもよく、そのスリット溝38の本数も適宜形成することができ、幅1mm、深さ1mmで、多孔質体長さ1cmあたり2〜8本程度形成することが望ましい。
好ましくは、液体燃料が面全体に均一に拡散すること、また、物質移動抵抗の付与により液体燃料のクロスオーバーを抑制するという点から、気孔率10〜70%、1〜20μmの細孔径分布を有することが望ましい。
この多孔質体部35の厚さとしては、液体燃料の面全体への均一な供給と、液体燃料のクロスオーバーの抑制効果の点から、0.2〜5mm、好ましくは、0.5〜2mm程度とすることが望ましい。
液体燃料供給体30の厚さは、上記燃料誘導体部31及び多孔質体部35の各厚さ、燃料電池の構造等により変動するものであるが、更なる小型化の点から、0.5〜30mm、好ましくは、0.5〜5mm程度とすることが望ましい。
多孔質体部35内部へ浸透した液体燃料は多孔質体部35上に積層された発電セル20の燃料極層21に供給される。また、最上面の空気極層33が空気(外気)に晒されることで、拡散、対流によって酸素が空気極層33に供給され、燃料電池として発電することとなる。図1(a)及び(b)の矢印X1は燃料誘導部31及び多孔質体部35の液体燃料の浸透方向を示すものであり、X2は電極反応で生じた生成ガスである二酸化炭素ガスが多孔質体部35のスリット溝38に沿って面方向へ排出された様子を示すものである。これにより、液体燃料の浸透による供給と生成ガス排出は一方向になり、供給と排出がスムーズに行われることとなる。
また、燃料電池の向きに関らず液体燃料を流通させることができると共に、多孔体あるいは繊維束体などのウイッキング材からなる流路と比較して、極めて早く液体燃料を効率よく流通させることができ、更に、ウイッキング材を配置することを省略することができる、安価で燃料電池の起動時間が早いパッシブ型の燃料電池が得られるものとなる。
更に、流路32となるスリット溝を燃料電池の構造、燃料種及びその濃度等に応じて、好適な毛管力となるように切削できるため、燃料の効率的な供給、分配、回収が可能となる燃料電池が得られることとなる。
これらの結果、本実施形態の燃料電池Aは、液体燃料の供給が電極面全体に均一に行えるようになるため、電極面積が広くなっても電極面上における燃料濃度や液供給速度に大きな分布が生じることがなく、電極面全体を発電に有効に活かせることができ、また、電極面全体に燃料用液を容易に確保することができるため燃料供給体の厚さを薄くでき、その結果、電池全体の容積を小さくでき、燃料電池パッケージの小型化に寄与することができるものとなる。
この遮断機構は、図7(a)〜(d)に示すように、燃料貯留体10から燃料誘導部31の入り口部となる始点流路32aに繋がる液流路(チューブ体)へ燃料を供給するコック体(回転コック体)15を設けたものである。
この遮断機構により、電極面全体への燃料供給を遮断することができるため、非発電時にコック体を閉じることにより、液体燃料のクロスオーバーのために損失する燃料の流れを更に止めることができる。更に、燃料供給用の流路及び多孔質体部の空隙体積はちいさいので、コック体を閉じた後に生じる、残量液体燃料のクロスオーバー損失を小さく減らすことができる。
本実施形態の燃料電池Bは、燃料供給体30の多孔質体部35と燃料極層21との間に多孔質体層40を設けた点でのみ、上記実施形態の燃料電池Aと相違するものであり、上記実施形態と同様に作用効果を発揮するものである。
この多孔質体層40は、例えば、カーボンフェルトやカーボンクロスなどの気孔率の高いの高い炭素材料、高分子材料などから構成されるものであり、燃料極層21への液体燃料の供給と、生成ガスである二酸化炭素ガスを排出する排出層としての機能を有するものである。上記実施形態で、多孔質体部35にガス排出用のスリット溝38を形成しない場合に当該多孔質体層40を介在することができ、また、多孔質体部35にガス排出用のスリット溝38を形成している場合には、多孔質体層40との両方で生成ガスである二酸化炭素ガスを効率的に排出することができるものとなる。
この多孔質体層40には、好ましくは、少なくとも孔径10μm以上、気孔率10〜95%となるものが好ましく、更に好ましくは、孔径100〜1000μm、気孔率50〜90%となるものが望ましい。
また、この多孔質体層40の厚さとしては、燃料極層21への液体燃料の効率的な供給と、生成ガスである二酸化炭素ガスの効率的な排出を達成せしめる点から、0.05〜5mmとすることが望ましい。
本実施形態の燃料電池Cは、燃料供給体30の燃料誘導体部31の両面に、図2(a)及び(b)に示す態様の流路を設けることで、燃料誘導体部31を共有し、両面に多孔質体部35を介して燃料電池の発電セルを積層化(一体化)した点でのみ、上記実施形態の燃料電池Aと相違するものであり、上記実施形態と同様に作用効果を発揮するものである。
この燃料電池Cでは、燃料供給体30の燃料誘導体部31の両面に、流路32,32を設けることで、燃料誘導体部31を共有し、両面に多孔質体部35を介して燃料電池の発電セルを積層化した構造であるので、更に燃料電池の薄型化が可能となる。
本実施形態の燃料電池Dは、上記実施形態の燃料電池B及びCを組み合わせたものであり、上記実施形態の燃料電池Cにおいて、夫々の多孔質体部35と燃料極層21との間に各多孔質体層40を設けた点でのみ、上記実施形態の燃料電池Cと相違するものであり、上記実施形態と同様に作用効果を発揮するものである。
更に、「下流」のスリット溝となる終点流路32dを、外界若しくは、燃料誘導体部31の、いずれのスリット溝からなる流路よりも強い毛管力を持つ、廃燃料回収体に連結して、廃燃料などを排出する構成としてもよいものである。
下記作製法、処理方法により、燃料電池用燃料供給体を得た後、それを用いて燃料電池を組み立て、燃料貯留体から発電セルまで液体燃料が移動する速度を測定し、発電の様子も観察した。
(燃料誘導体部の作製)
フラン樹脂〔日立化成工業(株)製 ヒタフランVF−303〕10重量部と、ポリ塩化ビニル−ポリ酢酸ビニル共重合体(新第一塩ビ社製 ZEST−C150S)40重量部との混合樹脂に、天然鱗状黒鉛(日本黒鉛工業社製、平均粒径5μm)50重量部を加え、更に可塑剤としてジアリルフタレート20重量部添加した材料をヘンシェルミキサーで混合、分散し、ミキシング用二本ロールを用いて十分に混練を繰り返して燃料電池誘導体部用組成物を調整し、更に粉砕、篩いをかけて粉末を得た。
得られた粉末を図2に準拠する所定の溝パターンを持つ成形用金型でプレス成形した後、有酸素ガス雰囲気中で300℃の温度で乾燥固化させ、不活性ガス雰囲気中で1500℃の加熱処理を行い、炭素製燃料誘導体部を得た。
得られた燃料誘導体部の寸法は50mm×90mm×2mm(流路面の幅0.1mm、深さ0.1mm)であった。
更に、得られた燃料誘導体部の流路面に下記方法により、レーザー処理を施し、親水性官能基を形成し、液体燃料に対する毛管力を調整した。
レーザー処理は、得られた炭素製燃料誘導体部の流路面に、YAGレーザー装置を用いて、室温空気雰囲気下で、出力12W、パルス幅50μsの条件で流路面にレーザー処理を行い、親水性官能基と凹凸部を形成した。
フラン樹脂(日立化成社製、ヒタフランVF−303)36重量部に、乾留ピッチ(呉羽化学工業社製、KH−1P)14重量部との混合樹脂に、カーボンナノチューブ(昭和電工社製、VGCF)30重量部を加え、更に、PMMA(粒径60μm)20重量部を添加した材料を混合機中で混練し、更に、粉砕、篩いをかけて粉末を得た。
得られた粉末を図3に準拠する形状に金型を用いて圧縮成形した後、有酸素ガス雰囲気中で1000℃の加熱処理を行い、炭素製多孔質体部を得た。
得られた多孔質体部の寸法は50mm×90mm×1mmであった。
更に、得られた多孔質体部に下記方法により親水性面、疎水性面、ガス排出用スリット溝を形成した。
図3に準拠するように、4つの親水性面(20mm×36mm)となる箇所に下記方法によりレーザー処理を施し、親水性官能基を形成し、液体燃料に対する毛管力を調整した。なお、親水性面(18mm×36mm)は、上下方向の間隔は、上端から6mm間隔で、左右の間隔は、左端から4mm、6mm、4mmである。
レーザー処理は、得られた炭素製燃料誘導体部の流路面に、YAGレーザー装置を用いて、室温空気雰囲気下で、出力12W、パルス幅50μsの条件で流路面にレーザー処理を行い、親水性官能基と凹凸部を形成した。
この親水性面の箇所をマスキングし、トリメトキシフルオロアルキルシラン(例えば、TSL8233、東芝シリコーン社製)の2wt%メタノール溶液等を用いて30分間ディップコーティングを施し、120℃で1時間乾燥を行い、親水性面以外の箇所を疎水性面とした。
ガス排出用スリット溝は、多孔質体部の幅方向に、幅0.1mm、深さ0.1mm、長さ1cm当たり2本形成した。
上記で得られた燃料誘導体部と多孔質体部とをホルダー内に積層し、ネジ止めにより適切な圧力で押さえ、燃料供給体を作製した。
前記実施例1の燃料誘導体部の代わりに、前記多孔質体を、前記燃料誘導体と同じ寸法に成形したものを用いて実施例1と同様にして燃料供給体を作製した。
また、燃料誘導部の始点流路に、50wt%メタノール水溶液を含浸させた気孔率90%の繊維束多孔体からなる貯留体を毛管連結させたところ、多孔質体部の前面まで浸透する速度は、実施例1では、10秒以内にすべて燃料流路に燃料が供給されたが、比較例1では、実施例1と同じ方法で50wt%メタノール水溶液を浸透させたところ、多孔質体全面に燃料が浸透する時間は60秒であった。
20 発電セル
21 燃料極層
22 電解質層
23 空気極層
30 燃料供給体
31 燃料誘導体部
32 流路
35 多孔質体部
36 親水性面
37 疎水性面
Claims (18)
- 空気極層、電解質層及び燃料極層を有する発電セルと、該発電セルと液体燃料を貯留する燃料貯留体とを接続する液体燃料供給体とを少なくとも備える燃料電池であって、前記液体燃料供給体は、少なくとも、液体燃料を誘導し得る毛管力を有する有底の断面形状の流路を備えた燃料誘導体部と、疎水性面と親水性面を有する多孔質体部との積層体から構成されていることを特徴とする燃料電池。
- 前記燃料誘導体部の流路において、有底の断面形状の流路の断面線長をL1、有底の断面形状の流路部分の断面積をs1、液体燃料の比重をρ1、液体燃料の表面張力をγ1、液体燃料と流路表面との接触角をθ1、重力加速度をgとした場合、前記燃料供給板部の流路の長さh1が下記式(I)で表される範囲の流路を備えてなる請求項1に記載の燃料電池。
h1≦(L1×γ1×cosθ1)/(s1×ρ1×g) ………(I) - 前記燃料誘導体部の流路の断面形状が、長方形の一辺を欠いた形状の有底の断面形状の流路である請求項1又は2に記載の燃料電池。
- 前記燃料誘導体部の流路の一部が、管状である請求項1〜3の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料誘導体部の流路表面を親水化処理してなる請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記親水化処理がプラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、レーザー処理の何れか一つから選ばれる請求項5に記載の燃料電池。
- 前記燃料誘導体部のうち、流路表面以外の部分を疎水処理してなる請求項1〜6の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料誘導体部の流路の一部に、渦巻き型の流路、波型の流路及びつづら折状の流路の何れか一つを有する請求項1〜7の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記多孔質体部の親水性面と接する燃料誘導体部が渦巻き型の流路面、若しくは波型の流路面、又はつづら折状の流路面である請求項8に記載の燃料電池。
- 前記燃料誘導体部及び/又は多孔質体部が、炭素材料、ガラス材料、セラミックス材料、高分子材料から選ばれる少なくとも1種から構成される請求項1〜9の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料供給体は、平板状である請求項1〜10の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料供給体の厚さが、0.05〜30mmである請求項1〜11の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料極層と、前記燃料供給体との間に多孔質体層を設けた請求項1〜12の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記多孔質体層がガス排出層を兼ねる請求項13に記載の燃料電池。
- 前記多孔質体層の厚さは、0.05〜5mmである請求項13又は14に記載の燃料電池。
- 前記多孔質体層は、炭素材料、ガラス材料、セラミックス材料、高分子材料から選ばれる少なくとも1種から構成される請求項13〜15の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記多孔質体層には、少なくとも孔径50μm以下の孔が形成されている請求項14〜16の何れか一つに記載の燃料電池。
- 前記燃料貯留体から、前記発電セルに至る液体燃料供給体上の何れかの部分に燃料供給の遮断機構を設けた請求項1〜17の何れか一つに記載の燃料電池。
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