JP2007264516A - 階調マスクおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、階調マスクを高精度に作製することができる階調マスクの製造方法、およびそれにより得られる高精度な階調マスクを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とがこの順に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記境界部分近傍にて、上記半透明膜のパターンの少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されており、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有することを特徴とする階調マスクを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示装置等の製造過程において、ハーフトーン露光に好適に用いられる階調マスクおよびその製造方法に関するものである。
階調マスクは、露光光を実質的に遮光する遮光膜と、露光光を所望の透過率で透過する半透明膜とを用い、光を透過する透過領域と、光を透過しない遮光領域と、透過する光の量が調整された半透明領域とを有することにより、階調を出すマスクである(特許文献1参照)。
この階調マスクの製造方法としては、種々の方法を挙げることができる。例えば、(1)透明基板上に遮光膜が成膜されたマスクブランクを使用し、遮光膜をパターニングした後に遮光膜パターン上に半透明膜を成膜し、さらにパターニングする方法、(2)透明基板上に半透明膜および遮光膜が積層されたマスクブランクを使用し、2回のパターニングを行う方法などが挙げられる(特許文献2参照)。
上記(1)の方法では、1回目のパターニングにて遮光膜をエッチングし、2回目のパターニングにて半透明膜および遮光膜を一度にエッチングすることにより、階調マスクを作製できる。また、1回目のパターニングにて遮光膜をエッチングし、2回目のパターニングにて半透明膜のみエッチングすることによっても、階調マスクを作製できる。
上記(2)の方法では、1回目のパターニングにて遮光膜および半透明膜を一度にエッチングし、2回目のパターニングにて遮光膜のみをエッチングすることにより、階調マスクを作製できる。また、1回目のパターニングにて遮光膜のみをエッチングし、2回目のパターニングにて遮光膜および半透明膜を一度にエッチングすることにより、階調マスクを作製できる。
しかしながら、このように複数回のパターニングを必要とする階調マスクの製造方法においては、2回目のパターニングの際に各パターンのアライメントがずれてしまい、各パターンの相対位置精度を保つのが困難である。
なお、特許文献2には、上記(1)の方法のうち、1回目のパターニングにて遮光膜をエッチングし、2回目のパターニングにて半透明膜のみエッチングする方法では、遮光膜および半透明膜を別々にエッチングするので、アライメントの位置精度のずれにより、遮光膜パターンの端部と半透明膜パターンの端部の位置が異なっている階調マスクが開示されている。しかしながら、具体的な階調マスクの構成および製造方法については、詳しく述べられていない。
特開2002−189280公報 特開2006−18001公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、階調マスクを高精度に作製することができる階調マスクの製造方法、およびそれにより得られる高精度な階調マスクを提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とがこの順に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有する階調マスクであって、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記境界部分の近傍にて、上記半透明膜のパターンの少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されており、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有することを特徴とする階調マスクを提供する。
本発明の階調マスクにおいては、遮光領域および半透明領域が少なくとも一辺で接しており、遮光領域および半透明領域が接する境界部分の近傍にて、半透明膜のパターンの少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されているので、遮光膜のパターンの端部と半透明膜のパターンの端部とが一致していないということができる。このような階調マスクの製造過程においては、半透明膜のみをパターニングする工程が行われると想定される。遮光膜および半透明膜は異種の金属を含有しているので、半透明膜のみを選択的にエッチングすることができる。そのため、半透明膜のパターニングの際にアライメントがずれたとしても、半透明膜のみがエッチングされ、遮光膜はエッチングされないので、遮光膜のパターンの形状は変化しない。したがって、遮光膜のパターンの寸法精度を保証することができる。
上記発明においては、上記半透明膜が上記遮光膜に対してエッチング選択性を有することが好ましい。これにより、階調マスクを製造する際に、半透明膜のみを容易に選択的にエッチングすることができるからである。また、半透明膜のみを選択的にエッチングすることができるため、アライメントずれ、あるいは、半透明膜の成膜時におけるパーティクル、あるいは、半透明膜のパターニング時における剥がれ、汚れ付着、パターニングむら等に起因して、半透明膜のパターンに不具合が生じたとしても、半透明膜のみを除去して、リサイクルすることが可能となるからである。
また本発明は、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有する階調マスクの製造方法であって、上記遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、上記遮光膜をエッチングして、上記遮光膜をパターニングする第1パターニング工程と、上記遮光膜および上記半透明膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、上記半透明膜のみをエッチングして、上記半透明膜のみをパターニングする第2パターニング工程とを有することを特徴とする階調マスクの製造方法を提供する。
本発明によれば、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングするため、得られる階調マスクにおける遮光領域は、第1パターニング工程にて形成された遮光膜のパターンにより画定される。したがって、第2パターニング工程にてアライメントがずれたとしても、遮光領域の寸法精度は保証されるため、階調マスクを高精度に作製することが可能である。また、遮光膜および半透明膜が異種の金属を含有しているので、半透明膜のみを選択的にエッチングすることができる。このため、アライメントがずれたり、あるいは、半透明膜の成膜時にパーティクルが発生したり、あるいは、半透明膜のパターニング時に半透明膜が剥がれたり、半透明膜に汚れが付着したり、パターニングにむらが生じたりしても、第2パターニング工程後に半透明膜のみを除去することができ、リサイクルが可能である。
上記発明においては、上記第1パターニング工程は、上記透明基板上に上記遮光膜が成膜されたマスクブランクを用いて、上記遮光膜をパターニングする工程であり、上記第1パターニング工程と上記第2パターニング工程との間に、上記遮光膜のパターンが形成された透明基板の全面に上記半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程が行われてもよい。この場合、第2パターニング工程でのエッチング選択比のみを考慮すればよいので、比較的簡便な工程で階調マスクを作製することができる。
また、上記第1パターニング工程は、上記透明基板上に上記半透明膜および上記遮光膜がこの順に成膜されたマスクブランクを用いて、上記遮光膜のみをパターニングする工程であってもよい。この場合、階調マスクの製造工程の途中で半透明膜成膜工程を行う必要がないので、半透明膜の成膜時のリスク(欠陥や汚れなど)を低減することができる。
本発明によれば、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングするため、得られる階調マスクにおける遮光領域は、第1パターニング工程にて形成された遮光膜のパターンにより画定される。このため、第2パターニング工程にてアライメントがずれたとしても、遮光膜のパターンおよび遮光領域の寸法精度を保証することが可能であり、高精度な階調マスクを得ることが可能である。
以下、本発明の階調マスクおよびその製造方法について詳細に説明する。
A.階調マスク
本発明の階調マスクは、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とがこの順に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有する階調マスクであって、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記境界部分の近傍にて、上記半透明膜のパターンの少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されており、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有することを特徴とするものである。
本発明の階調マスクについて、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の階調マスクの一例を示す平面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、階調マスク1は、透明基板2上に遮光膜3および半透明膜4がこの順に積層され、遮光膜3が長方形および凹字型のパターン状に形成され、半透明膜4が凹字型のパターン状に形成されたものである。遮光膜3は実質的に露光光を透過しないものであり、半透明膜4は透過率調整機能を有している。また、遮光膜および半透明膜は異種の金属を含有している。なお、図1において、遮光膜の一部は破線で示されている。
階調マスク1においては、透明基板2上に遮光膜3が設けられた遮光領域11と、透明基板2上に半透明膜4のみが設けられた半透明領域12と、透明基板2上に半透明膜4および遮光膜3のいずれも設けられていない透過領域13とが混在している。遮光領域11は長方形および凹字型の形状を有し、半透明領域12は凹字型の形状を有している。凹字型の半透明領域12は、長方形および凹字型の遮光領域11と接しており、具体的には、凹字型の半透明領域12の三辺と凹字型の遮光領域11の三辺とが接し、凹字型の半透明領域12の三辺と長方形の遮光領域11の三辺とが接している。そして、遮光領域11および半透明領域12が接する境界部分bの近傍では、凹字型の半透明膜4のパターンの三辺が凹字型の遮光膜3のパターン上に配置され、凹字型の半透明膜4のパターンの三辺が長方形の遮光膜3のパターン上に配置されている。すなわち、半透明膜4のパターンの端部と遮光膜3のパターンの端部とが一致していない。
本発明の階調マスクの製造方法の一例を図3および図4に示す。図4(a)〜(e)はそれぞれ図3(a)〜(e)のB−B線断面図である。
図1に例示する階調マスク1を製造するには、まず、透明基板2上に遮光膜3aが成膜されたマスクブランクを準備し、遮光膜3a上に第1レジスト膜21を形成し、パターン露光し、現像および遮光膜3aのエッチングを行う(図3(a)および図4(a))。これにより、透明基板2上に長方形および凹字型の遮光膜パターン3bを形成する(図3(b)および図4(b))。次いで、長方形および凹字型の遮光膜パターン3bを覆うように透明基板2上に半透明膜4aを成膜する(図3(c)および図4(c))。そして、半透明膜4a上に第2レジスト膜25を形成し、パターン露光し、現像および半透明膜4aのエッチングを行う(図3(d)および図4(d))。これにより、透明基板2および遮光膜3の上に凹字型の半透明膜パターン4bを形成する(図3(e)および図4(e))。
なお、図3において、第1レジスト膜および第2レジスト膜は省略されており、遮光膜の一部は破線で示されている。
一般に、階調マスクを製造する過程において、上記のようにパターン露光を2回行う場合には、1回目のパターニング(図3に示す例においては遮光膜のパターニング)と2回目のパターニング(図3に示す例においては半透明膜のパターニング)とで、アライメントが困難である。
従来の階調マスクの製造方法の一例を図5および図6に示す。図6(a)〜(e)はそれぞれ図5(a)〜(e)のB−B線断面図である。
まず、透明基板52上に遮光膜53aが成膜されたマスクブランクを準備し、遮光膜53a上に第1レジスト膜61を形成し、パターン露光し、現像および遮光膜53aのエッチングを行う(図5(a)および図6(a))。これにより、透明基板2上に凹字型の開口部を有する遮光膜パターン53bを形成する(図5(b)および図6(b))。次いで、遮光膜パターン53bを覆うように透明基板52上に半透明膜54aを成膜する(図5(c)および図6(c))。そして、半透明膜54a上に第2レジスト膜65を形成し、パターン露光し、現像ならびに半透明膜54aおよび遮光膜パターン53bのエッチングを行う(図5(d)および図6(d))。これにより、透明基板2上に長方形および凹字型の遮光膜パターン53cと、凸字型の半透明膜パターン54bとを形成する(図5(e)および図6(e))。
なお、図5において、第1レジスト膜および第2レジスト膜は省略されており、遮光膜の一部は破線で示されている。
このような階調マスクの製造過程においては、1回目のパターニングの際に遮光膜の一部をエッチングし、2回目のパターニングの際に半透明膜および遮光膜を一度にエッチングするので、図5(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域68(太線の枠外)が前後左右にずれると、例えば図7(a)および(b)に示すように遮光膜パターン53cの形状が変化し、図7(c)および(d)に示すように遮光領域71の形状も変化してしまう。なお、図7(a)、(b)において遮光膜は破線で示されており、図7(c)、(d)において透明基板、遮光膜および半透明膜は省略され、遮光領域、半透明領域および透過領域が示されている。
例えば、図5(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の左方向にシフトすると、図7(a)に示すように遮光膜パターン53cが長方形および凹字型が連結されたような形状になる。この場合、図7(c)に示すように、遮光領域71の形状も変化する。また例えば、図5(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の上方向にシフトすると、図7(b)に示すように遮光膜パターン53cが2つの矩形がずれて連結されたような形状、および部分的に線幅の異なる凹字型の形状になる。この場合、図7(d)に示すように、遮光領域71の形状も変化する。図7(c)および(d)のいずれの場合においても、半透明領域72および透過領域73の形状はほとんど変化しないが、遮光領域71の形状が大幅に変化するので、補正が必要となる。
これに対し、本発明の階調マスクの製造過程においては、1回目のパターニングの際にあらかじめ遮光膜のパターンを形成し、2回目のパターニングの際に半透明膜のみをエッチングするので、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域28(太線の枠外)が前後左右にずれた場合であっても、例えば図8(a)〜(c)に示すように遮光膜パターン3bの形状は変化せず、図8(d)〜(f)に示すように遮光領域11の形状も変化しない。また、2回目のパターニングの際に露光領域28の少なくとも一辺が遮光膜パターン3b上に配置されるように露光するので、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域28が前後左右にずれた場合であっても、例えば図8(d)〜(f)に示すように半透明領域12の形状が変化しにくい。なお、図8(a)〜(c)において遮光膜の一部は破線で示されており、図8(d)〜(f)において透明基板、遮光膜および半透明膜は省略され、遮光領域、半透明領域および透過領域が示されている。
例えば、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の右方向にシフトしても、図8(a)に示すように遮光膜パターン3bの形状は変化せず、図8(d)に示すように遮光領域11の形状も変化しない。また例えば、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の左方向にシフトしても、図8(b)に示すように遮光膜パターン3bの形状は変化せず、図8(e)に示すように遮光領域11の形状も変化しない。さらに例えば、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の上方向にシフトしても、図8(b)に示すように遮光膜パターン3bの形状は変化せず、図8(e)に示すように遮光領域11の形状も変化しない。図8(d)および(e)の場合、半透明領域12の形状はわずかに変化するが、図7(c)および(d)の場合と比較すると、大きな問題にはならないと考えられる。
したがって、本発明の階調マスクは、遮光膜のパターンおよび遮光領域の寸法精度が保証されたものであり、高精度なものであるという利点を有する。
また本発明においては、遮光膜および半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有しているので、エッチング選択比を向上させることができる。このため、本発明の階調マスクを製造する過程において、半透明膜をエッチングする際に、遮光膜がエッチングされるのを効果的に防ぐことができる。
以下、階調マスクの各構成について説明する。
1.遮光領域、半透明領域、および透過領域
本発明の階調マスクは、透過率が3段階で段階的に変化するものであり、遮光領域、半透明領域および透過領域を有している。
本発明における遮光領域は、透明基板上に遮光膜が設けられた領域であり、遮光膜のパターンによって確定される。図2に例示するように、遮光領域11では、透明基板2上に少なくとも遮光膜3が形成されていればよく、例えば透明基板2上に遮光膜3のみが形成されていてもよく、透明基板2上に遮光膜3および半透明膜4が形成されていてもよい。
また、本発明における半透明領域は、透明基板上に半透明膜のみが設けられた領域であり、半透明膜のパターンおよび遮光膜のパターンによって画定される。半透明領域では、透明基板上に半透明膜のみが形成されており、遮光膜は形成されていない。
さらに、本発明における透過領域は、透明基板上に遮光膜および半透明膜のいずれも設けられていない領域であり、半透明膜のパターンおよび遮光膜のパターンによって画定される。
遮光領域、半透明領域および透過領域の形状としては、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。遮光領域および半透明領域の形状としては、例えば矩形、円形、L字型、凸字型、凹字型など、種々の形状を挙げることができる。
本発明の階調マスクは、遮光領域および半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を有している。ここで、遮光領域および半透明領域が少なくとも一辺で接するとは、図9(a)に例示するように矩形の遮光領域11の一辺と矩形の半透明領域12の一辺とが接している場合だけでなく、図9(b)に例示するようにO字型の遮光領域11の内周と円形の半透明領域12の外周とが接している場合も含まれる。
遮光領域および半透明領域が複数の角を備える形状を有している場合には、中でも、遮光領域および半透明領域が二辺以上で接していることが好ましい。また、1種の遮光領域が複数種の半透明領域と接している、1種の半透明領域が複数種の遮光領域と接している、あるいは、複数種の半透明領域が複数種の遮光領域と接していることが好ましい。このような場合、従来の階調マスクの製造方法では2回目のパターニングの際にアライメントがずれると遮光領域の形状が変化することが多いが、本発明においては遮光領域の寸法精度が保証されるので有利である。
階調マスクには、遮光領域および半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分があればよく、半透明領域と接していない遮光領域が存在していてもよい。
また、遮光領域および半透明領域が接する境界部分の近傍にて、半透明膜のパターンの少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されている。ここで、遮光領域および半透明領域が接する境界部分の近傍にて、半透明膜のパターンの少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されているとは、半透明膜のパターンが、半透明領域よりも広い範囲であり、かつ、半透明領域とこの半透明領域に接している遮光領域とを合わせた領域よりも狭い範囲で形成されていることをいう。例えば図1および図9において、遮光領域11および半透明領域12が接する境界部分bの近傍にて、半透明膜4のパターンは、半透明領域12よりも広い範囲であり、かつ、半透明領域12と半透明領域12に接している2つの遮光領域11とを合わせた領域よりも狭い範囲で形成されている。
さらに、半透明膜のパターンの少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されているとは、図9(a)に例示するように矩形の半透明膜4のパターンの一辺が遮光膜3のパターン上に配置されている場合だけでなく、図9(b)に例示するように円形の半透明膜4のパターンの外周が遮光膜3のパターン上に配置されている場合も含まれる。
遮光膜パターンおよび半透明膜パターンが複数の角を備える形状を有している場合には、中でも、半透明膜パターンの二辺以上が遮光膜パターン上に配置されていることが好ましい。また、1種の半透明膜パターンの各辺が複数種の遮光膜パターン上に配置されている、あるいは、複数種の半透明膜パターンの各辺が複数種の遮光膜パターン上に配置されていることが好ましい。このような場合、従来の階調マスクの製造方法では2回目のパターニングの際にアライメントがずれると遮光領域の形状が変化することが多いが、上記の場合と同様に、本発明においては遮光領域の寸法精度が保証されるので有利である。
本発明の階調マスクの製造過程において、アライメントがずれない場合に得られる階調マスクを図3(e)、アライメントがずれた場合に得られる階調マスクを図8に示す。なお、図8(a)〜(c)において遮光膜の一部は破線で示されており、図8(d)〜(f)において透明基板、遮光膜および半透明膜は省略され、遮光領域、半透明領域および透過領域が示されている。
例えば図8(c)、(f)に示すように、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の上下方向にシフトしても、半透明領域12の形状は変化しない。一方、例えば図8(a)、(b)、(d)、(e)に示すように、図3(d)に示すような2回目のパターニングの際の露光領域が図の左右方向にシフトすると、半透明領域12の形状がわずかに変化する。
このように本発明においては、少なくとも一方向に対してアライメントずれによる寸法変化を保証することができる。特に、遮光膜パターンの線幅方向に対するアライメントに余裕をもたせることができる。
2.半透明膜
本発明に用いられる半透明膜は、透過率調整機能を有するものであり、後述する遮光膜とは異なる種類の金属を含有するものである。
半透明膜としては、透過率調整機能を有するものであり、遮光膜とは異なる種類の金属を含有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、半透明膜は、遮光膜に対してエッチング選択性を有していることが好ましい。これにより、図4(d)、(e)に例示するように、半透明膜4aのみを容易に選択的にエッチングすることができるからである。また、アライメントずれ、あるいは、半透明膜の成膜時におけるパーティクル(塵など)、あるいは、半透明膜のパターニング時における剥がれ、汚れ付着、パターニングむら等に起因して、半透明膜のパターンに不具合が生じたとしても、半透明膜が遮光膜に対してエッチング選択性を有していれば、半透明膜のみを除去することができるため、半透明膜のみを除去して、リサイクルすることが可能である。
このような半透明膜としては、例えばクロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、チタン、ケイ素、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、あるいは、これらの酸化物、窒化物、炭化物の膜などが挙げられる。
中でも、半透明膜としては、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系膜;ニッケルを主成分とするNi−Cu−TiおよびNi−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル合金系膜;コバルトを主成分とするCo−Cu−TiおよびCo−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のコバルト合金系膜;ニッケルおよびコバルトを主成分とするNi−Co−Cu−Ti、およびその酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル−コバルト合金系膜であることが好ましい。
ニッケル合金系膜、コバルト合金系膜、ニッケル−コバルト合金系膜では、主成分であるニッケルおよびコバルト以外の元素の含有量を調整することにより、エッチング速度を制御することができる。例えば、ニッケルおよびコバルト以外の元素の含有量が多くなると、エッチング速度が遅くなる。また、酸化窒化炭化物の膜では、炭素の含有量を調整することにより、エッチング速度を制御することができる。具体的には、炭素の含有量が多くなるにつれて、エッチング速度が遅くなる。
半透明膜および遮光膜の好ましい組み合わせとしては、例えば、半透明膜にニッケル合金系膜を用い、遮光膜にクロム系膜を用いた場合、あるいは、半透明膜にクロム系膜を用い、遮光膜にニッケル合金系膜を用いた場合などが挙げられる。この組み合わせの場合には、高いエッチング選択比を実現することができる。
また、半透明膜の波長250nm〜600nmにおける平均透過率は、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20%〜50%の範囲内である。平均透過率が上記範囲未満では、半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があり、また平均透過率が上記範囲を超えると、半透明領域と透過領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。
なお、平均透過率は、階調マスクに使用する透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明膜の透過率を測定した値を平均することにより算出することができる。装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD等)を用いることができる。
半透明膜の膜厚としては、透過率調整機能が発揮される膜厚であればよい。具体的には、半透明膜の膜厚は、半透明膜の種類によって異なるものであり、例えばクロム膜の場合は5〜50nm程度であることが好ましく、また酸化クロム膜の場合は5nm〜150nm程度であることが好ましく、さらにニッケル合金系膜、コバルト合金系膜の場合は20nm〜120nm程度であることが好ましい。
半透明膜の透過率はその膜厚により変わるので、膜厚を制御することで所望の透過率を得ることができる。また、半透明膜が酸素、窒素、炭素などを含む場合は、その透過率は組成により変わるので、膜厚と組成とを同時にコントロールすることで所望の透過率を実現できる。例えば、酸素の含有量が多くなるにつれて透過率が高くなり、同様に、窒素の含有量が多くなるにつれて透過率が高くなる。窒素は、酸素と比較すると透過率が高くなる効果が小さいので、透過率をより微妙に調整する場合には、窒素の含有量を調整するとよい。
また、半透明膜のパターンの形状は、上述したように遮光領域および半透明領域が接する境界部分の近傍にて、半透明膜のパターンの少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されるように調整され、かつ目的とする半透明領域の形状に応じて適宜選択される。
半透明膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。例えばスパッタリング法を用いて酸化窒化炭化クロム膜を成膜する場合は、Arガス等のキャリアガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスを反応装置内に導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて酸化窒化炭化クロム膜を成膜することができる。この際、酸化窒化炭化クロム膜の組成の制御は、Arガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスの流量の割合を制御することにより行うことができる。
3.遮光膜
本発明に用いられる遮光膜は、実質的に露光光を透過しないものであり、上記半透明膜とは異なる種類の金属を含有するものである。
遮光膜としては、一般にフォトマスクに用いられる遮光膜を用いることができる。遮光膜としては、例えばクロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、チタンなどの膜が挙げられる。また、遮光膜として、ニッケル合金、コバルト合金、ニッケル−コバルト合金、およびこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などの膜も用いることができる。
中でも、遮光膜としては、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系膜;ニッケルを主成分とするNi−Cu−TiおよびNi−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル合金系膜;コバルトを主成分とするCo−Cu−TiおよびCo−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のコバルト合金系膜;ニッケルおよびコバルトを主成分とするNi−Co−Cu−Ti、およびその酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル−コバルト合金系膜が好適に用いられる。上記クロム系膜は、単層であってもよく、2層以上が積層されたものであってもよい。
また、遮光膜の露光波長における平均透過率は0.1%以下であることが好ましい。なお、平均透過率の測定方法については、上記半透明膜の項に記載した方法と同様である。
遮光膜の膜厚としては、特に限定されるものではなく、遮光膜の種類によって異なるものであるが、例えばクロム膜の場合には50nm〜150nm程度であることが好ましい。
また、遮光膜のパターンの形状は、目的とする遮光領域の形状に応じて適宜選択される。
遮光膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
4.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。透明基板としては、例えばホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
5.階調マスク
本発明の階調マスクは、リソグラフィー法などのように、露光工程を経て製造される様々な製品の製造に用いることができる。中でも、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等の表示装置の製造、特に大型の表示装置の製造に用いることにより、本発明の効果を最大限に利用することができる。
本発明の階調マスクの用途としては、例えば薄膜トランジスタ(TFT)におけるドレイン電極およびチャンネルの同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサおよび配向制御用突起の同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサおよびオーバーコート層の同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおける高さの異なるスペーサの同時形成、半透過型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおける透過部用着色層および反射部用着色層の同時形成、有機EL表示装置または有機EL表示装置用カラーフィルタにおける白色パターン用オーバーコート層および赤色・緑色・青色パターン用オーバーコート層の同時形成などを挙げることができる。
また、階調マスクの大きさとしては、用途に応じて適宜調整されるが、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置の製造に用いられる場合には、300mm×400mm〜1,600mm×1,800mm程度とすることができる。
B.階調マスクの製造方法
次に、本発明の階調マスクの製造方法について説明する。
本発明の階調マスクの製造方法は、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有する階調マスクの製造方法であって、上記遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、上記遮光膜をエッチングして、上記遮光膜をパターニングする第1パターニング工程と、上記遮光膜および上記半透明膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、上記半透明膜のみをエッチングして、上記半透明膜のみをパターニングする第2パターニング工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の階調マスクの製造方法としては、遮光膜および半透明膜の積層順により、2つの態様に分けることができる。第1の態様では、透明基板上に遮光膜および半透明膜がこの順に積層され、第2の態様では、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層される。以下、各態様について説明する。
1.第1の態様
本発明の階調マスクの製造方法の第1の態様は、透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とがこの順に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有する階調マスクの製造方法であって、
上記透明基板上に上記遮光膜が成膜されたマスクブランクを用いて、上記遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、上記遮光膜をエッチングして、上記遮光膜をパターニングする第1パターニング工程と、
上記遮光膜のパターンが形成された透明基板の全面に上記半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程と、
上記遮光膜および上記半透明膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、上記半透明膜のみをエッチングして、上記半透明膜のみをパターニングする第2パターニング工程と
を有するものである。
図3および図4は、本態様の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。なお、図4は図3のB−B線断面図である。
まず、透明基板2上に遮光膜3aを成膜したマスクブランクを準備する。次いで、遮光膜3a上にポジ型レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜21を形成した後、パターン露光する(図3(a)および図4(a))。この際、得られる階調マスクにおける半透明領域および透過領域が露光領域24(太線の枠外)となるように、すなわち遮光領域では第1レジスト膜21が残存し、半透明領域および透過領域では第1レジスト膜21が除去されるように露光する。続いて、現像して、第1レジストパターンを形成し、第1レジストパターンより露出している遮光膜3aをエッチングし、残存している第1レジストパターンを除去し、遮光膜パターン3bを形成する(図3(b)および図4(b))。なお、図3(a)、(b)および図4(a)、(b)は第1パターニング工程である。
次いで、遮光膜パターン3bが形成された透明基板2の全面に、半透明膜4aを成膜する(図3(c)および図4(c)、半透明膜成膜工程)。
次に、半透明膜4a上にポジ型レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜25を形成した後、パターン露光する(図3(d)および図4(d))。この際、露光領域28(太線の枠外)の凹字型の開口部の六辺が遮光膜パターン3b上に配置されるように露光する、すなわち得られる階調マスクにおける半透明領域よりも広い範囲で第2レジスト膜25が残存するように露光する。続いて、現像して、第2レジストパターンを形成し、第2レジストパターンより露出している半透明膜4aをエッチングし、残存している第2レジストパターンを除去し、半透明膜パターン4bを形成する(図3(e)および図4(e))。なお、図3(d)、(e)および図4(d)、(e)は第2パターニング工程である。
本態様においては、第1パターニング工程にて遮光膜のみをパターニングし、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングし、遮光膜および半透明膜を別々にエッチングする。このため、得られる階調マスクにおける遮光領域は、第1パターニング工程にて形成された遮光膜パターンにより画定される。したがって、第2パターニング工程にてアライメントがずれたとしても、遮光膜のパターンおよび遮光領域の寸法精度が保証されるため、階調マスクを高精度に作製することが可能である。
また、本態様においては、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングするので、半透明膜のエッチング時に遮光膜がエッチングされないということができる。このため、第2パターニング工程後に半透明膜のみを除去することが可能である。したがって、第2パターニング工程にてアライメントがずれたり、半透明膜が剥がれたり、半透明膜に汚れが付着したり、パターニングにむらが生じたり、あるいは、半透明膜成膜工程にてパーティクルが発生したりしても、半透明膜のみを除去し、再度、半透明膜成膜工程および第2パターニング工程を行うことができる。すなわち、本態様においては、リサイクルが可能である。
さらに、後述する第2の態様においては、第1パターニング工程にて遮光膜のみをパターニングし、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングするので、遮光膜の半透明膜に対するエッチング選択比、および、半透明膜の遮光膜に対するエッチング選択比がとれることが求められる。これに対し、本態様においては、遮光膜の半透明膜に対するエッチング選択比がとれることまでは必要とされないので、第2の態様に比較して、簡便な工程で階調マスクを作製することができる。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
(1)第1パターニング工程
本態様における第1パターニング工程は、透明基板上に遮光膜が成膜されたマスクブランクを用いて、遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、遮光膜をエッチングして、遮光膜をパターニングする工程である。
透明基板上に遮光膜として例えばクロム膜が成膜されたマスクブランクは、一般的に使用されているマスクブランクであり、容易に入手可能である。
本態様に用いられるレジストとしては、ポジ型レジスト(光照射部分が溶解するもの)およびネガ型レジスト(光照射部分が固まるもの)のいずれも用いることができる。ポジ型レジストとしては特に限定されるものではなく、例えばノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジストとしては特に限定されるものではなく、例えば架橋型樹脂をベースとした化学増幅型レジスト、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型レジスト等が挙げられる。
遮光膜のパターン露光では、得られる階調マスクにおける遮光領域が形成されるように、すなわち遮光領域ではレジストが残存し、半透明領域および透過領域ではレジストが除去されるように露光する。この際、ポジ型レジストを用いた場合には、半透明領域および透過領域が露光領域となるように露光する。また、ネガ型レジストを用いた場合には、遮光領域が露光領域となるように露光する。
露光方法としては、例えばエネルギー線の露光量を制御する方法、一定の露光量で重ねて露光する方法等が挙げられる。描画方法としては、特に限定されるものではなく、通常のフォトマスク描画に用いられる電子線描画法、もしくはレーザー描画法等を用いることができる。電子線描画法を用いる場合は、露光量を容易に変換することができる。レーザー描画法を用いる場合は、露光量変換に時間がかかるため、露光量を変えずに重ねて露光してもよい。また、液晶表示装置や有機EL表示装置などの表示装置の大型化、製造時の多面付化に伴い、階調マスクも大型化しているため、表示装置用の階調マスクの作製には主にレーザー描画法が適用される。
この遮光膜のパターン露光の際に、第2パターニング工程におけるパターン露光時に使用するアライメントマークを、透明基板上の非転写領域に複数個描画することができる。
パターン露光後の現像は、一般的な現像方法に従って行うことができる。
遮光膜のエッチング方法としては、例えば硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液等によるウェットエッチング、塩素系ガス等によるドライエッチングのいずれも適用することができる。中でも、ウェットエッチングが好ましい。ウェットエッチングはコストや生産効率の点で有利である。また、ウェットエッチングは化学反応で溶解が進行するため、エッチャントを選択することによりエッチング速度を容易に制御できる点からも好ましい。遮光膜がクロム系膜である場合には、硝酸セリウム系ウェットエッチャントが好適に用いられる。
レジストの除去方法としては特に限定されるものではなく、通常、酸素プラズマ処理による灰化や、有機アルカリ液による洗浄によって行う。
また、本態様においては、第1パターニング工程後に、遮光膜パターンの検査を行う検査工程や、必要に応じて欠陥修正をする修正工程を行ってもよい。遮光膜がクロム膜である場合には、一般的なフォトマスクの検査技術、修正技術を適用することができる。遮光膜パターンの寸法検査、遮光膜パターンの欠陥検査の検査工程や、修正工程を行うことにより、次の工程に欠陥を有する基板が渡るのを防ぎ、良品率が高まり、マスクコスト低減に寄与する。
なお、透明基板および遮光膜については、上記「A.階調マスク」に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)半透明膜成膜工程
本態様における半透明膜成膜工程は、遮光膜のパターンが形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する工程である。
なお、半透明膜の成膜方法およびその他の点については、上記「A.階調マスク」に記載したので、ここでの説明は省略する。
(3)第2パターニング工程
本態様における第2パターニング工程は、遮光膜および半透明膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、半透明膜のみをエッチングして、半透明膜のみをパターニングする工程である。
半透明膜のパターン露光では、露光領域の少なくとも一辺が遮光膜パターン上に配置されるように露光する。ここで、露光領域の少なくとも一辺が遮光膜パターン上に配置されるように露光するとは、得られる階調マスクにおける半透明領域よりも広い範囲であり、かつ、半透明領域とこの半透明領域に接している遮光領域とを合わせた領域よりも狭い範囲でレジストが残存するように露光することをいう。例えば、ポジ型レジストを用いた場合には、未露光領域が、半透明領域よりも広い範囲であり、かつ、半透明領域とこの半透明領域に接している遮光領域とを合わせた領域よりも狭い範囲となるように露光する。また、ネガ型レジストを用いた場合には、露光領域が、半透明領域よりも広い範囲であり、かつ、半透明領域とこの半透明領域に接している遮光領域とを合わせた領域よりも狭い範囲となるように露光する。
さらに、露光領域の少なくとも一辺が遮光膜パターン上に配置されているとは、図9(a)に例示するように矩形の開口部を有する露光領域28(太線の枠外)の矩形の開口部の一辺が遮光膜3のパターン上に配置されている場合だけでなく、図9(b)に例示するように円形の開口部を有する露光領域28(太線の枠外)の円形の開口部の外周が遮光膜3のパターン上に配置されている場合も含まれる。
複数の角を備える形状を有する遮光膜パターンおよび半透明膜パターンを形成する場合には、中でも、露光領域の二辺以上が遮光膜パターン上に配置されるように露光することが好ましい。また、1種の露光領域の各辺が複数種の遮光膜パターン上に配置されている、あるいは、複数種の露光領域の各辺が複数種の遮光膜パターン上に配置されていることが好ましい。このような場合、従来の階調マスクの製造方法では2回目のパターニングの際にアライメントがずれると遮光領域の形状が変化することが多いが、本発明においては遮光領域の寸法精度が保証されるので有利である。
この半透明膜のパターン露光の際、第1パターニング工程にて描画したアライメントマークを検出し、アライメントを行うことができる。
なお、レジスト、露光方法、および現像方法については、上記第1パターニング工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、遮光膜および半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有しているので、遮光膜および半透明膜に含有される金属の種類によってエッチング速度が異なることを利用して、半透明膜のエッチング速度を遮光膜のエッチング速度より早くすることができる。これにより、半透明膜のみを選択的にエッチングすることができる。
半透明膜および遮光膜のエッチング速度は、エッチャントを適宜選択することにより容易に制御することができる。例えば、半透明膜がニッケル合金系膜であり、遮光膜がクロム系膜である場合は、エッチャントとしては、塩化鉄(III)溶液、硝酸・酢酸・アセトンの混合液、リン酸・酢酸・硝酸の混合液、リン酸・酢酸・硝酸・水・の混合液が好適に用いられる。硝酸・酢酸・アセトンの混合液での各成分の体積比は、硝酸:酢酸:アセトン=1:1:1が好ましい。リン酸・酢酸・硝酸の混合液での各成分の体積比は、リン酸:酢酸:硝酸=250:20:3が好ましい。リン酸・酢酸・硝酸・水・の混合液での各成分の体積比は、リン酸:酢酸:硝酸:水=16:1:2:1が好ましい。また例えば、半透明膜がコバルト合金系膜であり、遮光膜がクロム系膜である場合は、エッチャントとしては、水酸化ナトリウムと過酸化水素との混合液、過酸化水素が好適に用いられる。なお、水酸化ナトリウムと過酸化水素との混合液については、特開2000−71103公報を参考にすることができる。
また、エッチング選択比を向上させる手段としては、遮光膜にフッ素イオンを注入し、エッチング速度の差をさらに広げる方法や、エッチング技術(エッチング装置、エッチャントなど)を変える方法も用いることができる。なお、フッ素イオンの注入については、特開2005−91855公報を参考にすることができる。
なお、エッチングのその他の点およびレジストの除去方法については、上記第1パターニング工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、第2パターニング工程後に、遮光膜パターンおよび半透明膜パターンの検査を行う検査工程を行ってもよい。本態様においては、遮光膜のパターンの寸法精度が保証されているが、検査工程を行うことにより、良品率をさらに高めることができる。
また、検査工程にて、半透明膜パターンの寸法に不具合があったり、半透明膜パターンの欠陥があったりした場合には、この検査工程後に、半透明膜を除去する半透明膜除去工程を行ってもよい。上述したように、本態様においてはリサイクルが可能であるので、半透明膜工程後に、再度、上記の半透明膜成膜工程および第2パターニング工程を行うことにより、階調マスクを再生することができる。これにより、良品率を高めることができ、マスクコストを低減することが可能となる。
2.第2の態様
本発明の階調マスクの製造方法の第2の態様は、透明基板上に透過率調整機能を有する半透明膜と遮光膜とがこの順に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記遮光領域および上記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、上記遮光膜および上記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有する階調マスクの製造方法であって、
上記透明基板上に上記半透明膜および上記遮光膜がこの順に成膜されたマスクブランクを用いて、上記遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、上記遮光膜のみをエッチングして、上記遮光膜のみをパターニングする第1パターニング工程と、
上記半透明膜および上記遮光膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が上記遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、上記半透明膜のみをエッチングして、上記半透明膜のみをパターニングする第2パターニング工程と
を有するものである。
図10および図11は、本態様の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。なお、図11は図10のD−D線断面図である。
まず、透明基板2上に半透明膜4aおよび遮光膜3aがこの順に成膜されたマスクブランクを準備する。次いで、遮光膜3a上にポジ型レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜21を形成した後、パターン露光する(図10(a)および図11(a))。この際、得られる階調マスクにおける半透明領域および透過領域が露光領域24(太線の枠外)となるように、すなわち遮光領域では第1レジスト膜21が残存し、半透明領域および透過領域では第1レジスト膜21が除去されるように露光する。続いて、現像して、第1レジストパターンを形成し、第1レジストパターンより露出している遮光膜3aをエッチングし、残存している第1レジストパターンを除去し、遮光膜パターン3bを形成する(図10(b)および図11(b))。なお、図10(a)、(b)および図11(a)、(b)は第1パターニング工程である。
次に、半透明膜4aおよび遮光膜パターン3b上にポジ型レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜25を形成した後、パターン露光する(図10(c)および図11(c))。この際、露光領域28(太線の枠外)の凹字型の開口部の六辺が遮光膜パターン3b上に配置されるように露光する、すなわち得られる階調マスクにおける半透明領域よりも広い範囲で第2レジスト膜25が残存するように露光する。続いて、現像して、第2レジストパターンを形成し、第2レジストパターンより露出している半透明膜4aをエッチングし、残存している第2レジストパターンを除去し、半透明膜パターン4bを形成する(図10(d)および図11(d))。なお、図10(c)、(d)および図11(c)、(d)は第2パターニング工程である。
本態様においては、第1パターニング工程にて遮光膜のみをパターニングし、第2パターニング工程にて半透明膜のみをパターニングし、遮光膜および半透明膜を別々にエッチングする。このため、得られる階調マスクにおける遮光領域は、第1パターニング工程にて形成された遮光膜パターンにより画定される。したがって、第2パターニング工程にてアライメントがずれたとしても、遮光膜のパターンおよび遮光領域の寸法精度が保証されるため、階調マスクを高精度に作製することが可能である。
また、本態様においては、上記第1の態様のように第1パターニング工程および第2パターニング工程の間に半透明膜成膜工程を行う必要がない、すなわち階調マスクの製造工程の途中で半透明膜成膜工程を行う必要がない。このため、半透明膜の成膜時のリスク(欠陥や汚れなど)を低減することができる。また、TAT(Turn Around Time)の短縮化が可能である。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
(1)第1パターニング工程
本態様における第1パターニング工程は、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に成膜されたマスクブランクを用いて、遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、遮光膜のみをエッチングして、遮光膜のみをパターニングする工程である。
マスクブランクは、上記「A.階調マスク」に記載した透明基板、半透明膜、および遮光膜を用いて作製することができる。
遮光膜のパターン露光では、得られる階調マスクにおける遮光領域が形成されるように露光する。この際、ポジ型レジストを用いた場合には、半透明領域および透過領域が露光領域となるように、すなわち遮光領域ではレジストが残存し、半透明領域および透過領域ではレジストが除去されるように露光する。また、ネガ型レジストを用いた場合には、遮光領域が露光領域となるように、すなわち遮光領域ではレジストが残存し、半透明領域および透過領域ではレジストが除去されるように露光する。
なお、レジスト、露光方法、および現像方法については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、遮光膜および半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有しているので、遮光膜および半透明膜に含有される金属の種類によってエッチング速度が異なることを利用して、半透明膜のエッチング速度を遮光膜のエッチング速度より早くすることができる。これにより、半透明膜のみを選択的にエッチングすることができる。
半透明膜および遮光膜のエッチング速度は、エッチャントを適宜選択することにより容易に制御することができる。
なお、エッチングのその他の点およびレジストの除去方法については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、第1パターニング工程後に、遮光膜パターンの検査を行う検査工程や、必要に応じて欠陥修正をする修正工程を行ってもよい。
(2)第2パターニング工程
本態様における第2パターニング工程は、半透明膜および遮光膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、半透明膜のみをエッチングして、半透明膜のみをパターニングする工程である。
なお、第2パターニング工程については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例]
(階調マスクの作製)
光学研磨された520mm×800mmの合成石英基板上にCr膜およびCrO膜がこの順に積層されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜パターンを描画した。次に、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。次に、遮光膜用レジストパターンをエッチング用マスクとし、Cr/CrO膜をエッチングし、さらに残った遮光膜用レジストパターンを剥離することで、所望の遮光膜パターンを得た。Cr/CrO膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系エッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。また、遮光膜用レジストパターンの剥離には、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)を用いた。
次いで、遮光膜パターンが形成された基板上に、Ni、CuおよびTiをターゲットとして、アルゴン、酸素および窒素(ガス流量比 アルゴン:酸素:窒素=2:1:1)を用いたマグネトロンスパッタリング装置により、Niを主成分としたNi−Cu−Ti酸化膜を成膜した。このNi−Cu−Ti酸化膜の膜厚は40nmとした。Ni−Cu−Ti酸化膜の透過率スペクトルを図12に示す。Ni−Cu−Ti酸化膜の365nmでの透過率は46%であった。
次に、Ni−Cu−Ti酸化膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の半透明膜パターンを描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、半透明膜用レジストパターンを得た。次に、半透明膜用レジストパターンをエッチング用マスクとして、Ni−Cu−Ti酸化膜をエッチングした。エッチングには、硝酸・酢酸・アセトンのエッチャント(硝酸:酢酸:アセトン=1:1:1)を用いた。さらに、残った半透明膜用レジストパターンを剥離することで、所望の半透明膜パターンを得た。半透明膜用レジストパターンの剥離には、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)を用いた。
このようにして、図13(a)に示すような、遮光領域11、半透明領域12および透過領域13を有する階調マスクを作製した。このとき、図13(a)に示す遮光膜3のパターンの線幅設計値を10μmとした。また、図13(a)に示す遮光領域11および半透明領域12を、図13(b)に示すように階調マスク1の周辺部に12箇所に設けた。なお、図13(a)において、半透明膜は省略されている。
[比較例]
(階調マスクの作製)
光学研磨された520mm×800mmの合成石英基板上にCr膜およびCrO膜がこの順に積層されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜パターンを描画した。次に、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。次に、遮光膜用レジストパターンをエッチング用マスクとし、Cr/CrO膜をエッチングし、さらに残った遮光膜用レジストパターンを剥離することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。Cr/CrO膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系エッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。また、遮光膜用レジストパターンの剥離には、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)を用いた。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板上に、スパッタリング法により、CrO膜を成膜した。このCrO膜の膜厚は50nmとした。CrO膜の365nmでの透過率は45%であった。
次に、CrO膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望のパターンを描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、CrO膜をエッチングし、さらにその下のCr/CrO膜をエッチングした。エッチングには、市販の硝酸セリウム系エッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。さらに、残ったレジストパターンを剥離することで、所望の半透明膜パターンおよび遮光膜パターンを得た。レジストパターンの剥離には、専用のデベロッパー(東京応化社製 NMD3)を用いた。
このようにして、図13(a)に示すような、遮光領域11、半透明領域12および透過領域13を有する階調マスクを作製した。このとき、図13(a)に示す遮光膜3のパターンの線幅設計値を10μmとした。また、図13(a)に示す遮光領域11および半透明領域12を、図13(b)に示すように階調マスク1の周辺部に12箇所に設けた。なお、図13(a)において、半透明膜は省略されている。
[評価]
実施例および比較例の階調マスクについて、アライメントずれを調査するため、図13(a)に示す遮光膜3のパターンの線幅x1、x2、y1、y2を測定した。このとき、図13(b)に示す12箇所それぞれについて、遮光膜のパターンの線幅x1、x2、y1、y2を測定した。測定には、マーキュリー5000(Vテクノロジー社製)を用いた。結果を下記表1に示す。また、実施例および比較例の階調マスクの写真を図14(a)、(b)にそれぞれ示す。
表1において、比較例にて、(x1−x2)/2の平均値が0.69μmであり、(y1−y2)/2の平均値が0.34μmであったというのは、図15に示すように、1回目の描画の中心位置p1と2回目の描画の中心位置p2とが、x方向に0.69μm、y方向に0.34μmだけずれてしまったことを意味する。なお、図15において、半透明膜は省略されている。
表1および図14(b)から、比較例では、アライメントがずれたため、仕上がりの遮光膜のパターンの線幅が線幅設計値(10μm)から変わってしまった。これに対し、表1および図14(a)から、実施例では、比較例と同じ程度(x方向に約0.7μm、y方向に約0.35μm)のアライメントずれが生じたが、仕上がりの遮光膜のパターンの寸法には、アライメントずれによる影響がなく、寸法精度のよい階調マスクが得られた。
なお、実施例にて、仕上がりの遮光膜のパターンの線幅が線幅設計値と完全に一致しないのは、描画装置そのものの精度によるものである。
本発明の階調マスクの一例を示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 図3のB−B線断面図である。 従来の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 図5のC−C線断面図である。 従来の階調マスクの一例を示す平面図である。 本発明の階調マスクの他の例を示す平面図である。 本発明の階調マスクの他の例を示す平面図である。 本発明の階調マスクの製造方法の他の例を示す工程図である。 図10のD−D線断面図である。 実施例における半透明膜の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例および比較例の階調マスクを説明するための図である。 実施例および比較例の階調マスクの写真である。 比較例の階調マスクを説明するための図である。
符号の説明
1 … 階調マスク
2 … 透明基板
3、3a … 遮光膜
3b … 遮光膜パターン
4、4a … 半透明膜
4b … 半透明膜パターン
11 … 遮光領域
12 … 半透明領域
13 … 透過領域
b … 遮光領域および半透明領域が接する境界部分

Claims (5)

  1. 透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とがこの順に積層され、前記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域と、前記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、前記透明基板上に前記遮光膜および前記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有する階調マスクであって、前記遮光領域および前記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、前記境界部分の近傍にて、前記半透明膜のパターンの少なくとも一辺が前記遮光膜のパターン上に配置されており、前記遮光膜および前記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有することを特徴とする階調マスク。
  2. 前記半透明膜が前記遮光膜に対してエッチング選択性を有することを特徴とする請求項1に記載の階調マスク。
  3. 透明基板上に遮光膜と透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、前記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域と、前記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、前記透明基板上に前記遮光膜および前記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、前記遮光領域および前記半透明領域が少なくとも一辺で接する境界部分を少なくとも有し、前記遮光膜および前記半透明膜が互いに異なる種類の金属を含有する階調マスクの製造方法であって、
    前記遮光膜上にレジストを塗布し、露光し、前記遮光膜をエッチングして、前記遮光膜をパターニングする第1パターニング工程と、
    前記遮光膜および前記半透明膜上にレジストを塗布し、露光領域の少なくとも一辺が前記遮光膜のパターン上に配置されるように露光し、前記半透明膜のみをエッチングして、前記半透明膜のみをパターニングする第2パターニング工程と
    を有することを特徴とする階調マスクの製造方法。
  4. 前記第1パターニング工程は、前記透明基板上に前記遮光膜が成膜されたマスクブランクを用いて、前記遮光膜をパターニングする工程であり、前記第1パターニング工程と前記第2パターニング工程との間に、前記遮光膜のパターンが形成された透明基板の全面に前記半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程が行われることを特徴とする請求項3に記載の階調マスクの製造方法。
  5. 前記第1パターニング工程は、前記透明基板上に前記半透明膜および前記遮光膜がこの順に成膜されたマスクブランクを用いて、前記遮光膜のみをパターニングする工程であることを特徴とする請求項3に記載の階調マスクの製造方法。
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