JP2007264291A - 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007264291A
JP2007264291A JP2006089031A JP2006089031A JP2007264291A JP 2007264291 A JP2007264291 A JP 2007264291A JP 2006089031 A JP2006089031 A JP 2006089031A JP 2006089031 A JP2006089031 A JP 2006089031A JP 2007264291 A JP2007264291 A JP 2007264291A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkyl
carbon atoms
group
phenyl
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006089031A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Okamoto
康裕 岡本
Hiroyuki Yoneyama
博之 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006089031A priority Critical patent/JP2007264291A/ja
Publication of JP2007264291A publication Critical patent/JP2007264291A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】十分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性、下層および支持体(基材)との密着性をより向上した反射防止フィルムの提供。また、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置の提供。
【解決手段】支持体1上に反射防止層を有する反射防止フィルムであって、前記支持体上に積層された層の少なくとも一層が、特定の構造を有する少なくとも1種の光重合開始剤A、前記光重合開始剤A以外の少なくとも1種の光重合開始剤B、及び電離放射線硬化性化合物を含有する組成物を電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイの最表面に配置される。
反射防止フィルムは、一般に支持体上に、該支持体より低屈折率の、適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料の使用が望まれる。また反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、エチレン性不飽和基を有するモノマーバインダーポリマー中にフッ素原子を導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるが、いずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。
例えば、低酸素濃度で光硬化樹脂を硬化させることで硬度があがることが記載されている(特許文献1)。しかし反射防止フィルムをウェッブで効率よく製造するためには、窒素置換により低酸素濃度とするには限界があり、満足する硬度を得ることが困難である。
また、熱ロール表面に巻きつけて電離放射線を照射する方法が記載されている(特許文献2)。しかし、低屈折率層のような薄膜が硬化するには不十分であった。
さらに、コーティングの表面に集中できる光重合開始剤を含んだ組成物の利用により、耐引っ掻き性が向上することが記載されている(特許文献3)。
しかし、この組成物を反射防止フィルムの低屈折率層用塗布組成物として用いた場合、該光重合開始剤が表面に集中するために、下層との密着が十分でないことが予期される。
特開2002−156508号公報 特公平7−51641号公報 特表2004−522819号公報
本発明の目的は、十分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性、下層および支持体(基材)との密着性をより向上した反射防止フィルムの提供にある。また、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置の提供にある。
本発明者は、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
(1) 支持体上に反射防止層を有する反射防止フィルムであって、前記支持体上に積層された層の少なくとも一層が、下記式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で表される少なくとも1種の光重合開始剤A、前記式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)以外の少なくとも1種の光重合開始剤B、及び電離放射線硬化性化合物を含有する組成物を電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする反射防止フィルム。
Figure 2007264291
〔式(1a)および(1b)中、R及びR1は、互いに独立して、下記式(II):
Figure 2007264291
(式(II)において、
R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11若しくは−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができる)の基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、または複素環基であり、
但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1は、ナフチル、アントラシル、フェナントリル又は複素環基であり、基ナフチル、アントラシル、フェナントリル及び複素環は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらに炭素数1〜8のアルキル、フェニル、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15および−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15から選ばれる少なくとも一種で置換されることができるが、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、ナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の更なる置換基と一緒になって、又はナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;
式(Ic)において、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;
或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができるが、
但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
式(Id)において、
R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;
R10は、炭素数1〜8のアルキルであるか、非置換であるか又はA−X−、炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであるが;
但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
R11は、炭素数1〜8のアルキルであるか、非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり;
R12及びR13は、互いに独立して水素;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、フェノキシ及び/若しくは−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキルであるか;1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、フェニル、炭素数3〜6のアルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はナフチルであり、これらの基は、非置換であるか又は炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル及び/若しくは炭素数1〜4のアルキルで置換され;
R14及びR15は、互いに独立して、水素;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ及び/若しくはフェニルで置換されている炭素数1〜12のアルキル;1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;フェニル、−(CO)R11又はSOR16であるか;或いはR14及びR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−又は−NR17−により中断されている5、6又は7員環を形成し;
R16は、炭素数1〜12のアルキル、非置換のフェニル又は炭素数1〜4のアルキルで置換されているフェニルであり;
R17は、水素、非置換であるか又は−OH若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されている炭素数1〜8のアルキル;或いは非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルキル若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり;
A及びA1は、互いに独立して、式(III)
Figure 2007264291
(式中、単位(IIIa1)、(IIIa2)、(IIIa3)、(IIIa4)、(IIIb)及び/又は(IIIc)
Figure 2007264291
は、ランダムに又はブロックで分布し、式中の円は、上記で定義された式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の芳香族基が、適切なシリル基により架橋Xを介して置換されていることを表すことが意図される)の界面活性基であるか;
或いはA及びA1は、互いに独立して、界面活性基A0であり;
nは1〜1000の数であり、但し、シロキサン出発材料がオリゴマーシロキサンの混合物である場合、nは、また、1未満であるが0を超えることができ;
mは0〜100の数であり;
pは0〜10000の数であり;
A0は、炭素数6〜30のアルキル、炭素数6〜30のアルケニル、炭素数6〜30のアルキニル、炭素数6〜30のアラルキル、炭素数6〜30のアルキル−(CO)−、炭素数6〜30のアルケニル−(CO)−、炭素数6〜30のアルキニル−(CO)−、炭素数6〜30のアラルキル−(CO)−、炭素数6〜30のアルキル−Si(R18)(R19)−、炭素数6〜30のアルケニル−Si(R18)(R19)−又は炭素数6〜30のアルキニル−Si(R18)(R19)−であり、ここでこれらは、それぞれ非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、SR13、NR14R15及び/若しくは−O(CO)R11で置換され、場合により−O−、−S−又は−NR17−の1以上によって中断され;
G1は、炭素数1〜18のアルキル又は下記式
Figure 2007264291
の基であり;
G2は、炭素数1〜18のアルキル又は下記式
Figure 2007264291
の基であるか;
或いはG1及びG2は共に単結合であり;
R18、R19、R20、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル、フェニル、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル、炭素数2〜6のアミノアルキル又は炭素数5〜8のシクロアルキルであり;
R21は、非置換の炭素数1〜18のアルキル、又はヒドロキシ、炭素数1〜12のアルコキシ、ハロゲン、炭素数3〜8のシクロアルキル及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されている炭素数1〜18のアルキルであるか;或いはR21は、非置換のフェニル、又は炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されているフェニルであるか;或いはR21は、炭素数5〜8のシクロアルキルであり;
X及びX1は、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、単結合、−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、−U−炭素数6〜12のビシクロアルキレン)、1以上の不連続な(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、炭素数6〜12のビシクロアルキレン若しくは−U−(炭素数6〜12のビシクロアルキレン)により中断されている−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、1以上の不連続O及び炭素数3〜12のシクロアルキレン、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、炭素数6〜12のビシクロアルキレン及び/若しくは−U−(炭素数6〜12のビシクロアルキレン)により中断されている−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、
Figure 2007264291
−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、−(CH−O−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、炭素数2〜10のアルケニレン、炭素数2〜10のアルキニレン、−(CH−O−、−O−(CH−、−O−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH−、(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−、−(CH−NR17−、−(CH−O−(CH−NR17−(CH−、−(CH−O−(CH−NR17−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−O−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−O−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−NR17−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−NR17−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−NR17−(CH−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−NR17−(CH−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−NR17−又は−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−NR17−であり;
X及びX1は、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−であり;
−U−は、−COO−、−(CH−COO−、−Si−又は(CH−Si−であり;
a、b及びcは、互いに独立して、0〜10の数であるが、但し、当該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、これらは少なくとも1である〕。
(2)前記式(Ia)および(Ib)において、R及びR1が、互いに独立して、式(II):(式(II)において、R2、R3、R4、R5及びR6が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルである)の基またはナフチル基であり、
但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1が、ナフチル基であり、該ナフチル基は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらに炭素数1〜8のアルキル及び/若しくはOR12で置換されることができ;
式(Ic)において、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであるが、但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
式(Id)において、R2、R3、R4及びR5が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであり;R10が、炭素数1〜8のアルキル、又は非置換であるか若しくはA−X−で置換されているフェニルであるが;但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
R12が、水素若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキルであるか;又は、1以上の不連続酸素原子で中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、フェニル、炭素数3〜6のアルケニル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルであり;
R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27が、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル又はフェニルであり;
X及びX1が、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、炭素数1〜10のアルキレン、−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH、−(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−又は−(CH−NR17−であり;
X及びX1が、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−であることを特徴とする上記(1)の反射防止フィルム。
(3)前記式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の化合物において、A及びA1が前記式(III)の基であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の反射防止フィルム。
(4)前記電離放射線硬化性化合物が、二個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5)前記電離放射線硬化性化合物が、含フッ素ポリマーであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(6)前記含フッ素ポリマーが、下記一般式1で表されるであることを特徴とする上記(5)に記載の反射防止フィルム。
Figure 2007264291
〔一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。また、シリコーン部位を含んでいても良い。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。〕
(7)前記組成物が、無機粒子を含有していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(8)前記無機粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする上記(7)に記載の反射防止フィルム。
(9)前記無機粒子が、中空構造を有し、屈折率が1.15〜1.40の範囲であることを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の反射防止フィルム。
(10)前記組成物が、更にオルガノシラン化合物、該オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(11)前記組成物がポリシロキサン化合物を含有していることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(12)一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一つが上記(1)〜(11)のいずれかに記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
(13)上記(1)〜(11)に記載の反射防止フィルム、又は上記(12)に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、低反射率でありながら耐擦傷性が向上した反射防止フィルムが得られる。また、本発明の反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込み及び背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高いだけでなく、従来のものに比較してより耐擦傷性に優れている。さらに、本発明の反射防止フィルムは、下層および支持体(基材)との密着性にも優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
また、本明細書において、炭素数を表す場合に、「C(数値1)−C(数値2)」という記載は「炭素数が、(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表わす。
1.反射防止フィルムの層構成
本発明の反射防止フィルムについては、支持体上に、下記のような反射防止層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/(防眩性)ハードコート層
b.支持体/(防眩性)ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/(防眩性)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/(防眩性)ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
b(図1)のように、支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、低屈折率層(5)を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層(5)はハードコート層(2)の上に低屈折率層(5)を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、高屈折率層(4)、低屈折率層(5)を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように支持体(1)、ハードコート層(2)、中屈折率層(3)、高屈折率層(4)、そして低屈折率層(5)の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
aないしdの構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子(6)の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子(6)の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また支持体とそれよりも表面側の層の間あるいは最表面に設けても良い層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層ないし防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
2.本発明の反射防止フィルムの構成成分
まず、本発明の構成成分について説明する。
2−(1)光重合開始剤
本発明の反射防止フィルムは、該フィルムの支持体上に積層される層の少なくとも一層を、式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で表される光重合開始剤A及び前記式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)以外の少なくとも1種の光重合開始剤Bを含有する組成物を硬化させることで得る。
まず、式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で表される光重合開始剤Aについて説明する。
Figure 2007264291
〔式(1a)および(1b)中、R及びR1は、互いに独立して、下記式(II):
Figure 2007264291
(式(II)において、
R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11若しくは−O(CO)R11で置換されているC1−C12アルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−O−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又はC1−C4アルキル及び/若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであり、置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができる)の基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、または複素環基であり、
但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1は、ナフチル、アントラシル、フェナントリル又は複素環基であり基ナフチル、アントラシル、フェナントリル及び複素環は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらにC1〜C8のアルキル、フェニル、OR12、SR13、NR14R15、−(C1〜C6のアルキル)−NR14R15および−O−(C1〜C6のアルキル)−NR14R15から選ばれる少なくとも一種で置換されることができるが、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、ナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の更なる置換基と一緒になって、又はナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;
式(Ic)において、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されているC1−C12アルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;
或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−O−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又はC1−C4アルキル及び/若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができるが、
但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
式(Id)において、
R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されているC1−C12アルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−O−(C1−C6アルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又はC1−C4アルキル及び/若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;R10は、C1−C8アルキルであるか、非置換であるか又はA−X−、C1−C4アルキル及び/若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであるが;
但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
R11は、C1−C8アルキルであるか、非置換であるか又はC1−C4アルキル及び/若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであり;
R12及びR13は、互いに独立して水素;非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ、フェニル、フェノキシ及び/若しくは−O(CO)R11で置換されているC1−C12アルキルであるか;1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或いは、フェニル、C3−C6アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はナフチルであり、これらの基は、非置換であるか又はC1−C4アルコキシ、フェニル及び/若しくはC1−C4アルキルで置換され;
R14及びR15は、互いに独立して、水素;非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ及び/若しくはフェニルで置換されているC1−C12アルキル;1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;フェニル、−(CO)R11又はSOR16であるか;或いはR14及びR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−又は−NR17−により中断されている5、6又は7員環を形成し;
R16は、C1−C12アルキル、非置換のフェニル又はC1−C4アルキルで置換されているフェニルであり;
R17は、水素、非置換であるか又は−OH若しくはC1−C4アルコキシで置換されているC1−C8アルキル;或いは非置換であるか又は−OH、C1−C4アルキル若しくはC1−C4アルコキシで置換されているフェニルであり;
A及びA1は、互いに独立して、式(III)
Figure 2007264291
(式中、単位(IIIa1)、(IIIa2)、(IIIa3)、(IIIa4)、(IIIb)及び/又は(IIIc)
Figure 2007264291
は、ランダムに又はブロックで分布し、式中の円は、上記で定義された式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の芳香族基が、適切なシリル基により架橋Xを介して置換されていることを表すことが意図される)の界面活性基であるか;
或いはA及びA1は、互いに独立して、界面活性基A0であり;
nは1〜1000の数であり、但し、シロキサン出発材料がオリゴマーシロキサンの混合物である場合、nは、また、1未満であるが0を超えることができ;
mは0〜100の数であり;
pは0〜10000の数であり;
A0は、C6−C30アルキル、C6−C30アルケニル、C6−C30アルキニル、C6−C30アラルキル、C6−C30アルキル−(CO)−、C6−C30アルケニル−(CO)−、C6−C30アルキニル−(CO)−、C6−C30アラルキル−(CO)−、C6−C30アルキル−Si(R18)(R19)−、C6−C30アルケニル−Si(R18)(R19)−又はC6−C30アルキニル−Si(R18)(R19)−であり、ここでこれらは、それぞれ非置換であるか又は−OH、C1−C4アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、SR13、NR14R15及び/若しくは−O(CO)R11で置換され、場合により−O−、−S−又は−NR17−の1以上によって中断され;
G1は、C1−C18アルキル又は下記式
Figure 2007264291
の基であり;
G2は、C1−C18アルキル又は下記式
Figure 2007264291
の基であるか;
或いはG1及びG2は共に単結合であり;
R18、R19、R20、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、互いに独立して、C1−C18アルキル、フェニル、C2−C6ヒドロキシアルキル、C2−C6アミノアルキル又はC5−C8シクロアルキルであり;
R21は、非置換のC1−C18アルキル、又はヒドロキシ、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、C3−C8シクロアルキル及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されているC1−C18アルキルであるか;或いはR21は、非置換のフェニル、又はC1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されているフェニルであるか;或いはR21は、C5−C8シクロアルキルであり;
X及びX1は、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、単結合、−U−(C1−C10アルキレン)、−U−(C3−C12シクロアルキレン)、−U−(C6−C12ビシクロアルキレン)、1以上の不連続な(C3−C12シクロアルキレン)、−U−(C3−C12シクロアルキレン)、C6−C12ビシクロアルキレン若しくは−U−(C6−C12ビシクロアルキレン)により中断されている−U−(C1−C10アルキレン)、1以上の不連続O及びC3−C12シクロアルキレン、−U−(C3−C12シクロアルキレン)、C6−C12ビシクロアルキレン及び/若しくは−U−(C6−C12ビシクロアルキレン)により中断されている−U−(C1−C10アルキレン)、
Figure 2007264291
−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、−(CH−O−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、C2−C10アルケニレン、C2−C10アルキニレン、−(CH−O−、−O−(CH−、−O−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH−、(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−、−(CH−NR17−、−(CH−O−(CH−NR17−(CH−、−(CH−O−(CH−NR17−、−(C2−C10アルケニレン)−O−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−、−(C2−C10アルキニレン)−O−(CH−、−(C2−C10アルキニレン)−O−、−(C2−C10アルケニレン)−O−(CH−O−、−(C2−C10アルキニレン)−O−(CH−O−、−(C2−C10アルケニレン)−NR17−、−(C2−C10アルキニレン)−NR17−、−(C2−C10アルケニレン)−NR17−(CH−、−(C2−C10アルキニレン)−NR17−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−(CH−NR17−又は−(C2−C10アルキニレン)−O−(CH−NR17−であり;
X及びX1は、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−であり;
−U−は、−COO−、−(CH−COO−、−Si−又は(CH−Si−であり;
a、b及びcは、互いに独立して、0〜10の数であるが、但し、当該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、これらは少なくとも1である〕。
尚、式(1a)〜(1d)の説明において、
C1−C18アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えば、C1−C12−、C1−C8−、C1−C6−又はC1−C4アルキルである。例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル及びオクタデシルが含まれる。C1−C12アルキル、C1−C8アルキル及びC1−C4アルキルは、炭素原子の対応する数まで、上記で示された意味と同一の意味を有する。C6−C30アルキルも、同様に直鎖状及び分岐鎖状であり、例えば、C6−C24−、C6−C12−、C10−C30−、C10−C24−、C12−C30アルキルである。例には、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル及びトリアコンチルが含まれる。
1以上の酸素原子により中断されているC2−C12アルキルは、例えば、−O−により1〜9回、例えば1〜7回又は1若しくは2回中断されている。基が複数の酸素原子により中断されている場合、酸素原子は、それぞれの場合、少なくとも1個のメチレン基により互いに分けられて、例えば、−CH−O−CH、−CHCH−O−CHCH、−〔CHCHO〕y−CH(ここで、y=1〜9)、−(CHCHO)7CHCH、−CH−CH(CH)−O−CH−CHCH又は−CH−CH(CH)−O−CHCHのような構造単位となる。
C2−C6ヒドロキシアルキルは、−OHで置換されているC2−C6アルキルである。アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であり、(炭素原子の対応する数まで)上記で示された意味を有することができる。
C2−C6アミノアルキルは、NHで置換されているC2−C6アルキルである。アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であり、(炭素原子の対応する数まで)上記で示された意味を有することができる。−(C1−C6アルキル)−NR14R15は、基NR14R15で置換されているC1−C6アルキルを表す。−O−(C1−C6アルキル)−NR14R15は、基NR14R15で置換されているC1−C6アルコキシを表す。対応するアルキル及びアルコキシ基の定義は、上記および下記に示されている。
C1−C12アルコキシは、直鎖状又は分岐鎖状基を表し、例えば、C1−C10−、C1−C8−、C1−C6−又はC1−C4アルコキシである。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ及びドデシルオキシ、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、好ましくはメトキシが含まれる。C1−C4アルコキシも、同様に直鎖状又は分岐鎖状であり、例えば、炭素原子の対応する数まで、上記で示された意味を有する。
C3−C8シクロアルキルは、少なくとも1個の環を含む直鎖状又は分岐鎖状アルキルであり、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチル−若しくはジメチル−シクロヘキシル又はシクロオクチルであり、特にシクロペンチル又はシクロヘキシルである。C5−C8シクロアルキルは、炭素原子の対応する数まで、上記で示された意味を有する。
C3−C6アルケニルは、モノ不飽和又はポリ不飽和でもよく、また直鎖状又は分岐鎖状でもよく、例えば、C3−C4アルケニルである。例には、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、1−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ペンタジエニル及び1−ヘキセニル、特にアリルが含まれる。
C6−C30アルケニルも、同様に直鎖状又は分岐鎖状、そしてモノ不飽和又はポリ不飽和であり、例えば、C6−C24−、C6−C12−、C10−C30−、C10−C24−又はC12−C30アルケニルである。例には、ヘキセニル、ヘプテニル、2,4,4−トリメチルペンテニル、2−エチルヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘニコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル及びトリアコンテニルが含まれる。
C6−C30アルキニルは、直鎖状又は分岐鎖状、そしてモノ不飽和又はポリ不飽和であり、例えば、C6−C24−、C6−C12−、C10−C30−、C10−C24−又はC12−C30アルキニルである。例には、ヘキシニル、へプチニル、2,4,4−トリメチルペンチニル、2−エチルヘキシニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、イコシニル、ヘニコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル、ヘキサコシニル、ヘプタコシニル、オクタコシニル及びトリアコンチニルが含まれる。
アルキレン及びシクロアルキレン基は、上記で定義されたアルキル及びシクロアルキル基の二価の形態である。
C6−C12ビシクロアルキレンは、好ましくはビシクロヘプチレン、ビシクロオクチレンである。
C6−C30アラルキルは、芳香族基で置換されているアルキルである。例には、フェニル−C1−C24アルキル、ナフチル−C1−C20アルキル、アントリル−C1−C16アルキル及びフェナントリル−C1−C16アルキルがあり、該アルキル基C1−C24−、C1−C20−及びC1−C16−は、それぞれ芳香族基フェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリルで置換されている。アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であり、上記で示された意味を有してよい。例には、ベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル及びα,α−ジメチルベンジル、特にベンジル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル及びナフチル−1−メチルエチル、更に特にナフチルメチルが含まれる。アルキル単位は、ナフチル環の1位又は2位のいずれかで存在できる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、特に塩素又は臭素であり、好ましくはフッ素である。
置換されているフェニルは、フェニル環がモノないしペンタ置換され、例えば、モノ、ジ又はトリ置換、特にモノ置換又はジ置換されている。
これに関して、複素環式基は、1以上の特に1又は2個のヘテロ原子を含む脂肪族環か、又は芳香族環のいずれかを意味すると理解されるべきである。縮合環系であってもよい。ヘテロ原子として、例えば、特にO、N及びSが考慮される。例には、フリル、チエニル、ピロリル、オキシニル、ジオキシニル及びピリジルが含まれる。5又は6員環が好ましい。
複素環式基を表すR及びR1は、例えば、ピロリル、ピロリジニル、オキサゾリル、ピリジル、1,3−ジアジニル、1,2−ジアジニル、ピペリジル、モルホリニル、チアントレニル、フラニル、ピラニル、キサンテニル、イミダゾリル、チアゾイリル、ピリミジニル、インダゾリニル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、キサンチル、チオキサンチル、アクリジニル等である。
OR12−、SR13−若しくはNR14R15置換ナフチル、アントラシル、フェナントリル又は複素環式環が、基R12、R13、R14又は/及びR15と一緒になって、5若しくは6員環を形成する場合、例えば、下記:
Figure 2007264291
の構造が含まれ、いずれの場合にも弧及び2個の二重結合は、芳香族環系を表す。
OR12、SR13又はNR14R15を表すR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8又はR9が、フェニル環の更なる置換基と一緒になって、又はフェニル環の炭素原子と一緒になって5若しくは6員環を形成する場合、例えば、下記:
Figure 2007264291
の系が含まれる。
R14及びR15が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、更に−O−又は−NR17−により中断されていてもよい5、6、若しくは7員環を形成する場合、環は、例えば飽和又は不飽和の環であり、例えば、アジリジン、ピペラジン、ピロール、ピロリジン、オキサゾール、ピリジン、1,3−ジアジン、1,2−ジアジン、ピペリジン又はモルホリンであり、特にモルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニル環が形成される。
式(IIIa)、(IIIb)及び/又は(IIIc)の単位は、ランダムに又はブロックで配置され、すなわち式(III)で表される単位の序列は所望のとおりになる。例えば、調製方法で使用されるシロキサンに応じて、(IIIa1)、(IIIa2)、(IIIa3)、(IIIa4)、(IIIb)、(IIIc)の単位のブロックは連続して現れることができるが、個別の単位がランダム分布方法で結合することも可能である。
C1−C10アルキレンを表すX及びX1は、それぞれ直鎖状又は分岐鎖状アルキレンであり、例えば、C1−C8−、C1−C6−、C1−C4−、C2−C8−又はC2−C4アルキレンであり、例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン又はデシレンである。X及びX1は、特にC1−C8アルキレンであり、例えば、エチレン、オクチレン、
Figure 2007264291
である。
C3−C12シクロアルキレンを表すX及びX1は、それぞれ少なくとも1個の環を含む直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であり、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等である。
C6−C12ビシクロアルキレンを表すX及びX1は、それぞれ少なくとも1個の二環式環を含む直鎖状又は分岐鎖状基であり、例えば、ビシクロヘプチレン、ビシクロオクチレンである。
C2−C10アルケニレンは、モノ不飽和又はポリ不飽和であり、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えば、C2−C8−、C4−C8−、C3−C6−又はC2−C4アルケニレンであり、例としては、エテニレン、1−プロペニレン、1−ブテニレン、3−ブテニレン、2−ブテニレン、1,3−ペンタジエニレン、5−ヘキセニレン又は7−オクテニレンである。C4−C8アルケニレンは、炭素原子の数に従って、上記と同じ意味を有する。
C2−C10アルキニレンは、モノ不飽和又はポリ不飽和であり、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えば、C2−C8−、C3−C6−又はC2−C4アキニレンである。例には、ヘキシニレン、ヘプチニレン、2,4,4−トリメチルペンチニレン、2−エチルヘキシニレン、オクチニレン、ノニニレン及びデシニレンが含まれる。
「a」、「b」及び「c」は、好ましくは0〜10の数、例えば0〜3、特に3であるが、但し、該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、a、b、及び/又はcは少なくとも1であり;「n」は、好ましくは1〜100であり;「p」は、例えば、1〜1000、1〜100、1〜50、又は1〜25であり;「m」は、0〜100、例えば、0〜50又は0〜25、特に0である。
シロキサン出発材料がオリゴマーシロキサンの混合物である場合、「n」は、また、1未満であるが0を超えることが可能である。この場合、例えば、0.1〜1000、0.5〜1000、0.8〜1000等の数である。
A及びA1は、好ましくは式(III)の基である。
式(Ia)及び(Ib)の化合物において、R及びR1は、特に式(II)の基又はナフチルであり、式(II)の基が好ましい。
式(Ic)の化合物において、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、特に基A−X−又はA1−X1−である。
式(Id)の化合物において、R2、R3、R4及びR5は、特に基A−X−又はA1−X1−である。
式(Ia)及び(Ib)の化合物において、R及び/又はR1が式(II)の基を表す場合、置換基R2、R3、R4、R5及びR6のうちの少なくとも1個は、基−X−A又は−X1−A1である。したがって、例えば、置換基R2、R3、R4、R5及びR6のうちの1〜3個、又は1若しくは2個、又は1個が、基−X−A又は−X1−A1である。好ましくは、置換基R2、R3、R4、R5及びR6のうちの1又は2個が基−X−A又は−X1−A1である。R2、R6又は/及びR4が、特に基−X−A又は−X1−A1である。好ましくは、R4又は/及びR6が、基−X−A又は−X1−A1である。
化合物(Ic)において、置換基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個は、基−X−A又は−X1−A1である。したがって、例えば、置換基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの1〜3個、又は1若しくは2個、又は1個が、基−X−A又は−X1−A1である。好ましくは、置換基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの1又は2個が基−X−A又は−X1−A1である。特に、R2、R5、R6、R9、R4又は/及びR7が、基−X−A又は−X1−A1である。好ましくは、R4又は/及びR7が、基−X−A又は−X1−A1である。
式(Id)の化合物において、置換基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個が、基−X−A又は−X1−A1であるか、又は置換基R10が基A−X−を含む。したがって、例えば、置換基R2、R3、R4及びR5のうちの1〜3個、又は1若しくは2個、又は1個が、基−X−A又は−X1−A1である。好ましくは、基R2、R3、R4及びR5のうちの1又は2個が基−X−A又は−X1−A1であるか、又は置換基R10が基A−X−を含む。好ましくは、R4が基−X−A又は−X1−A1であるか、又は置換基R10が基A−X−を含む。
式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、基−X−A又は−X1−A1である他に、特に水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルコキシであり、好ましくは水素である。
式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5は、基−X−A又は−X1−A1である他に、特に水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルコキシであり、好ましくは水素である。R10は特にA−X−で置換されているフェニルである。R11は、特にC1−C4アルキル又はフェニルである。R12及びR13は、特に、C1−C4アルキル、水素、フェニル、又は酸素により中断されているC2−C8アルキルであり、好ましくはC1−C4アルキル又は水素である。R14及びR15は、特にC1−C4アルキル、好ましくはメチルであるか、又はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリニル基を形成する。R16は、特に、C1−C4アルキル、非置換のフェニル又はC1−C4アルキルで置換されているフェニルである。R17は、好ましくは、水素、C1−C4アルキル又はOHで置換されているC1−C4アルキルである。R18、R19及びR20は、好ましくはC1−C4アルキル、特にメチルである。R21は、特にC1−C4アルキル、例えばメチルである。A0は、特にC6−C30アルキル基であり、この基は非置換であるか、又はハロゲンで置換されている。好ましくは、C6−C30アルキルは非置換であるか、又はハロゲン、好ましくはフッ素で置換されている。基C6−C30アルキルがフッ素で置換されている場合、好ましくは過フッ素化されている。
X及びX1は、好ましくはC3−C6アルキレン、−(CH−O−、−O−(CH)a−O−(CH又は−(CH−O−(CH−O−、特に−(CH−O−、−O−(CH−O−(CH又は−(CH−O−(CH−O−であり、ここでaは、特に2又は3、そしてbは特に2又は3である。
式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の化合物は、当業者に既知の従来の方法に従って調製される。
前記式(Ia)および(Ib)において、好ましくはR及びR1が、互いに独立して、式(II):(式(II)において、R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換のC1−C12アルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルである)の基またはナフチル基であり、
但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1が、ナフチル基であり、該ナフチル基は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらに炭素数1〜8のアルキル及び/若しくはOR12で置換されることができ;
式(Ic)において、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換のC1−C12アルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであるが、但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
式(Id)において、R2、R3、R4及びR5が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、又は1以上の不連続な酸素原子により中断されているC2−C12アルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであり;R10が、C1〜C8アルキル、又は非置換であるか若しくはA−X−で置換されているフェニルであるが;但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
R12が、水素若しくは非置換のC1−C12アルキルであるか;又は、1以上の不連続な酸素原子で中断されているC2−C12アルキルであるか;或は、フェニル、C3−C6アルケニル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルであり;
R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27が、互いに独立して、C1−C18アルキル又はフェニルであり;
X及びX1が、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、C1−C10アルキレン、−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH、−(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−又は−(CH−NR17−であり;
そしてX及びX1が、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−である。
特に好ましくは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の化合物において、A及びA1が式(III)の化合物である。
下記は本発明の式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の化合物の例である。
Figure 2007264291
Figure 2007264291
式(1a)〜(1d)の化合物は、少なくとも1個の置換基−X−A又は−X1−A1を含む。このために、該化合物は、表面に集中して存在する。例えば、組成物として塗布したとき塗布表面に該化合物は、塗布表面に集中して存在する。
本発明の反射防止フィルムは、下層および支持体(基材)との密着性に優れている。この機構は明確ではないが、下記のような機構が推定される。支持体上に反射防止層(例えば、低屈折率層)を有する反射防止フィルムにおいて、低屈折率層の更なる低屈折率化を目指すとき、低屈折率層を構成するバインダーを含有する組成物を塗布した際に、塗布表面に光重合開始剤Aが集中すると考えられる。バインダーを効率よく硬化させるためには、開始剤も上部偏析する必要がある。しかし、光重合開始剤が光重合開始剤Aのみであると、光重合開始剤Aが表面に集中する影響で下層との密着が低下することが予期される。しかし、本発明では、光重合開始剤Aと併用する光重合開始剤Bが下層に集中して存在するために、下層との密着が向上できる。また、密着性が向上すること、および塗布表面のバインダーが効率よく硬化することにより、耐擦傷性にも優れる。
式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の光重合開始剤の使用量に特に制限はないが、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。
次に式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)以外の光重合開始剤Bについて説明する。式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)以外の光重合開始剤Bは光重合開始剤Aよりも表面自由エネルギーが小さいものが好ましい。光重合開始剤Aの表面自由エネルギーと光重合開始剤Bのそれとの差は、光重合開始剤Aの表面自由エネルギーが光重合開始剤Bのそれより大きければよく、具体的にはその差が5mJ/m2であることが好ましい。
光重合開始剤Bは、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤Bは、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
2−(2)電離放射線硬化性化合物
本発明の反射防止フィルムは電離放射線硬化性化合物、好ましくはエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する組成物を硬化して得られる。電離放射線硬化性化合物の含有量は、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。また、本明細書において、「電離放射線硬化性化合物」とは、電離放射線照射によって硬化する化合物であればよい。
電離放射線硬化性化合物としては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。更に、これらポリマーは架橋構造を有していることが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
さらに、高屈折率な皮膜にする場合には、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
更に、高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4-メタクリロキシフェニル-4'-メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、先に述べた光重合開始剤A及び光重合開始剤Bにより、例えば光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。光酸発生剤および熱酸発生剤としては、公知ものが使用できる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
特に、反射防止層の中でも、低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体の硬化皮膜によって形成されるのが好ましい。該共重合体由来の成分は皮膜固形分の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることが特に好ましい。低屈折率化と皮膜硬度の両立の観点から多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。また特開平11−228631号公報記載の化合物も好ましく使用される。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
以下に本発明の低屈性率層に好ましく用いられる電離放射線硬化性化合物の共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やR−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
前記共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明において下記一般式1で記載される含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。
Figure 2007264291
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**,*−(CH22−NH−**,*−(CH24−O−**,*−(CH26−O−**,−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**,*−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。
Figure 2007264291
一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
本発明で有用な共重合体は特開平2004-45462の段落番号[0043]〜[0047]に示すものが好ましい。
本発明に用いられる共重合体は特開2004−45462号公報に記載の方法により合成することができる。また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、電離放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二,「高分子合成方法」改定版,日刊工業新聞社,1971年や大津隆行、木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人,昭和47年,124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kPa、特に、1〜30kPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
2−(4)無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
<高屈折率粒子>
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiO好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)およびZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
<低屈折率粒子>
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
<中空シリカ粒子>
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616号の各公報に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
2−(4)オルガノシラン化合物
本発明の組成物には、オルガノシラン化合物または、該オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが好ましい。
これら化合物は、前記組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、多官能アクリレートポリマーを有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成され、硬化物の硬度の上昇、下層との密着性が良くなる。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]
(R10−Si(X)4−m
前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式[B]
Figure 2007264291
前記一般式[B]において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**,*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007264291
Figure 2007264291
M−11 メチルトリメトキシシラン
M―12 トリメチルメトキシシラン
M―13 トリエチルメトキシシラン
これらの化合物のうち、M−1、M−2、M−5、M−11、M−12を用いることが好ましい。
2種を併用する時は、重合性基を持つ化合物として、M−1またはM―2を選択し重合性基を持たない化合物としてはM−11またはM―12を選択して併用することが好ましい。また上記の重合性基を持つ化合物と重合性基を持たない化合物を組み合わせて加水分解した後縮合させたオリゴマーを使用することも好ましい。
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類および有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとRCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(ORp1(RCOCHCORp2、Ti(ORq1(RCOCHCORq2、およびAl(ORr1(RCOCHCORr2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のRおよびRは、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、Rは、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式RCOCHCORで表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するRおよびRは、前記金属キレート化合物を構成するRおよびRと同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
前記オルガノシラン化合物または、その加水分解物および/またはその部分縮合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は塗布組成物に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記塗布組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を塗布組成物に含有せしめて塗設することが好ましい。
2−(5)ポリシロキサン化合物
本発明の組成物には、ポリシロキサン化合物を含有させることが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
ポリシロキサン化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。ポリシロキサン化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいポリシロキサン化合物の例 としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
3.本発明に使用できる各種化合物
次に、本発明のフィルムに使用することのできるその他の化合物について記載する。
3−(1)透光性粒子
本発明の組成物、特に防眩層やハードコート層に用いられる組成物は、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることが出来る。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダーと透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダーおよび透光性粒子の種類および量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁および146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、および特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
3−(2)導電性粒子
本発明の組成物には導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。
導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
3−(3)表面処理剤
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、または、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋または重合性官能基を有することが好ましい。架橋、または、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
3−(4)分散剤
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋または重合性官能基を含有することが好ましい。架橋または重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
3−(5)防汚剤
本発明の組成物、特にフィルムの最上層に用いられる組成物には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
防汚剤として用いられるフッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CF)8CF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHF8H,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
3−(6)界面活性剤
本発明の組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、およびこれらに共重合可能なビニル系モノマー(例えば、下記(ii)のモノマー)との共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2007264291
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2007264291
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖および分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基およびビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
3−(7)増粘剤
本発明の組成物には、塗布組成物の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布組成物の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
3−(8)塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
3−(9)その他
本発明の組成物には、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
3−(10)支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
4.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
4−(1)防眩層(防眩性ハードコート層)
防眩層は、本発明で規定される表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズを達成することができる。具体的には、後述する本発明の防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子および/またはベンゾグアナミン粒子との組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂とスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが特に好ましい。
透光性粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
また、透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値が0.04以下が好ましい。透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
4−(2)ハードコート層
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。
好ましくは、その上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、または、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/または高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
4−(3)高屈折率層、中屈折率層
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応または重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応または重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋または重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋または重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋または重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、または、他の層を介して構築することが好ましい。
4−(4)低屈折率層
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いる必要がある。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
4−(5)帯電防止層、導電性層
本発明においては、帯電防止層を設けることがフイルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層 は、支持体に直接または支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
4−(6)防汚層
本発明の最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
4−(7)干渉ムラ(虹ムラ)防止層
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、反射防止フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
4−(8)易接着層
本発明のフィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本技術にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい質量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
4−(9)カール防止層
本技術のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明樹脂フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は基材の防眩層または反射防止層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えば透明樹脂フィルムの片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
4−(10)水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は前述のバリア層と同様に真空下蒸着法等を使って作成してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(バリア層と有機層の積層体)の間、積層体の最上層、積層体の間、或いは、積層体中の有機層或いはバリア層中に添加されていてもよい。バリア層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
4−(11)プライマー層・無機薄膜層
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
5.製造方法
本発明のフィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、下記(1)及び(2)の工程を含む製造工程によって支持体上に積層される層の少なくとも一層を形成する工程を有することが好ましい。
(1)連続して走行する、支持体を含むウェッブ上に、光重合開始剤A、光重合開始剤B、および電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度15体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上照射することにより、塗布層を硬化する工程(以後、(2)の塗布層を硬化する工程を「硬化工程」と称することもある)。
以下、上記の製造方法について説明する。
5−(1)塗布液の調製
<調製>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<塗布液物性>
本発明の塗布方式は液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度および表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cc/m]であることが好ましい。支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
5−(2)塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
5−(3)塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図6は本発明のフィルムを製造するために用いられるスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線および直線で構成されており、例えば図5に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図7は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対
して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間Gとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図8は、本発明のフィルムを製造するために用いられる塗布工程のスロットダイおよびその周辺を示す斜視図である。
ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間G、Gが存在する。
減圧チャンバー40とウェッブWとの関係について図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、近接している減圧チャンバー40とウェッブWを示す断面図である。
サイドプレート40bとバックプレート40aは図9のようにチャンバー40本体と一体のものであってもよいし、例えば、図10のように適宜隙間GBを変えられるようにバックプレート40aをチャンバー40にネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェッブWの間、サイドプレート40bとウェッブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェッブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図8のようにウェッブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェッブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェッブWとの隙間GBをスロットダイ13の先端リップ17とウェッブWとの隙間GL(図7(A)参照)よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェッブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェッブWの間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
5−(4)乾燥
本発明のフィルムは、支持体上に直接または他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
5−(5)硬化工程
電離放射線の照射は、酸素濃度は15体積%以下の雰囲気下で行なうことが好ましい。より好ましくは10体積%以下であり、更に好ましくは5.0体積%以下である。酸素濃度が5体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。しかし、必要以上に酸素濃度を低減するためには、不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
本発明では、ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度5体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上の間照射することによって塗布層の硬化を行なうことが好ましい。照射時間は照射開始から0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒未満では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。
尚、本明細書中、「ウェッブ」とは、支持体自体であっても、支持体上に層を形成したものであってもよい。
本発明では、前記の硬化工程を、所望の酸素濃度に制御された電離放射線反応室(以後、単に「反応室」ということもある)で行なうことが好ましい。不活性ガスを反応室に供給する際、反応室のウェッブ入り口側(ウェッブを搬入する入り口である)にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除して反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。反応室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、反応室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。なお、ウェッブ上の塗布層に電離放射線を照射する直前に、不活性ガスをウェッブ上の塗布層表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましい。
特に最外層であり、且つ、膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。
また反応室の前に前室を設けることも好ましい。前室は、不活性ガスで置換され、低酸素濃度であることが好ましく、好ましくは酸素濃度5体積%以下且つ酸素濃度0.01体積%以上であることが好ましい。前室内を電離放射線照射前のウェッブを通過(搬送)させるのみであってもよく、前記した導搬エアーを除去する方法である不活性ガスのウェッブ上の塗布層表面への直接吹き付けを行なってもよい。
前室を設けて、事前にウェッブの塗布層表面の酸素を排除することで、反応室の低酸素濃度を維持することが可能となり、より硬化を効率よく進めることができる。
また反応室または前室のウェッブ入り口側を構成する側面の少なくとも一方は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ上の塗布層表面とのギャップが0.2〜15mmであることが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとすることが最も好ましい。ここで、ギャップとは、ウェッブ上の塗布層表面とウェッブ入り口側を構成する側面におけるウェッブ入り口上端との間の長さを指す。
しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、反応室または前室の入り口とウェッブ上の塗布層表面とのギャップをあまり狭くすると、接合テープなどの接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、反応室または前室の入り口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分だけギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、(1)反応室または前室の入り口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げる方法(図12参照)や、(B)反応室または前室の入り口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げる方法(図13参照)などが挙げられる。
以下、前室のウェッブ入り口面の動作を例にとり、本発明で適用可能な反応室または前室のウェッブ入り口面の動作事例を、図11〜14を基に説明する(尚、以下の図面説明では、塗布層(図示せず)を有したウェッブを単に「ウェッブ」と称する)。
図11は、本発明の反応室及び前室を具備した製造装置の模式図である。
図12は、本発明の反応室及び前室を具備した製造装置のウェッブ入り口面の装置動作の一例を示した側面図であり、上記(A)の態様を示す。図12の構成を有する装置は、ウェッブ搬送時に、ウェッブを接合して繋げる接合部材が前室入り口に進入する前に、センサで接合部材を検知し、制御部(図示せず)を通して該センサと連動して作動する前室のウェッブ入り口面の少なくとも一部に取り付けれらたエアシリンダによって、入り口面をウェッブの進行方向前後に動かせるようにしたものであり、これにより接合部材の厚み分を逃げることができるものである。
図13及び図14は、上記(B)の態様を示した図であり、図13は前室のウェッブ入り口面を模式的に示した図であり、図14は前室のウェッブ入り口面の動作を模式的に示した図である。前室ウェッブ入り口面の一部を可動にし、ウェッブの幅両端をベアリングタッチロールで接触することでウェッブと入り口面とのギャップが決まる。接合部材が通過するときは、ベアリングタッチロールが接合部材を乗り越え、ウェッブ入り口面のギャップが一定に保たれる。入り口の可動手段は、接合部を逃げられるようになっていれば良く、限定されるものではない。
本発明では、ウェッブ上の塗布層を硬化させる際、前記硬化工程における5体積%以下の雰囲気下で行なわれる電離放射線照射を複数回に分けて行うことも好ましい。
この場合、少なくとも2回の電離放射線照射が、連続した酸素濃度5体積%以下、より好ましくは連続した酸素濃度3体積%以下の反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行なうことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度を上げた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となり、硬化反応に必要な反応時間の確保とあわせ、上記の態様が有効である。
「連続した反応室」とは、酸素濃度5体積%以下の反応室内で少なくとも2回の電離放射線照射を行なう態様や、酸素濃度5体積%以下の反応室を少なくとも2室以上設け、反応室の間を酸素濃度5体積%以下の低酸素ゾーンとする態様等がある。後者の場合には各々の反応室は、酸素濃度5体積%以下であれば、酸素濃度が異なっていてもよい。
本発明では、塗布層表面温度が25℃以上、好ましくは60℃以上になるようにウェッブを加熱しながら、前記硬化工程を行なうことも好ましい。また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度5体積%以下、好ましくは3体積%以下の雰囲気で加熱することも好ましい。加熱しながら前記硬化工程を行なうことで、硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
加熱は塗布層表面温度が25℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。加熱の硬化が十分な点で25℃以上が好ましく、一方、基材の変形などの問題が生じにくい点で170℃以下が好ましい。更に好ましい温度は25℃〜100℃、より好ましくは60〜100℃である。また塗布層表面温度が前記温度に保持される時間は、電離放射線照射開始から0.1秒以上、好ましくは0.5秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。塗布層表面温度の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してウェッブに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができる。本発明では紫外線による照射が好ましい。重合速度が早く設備をコンパクトにできる、選択できる化合物種が豊富でかつ低価格であることから紫外線硬化が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
また、本発明では乾燥工程後、電離放射線照射工程の前に、まず5分から20分間の間、70℃以上130℃以下の温度で加熱硬化する工程を設け、その後、紫外線に代表される活性エネルギー線により硬化することが好ましい。
この時の塗布層表面温度は好ましくは70℃以上120℃以下であり、80℃以上115℃以下であることが最も好ましい。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
5−(6)ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室(熱硬化室は必要に応じて設けられる)を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能であるが、生産性の観点から各層の形成を連続的に行う事が好ましい。各層の塗布を連続的に行う装置の構成例を図15に示す。該装置はロール状の基材フィルムを連続的に送り出す工程Aと、ロール状の基材フィルムを巻き取る工程Bの間に製膜ユニット100,200、300、400を適宜必要な数だけ設置したものである。図15で示される装置は4層を巻き取ることなく連続的に塗布する際の構成の一例であるが、層構成に合わせて製膜ユニット数を変化させることはもちろん可能である。製膜ユニット100は塗布液を塗布する工程101、塗膜を乾燥する工程102、塗膜を硬化する工程103から構成されている。例えば、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を有する反射防止フィルムを製造する場合には、製膜ユニットが3つ設置された装置を用いて、前記ハードコート層を塗設したロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事がより好ましく、製膜ユニットが4つ設置された、図15に示す装置を用いて、ロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事が更に好ましい。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
5−(7)鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、フィルムが受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、たとえば防眩層とフッ素含有ゾルーゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいて、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
5−(8)偏光膜の作製
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
6.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレー上に用いることが出来る。
6−(1)液晶表示装置
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580および同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
6―(2)液晶表示装置以外のディスプレイ
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
7.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
7−(1)反射率
鏡面反射率および色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、鏡面反射率2.0%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。鏡面反射率は1.5%以下が特に好ましく、3−d記載のような層構成を用いることにより反射率を1.0%以下とすることが最も好ましい。
7−(2)色味
本発明の反射防止能付き偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L色空間のL、a、b値を求めることで色味を評価することができる。
、a、b値は、それぞれ3≦L≦20、−7≦a≦7、且つ、−10≦b≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L≦10、0≦a≦5、且つ、−7≦b≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL色度図上でのaより、下記の数式21に従って色味の変化率として得ることができる。
Figure 2007264291
ここで、a maxおよびa minは、それぞれa値の最大値および最小値;b maxおよびb minは、それぞれb値の最大値および最小値;a avおよびb avは、それぞれa値およびa値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明のフィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEは、下記の数式(22)に従って求めることができる。
数式(22):ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔL,Δa,Δbは、耐候性試験前後のL値,a値,b値それぞれの変化量である。
7−(3)透過画像鮮明度
透過画像鮮明度は、JIS−K7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明のフィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。本発明のフィルムの透過画像鮮明製は5%〜30%であるのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。
7−(4)表面粗さ
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS−B0601に準じて行なうことができる。
本発明の反射防止フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08未満では充分な防眩性が得られず、0.30を超えるとギラツキ、外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。
7−(5)ヘイズ
本発明のフィルムのヘイズはJIS−K7105に規定されたヘーズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される。
なお、表面ヘイズと内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1)JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
7−(6)耐擦傷性
<スチールウール耐傷性評価>
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000) 試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、および200g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
<消しゴム擦り耐傷性評価>
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:プラスチック消しゴム((株)トンボ鉛筆性 MONO)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
<テーパー試験>
JIS―K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。
この摩耗量が少ないほど好ましい。
7−(7)硬度
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価することが出来る。
鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
<表面弾性率>
本発明における表面弾性率は微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明で定義する架橋性ポリマーのユニバーサル硬度とはガラス板上に硬化形成した約20〜30μm厚の該架橋性ポリマー膜についてフィッシャーインストルメンツ(株)製の微小硬度計H100によって以下測定手順で求めたユニバーサル硬度(N/mm)によって表わされる。
架橋性ポリマーの他に必要な触媒や架橋剤、重合開始剤等を含んだ固形分濃度約25%の塗布液を硬化後の膜厚が約20〜30μmになるように適切なバーコーターを選択してTOSHINRIKO.CO.LTD製、(26mm×76mm×1.2mm)みがきスライドガラス板上に塗布する。架橋性ポリマーが熱硬化性の場合には膜が十分硬化される熱硬化条件をあらかじめ求めておき(一例として125℃10分)、架橋性ポリマーが電離放射線硬化性の場合にも同様に膜が十分硬化される硬化条件をあらかじめ求めておく(一例として酸素濃度12ppm、UV照射量750mJ/cm)。それぞれの膜に対して荷重を0から4mNまで連続的に増加させ、基材のガラス板硬度の影響がでない1/10膜厚を最大として円錐ダイヤモンド圧子を押し込んだ際の各荷重Fに対する窪み面積A(mm)から求めたF/AのN=6測定平均値からユニバーサル硬度を算出する。
また、特開2004−354828記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
7−(8)防汚性試験
<マジック拭き取り性>
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック後が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することが出来る。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒マジックについてはマジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるかによっても評価することができる。
7−(9)接触角
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃/65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
本発明のフィルムの接触角は純水に対して94度以上であることが好ましく。97度以上であることがさらに好ましく、101度以上であることが最も好ましい。
7−(10)表面自由エネルギー
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」,リアライズ社,1989.12.10発行に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルム
に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明のフィルムの表面自由エネルギー(γs:単位、mN/m)とはD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCHのそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式a,bより求めたγsとγsの和で表される値γs(=γs+γs)で定義する反射防止フィルムの表面張力を表す。このγsが小さく、低表面自由エネルギーであるほど表面のはじき性が高く、一般に防汚性に優れる。
a.1+cosθH2O
2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O
b.1+cosθCH2I2
2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2
γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8、
γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8
で、接触角の測定はフィルムを25℃60%の条件下で1時間以上調湿した後に、協和界面科学(株)製、自動接触角計CA−V150型を用いて2μlの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
本発明のフィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
7−(11)カール
カールの測定は、JIS―K7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
本発明におけるフィルムは、カールを以下の数式で表したときの値が、マイナス15〜プラス15の範囲に入っていることが好ましく、マイナス12〜プラス12の範囲がより好ましく、さらに好ましくはマイナス10〜プラス10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
(数式) カール=1/R Rは曲率半径(m)
これは、フィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。
ここで、カールがプラスとはフィルムの塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
7−(12)密着性評価
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することが出来る。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
7−(13)脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
7−(14)塵埃除去性
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
7−(15)液晶表示装置の性能
以下に、本発明のフィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(TH−15TA2、松下電器産業(株)製)に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明のフィルムあるいは偏光板を、塗布面が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付ける。500luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の各種特性を評価することができる。
<画像のムラ、色味評価>
作成した液晶表示装置を用いて、黒表示(L1)時のムラや色味変化を複数の観察者により目視評価する。
10人が評価し、ムラ、左右色味変化、温湿度による色味変化、白ボケを認識できるものが3人以下であることが好ましく、1人も認識できないことがより好ましい。
また、外光の映り込みは蛍光灯を用いて行い、目視にて映り込みの変化を相対的に評価することができる。
<黒表示の光漏れ>
液晶表示装置正面からの方位方向45゜、極角方向70゜における黒表示の光漏れ率を測定する。光漏れ率が0.4%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
<コントラスト、および視野角>
コントラストおよび視野角は、測定機(“EZ−Contrast 160D”ELDIM社製)を用いて、コントラスト比および左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べることができる。
[実施例1]
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の実施例、合成例中、特に断らない限り%および部は質量基準である。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
(中空シリカ分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30.5部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
[低屈折率層用塗布液(LL−101)の調製]
含フッ素共重合体P−1(重量平均分子量約50000)をメチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、光重合開始剤I−1を含フッ素共重合体P−1対して2%、光重合開始剤イルガキュア907(商品名)を含フッ素共重合体P−1に対して3%を加えて低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2007264291
[低屈折率層用塗布液(LL−102〜LL113)の調製]
表1に示す各成分を混合し、硬化性組成物(LL−101)と同様にして硬化組成物(LL102〜LL113)を調整した。表1中の( )内は各成分の固形分の質量部を表す。
Figure 2007264291
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
「MEK−ST-L」:日産化学工業(株)製コロイダルシリカ平均粒子サイズ10〜15nm、
「中空シリカ」:実施例1で合成した中空シリカ分散液、
「X−22−164C」:信越化学工業(株)製
Figure 2007264291
Figure 2007264291
(防眩層用塗布液(HCL−101)の調製)
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 2.0g
“SX−350”(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
上記混合液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩層用塗布液(HCL−101)を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
[反射防止フィルム試料101の作製]
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記の防眩層用塗布液(HCL−101)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製して得られた防眩層(HC−101)の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、表面ヘイズは12%、内部ヘイズは29%であった。尚、これらは本文記載の方法により測定した。
このようにして得られた防眩層の上に、上記硬化性組成物(LL−101)を用い、膜厚が95nmになるように調節して、反射防止フィルム試料101を作製した。硬化性組成物LL−101は各成分を2時間混合後塗設し、乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージ(0.2m3の反応室に1.40m3/分の窒素ガスを使用)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2の照射量とした。
[反射防止フィルム102〜113の作製]
反射防止フィルム(101)の作製において、硬化性組成物(LL−101)を用いる代わりに、(LL−102)〜(LL−113)を用いること以外は反射防止フィルム101と同様にしてにより反射防止フィルム102〜113を作製した。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムは、以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価1)平均反射率の測定
本文記載の方法により450〜650nmの平均反射率を用いた。偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価2)スチールウール耐傷性評価(SW耐性)
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。ただし、荷重は500g/cm、こすり回数は20回とした。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
(評価3)消しゴム擦り耐傷性評価(消しゴム擦り耐性)
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。ただし、荷重は500g/cm、こすり回数は200回とした。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
(評価4)密着性評価
各フィルム試料を温度25℃、湿度60%RHの条件で2時間調湿した。各試料の反射防止膜を有する側の表面を、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、その升目が刻まれた箇所について、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ"NO.31B"を用いて密着試験を繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
○ :100升において剥がれが全く認められなかったもの。
△ :100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの。
△×:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの。
× :100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの。
Figure 2007264291
本実施例から明らかなように、本発明の硬化性組成物を用いた反射防止フィルムは、SW擦り耐性や消しゴム擦り耐性、密着性に優れていることがわかる。
[実施例2]
(低屈折率層用塗布液(LL−201)の調製)
メチルエチルケトン500部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}40.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.0部、“F3035”{日本油脂(株)製}3.0部を加えて溶解した。その後に、平均粒子サイズ10〜15nmのコロイダルシリカMEK−ST-L(日産化学工業(株)製)を固形分として45.5部、ゾル液aを固形分として5.0部添加した。塗布液全体の固形分濃度が6%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が15対85になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(LL−201)を調製した。
[低屈折率層用塗布液(LL−202〜LL211)の調製]
表3に示す各成分を混合し、硬化性組成物(LL−201)と同様にして硬化組成物(LL202〜LL211)を調整した。表3中の( )内は各成分の固形分の質量部を表す。
Figure 2007264291
[反射防止フィルム試料201の作製]
実施例1で得られた防眩層の上に、上記低屈折率層用塗布液(LL−201〜LL−211)を実施例1と同様にして塗布を行い、反射防止フィルム201〜211を作製した。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、反射防止フィルムを実施例1と同様に鹸化処理を行い、評価した。
Figure 2007264291
本実施例から明らかなように、本発明の硬化性組成物を用いた反射防止フィルムは、SW擦り耐性や消しゴム擦り耐性、密着性に優れていることがわかる。
[実施例3]
(防眩層用塗布液(HCL−301)の調製)
PET−30 [日本化薬(株)製]285.0gをメチルイソブチルケトン175.0gで希釈した。更に、光重合開始剤イルガキュア184をPET−30に対し5%添加し、混合攪拌した後、エアーディスパーにて120分間攪拌して溶質を完全に溶解した。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)の30%メチルイソブチルケトン分散液を240.0g加えた後に、フッ素レベリング剤FP−1を0.5g、メチルエチルケトン125g添加し、エアーディスパーにて10分間攪拌した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液(HCL−301)を調製した。
Figure 2007264291
(防眩層用塗布液(HCL−302)の調製)
平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子に替えて、二次粒子径1.0μmの凝集性シリカ(日本シリカ製)に変更した以外はHCL−301と同様にして、防眩層用塗布液(HCL−302)を調製した。
(防眩層用塗布液(HCL−303)の調製)
平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子に替えて、平均粒径10〜15nmのコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製)に変更した以外はHCL−301と同様にして、防眩層用塗布液(HCL−303)を調製した。
(防眩層用塗布液(HCL−304〜HCL−316)の調製)
防眩層用塗布液(HCL−301〜HCL−303)の光重合開始剤を表5に示す様に変えた以外は同様にして、防眩層用塗布液(HCL−304〜HCL−316)を調製した。表5中の( )内は各成分の固形分の質量部を表す。
Figure 2007264291
[反射防止フィルム試料301の作製]
特開2003−211052号の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液(HCL−301)を17.3g/m2となるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩層を有する反射防止フィルム301を作製した。
[反射防止フィルム302〜316の作製]
反射防止フィルム(301)の作製において、硬化性組成物(HCL−301)を用いる代わりに、(HCL−302)〜(HCL−316)を用いること以外は反射防止フィルム301と同様にしてにより反射防止フィルム302〜316を作製した。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、反射防止フィルムを実施例1と同様に鹸化処理を行い、評価した。
Figure 2007264291
本実施例から明らかなように、本発明の硬化性組成物を用いた反射防止フィルムは、SW擦り耐性や消しゴム擦り耐性、密着性に優れていることがわかる。
[実施例4]
(ハードコート層用塗布液(HCL−401)の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部および光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部、を添加して攪拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−401)を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5重量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2007264291
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルム401の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液(HCL−401)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて5〜100m/分の速度で連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージ(0.2m3の反応室に1.40m3/分の窒素ガスを使用)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2の照射量とした。尚、低屈折率層用塗布溶液には、実施例1で作成した低屈折率層用塗布液(LL−101)を用いた。
このようにして得られた反射防止フィルム試料401に対して、低屈折率層の塗布液を(LL−102)〜(LL−113)に変更した以外は反射防止フィルム試料401と同様にして試料402〜413を作製した。実施例1に準じた鹸化処理および評価を行った結果、中屈折率層と高屈折率層を設けることでどの試料も反射率が大きく低下した。本発明に従えば、低反射で耐擦傷性、密着性に優れた射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例5]
(ハードコート層用塗布液(HCL−501)の調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:JSR(株)製)100質量部、DPHA(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)31質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、KE−P150(1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製)8.9質量部、MXS−300(3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製)3.4質量部、MEK 29質量部、MIBK 13質量部、をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液とした。
(反射防止フィルム501の作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液(HCL−501)を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコート501を作製した。このようにして得られたハードコート501の表面粗さはRa=0.02μm、RMS=0.03μm、Rz=0.25μmであった。(Ra(中心線平均あらさ)、RMS(自乗平均面あらさ)、Rz(n点平均あらさ)は、走査型プローブ顕微鏡システム SPI3800 セイコーインスツルメンツ(株)製にて測定)
ハードコート501上に実施例1の低屈折率層を塗設し、鹸化処理を行い実施例1に準じた評価を行った結果、本発明に従えば低反射で、耐擦傷性、密着性に優れた射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例6]
<反射防止フィルム付き偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例1に準じた評価を行った結果、本発明の低屈折率層を用いることにより同様の効果が得られた。
[実施例7]
作製した本発明の偏光板を装着したTN、IPS、VA、OCBのモードの透過型液晶表示装置の視認性、耐擦傷性、防汚性が優れていることが確認できた。
[実施例8]
実施例1の反射防止フィルム試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明において好ましく用いられるダイコーターの一実施形態を示す概略断面図である。 (A)図6のダイコーターの拡大図である。(B)従来のスロットダイを示す概略断面図である。 本発明において好ましく用いられる塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 図8の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。 図8の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。 本発明において用いられる、電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置の一例を示した模式図である。 本発明の電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置のウェッブ入り口面の動作の一例を示した側面図である。 本発明の電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置のウェッブ入り口面の動作の一例を示した側面図である。 図13の前室のウェッブ入り口面の動作を模式的に示した側面図である。 本発明の反射防止フィルムの反射防止層の塗設及び硬化を行なう装置の一例を示す図である。
符号の説明
A 送り出しロール
B 巻き取りロール
100,200,300,400 製膜ユニット
101,201,301,401 塗布液塗布工程
102,202,302,402 塗膜乾燥工程
103,203,303,403 塗膜硬化工程
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層
W ウェッブ
10 コーター
11 バックアップロール
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード形状
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド(平坦部)
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ
L 先端リップ17とウェッブWの隙間
30 スロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェッブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェッブWの間の隙間

Claims (13)

  1. 支持体上に反射防止層を有する反射防止フィルムであって、前記支持体上に積層された層の少なくとも一層が、下記式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で表される少なくとも1種の光重合開始剤A、前記式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)以外の少なくとも1種の光重合開始剤B、及び電離放射線硬化性化合物を含有する組成物を電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする反射防止フィルム。
    Figure 2007264291
    〔式(1a)および(1b)中、R及びR1は、互いに独立して、下記式(II):
    Figure 2007264291
    (式(II)において、
    R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11若しくは−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができる)の基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、または複素環基であり、
    但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1は、ナフチル、アントラシル、フェナントリル又は複素環基であり、基ナフチル、アントラシル、フェナントリル及び複素環は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらに炭素数1〜8のアルキル、フェニル、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15および−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15から選ばれる少なくとも一種で置換されることができるが、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、ナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の更なる置換基と一緒になって、又はナフチル環、アントラシル環、フェナントリル環若しくは複素環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;
    式(Ic)において、
    R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;
    或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができるが、
    但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
    式(Id)において、
    R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、CN、−C(O)R11または−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキル;又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、OR12、SR13、NR14R15、−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−O−(炭素数1〜6のアルキル)−NR14R15、−C(O)R11又はハロゲンであるか;非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり、ここで置換基OR12、SR13及びNR14R15は、基R12、R13、R14及び/若しくはR15を介して、フェニル環の更なる置換基と一緒に、又はフェニル環の炭素原子のうちの1個と一緒になって5又は6員環を形成することができ;、
    R10は、炭素数1〜8のアルキルであるか、非置換であるか又はA−X−、炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであるが;
    但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
    R11は、炭素数1〜8のアルキルであるか、非置換であるか又は炭素数1〜4のアルキル及び/若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり;
    R12及びR13は、互いに独立して水素;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、フェノキシ及び/若しくは−O(CO)R11で置換されている炭素数1〜12のアルキルであるか;1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或いは、フェニル、炭素数3〜6のアルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はナフチルであり、これらの基は、非置換であるか又は炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル及び/若しくは炭素数1〜4のアルキルで置換され;
    R14及びR15は、互いに独立して、水素;非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ及び/若しくはフェニルで置換されている炭素数1〜12のアルキル;1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;フェニル、−(CO)R11又はSOR16であるか;或いはR14及びR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−又は−NR17−により中断されている5、6又は7員環を形成し;
    R16は、炭素数1〜12のアルキル、非置換のフェニル又は炭素数1〜4のアルキルで置換されているフェニルであり;
    R17は、水素、非置換であるか又は−OH若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されている炭素数1〜8のアルキル;或いは非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルキル若しくは炭素数1〜4のアルコキシで置換されているフェニルであり;
    A及びA1は、互いに独立して、式(III)
    Figure 2007264291
    (式中、単位(IIIa1)、(IIIa2)、(IIIa3)、(IIIa4)、(IIIb)及び/又は(IIIc)
    Figure 2007264291
    は、ランダムに又はブロックで分布し、式中の円は、上記で定義された式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の芳香族基が、適切なシリル基により架橋Xを介して置換されていることを表すことが意図される)の界面活性基であるか;
    或いはA及びA1は、互いに独立して、界面活性基A0であり;
    nは1〜1000の数であり、但し、シロキサン出発材料がオリゴマーシロキサンの混合物である場合、nは、また、1未満であるが0を超えることができ;
    mは0〜100の数であり;
    pは0〜10000の数であり;
    A0は、炭素数6〜30のアルキル、炭素数6〜30のアルケニル、炭素数6〜30のアルキニル、炭素数6〜30のアラルキル、炭素数6〜30のアルキル−(CO)−、炭素数6〜30のアルケニル−(CO)−、炭素数6〜30のアルキニル−(CO)−、炭素数6〜30のアラルキル−(CO)−、炭素数6〜30のアルキル−Si(R18)(R19)−、炭素数6〜30のアルケニル−Si(R18)(R19)−又は炭素数6〜30のアルキニル−Si(R18)(R19)−であり、ここでこれらは、それぞれ非置換であるか又は−OH、炭素数1〜4のアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン、−CN、SR13、NR14R15及び/若しくは−O(CO)R11で置換され、場合により−O−、−S−又は−NR17−の1以上によって中断され;
    G1は、炭素数1〜18のアルキル又は下記式
    Figure 2007264291
    の基であり;
    G2は、炭素数1〜18のアルキル又は下記式
    Figure 2007264291
    の基であるか;
    或いはG1及びG2は共に単結合であり;
    R18、R19、R20、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル、フェニル、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル、炭素数2〜6のアミノアルキル又は炭素数5〜8のシクロアルキルであり;
    R21は、非置換の炭素数1〜18のアルキル、又はヒドロキシ、炭素数1〜12のアルコキシ、ハロゲン、炭素数3〜8のシクロアルキル及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されている炭素数1〜18のアルキルであるか;或いはR21は、非置換のフェニル、又は炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ及び/若しくはN(R14)(R15)で置換されているフェニルであるか;或いはR21は、炭素数5〜8のシクロアルキルであり;
    X及びX1は、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、単結合、−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、−U−炭素数6〜12のビシクロアルキレン)、1以上の不連続な(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、炭素数6〜12のビシクロアルキレン若しくは−U−(炭素数6〜12のビシクロアルキレン)により中断されている−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、1以上の不連続O及び炭素数3〜12のシクロアルキレン、−U−(炭素数3〜12のシクロアルキレン)、炭素数6〜12のビシクロアルキレン及び/若しくは−U−(炭素数6〜12のビシクロアルキレン)により中断されている−U−(炭素数1〜10のアルキレン)、
    Figure 2007264291
    −(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、−(CH−O−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、炭素数2〜10のアルケニレン、炭素数2〜10のアルキニレン、−(CH−O−、−O−(CH−、−O−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH−、(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−、−(CH−NR17−、−(CH−O−(CH−NR17−(CH−、−(CH−O−(CH−NR17−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−O−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−O−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−NR17−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−NR17−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−NR17−(CH−、−(炭素数2〜10のアルキニレン)−NR17−(CH−、−(炭素数2〜10のアルケニレン)−O−(CH−NR17−又は−(炭素数2〜10のアルキニレン)−O−(CH−NR17−であり;
    X及びX1は、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−であり;
    −U−は、−COO−、−(CH−COO−、−Si−又は(CH−Si−であり;
    a、b及びcは、互いに独立して、0〜10の数であるが、但し、当該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、これらは少なくとも1である〕
  2. 前記式(Ia)および(Ib)において、R及びR1が、互いに独立して、式(II):(式(II)において、R2、R3、R4、R5及びR6が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルである)の基またはナフチル基であり、
    但し、式(Ia)及び(Ib)において、R及び/又はR1が一般式(II)の基を表す場合、置換基A−X−又はA1−X1−の少なくとも1個が、基R及びR1のうちの少なくとも1個に存在するか;或いはR及びR1が、ナフチル基であり、該ナフチル基は、少なくとも1つの置換基A−X−又はA1−X1−を有しており、さらに炭素数1〜8のアルキル及び/若しくはOR12で置換されることができ;
    式(Ic)において、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、または1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであるが、但し、式(Ic)において、基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であり;
    式(Id)において、R2、R3、R4及びR5が、互いに独立して、水素;A−X−、A1−X1−、非置換の炭素数1〜12のアルキル、又は1以上の不連続な酸素原子により中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、OR12、ハロゲン若しくは非置換のフェニルであり;R10が、炭素数1〜8のアルキル、又は非置換であるか若しくはA−X−で置換されているフェニルであるが;但し、式(Id)において、基R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1個がA−X−又はA1−X1−であるか、又は置換基R10が基A−X−を含んでおり;
    R12が、水素若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキルであるか;又は、1以上の不連続酸素原子で中断されている炭素数2〜12のアルキルであるか;或は、フェニル、炭素数3〜6のアルケニル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルであり;
    R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27が、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル又はフェニルであり;
    X及びX1が、A又はA1が式(III)の基である場合、互いに独立して、炭素数1〜10のアルキレン、−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH、−(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR17−(CH−又は−(CH−NR17−であり;
    X及びX1が、A又はA1がA0を表す場合、互いに独立して、単結合、−O−、−S−又は−NR17−であることを特徴とする請求項1の反射防止フィルム。
  3. 前記式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の化合物において、A及びA1が前記式(III)の基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記電離放射線硬化性化合物が、二個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記電離放射線硬化性化合物が、含フッ素ポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記含フッ素ポリマーが、下記一般式1で表されるであることを特徴とする請求項5に記載の反射防止フィルム。
    Figure 2007264291
    〔一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。また、シリコーン部位を含んでいても良い。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。〕
  7. 前記組成物が、無機粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 前記無機粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする請求項7に記載の反射防止フィルム。
  9. 前記無機粒子が、中空構造を有し、屈折率が1.15〜1.40の範囲であることを特徴とする請求項7又は8に記載の反射防止フィルム。
  10. 前記組成物が、更にオルガノシラン化合物、該オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  11. 前記組成物がポリシロキサン化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  12. 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一つが請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
  13. 請求項1〜11に記載の反射防止フィルム、又は請求項12に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
JP2006089031A 2006-03-28 2006-03-28 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Pending JP2007264291A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089031A JP2007264291A (ja) 2006-03-28 2006-03-28 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089031A JP2007264291A (ja) 2006-03-28 2006-03-28 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007264291A true JP2007264291A (ja) 2007-10-11

Family

ID=38637343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006089031A Pending JP2007264291A (ja) 2006-03-28 2006-03-28 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007264291A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010145622A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 液晶素子用感圧接着剤組成物
JP2013523751A (ja) * 2010-03-30 2013-06-17 サーモディクス,インコーポレイテッド 分解性光架橋剤
US10315987B2 (en) 2010-12-13 2019-06-11 Surmodics, Inc. Photo-crosslinker

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1177878A (ja) * 1997-07-11 1999-03-23 Asahi Glass Co Ltd 透明被覆成形品
JP2004522819A (ja) * 2000-12-13 2004-07-29 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド 界面活性光開始剤
JP2005196122A (ja) * 2003-12-12 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2005283628A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム及びその製造方法、製造装置
JP2005284142A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Tomoegawa Paper Co Ltd 低反射部材

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1177878A (ja) * 1997-07-11 1999-03-23 Asahi Glass Co Ltd 透明被覆成形品
JP2004522819A (ja) * 2000-12-13 2004-07-29 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド 界面活性光開始剤
JP2005196122A (ja) * 2003-12-12 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2005283628A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム及びその製造方法、製造装置
JP2005284142A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Tomoegawa Paper Co Ltd 低反射部材

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010145622A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 液晶素子用感圧接着剤組成物
JP2013523751A (ja) * 2010-03-30 2013-06-17 サーモディクス,インコーポレイテッド 分解性光架橋剤
US9487663B2 (en) 2010-03-30 2016-11-08 Surmodics, Inc. Photoactivatable crosslinker
US9994721B2 (en) 2010-03-30 2018-06-12 Surmodics, Inc. Photoactivatable crosslinker
US10253193B2 (en) 2010-03-30 2019-04-09 Surmodics, Inc. Photoactivatable crosslinker
US10745573B2 (en) 2010-03-30 2020-08-18 Surmodics, Inc. Photoactivatable crosslinker
US10315987B2 (en) 2010-12-13 2019-06-11 Surmodics, Inc. Photo-crosslinker
US10941112B2 (en) 2010-12-13 2021-03-09 Surmodics, Inc. Photo-crosslinker

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5114438B2 (ja) 光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置
JP5102958B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2007249191A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007264113A (ja) 光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2007108724A (ja) 防眩性反射防止フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置
JP4991332B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP4905775B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置及び反射防止フイルムの製造方法
JP2007102208A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、並びに該光学フィルムまたは該反射防止フィルムを用いた偏光板および画像表示装置
JP5358080B2 (ja) 無機微粒子、組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
US20120194907A1 (en) Antiglare film, polarizing plate, image display, and method for producing the antiglare film
JP2007133162A (ja) 防眩性フィルム、その製造方法、これを用いた偏光板および画像表示装置
JP2007169330A (ja) 透明フィルム、光学フィルム、透明フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置
JP2007233375A (ja) 反射防止フィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置
JP4792305B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007196164A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007034213A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置
JP4393232B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2007256651A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007238675A (ja) 硬化性組成物、硬化性組成物の製造方法、光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2009251190A (ja) 光学フィルム、偏光板、画像表示装置
JP2007233374A (ja) ハードコートフィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置
JP2007219088A (ja) 反射防止フィルムおよびそれを用いた偏光板ならびに画像表示装置
JP2007102206A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板およびそれらを用いた画像表示装置
JP2007199409A (ja) 光学フイルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置
JP4914564B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110401

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110720

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111216

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120515