JP2007263325A - 油圧緩衝器のピストン - Google Patents
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Abstract
【課題】 油圧緩衝器において、板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上し、低速減衰力の安定を図ること。
【解決手段】 ダンパシリンダ11内の油室38A、38Bを2分し、2つの油室38A、38Bを連通する流路39、40を備え、流路39、40の出口に板バルブ32、34を設けた油圧緩衝器10のピストン33において、磁化されたもの。
【選択図】 図2
【解決手段】 ダンパシリンダ11内の油室38A、38Bを2分し、2つの油室38A、38Bを連通する流路39、40を備え、流路39、40の出口に板バルブ32、34を設けた油圧緩衝器10のピストン33において、磁化されたもの。
【選択図】 図2
Description
本発明は油圧緩衝器のピストンに関する。
従来、特許文献1に記載の如く、ダンパシリンダ内の油室を2分するピストンに2つの油室を連通する油通路を備え、油通路の出口に板バルブを設け、板バルブが内端側に設けたサポートを支点にして開閉される油圧緩衝器において、サポートに湾曲したガイド面を形成し、ガイド面に沿って板バルブが撓むようにすることでサポートの外径を小さくする技術が開示されている。
特開2003-227535
しかしながら、油圧緩衝器では、ダンパシリンダに挿入されたピストンロッドの周囲に、ピストンと板バルブとサポートとバルブストッパを順に積層し、これらをナットで締結するようにしている。このとき、ピストンに備えた流路の出口を該ピストンの端面に開口し、該ピストンの端面における流路の出口より内径側に板バルブの内周部が締結されるバルブ締結面を設け、該ピストンの端面における流路の出口の周囲に板バルブの外周部が着座するバルブシート面を設けるようにしている。
即ち、従来の油圧緩衝器においては、ナットの締結力がサポートを介して、板バルブの全面に均一にかかるのでなく、板バルブの内周部(サポートとの対応面)に強くかかる。このため、ピストンの端面において、前述のバルブ締結面とバルブシート面が面一に形成されていても、ナットの締結力が板バルブの内周部に強くかかることで、板バルブの内周部が外周部よりも強く加圧されて変形し、結果として板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する反り変形を生じてその閉鎖習性を弱くする。このことは、板バルブの外周部がピストン低速域でピストンのバルブシート面に対し開き隙間を生じ易くなることを意味し、油圧緩衝器の低速減衰力を徒らに低下するおそれがある。この傾向は、板バルブの外径に対しサポートの外径が小さくなるほど顕著になる。
本発明の課題は、油圧緩衝器において、板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上し、低速減衰力の安定を図ることにある。
請求項1の発明は、ダンパシリンダ内の油室を2分し、2つの油室を連通する流路を備え、流路の出口に板バルブを設けた油圧緩衝器のピストンにおいて、磁化されたものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のピストンを用いた油圧緩衝器であって、ダンパシリンダに挿入されたピストンロッドの周囲に、ピストンと板バルブとサポートとバルブストッパを順に積層して締結し、ピストンに備えた流路の出口を該ピストンの端面に開口し、該ピストンの端面における流路の出口より内径側に板バルブの内周部が締結されるバルブ締結面を設け、該ピストンの端面における流路の出口の周囲に板バルブの外周部が着座するバルブシート面を設けてなるようにしたものである。
(請求項1)
(a)ピストンを磁化させることで、板バルブを背面から加圧してピストンのバルブシート面に押し付けるバルブスプリング等を必要とすることなく、鉄系金属等の強磁性体からなる板バルブをピストンのバルブシート面に吸引密着させる。板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上し、油圧緩衝器の低速減衰力の安定を図ることができる。
(a)ピストンを磁化させることで、板バルブを背面から加圧してピストンのバルブシート面に押し付けるバルブスプリング等を必要とすることなく、鉄系金属等の強磁性体からなる板バルブをピストンのバルブシート面に吸引密着させる。板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上し、油圧緩衝器の低速減衰力の安定を図ることができる。
(請求項2)
(b)油圧緩衝器では、ナットの締結力がサポートを介して、板バルブの全面に均一にかかるのでなく、板バルブの内周部(サポートとの対応面)に強くかかる。このため、ピストンの端面において、バルブ締結面とバルブシート面が面一に形成されていても、ナットの締結力が板バルブの内周部に強くかかることで、板バルブの内周部が外周部よりも強く加圧されて変形し、結果として板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する反り変形を生じ易くなる。ところが、本発明の油圧緩衝器では、磁化されたピストンの磁力が板バルブを上述の反り変形力に抗してピストンのバルブシート面に吸引密着させ、板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上できる。
(b)油圧緩衝器では、ナットの締結力がサポートを介して、板バルブの全面に均一にかかるのでなく、板バルブの内周部(サポートとの対応面)に強くかかる。このため、ピストンの端面において、バルブ締結面とバルブシート面が面一に形成されていても、ナットの締結力が板バルブの内周部に強くかかることで、板バルブの内周部が外周部よりも強く加圧されて変形し、結果として板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する反り変形を生じ易くなる。ところが、本発明の油圧緩衝器では、磁化されたピストンの磁力が板バルブを上述の反り変形力に抗してピストンのバルブシート面に吸引密着させ、板バルブの外周部がピストンのバルブシート面に対する閉鎖性を向上できる。
図1は油圧緩衝器を示す断面図、図2はピストンバルブ装置を示す拡大断面図、図3はピストンを示す断面図、図4は図3のIV方向から視た端面図、図5は図3のV方向から視た端面図である。
油圧緩衝器10は、図1、図2に示す如く、ダンパシリンダ11に中空ピストンロッド12を挿入し、シリンダ11とピストンロッド12の外側部に懸架スプリング13を介装している。
シリンダ11は車体側取付部材14を備え、ピストンロッド12に車輪側取付部材15を備える。シリンダ11の外周部にはばね荷重調整ナット16が螺着され、ナット16にバックアップされるばね受け17が設けられるとともに、ピストンロッド12にはばね受け18が固定されており、ばね受け17とばね受け18の間に懸架スプリング13を介装し、ばね荷重調整ナット16の螺動操作により懸架スプリング13の設定長さ(初期荷重)を調整可能としている。懸架スプリング13の弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
シリンダ11はピストンロッド12が貫通するロッドガイド21をその開口部に備える。ロッドガイド21は、図1に示す如く、Oリング22A、ストッパリング22Bを介してシリンダ11に液密に装着されるとともに、オイルシール23、ブッシュ24、ダストシール25を備える内径部にピストンロッド12を液密に摺動自在としている。尚、シリンダ11は、ロッドガイド21の外側に圧側バンパ26を備え、最圧縮時に、ピストンロッド12が備えるバンパストッパ27にこの圧側バンパ26を衝合して最圧縮ストロークを規制可能としている。また、シリンダ11は、ロッドガイド21の内側にワッシャ28、ストッパリング29を備えている。
油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置(圧側及び伸側減衰力発生装置)30を有している。油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置30が発生する減衰力により、懸架スプリング13による衝撃力の吸収に伴うシリンダ11とピストンロッド12の伸縮振動を抑制する。
ピストンバルブ装置30は、図1に示す如く、シリンダ11に挿入されたピストンロッド12の端部にバルブストッパ31、サポート32A、圧側板バルブ32、ピストン33、伸側板バルブ34、サポート34A、バルブストッパ35を順に挿着して積層し、これらをナット36で締結してある。
ピストン33は、外周部に備えたOリング37A、ピストンリング37Bを介してシリンダ11の内部を液密に摺接し、シリンダ11の内部をピストンロッド12が収容されないピストン側油室38Aと、ピストンロッド12が収容されるロッド側油室38Bとに区画する。ピストン33は、圧側板バルブ32を備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能とする圧側流路39と、伸側板バルブ34を備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能とする伸側流路40とを備える。
また、ピストンバルブ装置30は、伸側減衰力調整装置41を有している。
減衰力調整装置41は、ピストンロッド12及びバルブストッパ31にピストン側油室38Aとロッド側油室38Bを連通可能とするバイパス流路42を形成し、このバイパス流路42をピストン側油室38Aに開口する縦孔とロッド側油室38Bに開口する横孔により構成している。減衰力調整装置41は、ピストンロッド12の中空部に調整ロッド43を軸方向に進退自在に、かつOリングを介して液密に挿入され、先端のニードル弁43Aによりバイパス流路42の縦孔の開放端に設けてあるバルブシート44の開口面積を調整する。このとき、調整ロッド43は、その基端部をピストンロッド12から取付部材15の側に延在し、その基端部の端面をアジャスタ45に衝合せしめている。アジャスタ45は車輪側取付部材15に設けられ、回転操作工具により回転操作されて調整ロッド43を軸方向に進退せしめる。
減衰力調整装置41は、ピストンロッド12及びバルブストッパ31にピストン側油室38Aとロッド側油室38Bを連通可能とするバイパス流路42を形成し、このバイパス流路42をピストン側油室38Aに開口する縦孔とロッド側油室38Bに開口する横孔により構成している。減衰力調整装置41は、ピストンロッド12の中空部に調整ロッド43を軸方向に進退自在に、かつOリングを介して液密に挿入され、先端のニードル弁43Aによりバイパス流路42の縦孔の開放端に設けてあるバルブシート44の開口面積を調整する。このとき、調整ロッド43は、その基端部をピストンロッド12から取付部材15の側に延在し、その基端部の端面をアジャスタ45に衝合せしめている。アジャスタ45は車輪側取付部材15に設けられ、回転操作工具により回転操作されて調整ロッド43を軸方向に進退せしめる。
油圧緩衝器10は、シリンダ11のピストン側油室38Aに圧側減衰力調整装置50を介してサブタンク51を接続している。サブタンク51は、キャップ52で封止される内部を隔壁部材53により油室54Aとガス室54Bに区画し、ガス室54Bに加圧ガスを封入するガス封入バルブ55を備える。
従って、油圧緩衝器10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
ピストン側油室38Aの油が圧側流路39を通ってロッド側油室38Bに流れ、この油が圧側板バルブ32を撓み変形させて圧側の減衰力を得る。これに続き、シリンダ11に進入したピストンロッド12の進入容積分の油が余剰になり、この余剰油がピストン側油室38Aから圧側減衰力調整装置50の圧側流路を通ってサブタンク51の油室54Aに排出され、この間の圧側減衰力調整装置50のニードル弁による絞り抵抗により圧側減衰力を得るものとなる。
(圧縮時)
ピストン側油室38Aの油が圧側流路39を通ってロッド側油室38Bに流れ、この油が圧側板バルブ32を撓み変形させて圧側の減衰力を得る。これに続き、シリンダ11に進入したピストンロッド12の進入容積分の油が余剰になり、この余剰油がピストン側油室38Aから圧側減衰力調整装置50の圧側流路を通ってサブタンク51の油室54Aに排出され、この間の圧側減衰力調整装置50のニードル弁による絞り抵抗により圧側減衰力を得るものとなる。
(伸長時)
シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側減衰力調整装置41のニードル弁43Aにより開度調整されているピストンロッド12のバイバス流路42を通ってピストン側油室38Aに流れ、この間のニードル弁43Aによる絞り抵抗により伸側減衰力を得る。また、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側流路40を通り、伸側板バルブ34を撓み変形させてピストン側油室38Aへ流れ、伸側の減衰力を得る。そしてこのとき、シリンダ11から退出するピストンロッド12の退出体積分の油が不足し、この不足油がサブタンク51の油室54Aから圧側減衰力調整装置50の伸側流路を通ってピストン側油室38Aへ速やかに補給される。
シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側減衰力調整装置41のニードル弁43Aにより開度調整されているピストンロッド12のバイバス流路42を通ってピストン側油室38Aに流れ、この間のニードル弁43Aによる絞り抵抗により伸側減衰力を得る。また、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側流路40を通り、伸側板バルブ34を撓み変形させてピストン側油室38Aへ流れ、伸側の減衰力を得る。そしてこのとき、シリンダ11から退出するピストンロッド12の退出体積分の油が不足し、この不足油がサブタンク51の油室54Aから圧側減衰力調整装置50の伸側流路を通ってピストン側油室38Aへ速やかに補給される。
これらの圧側と伸側の減衰力により、油圧緩衝器10の伸縮振動が抑制される。
尚、油圧緩衝器10の最圧縮時には、シリンダ11の側のバンパ26とピストンロッド12の側のバンパストッパ27との衝合により最圧縮時の緩衝作用を果たす。
尚、油圧緩衝器10の最圧縮時には、シリンダ11の側のバンパ26とピストンロッド12の側のバンパストッパ27との衝合により最圧縮時の緩衝作用を果たす。
また、油圧緩衝器10は、シリンダ11内のロッド側油室38Bに位置するピストンロッド12上におけるピストン33寄りにオイルロックピース61を固定し、ピストンロッド12上におけるロッドガイド21寄りにオイルロックケース62を摺動自在に設け、オイルロックピース61をオイルロックケース62に嵌合させることによりオイルロック油室63を区画形成する。
油圧緩衝器10は、オイルロックピース61の基部と、オイルロックケース62の基部のそれぞれに、オイルロックピース61をオイルロックケース62から退出する方向に付勢するスプリング65の両端部のそれぞれを圧入して固定する。スプリング65は、ロッドガイド21の側の衝合部66(ワッシャ28)がオイルロックケース62の基部背面に衝合したときに圧縮され、ピストンロッド12の最伸長時の緩衝をなすリバウンドスプリングをも構成する。
しかるに、油圧緩衝器10は、圧縮時と伸長時の双方で、低速減衰力の安定を図るため、以下の構成を備える(図3〜図5)。尚、図3は、図4のIII−III線に沿う断面図であり、かつ図5のIII−III線に沿う断面図である。
ピストン33を磁化する。即ち、鉄系金属等からなるピストン33を磁化して永久磁石にする。このとき、圧側板バルブ32と伸側板バルブ34は鉄系金属等の強磁性体からなり、ピストン33に備えた圧側流路39の出口が開口している端面と、ピストン33に備えた伸側流路40の出口が開口している端面のそれぞれに吸引密着するものになる。
ピストン33は、図3、図4に示す如く、圧側流路39の出口を一方の端面に開口し、この端面における各圧側流路39の出口より内径側であって、該ピストン33の全周に渡る範囲に、圧側板バルブ32の内周部が締結される環状バルブ締結面71Aを設け、この端面における各圧側流路39の出口の周囲であって、該ピストン33の全周に渡る範囲に、圧側板バルブ32の外周部が着座する環状バルブシート面71Bを設け、この端面における各圧側流路39の出口の内周側傍であって、各圧側流路39毎に離隔する各部に、圧側板バルブ32を支持して伸長行程における圧側板バルブ32の撓み変形を防止するバルブ支持突部71Cを設けてある。本実施例のバルブ締結面71Aの外径はサポート32Aの外径より大径をなす。本実施例のバルブシート面71Bは全4個の圧側流路39の出口の外側にて連続する異形環状をなし、バルブ締結面71Aとバルブシート面71Bに挟まれる異形環状溝39Aが全圧側流路39の出口を互いに連絡する。ピストン33の上述した端面に設けたバルブ締結面71A、バルブシート面71B、バルブ支持突部71Cは互いに面一をなす。
従って、圧側板バルブ32は、ピストンロッド12に前述の如く挿着され、ナット36の締結力によりサポート32Aとともにバルブストッパ31とピストン33の間に挟着されて締結されたとき、磁化されたピストン33のバルブ締結面71A、バルブシート面71B、バルブ支持突部71Cにその全面を吸引密着するものになる。これにより、圧側板バルブ32は、油圧緩衝器10の圧縮時に、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ピストン側油室38Aの小油圧が作用しても、該圧側板バルブ32の外周部をピストン33のバルブシート面71Bから容易には剥離させずに圧側流路39を閉鎖し続け、ピストン側油室38Aからロッド側油室38Bへの油のリークを防止し、低速減衰力の安定を図る。また、圧側板バルブ32は、油圧緩衝器10の伸長時に、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速でロッド側油室38Bの油圧が未だ小油圧のとき、該圧側板バルブ32の外周部をピストン33のバルブシート面71Bに密着維持して圧側流路39を閉鎖し続け、ロッド側油室38Bからピストン側油室38Aへの油の流れを確実に逆止し、低速減衰力の安定を図る。
また、ピストン33は、図3、図5に示す如く、伸側流路40の出口を他方の端面に開口し、この端面における各伸側流路40の出口より内径側であって、該ピストン33の全周に渡る範囲に、伸側板バルブ34の内周部が締結される環状バルブ締結面72Aを設け、この端面における各伸側流路40の出口の周囲であって、該ピストン33の全周に渡る範囲に、伸側板バルブ34の外周部が着座する環状バルブシート面72Bを設ける。本実施例のバルブ締結面72Aの外径はサポート34Aの外径より大径をなす。本実施例のバルブシート面72Bは全4個の伸側流路40の出口の外側にて連続する異形環状をなし、バルブ締結面72Aとバルブシート面72Bに挟まれる異形環状溝40Aが全伸側流路40の出口を互いに連絡する。ピストン33の上述した端面に設けたバルブ締結面72A、バルブシート面72Bは互いに面一をなす。
従って、伸側板バルブ34は、ピストンロッド12に前述の如く挿着され、ナット36の締結力によりサポート34Aとともにバルブストッパ35とピストン33の間に挟着されて締結されたとき、磁化されたピストン33のバルブ締結面72A、バルブシート面72Bにその全面を吸引密着するものになる。これにより、伸側板バルブ34は、油圧緩衝器10の伸長時に、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ロッド側油室38Bの小油圧が作用しても、該伸側板バルブ34の外周部をピストン33のバルブシート面72Bから容易には剥離させずに伸側流路40を閉鎖し続け、ロッド側油室38Bからピストン側油室38Aへの油のリークを防止し、低速減衰力の安定を図る。また、伸側板バルブ34は、油圧緩衝器10の圧縮時に、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速でピストン側油室38Aの油圧が未だ小油圧のとき、該伸側板バルブ34の外周部をピストン33のバルブシート面72Bに密着維持して伸側流路40を閉鎖し続け、ピストン側油室38Aからロッド側油室38Bへの油の流れを確実に逆止し、低速減衰力の安定を図る。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ピストン33を磁化させることで、板バルブ32、34を背面から加圧してピストン33のバルブシート面71B、72Bに押し付けるバルブスプリング等を必要とすることなく、鉄系金属等の強磁性体からなる板バルブ32、34をピストン33のバルブシート面71B、72Bに吸引密着させる。板バルブ32、34の外周部がピストン33のバルブシート面71B、72Bに対する閉鎖性を向上し、油圧緩衝器10の低速減衰力の安定を図ることができる。
(a)ピストン33を磁化させることで、板バルブ32、34を背面から加圧してピストン33のバルブシート面71B、72Bに押し付けるバルブスプリング等を必要とすることなく、鉄系金属等の強磁性体からなる板バルブ32、34をピストン33のバルブシート面71B、72Bに吸引密着させる。板バルブ32、34の外周部がピストン33のバルブシート面71B、72Bに対する閉鎖性を向上し、油圧緩衝器10の低速減衰力の安定を図ることができる。
(b)油圧緩衝器10では、ナット36の締結力がサポート32A、34Aを介して、板バルブ32、34の全面に均一にかかるのでなく、板バルブ32、34の内周部(サポート32A、34Aとの対応面)に強くかかる。このため、ピストン33の端面において、バルブ締結面71A、72Aとバルブシート面71B、72Bが面一に形成されていても、ナット36の締結力が板バルブ32、34の内周部に強くかかることで、板バルブ32、34の内周部が外周部よりも強く加圧されて変形し、結果として板バルブ32、34の外周部がピストン33のバルブシート面71B、72Bに対する反り変形を生じ易くなる。ところが、本発明の油圧緩衝器10では、磁化されたピストン33の磁力が板バルブ32、34を上述の反り変形力に抗してピストン33のバルブシート面71B、72Bに吸引密着させ、板バルブ32、34の外周部がピストン33のバルブシート面71B、72Bに対する閉鎖性を向上できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
10 油圧緩衝器
11 ダンパシリンダ
12 ピストンロッド
31 バルブストッパ
32 圧側板バルブ
32A サポート
33 ピストン
34 伸側板バルブ
34A サポート
35 バルブストッパ
36 ナット
38A ピストン側油室
38B ロッド側油室
39 圧側流路
40 伸側流路
71A、72A バルブ締結面
71B、72B バルブシート面
11 ダンパシリンダ
12 ピストンロッド
31 バルブストッパ
32 圧側板バルブ
32A サポート
33 ピストン
34 伸側板バルブ
34A サポート
35 バルブストッパ
36 ナット
38A ピストン側油室
38B ロッド側油室
39 圧側流路
40 伸側流路
71A、72A バルブ締結面
71B、72B バルブシート面
Claims (2)
- ダンパシリンダ内の油室を2分し、2つの油室を連通する流路を備え、流路の出口に板バルブを設けた油圧緩衝器のピストンにおいて、磁化されたことを特徴とする油圧緩衝器のピストン。
- 請求項1に記載のピストンを用いた油圧緩衝器であって、
ダンパシリンダに挿入されたピストンロッドの周囲に、ピストンと板バルブとサポートとバルブストッパを順に積層して締結し、
ピストンに備えた流路の出口を該ピストンの端面に開口し、該ピストンの端面における流路の出口より内径側に板バルブの内周部が締結されるバルブ締結面を設け、該ピストンの端面における流路の出口の周囲に板バルブの外周部が着座するバルブシート面を設けてなる油圧緩衝器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2006
- 2006-03-29 JP JP2006092391A patent/JP2007263325A/ja not_active Withdrawn
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