JP2007262531A - 電解セルおよび該電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数層の電極2…2と各電極間に介在するスペーサ3を有し、前記両端の電極外側から圧縮固定した電極ユニット1と、電極ユニットの両端の電極にそれぞれ接続した一対の通電体を具備し、電極外側から通電体により挟み込み圧縮固定する。好適には、電極ユニット外側に、電極ユニットを弾性力で内側に押圧する第1弾性部材を設け、電極ユニットの外周外側に電極ユニットを弾性力で内側に押圧する第2弾性部材を設ける。電極ユニットに、外周外側で第2弾性部材による押圧力、内周側で第1弾性部材による押圧力を加えて圧縮固定する。耐圧性の向上によって電極の破損が防止され、電極の交換コストの増大や、交換に伴うスループットの低下を回避でき、また大流量の電解液を処理できる。
【選択図】図5
Description
本願発明者等は、洗浄効果の高い過硫酸を連続して、しかも多量に供給し続ける技術を発明している。すなわち硫酸溶液を電解処理することで過硫酸を連続的に生成して硫酸をリサイクルする洗浄システムを開発した。
該電解セルの構成としては、例えば、容器の相対する1対の壁面に窓を設け、直流電源に接続した通電板との接触面に通電性ペーストで接合したダイヤモンド等の電極板をその1対の窓にシール材を挟んで取り付け、さらにそれらの電極間に複数の電極板を電極板間距離を1〜10mmほど絶縁材で保つ様に多層に並べ、その各電極間に電解液が通液できる構造が考えられる。一番外側の電極板の外面から通電板を経て直流電気を通電する時、中間に設けた電極板はバイポーラ電極として作用する。
特にダイヤモンド電極のうち、基板上にダイヤモンド膜を積層させた後に基板を取り去った自立型電極は、金属電極と比べて強度が弱く、又、柔軟性がなく脆い為、大きな圧力が加わると、容易に割れてしまう。電極の周辺を固定しただけで、中央部に支えがない場合、サイズが大きくなればなるほど、また板厚が薄ければ薄くなるほど破損し易いことになる。
よって、従来型の電解セルでは耐圧性が十分でなく、電解液の流入圧が大きい使用状態では電極が破損してしまうおそれがある。特に、電極としてダイヤモンド電極を用いる場合、電極自体が高価であるため破損した場合の交換コストが他の電極に比べ非常に高額になってしまう。また、電解液として高濃度硫酸といった取扱上危険な化学物質を用いる場合には電極の破損によって電解液が漏洩するという危険性もある。そして何より電極破損によるスループットが低下するという問題がある。
この洗浄システムの概略を以下に述べる。1)高濃度硫酸溶液から過硫酸溶液を製造する電解反応装置、2)シリコンウエハ、液晶用ガラス基板、フォトマスク基板など電子材料基板を洗浄する洗浄装置、3)高濃度硫酸溶液を循環させるポンプや配管で構成される循環ラインを備え、さらに所望により、4)電解反応装置からの送り液と洗浄槽からの戻り液の熱を回収する熱交換器、5)電解反応装置出口において気液分離して、水素を燃焼させる触媒処理装置などを有する。
電解反応装置では、高濃度硫酸溶液を電解し、洗浄効果を高める過硫酸を生成する。溶液温度が低いほど過硫酸生成効率が高いことから、過硫酸を生成するときの電解温度は10〜90℃で、好ましくは40〜80℃の範囲で行う。このような電解反応装置内の電極材料として、陽極として白金電極を用いた場合では、過硫酸を効率的に製造することができず、白金が溶出するという問題がある。そこで、導電性ダイヤモンド電極によって、硫酸から過硫酸を製造することは、電流密度を0.2A/cm2程度にした場合については報告されている(Ch.Comninellis et al.,Electrochemical and Solid−State Letters, Vol.3(2)77−79(2000)、特表2003−511555)。なお、金属等の基板にダイヤモンド薄膜を担持した電極ではダイヤモンド膜の剥離が生じて、作用効果が短期間で消失する場合があるという問題があるので、基板上に析出させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極が望ましい。なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。
電解反応装置における電解処理は、電極表面の電流密度を10〜100,000A/m2とし、硫酸溶液を電極面と平行方向に、通液線速度を1〜10,000m/hで接触処理させることが望ましい。
洗浄温度は、その温度が高いほどレジスト等有機物の除去効果が高く、一般的に100〜150℃で洗浄することが多い。したがって、本発明では、電解反応装置から洗浄装置への送り液と洗浄装置から電解反応装置への戻り液を熱交換することが望ましい。電解反応装置から排出されるガスは、溶液中に含まれる水の電解によるものであり、陰極から水素が陽極から酸素が発生する。これらが、配管内で、混合した状態で流動するので、溶液と配管内で発生する静電気などにより引火したり、爆発したりする。本発明では、電解セル直後の配管途中に水素の爆発限界を下回る様に空気又は窒素を供給し、電解液と希釈ガスを分離する気液分離器を設け、電解液のみを配管で次工程に通液する。希釈ガスはミストセパレータを通して、大気開放するか触媒による燃焼装置で処理する。
特に、半導体産業において、シリコンウエハなどの基板上に付着した汚染物を高濃度硫酸溶液で洗浄剥離するプロセスに好適なものであって、アッシングプロセスなどの前処理工程を省略してレジスト剥離・酸化効果を高めるために過硫酸溶液を10℃から90℃の温度範囲で前記電解セルによってオンサイト製造し、硫酸溶液を繰り返し利用して外部からの過酸化水素やオゾンなどの薬液添加を必要としない洗浄システムを構築することができる。
電解ユニット1を構成する電極として方形状の複数枚のダイヤモンド電極2…2を用意する。該ダイヤモンド電極2は、基板状にダイヤモンド薄膜を形成するとともに、該ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、好適には50〜20,000ppmの範囲でボロンをドープすることにより製造し、好適には薄膜形成後に基板を取り去って自立型とする。
なお、上記電解液導入口302aは、断面積を比較的小さくすることで、該電解液導入口302aに至る電解液の内圧を高めて、各電解液導入口302aから各電解液通液部302に至る電解液量が同等になるように設定されている。
上記スペーサ3…3は、電解液導入口302aが下方に位置し、電解液送出口302bが上方に位置するようにして、各ダイヤモンド電極2、2の間に設置して、電極ユニット1を構成する。
上記電極ユニット1の両端のダイヤモンド電極2、2両側に挟み込む銅合金板製の通電体4、4は、ダイヤモンド電極2と相似形状で方形状に小さく形成されており、その外側面には、本発明の第1の弾性部材としての加圧スプリングの一端を収納するスプリング収納凹部4a…4aが等間隔の3行×3列の位置において中央部を除いて形成されており、中央部には、通電棒5がねじ込み固定されている。通電棒5と外部電源(図示しない)は、着脱が容易なプラグインコネクタを使用するものとする。
また、胴体11の径方向対向位置には、前記スペーサの電解液導入口302aが位置する側に電解液導入穴13aが内外周に貫通するように形成され、前記スペーサの電解液送出口302bが位置する側に電解液送出穴13bが内外周に貫通するように形成されている。上記により、電解液導入穴13a側において環状突部12と電極ユニット1との間に電解液導入側ヘッダ空間14aが確保され、電解液送出穴13b側において環状突部12と電極ユニット1との間に電解液送出側ヘッダ空間14bが確保されている。
なお、上記フランジ15、15の中央部には貫通穴が形成されて前記した通電棒5が挿通している。
上記した通電棒5、5の一方を正極、他方を負極にして、図示しない電源を接続して通電するとともに、電解液導入穴13aに電解液を送り込む。この際には、好適には、電解セル100は、電解液送出口302b側を上方にして配置する。
すると、該電解液は、電解液導入側ヘッダ空間14aに流入する。この際に、スペーサ3に設けられた電解液導入口302aは、電解液送出口302bに比べて十分に小さい(相対的に小さい)断面積で形成されており、電解液導入側ヘッダ空間14aの内圧が高まる。これにより各スペーサ3の電解液導入口302a…302aに略同じ流量で電解液が流入する。電解液導入口302aを通過した電解液は、続いて各電解液通液部302内に流入し、該電解液通液部302に沿って通液される。
本発明の洗浄装置に相当する洗浄槽101には、電解反応装置が戻り管102と送り管104とによって接続されている。電解反応装置は、2つの電解セル100、100を並列に接続し、それぞれの電極には電解セル100、100が直列になるように直流電源108を接続することで構成されている。
例えば、97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を洗浄槽101に入れて、ヒーター112により130℃に加熱保持する。これを送液ポンプ105によって戻り管102を通して、電解セル100、100に送液する。この際に電解セル100、100の通液線速度が1〜10,000m/hrとなるように前記送液ポンプ105の出力を設定するのが望ましい。なお、電解セル100、100における通電では、ダイヤモンド電極表面での電流密度が10〜100,000A/m2となるように通電制御するのが望ましい。
洗浄槽101内では、自己分解によって過硫酸イオン濃度が漸減するものの電解反応装置との間で溶液が循環し、電解セル100、100において電解されて過硫酸イオンが生成されることから、高い過硫酸イオン濃度が維持される。なお、この実施形態では、立ち上げ時に硫酸から過硫酸を製造する過程について説明したが、本発明としては、当初から過硫酸が用意されているものであってもよい。ただし、オンサイトで過硫酸を製造するという点では、電解セルを用いて過硫酸を製造することが有利である。
上記硫酸リサイクル型洗浄システムによって半導体ウエハ140の洗浄を行うことで、過酸化水素水やオゾンの添加を必要とすることなく、過硫酸溶液を繰り返し使用して過硫酸溶液を再生しつつ効果的な洗浄を継続することができる。
前記した実施形態では、スペーサにおける電解液導入口を十分に小さくすることで電解液導入口直前の内圧を高め、これにより各スペーサに同等の電解液が流入するようにしている。これは、電解液を電極ユニットに導入する際に、スペーサの幅方向において中央ほど電解液が流入しやすく、端部側ほど流入しづらくなって流入量に差が生じるのを避けるためである。
また、電解液導入口は、スペーサーの厚み方向の内側に設ける孔の他、電極に接する両端部にスリット形状で設けるようにしてもよい。
以下に、本発明の実施例を比較例と比較しつつ説明する。
97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を調製して40℃に保持した。本発明の電解セルに、直径15cm、厚さ1mmのSi基板にボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ槽を2槽並列に配列させた。電解のための有効陽極面積は30dm2であり、電流密度を30A/dm2に設定して、40℃で硫酸溶液を電解した。電極10枚にかかる電圧は、35Vであった。
電解セルを通電板と電極板を導電性ペーストで接着したものを利用した以外は、実施例1と同様の電解試験を行った。電極10枚にかかる電圧は、40Vであり、14%程度エネルギー消費量が増えた。
洗浄槽に、97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を調製して130℃に加熱保持した。本発明の電解セル内には、直径15cm、厚さ1mmのSi基板にボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ槽を2槽並列に配列させた。電解のための有効陽極面積は30dm2であり、電流密度を30A/dm2に設定して、40℃で電解した。電解反応装置出口水をサンプリングしたところ、過硫酸生成速度が3g/l/hrであることを確認した。洗浄槽には、レジスト付きの5インチのシリコンウエハを10分を浸漬サイクルとして50枚/サイクル浸漬させて、レジスト溶解を行った(TOC生成速度は0.03g/l/hr)。この溶解液を洗浄槽と電解反応装置との間で送液ポンプで10l/minの流量で循環させた。レジスト付きシリコンウエハを浸漬させた時点では洗浄槽内の溶液は茶褐色に着色し、TOC濃度は30mg/lであったが、10分弱の循環処理によって、洗浄槽内の溶液は無色透明となりTOC濃度も検出限界以下となった。このようなウエハ洗浄を8時間(洗浄ウエハ枚数は2,400枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。そこで、さらに32時間(洗浄ウエハ枚数は9,600枚、総処理枚数は12,000枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。
通電板を導電性ダイヤモンド電極板に圧縮バネで外側から押し付けず、通電板と電極板を導電性ペーストで固定した構造をとった電解セルを利用する以外は実施例1と同様にウエハ洗浄を実施した。4時間の安定運転後、電極板が割れて、電解セルより硫酸溶液が漏れ出した。このため、洗浄作業をストップした。
2 ダイヤモンド電極
3 スペーサ
301 電極支持部
302 電解液通液部
302a 電解液導入口
302b 電解液送出口
4 通電体
6 板状導電材
7 カバー
8 カバー補強板
11 胴体
12 環状突部
12a 電極ユニット収納溝
13a 電解液導入穴
13b 電解液送出穴
14a 電解液導入側ヘッダ空間
14b 電解液送出側ヘッダ空間
100 電解セル
101 洗浄槽
102 戻り管
104 送り管
105 送液ポンプ
108 直流電源
110 熱交換器
120 過硫酸溶液
Claims (12)
- 複数層の電極と各電極の間に介在させるスペーサとを有し、前記両端の電極外側から圧縮固定された電極ユニットと、前記電極ユニットの両端の電極にそれぞれ接続された一対の通電体とを具備することを特徴とする電解セル。
- 前記電極ユニットは、前記両端の電極外側から通電体によって挟み込み圧縮固定されていることを特徴とする特徴とする請求項1記載の電解セル。
- 前記通電体と両端の電極との間に、導電性繊維で作られた板状導電材が挟み込まれていることを特徴とする請求項2記載の電解セル。
- 前記スペーサは、厚みが電極間距離と同じである電極支持部と、厚みが電極間距離より小さいか又は厚みがなくて厚み方向に貫通した電解液通液部とを有し、該電解液通液部は、スペーサに設けられた電解液導入口と電解液送出口とにそれぞれ連通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解セル。
- 前記通液部は、前記電解液導入口から電解液送出口に至る通液方向に沿って伸長していることを特徴とする請求項4記載の電解セル。
- 一つのスペーサに前記電解液通液部を複数備え、各通液部に対応して該スペーサに複数の電解液電解液導入口と電解液送出口とが設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の電解セル。
- 前記スペーサが前記電解液送出口が上方になる方向に設置され、電解ユニット内のガスが電解セル外に抜ける構造としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電解セル。
- 前記電極ユニットの一方端または両端の電極の外側に、該電極を弾性力によって内側に押圧する第1の弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解セル。
- 前記電極ユニットは、外周外側に、該電極ユニットを弾性力によって内側に押圧する第2の弾性部材が設けられ、外周外側から第2弾性部材により押圧力を受け、かつ、内周側で前記第1の弾性部材による押圧力を受けて固定されていることを特徴とする請求項8記載の電解セル。
- 硫酸電解用に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電解セル。
- 電極の素材が導電性ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電解セル。
- 過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、請求項1〜11のいずれかに記載の電解セルを備え、該電解セルにおける電解反応によって前記被洗浄材の洗浄廃液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えることを特徴とする電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システム。
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