JP2007262348A - ペースト状のアクリル系グリース - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱部品が高温になったとしてもグリースのポンプアウトがなく、さらに、優れたリペア性を有するとともにシロキサンガスの発生がなく、その上、所望の熱伝導性および難燃性を得ることができるペースト状のアクリル系グリースを提供するものである
【解決手段】本発明の請求項1に記載のアクリル系グリースは、アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有され、実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースであって、粘度が70乃至600Pa・sであることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の請求項1に記載のアクリル系グリースは、アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有され、実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースであって、粘度が70乃至600Pa・sであることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ペースト状のアクリル系グリースに関する。
電子機器部品、特に電子デバイス、パーソナルコンピュータ等は、一般に稼動時に熱を発することから、熱による部品の破損防止や安定作動確保のために、電子機器装置内に金属製のヒートシンク等が取り付けられている。また、必要に応じて、ヒートシンクをファン等によって強制的に空冷することも行われている。さらに、大きな発熱を伴う部品に対しては、水循環による強制的な水冷や半導体素子の一種であるペルチェ素子を用いた強制的な冷却等が採用されている。
このような冷却装置を発熱体に取り付ける際には、冷却装置と発熱体との接触を密にして熱を有効に冷却装置へ伝達させるために、熱伝導材と称される材料が用いられている。すなわち、このような熱伝導材は、冷却装置と発熱体の間に介在させることで両者間の熱伝達を改善させるものである。そして、このような熱伝導材としては、一般的に熱分解安定性、難燃性等の観点から、シリコーンオイルをベースとし、酸化亜鉛やアルミナを使用した放熱用グリース(特許文献1)が知られている。なお、ここでいう放熱用グリースとは、常温で粘性変形をする半固体状(ペースト状)のものであり、例えば、潤滑剤や整髪剤、或いは油脂として広く使用されている高粘度油状物質状態のものを示す。
しかしながら、シリコーン系グリースにおいては、高粘度液状物のため扱い難く、例えば、発熱部品に塗布する場合の塗布量のコントロールが難しいという問題や、発熱部品が高温になるにつれ流動性が高まり流出(ポンプアウト)してしまう問題があった。また、シリコーン系材料であることからシロキサンガスの発生があり、このようなシロキサンガスが電極接点等へ付着して二酸化珪素が生成されるため、これが原因となって接点不良を生じる可能性があった。
そこで、例えばシリコーン系グリースの加工性を改善したシリコーン系グリースが提案されている(特許文献2)。これは、オルガノポリシロキサンに、平均粒径の比が5以上となる大粒径と小粒径を充填することにより加工性の良好なシリコーングリースが開示されている。また、ポンプアウトの問題点を解決するため、例えば(特許文献3)はシリコーングリース及びシリコーンオイルコンパンドにフッ素系界面活性剤を添加することにより塗布面からのグリース成分中の油分または油状添加物の拡散を極めて少なく抑えることが開示されている。
しかしながら、特許文献2や3に記載のシリコーングリースであってもポリシロキサンが主成分の為、必ずしもシロキサンガスの発生を抑制、防止するものではなく、またオイル成分を完全に抑制するには十分でなかった。
また、ポンプアウト防止として放熱接着剤を使用すると、硬化性のためシロキサンガスが蒸発したり、オイル成分が流出したりはしないが、修理や点検、部品交換のときに接着したものを取り外す作業(リペア性)に手間が掛かる問題があった。
一方、シロキサンガスの発生を防止し、かつ熱伝導性および難燃性を付与するためにアクリル系共重合体に熱伝導充填材を含有(混合分散)させたペースト状のアクリル系グリースが考えられた。
しかしながら、熱伝導性充填材の量が多いと粘度が高く(流動性が低く)なり、その結果、グリースを発熱部品に塗布し難くなる。そこで、流動性を高くするために溶剤を含有する方法が考えられた。ところが、溶剤を含有したアクリル系グリースは粘度調整をすることができるが、該グリースを発熱部品に所定量塗布した場合、その発熱部品が発熱すると溶剤が揮発し、その結果、塗布したグリースの内部に気泡が形成されて熱伝導性および難燃性を充分に確保することが困難であった。
特公昭59−52195号公報
特開2004−210856号公報
特開2005−247998号公報
つまり、従来のシリコーングリースを発熱部品に塗布したものは、該発熱部品で発生した熱を冷却装置へ伝導することはできるが、シロキサンガスが発生する問題、或いは発熱部品が高温になるにつれグリースの流動性が高まり、該発熱部品から流出(ポンプアウト)してしまう問題や、ポンプアウト防止として放熱接着剤を使用した時のリペア性の問題があった。一方、上記のようにシロキサンガスの発生しないペースト状のアクリル系グリースを用いた場合、所望の熱伝導性および難燃性を付与するために熱伝導性充填材の量を多く含有させるが、そうするとペースト状のアクリル系グリースの粘度が高くなり、発熱部品に塗布し難くなる。そこで、粘度を調整するために溶剤を用いるが、発熱部品の発熱に伴い溶剤が揮発し、その結果、塗布したグリースの内部に気泡が形成されて熱伝導性および難燃性を充分に確保できなくなる問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、粘度が70乃至600Pa・sであるペースト状のアクリル系グリースとすることによって、該グリースを発熱部品に塗布し、その後発熱部品が高温になったとしても該発熱部品から該グリースがポンプアウトすることなく、さらにシロキサンガスの発生がなく、リペア性にも優れ、その上、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有されたペースト状のアクリル系グリースとすることによって、実質的に溶剤を含有することなく所望の熱伝導性および難燃性とを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の請求項1に記載のペースト状のアクリル系グリースは、アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有された実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースであって、粘度が70乃至600Pa・sであることを特徴とするものである。また、本発明の請求項2に記載のペースト状のアクリル系グリースは、請求項1に記載のペースト状のアクリル系グリースであって、前記熱伝導性充填材(C)の粒径が0.5乃至2000μmであることを特徴とするものである。なお、ここでいう実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースとは、溶剤を全く含有しないもの、或いは溶剤を含有したペースト状のアクリル系グリースだとしても、そのグリースを発熱部品に塗布後、発熱部品の発熱に伴い溶剤が揮発し、その結果、塗布したグリースの内部に気泡が形成されない量であればペースト状のアクリル系グリースに含有されていてもよい。
本発明のペースト状のアクリル系グリースは、発熱部品に塗布後、その発熱部品が高温になったとしてもポンプアウトがなく、さらに、優れたリペア性およびシロキサンガスの発生がなく、その上、所望の熱伝導性および難燃性を得ることができるペースト状のアクリル系グリースを提供することができるものである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のペースト状のアクリル系グリースは、アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有され、実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースであって、粘度が70乃至600Pa・sであることを特徴とするものである。
本発明にかかるアクリル系共重合体(A)は、分子鎖に反応性官能基を有すものが好ましく、このようなアクリル系共重合体を製造する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、官能基を有さないアクリル系モノマーを主体として、これに共重合可能なビニル系モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーを同時に重合(共重合)させる方法、官能基を有するアクリル系モノマーと他のアクリル系モノマーを共重合させる方法、アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーを重合させ、停止反応として官能基含有分子により末端停止反応を行う方法等を採用することができる。アクリル系重合体(A)は、その分子鎖に反応性官能基を有し、この官能基が水酸基、カルボキシル基、グリシジル基のいずれかであることが必要である。これら官能基は、分子鎖末端にあっても、また、分子鎖中間に存在しても、また、側鎖上に存在しても構わない。さらに反応性官能基が平均して分子鎖に2個以上存在することが好ましく、これより少ないと、前記化合物(B)と反応し、充分鎖延長することができず、耐熱性の低下や、最悪の場合、成形体を得ることが困難になる。これら官能基の導入は、一般的な方法でよく、すなわち共重合時に官能基を有したモノマーを共重合させることによりなされる。分子末端又は分子鎖中間に存在してもよく、側鎖上又は主鎖上のどちらに存在してもよい。また、本発明にかかるアクリル系共重合体は、ランダム共重合したものであってもブロック共重合したものであってもよい。また、本発明に用いられるアクリル系共重合体の構造は単一なものに限られず、様々な繰り返し単位のアクリル系共重合体を混合したものを用いることも可能である。さらに、本発明にかかるアクリル系共重合体としては、前述のようにして得られる2種以上のモノマーを共重合させたアクリル系共重合体の他にも、異なるアクリル系単独重合体同士を混合したもの、アクリル系単独重合体とアクリル系共重合体とを混合したもの、又はアクリル系共重合体同士を混合したものを用いることができる。また、得られた重合体が2種類以上の異なった官能基を有していても構わないが、前記化合物(B)との硬化反応に際して反応が安定せず制御が困難になる傾向にある。
官能基を有さないアクリル系モノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル、脂環式アルキルアクリレート、メタクリル酸アルキルエステル、脂環式アルキルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート(アクリル酸メチル)、エチルアクリレート(アクリル酸エチル)、プロピルアクリレート(アクリル酸プロピル)、iso−プロピルアクリレート(アクリル酸−iso−プロピル)、n−ブチルアクリレート(アクリル酸−n−ブチル)、iso−ブチルアクリレート(アクリル酸−iso−ブチル)、tert−ブチルアクリレート(アクリル酸−tert−ブチル)、2−エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸−2−エチルヘキシル)、オクチルアクリレート(アクリル酸オクチル)、iso−オクチルアクリレート(アクリル酸−iso−オクチル)、デシルアクリレート(アクリル酸デシル)、iso−デシルアクリレート(アクリル酸イソデシル)、iso−ノニルアクリレート(アクリル酸−iso−ノニル)、ネオペンチルアクリレート(アクリル酸ネオペンチル)、トリデシルアクリレート(アクリル酸トリデシル)、ラウリルアクリレート(アクリル酸ラウリル)等が挙げられる。
脂環式アルキルアクリレートとしては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メチルメタクリレート(メタクリル酸メチル)、エチルメタクリレート(メタクリル酸エチル)、プロピルメタクリレート(メタクリル酸プロピル)、iso−プロピルメタクリレート(メタクリル酸−iso−プロピル)、n−ブチルメタクリレート(メタクリル酸−n−ブチル)、iso−ブチルメタクリレート(メタクリル酸−iso−ブチル)、tert−ブチルメタクリレート(メタクリル酸−tert−ブチル)、2−エチルヘキシルメタクリレート(メタクリル酸−2−エチルヘキシル)、オクチルメタクリレート(メタクリル酸オクチル)、iso−オクチルメタクリレート(メタクリル酸−iso−オクチル)、デシルメタクリレート(メタクリル酸デシル)、イソデシルメタクリレート(メタクリル酸イソデシル)、イソノニルメタクリレート(メタクリル酸イソノニル)、ネオペンチルメタクリレート(メタクリル酸ネオペンチル)、トリデシルメタクリレート(メタクリル酸トリデシル)、ラウリルメタクリレート(メタクリル酸ラウリル)等が挙げられる。
脂環式アルキルメタクリレートとしては、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
脂環式アルキルメタクリレートとしては、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中で、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にn−ブチルアクリレート(アクリル酸−n−ブチル)、2−エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸−2−エチルヘキシル)が好ましい。
ビニル系モノマーとしては、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
官能基を有するモノマーとしては、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマーが挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒロドキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ラクトン類と2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの付加物、等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。グリシジル基含有モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−エチルグリシジルアクリレート、2−エチルグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、本発明に使用するアクリル系重合体(A)は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミュエションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の数平均分子量が800乃至20,000であることが好ましい。数平均分子量が800未満であると、得られる成形体の耐熱性、耐候性が劣る傾向にあり、また、硬度が高くなりやすいため、発熱部品への密着性が劣る傾向にある。また、逆に数平均分子量が20,000を超えると、アクリル系重合体の流動性がなくなる傾向にあり、熱伝導性充填剤を高比率で充填させることが困難となるばかりか、成形加工性にも劣る傾向にある。
本発明に使用する化合物(B)は、アクリル系重合体(A)の反応性官能基と反応し結合を作るものであるが、その反応の際に副生成物を伴うものは好ましくない。例えば、アクリル系重合体(A)の反応性官能基が水酸基、化合物(B)の官能基がカルボキシル基であると、両者の反応により副生成物として水が発生する。これら副生成物は硬化される成形体中に残留する場合が多く、とくに気泡の発生を伴うために好ましくない。したがって、アクリル系重合体Aの反応性官能基が水酸基である場合、イソシアネート系化合物、酸無水物等が選択使用される。この中で特にイソシアネート系化合物が好適に使用される。
イソシアネート系化合物としては、種々のものが使用できるが、常温で液状のものが好ましく、溶剤で希釈することは得られる成形体に気泡が発生する可能性があるので好ましくない。これらイソシアネートとしては、耐候性に優れる点で、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族系イソシアネートが特に好適に使用される。
アクリル系重合体Aの反応性官能基がカルボキシル基である場合アクリル系共重合体のカルボキシル基と反応して硬化物を与えることができるものである。
このようなグリシジル基を有する化合物としては種々のものが使用でき、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル(SORPGE)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(PGPGE)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(PETPGE)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(DGPGE)、グリセロールポリグリシジルエーテル(GREPGE)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TMPPGE)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(RESDGE)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(NPGDGE)、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル(HDDGE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、プロピ
レングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPGDGE)、ポリブタジエンジグリシジルエーテル(PBDGE)、フタル酸ジグリシジルエーテル(DGEP)、ハロゲン化ネオペンチルグリセロールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル(DGEBF)等が挙げられ、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TMPPGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(SORPGE)等を特に好適に使用することができる。
レングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPGDGE)、ポリブタジエンジグリシジルエーテル(PBDGE)、フタル酸ジグリシジルエーテル(DGEP)、ハロゲン化ネオペンチルグリセロールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル(DGEBF)等が挙げられ、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TMPPGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(SORPGE)等を特に好適に使用することができる。
また、官能基としてグリシジル基を有する化合物のエポキシ当量(WPE)は80乃至400の範囲にあることが好ましい。前記エポキシ当量が400を超えると前記アクリル系共重合体と反応させるために、前記化合物を多く添加することが必要となって得られる本発明のグリースの要求性能が十分果たせない傾向にあり、他方、前記エポキシ当量が80未満では、反応速度が速くなりすぎて本発明のグリースの製造が困難となる傾向にある。
また、このようなグリシジル基を有する化合物としては、圧力1013hPa、温度25℃の条件下において液状のものであることが好ましい。
さらに、このようなグリシジル基を有する化合物としては、圧力1013hPa下で150℃の温度条件で10分間加熱した後の加熱重量減少値が加熱前の重量に対して3%以下となるような溶媒を含まないものであることが好ましい。このような加熱重量減少値が3%を超えると、含有されている溶媒が反応の障害となり本発明のグリースの製造が困難となる傾向にあり、更には、含有されている溶媒が得られる本発明のグリースの内部に気泡を発生させる原因となるためである。なお、このような加熱重量減少値の算出方法としては、メトラートレド株式会社製のHG53型ハロゲン水分計を用い、常圧下(1013hPa)で、試料5gを150℃の温度条件で10分間加熱した時の重量変化を測定し、加熱前後の重量比較により減少率を算出する方法を採用する。エポキシ系化合物(グリシジル基含有化合物)等を選択使用することが可能である。例えば、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。
アクリル系重合体Aの反応性官能基がグリシジル基である場合、アミン系化合物、イソシアネート系化合物、メルカプト系化合物、クロルスルホニル系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物等が選択使用される。これらの中で、ジエチレントリアミン等のアミン系化合物、無水マレイン酸等の酸無水物及びテレフタル酸等のカルボン酸系化合物が特に好適に使用される。
また、アクリル系共重合体(A)と、前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とを重合する方法は、特に制限されるものではないが、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、乳化重合法(エマルジョン重合法)、懸濁重合法(サスペンジョン重合法)、塊状重合法(バルク法)等の重合法を採用することができる。
本発明のペースト状のアクリル系グリースの粘度は、70乃至600Pa・sであり、好ましくは100乃至500Pa・sである。粘度が70Pa・s未満では、発熱部品が高温になると、該発熱部品に塗られたペースト状のアクリル系グリースの流動性が高まり、該発熱部品から流出(ポンプアウト)してしまう。また、600Pa・s以上では、発熱部品に塗布しにくいものである。
本発明のペースト状のアクリル系グリースは、熱伝導性および難燃性を付与するために熱伝導性充填材(C)を、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、100乃至500重量部含有されているものであり、熱伝導性充填材(C)が上記範囲の重量部であれば、溶剤を用いなくとも流動性のある(高粘度ではない)グリースを得ることができる。また、熱伝導性充填材(C)が100重量部より少ないと、所望の熱伝導性および難燃性を得ることができない。また、熱伝導充填材が500重量部より多いと、グリースを製造する際の加工性が悪く、その上、得られたグリースは流動性が低い(高粘度である)ものなので、そのグリースを発熱部品に塗布し難いものである。
本発明の熱伝導性充填材(C)としては、例えば金属水酸化物、金属酸化物、金属窒化物、窒化化合物、金属、黒鉛、炭化珪素、珪素化合物からなるものが挙げられる。また、金属水酸化物は、他の熱伝導性充填剤と比較して樹脂との相溶性が高く、難燃性が高い傾向にある。また、金属酸化物は熱伝導性と電気絶縁性が高いものである。また、金属窒化物、窒化化合物、金属、黒鉛は特に熱伝導性が高いものである。炭化珪素、珪素化合物においても熱伝導性が高いものである。このような熱伝導性充填材(C)としては、分解温度が250℃以上である粉状の熱伝導性充填材であることが好ましく、具体的には金属水酸化物粉や金属酸化物粉、金属窒化物粉、窒化化合物粉、金属粉、黒鉛粉、珪素化合物粉等が挙げられ、金属水酸化物粉としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等の粉末、金属酸化物粉としては、例えばアルミナ、マグネシア、酸化亜鉛等の粉末、金属窒化物粉としては、例えば窒化アルミニウム等の粉末、窒化化合物粉としては、例えば窒化ホウ素等の粉末、金属粉としては金、銀、銅、アルミ等の粉末、黒鉛粉としては燐状、土状、燐片状、塊状黒鉛、膨張黒鉛等の粉末、珪素化合物粉としてはシリカ等の粉末が挙げられる。前記分解温度が250℃未満では、本発明のペースト状のアクリル系グリースに十分な熱伝導性を付与することが困難となる傾向にある。なお、上記分解温度の測定方法は、熱伝導性充填剤のみをTGA(Thermo Gravimetric Analyzer)により、大気雰囲気下、室温乃至600℃まで昇温速度10℃/minにより測定を行い、−5%の重量減少を生じる温度を測定して分解温度とするものである。
このような熱伝導性充填材(C)の大きさ、形状等は特に制限されるものではないが、形状としては球状又は擬球状であることが好ましい。
また、このような熱伝導性充填材(C)の粒径は、0.5乃至2000μmであることが好ましい。前記粒径が0.5μm未満では、前記熱伝導充填材を前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとしたものに含有し、ペースト状のアクリル系グリースとすると、そのグリースの粘度が高くなる。その結果、ペースト状のアクリル系グリースを得る際の加工性が困難となったり、発熱部品への塗布性が困難となりやすい。また、前記粒径が200μmを超えると、前記熱伝導性充填材が前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとしたものに混入し難くなり均一分散されたペースト状のアクリル系グリースを得難くなる。その結果、所望の熱伝導性および難燃性を得られない場合がある。
さらに、このような熱伝導性充填材(C)としては、粒径の異なるものを組み合わせて用いることも可能である。このようにして粒径の異なるものを数種類組み合わせた熱伝導性充填材(C)を前記アクリル系共重合体(A)と、前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスしたもの含有させることによって、得られるペースト状のアクリル系グリースの粘度を低下させることが可能となるし、同じ粒径のものを組み合わせるより高充填することが可能である。
さらに、このような熱伝導性充填材(C)は、他の熱伝導性充填剤を組み合わせて用いることも可能である。このような他の熱伝導性充填剤としては熱伝導的には必ずしも優れない炭酸カルシウム等の炭酸金属や、クレー、カオリン等の充填剤等を添加することも可能である。
本発明のペースト状のアクリル系グリースは、前記熱伝導性充填材(C)に加えて湿潤分散剤を含有してもよい。この湿潤分散剤は、前記アクリル系共重合体との相溶性を向上させることが可能な官能基と前記熱伝導性充填剤(フィラー)に吸着することが可能な官能基とを有している湿潤分散剤を好適に用いることができる。このような湿潤分散剤を含有させていない系においては、前記熱伝導性充填材(C)の粒子同士が相互に衝突して凝集してしまう。そして、このような凝集を起こした系においては、見掛けの粒子径が大きくなるため、早期に沈降(あるいは浮上)分離を起こしてしまう。
本発明においては、アクリル系共重合体(A)と、前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックス中に前記熱伝導性充填材(C)を高比率で含有させるために湿潤分散剤を加えているため、前記湿潤分散剤を前記熱伝導性充填材(C)の表面に吸着させてより大きな電荷を持たせることが可能となり、これにより粒子同士の静電反発力を高めて前記熱伝導性充填材(C)の凝集を防止できる。また、本発明においては、前記粒子表面に吸着されている前記湿潤分散剤同士の立体反発力によっても、前記熱伝導性充填材(C)の凝集が防止できる。
このような湿潤分散剤としては、硼酸基及び/又は燐酸基を有する飽和ポリエステル系コポリマー、多価アルコール有機酸エステル、特殊アルコール有機酸エステル、ウレタン変性アクリルコポリマー、高分子量ポリエステル、ポリカルボン酸共重合体、アリルアルコールと無水マレイン酸とスチレン共重合物とポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化物、ポリアクリル酸アンモニウム塩、アクリル共重合物アンモニウム塩、シリコン系ポリマーエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。このような湿潤分散剤の中でも、硼酸基及び/又は燐酸基を有する飽和ポリエステル系コポリマーを用いることが好ましい。その理由として、前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとしたものに所定量の硼酸基及び/又は燐酸基を有する飽和ポリエステル系コポリマーが充填されることにより、硼酸基及び/又は燐酸基が解離して負の電荷を帯び、その負の電荷を帯びたものが熱伝導性充填材(C)に吸着して静電反発力を高めることができ、その結果、凝集し難くできたものと推量される。
本発明のアクリル系共重合体(A)と、前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとする共重合体に対する湿潤分散剤の添加量は、0.05乃至3.0重量部である。前記湿潤分散剤の添加量が0.05重量部未満では、前記共重合体と前記熱伝導材との相溶性が低くなって混練りが困難となり、他方、湿潤分散剤の添加量が3.0重量部を超えると得られるペースト状のアクリル系グリースの増粘、ゲル化が起こり、ペースト状のアクリル系グリースの加工性低下してが取り扱いが困難になる。
また、本発明のペースト状のアクリル系グリースには、難燃性をより向上させるという観点から、難燃剤として燐酸化合物、膨張黒鉛、赤燐を前記アクリル系共重合体100重量部に対して5乃至50重量部添加することが好ましい。前記難燃剤の添加量が5重量部未満では、十分な難燃性を確保できない。他方、前記難燃剤の添加量が50重量部を超えると、難燃性のレベルは変わらない。
また、本発明のペースト状のアクリル系グリースには、難燃性をより向上させるという観点から、他の難燃剤を添加してもよい。このような難燃剤としては、燐酸エステル系、燐酸アンモン、炭酸アンモン、錫酸亜鉛、トリアジン化合物、メラミン化合物、グアニジン化合物、硼酸、硼酸亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
さらに、本発明のペースト状アクリル系グリースにおいては、必要に応じて、触媒、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤等を適宜添加することが可能である。
本発明のペースト状のアクリル系グリースは、各成分を各々前述の含有量となるように計量して配合し、混合攪拌することで製造することができる。このような混合攪拌の方法は特に制限されるものではなく、重合体の組成、粘度、各成分の添加量により適宜選定することができ、具体的には、ディゾルバーミキサー、ホモミキサー等の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
また、このようにして混合攪拌されたものを必要に応じて、例えば未分散の成分の固まりを除去する目的で濾過してもよい。このような濾過を行うことで、均質なアクリル系樹脂組成物が得られることが可能となる。また、このような混合攪拌を行う際に液中に生じる気泡は減圧下で脱泡することが好ましい。このような脱泡を行うことで、得られるペースト状のアクリル系グリースの気泡が生じることを防止することが可能となる。
本発明のペースト状のアクリル系グリースを得る方法としては、アクリル系共重合体(A)と、前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有された実質的に溶剤を含有しない組成物を得た後、所定時間加熱することによりペースト状(半固体状)のアクリル系グリースを得るものであり、そのグリースの粘度は70乃至600Pa・sである。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1乃至4及び比較例1乃至2の組成物を表6に示す組成で調整した。このようにして得られた組成物を、100℃で1時間加熱処理してペースト状(半固体状)のアクリル系グリースを得た。得られたグリースを用いて以下のような評価を行った。なお、加工性の評価は、ペースト状のアクリル系グリースを得る際の評価をしたものである。また、リペア性およびシロキサンガス量の評価については、表6に示す実施例1乃至4及び比較例1乃至2の組成物をそれぞれの測定方法により評価した。また、比較例3乃至5として、表7に示す市販のシリコーングリースを用いて同様の試験を行った。
<加工性>
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを得る際の加工性を評価した。評価基準は下記の通りである。結果を表6及び表7に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを得る際の加工性を評価した。評価基準は下記の通りである。結果を表6及び表7に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
〔評価基準〕
○:粘度が低く混練りが可能であったため、粘度が均一のグリースが得られた。
×:粘度が高く混練りが困難であったため、粘度が不均一のグリースが得られた。
○:粘度が低く混練りが可能であったため、粘度が均一のグリースが得られた。
×:粘度が高く混練りが困難であったため、粘度が不均一のグリースが得られた。
<粘度測定>
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを200ccのデスカップに入れてた後、(株)東京計器製BH型粘度計を用いて、回転速度4rpm、ロータNo.7を用いて粘度測定を行った。評価基準は下記の通りである。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを200ccのデスカップに入れてた後、(株)東京計器製BH型粘度計を用いて、回転速度4rpm、ロータNo.7を用いて粘度測定を行った。評価基準は下記の通りである。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
〔評価基準〕
○:70以上600Pa・s以下のものである。
×:69Pa・s以下、或いは1001Pa・s以上のものある。
○:70以上600Pa・s以下のものである。
×:69Pa・s以下、或いは1001Pa・s以上のものある。
<リペア性>
実施例1乃至4で得られた組成物及び比較例1乃至2で得られた組成物を、それぞれ縦10cm、横3cmのアルミ板の縦方向に対して下側に約3gを塗布したものを二枚作成し、その二枚のアルミ板同士(該組成物を塗布した面同士)を押し付けた後、該アルミ板を100℃の温度条件で24時間加熱処理した。処理後、マイナスドライバーでアルミ板同士が剥がれるのかどうかについて試験を行った。さらに、内部の硬化性を確認し、溶剤で拭き取れるかを確認した。評価基準は下記の通りである。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
実施例1乃至4で得られた組成物及び比較例1乃至2で得られた組成物を、それぞれ縦10cm、横3cmのアルミ板の縦方向に対して下側に約3gを塗布したものを二枚作成し、その二枚のアルミ板同士(該組成物を塗布した面同士)を押し付けた後、該アルミ板を100℃の温度条件で24時間加熱処理した。処理後、マイナスドライバーでアルミ板同士が剥がれるのかどうかについて試験を行った。さらに、内部の硬化性を確認し、溶剤で拭き取れるかを確認した。評価基準は下記の通りである。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
〔評価基準〕
○:ドライバーで剥離が出来、溶剤で拭き取ることが出来た。
×:ドライバーで剥離が出来ない(カッターで切断、剥離)、ヘラでも除去できない。
○:ドライバーで剥離が出来、溶剤で拭き取ることが出来た。
×:ドライバーで剥離が出来ない(カッターで切断、剥離)、ヘラでも除去できない。
<シロキサン量>
実施例1乃至4で得られた組成物及び比較例1乃至2で得られた組成物を、それぞれ約600mgを秤量して、GESTER社製ThermalExtracter(熱脱着装置)を用いて50℃×30分間加熱抽出を行った。このときの発生ガスをTenaxTA吸着管にトラップし、これをGESTER社製加熱脱着導入システムGCMSにて測定を行った。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
実施例1乃至4で得られた組成物及び比較例1乃至2で得られた組成物を、それぞれ約600mgを秤量して、GESTER社製ThermalExtracter(熱脱着装置)を用いて50℃×30分間加熱抽出を行った。このときの発生ガスをTenaxTA吸着管にトラップし、これをGESTER社製加熱脱着導入システムGCMSにて測定を行った。結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
〔評価基準〕
○:シロキサン量が3ppm未満である。
×:シロキサン量が3ppm以上である。
○:シロキサン量が3ppm未満である。
×:シロキサン量が3ppm以上である。
<難燃性の試験>
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを、表面がシリコーン離型処理されているポリエステルフィルム上にコーティングした。それぞれコーティングしたものについて、以下のような難燃性の評価を行った。すなわち、それぞれコーティングしたものを13.0mm×127mmの大きさにしたものを試料とし、UL(Underwriters Laboratories Inc.)のプラスチックの難燃性規格であるUL−94V(Vertical Barning Test)に準拠した測定を行った。このような試験の評価基準は下記の通りである。また、その評価方法は、下記V−0に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−0となる。また、V−0に規定された5項目のうち1項目でも満たさないものがある場合においては、次に、V−1に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−1となる。さらに、V−1に規定された5項目のうち1項目でも満たさないものがある場合においては、V−2に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−2となり、5項目のうち1項目でも満たさない場合には評価は不合格となる。得られた結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
実施例1乃至4で得られた本発明のアクリル系グリース及び比較例1乃至2で得られた比較としてのアクリル系グリースを、表面がシリコーン離型処理されているポリエステルフィルム上にコーティングした。それぞれコーティングしたものについて、以下のような難燃性の評価を行った。すなわち、それぞれコーティングしたものを13.0mm×127mmの大きさにしたものを試料とし、UL(Underwriters Laboratories Inc.)のプラスチックの難燃性規格であるUL−94V(Vertical Barning Test)に準拠した測定を行った。このような試験の評価基準は下記の通りである。また、その評価方法は、下記V−0に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−0となる。また、V−0に規定された5項目のうち1項目でも満たさないものがある場合においては、次に、V−1に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−1となる。さらに、V−1に規定された5項目のうち1項目でも満たさないものがある場合においては、V−2に規定された5項目を満たすか否かを評価し、5項目全てを満たす場合には評価はV−2となり、5項目のうち1項目でも満たさない場合には評価は不合格となる。得られた結果を表6に示す。同様に市販のシリコーングリースの結果を表7に示す。
〔評価基準〕
〔V−0〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が10秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が50秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が30秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火がないこと。
〔V−1〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が30秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が250秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が60秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火がないこと。
〔V−2〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が30秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が250秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が60秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火があった。
〔V−0〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が10秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が50秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が30秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火がないこと。
〔V−1〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が30秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が250秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が60秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火がないこと。
〔V−2〕
1) 各サンプルの1回目又は2回目の接炎後の燃焼時間が30秒以下
2) 10回(2日目の接炎を含む)の接炎後の燃焼時間の合計が250秒以下
3) 2回目の接炎後の燃焼時間と火種時間の合計が60秒以下
4) 125mmマークに達する燃焼又は火種がないこと
5) 落下物による脱脂綿の着火があった。
なお、表1に示すアクリル共重合体1乃至2は、官能基を有するアクリル共重合体(A)である。
なお、表2に示す化合物1乃至2は、官能基を有する化合物(B)である。
なお、表4に示す熱伝導性充填材1乃至5は、熱伝導性充填材(C)である。
*表中の数値は重量部であり、空欄は0を示す。
*表中のNAはペースト状のアクリル系グリースを得ることができず、測定不能であることを示す。
*表中のNAはペースト状のアクリル系グリースを得ることができず、測定不能であることを示す。
表6に示した結果から明らかなように、本発明のペースト状のアクリル系グリース(実施例1乃至4)は、実質的に溶剤を含有しないものであり、粘度が70乃至600Pa・sである。その結果、加工性に優れるとともに、流動性にも優れるので発熱部品への塗布がし易いものであり、その上、発熱部品の発熱により該グリースがポンプアウトし難いものである。さらに、難燃性に優れているものであった。また、一方、比較例1は、粘度が600Pa・s以上であったため、発熱部品への塗布がし難いものであり、さらには所望の難燃性が得られないものであった。また、比較例2は、粘度が70Pa・s未満であったため、発熱部品へ塗布後に流動して、ポンプアウトの原因になることが確認された。また、同様に比較例として用いた市販のシリコーングリースは、加工性は良いがリペア性、シロキサン量の3ppm以上であることが確認された。
以上説明したように、本発明のペースト状のアクリル系グリースは、発熱部品に塗布し易く、また塗布後、その発熱部品が高温になったとしてもポンプアウトがし難く、さらに、優れたリペア性を有するとともにシロキサンガスの発生がなく、その上、所望の熱伝導性および難燃性を得ることができるものである。
したがって、本発明のペースト状のアクリル系グリースは、電子機器等の発熱部品、例えば、局部発熱するICチップ、CPUチップ、GPUチップ等からの発熱をヒートシンク等の放熱部位に熱伝達させるために使用するグリースとして有用である。
Claims (2)
- アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体と反応する官能基を有する化合物(B)とをマトリックスとして、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して熱伝導性充填材(C)が100乃至500重量部含有され、実質的に溶剤を含有しないペースト状のアクリル系グリースであって、粘度が70乃至600Pa・sであることを特徴とするペースト状のアクリル系グリース。
- 前記熱伝導性充填材(C)の粒径が0.5乃至2000μmであることを特徴とする請求項1に記載のペースト状のアクリル系グリース。
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JP2006092718A JP2007262348A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | ペースト状のアクリル系グリース |
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- 2006-03-30 JP JP2006092718A patent/JP2007262348A/ja active Pending
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