JP2007262316A - 膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】形成された膜が均一であり、不純物の析出がなく、低い誘電率や高い金属拡散バリア性が得られるため、電子デバイスなとにおける層間絶縁膜として適する膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等の酸化防止剤を含有することを特徴とする膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、金属拡散バリア性、機械強度、耐熱性等の膜特性が良好な絶縁膜を形成するための組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜、金属拡散バリア膜および、該絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性(比誘電率3.0以下)の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。(特許文献1参照)
半導体デバイス製造に際して、約400℃程度の加熱時にも配線に用いられる金属(銅など)が、絶縁膜内に拡散しないことが必要であるが、通常のlow-k絶縁膜は配線金属の拡散バリア性を有しないため、絶縁膜への金属の拡散を回避するために、絶縁膜と金属との間に絶縁性バリア膜が用いられる。このようなバリア膜としては、例えば、窒化ケイ素、シリコンカーバイドなどが用いられているが、これらは一般的に比誘電率が4.0以上であるため、層間絶縁膜の実効誘電率が上昇する原因となっている。
また、バリア層として用いられる他の材質としては、ポリカルボシラン化合物を硬化して得られるポリカルボシラン膜が挙げられる(特許文献2参照)。特許文献2に記載されているポリカルボシラン膜では、基材上に膜形成用組成物を塗布した後に酸化雰囲気で加熱処理を行っている。
しかし、上述の方法では、良好なSi−O結合を有する膜を形成することができないことがある。また、減圧雰囲気下で硬化処理を行うことにより、橋かけ重合をさせ高密度な膜を形成する方法もある。しかし、これらの形成方法では、膜厚の制御が困難であったり、また熱的安定性の面からもさらなる向上が望まれている。
さらに、ポリベンゾオキサゾールをバリア膜材料として用いる方法(特許文献3参照)が挙げられるが、バリア膜性能の経時の劣化があるという問題があった。
そこで、比誘電率が小さく、金属拡散を抑止する効果の高い絶縁膜の開発が望まれている。
特表2002−534546号公報 米国特許第5,602,060号明細書 特開2005−311069号公報
本発明は上記問題点を解決するための膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる、誘電率、金属拡散バリア性などの膜特性が良好な絶縁膜を形成するための膜形成用組成物に関し、さらには該膜形成用組成物を用いて得られる絶縁膜、金属拡散バリア膜およびそれを有する電子デバイスに関する。
上記課題が下記の<1>〜<8>の構成により解決されることを見出した。
<1>
酸化防止剤を含有することを特徴とする膜形成用組成物。
<2>
一般式(I)で表される化合物またはその重合体を含有することを特徴とする、上記<1>に記載の膜形成用組成物。
Figure 2007262316

一般式(I)中、
Qは、炭素原子で形成された環構造を含む基を表す。
lは1〜10の整数を表し、
mは0〜10の整数を表し、
nは1〜10の整数を表す。
Xは任意の置換基を表す。
Yは下記一般式(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2007262316

一般式(Y1−1)〜(Y1−6)中、
Zは水素原子または任意の置換基を表す。
1はC(X)2、NX、O、Sから選ばれる原子または基を表す。
2は水素原子または任意の置換基を表す。
2は炭素原子で形成された環構造を含む基またはSiX (3−n2)を表す。
は水素原子または任意の置換基を表す。
2は1〜10の整数を表す。ただし、Q2がSiX (3−n2)を表すとき、n2は1〜3の整数を表す。
Figure 2007262316

一般式(Y2−1)〜(Y2−5)中、
は炭素原子で形成された環状構造を有する基を表す。
およびnは一般式(Y1−1)〜(Y1−6)で説明したものと同義である。
Rは下記一般式(R−1)〜(R−10)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2007262316

一般式(R−1)〜(R−10)中、
は水素原子または任意の置換基を表す。
R、X、Y、Z、R、X2、X、Q2およびQ3は複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。
<3>
一般式(I)で表される化合物において、Qの表す基が一般式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表される構造を含む基であることを特徴とする上記<2>に記載の膜形成用組成物。
Figure 2007262316

一般式(Q−1)〜(Q−7)中、
Aは各々独立に一般式(I)におけるX、Y、Rで表される基または水素原子を表す。
<4>
一般式(I)で表される化合物において、Qの表す基が一般式(Q−1)または(Q−5)で表される構造を含む基であることを特徴とする上記<2>または<3>に記載の膜形成用組成物。
<5>
一般式(I)で表される化合物を遷移金属触媒存在下または重合開始剤存在下で重合して得られる重合体を含有することを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<6>
上記<1>〜<5>のいずれかに記載の膜形成用組成物を用いて形成した膜。
<7>
比誘電率が3.5以下であることを特徴とする上記<6>に記載の膜。
<8>
上記<6>ないし<7>に記載の膜を有する電子デバイス。
本発明の膜形成用組成物は均一であり不純物の析出がなく、該組成物を用いて形成した絶縁膜は低い誘電率、高い金属拡散バリア性が得られるため、電子デバイスなどにおける層間絶縁膜として適している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の膜形成用組成物(以下「金属拡散バリア性絶縁膜形成用組成物」、「絶縁膜系形成用組成物」と呼ぶことがある)は、酸化防止剤を含有する。
酸化防止剤としては、本発明の膜形成用組成物の酸化を防止できるものであればよく、いかなる酸化防止剤でもよい。例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤などを挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、フェノール構造を有し、フェノール環に少なくとも1個のかさ高い基を持つ化合物であれば用いることができる。ここで、かさ高い基とは、
t-ブチル基、t-アミル基など、イソプロピル基よりもファンデルワールス体積が大きな基を表し、このましくはt-ブチル基である。
具体的には、下記の一般式(II)で表される構造を有する化合物であると好ましい。
Figure 2007262316
(II)
一般式(II)において、
およびRは、それぞれ独立してアルキル基、置換アルキル基または、置換トリアゾール基を表す。好ましくはメチル基,エチル基、イソプロピル基,t-ブチル基,ベンゾトリアゾール基,クロロベンゾトリアゾール基などが挙げられる
一般式(II)で表される化合物の具体的な例としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,6ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ジステアリル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタ−4−イルメチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリルチオトリアジルアミン、2−(2'−ヒドロキシ−3’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、N,N’−ヘキサメチレンビス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド等を挙げることができる。中でも、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネートが特に効果が優れており好ましい。これらの化合物は、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズズ社から“IRGANOX1222”、“IRGANOX1010”、“IRGANOX3114”として市販されている。
リン系酸化防止剤としては、3価のリンを含み、ベンゼン環に少なくとも1個のかさ高い基を持つ化合物が好ましい。
具体的には、以下の一般式(III)で表される構造を有する化合物がさらに好ましい。
Figure 2007262316
(III)
一般式(III)で表される化合物としては、具体的には、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸やテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−、N,N−bis[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタンアミン等を挙げることができる。これらは例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズズ社から“IRGAFOS12”、旭電化社から“アデカスタブPEP45”として市販されている。
アミン系酸化防止剤としては、たとえば以下の構造を有する化合物であると好ましい。
Figure 2007262316
(IV)
一般式(IV)において、
Rはそれぞれ独立してアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
R’は水素またはアルキル基を表す。
A’は2または3員の、不飽和または飽和アルキレン鎖を表す。好ましくは炭素数1から4の飽和アルキレン基、炭素数2から4の不飽和アルケニレン基等があげられる。
一般式(IV)で表される化合物としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの誘導体が好ましく、具体的には、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アリーロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンズオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。これらは例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズズ社から“FS042”、“TINUVIN144”として市販されている。
また、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤も好ましく、たとえば、前者としてジラウリル−3−3‘−チオジプロピオネートが、後者として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが好ましい。
これらは、個別に使用しても、混合物として使用することもでき、酸化防止剤の含有量としては、組成物に対して、好ましくは、1〜10000ppmであり、より好ましくは、10〜1000ppmであり、さらに好ましくは30ppm〜100ppmである。
本発明の組成物は、有機溶剤を含んでいてもよく、塗布液として支持体上に塗布することができる。
使用できる有機溶剤としては、本発明に使用する化合物を溶解することができるものであれば特に制限はなく、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
良好な膜厚均一性を達成するために、使用する溶剤の沸点は85℃以上が好ましく、85℃〜250℃であることがより好ましく、90℃〜230℃であることが更に好ましく、95℃〜200℃であることが最も好ましい。
また、低誘電率と高膜強度の両立の観点から、溶剤が、エーテル基またはカルボニル基を有していることが好ましい。
これらの観点から、上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
これらの溶媒は、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは0.2〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、特に好ましく1〜10質量%である。
ここで、固形分とは、この組成物を用いて得られる絶縁膜を構成する全成分に相当する。
一般式(I)で表される化合物またはその重合体は有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。好ましい溶解度は25℃でシクロヘキサノンまたは3−エトキシ−エチルプロピオネートに3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
また、本発明の膜形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物またはその重合体を含有することが好ましい。
Figure 2007262316
一般式(I)中、
Qは、炭素原子で形成された環構造を含む基を表す。
lは1〜10の整数を表し、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、1〜2の整数が最も好ましい。
mは0〜10の整数を表し、0〜5の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。
nは1〜10の整数を表し、1〜6の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましい。
Xは任意の置換基を表し、任意の置換基としては例えば、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数0〜10のアミノ基、炭素数1〜10のアシルアミノ基等が挙げられる。これらの基はさらに任意の置換基を有していてもよい。
Yは下記一般式(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2007262316
一般式(Y1−1)〜(Y1−6)中、
Zは水素原子または任意の置換基を表し、任意の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を挙げることができ、水素原子、メチル基またはフェニル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
1はC(X)2、NX、O、Sから選ばれる原子または基を表し、OおよびNXが好ましい。
2は水素原子または任意の置換基を表し、任意の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、または炭素数1〜10のアシル基等が挙げられる。
2は、炭素原子で形成された環構造を含む基またはSiX (3−n2)を表す。炭素原子で形成された環構造を含む基、炭素原子で形成されたカゴ構造を含む基としては、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環など)、シクロアルキル環(シクロヘキサンなど)、カゴ状炭化水素(アダマンタンなど)が挙げられるが、ベンゼン環またはアダマンタンが好ましい。
は、さらに任意の置換基を有していても良く、任意の置換基としてはアルキル基、アミノ基、アシルアミノ基、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
は水素原子または任意の置換基を表し、任意の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
2は1〜10の整数を表し、1〜5の整数が好ましく、1〜2の整数がより好ましい。ただし、Q2がSiX (3−n2)を表すとき、n2は1〜3の整数を表す。
Figure 2007262316
一般式(Y2−1)〜(Y2−5)中、
は炭素原子で形成された環状構造を有する基を表し、具体的には、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環など)、シクロアルキル基(シクロヘキサンなど)、カゴ状炭化水素(アダマンタンなど)を有する基が挙げられるが、ベンゼン環が好ましい。Qで表される構造を含む基はさらに任意の置換基を有していても良く、さらなる任意の置換基としてはアルキル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
およびnは一般式(Y1−1)〜(Y1−6)で説明したものと同義である。
Rは下記一般式(R−1)〜(R−10)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2007262316
一般式(R−1)〜(R−10)中、
は水素原子または任意の置換基を表し、任意の置換基としては、たとえば、ヒドロキシル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアシル基等が挙げられる。さらに好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基、アセチル基、ベンゾイル基等である。これらの基はさらに任意の置換基を有していてもよい。
R、X、Y、Z、R2、X2、X3、Q2およびQ3は複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。
一般式(I)で表される化合物において、Qの表す基は、誘電率、耐熱性および溶解性の観点から、一般式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表される構造を含む基であることが好ましい。
Figure 2007262316
一般式(Q−1)〜(Q−7)中、
Aは各々独立に一般式(I)におけるX、Y、Rで表される基または水素原子を表す。
一般式(Q−1)〜(Q−7)におけるAの少なくとも1つは(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)で表される基から選ばれる基であり、かつAの少なくとも1つが(R−1)〜(R−10)で表される基から選ばれる基であることが好ましい。Aの1〜6個が(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)で表される基から選ばれる基であり、かつAの1〜6個が(R−1)〜(R−10)で表される基から選ばれる基であることがより好ましく、Aの1〜4個が(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)で表される基から選ばれる基であり、かつAの1〜4個が(R−1)〜(R−10)で表される基から選ばれる基であることがさらに好ましく、Aの2〜4個が(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)で表される基から選ばれる基であり、かつAの2〜4個が(R−1)〜(R−10)で表される基から選ばれる基であることが特に好ましい。一般式(Q−1)〜(Q−7)におけるAのうち、(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)で表される基、または(R−1)〜(R−10)で表される基以外のものは、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物において、形成される絶縁膜の耐熱性が特に高いという点でQで表される基が一般式(Q−1)〜(Q−4)で表される構造を含む基であることが好ましく、(Q−1)で表される構造を含む基であることがより好ましい。
また、形成される絶縁膜の誘電率が低いという点で一般式(Q−5)〜(Q−7)で表される構造を含む基であることがさらに好ましく、(Q−5)で表される構造を含む基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物において、Yで表される基が(Y1−1)、(Y1−2)または(Y1−3)で表される基であることが好ましく、(Y1−1)または(Y1−2)で表される基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物において、Yで表される基が(Y1−1)、(Y1−2)または(Y1−3)、および(Y2−1)〜(Y2−4)で表される基であることが好ましく、(Y1−1)、(Y1−2)、(Y2−1)、(Y2−4)で表される基であることがより好ましい。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。たとえば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明で述べる炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖,分岐、環状のいずれでもよく、特に好ましくはメチル基またはエチル基、等挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基,ナフチル基が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基に加えて,アントラニル基,フェナントレニル基,ピレニル基が挙げられる。
炭素数0〜10のアミノ基としては、直鎖,分岐、環状のいずれでもよく、特に好ましくはアミノメチル基またはアミノエチル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアシルアミノ基としては直鎖,分岐、環状のいずれでもよく、特に好ましくアミノアセチル基またはアミノプロピオニル基が挙げられる。
炭素数1〜10のアシル基、としては直鎖,分岐,環状のいずれでもよく,特に好ましくは,アセチル基,プロピオニル基が挙げられる。
本発明で述べる「炭素原子で形成された環構造」とは、飽和または不飽和の炭化水素環である。これらの環は置換基を有していてもよいし、これらの置換基はさらに環を形成していてもよい。好ましい例としてはベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環が挙げられる。
炭素原子で形成された環構造は、炭素原子で形成されたカゴ構造であってもよい。
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
「炭素原子で形成されたカゴ構造」とは、好ましくは11〜30個、より好ましくは12〜20個、さらに好ましくは12〜14個の炭素原子で構成される。炭素原子数が11個以上のカゴ構造を用いると膜の電子分極が低下し、さらにカゴ構造の嵩高さが増大することで膜中に空間が形成され、充分に低い誘電率が得られる。また、炭素数が多い方が膜の機械強度が増大するという予想外の優れた効果がある。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成されるものとする。
本発明の炭素数11以上のカゴ型構造は低誘電率見地から飽和の脂肪族炭化水素であることが好ましく、例えば、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドラン等が挙げられ、特に低誘電率、高機械強度、塗布溶剤への良好な溶解性さらには製造適性の点でジアマンタンが特に好ましい。
本発明におけるカゴ型構造は飽和、不飽和結合のいずれを含んでいても良く、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでも良い。
一般式(I)で表される化合物の分子量は、溶解性の観点から、好ましくは100〜1500、より好ましくは120〜1000、特に好ましくは150〜500である。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定はされない。
Figure 2007262316
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一般式(I)で表される化合物は、例えば、Synth.Commun.32;14;2004;2549-2556, J.Org.Chem.;68;18;2003;6952-6958,Chimica;56;10;2002;494-499,J.Organomet.Chem.;587;1;1999;67-73,Chem.Europ.J.;7;23;2002;5118-5134等に記載の方法に従って合成することができる。
さらに別の方法では、アセチル基またはビニル基を公知の方法でエチニル基に変換することによって合成することもできる。
本発明の組成物は、一般式(I)で表される化合物またはその重合体を含むが、一般式(I)で表される化合物の重合体を含んでいることが好ましい。
一般式(I)の化合物を重合して、本発明の組成物に含まれる重合体を合成する際の反応は、該化合物に置換した重合性基の反応によるものであることが好ましい。ここで重合性基とは、化合物を重合せしめる反応性の置換基を指し、たとえば重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を含む基などがあげられる。
該重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重付加、遷移金属触媒重合、熱重合等が挙げられる。ラジカル重合反応が好ましい。
本発明の組成物から不溶不融の絶縁膜を製造する際に、一般式(I)で表される化合物またはその重合体を硬化させることが好ましく、その際に用いられる反応も、該化合物に置換した重合性基の反応によるものであることが好ましい。
該重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重付加、遷移金属触媒重合等が挙げられる。ラジカル重合および熱重合が好ましい。
また、本発明に使用する化合物の重合体は、誘電率・膜の吸湿性の観点からポリイミド以外の化合物、即ちポリイミド結合を有しない化合物であることが好ましい。
本発明に使用する化合物の重合反応は遷移金属触媒の存在下または重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。
本発明において、重合反応は非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する化合物を、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤存在下で重合することが出来る。
重合開始剤としては有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5、−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーイキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル-2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシブチル)プロピオンアミド〕、2,2−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕、2,2−アゾビス(N−ブチルー2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオアミド)、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジスルフェートジヒドレート、2,2−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔2−〔2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン〕、2,2−アゾビス(1−イミノー1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕テトラヒドレート、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が好ましく用いられる。
本発明において重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。本発明において重合開始剤の使用量は化合物1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
本発明に使用する化合物の重合反応は遷移金属触媒存在下で行うことも好ましい。遷移金属触媒は、本発明に使用する化合物の重合反応を進行させ得るものであればどのようなものを使用してもよい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する化合物を例えばPd(PPh3)4、Pd(OAc)2等のPd系触媒、Ziegler−Natta触媒、ニッケルアセチルアセトネート等のNi系触媒、WCl等のW系触媒、MoCl等のMo系触媒、TaCl等のTa系触媒、NbCl等のNb系触媒、Rh系触媒、Pt系触媒等を用いて重合することが好ましい。
本発明において遷移金属触媒は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において遷移金属触媒の使用量は化合物1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
一般式(I)で表される化合物から本発明の膜形成用組成物を製造する際の重合反応は非金属の重合開始剤の存在下で行うことがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物の2種以上共重合してもよいし、一般式(I)で表される化合物と、反応性基(エチニル基、ビニル基、ジエン官能基等)を有する他の反応性化合物を共重合させても良い。
重合反応には溶媒を使用してもよく、使用する溶媒は、原料化合物が必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良い。例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。これらの中でより好ましい溶剤はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アニソール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、より好ましくはテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、特に好ましくはγ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応液中の化合物の濃度は好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
本発明における重合反応の最適な条件は、重合開始剤、化合物、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜220℃、より好ましくは40℃〜210℃、特に好ましくは80℃〜200℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合して得られるポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲は1000〜500000、より好ましくは2000〜300000、特に好ましくは6000〜200000である。
本発明の重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の膜形成用組成物には不純物などの金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
膜形成用組成物の金属濃度は本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010atom・cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010atom・cm−2以下、特に好ましくは10×1010atom・cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010atom・cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010atom・cm−2以下、特に好ましくは400×1010atom・cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010atom・cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010atom・cm−2以下、特に好ましくは10×1010atom・cm−2以下である。
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着促進剤などの添加剤を添加してもよい。
ラジカル発生剤とは熱または光エネルギー照射によって炭素、酸素、窒素等のラジカルを発生する化合物を指し、硬膜反応を促進する機能を有するものである。
本発明にいかなるコロイド状シリカを使用してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒もしくは水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40質量%程度などが使用できる。
本発明で使用するコロイド状シリカは、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
本発明にいかなる界面活性剤を使用してもよいが、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明で使用する界面活性剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、膜形成塗布液の全量に対して0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。
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式中R3は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、
xは1〜20の整数であり、
m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。
複数のR3は同じでも異 なっていてもよい。
本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明にいかなるシランカップリング剤を使用してもよいが、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。
シランカップリング剤の好ましい使用量は、全固形分100質量部に対して10質量部以下、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
本発明にはいかなる密着促進剤を使用してもよいが、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。
密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100質量部に対して10質量部以下、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。溶媒を乾燥するための加熱は100℃〜250℃で1分〜5分行なうことが好ましい。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また膜形成用組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、膜形成用組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
一般式(I)の化合物またはその重合体は基盤上に塗布した後に加熱処理することによって硬化させることが特に好ましい。例えば重合体中に残存する炭素三重結合の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは50keV以下であることが好ましく、より好ましくは30keV以下、特に好ましくは20keV以下である。電子線の総ドーズ量は好ましくは5C/cm2以下であり、より好ましくは2C/cm2以下、特に好ましくは0〜1C/cm2以下である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、単独で、銅拡散バリア性を有する層間絶縁膜として使用してもよいし、銅拡散バリア膜として他の層間絶縁膜と組み合わせて用いてもよいが、低い誘電率を有する層間絶縁膜に銅配線を形成した上に、銅拡散バリア膜として本発明の絶縁膜を形成することが実効誘電率低下の観点から好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。
本発明において、形成した膜の比誘電率は3.5以下であることが好ましい。
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
<合成例1>
Macromolecules,36,16(2003),5947-5959に記載の方法等に従って合成した(I−a)16.5gとActa.Chem.Scand.Ser.B;42;7;1988;448-454に記載の方法に従って合成した(I−b)13.1gを100mlのジメチルアセトアミドに加え、さらにピリジン9mlを加え、室温で5時間攪拌した。反応液を1mol/Lの塩酸水200mlに注ぎ、酢酸エチル200mlで抽出した。
無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮したのちカラムクロマトグラフイーで精製し、例示化合物(I−9) 8.92gを得た。
Figure 2007262316
次に、例示化合物(I−9)、2gとジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)0.19g、t−ブチルベンゼン5mlを窒素気流下で内温150℃で7時間攪拌 、重合した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール30mlに添加、析出した固体を濾過して、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。重量平均分子量約6000の重合体(A)を0.30g得た。
<合成例2>
Journal of Organometallic Chemistry 626(2001)92-99に記載の方法に従って合成した例示化合物(I−30)350mgをプロピレングリコールモノメチルエーテル8mlに溶解させた溶液中に0.4%硝酸水溶液300μlを滴下した。滴下終了後40℃で10時間攪拌し、本発明の組成物(1)を得た。
<合成例3>
Tetrahedron;42; 6; 1986; 1763-1768に記載の方法に従って合成した化合物(a)10gとテトラクロロシラン5.8gをトルエン30mlに溶解し、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン−白金(O)キシレン溶液(アルドリッチ社製)50μlを加え、窒素気流中で、10時間加熱還流した。室温まで冷却し、エタノール50mlを加えて、室温で8時間攪拌した。反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより例示化合物(I−38)2gを得た。
例示化合物(I−38)350mgをプロピレングリコールモノメチルエーテル8mlに溶解させた溶液中に0.4%硝酸水溶液300μlを滴下した。滴下終了後40℃で10時間攪拌して組成物(2)を得た。
Figure 2007262316
<実施例1−1>
重合体(A)0.30gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに完全に溶解させ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製立体障害フェノール化合物:“IRGANOX1010”(登録商標)を全量に対して30ppm添加して塗布液を調製した。この溶液を0.1μmのPTFE製フィルターでろ過した後、シリコンウエハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃60秒間加熱、溶剤を乾燥させた後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で40分間焼成した結果、膜厚0.2μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.88であった。
<実施例1−2>
スパッタリングによって、最初にTi−W接着プロモーター層(100ml)でコーティングされ、次いで銅(500nm)でコーティングされたシリコンウエハーを使用した。
実施例1−1と同様にして塗布液をウエハ(Cu表面)に塗布し、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃60秒間加熱、溶剤を乾燥させた後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で50分間焼成した。この様式において得られた膜の表面の全反射蛍光X線分析を行ったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<実施例1−3>
実施例1−2と同様の塗布焼成をしたサンプルを23℃40RH%の環境で14日間保存したのち、400℃のオーブン中で50分間焼成した。この様式において得られた膜の表面の全反射蛍光X線分析を行ったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<実施例2>
添加する酸化防止剤をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製立体障害フェノール化合物:“IRGANOX3114”(登録商標)に変更したこと以外は、実施例1−1と同様な操作を行ったところ、膜の比誘電率は、2.90であり、さらに実施1−2と同様な操作を行ったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<実施例3>
組成物(1)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製ヒンダードアミン化合物“TINUVIN144”(登録商標)を全量に対して20ppm添加した液を用いて実施例1−1と同様なスピンコート、焼成および測定を実施したところ、比誘電率2.86であった。続いて実施例2と同様な操作を行なったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<実施例4>
組成物(2)に旭電化製リン系化合物:“アデカスタブPEP45”(登録商標)を全量に対して30ppm添加した液を用いて実施例1−1と同様なスピンコート、焼成および測定を実施したところ、比誘電率2.85であった。続いて実施例2と同様な操作を行なったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<実施例5>
特開2005−311069号公報の合成例1の組成物(使用溶媒N−メチルピロリジノン)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製立体障害フェノール化合物:“IRGANOX1010”(登録商標)を全量に対して30ppm添加してた液を用いて実施例1−2と同様の操作を行なったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。次に、実施例1−3と同様の実験を行ったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。
<比較例101>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様な操作を行ったところ、膜の比誘電率は、2.88であり、さらに実施1−2と同様な操作を行ったところ、膜表面の銅は400×1010atoms/cm2検出された。
<比較例102>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は実施例3と同様な操作を行なったところ、比誘電率は2.88であり、膜表面の銅は300×1010atoms/cm2検出された。
<比較例103>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は実施例4と同様な操作を行なったところ、比誘電率は2.85であり、膜表面の銅は500×1010atoms/cm2検出された。
<比較例104>
特開2005−311069号公報の合成例1の組成物(使用溶媒N−メチルピロリジノン)を用いて、実施例1−2と同様の操作を行なったところ、膜表面の銅は検出限界(0.3×1010atoms/cm2)以下であった。次に、実施例1−3と同様の実験を行ったところ、膜表面の銅は100×1010atoms/cm2検出された。
比較例に比べて、本発明の組成物から製造した絶縁膜は、金属拡散バリア性絶縁膜として優れた性能を有することが判る。

Claims (8)

  1. 酸化防止剤を含有することを特徴とする膜形成用組成物。
  2. 一般式(I)で表される化合物またはその重合体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2007262316

    一般式(I)中、
    Qは、炭素原子で形成された環構造を含む基を表す。
    lは1〜10の整数を表し、
    mは0〜10の整数を表し、
    nは1〜10の整数を表す。
    Xは任意の置換基を表す。
    Yは下記一般式(Y1−1)〜(Y1−6)および(Y2−1)〜(Y2−5)のいずれかで表される基を表す。
    Figure 2007262316

    一般式(Y1−1)〜(Y1−6)中、
    Zは水素原子または任意の置換基を表す。
    1はC(X)2、NX、O、Sから選ばれる原子または基を表す。
    2は水素原子または任意の置換基を表す。
    2は炭素原子で形成された環構造を含む基またはSiX (3−n2)を表す。
    は水素原子または任意の置換基を表す。
    2は1〜10の整数を表す。ただし、Q2がSiX (3−n2)を表すとき、n2は1〜3の整数を表す。
    Figure 2007262316

    一般式(Y2−1)〜(Y2−5)中、
    は炭素原子で形成された環状構造を有する基を表す。
    およびnは一般式(Y1−1)〜(Y1−6)で説明したものと同義である。
    Rは下記一般式(R−1)〜(R−10)のいずれかで表される基を表す。
    Figure 2007262316

    一般式(R−1)〜(R−10)中、
    は水素原子または任意の置換基を表す。
    R、X、Y、Z、R、X2、X、Q2およびQ3は複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。
  3. 一般式(I)で表される化合物において、Qの表す基が一般式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表される構造を含む基であることを特徴とする請求項2に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2007262316

    一般式(Q−1)〜(Q−7)中、
    Aは各々独立に一般式(I)におけるX、Y、Rで表される基または水素原子を表す。
  4. 一般式(I)で表される化合物において、Qの表す基が一般式(Q−1)または(Q−5)で表される構造を含む基であることを特徴とする請求項2または3に記載の膜形成用組成物。
  5. 一般式(I)で表される化合物を遷移金属触媒存在下または重合開始剤存在下で重合して得られる重合体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物を用いて形成した膜。
  7. 比誘電率が3.5以下であることを特徴とする請求項6に記載の膜。
  8. 請求項6ないし7に記載の膜を有する電子デバイス。
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