JP2007261841A - ジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法および該方法から得られるジルコニウムトリシリケート化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)酸化ジルコニウム水和物をアルカリ金属の水酸化物と過酸化水素の存在下で解膠して溶解させた水溶液を調製する工程、(b)前記水溶液と珪酸液を混合する工程、(c)前記混合液を水熱処理する工程、(d)得られた固形分を乾燥する工程、および(e)乾燥された固形分を焼成する工程を含むジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
このような天然石は、ワデアイト(ワデ石)と呼ばれ、ロシアのコラ半島やオーストラリアの西オーストラリア州で希に見つかり、その結晶構造は六方晶系の特異なものである。
ワデアイトの合成方法を記載した公知文献としては、非特許文献1があり、この中には、SiO2を溶解させたKOH溶液とZr(OC3H7)溶液とを混合し、これをステンレススチール・テフロン(登録商標)容器に入れて180℃の温度条件下で5日間、反応させることによって、ワデアイト化合物(K2ZrSi3O9・H2O)を合成する方法が開示されている。しかし、前記のZr(OC3H7)は、市場で簡単に入手することが難しく、またこれを経済的かつ容易に製造することもできない。
INORGANIC CHEMISTRY VOL. 36、 NO. 14 (1997)、PAGES 3071〜3079
すなわち、本発明は、ジルコニウムトリシリケート化合物、特にワデアイト型結晶構造を有するジルコニウムトリシリケート化合物を合成して製造する新規な方法、並びに該方法から得られる合成ジルコニウムトリシリケート化合物を提供することを目的としている。
アルカリ金属を含むジルコニウムトリシリケート化合物を製造する方法であって、
(a)酸化ジルコニウム水和物を含む水溶液に、アルカリ金属の水酸化物と過酸化水素を添加して攪拌することにより、該酸化ジルコニウム水和物を解膠して溶解させた水溶液を調製する工程、
(b)必要に応じて前記水溶液中に含まれるジルコニウム成分の濃度を調整した後、該水溶液と珪酸液の水溶液とを混合する工程、
(c)前記水溶液を反応容器中に入れて、100〜350℃の温度で水熱処理する工程、
(d)前記水溶液中に含まれる固形分を乾燥する工程、および
(e)前記固形分を750〜1200℃の温度で焼成する工程
を含むことを特徴としている。
前記工程(a)で使用されるアルカリ金属の水酸化物は、水酸化カリウムであることが好ましい。
さらに、前記工程(a)における過酸化水素(H2O2)の添加量は、前記酸化ジルコニウム水和物(ZrO2・xH2O)に対して、モル比(H2O2/ZrO2・xH2O)で12/5〜4/1に範囲にあることが好ましい。
さらに、前記工程(b)における珪酸液の混合量は、該珪酸液中に含まれるケイ素成分をSiO2で表し、また前記工程(a)から得られるジルコニウム成分をZrO2で表したとき、モル比(SiO2/ZrO2)で20/10〜60/10の範囲にあることが好ましい。
さらに、前記工程(d)における乾燥処理は、熱風乾燥機中で乾燥またはスプレードライヤーを用いた噴霧乾燥にて行うことが好ましい。
上記の方法から得られる、化学式M2ZrSi3O9(Mは、アルカリ金属を示す。)の組成からなるジルコニウムトリシリケート化合物であることを特徴としている。
また、前記ジルコニウムトリシリケート化合物は、化学式K2ZrSi3O9の組成からなるワデアイト型結晶構造を有するジルコニウムトリシリケート化合物であることが好ましい。
この方法から得られる、ワデアイト型結晶構造を有するジルコニウムトリシリケート化合物、すなわちワデアイト化合物を含む無機酸化物微粒子は、白色または白透明色の色調を有している。また、該無機酸化物微粒子は、密度が3.0〜3.2、硬度(モース硬度)が5.0〜6.0、屈折率が1.5〜1.7の範囲にある物理的性状を備えている。
よって、本発明に係る前記無機酸化物微粒子は、歯科材料や電子材料等の充填材として好適に使用することができる。また、粒子径の大きな無機酸化物微粒子は、宝石等の装飾品その他に使用することもできる。
本発明に係るジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法は、
アルカリ金属を含むジルコニウムトリシリケート化合物を製造する方法であって、
(a)酸化ジルコニウム水和物を含む水溶液に、水酸化カリウムと過酸化水素を添加して攪拌することにより、該酸化ジルコニウム水和物を解膠して溶解させた水溶液を調製する工程、
(b)必要に応じて前記水溶液中に含まれるジルコニウム成分の濃度を調整した後、該水溶液と珪酸液の水溶液とを混合する工程、
(c)前記水溶液を反応容器中に入れて、100〜350℃の温度で水熱処理する工程、
(d)前記水溶液中に含まれる固形分を乾燥する工程、および
(e)前記固形分を750〜1200℃の温度で焼成する工程
を含むものである。
本発明でいう前記酸化ジルコニウム水和物は、化学式ZrO2・xH2Oで表され、この中には水酸化ジルコニウム(Zr(OH)n)も含まれるものとする。
また、前記酸化ジルコニウム水和物は、酸または酸を含む水溶液には溶解するが、水またはアルカリを含む水溶液には殆ど溶解しないことが知られている。
さらに、前記過酸化水素は、18〜35重量%濃度の過酸化水素水として添加することが望ましい。
前記水溶液中における前記ジルコン酸塩の含有量は、30〜40重量%、好ましくは35〜37重量%の範囲にあることが好ましい。
さらに、前記アンモニア水は、5〜15重量%濃度のアンモニア水として添加することが望ましい。
このようにして得られる前記混合水溶液中に溶解して含まれるジルコニウム成分(酸化ジルコニウム水和物の解膠物)は、特にこれに制限されるものではないが、ZrO2換算基準で8〜12重量%の範囲にあることが望ましい。
この工程(b)では、前記工程(a)で得られた混合水溶液中に含まれるジルコニウム成分の濃度を必要に応じて調製した後、該混合水溶液と珪酸液の水溶液とを混合する。
ここで、前記混合水溶液中に含まれるジルコニウム成分は、この工程で混合される珪酸液の性状やその濃度によっても異なるが、ZrO2換算0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲となるように調整することが好ましい。ここで、前記含有量が0.5重量%未満であると、前記混合水溶液の単位体積あたりにおけるジルコニウムシリケート化合物の収量が少なくなってしまうため経済的でなく、また該含有量が10重量%を超えると、前記混合水溶液の安定性が悪く、しかも該水溶液の粘度が増加してしまう傾向にあるので、好ましくない。
この珪酸液の中でも、pHが2〜4、好ましくは2〜3の範囲にあり、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で0.1〜6重量%、好ましくは3〜4重量%の範囲にあるものを使用することが好ましい。
この工程(c)では、前記工程(b)で得られた混合水溶液を反応容器中に入れて、100〜350℃の温度で水熱処理する。
ここで、前記反応器としては、0.5〜16.5Mpaの圧力に耐える耐圧・耐熱容器であれば特に制限されるものではないが、ステンレススチール製のオートクレーブを用いることが好ましい。
この工程(d)では、前記工程(c)で得られた混合水溶液中に含まれる固形分を乾燥する。
前記混合水溶液中に含まれる固形分は、一般的に用いられている乾燥工程、即ち該固形分を濾過分離した後、必要に応じて純水または蒸留水で洗浄してから100〜200℃の温度で乾燥する工程に供して乾燥することができる。
この際、前記熱風の温度は、入り口温度は150〜200℃、好ましくは170〜180℃の範囲にあることが望ましく、出口温度は40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、前記入口温度が150℃未満であると、前記固形分の乾燥が不充分となり、また200℃を超えると、経済的でなくなる。また、前記出口温度が40℃未満であると、粉体の乾燥度合いが悪くて装置内に付着するので、好ましくない。
しかし、前記固形分を一般的に知られている乾燥装置の中に入れて、100〜200℃の温度で乾燥させてもよいことは勿論である。ただし、この場合は、粒子径の揃った無機酸化物微粒子を得ることができないので、歯科用充填材や電子材料等の用途に使用する場合には、必要に応じてすり鉢やボールミル等を用いた粉砕工程に供してその粒子径を調整することが必要である。ただし、装飾品などの用途に使用する場合には、粒子径の大きな粒子(または、塊状物)を形成することが望まれるので、該粒子の粒子径を大きくする手段を講じる必要がある。その方法としては、前記固形分濃度が10重量%を超える混合水溶液を調製してこれを乾燥工程に供する方法や、前記固形分を造粒したのちこれを乾燥工程に供する方法などがある。
この工程(e)では、前記工程(d)で得られた固形分(乾燥粉体)を750〜1200℃の温度で焼成する。
前記工程(d)で乾燥された固形分(乾燥粉体)は、石英製の坩堝に入れて電気炉中で、750〜1200℃、好ましくは1000〜1100℃の温度条件下で1時間以上、好ましくは3〜4時間かけて焼成することが好ましい。ここで、前記焼成温度が750℃未満であると、ジルコニウムトリシリケート化合物、特にワデアイト化合物からなる結晶物を得ることができず、非晶質の組成物となる。(すなわち、この組成物をX線回折装置で測定しても、ワデアイト型結晶構造などを示すX線回折ピークが現れない。)さらに、該焼成温度が1200℃を超えると、前記固形分(乾燥粉体)が溶融してしまって所望する無機酸化物微粒子を得ることができなくなる。また、前記焼成時間が1時間未満となると、ジルコニウムトリシリケート化合物、特にワデアイト化合物からなる結晶物を得ることが難しくなる。
さらに、前記工程(a)において前記アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウムを用いた場合には、ワデアイト型結晶構造を有するジルコニウムトリシリケート化合物、即ちワデアイト化合物(K2ZrSi3O9)を含む無機酸化物微粒子を容易に得ることができる。
上記の方法から得られる、本発明に係るジルコニウムトリシリケート化合物は、化学式M2ZrSi3O9またはM2ZrSi3O9・H2O(式中、Mはアルカリ金属を意味する。)で表される合成ジルコニウムトリシリケート化合物である。具体的には、K2ZrSi3O9、K2ZrSi3O9・H2O、Na2ZrSi3O9、Na2ZrSi3O9・H2O、Cs2ZrSi3O9、Cs2ZrSi3O9・H2O、KxNayZrSi3O9、KxNayZrSi3O9・H2O、KxCsyZrSi3O9、KxCsyZrSi3O9・H2O、(式中、x+y=2)などの化学式で表されるジルコニウムトリシリケート化合物が挙げられる。
よって、本発明に係るジルコニウムトリシリケート化合物を含む無機酸化物微粒子は、歯科用充填材などの用途に好適に使用することができる。
[調製例1]
オキシ塩化ジルコニウム250kg(ZrOCl2・8H2O、太陽鉱工(株)製)を温度15℃の純水4375kgに加えて攪拌し、オキシ塩化ジルコニウムを溶解させた。
さらに、このオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、15重量%濃度のアンモニア水250Lを攪拌下でゆっくりと添加して、15℃の温度条件下で前記オキシ塩化ジルコニウムの中和反応を行い、酸化ジルコニウム水和物の沈殿を含むスラリーを得た。
次いで、このスラリーを濾過し、得られたケーキ状物質を純水で繰り返し洗浄して、前記中和反応での副生物や未反応物などを除去した。
その結果、酸化ジルコニウム水和物を10重量%含み、残余物が水分であるケーキ状物質860kgを得た。
[調製例2]
市販の水ガラス10kg(旭硝子エスアイテック(株)製)を純水38kgで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、pHが3で、SiO2濃度が4重量%の珪酸液9kgを調製した。
調製例1で調製された酸化ジルコニウム水和物を含むケーキ状物質289gに純水2511gを加え、さらに攪拌しながら水酸化カリウム(関東化学(株)製)を85重量%含む水酸化カリウム56gを添加してアルカリ性にした後、過酸化水素(林純薬工業(株)製)を35重量%含む過酸化水素水560gを添加した。
さらに、この混合水溶液を攪拌しながら1時間、放置し、前記酸化ジルコニウム水和物を解膠して水溶液中に溶解させた。これにより、ZrO2換算基準でジルコニウム成分を1重量%含む水溶液3416g(以下、実施例調製液1Aという)を得た。
次いで、前記実施例調製液1B4928gをステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れ、160℃の温度で16時間、水熱処理を行った。これにより、実質的にジルコニウム成分、珪素成分およびカリウム成分の酸化物からなる固形分を含む水溶液4900g(以下、実施例調製液1Cという)を得た。
次いで、前記実施例粉体1A48gを石英製の坩堝に入れて電気炉(東洋製作所(株)製)中に収納し、これを1000℃の温度条件下で3時間かけて焼成した。これにより、結晶質の無機酸化物微粒子群45g(以下、実施例粉体1Bという)を得た。
さらに、前記実施例粉体1Bの中から選ばれた無機酸化物微粒子の平均粒子径、密度、屈折率および圧縮強度を測定した。その結果を表1に示す。
(a)平均粒子径
水-グリセリン溶液(水/グリセリンの重量比=6/4)に無機酸化物微粒子群を添加して、その含有量が1重量%になるように調整した。次に、この混合液を注入したセルを、遠心沈降式粒度分析計(堀場製作所、CAPA700)にかけて粒子の平均粒子径を測定した。また、この測定は、テーブル回転数1000rpm、粒度範囲0.5〜15μmの条件下で行った。
(b)密度
100ccフラスコに、無機酸化物微粒子である試料10gと蒸留水50ccを入れて懸濁させた。次に、フラスコ内部を真空にして、該試料の粒子間および粒子の細孔内に存在するガスと水を置換させ、さらにフラスコの標線まで水を満たして測定を行った。
無機酸化物微粒子である試料0.2gとCARGILIE標準屈折率液0.2gを均一に混合したペーストを得た。次に、スライドガラス板上に厚さ1mmの金属製リングをのせ、該リングの中へ前記ペーストを流し込み、その上にカバーガラスをのせて、軽く圧接した。さらに、前記ペーストの透明度を目視により確認した。
(d)圧縮強度
微小圧縮試験機(島津製作所製)を用いて、ダイヤモンド圧盤で無機酸化物微粒子(3〜4μm)に負荷を与え、負荷圧力と圧縮変位を測定し粒子の圧縮強度とした。
調製例1で調製された酸化ジルコニウム水和物を含むケーキ状物質250gに純水2152gを加え、さらに攪拌しながら水酸化カリウム(関東化学(株)製)を85重量%含む水酸化カリウム48gを添加してアルカリ性にした後、過酸化水素(林純薬工業(株)製)を35重量%含む過酸化水素水480gを添加した。
さらに、この混合水溶液を攪拌しながら1時間、放置し、前記酸化ジルコニウム水和物を解膠して水溶液中に溶解させた。これにより、ZrO2換算基準でジルコニウム成分を1重量%含む水溶液2930g(以下、実施例調製液2Aという)を得た。
次いで、前記実施例調製液2B3683gをステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れ、160℃の温度で16時間、水熱処理を行った。これにより、実質的にジルコニウム成分、珪素成分およびカリウム成分の酸化物からなる固形分を含む水溶液3603g(以下、実施例調製液2Cという)を得た。
次いで、前記実施例粉体2A48gを石英製の坩堝に入れて電気炉(東洋製作所(株)製)中に収納し、これを1000℃の温度条件下で3時間かけて焼成した。これにより、結晶質の無機酸化物微粒子群45g(以下、実施例粉体2Bという)を得た。
さらに、実施例1の場合と同様に、前記実施例粉体2Bの中から選ばれた無機酸化物微粒子の平均粒子径、密度、屈折率および圧縮強度を測定した。その結果を表1に示す。
調製例1で調製された酸化ジルコニウム水和物を含むケーキ状物質145gに純水1254gを加え、さらに攪拌しながら水酸化カリウム(関東化学(株)製)を85重量%含む水酸化カリウム水溶液17gおよび水酸化ナトリウムを48重量%含む水酸化ナトリウム水溶液21gを添加してアルカリ性にした後、過酸化水素(林純薬工業(株)製)を35重量%含む過酸化水素水280gを添加した。
さらに、攪拌しながら1時間、放置し、前記酸化ジルコニウム水和物を解膠して水溶液中に溶解させた。これにより、ZrO2換算基準でジルコニウム成分を1重量%含む水溶液1400g(以下、実施例調製液3Aという)を得た。
次いで、前記実施例調製液3B2000gをステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れ、160℃の温度で16時間、水熱処理を行った。これにより、実質的にジルコニウム成分、珪素成分、カリウム成分およびナトリウム成分の酸化物からなる固形分を含む水溶液1950g(以下、実施例調製液3Cという)を得た。
次いで、前記実施例粉体3A38gを石英製の坩堝に入れて電気炉(東洋製作所(株)製)中に収納し、これを1000℃の温度条件下で3時間かけて焼成した。これにより、結晶質の無機酸化物微粒子群36g(以下、実施例粉体3Bという)を得た。
さらに、実施例1の場合と同様に、前記実施例粉体3Bの中から選ばれた無機酸化物微粒子の平均粒子径、密度、屈折率および圧縮強度を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1で前記実施例調製液1Bを調製した方法と同じ方法で、調製液4B20kgを調製した。
次いで、前記調製液4Bの中から4928gずつを取り出し、ステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れて、それぞれ90℃、110℃、200℃の温度で16時間、水熱処理を行った。これにより、実質的にジルコニウム成分、珪素成分およびカリウム成分の酸化物からなる固形分を含む水溶液(以下、それぞれ比較例調製液1C、実施例調製液4C-1および実施例調製液4C-2という)を得た。
次いで、実施例1と同じ条件下でこれらの粉体を焼成して、それぞれの無機酸化物微粒子群(以下、それぞれ比較例粉体1B、実施例粉体4B-1および実施例粉体4B-2)を得た。
実施例1で前記実施例調製液1Bを調製した方法と同じ方法で、調製液5B20kgを調製した。
次いで、前記調製液5Bの中から4928gずつを取り出し、ステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れて、それぞれ90℃、110℃、200℃の温度で96時間、水熱処理を行った。これにより、実質的にジルコニウム成分、珪素成分およびカリウム成分の酸化物からなる固形分を含む水溶液(以下、それぞれ比較例調製液2C、実施例調製液5C-1および実施例調製液5C-2という)を得た。
次いで、実施例1と同じ条件下でこれらの粉体を焼成して、それぞれの無機酸化物微粒子群(以下、それぞれ比較例粉体2B、実施例粉体5B-1および実施例粉体5B-2)を得た。
実施例1で前記実施例粉体1Aを調製した方法と同じ方法で、粉体6A120gを調製した。
次いで、前記粉体6Aの中から30gずつを取り出し、石英製の坩堝に入れて電気炉(東洋製作所(株)製)中に収納して、それぞれ700℃、900℃および1100℃の温度条件下で3時間かけて焼成した。これにより、それぞれの無機酸化物微粒子群(以下、それぞれ比較例粉体3B、実施例粉体6B-1および実施例粉体6B-2という)を得た。
実施例1で前記実施例調製液1Cを調製した方法と同じ方法で、調製液7C3000gを調製した。
次いで、前記調製液7Cに含まれる固形分濃度を2重量%に調整して、これらをスプレードライヤー(NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥を行った。この時の噴霧乾燥おける温度(熱風温度)は180℃であり、また噴霧条件はスラリー供給量2L/分でスプレー圧0.5Mpaであった。これにより、充分に乾燥された実施例粉体7Aを得た。得られた実施例粉体7A50gをエタノール100gと十分混合し1時間静置を行った後、上澄みから約3cmの液、及び上澄みから約3〜6cmの液、約6〜9cmの液、約9cm以下の沈降物含有液(以下、それぞれ実施例調製液7C−1、実施例調製液7C−2、実施例調製液7C−3および実施例調製液7C-4)を得た。
次に、実施例1と同じ条件下でこれらの粉体を焼成して、それぞれの無機酸化物微粒子群(以下、それぞれ実施例粉体7B-1、実施例粉体7B-2、実施例粉体7B-3および実施例粉体7B-4という)を得た。
実施例1で前記実施例調製液1Aを調製した方法と同じ方法で、調製液8A20kgを調製した。
次に、調製例2で調製された珪酸液と前記調製液8Aとを以下の割合となるように混合した。なお、下記のモル比は、前記珪酸液中に含まれる珪素成分をSiO2で表し、さらに前記水溶液中に含まれるジルコニウム成分をZrO2で表したときのものを示す。
混合液1 2010 1003 80/5
混合液2 505 2201 20/11
混合液3 1508 3043 60/15
混合液4 1022 3234 40/32
次いで、実施例1と同じ条件下でこれらの粉体を焼成して、それぞれの無機酸化物微粒子群(以下、それぞれ比較例粉体4B-1、比較例粉体4B-2、実施例粉体8Bおよび比較例粉体4B-3)を得た。
平均粒子径17nmのシリカ微粒子をSiO2基準で10重量%含むシリカゾル(触媒化成工業(株)製、カタロイドS−20L)を蒸留水で希釈して、3重量%のシリカ微粒子を含むシリカゾル1867gを得た。これに、濃度3重量%のNaOH水溶液12gと、ジルコニウム成分をZrO2基準で4重量%含む炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液407g(第一稀元素化学工業(株)製、ジルコゾールAC−7)を添加した後、15分間攪拌してこれらの混合スラリー液2286gを調製した。
上記の表1において、◎印は、無機酸化物微粒子(粉体B)の中にジルコニウムトリシリケート化合物を主に含み、○印は、無機酸化物微粒子(粉体B)の中にジルコニウムトリシリケート化合物とジルコニウムジシリケート化合物を含み、×印は、無機酸化物微粒子(粉体B)の中にジルコニウムトリシリケート化合物を殆ど含んでいないことを意味する。
Claims (10)
- アルカリ金属を含むジルコニウムトリシリケート化合物を製造する方法であって、
(a)酸化ジルコニウム水和物を含む水溶液に、アルカリ金属の水酸化物と過酸化水素を添加して攪拌することにより、該酸化ジルコニウム水和物を解膠して溶解させた水溶液を調製する工程、
(b)必要に応じて前記水溶液中に含まれるジルコニウム成分の濃度を調整した後、該水溶液と珪酸液の水溶液とを混合する工程、
(c)前記水溶液を反応容器中に入れて、100〜350℃の温度で水熱処理する工程、
(d)前記水溶液中に含まれる固形分を乾燥する工程、および
(e)前記固形分を750〜1200℃の温度で焼成する工程
を含むことを特徴とするジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。 - 前記工程(a)において酸化ジルコニウム水和物が、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウムおよびアンモニウムオキシ炭酸ジルコニウムから選ばれた1種または2種以上のジルコン酸塩の水溶液にアンモニアまたはアンモニア水を撹拌下で添加して得られる中和反応物を洗浄したものであることを特徴とする請求項1に記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(a)においてアルカリ金属の水酸化物が、水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(a)においてアルカリ金属の水酸化物(MOH)の添加量が、前記酸化ジルコニウム水和物(ZrO2・xH2O)に対して、モル比(MOH/ZrO2・xH2O)で1/5〜1/1の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(a)において過酸化水素(H2O2)の添加量が、前記酸化ジルコニウム水和物(ZrO2・xH2O)に対して、モル比(H2O2/ZrO2・xH2O)で12/5〜4/1に範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(b)において珪酸液の混合量が、該珪酸液中に含まれるケイ素成分をSiO2で表し、また前記工程(a)から得られるジルコニウム成分をZrO2で表したとき、モル比(SiO2/ZrO2)で20/10〜60/10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(c)における水熱処理を、オートクレーブ中で10〜100時間かけて行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 前記工程(d)における乾燥処理を、熱風乾燥機中で乾燥またはスプレードライヤーを用いた噴霧乾燥にて行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法から得られた、化学式M2ZrSi3O9(Mは、アルカリ金属を示す。)の組成からなるジルコニウムトリシリケート化合物。
- 前記ジルコニウムトリシリケート化合物が、化学式K2ZrSi3O9の組成からなるワデアイト型結晶構造を有する化合物であることを特徴とする請求項9に記載のジルコニウムトリシリケート化合物。
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JP2006086801A JP5051743B2 (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | ジルコニウムトリシリケート化合物の製造方法および該方法から得られるジルコニウムトリシリケート化合物 |
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