JP2007261507A - 油圧パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行状態に応じた制御油圧の作用により補助力特性の変更制御に対応可能としながら、制御油圧の不足又は喪失時における操舵の安定性を確保することができる油圧パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力軸2aと出力軸2bとをトーションバー6を介して同軸上に連結し、トーションバー6の捩れを伴って生じる入力軸2aと出力軸2bとの間の相対角変位に応じて操舵補助用のパワーシリンダへの送給油圧を制御する油圧制御弁4を備える油圧パワーステアリング装置において、トーションバー6と一体回転する入力円板50と出力軸2bと一体回転する出力円板51とを、押しばね52のばね力により係合ボール56を介して押し付け、また入力円板50と出力円板51との間の高圧室30に制御油圧を導入し、入力円板50と出力円板51とを離反させる向きに作用させる構成とする。
【選択図】図2
【解決手段】入力軸2aと出力軸2bとをトーションバー6を介して同軸上に連結し、トーションバー6の捩れを伴って生じる入力軸2aと出力軸2bとの間の相対角変位に応じて操舵補助用のパワーシリンダへの送給油圧を制御する油圧制御弁4を備える油圧パワーステアリング装置において、トーションバー6と一体回転する入力円板50と出力軸2bと一体回転する出力円板51とを、押しばね52のばね力により係合ボール56を介して押し付け、また入力円板50と出力円板51との間の高圧室30に制御油圧を導入し、入力円板50と出力円板51とを離反させる向きに作用させる構成とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、操舵補助力の発生源としての複動式の油圧シリンダ(パワーシリンダ)を用いてなる油圧パワーステアリング装置に関する。
車両の操舵を油圧により補助する油圧パワーステアリング装置は、油圧源としての油圧ポンプ及び排油先としての油タンクと舵取機構の一部に設けたパワーシリンダとの間に、操舵部材の操作に応じて油圧の給排動作をなす油圧制御弁を配し、この油圧制御弁を経て送給される油圧によりパワーシリンダが発生する油圧力を舵取機構に加えて操舵を補助する構成となっている。
前記油圧制御弁としては、操舵部材と舵取機構とを連結するステアリング軸の中途を操舵部材の側の入力軸と舵取機構の側の出力軸とに分割し、既知の捩れ剛性を有するトーションバーを介して同軸上に連結して、両軸の一方と一体形成されたバルブスプールを他方に連設された筒形のバルブボディーに内嵌してなるロータリ式の油圧制御弁が広く用いられている。バルブボディーとバルブスプールとの嵌合周上には複数の絞り部が並設してあり、操舵部材に操舵トルクが加えられたとき、これらの絞り部の絞り面積が、トーションバーの捩れを伴ってバルブスプールとバルブボディーとの間に生じる相対角変位に応じて変化し、この変化に応じてパワーシリンダへの送給油圧が制御される構成となっている。
以上の如く構成された油圧パワーステアリング装置は、操舵補助力の発生源としてモータを備える電動パワーステアリング装置と比較して、コンパクトな構成により大なる操舵補助力が得られるという利点を有する一方、操舵部材に加えられる操舵トルクとパワーシリンダが発生する操舵補助力との間の対応関係(補助力特性)が、油圧制御弁に備えられたトーションバーの捩れ剛性により一義に決定されることから、車速、操舵角度等の走行状態の変化に応じた補助力特性の変更制御への対応が難しいという欠点を有する。
この欠点を解消すべく従来から、油圧制御弁の一側に油圧反力部を並設し、この油圧反力部が発生する反力の作用によりバルブスプールとバルブボディーとの相対角変位を制限して、走行状態に応じた補助力特性の変更に対応するように構成された油圧パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
油圧反力部は、例えば、バルブスプールとバルブボディーとの嵌合部を一側に延長し、バルブボディーの延長部に半径方向の貫通孔を複数設け、これらの貫通孔の夫々に摺動自在に保持させた反力プランジャの先端を、内側に対向するバルブスプールの延長部に係合せしめると共に、各貫通孔の外側を共通の導圧室により連通した構成となっている。
油圧反力部の導圧室には、例えば、車速の高低に応じて高低となる制御油圧を導入し、夫々の貫通孔内の反力プランジャに外側から作用させる。これにより、夫々の反力プランジャの先端がバルブスプールの延長部に押し付けられて、バルブスプールとバルブボディーとの相対角変位、即ち、油圧制御弁の動作が制限されることとなり、高速走行中には、油圧反力部における押し付け力を超える大きさの操舵トルクが加わらない限り操舵補助がなされず、操舵部材に適度の剛性が付与されて直進安定性が確保される一方、停止中及び低速走行中には、小さい操舵トルクの作用下において操舵補助力が発生し、操舵部材の操作に要する力が低減されることとなり、望ましい補助力特性を得ることができる。
特表平7−507976号公報
特開平6−303752号公報
ところがこの油圧パワーステアリング装置は、入力軸と出力軸とを捩れ剛性の低いトーションバーを介して連結しておき、このトーションバーに本来生じるべき捩れを油圧反力部に導入される制御油圧の作用により制限する構成を有するから、制御油圧の基となるメイン圧が十分に上昇し得ない状態とあるとき、制御油圧の不足又は喪失に伴って低剛性のトーションバーの捩れに応じた補助力特性が実現されることとなり、操舵部材の中立剛性が不足して、特に、高速走行中の操舵感の悪化を招来し、操舵の安定性が損なわれるという問題がある。
この問題は、制御油圧を発生するための油圧回路を他の油圧機器用の油圧回路と別体に設け、メイン圧の不足が生じないようにする対策により緩和することができ、また、中立位置にある入力軸と出力軸との間に所定のプリセット荷重を付加する機構を設け、見かけ上の中立剛性を高めることも提案されているが、これらはいずれも、新たな構成の追加を要することとなり、好ましい対策ではない。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、走行状態に応じた制御油圧の作用により補助力特性の変更制御に対応可能としながら、前記制御油圧の不足又は喪失時において高い中立剛性を確保することができ、操舵の安定性が損なわれることのない油圧パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明の第1発明に係る油圧パワーステアリング装置は、操舵部材の側の入力軸と舵取機構の側の出力軸とをトーションバーを介して同軸上に連結し、車両の操舵のために前記操舵部材に加えられる操舵トルクの作用により前記トーションバーの捩れを伴って前記入力軸と前記出力軸との間に生じる相対角変位に応じて操舵補助用のパワーシリンダへの送給油圧を制御する油圧制御弁を備える油圧パワーステアリング装置において、前記トーションバーと前記出力軸とを、前記操舵トルクとの作用による周方向の位置ずれを許容して連結する連結手段と、該連結手段における位置ずれ量を外部から導入される制御油圧の高低に応じて大小に変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
また本発明の第2発明に係る油圧パワーステアリング装置は、第1発明における連結手段が、前記トーションバーと一体回転する入力円板と、前記出力軸と一体回転する出力円板と、該出力円板と前記入力円板との間に所定の押し付け力を加える押しばねとを備え、第1発明における変更手段が、前記出力円板と前記入力円板との間に、前記押し付け力に抗して両円板を離反させるべく前記制御油圧を作用させる構成としてあることを特徴とする。
本発明の第1発明に係る油圧パワーステアリング装置においては、トーションバーと出力軸とを操舵トルクの作用による周方向の位置ずれを可能とする連結手段により連結し、この連結手段における位置ずれ量を外部から導入される制御油圧の高低に応じて大小となるように変更して、この位置ずれ量とトーションバーの捩れ量とにより生じる相対角変位に応じて油圧制御弁が制御動作をなすように構成したから、制御油圧が不足又は喪失した場合の相対角変位を小さく抑えることができ、操舵部材の中立剛性を確保して、操舵の安定性が操舵感の悪化を防止することができる。
本発明の第2発明に係る油圧パワーステアリング装置においては、トーションバーと一体回転する入力円板と出力軸と一体回転する出力円板とが、押しばねのばね力と外部から導入される制御油圧との力バランスにより押し付けられ、この押し付け下での操舵トルクの作用により位置ずれする構成としてあるから、制御油圧の作用による補助力特性の変更制御と制御油圧の不足又は喪失時における操舵の安定性との両立を、簡素な構成により実現することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る油圧パワーステアリング装置の全体構成を示す模式図である。本図に示すパワーステアリング装置は、車体の左右方向に延設された円筒形をなすラックハウジング10の内部に軸長方向への移動自在に支持されたラック軸1と、ラックハウジング10の一側端部近傍に交叉するピニオンハウジング20の内部に回転自在に支持されたピニオン軸2とを有するラックピニオン式の舵取機構を備えている。
ラックハウジング10の両側から外部に突出するラック軸1の両端は、各別のタイロッド11,11を介して操舵輪としての左右の前輪12,12に連結されている。またピニオンハウジング20の上部に突出するピニオン軸2の上端は、両端に自在継手を備える中間軸13を介してステアリング軸14の一端に後述の如く連結されており、上方に延長されたステアリング軸14の他端には、操舵部材としてのステアリングホイール15が固着されている。ピニオンハウジング20の内部に延びるピニオン軸2の下部には、ピニオン21(図2参照)が形成されており、該ピニオン21は、ラックハウジング10との交叉部において、ラック軸1の外面に適長に亘って形成されたラック歯16(図2参照)に噛合させてある。
以上の構成により、操舵のためにステアリングホイール15が回転操作された場合、この回転が、ステアリング軸14及び中間軸13を介してピニオン軸2に伝達され、更に、ピニオン21とラック歯16との噛合部においてラック軸1の軸長方向の移動に変換されることとなり、このラック軸1の移動により、左右の前輪12,12が各別のタイロッド11,11を介して押し引きされて操舵が実行される。
本発明に係る油圧パワーステアリング装置は、このように実行される操舵を油圧により補助すべく、ラック軸1を支持するラックハウジング10の他側半部に所定の長さ範囲に亘って設けられたパワーシリンダ3と、ピニオンハウジング20の内部に支持されたピニオン軸2の中途に設けられた油圧制御弁4とを備えている。
図2は、油圧制御弁4の構成例を示す図1のII−II線による縦断面図である。本図に示す如くピニオン軸2は、筒形をなすピニオンハウジング20の内部に同軸上に支持された入力軸2aと出力軸2bとを備えている。
下位置にある出力軸2bの下半部にはピニオン21が一体形成されており、このピニオン21は、ラックハウジング10との交叉部においてラック軸1の外面に形成されたラック歯16に噛合させてある。また出力軸2bの上部には、円筒形をなす連結筒22が同軸をなして連設され、ピニオンハウジング20の内部に回動自在に遊嵌されて上方に延長されている。
上位置にある入力軸2aは、全長に亘って中空の中空軸として構成されている。入力軸2aの下端は、連結筒22の上部内側に進入させてあり、この連結筒22に内嵌保持された軸受23により、連結筒22及び出力軸2bと同軸を保って支持されている。入力軸2aの上端は、ピニオンハウジング20の上部に突設され、前述の如く、中間軸13を介してステアリング軸14に連結されており、操舵のためにステアリングホイール15が回転操作された場合、この回転が、ステアリング軸14及び中間軸13を介して入力軸2aに伝達される構成となっている。
入力軸2aの中空部内には、トーションバー6が嵌挿されている。トーションバー6は、捩れ剛性が既知の中間部の両端に一体に連設された大径の連結端部60,61を備えており、一方の連結端部60は、ピニオンハウジング20の上側への入力軸2aの突出部に内嵌され、当該位置に打設された連結ピン62により軸方向及び周方向への移動を不可として入力軸2aに連結されている。またトーションバー6の他方の連結端部61は、入力軸2aの下端部に相対回転可能に遊嵌され、この嵌合部から下方に適長突出させてあり、この突出端には、後述する連結部5の入力円板50が同軸をなして固定されている。
油圧制御弁4は、入力軸2aと出力軸2bとの間に後述の如く生じる相対角変位を利用してパワーシリンダ3への送給油圧を制御する公知のロータリ弁であり、ピニオンハウジング20の内部に同軸回動自在に内嵌された円筒形のバルブボディー40と、これの内側に嵌合されたバルブスプール41とを備えてなる。バルブボディー40は、出力軸2bに連設された連結筒22の上端にダウエルピン42を介して連結され、出力軸2bと一体に回転するようになしてある。またバルブスプール41は、バルブボディー40の内側に嵌合する入力軸2aの中途部外周に一体的に構成されている。これにより、油圧制御弁4のバルブボディー40とバルブスプール41との間には、入力軸2aと出力軸2bとの間と同一の相対角変位が生じる。
このような油圧制御弁4には、油圧ポンプP(図1参照)により昇圧された作動油が、ピニオンハウジング20の該当位置に開設されたポンプポート24を経て導入されている。またピニオンハウジング20には,一対のシリンダポート25,26が開設されており、これらのシリンダポート25,26は、各別の送油管17,18(図1参照)を介して操舵補助用のパワーシリンダ3の左右のシリンダ室3L,3Rに接続されている。更にピニオンハウジング20の内側には、油圧制御弁4の上位置に還流室27が設けてあり、この還流室27は、ピニオンハウジング20に開設されたタンクポート28を介して低圧の油タンクT(図1参照)に連通されている。
バルブボディー40とバルブスプール41との嵌合周上には、これらの相対角変位に応じて絞り面積を変える複数の絞り部が並設されており、油圧制御弁4は、ポンプポート24を経て導入される高圧の作動油を前記絞り部の絞り面積の変化によって振り分け、シリンダポート25,26を介してパワーシリンダ3の左右のシリンダ室3L,3Rのいずれか一方に送給すると共に、この送給により他方のシリンダ室3R,3Lから還流する作動油を、還流室27及びタンクポート28を介して油タンクTに排油させる給排動作をなす。
この動作によりパワーシリンダ3は、作動油が送給される一方のシリンダ室3L,3Rから他方のシリンダ室3R,3Lに向かう油圧力を発生し、この油圧力がラック軸1に加えられて前述した操舵が補助される。なおシリンダ室3R又は3Lから油圧制御弁4に還流する作動油は、入力軸2aの中空部を経て還流室27に戻される。
連結部5は、出力軸2bとトーションバー6の同側の連結端部61とを連結すべく、出力軸2bに連設された連結筒22の内側において入力軸2aの下端と出力軸2bの上端との間に確保された空間の内部に、入力円板50、出力円板51及び押しばね52を備えて構成されている。入力円板50は、前述の如く、入力軸2aの下端から突出するトーションバー6の連結端部61に同軸的に固着されている。
出力円板51は、入力円板50の下側に一面を対向させて配された略同径の円板であり、他面の軸心部に同軸的に固設された支軸53を有しており、この支軸53を出力軸2bの上端面の軸心部に開口する支持孔54に周方向に複数の転動ボール55,55…(2つのみ図示)を介して内嵌せしめて支持してある。転動ボール55,55…は、支持孔54の周面に軸長方向に延設された各別の溝に係合されてボールスプラインを構成しており、支軸53により支持された出力円板51は、各別の溝内での転動ボール55,55…の転動を伴って支持孔54の軸長方向に滑らかに移動可能であり、夫々の移動位置にて出力軸2bと一体回転することができる。
押しばね52は、出力円板51と出力軸2bの上端面との間に介装されたコイルばねであり、出力円板51に上向きのばね力、即ち、入力円板50に接近する向きのばね力を加えている。入力円板50及び出力円板51の夫々との対向面には、周方向に整合する位置に各複数のV溝57,58(図3参照)が形成されており、夫々のV溝57,58間には係合ボール56が介装されている。なお図2中には、正面側に位置する1組のV溝57,58と、これらと係合する係合ボール56とが示され、この係合ボール56と異なる周方向位置にある2つの係合ボール56,56が併せて示されている。
入力円板50及び出力円板51の外周は、連結筒22との間に介装されたシール部材により液密に封止されている。これにより入力円板50と出力円板51との対向面間に生成される封止空間は、ピニオンハウジング20の周壁に開設された制御ポート29に連通されており、該制御ポート29から制御油圧が導入される高圧室30を構成している。また出力円板51の他側に生成され、押しばね52が配された封止空間は、ピニオンハウジング20の周壁に開設されたタンクポート31に連通され、該タンクポート31を介して低圧の油タンクTに接続された低圧室32が形成されている。この低圧室32は、出力円板51の一部を貫通する絞り孔33により高圧室30に連通されている。
この構成により、制御ポート29から高圧室30に導入される制御油圧は、絞り孔33を経て低圧室32に解放され、タンクポート31を経て油タンクTに戻されることとなり、このとき出力円板51は、制御油圧の高低に応じて高圧室30と低圧室32との間に生じる圧力差により下向き、即ち、入力円板50から離反する向きに押圧される。
高圧室30に導入される制御油圧は、車両の走行状態に応じて高低に制御される油圧であり、例えば、図1に示す如く、油圧ポンプPから連結部5を経て油タンクTに還流する分岐油路の中途に連結部5よりも上流側に位置して可変絞り34を配し、この可変絞り34の絞り開度を変更することにより得られる。この場合、高圧室30に導入される制御油圧は、連結部5の出力円板51に形成された絞り孔33と可変絞り34との間に発生する油圧であり、可変絞り34の絞り開度の大小に応じて高低となる。
可変絞り34は、アシスト制御部7から与えられる動作指令に従って開閉されるようになしてある。アシスト制御部7には、例えば、走行状態センサとしての車速センサ70から車両の走行速度の検出結果が与えられており、アシスト制御部7は、車速センサ70による検出車速の遅速に応じて可変絞り34の絞り開度を大小に変更する制御動作をなす。これにより高圧室30に導入される制御油圧は、高速走行中には低圧となり、低速走行中には高圧となり、この制御油圧により出力円板51に加わる下向きの押圧力は、車速の高低に応じて大小に変化する。
図3は、連結部5の動作説明図であり、入力円板50及び出力円板51の対向部を、これらの間に介在する1つの係合ボール56と共に示してある。前述の如く出力円板51には、押しばね52のばね力が、図中に白抜矢符により示す如く入力円板50に向かう押圧力F1 として加わると共に、高圧室30に導入される制御油圧が、図中に矢符により示す如く入力円板50から離れる向きの押圧力F2 として加わっており、出力円板51は、これらの押圧力の差(=F1 −F2 )により係合ボール56を介して入力円板50に押し付けられる。この係合ボール56は、入力円板50及び出力円板51のの対向面に形成されたV溝57,58に係合させてあるから、入力円板50と出力円板51とは、V溝57,58内での係合ボール56による拘束下にて一体回転することができる。
入力円板50は、トーションバー6の下端に固設されており、このトーションバー6の上端は入力軸2aに連結されているから、入力円板50は入力軸2aと一体回転する。また出力円板51は、支軸53を介して出力軸2bに支持されており、該出力軸2bと一体回転する。従ってステアリングホイール15の操作に応じて前述の如く生じる入力軸2aの回転は、トーションバー6、入力円板50及び出力円板51を介して出力軸2bに伝達され、該出力軸2bの下半部に形成されたピニオン21が回転し、ラック軸1の移動に変換されて前述の如く操舵が実行される。このときトーションバー6は、ステアリング軸14を介して入力軸2aに加わる操舵トルクに応じて捩れ、この捩れに応じて入力軸2aと出力軸2bとの間に相対角変位が生じ、この相対角変位に応じて油圧制御弁4が前述した油圧の給排動作をなし、パワーシリンダ3が操舵補助力を発生する。
またこのとき、入力円板50と出力円板51との間に挾持された係合ボール56には、これが係合するV溝57,58への押し付け点に前記操舵トルクの大きさに対応する反力Fが逆向きに加わり、入力円板50及び出力円板51は、前記反力Fの軸方向分力F0 の作用により互いに離反する向きに押圧される。従って出力円板51は、前述した両方向の押圧力F1 ,F2 と、操舵トルクの大きさに対応する軸方向分力F0 との合力(=F1 −F2 −F0 )によって入力円板50に押し付けられる。
操舵トルクに対応する軸方向分力F0 が小さく、前記押し付けのための合力が正値である場合、図3(a)に示すように係合ボール56は、入力円板50及び出力円板51の対向面に形成されたV溝57,58との係合状態を保つから、入力円板50と出力円板51とは一体に回転し、入力軸2aと出力軸2bとの間には、トーションバー6の捩れ量と等しい相対角変位が生じる。
一方操舵トルクに対応する軸方向分力F0 が大きく、前記押し付けのための合力が負値に転換した場合、図3(b)に示すように係合ボール56は、入力円板50及び出力円板51の対向面に形成されたV溝57,58の傾斜面に乗り上げ、入力円板50と出力円板51とは周方向に位置ずれした状態で回転し、入力軸2aと出力軸2bとの間には、トーションバー6の捩れ量よりも大きい相対角変位が生じる。
このような動作により、入力軸2aと出力軸2bとの間の相対角変位は、これらに加わる操舵トルクが小さい領域においてはトーションバー6の捩れ量と等しく、操舵トルクが大きい領域においてはトーションバー6の捩れ量よりも大きくなる。従って、この相対角変位に応じた油圧制御弁4の給排動作によりパワーシリンダ3が発生する操舵補助力は、操舵トルクが小さい領域において小さい変化率にて変化し、操舵トルクが大きい領域においては変化率を増して立ち上がる特性を示す。
また出力円板51には、軸方向分力F0 と同方向に制御油圧の作用による押圧力F2 も加わっており、入力円板50と出力円板51との位置ずれは、押圧力F2 と軸方向分力F0 との合力が押しばね52による押圧力F1 を上回った後に生じる。従って、前記位置ずれが生じるようになる操舵トルクの大きさは、高圧室30に導入される制御油圧の高低に応じて自在に変更することができ、前述の如く、車速の遅速に応じて高低となる制御油圧が導入されている場合、パワーシリンダ3が発生する操舵補助力は、低速走行時には、小なる操舵トルクの領域にて立ち上がり、高速走行時には、大きい操舵トルクの領域に達するまで少ない変化率を示す特性となる。
図4は、本発明に係る油圧パワーステアリング装置により実現される補助力特性の一例を示す図であり、図5は、本発明に係る油圧パワーステアリング装置により実現される操舵特性の一例を示す図である。図中の実線は、低速走行時の特性を示し、同じく破線は、高速走行時の特性を示している。図4に示す如く低速走行時には、中立点の近傍において操舵補助力が急激に立ち上がる補助力特性となり、一方、高速走行時には、中立点の両側に広範囲に亘って操舵補助力が小さい領域が存在する補助力特性となる。
この結果図5に示す如く、低速走行時には、ステアリングホイール15にわずかな操舵トルクを加えるだけでよく、操舵のためのステアリングホイール15の操作を軽快に行わせ得る操舵特性が得られる一方、高速走行時には、中立点の両側に広範囲に亘って操舵補助力が小さい領域が存在し、中立点の近傍でのステアリングホイール15の剛性を高め、直進安定性の向上を図り得る操舵特性が得られる。
このような特性は、外部から導入される制御油圧の作用による連結部5の前述した動作によって実現され、制御油圧が高圧であるとき実線により示す特性となり、制御油圧が低圧であるとき破線により示す特性となる。従って、制御油圧の基となるメイン圧が不足している状態、更には、メイン圧が喪失された状態が走行中に発生した場合、低い制御油圧の作用下での連結部5の動作により、図4、図5中に破線にて示すような補助力特性及び操舵特性が実現されることとなり、特に、高速走行中の操舵感の急変を未然に防止することができ、操舵の安定性を確保することが可能となる。
なお以上の実施の形態においては、連結部5へ導入する制御油圧を車速の遅速に応じて高低となる油圧としてあるが、操舵角の大小、ブレーキ操作の有無等、車速以外の他の走行状態の検出結果、更には、複数の走行状態の検出結果の組み合わせに基づいて制御油圧を高低に制御し、個々の走行状態に適した補助力特性を実現することも可能である。
また連結部5の構成は、以上の実施の形態に示す構成に限らず、入力軸2aと出力軸2bとの間の相対角変位を増す側の周方向の位置ずれを許容して出力軸2bとトーションバー6とを連結可能な適宜の構成を採用することができる。更にまた、トーションバー6の剛性を可及的に高めることにより、バルブボディー40とバルブボディー41との相対回転を実質的に連結部5のみで行わせることができる。
2a 入力軸、2b 出力軸、3 パワーシリンダ、4 油圧制御弁、5 連結部(連結手段)、6 トーションバー、15 ステアリングホイール(操舵部材)、50 入力円板、51 出力円板、52 押しばね
Claims (2)
- 操舵部材の側の入力軸と舵取機構の側の出力軸とをトーションバーを介して同軸上に連結し、車両の操舵のために前記操舵部材に加えられる操舵トルクの作用により前記トーションバーの捩れを伴って前記入力軸と前記出力軸との間に生じる相対角変位に応じて操舵補助用のパワーシリンダへの送給油圧を制御する油圧制御弁を備える油圧パワーステアリング装置において、
前記トーションバーと前記出力軸とを、前記操舵トルクとの作用による周方向の位置ずれを許容して連結する連結手段と、
該連結手段における位置ずれ量を外部から導入される制御油圧の高低に応じて大小に変更する変更手段とを備えることを特徴とする油圧パワーステアリング装置。 - 前記連結手段は、前記トーションバーと一体回転する入力円板と、前記出力軸と一体回転する出力円板と、該出力円板と前記入力円板との間に所定の押し付け力を加える押しばねとを備え、前記変更手段は、前記出力円板と前記入力円板との間に、前記押し付け力に抗して両円板を離反させるべく前記制御油圧を作用させる構成としてある請求項1記載の油圧パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
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JP2006091784A JP2007261507A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | 油圧パワーステアリング装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102490782A (zh) * | 2011-11-29 | 2012-06-13 | 荆州恒隆汽车零部件制造有限公司 | 一种液压助力转向阀 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6148873U (ja) * | 1984-09-05 | 1986-04-02 | ||
JPH06286626A (ja) * | 1993-03-30 | 1994-10-11 | Jidosha Kiki Co Ltd | 動力舵取装置の油圧反力装置 |
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-
2006
- 2006-03-29 JP JP2006091784A patent/JP2007261507A/ja active Pending
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