JP2007258666A - 積層型圧電素子及びその製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性及び信頼性に優れた構造を有する積層型圧電素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】積層型圧電素子1は、圧電層11と内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体10と外部電極33とを有する。セラミック積層体10は、積層方向に透視した場合に、すべての内部電極層20が重合する領域である重合部108と、少なくとも一部の内部電極層20しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部109とを有しており、非重合部109には、応力緩和部4が形成されている。応力緩和部4は、セラミック積層体10の側面101、102に露出するように設けられた外方緩和部41と、セラミック積層体10の側面101、102に露出することなく、側面101、102に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部42とを有してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、圧電アクチュエータ等に適用される積層型圧電素子及びその製造方法に関する。
近年、自動車の燃費、排気ガス等の対策の面から、積層型圧電素子を用いた自動車の燃料噴射用インジェクタの開発が進められている。
積層型圧電素子は、例えば圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を有し、該セラミック積層体の側面に設けられ内部電極層に順次交互に導通される一対の外部電極とを有する。そして、積層型圧電素子は、内部電極層に対して電圧を印加することにより、圧電層に変位が生じて駆動するように構成されている。
上記のような積層型圧電素子には、セラミック積層体の外周面における電気的な絶縁性を高めるために、内部電極層の外周端部の一部をセラミック積層体の内方に控えた電極控え構造(部分電極構造)のものがある。
しかしながら、この電極控え構造の積層型圧電素子には、セラミック積層体の積層方向に透視した場合に、すべての内部電極層が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の内部電極層しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とが存在する。そして、非重合部は、圧電変位が起こらず、駆動しない部分である。そのため、非重合部には、圧電変位に応じて応力(歪み)が集中的に生じ、セラミック積層体内部にクラック等が発生するおそれがある。また、それによって絶縁破壊等の不具合が生じるおそれがある。
上記の問題を解決するために、特許文献1及び特許文献2では、内部電極間に応力を緩和するための応力緩和部(応力緩和層)を設けた積層型圧電素子の構造が提案されている。ところが、上記の文献における応力緩和部は、例えば微細なチタン酸鉛粒子を充填したものであるため、繰り返しの駆動によってチタン酸鉛粒子が移動し、圧電素子としての性能に不具合が生じるおそれがある。
よって、圧電変位によって生じる応力を充分に緩和することができ、長期間の使用においても耐久性及び信頼性に優れた構造を有する積層型圧電素子及びその製造方法が望まれている。
特開平8−274381号公報 特開2001−267646号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性及び信頼性に優れた構造を有する積層型圧電素子及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面に形成した一対の側面にそれぞれ設けられ、上記内部電極層に順次交互に導通される一対の外部電極とを有する積層型圧電素子において、
上記セラミック積層体は、積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極層が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の上記内部電極層しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有しており、
該非重合部には、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部が設けられており、
該応力緩和部は、上記セラミック積層体の上記側面に露出するように設けられた外方緩和部と、上記セラミック積層体の上記側面に露出することなく、該側面に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部とを有してなることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項1)。
本発明の積層型圧電素子において、上記セラミック積層体は、上記重合部と上記非重合部とで構成されている。そして、上記非重合部には、上記応力緩和部が設けられている。すなわち、上記内部電極層間に電圧を印加したときに圧電変位が起こらず、駆動しない部分である上記非重合部に、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる上記応力緩和部が形成されている。そのため、圧電変位によって上記非重合部に集中的に作用する応力を、上記応力緩和部によって緩和することができる。
さらに、本発明においては、上記応力緩和部は、上記セラミック積層体の上記側面に露出するように設けられた外方緩和部と、上記セラミック積層体の上記側面に露出することなく、該側面に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部とを有してなる。すなわち、圧電変位が生じる上記重合部と圧電変位が生じない上記非重合部との伸張の差が最も顕著となる上記セラミック積層体の上記外周面のうち、上記外部電極を接合する面である上記側面に、上記外方緩和部が外方側に開放するように露出して設けられている。また、圧電変位が生じた際に、上記セラミック積層体の内部において歪みが最も顕著となる上記重合部と上記非重合部との境界付近に、上記内方緩和部が設けられている。これにより、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を、上記非重合部の内外両方から効果的に緩和することができる。
したがって、上記積層型圧電素子は、圧電変位によって上記非重合部に集中的に作用する応力に起因するクラックや剥離等の不具合の発生を、上記外方緩和部と上記内方緩和部とを有してなる上記応力緩和部によって抑制することができる。これにより、上記積層型圧電素子は、長期間の使用においても優れた耐久性及び信頼性を維持することができる。
このように、本発明の積層型圧電素子は、耐久性及び信頼性に優れた構造を有するものとなる。
第2の発明は、圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面に形成した一対の側面にそれぞれ設けられ、上記内部電極層に順次交互に導通される一対の外部電極とを有し、上記セラミック積層体が、積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極層が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の上記内部電極層しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有しており、該非重合部には、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部が形成されており、該応力緩和部が、上記セラミック積層体の上記側面に露出するように設けられた外方緩和部と、上記セラミック積層体の上記側面に露出することなく、該側面に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部とを有してなる積層型圧電素子を製造する方法において、
上記セラミック積層体を形成するに当たっては、セラミックス原料を含有し、上記圧電層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、
上記グリーンシートに、上記内部電極層となる電極材料を配設する電極材料配設工程と、
上記グリーンシートにおいて、最終的に上記セラミック積層体の上記非重合部となる部分であり、かつ、上記応力緩和部を形成する部分に、緩和部形成材料を配設する緩和部形成材料配設工程と、
上記グリーンシートを積層して、中間積層体を形成する積層工程と、
上記中間積層体を焼成して、上記緩和部形成材料を焼成してなる上記外方緩和部及び上記内方緩和部を有してなる上記応力緩和部を設けた上記セラミック積層体を形成する焼成工程とを有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法にある(請求項13)。
本発明の製造方法において、上記セラミック積層体を形成するに当たっては、上記のごとく、シート形成工程、電極材料配設工程、緩和部形成材料配設工程、積層工程、及び焼成工程を行う。上記緩和部形成工程では、上記グリーンシートにおいて、最終的に上記セラミック積層体の上記非重合部となる部分であり、かつ、上記応力緩和部を形成する部分に、緩和部形成材料を配設しておく。そして、上記焼成工程では、上記中間積層体を焼成して、上記緩和部形成材料を焼成してなる上記外方緩和部及び上記内方緩和部を有してなる上記応力緩和部を設けた上記セラミック積層体を形成するのである。
これにより、上記セラミック積層体において、上記内部電極層間に電圧を印加したときに圧電変位が起こらず、駆動しない部分である上記非重合部に、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる上記外方緩和部及び上記内方緩和部を有してなる上記応力緩和部を形成することができる。
したがって、上記製造方法によって得られる積層型圧電素子は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を、上記外方緩和部と上記内方緩和部とを有してなる上記応力緩和部によって、上記非重合部の内外両方から効果的に緩和することができる。そして、圧電変位によって上記非重合部に集中的に作用する応力に起因するクラックや剥離等の不具合の発生を抑制することができる。これにより、上記積層型圧電素子は、長期間の使用においても優れた耐久性及び信頼性を維持することができる。
このように、本発明の製造方法によって得られる積層型圧電素子は、耐久性及び信頼性に優れた構造を有するものとなる。
上記第1の発明においては、上記外方緩和部は、上記セラミック積層体の上記一対の側面のうちのいずれか一方又は両方の側面に露出するように設ける。
また、上記内方緩和部は、上記セラミック積層体の上記一対の側面のいずれの側面にも露出しないように設ける。ただし、上記セラミック積層体の上記外周面のうちの上記一対の側面以外の外周面部分に露出するように設けてもよい。
また、上記外方緩和部及び上記内方緩和部は、上記圧電層又は上記内部電極層ごとに設けることもできるし、1又は複数層おきに設けることもできる。その他、様々な配設位置及び形状とすることができる。
また、上記セラミック積層体は、上記内部電極層と同一平面上において、該内部電極層の外周端部が上記セラミック積層体の上記外周面に対して内方に控えた控え部を有することが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記控え部を設けることにより、上記セラミック積層体の上記側面を含む上記外周面における電気的な絶縁性を容易に確保することができる。
また、上記外方緩和部は、上記セラミック積層体の上記側面に露出している上記内部電極層の上記外周端部と積層方向に隣接して設けられており、上記内方緩和部は、上記控え部と積層方向に隣接して設けられている構成とすることができる(請求項3)。
この場合には、上記外方緩和部及び上記内方緩和部は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を充分に緩和することができる。
また、上記外方緩和部と上記内方緩和部とは、同一平面上において連通して設けられている構成とすることができる(請求項4)。
この場合には、上記外方緩和部及び上記内方緩和部は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力をより効果的に緩和することができる。
また、上記外方緩和部は、積層方向において上記内部電極層と接することなく、該内部電極層間に設けられており、上記内方緩和部は、上記控え部と積層方向に隣接して設けられている構成とすることができる(請求項5)。
この場合には、上記外方緩和部及び上記内方緩和部は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を充分に発揮することができる。
また、上記外方緩和部は、上記セラミック積層体の上記外周面全周に渡って環状に設けられている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、上記外方緩和部は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を上記セラミック積層体の上記外周面全体に渡って効果的に緩和することができる。
上記内方緩和部は、上記セラミック積層体の上記外周面に露出することなく、上記セラミック積層体の内方に閉塞して環状に設けられている構成とすることができる(請求項7)。
この場合には、上記内方緩和部は、圧電変位によって上記非重合部に作用する応力を上記セラミック積層体の内部において効果的に緩和することができる。
また、上記応力緩和部は、空隙よりなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記応力緩和部による応力緩和効果を充分かつ確実に発揮することができる。
また、上記応力緩和部は、空隙を有する多孔質性のセラミックス材料よりなることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記セラミック積層体自身の強度及び形状を充分に確保しながら、上記応力緩和部による応力緩和効果を充分かつ確実に発揮することができる。
また、上記応力緩和部の積層方向の厚みは、上記圧電層の厚みの0.015〜0.15
倍であることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記圧電層の厚みを充分に確保しながら、上記応力緩和部を設けることができる。また、上記セラミック積層体自身の強度を充分に確保しながら、上記応力緩和部による応力緩和効果を発揮することができる。
また、上記応力緩和部の積層方向の厚みは、1〜8μmであることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記セラミック積層体の強度を充分に確保しながら、上記応力緩和部による応力緩和効果をより一層発揮することができる。
また、上記積層型圧電素子は、インジェクタの駆動源として用いられるインジェクタ用圧電アクチュエータであることが好ましい(請求項12)。
上記インジェクタは、高温高湿という過酷な条件下で使用される。そのため、上記の優れた積層型圧電素子をアクチュエータとして用いることにより、耐久性及び信頼性を向上させることができ、インジェクタ全体の性能向上を図ることができる。
上記第2の発明においては、上記緩和部形成材料配設工程では、焼成により焼失する焼失材料のみからなる上記緩和部形成材料を配設し、上記焼成工程では、上記緩和部形成材料を焼成することによって上記焼失材料を焼失させ、空隙よりなる上記応力緩和部を形成することが好ましい(請求項14)。
この場合には、上記焼成工程における焼成により、上記焼失材料が焼失して形成された空隙よりなる上記応力緩和部を確実に形成することができる。
また、上記緩和部形成材料配設工程では、上記セラミックス原料中に焼成により焼失する焼失材料を分散してなる上記緩和部形成材料を配設し、上記焼成工程では、上記緩和部形成材料を焼成することによって上記焼失材料を焼失させ、空隙を有する多孔質のセラミックス材料よりなる上記応力緩和部を形成することが好ましい(請求項15)。
この場合には、上記焼成工程における焼成により、上記セラミックス材料を焼成してなるセラミックス材料中に上記焼失材料が焼失して形成された空隙を多数有する多孔質性の上記セラミックス材料よりなる上記応力緩和部を確実に形成することができる。
また、上記焼失材料は、カーボン粒子、樹脂粒子、または有機物粒子等を炭化させてなる炭化有機物粒子の少なくともいずれかを含有することが好ましい(請求項16)。
この場合には、上記焼成工程における焼成により、上記焼失材料を充分かつ確実に焼失させることができる。
特に、上記焼失材料として上記カーボン粒子を用いる場合には、熱による形状変化が少ないため、上記応力緩和部を形状精度よく形成することができる。
また、上記焼失材料として上記炭化有機物粒子を用いる場合には、上記応力緩和部を形成するのに要するコストを抑制することができる。なお、上記有機物粒子としては、例えば大豆やとうもろこしを粉砕してなる粒子や、樹脂材料を粉砕してなる粒子等を用いることができる。ここで、上記炭化有機物粒子とは、上記有機物粒子が含有する水分の一部を除去することにより、ある程度炭化させて、流動性及び分散性が良好な微粒子の状態となった粒子をいう。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる積層型圧電素子及びその製造方法について、図1〜図10を用いて説明する。
本例の積層型圧電素子1は、図1に示すごとく、圧電材料よりなる圧電層11と導電性を有する内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体10と、セラミック積層体10の外周面103に形成した一対の側面101、102にそれぞれ設けられ、内部電極層20に順次交互に導通される一対の外部電極33とを有する。
セラミック積層体10は、図1、図2に示すごとく、積層方向に透視した場合に、すべての内部電極層20が重合する領域である重合部108と、少なくとも一部の内部電極層20しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部109とから構成されている。また、セラミック積層体10は、圧電層11よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部4を有している。
応力緩和部4は、側面101、102に露出するように設けられた外方緩和部41と、側面101、102に露出することなく、側面101、102に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部42とを有してなり、かつ、応力緩和部4は、セラミック積層体10の非重合部109に設けられている。
以下、これを詳説する。
本例の積層型圧電素子1において、セラミック積層体10は、図2に示すごとく、略円柱状を呈する積層体の外周面103に、相互に対面する一対の側面101、102を形成してなる断面樽形状を呈している。なお、セラミック積層体10の断面形状としては、本例の樽形に限定されるものではなく、用途、使用状況に合わせて円形、四角形、八角形等の様々な形状に変更可能である。
また、図1、図2に示すごとく、セラミック積層体10は、上述のごとく、圧電層11と内部電極層20とが交互に積層されている。また、セラミック積層体10は、内部電極層20と同一平面上において、内部電極層20の外周端部がセラミック積層体10の外周面103に対して内方に控えた控え部19を有している。
また、内部電極層20は、外周端部の一部を側面101、102に交互に露出している。また一方で、内部電極層20は、外周端部の一部を側面101、102に交互に露出せず、控え部19を設けることによってセラミック積層体10の内方に控えている。なお、内部電極層20(電極材料200)及び控え部19(スペーサ層190)の配設位置及び形状については、後述の図4を参照されたい。
このように、本例のセラミック積層体10は、いわゆる電極控え構造(部分電極構造)を有しており、このような構造を採用することで、セラミック積層体10の外周面103における電気的な絶縁性を確保している。
また、本例の圧電層11は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)よりなる圧電セラミックスで構成されている。圧電層11の厚みXは、80μmである。また、内部電極層20は、Ag/Pd合金により構成されている。
また、図1、図2に示すごとく、セラミック積層体10は、上述のごとく、重合部108と非重合部109とで構成されている。また、非重合部109には、応力緩和部4が形成されており、応力緩和部4は、外方緩和部41と内方緩和部42とを有してなる。外方緩和部41は、側面101、102に交互に露出するように設けられている。また、内方緩和部42は、側面101、102のどちらにも露出することなく、側面101、102に対して内方に控えるように設けられている。また、外方緩和部41と内方緩和部42とは、同一平面上に設けられている。
本例の外方緩和部41及び内方緩和部42の配設位置及び形状について、さらに詳しく説明すると、外方緩和部41は、セラミック積層体10の側面101、102に交互に露出している内部電極層20の外周端部と積層方向に隣接して設けられている。また、外方緩和部41は、セラミック積層体10の外周面103の周方向半周に渡って設けられている。
一方、内方緩和部42は、控え部19と積層方向に隣接して設けられている。また、内方緩和部42は、セラミック積層体10の径方向断面において、側面101、102に平行して直線状に設けられており、側面101、102以外の外周面103に露出している。なお、セラミック積層体10の径方向断面とは、積層方向に直交する断面のことである。
また、図10に示すごとく、応力緩和部4は、多孔質性のセラミックス材料48により構成されている。すなわち、本例の応力緩和部4は、圧電層11に含まれるセラミックス材料48中に空隙よりなる焼失孔49を多数有するものである。この焼失孔49は、後述の焼失材料490としてのカーボン粒子が焼成により焼失して形成されたものである。なお、本例の応力緩和部4の積層方向の厚みYは4μmであり、圧電層11の厚みの0.05倍である。
また、図1、図2に示すごとく、セラミック積層体10の積層方向両端には、セラミック積層体10の積層方向両端を保護するための保護層12が設けられている。保護層12は、圧電層11と同材料により構成されている。
また、図1に示すごとく、セラミック積層体10の側面101、102には、導電性接着剤32が配設されており、この導電性接着剤32によってメッシュ状の一対の外部電極33が接合されている。この一対の外部電極33は、導電性接着剤32を介して内部電極層20と順次交互に導通されている。また、セラミック積層体10の外周面103は、全体を覆うようにモールド材34でモールドしてある。
また、本例の導電性接着剤32は、Agフィラーをエポキシ樹脂中に含有させた構成を有している。また、外部電極33は、金属板を加工したメッシュ状のエキスパンダメタルで構成されている。また、モールド材34は、絶縁樹脂であるシリコーン樹脂で構成されている。
なお、本例では、セラミック積層体10の側面101、102に直接導電性接着剤32を配設したが、側面101、102に導電性を有する薄膜の側面電極を配設し、その上に導電性接着剤32を配設することもできる。この側面電極を設けることにより、側面101、102における内部電極層20の電気的な導通性を向上させることができる。
次に、本例の積層型圧電素子1の製造方法について説明する。
本例の製造方法において、セラミック積層体10を形成するに当たっては、図3〜図10に示すごとく、シート形成工程、電極材料配設工程、緩和部形成材料配設工程、積層工程、及び焼成工程を行う。
シート形成工程では、セラミックス原料を含有し、圧電層11となるグリーンシート110を形成する。
電極材料配設工程では、グリーンシート110に、内部電極層20となる電極材料200を配設する。
緩和部形成材料配設工程では、グリーンシート110において、最終的にセラミック積層体10の非重合部109となる部分であり、かつ、応力緩和部4を形成する部分に、緩和部形成材料400を配設する。
積層工程では、グリーンシート110を積層して、中間積層体100を形成する。
焼成工程では、中間積層体100を焼成して、緩和部形成材料400を焼成してなる外方緩和部41及び内方緩和部42を有してなる応力緩和部4を設けたセラミック積層体10を形成する。
以下、これを詳説する。
<シート形成工程>
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)よりなるセラミックス原料粉末を準備し、800〜950℃で仮焼する。そして、仮焼粉に純水、分散剤等を加えてスラリー状とし、パールミルにより湿式粉砕する。この粉砕物を乾燥、粉脱脂した後、溶剤、バインダー、可塑剤、分散剤等を加えてスラリー状とし、ボールミルにより混合する。このスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整を行う。
そして、ドクターブレード法により、図3を参照のごとく、上記スラリーをキャリアフィルム119上に塗布し、一定厚みの長尺のグリーンシート110を成形する。図3は、長尺のグリーンシート110の一部分を示している。
なお、グリーンシート110の成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法以外にも、押出成形法やその他種々の方法を用いることができる。
<電極材料配設工程>
次に、図3に示すごとく、成形したグリーンシート110の打ち抜き領域50において、内部電極層20を形成する部分に電極材料200をスクリーン印刷により塗布する。そして、打ち抜き領域50において、電極材料200を塗布した部分と他の部分との高さを略一致させるため、電極材料200が塗布されていない部分に、電極材料200と同じ厚みでスペーサ層190をスクリーン印刷により塗布する。このスペーサ層190を塗布した部分は、焼成後に控え部19となる部分である。
<緩和部形成材料配設工程>
次に、図4に示すごとく、打ち抜き領域50に塗布した電極材料200及びスペーサ層190上において、最終的にセラミック積層体10の非重合部109となる部分であり、かつ、外方緩和部41及び内方緩和部42を形成する部分に、緩和部形成材料400をスクリーン印刷により塗布する。そして、緩和部形成材料400を印刷した部分と他の部分との高さを略一致させ、後工程のグリーンシート110を積層する際の接着効果を高めるため、緩和部形成材料400が塗布されていない部分に、緩和部形成材料400と同じ厚みで接着層111をスクリーン印刷により塗布する。
なお、本例の電極材料配設工程及び緩和部形成材料配設工程では、後述する打抜積層装置によってグリーンシート110の打ち抜き領域50を効率よく打ち抜きながら積層できるように、長尺のグリーンシート110の長手方向に、積層する順に印刷を施した。
また、打ち抜き領域50とは、打抜積層装置によって所望の形状に打ち抜く領域のことである。
また、本例の電極材料200としては、ペースト状のAg/Pd合金を用いたが、これ以外にもAg、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることもできる。
また、スペーサ層190及び接着層111としては、グリーンシート110を構成するセラミックス原料を含む上記スラリーを用いた。
また、緩和部形成材料400としては、グリーンシート110を構成するセラミックス原料480と焼成により焼失する焼失材料490とを含有したものを用いた(図8参照)。本例の焼失材料490としては、熱変形が小さく、焼成により確実に焼失させることができるカーボン粒子を用いた。なお、カーボン粒子以外にも、炭化させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いることができる。この炭化有機物粒子は、パウダー状の有機物粒子を炭化して得ることができるほか、炭化させた有機物を粉砕して得ることもできる。さらに、上記有機物としては、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦粉等の穀物を用いることができる。この場合には、製造コストを抑制することができる。
<積層工程>
次に、グリーンシート110の打ち抜きと積層とを同時に進行できるよう構成されている打抜積層装置(図示略)を用いて、グリーンシート110の打ち抜きと積層とを並行して行う。なお、上記打抜積層装置としては、例えばグリーンシート110を打ち抜くためのトムソン刃等を備えた打ち抜き手段と、打ち抜いたグリーンシート110を積層して積層体を形成し、それを保持する積層体保持手段とを有するものを用いることができる。
グリーンシート110の打ち抜き及び積層を具体的に説明すると、まず、各材料が塗布されたグリーンシート110をキャリアフィルム119ごと上記打抜積層装置にセットする。そして、グリーンシート110の打ち抜き領域50を長手方向に順に打ち抜き、図5に示すごとく、シート片51を得る。
次に、図6に示すごとく、得られたシート片51を、側面に露出する電極材料200の外周端部の向きが交互になるようにして積層する。このとき、上下両端には、最終的に保護層12となる保護層形成シート120を積層しておく。なお、保護層形成シート120は、グリーンシート110と同材料のものである。
これにより、図7の中間積層体100を得る。
図7に示すごとく、中間積層体100には、積層方向に透視した場合に、すべての電極材料200が重合する領域である重合部108と、少なくとも一部の電極材料200しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部109とが形成される。
また、図8に示すごとく、中間積層体100において、緩和部形成材料400は、セラミックス原料480中に焼失材料490が分散された状態となっている。
<焼成工程>
次に、中間積層体100に対して、脱脂を行う。加熱条件は、80時間かけて徐々に500℃まで加熱し、5時間保持する。これにより、中間積層体100に含まれているバインダー等の有機成分を除去する。そして、脱脂した中間積層体100に対して、最高温度1065℃で2時間焼成を行う。
これにより、図9のセラミック積層体10を得る。
なお、図10に示すごとく、セラミック積層体10において、応力緩和部4(外方緩和部41及び内方緩和部42)は、多孔質性のセラミックス材料48により構成されている。すなわち、応力緩和部4は、セラミックス原料480によって形成されたセラミックス材料48中に、焼失材料490を焼成により焼失させて形成した空隙である焼失孔49を多数有する状態となっている。
次に、焼成工程後においては、図1を参照のごとく、セラミック積層体10の側面101、102に導電性接着剤32を塗布する。そして、塗布した導電性接着剤32に一対の外部電極33を配置し、導電性接着剤32を加熱硬化させ、外部電極33を接合する。最後に、セラミック積層体10の外周面103全体を絶縁樹脂よりなるモールド材34によってモールドする。
これにより、図1の積層型圧電素子1を完成させる。
なお、本例の導電性接着剤32としては、絶縁樹脂としてのエポキシ樹脂中に導電性フィラーとしてのAgを分散させたものを用いた。上記絶縁樹脂としては、上記以外にもシリコーン、ウレタン、ポリイミド等の各種樹脂を用いることができる。また、上記導電性フィラーとしては、上記以外にもPt、Cu、Ni等を用いることができる。
また、外部電極33としては、メッシュ状のエキスパンダメタルを用いたが、これ以外にもパンチングメタル等を用いることができる。また、モールド材34としては、シリコーン樹脂を用いたが、これ以外にもポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
次に、本例の積層型圧電素子1の作用効果について説明する。
本例の積層型圧電素子1において、セラミック積層体10は、重合部108と非重合部109とで構成されている。そして、非重合部109には、応力緩和部4が設けられている。すなわち、内部電極層20間に電圧を印加したときに圧電変位が起こらず、駆動しない部分である非重合部109に、圧電層11よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部4が形成されている。そのため、圧電変位によって非重合部109に集中的に作用する応力を、応力緩和部4によって緩和することができる。
さらに、本例においては、応力緩和部4は、側面101、102に露出するように設けられた外方緩和部41と、側面101、102に露出することなく、側面101、102に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部42とを有してなる。すなわち、圧電変位が生じる重合部108と圧電変位が生じない非重合部109との伸張の差が最も顕著となるセラミック積層体10の外周面103のうち、外部電極33を接合する面である側面101、102に、外方緩和部41が外方側に開放するように露出して設けられている。また、圧電変位が生じた際に、セラミック積層体10の内部において歪みが最も顕著となる重合部108と非重合部109との境界付近に、内方緩和部42が設けられている。これにより、圧電変位によって非重合部109に作用する応力を、非重合部109の内外両方から効果的に緩和することができる。
したがって、積層型圧電素子1は、圧電変位によって非重合部109に集中的に作用する応力に起因するクラックや剥離等の不具合の発生を、外方緩和部41と内方緩和部42とを有してなる応力緩和部4によって抑制することができる。これにより、積層型圧電素子1は、長期間の使用においても優れた耐久性及び信頼性を維持することができる。
また、本例では、応力緩和部4は、空隙よりなる焼失孔49を多数有する多孔質性のセラミックス材料48よりなる。そのため、セラミック積層体10自身の強度及び形状を充分に確保しながら、応力緩和部4による応力緩和効果を充分かつ確実に発揮することができる。
このように、本例の積層型圧電素子1は、耐久性及び信頼性に優れた構造を有するものとなる。
なお、本例では、外方緩和部41及び内方緩和部42は、非重合部109から重合部108に少しはみ出して設けられているが、応力緩和効果について影響はない。
また、多孔質性のセラミックス材料48により構成された外方緩和部41は、側面101、102に露出するように設けられている。そのため、導電性接着剤32を側面101、102に塗布する際、導電性接着剤32は、外方緩和部41の焼失孔49に入り込んで塗布される。そのため、硬化後の導電性接着剤32は、外方緩和部41の焼失孔49に入り込んで配設される。これにより、導電接着剤32の接着強度を向上させることができる。
また、外方緩和部41は、セラミック積層体10の外周面103の周方向半周に渡って設けられているが、図11に示すごとく、セラミック積層体10の側面101、102側のみに設けることもできる。
また、外方緩和部41及び内方緩和部42は、圧電層11又は内部電極層20ごとに設けることもできるし、1又は複数層おきに設けることもできる。例えば、図12は、外方緩和部41を圧電層11(または内部電極層20)2層おきに設けた例である。その他、様々な配設位置及び形状とすることができる。
(実施例2)
本例は、外方緩和部41と内方緩和部42とを同一平面上において連通して設けた例である。図13〜図16を用いて説明する。
図13では、セラミック積層体10において、外方緩和部41は、セラミック積層体10の側面101、102の側から内方緩和部42に向けて、内方緩和部42と連通するように、セラミック積層体10の外周面103に設けられている。なお、外方緩和部41及び内方緩和部42(緩和部形成材料400)の配設位置及び形状については、図14を参照されたい。
また、図13のセラミック積層体10を形成するに当たっては、緩和部形成材料配設工程において、緩和部形成材料400及び接着層111を、図14に示すような位置に塗布する。そして、打ち抜き領域50を順に打ち抜いてシート片51を積層し、中間積層体100を形成する。これを焼成することにより、セラミック積層体10を得る。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
図15では、セラミック積層体10において、内方緩和部42は、セラミック積層体10の側面101、102の側から外方緩和部41に向けて、外方緩和部41と連通するように、セラミック積層体10の内方に控えて設けられている。また、内部電極層20は、側面101、102以外の外周面103に露出している。なお、外方緩和部41及び内方緩和部42(緩和部形成材料400)の配設位置及び形状については、図16を参照されたい。
また、図15のセラミック積層体10を形成するに当たっては、電極材料配設工程において、電極材料200及びスペーサ層190を、図16に示すような位置に塗布する。さらに、緩和部形成材料配設工程において、緩和部形成材料400及び接着層111を、図16に示すような位置に塗布する。そして、打ち抜き領域50を順に打ち抜いてシート片51を積層し、中間積層体100を形成する。これを焼成することにより、セラミック積層体10を得る。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、いずれの例においても、外方緩和部41と内方緩和部42とは、同一平面上において連通して設けられている。そのため、外方緩和部41及び内方緩和部42は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をより効果的に緩和することができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、外方緩和部41及び内方緩和部42の配設位置及び形状を変更した例である。図17及び図18を用いて説明する。
本例では、図17に示すごとく、セラミック積層体10において、外方緩和部41は、内部電極層20と内部電極層20との積層方向中間位置に設けられている。さらに、外方緩和部41は、セラミック積層体10の外周面103全周に渡って環状に設けられている。また、内方緩和部42は、セラミック積層体10の外周面103に露出することなく、セラミック積層体10の内方に閉塞して環状に設けられている。なお、外方緩和部41及び内方緩和部42(緩和部形成材料400)の配設位置及び形状については、図18を参照されたい。
また、図17のセラミック積層体10を形成するに当たっては、電極材料配設工程において、電極材料200及びスペーサ層190を、図18に示すような位置に塗布する。さらに、緩和部形成材料配設工程において、緩和部形成材料400及び接着層111を、図18に示すような位置に塗布する。そして、打ち抜き領域50を順に打ち抜いて2種類のシート片52、53を積層し、中間積層体100を形成する。これを焼成することにより、セラミック積層体10を得る。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、外方緩和部41は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をセラミック積層体10の外周面103全体に渡って効果的に緩和することができる。また、内方緩和部42は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をセラミック積層体10の内部において効果的に緩和することができる。したがって、外方緩和部41及び内方緩和部42は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をより一層効果的に緩和することができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例4)
本例は、応力緩和部4における構成を変更した例である。図19及び図20を用いて説明する。
本例では、図19、図20に示すごとく、セラミック積層体10において、応力緩和部4は、空隙により構成されている。すなわち、外方緩和部41は、セラミック積層体10の外周面103にスリット状に設けられている。また、内方緩和部42は、セラミック積層体10の内部に空洞を形成するように設けられている。
また、図19、図20の応力緩和部4を形成するに当たっては、緩和部形成材料400を焼失材料490のみで構成したものを用いればよい。これにより、焼成工程の焼成によって焼失材料490が焼失し、全体が空隙で構成された応力緩和部4(外方緩和部41及び内方緩和部42)を形成することができる。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、空隙よりなる応力緩和部4は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力を充分かつ確実に緩和することができる。
また、本例では、スリット状の外方緩和部41は、側面101、102に露出するように設けられている。また、外方緩和部41は、側面101、102に露出している内部電極層20の外周端部と積層方向に隣接している。そのため、導電性接着剤32は、空隙よりなるスリット状の外方緩和部41に入り込んで塗布され、硬化後の導電性接着剤32は、外方緩和部41に入り込んで配設される。これにより、導電接着剤32の接着強度を向上させることができる。また、外方緩和部41の内部に内部電極層20が露出した状態となっているため、内部電極層20と導電性接着剤32との間の導通性を向上させることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例5)
本例は、実施例4の外方緩和部41及び内方緩和部42の配設位置及び形状を変更した例である。図21〜図23を用いて説明する。
本例では、図21、図22に示すごとく、応力緩和部4は、空隙により構成されている。外方緩和部41は、スリット状を呈しており、セラミック積層体10の外周面103全周に渡って露出するように環状に設けられている。また、内方緩和部42は、セラミック積層体10の外周面103に露出することなく、セラミック積層体10の内方に閉塞して環状に設けられている。そして、外方緩和部41及び内方緩和部42は、内部電極層20と積層方向に隣接して交互に設けられている。なお、図22は、セラミック積層体10に設けられた外方緩和部41及び内方緩和部42のみを、その配設位置及び形状がわかるように模式的に表したものである。
その他は、実施例4と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、外方緩和部41は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をセラミック積層体10の外周面103全体に渡って効果的に緩和することができる。また、内方緩和部42は、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をセラミック積層体10の内部において効果的に緩和することができる。つまり、環状の応力緩和部4をセラミック積層体10の内外に2重に設けることにより、圧電変位によって非重合部109に作用する応力をより一層効果的に緩和することができる。
例えば、図23は、駆動時の外方緩和部41及び内方緩和部42を示したものである。両者は、圧電変位によって圧電層11が変位する方向に伸長していることがわかる。これによって、非重合部109に作用する応力を効果的に緩和することができるのである。
その他は、実施例4と同様の作用効果を有する。
(実施例6)
本例は、実施例1の積層型圧電素子1をインジェクタ6の圧電アクチュエータとして用いた例である。
本例のインジェクタ6は、図24に示すごとく、ディーゼルエンジンのコモンレール噴射システムに適用したものである。
このインジェクタ6は、同図に示すごとく、駆動部としての積層型圧電素子1が収容される上部ハウジング62と、その下端に固定され、内部に噴射ノズル部64が形成される下部ハウジング63を有している。
上部ハウジング62は略円柱状で、中心軸に対し偏心する縦穴621内に、積層型圧電素子1が挿通固定されている。
縦穴621の側方には、高圧燃料通路622が平行に設けられ、その上端部は、上部ハウジング62上側部に突出する燃料導入管623内を経て外部のコモンレール(図示略)に連通している。
上部ハウジング62上側部には、また、ドレーン通路624に連通する燃料導出管625が突設し、燃料導出管625から流出する燃料は、燃料タンク(図示略)へ戻される。
ドレーン通路624は、縦穴621と駆動部(積層型圧電素子)1との間の隙間60を経由し、さらに、この隙間60から上下ハウジング62、63内を下方に延びる図示しない通路によって後述する3方弁651に連通してしる。
噴射ノズル部64は、ピストンボデー631内を上下方向に摺動するノズルニードル641と、ノズルニードル641によって開閉されて燃料溜まり642から供給される高圧燃料をエンジンの各気筒に噴射する噴孔643を備えている。燃料溜まり642は、ノズルニードル641の中間部周りに設けられ、上記高圧燃料通路622の下端部がここに開口している。ノズルニードル641は、燃料溜まり642から開弁方向の燃料圧を受けるとともに、上端面に面して設けた背圧室644から閉弁方向の燃料圧を受けており、背圧室644の圧力が降下すると、ノズルニードル641がリフトして、噴孔643が開放され、燃料噴射がなされる。
背圧室644の圧力は3方弁651によって増減される。3方弁651は、背圧室644と高圧燃料通路622、またはドレーン通路624と選択的に連通させる構成である。ここでは、高圧燃料通路622またはドレーン通路624へ連通するポートを開閉するボール状の弁体を有している。この弁体は、上記駆動部1により、その下方に配設される大径ピストン652、油圧室653、小径ピストン654を介して、駆動される。
そして、本例においては、上記構成のインジェクタ6における駆動源として、実施例1の積層型圧電素子1を用いている。この積層型圧電素子1は、上記のごとく、優れた耐久性及び信頼性を有するものである。そのため、インジェクタ6全体の性能向上を図ることができる。
実施例1における、積層型圧電素子の構成を示す説明図。 実施例1における、セラミック積層体の構成を示す説明図。 実施例1における、電極材料を配設する工程を示す説明図。 実施例1における、緩和部形成材料を配設する工程を示す説明図。 実施例1における、グリーンシートを打ち抜いて得られたシート片を示す説明図。 実施例1における、シート片を積層する工程を示す説明図。 実施例1における、中間積層体の構成を示す説明図。 実施例1における、焼成前の緩和部形成材料の状態を示す説明図。 実施例1における、焼成後に得られるセラミック積層体の構成を示す説明図。 実施例1における、焼成後の応力緩和部の状態を示す説明図。 実施例1における、外方緩和部の配設位置及び形状を変更したセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例1における、外方緩和部の配設位置及び形状を変更したセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例2における、外方緩和部と内方緩和部とを連通して設けたセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例2における、緩和部形成材料を配設する工程を示す説明図。 実施例2における、外方緩和部と内方緩和部とを連通して設けたセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例2における、緩和部形成材料を配設する工程を示す説明図。 実施例3における、外方緩和部及び内方緩和部の配設位置及び形状を変更したセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例3における、緩和部形成材料を配設する工程を示す説明図。 実施例4における、応力緩和部の構成を変更したセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例4における、応力緩和部の状態を示す説明図。 実施例5における、外方緩和部及び内方緩和部の配設位置及び形状を変更したセラミック積層体の例を示す説明図。 実施例5における、外方緩和部及び内方緩和部の配設位置及び形状のみを模式的に表す説明図。 実施例5における、駆動時の外方緩和部及び内方緩和部を示す説明図。 実施例6における、インジェクタの構造を示す説明図。
符号の説明
1 積層型圧電素子
10 セラミック積層体
101、102 側面
103 外周面
108 重合部
109 非重合部
11 圧電層
20 内部電極層
33 外部電極
4 応力緩和部
41 外方緩和部
42 内方緩和部
6 インジェクタ

Claims (16)

  1. 圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面に形成した一対の側面にそれぞれ設けられ、上記内部電極層に順次交互に導通される一対の外部電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記セラミック積層体は、積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極層が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の上記内部電極層しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有しており、
    該非重合部には、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部が形成されており、
    該応力緩和部は、上記セラミック積層体の上記側面に露出するように設けられた外方緩和部と、上記セラミック積層体の上記側面に露出することなく、該側面に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部とを有してなることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 請求項1において、上記セラミック積層体は、上記内部電極層と同一平面上において、該内部電極層の外周端部が上記セラミック積層体の上記外周面に対して内方に控えた控え部を有することを特徴とする積層型圧電素子。
  3. 請求項2において、上記外方緩和部は、上記セラミック積層体の上記側面に露出している上記内部電極層の上記外周端部と積層方向に隣接して設けられており、上記内方緩和部は、上記控え部と積層方向に隣接して設けられていることを特徴とする積層型圧電素子。
  4. 請求項3において、上記外方緩和部と上記内方緩和部とは、同一平面上において連通して設けられていることを特徴とする積層型圧電素子。
  5. 請求項2において、上記外方緩和部は、積層方向において上記内部電極層と接することなく、該内部電極層間に設けられており、上記内方緩和部は、上記控え部と積層方向に隣接して設けられていることを特徴とする積層型圧電素子。
  6. 請求項5において、上記外方緩和部は、上記セラミック積層体の上記外周面全周に渡って環状に設けられていることを特徴とする積層型圧電素子。
  7. 請求項5又は6において、上記内方緩和部は、上記セラミック積層体の上記外周面に露出することなく、上記セラミック積層体の内方に閉塞して環状に設けられていることを特徴とする積層型圧電素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記応力緩和部は、空隙よりなることを特徴とする積層型圧電素子。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記応力緩和部は、空隙を有する多孔質性のセラミックス材料よりなることを特徴とする積層型圧電素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項において、上記応力緩和部の積層方向の厚みは、上記圧電層の厚みの0.015〜0.15倍であることを特徴とする積層型圧電素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項において、上記応力緩和部の積層方向の厚みは、1〜8μmであることを特徴とする積層型圧電素子。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項において、上記積層型圧電素子は、インジェクタの駆動源として用いられるインジェクタ用圧電アクチュエータであることを特徴とする積層型圧電素子。
  13. 圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面に形成した一対の側面にそれぞれ設けられ、上記内部電極層に順次交互に導通される一対の外部電極とを有し、上記セラミック積層体が、積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極層が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の上記内部電極層しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有しており、該非重合部には、上記圧電層よりも形状を容易に変化しうる応力緩和部が形成されており、該応力緩和部が、上記セラミック積層体の上記側面に露出するように設けられた外方緩和部と、上記セラミック積層体の上記側面に露出することなく、該側面に対して内方に控えるように設けられた内方緩和部とを有してなる積層型圧電素子を製造する方法において、
    上記セラミック積層体を形成するに当たっては、セラミックス原料を含有し、上記圧電層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、
    上記グリーンシートに、上記内部電極層となる電極材料を配設する電極材料配設工程と、
    上記グリーンシートにおいて、最終的に上記セラミック積層体の上記非重合部となる部分であり、かつ、上記応力緩和部を形成する部分に、緩和部形成材料を配設する緩和部形成材料配設工程と、
    上記グリーンシートを積層して、中間積層体を形成する積層工程と、
    上記中間積層体を焼成して、上記緩和部形成材料を焼成してなる上記外方緩和部及び上記内方緩和部を有してなる上記応力緩和部を設けた上記セラミック積層体を形成する焼成工程とを有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  14. 請求項13において、上記緩和部形成材料配設工程では、焼成により焼失する焼失材料のみからなる上記緩和部形成材料を配設し、上記焼成工程では、上記緩和部形成材料を焼成することによって上記焼失材料を焼失させ、空隙よりなる上記応力緩和部を形成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  15. 請求項13において、上記緩和部形成材料配設工程では、上記セラミックス原料中に焼成により焼失する焼失材料を分散してなる上記緩和部形成材料を配設し、上記焼成工程では、上記緩和部形成材料を焼成することによって上記焼失材料を焼失させ、空隙を有する多孔質のセラミックス材料よりなる上記応力緩和部を形成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  16. 請求項14又は15において、上記焼失材料は、カーボン粒子、樹脂粒子、または有機物粒子等を炭化させてなる炭化有機物粒子の少なくともいずれかを含有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
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