JP2007243066A - 積層型圧電素子及びその製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子及びその製造方法 Download PDF

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成 門谷
Akio Iwase
昭夫 岩瀬
Tetsuji Ito
鉄次 伊藤
Kosho Yamaguchi
晃章 山口
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Abstract

【課題】耐久性及び信頼性に優れた構造を有する積層型圧電素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】積層型圧電素子1は、圧電材料よりなる圧電層11と導電性を有する内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体10と、セラミック積層体10の外周面103における一対の電極接合面101、102に、内部電極層20に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極31とを有する。セラミック積層体10は、電極接合面101、102を含む外周面103全体に、圧電層11の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸4を有している。側面電極31は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように設けられていると共に、導通すべき内部電極層20に直接接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、圧電アクチュエータ等に適用される積層型圧電素子及びその製造方法に関する。
近年、自動車の燃費、排気ガス等の対策の面から、積層型圧電素子を用いた自動車の燃料噴射用インジェクタの開発が進められている。
積層型圧電素子は、例えば圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面における一対の電極接合面に、内部電極層に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極とを有する。そして、上記積層型圧電素子は、内部電極層に対して電圧を印加することにより、圧電層に変位が生じて駆動するように構成されている。
上記積層型圧電素子は、上記のごとく、セラミック積層体の電極接合面に側面電極を設ける。この側面電極を配設する方法としては、一般的に、セラミック積層体を作製し、電極接合面を研削した後、その研削した電極接合面に側面電極を接合する(特許文献1参照)。
しかしながら、このような研削した面に側面電極を接合する方法では、側面電極の電極接合面に対する密着性・耐久性等が充分とは言えない。そのため、長期間に渡り過酷な条件下で駆動させて使用する積層型圧電素子においては、駆動時の圧電層の変位によって生じる応力によって、セラミック積層体の電極接合面から側面電極が剥離するという問題が生じる。また、これに伴って、内部電極層と側面電極との間に接触不良が生じ、導電不良等の不具合が発生するおそれがある。
よって、駆動時における圧電層の変位に対して耐え得る電極接合面の構造を有し、長期間の使用においても耐久性及び信頼性に優れた積層型圧電素子及びその製造方法が望まれている。
特開平6−252469号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性及び信頼性に優れた構造を有する積層型圧電素子及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面における一対の電極接合面に、上記内部電極層に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記セラミック積層体は、少なくとも上記電極接合面に、上記圧電層の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸を有しており、
上記側面電極は、上記電極接合面の上記凹凸の凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されていることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項1)。
本発明の積層型圧電素子において、上記セラミック積層体は、上記外周面のうちの少なくとも上記電極接合面に、上記圧電層の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸を有している。すなわち、上記セラミック積層体は、少なくとも上記電極接合面において、積層された上記圧電層ごとに上記凹凸が設けられている。そして、上記側面電極は、上記電極接合面の上記凹凸の凹部に入り込むように設けられていると共に、電気的に通すべき上記内部電極層と直接接合して設けられている。
そのため、上記側面電極は、接合された上記電極接合面の上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対して強固に接合された状態となり、密着性を向上させることができる。これにより、上記側面電極は、駆動時における上記圧電層の変位に対して耐え得る接合強度を有するものとなり、上記電極接合面における上記側面電極の剥離や、それに伴う上記内部電極層と上記側面電極との間の導電不良等の不具合の発生を充分に抑制することができる。そしてそれ故、上記の構造を有する積層型圧電素子は、長期間の使用においても充分な耐久性を発揮すると共に、高い信頼性を得ることができる。
このように、本発明の積層型圧電素子は、上記電極接合面における剥離や導電不良等の不具合の発生を充分に抑制することができる、耐久性及び信頼性に優れた構造を有するものとなる。
第2の発明は、圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面における一対の電極接合面に、上記内部電極層に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極とを有し、上記セラミック積層体が、少なくとも上記電極接合面に、上記圧電層の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸を有しており、上記側面電極が、上記電極接合面の上記凹凸の凹部に入り込むように設けられている積層型圧電素子を製造する方法において、
上記圧電層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、
上記グリーンシート上に、上記内部電極層となる電極材料を配設する電極配設工程と、
上記グリーンシートを所望の大きさのシート片に切断して、切断面である該シート片の外周端面のうち、少なくとも最終的に上記セラミック積層体の上記電極接合面となる部分に、所定の傾きを形成する切断工程と、
上記シート片を、該シート片の上記外周端面の傾きが同じ方向となるように積層して、少なくとも上記電極接合面に上記凹凸を有する中間積層体を形成する積層工程と、
上記中間積層体を焼成して、上記凹凸を有する上記セラミック積層体を形成する焼成工程と、
上記側面電極を、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように形成すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合する接合工程とを含むことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法にある(請求項10)。
本発明の製造方法において、上記切断工程では、上記グリーンシートを切断した際の切断面である上記シート片の外周端面のうち、少なくとも最終的に上記セラミック積層体の上記電極接合面となる部分に、所定の傾きを形成するようにしておく。そして、上記積層工程では、上記シート片を、該シート片の上記外周端面の傾きが同じ方向となるように積層することにより、上記凹凸を有する中間積層体を形成する。その後、上記焼成工程及び上記接合工程を施すことにより、少なくとも上記電極接合面において、積層された上記圧電層ごとに上記凹凸を有する上記セラミック積層体を形成する。そして、上記凹凸に形成された上記凹部に入り込むと共に、導通すべき上記内部電極層と直接接合された上記側面電極を形成する。
そのため、上記電極接合面に形成された上記側面電極は、上記のごとく、上記凹凸によって得られるアンカー効果により密着性を向上させることができ、駆動時における上記圧電層の変位に対して耐え得る接合強度を有するものとなる。これにより、上記電極接合面における上記側面電極の剥離や、それに伴う上記内部電極層と上記側面電極との間の導電不良等の不具合の発生を充分に抑制することができる。
さらに、本発明では、上記切断工程において形成した所定の傾きを有する上記シート片の上記外周端面の形状を生かして、その部分をそのまま上記セラミック積層体の上記電極接合面とし、該電極接合面に上記凹凸を形成している。そのため、上記電極接合面に上記凹凸を容易に形成することができる。また、従来のように、焼成後に得られる上記セラミック積層体の上記電極接合面を研削する工程や、研削した上記電極接合面に上記側面電極を接合しなくてよい。これにより、製造効率の向上を図ると同時に、上記側面電極の上記電極接合面に対する密着性を確実に向上させることができる。
このように、上記製造方法により得られる積層型圧電素子は、長期間の使用においても充分な耐久性を発揮すると共に高い信頼性を得ることができる構造を有するものとなる。
上記第1の発明においては、上記セラミック積層体は、上記電極接合面を含む上記外周面全体に上記凹凸を有していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記電極接合面に設けられた上記側面電極はもちろんのこと、上記電極接合面以外の上記外周面に設けるものについても、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記外周面に対する密着性を向上させることができる。例えば、積層型圧電素子は、セラミック積層体の外周面全体を絶縁するために樹脂等でモールドする構成とすることがあるが、その密着性を向上させることができる。
また、上記凹凸は、上記セラミック積層体の積層方向において、上記各圧電層の外周端面が同じ方向に所定の傾きを有していることよって形成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記凹凸は、上記電極接合面において、所定の間隔で規則正しく形成される。そのため、上記側面電極は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性をさらに向上させることができる。
なお、上記各圧電層の上記外周端面の傾きは、該外周端面のすべての領域において一定としたり、部分的または段階的に変化させたり、その他様々な形状に変化させることができる。
また、上記各圧電層の上記外周端面の傾きは、上記セラミック積層体の積層方向に対して5〜25°であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記凹凸は、上記電極接合面において、所定の間隔で所定の角度を持って規則正しく形成される。そのため、上記側面電極は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性をより一層向上させることができる。
また、上記内部電極層は、上記圧電層の上記外周端面の一部を覆うように上記セラミック積層体の上記電極接合面に露出していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記内部電極層は、上記電極接合面に露出する部分の面積が大きくなる。そのため、上記電極接合面において、上記内部電極層と該内部電極層に導通される上記側面電極との接触面積を大きくすることができる。これにより、上記内部電極層と上記側面電極との間の導通性を充分かつ確実に確保することができる。
また、上記側面電極は、金属を含有してなる金属層を有しており、該金属層は、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、上記金属層は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性を充分に確保することができる。また、上記内部電極層と上記金属層との間の導通性を充分に確保することができる。
また、上記側面電極は、上記金属層上に配された導電性接着剤を有しており、該導電性接着剤には、上記側面電極へ電力を供給するための外部電極が接合されている構成とすることができる(請求項7)。
この場合には、上記内部電極層と上記外部電極との間の導通性を、両者の間に設けられ、上記金属層と上記導電性接着剤とにより構成された上記側面電極によって充分に確保することができる。
また、上記側面電極は、導電性接着剤のみで構成されており、該導電性接着剤は、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されており、上記導電性接着剤には、上記側面電極へ電力を供給するための外部電極が接合されている構成とすることができる(請求項8)。
この場合には、上記導電性接着剤は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性を充分に確保することができる。また、上記内部電極層と上記導電性接着剤との間の導通性を充分に確保することができる。さらに、上記内部電極層と上記外部電極との間の導通性を、両者の間に設けられ、上記導電性接着剤よりなる上記側面電極によって充分に確保することができる。
また、上記積層型圧電素子は、インジェクタの駆動源として用いられるインジェクタ用圧電アクチュエータであることが好ましい(請求項9)。
上記インジェクタは、高温高湿という過酷な条件下で使用される。そのため、上記の優れた積層型圧電素子をアクチュエータとして用いることにより、耐久性及び信頼性を向上させることができ、インジェクタ全体の性能向上を図ることができる。
上記第2の発明においては、上記切断工程では、上記シート片の上記外周端面全体に所定の傾きを形成し、上記積層工程では、上記外周面全体に上記凹凸を有する上記中間積層体を形成することが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記凹凸を、上記セラミック積層体の上記電極接合面を含む上記外周面全体に形成することができる。そのため、上記電極接合面に形成する上記側面電極はもちろんのこと、上記電極接合面以外の上記外周面に形成するものについても、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記外周面に対する密着性を向上させることができる。例えば、積層型圧電素子では、セラミック積層体の外周面全体を絶縁するために樹脂等でモールドすることがあるが、その密着性を向上させることができる。
また、上記切断工程では、上記グリーンシートにおいて、少なくとも最終的に上記セラミック積層体の上記電極接合面となる部分の切断は、トムソン刃を用いて行うことが好ましい(請求項12)。
この場合には、切断面である上記シート片の上記外周端面に、所定の傾きを精度よく形成することができる。これにより、上記電極接合面において、上記凹凸を所定の間隔で規則正しく形成することができる。そして、上記側面電極は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性をさらに向上させることができる。
また、上記トムソン刃の内側面と上記グリーンシートの切断方向とがなす角度は、5〜25°であることが好ましい(請求項13)。
この場合には、切断面である上記シート片の上記外周端面に、所定の角度を持った傾きを精度よく形成することができる。これにより、上記電極接合面において、上記凹凸を所定の間隔で所定の角度を持って規則正しく形成することができる。そして、上記側面電極は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性をより一層向上させることができる。
また、上記切断工程では、上記電極材料が配設された上記グリーンシートを上記電極材料の上から切断し、切断面である上記シート片の上記外周端面に上記電極材料の一部を露出させることが好ましい(請求項14)。
この場合には、上記電極材料により形成される上記内部電極層は、上記各圧電層の上記外周端面の一部を覆うように上記セラミック積層体の上記電極接合面に露出する。すなわち、上記内部電極層は、上記電極接合面に露出する部分の面積が大きくなる。そのため、上記電極接合面において、上記内部電極層と該内部電極層に導通される上記側面電極との接触面積を大きくすることができる。これにより、上記内部電極層と上記側面電極との間の導通性を充分かつ確実に確保することができる。
また、上記接合工程では、金属を含有してなる金属層を上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように形成すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合し、かつ、上記金属層上に導電性接着剤を配設すると共に、該導電性接着剤に上記側面電極へ電力を供給するための外部電極を接合し、上記金属層及び上記導電性接着剤を有する上記側面電極を形成することができる(請求項15)。
この場合には、上記金属層は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性を充分に確保することができる。また、上記内部電極層と上記金属層との間の導通性を充分に確保することができる。また、上記内部電極層と上記外部電極との間の導通性を、両者の間に設けられ、上記金属層と上記導電性接着剤とを有する上記側面電極によって充分に確保することができる。
また、上記接合工程では、導電性接着剤を上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように配設すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合し、かつ、上記導電性接着剤に上記側面電極へ電力を供給するための外部電極を接合し、上記導電性接着剤のみで構成された上記側面電極を形成することができる(請求項16)。
この場合には、上記導電性接着剤は、上記凹凸によって得られるアンカー効果により、上記電極接合面に対する密着性を充分に確保することができる。また、上記内部電極層と上記導電性接着剤との間の導通性を充分に確保することができる。さらに、上記内部電極層と上記外部電極との間の導通性を、両者の間に設けられ、上記導電性接着剤により構成された上記側面電極によって充分に確保することができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる積層型圧電素子及びその製造方法について、図1〜図10を用いて説明する。
本例の積層型圧電素子1は、図1、図2に示すごとく、圧電材料よりなる圧電層11と導電性を有する内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体10と、セラミック積層体10の外周面103における一対の電極接合面101、102に、内部電極層20に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極31とを有する。
そして、セラミック積層体10は、電極接合面101、102に圧電層11の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸4を有しており、側面電極31は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように設けられていると共に、導通すべき内部電極層20に直接接合されている。
以下、これを詳説する。
本例の積層型圧電素子1において、セラミック積層体10は、図3に示すごとく、略円柱状を呈する積層体の外周面103に、相互に対面する一対の電極接合面101、102を形成してなる断面樽形状を呈している。なお、セラミック積層体10の断面形状としては、本例の樽形に限定されるものではなく、用途、使用状況に合わせて円形、四角形、八角形等の様々な形状に変更可能である。
また、同図に示すごとく、セラミック積層体10は、上述のごとく、圧電層11と内部電極層20とが交互に積層されている。内部電極層20は、外周端部の一部を一対の電極接合面101、102に交互に露出している。また一方で、内部電極層20は、外周端部の一部を控え部19によってセラミック積層体10の外周面103に対して内方に控えている。つまり、本例のセラミック積層体10は、いわゆる電極控え構造(部分電極構造)を有しており、このような構造を採用することで、セラミック積層体10の外周面103における電気的な絶縁性を確保している。
また、セラミック積層体10の両端には、セラミック積層体10の両端を保護するための保護層18が設けられている。
また、図2に示すごとく、圧電層11は、積層方向の両端に小径端面121と大径端面131とを有している。また、圧電層11は、小径端面121から大径端面131に近づくにしたがって徐々に径が大きくなっており、圧電層11の外周端面141は、一定の傾きを有している。また、圧電層11の外周端面141は、セラミック積層体10の電極接合面101、102を含む外周面103を形成している。
また、同図に示すごとく、各圧電層11は、小径端面121と大径端面131とが同じ方向を向いて積層されている。すなわち、各圧電層11の外周端面141は、同じ方向に同じ傾きを有している。また、各圧電層11は、小径端面121の外周端122の位置が積層方向において略一致するように積層されている。なお、各圧電層11の外周端面141の傾きαは、セラミック積層体10の積層方向に対して約15°である。
そして、図1〜図3に示すごとく、各圧電層11が上述のごとく積層されていることによって、セラミック積層体10の電極接合面101、102を含む外周面103全体には、ギザギザ状の凹凸4が圧電層11の積層ピッチに相当するピッチで形成されている。すなわち、積層されている圧電層11ごとにギザギザ状の凹凸4が形成されている。
また、セラミック積層体10の電極接合面101、102に露出している内部電極層20の外周端部は、各圧電層11の外周端面141の一部を覆うように設けられている。
本例の圧電層11は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)よりなる圧電セラミックスで構成されている。また、保護層18は、圧電層11と同材料により構成されている。また、内部電極層20は、Ag/Pd合金により構成されている。
また、セラミック積層体10の構造としては、本例の電極控え構造の他、内部電極層20の外周端部がセラミック積層体10の外周面103にすべて露出した全面電極構造やその他の種々の構造を採用することができる。
また、図1、図2に示すごとく、セラミック積層体10の電極接合面101、102には、それぞれ側面電極31が設けられている。この側面電極31は、金属を含有してなる金属層311と、金属層311上に設けられた導電性接着剤312とにより構成されている。金属層311は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込んだ状態で設けられている。また、金属層311は、電極接合面101、102に露出した内部電極層20に直接接合されており、内部電極層20との導通性を確保している。また、導電性接着剤312には、側面電極31に電力を供給するための外部電極32が接合されている。
また、セラミック積層体10の外周面103は、全体を覆うようにモールド材33でモールドされている。
本例の金属層311は、Agとガラスフリットとを含有して構成されている。また、導電性接着剤312は、Agフィラーをエポキシ樹脂中に含有させた構成を有している。また、外部電極32は、金属板を加工したメッシュ状のエキスパンダメタルで構成されている。また、モールド材33は、絶縁樹脂であるシリコーン樹脂で構成されている。
次に、本例の積層型圧電素子1の製造方法について説明する。
本例の積層型圧電素子1の製造方法においては、図4〜図9に示すごとく、シート形成工程、電極配設工程、切断工程、積層工程、焼成工程、及び接合工程を行う。
シート形成工程とは、圧電層11となるグリーンシート110を形成する工程である。
電極配設工程とは、グリーンシート110上に、内部電極層20となる電極材料200を配設する工程である。
切断工程とは、グリーンシート110を所望の大きさのシート片51に切断して、切断面であるシート片51の外周端面541、すなわち最終的にセラミック積層体10の電極接合面101、102を含む外周面103となる部分に、所定の傾きを形成する工程である。
積層工程とは、シート片51を、シート片51の外周端面541の傾きが同じ方向となるように積層して、電極接合面101、102を含む外周面103全体に凹凸4を有する中間積層体100を形成する工程である。
焼成工程とは、中間積層体100を焼成して、凹凸4を有するセラミック積層体10を形成する工程である。
接合工程とは、側面電極31を、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように形成すると共に、導通すべき内部電極層20に直接接合する工程である。
以下、これを詳説する。
<シート形成工程>
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)よりなるセラミックス原料粉末を準備し、800〜950℃で仮焼する。そして、仮焼粉に純水、分散剤等を加えてスラリー状とし、パールミルにより湿式粉砕する。この粉砕物を乾燥、粉脱脂した後、溶剤、バインダー、可塑剤、分散剤等を加えてスラリー状とし、ボールミルにより混合する。このスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整を行う。
そして、ドクターブレード法により、図4を参照のごとく、上記スラリーをキャリアフィルム119上に塗布し、一定厚みの長尺のグリーンシート110を成形する。図4は、長尺のグリーンシート110の一部分を示している。
なお、グリーンシート110の成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法以外にも、押出成形法やその他種々の方法を用いることができる。
<電極配設工程>
次に、図4に示すごとく、成形したグリーンシート110の打ち抜き領域50において、内部電極層20を形成する部分に電極材料200をスクリーン印刷により塗布する。そして、打ち抜き領域50において、電極材料200を塗布した部分と他の部分との高さを略一致させるため、電極材料200が塗布されていない部分に、電極材料200と同じ厚みでスペーサ層190をスクリーン印刷により塗布する。このスペーサ層190を塗布した部分は、後に控え部19となる部分である。
さらに、図5に示すごとく、打ち抜き領域50に塗布した電極材料200及びスペーサ層190の上に、後述の積層工程においてグリーンシート110を積層する際の接着効果を高めるため、接着層111をスクリーン印刷により塗布する。
なお、打ち抜き領域50とは、後述の切断工程において所望の形状に打ち抜いて切断する領域のことである。
また、本例の電極配設工程では、図7を参照のごとく、電極材料200及びスペーサ層190は、打ち抜き領域50よりも少し大きな領域に塗布した。また、接着層111は、打ち抜き領域50よりも少し小さな領域に塗布した。
また、後述の切断工程及び積層工程においてグリーンシート110を効率よく切断して積層できるように、長尺のグリーンシート110の打ち抜き領域50において、切断・積層する順に長手方向に印刷を施した。
また、本例の電極材料200としては、ペースト状のAg/Pd合金を用いたが、これ以外にもAg、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることができる。また、スペーサ層190及び接着層111としては、グリーンシート110を構成する上記スラリーを用いた。
<切断工程・積層工程>
次に、図6に示すごとく、グリーンシート110の打ち抜きと積層とを効率よく行うことができるように構成されている打抜積層装置7を用いて、グリーンシート110の打ち抜きと積層とを行う。この打抜積層装置7は、グリーンシート110を打ち抜いて切断するためのトムソン刃型71と、グリーンシート110を打ち抜いて切断する際に、トムソン刃型71を受けるためのベースプレート73と、グリーンシート110を打ち抜いて得られるシート片51を積層するための積層ホルダ74とを備えている。
また、同図に示すごとく、トムソン刃型71の先端部711には、内側面722及び外側面723の両側面に刃を設けたトムソン刃72が設けられている。トムソン刃72は、得ようとするセラミック積層体10の断面形状に合わせて、断面樽形状を呈して環状に設けられている。また、本例のトムソン刃72の刃先角βは30°である。
また、同図に示すごとく、積層ホルダ74は、後述するシート片51を積層している途中の未完積層体511を支持する支持部741と、支持部741に連通する空気穴(図示略)とを備えている。そして、積層ホルダ74は、シート片51を接着して積層し、空気穴からシート片51を吸引しながら支持部741に未完積層体511を支持できるように構成されている。
なお、図6では、グリーンシート110上に塗布されている電極材料200、スペーサ層190、及び接着層111の図示を省略した。
具体的に、打抜積層装置7を用いたグリーンシート110の打ち抜き及び積層を説明する。まず、図6に示すごとく、各材料が塗布された長尺のグリーンシート110をキャリアフィルム119ごとベースプレート73の上にセットする。そして、グリーンシート110を送りながら、所定の位置に設置されたトムソン刃型71のトムソン刃72によって、グリーンシート110の打ち抜き領域50を打ち抜いて切断する。
グリーンシート110の打ち抜きについて、さらに詳しく説明すると、図7に示すごとく、トムソン刃72の刃先721がグリーンシート110の打ち抜き領域50の外周端501上に位置したところで、トムソン刃72を打ち下ろす。
そして、図8に示すごとく、刃先角βを有するトムソン刃72によって、グリーンシート110の打ち抜き領域50を、グリーンシート110上に塗布された電極材料200及びスペーサ層190の上から打ち抜いて切断する。
これにより、シート片51を得る。シート片51の外周端面541には、一定の傾きが形成される。また、電極材料200の一部は、シート片51の外周端面541に露出した状態となる。
次に、図6に示すごとく、シート片51は、所定の位置に設置された積層ホルダ74によって、順に接着して積層される。シート片51は、シート片51の外周端面541の傾きが同じ方向となると共に、側面に露出する内部電極層20の外周端部の向きが交互になるようにして積層する(図9参照)。そして、支持部741に未完積層体511を支持しながら、所定の枚数のシート片51を積層する。
これにより、図9に示すごとく、中間積層体100を得る。なお、中間積層体100の積層方向両端には、最終的に保護層18となる保護層形成シート180を積層しておく。保護層形成シート180は、グリーンシート110と同材料のものである。
図9に示すごとく、中間積層体100の電極接合面101、102を含む外周面103全体には、一定の傾きを有するシート片51の外周端面541によって、ギザギザ状の凹凸4が形成される。また、内部電極層20は、外周端部の一部を電極接合面101、102に交互に露出している。
<焼成工程>
次に、中間積層体100に対して、脱脂を行う。加熱条件は、80時間かけて徐々に500℃まで加熱し、5時間保持する。これにより、中間積層体100に含まれているバインダー等の有機成分を除去する。そして、脱脂した中間積層体100に対して、最高温度1065℃で2時間焼成を行う。
これにより、図3のセラミック積層体10を得る。
<接合工程>
次に、図1、図2を参照のごとく、セラミック積層体10の電極接合面101、102に、金属層311と導電性接着剤312とにより構成される側面電極31を形成する。まず、セラミック積層体10の電極接合面101、102に、金属層311用の金属ペーストを塗布する。このとき、金属ペーストが電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように塗布する。そして、850℃で加熱することによって金属ペーストを焼き付けて、金属層311を形成する。
次に、同図を参照のごとく、金属層311の上に、導電性接着剤312を塗布する。そして、塗布した導電性接着剤312に一対の外部電極32を配置し、導電性接着剤312を加熱硬化させて外部電極32を接合する。
最後に、セラミック積層体10の外周面103全体を絶縁樹脂よりなるモールド材33によってモールドする。
これにより、図1の積層型圧電素子1を完成した。
なお、本例の導電性接着剤312としては、絶縁樹脂としてのエポキシ樹脂中に導電性フィラーとしてのAgを分散させたものを用いた。上記絶縁樹脂としては、上記以外にもシリコーン、ウレタン、ポリイミド等の各種樹脂を用いることができる。また、導電性フィラーとしては、上記以外にもPt、Cu、Ni等を用いることができる。
また、外部電極32としては、メッシュ状のエキスパンダメタルを用いたが、これ以外もパンチングメタル等を用いることができる。また、モールド材33としては、シリコーン樹脂を用いたが、これ以外にもポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
次に、本例の積層型圧電素子1の作用効果について説明する。
本例の積層型圧電素子1において、セラミック積層体10は、電極接合面101、102を含む外周面103全体に、圧電層11の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸4を有している。すなわち、セラミック積層体10は、外周面103全体において、積層された圧電層11ごとに凹凸4が設けられている。そして、側面電極31は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように設けられていると共に、導通すべき内部電極層20、つまり電極接合面101、102に露出している内部電極層20と直接接合して設けられている。
そのため、側面電極31は、接合された電極接合面101、102の凹凸4によって得られるアンカー効果により、電極接合面101、102に対して強固に接合された状態となり、密着性を向上させることができる。これにより、側面電極31は、駆動時における圧電層11の変位に対して耐え得る接合強度を有するものとなり、電極接合面101、102における側面電極31の剥離や、それに伴う内部電極層20と側面電極31との間の導電不良等の不具合の発生を充分に抑制することができる。そしてそれ故、上記の構造を有する積層型圧電素子1は、長期間の使用においても充分な耐久性を発揮すると共に、高い信頼性を得ることができる。
また、本例では、セラミック積層体10は、電極接合面101、102を含む外周面103全体に凹凸4を有している。そのため、電極接合面101、102に設けられた側面電極31はもちろんのこと、電極接合面101、102以外の外周面103に設けられた、つまり外周面103全体を覆うように設けられたモールド材33についても、凹凸4によって得られるアンカー効果により、外周面103に対する密着性を向上させることができる。
また、凹凸4は、セラミック積層体10の積層方向において、各圧電層11の外周端面141が同じ方向に所定の傾きを有していることよって形成されている。そのため、凹凸4は、電極接合面101、102において、所定の間隔で規則正しく形成されている。これにより、側面電極31は、凹凸4によって得られるアンカー効果により、電極接合面101、102に対する密着性をさらに向上させることができる。
また、各圧電層11の外周端面141の傾きαは、セラミック積層体10の積層方向に対して15°である。そのため、凹凸4は、電極接合面101、102において、所定の間隔で所定の角度を持って規則正しく形成されている。これにより、側面電極31は、凹凸4によって得られるアンカー効果により、電極接合面101、102に対する密着性をより一層向上させることができる。
また、内部電極層20は、各圧電層11の外周端面141の一部を覆うようにセラミック積層体10の電極接合面101、102に露出している。そのため、内部電極層20は、電極接合面101、102に露出する部分の面積が大きくなる。それ故、電極接合面101、102において、内部電極層20と内部電極層20に導通される側面電極31との接触面積を大きくすることができる。これにより、内部電極層20と側面電極31との間の導通性を充分かつ確実に確保することができる。
また、側面電極31は、金属を含有してなる金属層311を有しており、金属層311は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように設けられていると共に、導通すべき内部電極層20に直接接合されている。そのため、金属層311は、凹凸4によって得られるアンカー効果により、電極接合面101、102に対する密着性を充分に確保することができる。また、内部電極層20と金属層31との間の導通性を充分に確保することができる。
また、側面電極31は、金属層311上に配された導電性接着剤312を有しており、導電性接着剤312には、側面電極31に電力供給を行うための外部電極32が接合されている。そのため、内部電極層20と外部電極32との間の導通性を、両者の間に設けられ、金属層311と導電性接着剤312とを有する側面電極31によって充分に確保することができる。
このように、本例の積層型圧電素子1は、電極接合面101、102における剥離や導電不良等の不具合の発生を充分に抑制することができる、耐久性及び信頼性に優れた構造を有するものとなる。
なお、本例の電極配設工程では、電極材料200及びスペーサ層190を打ち抜き領域50よりも少し大きな領域に塗布したが、図10に示すごとく、電極材料200及びスペーサ層190を接着層111と同様に打ち抜き領域50よりも少し小さな領域に塗布し、その部分を避けるようにトムソン刃72で打ち抜いて切断することもできる。
また、本例のトムソン刃型71において、図11(a)に示すごとく、刃先角βが30°のトムソン刃72を用いたが、図11(b)に示すごとく、刃先角βが42°のトムソン刃72や、その他様々な角度のトムソン刃72を用いることができる。
また、トムソン刃72としては、図12(a)、(b)に示すごとく、内側面722及び外側面723の形状が異なる、成型機能を備えたトムソン刃72を用いることもできる。例えば、図12(a)のトムソン刃72を用いた場合には、図13に示すごとく、切断面であるシート片51の外周端面541に精度よく傾きを形成することができる。
(実施例2)
本例は、実施例1の積層型圧電素子1において、側面電極31を導電性接着剤312のみで構成した例である。
本例では、図14に示すごとく、側面電極31は、導電性接着剤312のみで構成されている。導電性接着剤312は、電極接合面101、102の凹凸4の凹部41に入り込むように設けられていると共に、導通すべき内部電極層20に直接接合されている。そして、導電性接着剤312には、外部電極32が接合されている。
また、本例の積層型圧電素子1を作製するに当たっては、焼成後に得られるセラミック積層体10の電極接合面101、102に、直接導電性接着剤312を塗布する。そして、塗布した導電性接着剤312に一対の外部電極32を配置し、導電性接着剤312を加熱硬化させて外部電極32を接合する。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、導電性接着剤312は、凹凸4によって得られるアンカー効果により、電極接合面101、102に対する密着性を充分に確保することができる。また、内部電極層20と導電性接着剤312との間の導通性を充分に確保することができる。さらに、内部電極層20と外部電極32との間の導通性を、両者の間に設けられ、導電性接着剤312よりなる側面電極31によって充分に確保することができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、実施例1のセラミック積層体10において、応力緩和部7を設けた例である。図15及び図16を用いて説明する。
本例では、図15に示すごとく、セラミック積層体10の外周面103には、圧電変位によってセラミック積層体10内部に生じる応力を緩和する応力緩和部7が露出するように設けられている。応力緩和部7は、空隙よりなる焼失孔を多数有する多孔質性のセラミックス材料により構成されている。なお、上記セラミックス材料は、圧電層11と同材料である。また、上記焼失孔は、後述の焼失材料が焼成により焼失して形成された空隙である。
また、応力緩和部7は、セラミック積層体10の側面101、102に露出している内部電極層20の外周端部と積層方向に隣接して設けられている。また、応力緩和部7は、一方の側面101(102)からもう一方の側面102(101)にかけて、セラミック積層体10の外周面103に沿って設けられている。なお、応力緩和部7(後述の緩和部形成材料700)の配設位置及び形状については、図16を参照されたい。
また、図15の応力緩和部7を有するセラミック積層体10を形成するに当たっては、電極配設工程において、電極材料200及びスペーサ層190の上に、応力緩和部7を形成する緩和部形成材料700及び接着層111を図16に示すような位置に塗布する。そして、打ち抜き領域50を順に打ち抜いてシート片51を積層し、中間積層体100を形成する。これを焼成することにより、セラミック積層体10を得る。
なお、緩和部形成材料700としては、グリーンシート110を構成するセラミックス原料と焼成により焼失する焼失材料とを含有したものを用いた。
また、上記焼失材料としては、熱変形が小さく、焼成により確実に焼失させることができるカーボン粒子を用いた。なお、カーボン粒子以外にも、炭化させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いることができる。この炭化有機物粒子は、パウダー状の有機物粒子を炭化して得ることができるほか、炭化させた有機物を粉砕して得ることもできる。さらに、上記有機物としては、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦粉等の穀物を用いることができる。この場合には、製造コストを抑制することができる。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の製造方法である。
本例の積層型圧電素子1のように、電極控え構造を有する場合には、内部電極層20間に電圧を印加したときに圧電変位が生じる部分と生じない部分とが存在する。例えば、控え部19では圧電変位が生じない。そのため、控え部19及びその周辺に歪みが生じて応力が集中して発生する。本例では、控え部19周辺に応力緩和部7が設けてあるため、圧電変位によって控え部19付近に集中的に作用する応力を、この応力緩和部7によって緩和することができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
なお、応力緩和部7は、様々な配設位置及び形状に設けることができる。例えば、本例のように、圧電層11(又は内部電極層20)ごとに設けることもできるし、1又は複数層おきに設けることもできる。図17では、2層おきの圧電層11に設けてある。また、図18のように、内部電極層20と内部電極層20との積層方向中間位置に設けることもできる。また、図18のように、セラミック積層体10の外周面全周に渡って設けることもできる。
(実施例4)
本例は、実施例3の応力緩和部7を空隙により構成した例である。図19を用いて説明する。
本例では、図19に示すごとく、セラミック積層体10の外周面103には、空隙よりなる応力緩和部7がスリット状に設けられている。
また、図19の応力緩和部7を形成するに当たっては、緩和部形成材料700としては、焼成によって焼失する焼失材料のみで構成したものを用いればよい。これにより、焼成工程の焼成によって焼失材料が焼失し、全体が空隙で構成された応力緩和部7を形成することができる。
その他は、実施例3と同様の構成であり、同様の製造方法である。
この場合には、圧電変位によって控え部19付近に集中的に作用する応力を、空隙よりなる応力緩和部7によって効果的に緩和することができる。
また、スリット状の応力緩和部7は、側面101、102に露出するように設けられているため、導電性接着剤32は、空隙よりなるスリット状の外方緩和部41に入り込んで塗布され、硬化後の導電性接着剤32は、応力緩和部7に入り込んで配設される。これにより、導電接着剤32の接着強度を向上させることができる。また、応力緩和部7の内部に内部電極層20が露出した状態となっているため、内部電極層20と導電性接着剤32との間の導通性を向上させることができる。
その他は、実施例3と同様の作用効果を有する。
なお、空隙よりなる応力緩和部7は、様々な配設位置及び形状に設けることができる。例えば、本例のように、圧電層11(又は内部電極層20)ごとに設けることもできるし、1又は複数層おきに設けることもできる。図20では、2層おきの圧電層11に設けてある。また、図21のように、内部電極層20と内部電極層20との積層方向中間位置に設けることもできる。また、図21のように、セラミック積層体10の外周面全周に渡って設けることもできる。
(実施例5)
本例は、実施例1の積層型圧電素子1をインジェクタ6の圧電アクチュエータとして用いた例である。
本例のインジェクタ6は、図22に示すごとく、ディーゼルエンジンのコモンレール噴射システムに適用したものである。
このインジェクタ6は、同図に示すごとく、駆動部としての積層型圧電素子1が収容される上部ハウジング62と、その下端に固定され、内部に噴射ノズル部64が形成される下部ハウジング63を有している。
上部ハウジング62は略円柱状で、中心軸に対し偏心する縦穴621内に、積層型圧電素子1が挿通固定されている。
縦穴621の側方には、高圧燃料通路622が平行に設けられ、その上端部は、上部ハウジング62上側部に突出する燃料導入管623内を経て外部のコモンレール(図示略)に連通している。
上部ハウジング62上側部には、また、ドレーン通路624に連通する燃料導出管625が突設し、燃料導出管625から流出する燃料は、燃料タンク(図示略)へ戻される。
ドレーン通路624は、縦穴621と駆動部(積層型圧電素子)1との間の隙間60を経由し、さらに、この隙間60から上下ハウジング62、63内を下方に延びる図示しない通路によって後述する3方弁651に連通してしる。
噴射ノズル部64は、ピストンボデー631内を上下方向に摺動するノズルニードル641と、ノズルニードル641によって開閉されて燃料溜まり642から供給される高圧燃料をエンジンの各気筒に噴射する噴孔643を備えている。燃料溜まり642は、ノズルニードル641の中間部周りに設けられ、上記高圧燃料通路622の下端部がここに開口している。ノズルニードル641は、燃料溜まり642から開弁方向の燃料圧を受けるとともに、上端面に面して設けた背圧室644から閉弁方向の燃料圧を受けており、背圧室644の圧力が降下すると、ノズルニードル641がリフトして、噴孔643が開放され、燃料噴射がなされる。
背圧室644の圧力は3方弁651によって増減される。3方弁651は、背圧室644と高圧燃料通路622、またはドレーン通路624と選択的に連通させる構成である。ここでは、高圧燃料通路622またはドレーン通路624へ連通するポートを開閉するボール状の弁体を有している。この弁体は、上記駆動部1により、その下方に配設される大径ピストン652、油圧室653、小径ピストン654を介して、駆動される。
そして、本例においては、上記構成のインジェクタ6における駆動源として、実施例1の積層型圧電素子1を用いている。この積層型圧電素子1は、上記のごとく、優れた耐久性及び信頼性を有するものである。そのため、インジェクタ6全体の性能向上を図ることができる。
実施例1において、積層型圧電素子の構造を示す説明図。 実施例1において、セラミック積層体の電極接合面付近を示す説明図。 実施例1において、セラミック積層体の構造を示す説明図。 実施例1において、電極材料及びスペーサ層を塗布する工程を示す説明図。 実施例1において、接着層を塗布する工程を示す説明図。 実施例1において、打抜積層装置の構成を示す説明図。 実施例1において、グリーンシートを打ち抜く際のグリーンシート及びトムソン刃の位置を示す説明図。 実施例1において、トムソン刃によりグリーンシートを打ち抜く工程を示す説明図。 実施例1において、中間積層体を示す説明図。 実施例1において、トムソン刃によりグリーンシートを打ち抜く工程を示す説明図。 実施例1において、(a)刃先角30°のトムソン刃を示す説明図、(b)刃先角42°のトムソン刃を示す説明図。 実施例1において、(a)、(b)成型機能を有するトムソン刃を示す説明図。 実施例1において、図12(a)のトムソン刃を用いてグリーンシートを打ち抜いて切断する工程を示す説明図。 実施例2において、セラミック積層体の電極接合面付近を示す説明図。 実施例3において、応力緩和部を設けたセラミック積層体を示す説明図。 実施例3において、緩和部形成材料を塗布する工程を示す説明図。 実施例3において、応力緩和部の配設位置の例を示す説明図。 実施例3において、応力緩和部の配設位置の例を示す説明図。 実施例4において、緩和部形成材料を塗布する工程を示す説明図。 実施例4において、応力緩和部の配設位置の例を示す説明図。 実施例4において、応力緩和部の配設位置の例を示す説明図。 実施例5において、インジェクタの構造を示す説明図。
符号の説明
1 積層型圧電素子
10 セラミック積層体
101、102 電極接合面
103 外周面
11 圧電層
20 内部電極層
31 側面電極
4 凹凸
41 凹部
6 インジェクタ

Claims (16)

  1. 圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面における一対の電極接合面に、上記内部電極層に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記セラミック積層体は、少なくとも上記電極接合面に、上記圧電層の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸を有しており、
    上記側面電極は、上記電極接合面の上記凹凸の凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 請求項1において、上記セラミック積層体は、上記電極接合面を含む上記外周面全体に上記凹凸を有していることを特徴とする積層型圧電素子。
  3. 請求項1又は2において、上記凹凸は、上記セラミック積層体の積層方向において、上記各圧電層の外周端面が同じ方向に所定の傾きを有していることによって形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  4. 請求項3において、上記各圧電層の上記外周端面の傾きは、上記セラミック積層体の積層方向に対して5〜25°であることを特徴とする積層型圧電素子。
  5. 請求項3又は4において、上記内部電極層は、上記圧電層の上記外周端面の一部を覆うように、上記セラミック積層体の上記電極接合面に露出していることを特徴とする積層型圧電素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記側面電極は、金属を含有してなる金属層を有しており、該金属層は、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  7. 請求項6において、上記側面電極は、上記金属層上に配された導電性接着剤を有しており、該導電性接着剤には、上記側面電極へ電力を供給するための外部電極が接合されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記側面電極は、導電性接着剤のみで構成されており、該導電性接着剤は、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように設けられていると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合されており、上記導電性接着剤には、上記側面電極へ電力を供給するための外部電極が接合されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、上記積層型圧電素子は、インジェクタの駆動源として用いられるインジェクタ用圧電アクチュエータであることを特徴とする積層型圧電素子。
  10. 圧電材料よりなる圧電層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の外周面における一対の電極接合面に、上記内部電極層に順次交互に導通されるように設けられた一対の側面電極とを有し、上記セラミック積層体が、少なくとも上記電極接合面に、上記圧電層の積層ピッチに相当するピッチで設けられた凹凸を有しており、上記側面電極が、上記電極接合面の上記凹凸の凹部に入り込むように設けられている積層型圧電素子を製造する方法において、
    上記圧電層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、
    上記グリーンシート上に、上記内部電極層となる電極材料を配設する電極配設工程と、
    上記グリーンシートを所望の大きさのシート片に切断して、切断面である該シート片の外周端面のうち、少なくとも最終的に上記セラミック積層体の上記電極接合面となる部分に、所定の傾きを形成する切断工程と、
    上記シート片を、該シート片の上記外周端面の傾きが同じ方向となるように積層して、少なくとも上記電極接合面に上記凹凸を有する中間積層体を形成する積層工程と、
    上記中間積層体を焼成して、上記凹凸を有する上記セラミック積層体を形成する焼成工程と、
    上記側面電極を、上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように形成すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合する接合工程とを含むことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  11. 請求項10において、上記切断工程では、上記シート片の上記外周端面全体に所定の傾きを形成し、上記積層工程では、上記外周面全体に上記凹凸を有する上記中間積層体を形成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  12. 請求項10又は11において、上記切断工程では、上記グリーンシートにおいて、少なくとも最終的に上記セラミック積層体の上記電極接合面となる部分の切断は、トムソン刃を用いて行うことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  13. 請求項12において、上記トムソン刃の内側面と上記グリーンシートの切断方向とがなす角度は、5〜25°であることを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項において、上記切断工程では、上記電極材料が配設された上記グリーンシートを上記電極材料の上から切断し、切断面である上記シート片の上記外周端面に上記電極材料の一部を露出させることを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項において、上記接合工程では、金属を含有してなる金属層を上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように形成すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合し、かつ、上記金属層上に導電性接着剤を配設すると共に、該導電性接着剤に上記側面電極へ電力を供給するための外部電極を接合し、上記金属層及び上記導電性接着剤を有する上記側面電極を形成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  16. 請求項10〜14のいずれか1項において、上記接合工程では、導電性接着剤を上記電極接合面の上記凹凸の上記凹部に入り込むように配設すると共に、導通すべき上記内部電極層に直接接合し、かつ、上記導電性接着剤に上記側面電極へ電力を供給するための外部電極を接合し、上記導電性接着剤のみで構成された上記側面電極を形成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
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