JP2007257976A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2007257976A
JP2007257976A JP2006080210A JP2006080210A JP2007257976A JP 2007257976 A JP2007257976 A JP 2007257976A JP 2006080210 A JP2006080210 A JP 2006080210A JP 2006080210 A JP2006080210 A JP 2006080210A JP 2007257976 A JP2007257976 A JP 2007257976A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
coolant
control
cell system
stop
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006080210A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Aoki
哲也 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006080210A priority Critical patent/JP2007257976A/ja
Publication of JP2007257976A publication Critical patent/JP2007257976A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】より短い時間で起動・停止を行うことができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック4と、冷却液循環流路21と、冷却液循環流路21に接続され、冷却液を冷却するラジエータ1と、ラジエータ1を迂回して冷却液循環流路21に接続されたバイパス流路22と、ラジエータ1を通過する冷却液流量とバイパス流路22を通過する冷却液流量との冷却液流量比を変更する三方弁9と、燃料電池スタック4およびラジエータ1に冷却液を供給する冷却液供給ポンプ3と、当該燃料電池システムの動作を制御するコントローラ30と、を備え、コントローラ30に、ラジエータ1の近傍の冷却液の温度と、燃料電池スタックの近傍の冷却液の温度と、三方弁9により定められる冷却液流量比と、に基づいて、当該燃料電池システムの起動または停止方法を変更する起動停止時間最適化手段を備えて構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池システムに係り、特に、熱応力による燃料電池およびラジエータの耐久性が低下することを抑制すると共に、より短い時間で起動および停止を行うことができる燃料電池システムに関する。
近年の環境問題、特に自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対する対策として、クリーンな排気および高エネルギ効率を可能とする燃料電池技術が注目を浴びている。燃料電池は、水素を含む燃料ガスおよび空気等の酸化剤ガスを電解質・電極触媒複合体に供給し、電気化学反応を起こし、化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換装置である。なかでも、固体高分子膜を電解質として用いた固体高分子電解質型燃料電池は、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、自動車等の移動体用電源としての用途が期待されている。
このような燃料電池は、適切な温度に管理することで効率の良い発電を行うことができる。燃料電池を適切な温度にするために、燃料電池に冷却液を供給する冷却液ポンプ、燃料電池の熱を奪って熱くなった冷却液を冷却するためのラジエータ、並びに、冷却液がラジエータを通らないようにバイパスすることで暖機を促進させるための三方弁、等を動作させて燃料電池の温度を制御している。
例えば、特開2000−315512号公報に開示の「燃料電池の温度調節装置」では、冷却液が流れる冷却液循環流路にラジエータを設置すると共に、このラジエータを迂回するバイパス流路を設け、ラジエータを通過する冷却液の流量とバイパス流路を流れる冷却液の流量とを三方弁の開度制御により調整するようにしている。そして、暖機時にはバイパス流路へ冷却液を多く流して暖機を促進し、また、冷却時にはラジエータに多くの冷却液を流して冷却を促進するといったように、燃料電池の温度が適正な運転温度となるように、冷却液の温度を制御している。
特開2000−315512号公報
ところで、燃料電池の運転を停止して放置していると、燃料電池内の冷却液は暖かいままの状態である一方、外気にさらされているラジエータ内の冷却液は冷えている状態となる可能性がある。このような状態で冷却液ポンプを回転させて、冷却液をラジエータおよび燃料電池に供給すると、ラジエータ内に存在していた冷たい冷却液が燃料電池に入り、燃料電池が熱応力を受けることで耐久性が低下する可能性がある。また、ラジエータについても同様に、燃料電池内に存在していた暖かい冷却液がラジエータに入り、ラジエータが熱応力を受けることで耐久性が低下する可能性がある。
このような耐久性低下の問題に対処するために、熱応力を低下させる方法として、例えば、冷却液ポンプを回転させ始める前に、三方弁でラジエータをバイパスしておくことが公知の技術として知られている。
しかしながら、三方弁はラジエータを通る冷却液の流量とラジエータをバイパスする冷却液の流量の比を操作するため、相応のトルクが必要であり、俊敏な動作はできないこともある。そのため、燃料電池の運転停止時にラジエータをバイパスするように三方弁を動作させて、バイパスが完了するのを待っていると、燃料電池システムの停止時間が延びてしまう。また、起動時に三方弁でラジエータのバイパスが完了することを待つ場合でも、同様に、燃料電池システムの起動時間が延びてしまう。
一方、三方弁によるラジエータバイパスをしないまま冷却液ポンプを回転させ始めると、燃料電池システムの起動時間および停止時間は延びないものの、燃料電池およびラジエータが熱応力を受けるため、耐久性が低下するという問題が残る。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、熱応力による燃料電池およびラジエータの耐久性が低下することを抑制すると共に、より短い時間で起動および停止を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記目的を解決するため、本発明は、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により発電を行う燃料電池と、前記燃料電池に循環供給される冷却液の流路である冷却液循環流路と、前記冷却液循環流路に接続され、前記燃料電池から排出された冷却液を冷却する冷却液冷却手段と、前記冷却液冷却手段を迂回して前記冷却液循環流路に接続されたバイパス流路と、前記冷却液冷却手段を通過する冷却液流量と前記バイパス流路を通過する冷却液流量との冷却液流量比を変更する冷却液流量比変更手段と、前記燃料電池および前記冷却液冷却手段に前記冷却液を供給する冷却液供給手段と、当該燃料電池システムの動作を制御するシステム制御手段と、を備え、前記システム制御手段は、前記冷却液冷却手段の近傍の冷却液の温度と、前記燃料電池の近傍の冷却液の温度と、前記冷却液流量比変更手段により定められる冷却液流量比と、に基づいて、当該燃料電池システムの起動または停止方法を変更する起動停止時間最適化手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池システムでは、起動停止時間最適化手段により、冷却液冷却手段の近傍の冷却液の温度と、燃料電池の近傍の冷却液の温度と、冷却液流量比変更手段により定められる冷却液流量比と、に基づいて、当該燃料電池システムの起動または停止方法を変更することとしており、熱応力を低下させるために、従来技術では時間を要していた冷却液流量比変更手段による冷却液の流量の比の変更を待つ時間を、より短時間で済ませることができるので、結果として、熱応力による燃料電池およびラジエータの耐久性が低下することを抑制すると共に、より短い時間で起動および停止を行うことができる燃料電池システムを実現できる。
以下、本発明の燃料電池システムの実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る燃料電池システムの構成図である。本実施例の燃料電池システムは、例えば燃料電池車両の駆動動力源として用いられるものであり、図1に示すように、水素および空気の供給により発電を行う燃料電池スタック4を備える。
燃料電池スタック4は、燃料ガス(水素)が供給される燃料極と酸化剤ガス(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。各発電セルの燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子とが解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させて、空気極側にそれぞれ移動する。また、空気極では、供給された空気中の酸素と前記水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
燃料電池スタック4の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
なお、燃料電池スタック4には、当該燃料電池スタック4に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給系や、酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給系、燃料電池スタック4を加湿するための加湿系等が接続されるが、本発明の特徴に直接的に関わる部分でないことから、公知の構成を適用するものとして、図1ではこれら構成の図示を省略している。
燃料電池スタック4は、酸化剤ガス供給系により供給される酸化剤ガスおよび燃料ガス供給系から供給される燃料ガスを用いて発電するが、発電の際に発熱することから、耐久性を確保しながら効率の良い発電を行うためには、燃料電池スタック4を冷却して適正な運転温度に維持する必要がある。そのため、冷却系により、燃料電池スタック4に冷却液を循環供給して燃料電池スタック4の温度調整を行うようにしている。
図1に示す本実施例の燃料電池システムにおいては、冷却系として、ラジエータ(冷却液冷却手段)1、ラジエータファン2、冷却液供給ポンプ(冷却液供給手段)3、三方弁(冷却液流量比変更手段)9、冷却液循環流路21、バイパス流路22、燃料電池入口冷却液温度センサ5および燃料電池出口冷却液温度センサ6を備えている。
燃料電池スタック4には、この燃料電池スタック4に循環供給される冷却液の流路である冷却液循環流路21が接続されている。また、この冷却液循環流路21には、燃料電池スタック4によって暖められた冷却液を冷却するラジエータ1が接続されており、その近傍にはラジエータ1に送風してラジエータ1での冷却能力を変化させるラジエータファン2が設置されている。
また、冷却液循環流路21には、ラジエータ1を迂回するようにバイパス流路22が接続されており、冷却液循環流路21とバイパス流路22との分岐位置には、弁開度の変化によってラジエータ1を通過する冷却液流量とバイパス流路22を通過する冷却液流量との比を変化させる三方弁9が設置されている。また、冷却液循環流路21には、冷却液を循環させるための冷却液供給ポンプ3が設置されている。
そして、本実施例の燃料電池システムにおける(図示しない燃料ガス供給系、酸化剤ガス供給系および加湿系等を含む)各構成要素の動作、特に、冷却系におけるラジエータファン4の回転数や三方弁6の開度、冷却液供給ポンプ7の動作等は、コントローラ30によって制御されるようになっている。
コントローラ(システム制御手段)30は、例えば、I/Oインタフェース、プログラムメモリ、ワークメモリ、およびCPUを備えたマイクロプロセッサ等で構成されている。このコントローラ30には、燃料電池スタック4の電流値および電圧値を検出する燃料電池発電量センサ8の検知信号出力、燃料電池スタック4の入口近傍における冷却液温度を検出する燃料電池入口冷却液温度センサ5の検知信号出力、燃料電池スタック4の出口近傍における冷却液温度を検出する燃料電池出口冷却液温度センサ6の検知信号出力、外気温度を検出する外気温度センサ10の検知信号出力、並びに、スタートスイッチ11のON/OFF信号出力がそれぞれ入力される。
そして、コントローラ30は、各種センサの検出値を読み込んで、その検出値に対する判断、演算結果により、各種制御信号を出力して、燃料電池システムの各部における動作を制御する。特に冷却系に対しては、予めラジエータファン回転数に対して決められているデューティ比となるようなPWM信号をラジエータファン2に対して出力する。また同様に、冷却液供給ポンプ7に対して、予め冷却液流量に対して決められているデューティ比となるようなPWM信号を出力する。さらに同様に、三方弁6に対して、予め三方弁開度に対して決められているデューティ比となるようなPWM信号を出力する。なお、三方弁6からコントローラ30に対して、三方弁実開度に応じたデューティ比のPWM信号が出力されている。
図2は、本発明の燃料電池システムにおけるコントローラ30の機能構成を示す構成図である。同図に示すように、コントローラ30は、燃料電池入口冷却液温度検出手段201と、燃料電池出口冷却液温度検出手段202と、燃料電池近傍冷却液温度算出手段203と、外気温度検出手段204と、熱応力判断用温度差算出手段205と、三方弁実開度検出手段206と、起動・停止状態判定手段207と、停止完了までの発熱量推定手段208と、起動停止時間最適化手段31と、冷却液供給ポンプ回転数制御手段215と、三方弁開度制御手段216と、を備えて構成されている。また、起動停止時間最適化手段31は、調温停止判断手段209と、冷却液供給開始判断手段210と、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211と、調温開始判断手段212と、起動・停止時冷却液供給ポンプ指令回転数算出手段213と、起動・停止時三方弁指令開度算出手段214と、を備えた構成である。なお、各手段はマイクロプロセッサ上で実行されるプログラムの機能的なまとまりを表したものであり、各手段の概略動作は以下の通りである。
燃料電池入口冷却液温度検出手段201は、燃料電池入口冷却液温度センサ5の検知信号を読み取って、燃料電池スタック4の入口近傍における冷却液温度、即ち燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]を得る。また、燃料電池出口冷却液温度検出手段202は、燃料電池出口冷却液温度センサ6の検知信号を読み取って、燃料電池スタック4の出口近傍における冷却液温度、即ち燃料電池出口冷却液温度Tout[℃]を得る。
また、燃料電池近傍冷却液温度算出手段203は、燃料電池入口冷却液温度検出手段201で検出した燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]と、燃料電池出口冷却液温度検出手段202で検出した燃料電池出口冷却液温度Tout[℃]とに基づき、燃料電池近傍冷却液温度として燃料電池内部冷却液温度Tc[℃]を算出する。
また、外気温度検出手段204は、外気温度センサ10の検知信号を読み取って、外気温Tamb[℃]を得る。また、熱応力判断用温度差算出手段205は、燃料電池近傍冷却液温度算出手段203で算出した燃料電池近傍冷却液温度(燃料電池内部冷却液温度Tc[℃])と、外気温度検出手段204で検出した外気温Tamb[℃]とに基づいて熱応力判断用温度差ΔT[℃]を算出する。
また、三方弁実開度検出手段206で三方弁9から出力されるPWM信号を読み取って、三方弁実開度Dr[deg]を得る。
また、起動・停止状態判定手段207は、スタートスイッチ11からのON/OFF信号を読み取り、燃料電池システムの状態が“起動中”、“停止中”、“起動完了”または“停止完了”の何れの状態にあるかを判定する。
また、停止完了までの発熱量推定手段208は、起動・停止状態判定手段207で判定した燃料電池システムの状態に基づいて燃料電池システムの停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]を推定する。
次に、起動停止時間最適化手段31の各手段について説明する。まず、調温停止判断手段209は、三方弁実開度検出手段206で検出した三方弁の実開度Dr[deg]と停止完了までの発熱量推定手段208で推定した燃料電池システムの停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]に基づいて、燃料電池の温度制御を停止するか継続するかを判断する。
また、冷却液供給開始判断手段210は、熱応力判断用温度差算出手段205で算出した熱応力判断用の温度差ΔT[℃]と三方弁実開度検出手段206で検出した三方弁9の実開度Dr[deg]に基づいて第1の所定時間T1[msec]を算出し、第1の所定時間T1[msec]に基づいて冷却液の供給を開始するか開始しないかを判断する。
また、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211は、冷却液供給開始判断手段210で算出した第1の所定時間T1[msec]に基づいて冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]を算出する。また、調温開始判断手段212は、冷却液供給開始判断手段210で判断した結果に基づいて燃料電池スタック4の温度制御を開始するか開始しないかを判断する。
また、起動・停止時冷却液供給ポンプ指令回転数算出手段213は、調温停止判断手段209で判断した結果と冷却液供給開始判断手段210で判断した結果と冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211で算出した冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]に基づいて冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]を算出する。
また、起動・停止時三方弁指令開度算出手段214は調温停止判断手段209で判断した結果と調温開始判断手段212に基づいて三方弁9の指令開度Dt[deg]を算出する。
さらに、冷却液供給ポンプ回転数制御手段215は、起動・停止時冷却液供給ポンプ指令回転数算出手段213で算出した冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]に基づいて冷却液供給ポンプ3に駆動信号を出力する。また、三方弁開度制御手段216は、起動・停止時三方弁指令開度算出手段214で算出した三方弁指令開度Dt[deg]に基づいて三方弁9に三方弁の駆動信号を出力する。
次に、本実施例の燃料電池システムの停止制御および起動制御(特に、冷却系における制御動作)の概要について、図3〜図5を参照して、従来の制御と対比させながら説明する。ここで、図3は、燃料電池システムの停止制御の時間的推移を説明するタイムチャートであり、同図(a)および(b)は、それぞれ従来および本実施例の制御動作である。また、図4は、燃料電池システムの起動制御時の時間的推移を説明するタイムチャートであり、同図(a)および(b)は、それぞれ従来および本実施例の制御動作である。また、図5は、起動制御を開始してから冷却液供給ポンプ回転開始までの時間と、三方弁によるラジエータバイパス制御の間の冷却液供給ポンプ回転数の推移を例示する説明図である。
まず、図3を参照して、従来と本実施例の燃料電池システムの停止制御を対比させながら説明する。同図(a)および(b)に示すように、従来と本実施例の燃料電池システムの停止制御では、共に、スタートスイッチ11がOFFとなって(時刻Td10)から水素ガスの減圧を行い、該水素減圧終了後の時刻Td20からは、狭義の停止制御(ここでの停止制御は劣化を防止するために各種制御を行うものであり、先に使用している広義の全体的な停止制御とは異なる)を行い、該停止制御終了後の時刻Td30から時刻Td40までのアクチュエータ停止時間を経て、時刻Td40から時刻Td50までの駆動モータ放電完了待ち時間を経て、停止完了に至るという一連の流れを持つ。
また、熱応力による燃料電池およびラジエータの耐久性低下の問題に対処するために、熱応力を低下させるべく、上記一連の流れに並行して、ラジエータ1をバイパスするように三方弁9を動作させるバイパス制御も共に行われているが、そのバイパス制御を開始するタイミングが異なる。
従来は、水素減圧中(時刻Td10〜時刻Td20)の燃料電池スタック8の発熱量は大きいため、この期間に冷却を止めるわけにはいかず、また、停止制御(時刻Td20〜時刻Td30)の燃料電池スタック8の発熱量は相対的に小さいが、できればこの期間でも冷却を止めたくないという観点から、図3(a)に示すように、バイパス制御を開始するタイミングを停止制御終了後の時刻Td30とし、アクチュエータ停止時間と駆動モータ放電完了待ち時間を利用して、バイパス制御を行っている。
したがって、従来のバイパス制御に使える時間は、両者を合わせた時間(約2[sec])に限定され、三方弁9により、ラジエータ1のみを経由した冷却液の流路状態からバイパス流路22のみを経由した冷却液の流路状態に切り替える(バイパス制御に)要する時間(約5[sec])に達しないことから、完全にバイパスしきることはできない。また、バイパス制御が完了するのを待って停止完了とすると、燃料電池システムの停止時間が延びてしまう。
本実施例では、停止制御(時刻Td20〜時刻Td30)の状況によっては、通常運転時と同等の冷却を必要としないことが多いこと、また、バイパス制御を開始しても直ぐに冷却効果が完全に無くなる訳ではないという観点から、バイパス制御を開始するタイミングを、図3(b)に示すように、停止制御の状況(停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量)に基づく時刻Td30とし、停止制御(時刻Td20〜時刻Td30)の途中からバイパス制御を開始することで、できるだけバイパス流路22のみを経由した冷却液の流路状態に近づくようにするものである。こうすることで、次の燃料電池システムの起動制御において、バイパス制御に要する時間をより短くすることができる。
次に、図4を参照して、従来と本実施例の燃料電池システムの起動制御を対比させながら説明する。
従来の燃料電池システムの起動制御では、図4(a)に示すように、まず、スタートスイッチ11がONとなって(時刻Tu10)からラジエータ1をバイパスするように三方弁9を動作させるバイパス制御が行われ、バイパス制御終了後の時刻Tu19に冷却液供給ポンプ3の回転を開始している。ここで、バイパス制御終了後に冷却液供給ポンプ3の回転を開始するのは、バイパス制御の途中に冷却液供給ポンプ3を回すことで、ラジエータ1や燃料電池スタック4に許容値以上の熱応力がかかってはいけないという観点からである。
また、冷却液供給ポンプ3の回転を開始した後、冷却液供給ポンプ3がREADY状態になるまでには、誤診断されないレベルの冷却液圧になっていなければならず、冷却液供給ポンプ3の回転数が所定回転数に達するまでのポンプ回転数上昇待ち時間が必要となる。したがって、冷却液供給ポンプ3が制御準備完了となるまでに、バイパス制御に要する時間とポンプ回転数上昇待ち時間とを合わせた時間が必要となる。
また、三方弁9による調温制御を開始するには、燃料電池スタック4に冷却液が流れていないと調温制御を開始できないので、冷却液供給ポンプ3の回転を開始した後、燃料電池スタック4に流れる冷却液が一定流量となるまでの調温開始待ち時間が必要となる。したがって、三方弁9が制御準備完了となるまでに、バイパス制御に要する時間と調温開始待ち時間とを合わせた時間が必要となる。
これに対して本実施例の燃料電池システムの起動制御では、図4(b)に示すように、スタートスイッチ11がONとなって(時刻Tu10)からラジエータ1をバイパスするように三方弁9を動作させるバイパス制御を行うが、時刻Tu10からディレイ時間(第1の所定時間)DL1が経過した時刻Tu15に冷却液供給ポンプ3の回転を開始している。ここで、ディレイ時間DL1は、スタートスイッチ11がON時の三方弁9の開度、並びに、ラジエータ1の近傍の冷却液の温度と燃料電池スタック4の近傍の冷却液の温度との温度差に基づき可変設定されるものである。
適切にディレイ時間DL1を設定すれば、燃料電池システムの起動制御中に、三方弁9がラジエータ1のバイパスを完了させる前に冷却液供給ポンプ3の回転を開始しても、殆どラジエータ1および燃料電池スタック4には冷却液が流れ込まないため、ラジエータ1および燃料電池スタック4が受ける熱衝撃は許容できるレベルに抑えることができる。 また、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率をディレイ時間DL1に基づき可変とすることで、冷却液供給ポンプ3の回転を開始した後のポンプ回転数上昇待ち時間を短縮している。これにより、冷却液供給ポンプ3が制御準備完了となるまでの時間は、ディレイ時間DL1と短縮されたポンプ回転数上昇待ち時間の和となって、最長のバイパス制御時間(ラジエータ1のみを経由した冷却液の流路状態からバイパス流路22のみを経由した冷却液の流路状態に切り替えるための時間)内に収めることができる。
また、冷却液供給ポンプ3の回転を開始した後の調温開始待ち時間(ディレイ時間DL2、即ち第1の所定時間)を、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率に基づいて可変とすることで、三方弁9が制御準備完了となるまでの時間は、ディレイ時間DL1とディレイ時間DL2の和となって、最長のバイパス制御時間内に収めることができる。
図5に示す例では、スタートスイッチ11がONとなってから三方弁9の指令デューティ比が50〜60[%](三方弁9の開度がほぼ中立状態)となる時間を、冷却液供給ポンプ3の回転を開始するまでの時間、即ちディレイ時間DL1として、該ディレイ時間DL1に基づき冷却液供給ポンプ3の回転数変化率を増大させて、冷却液供給ポンプ3が制御準備完了となるまでの時間を、バイパス制御時間内に収めている。
次に、コントローラ30による停止時および起動時における冷却系の制御動作について、図6〜図12を参照して、具体的に説明する。
ここで、図6は、本実施例の燃料電池システムの停止時および起動時における冷却系の制御手順を説明するメインのフローチャートであり、図7は、起動中・停止中・起動完了・停止完了状態判定処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートであり、図8は、“起動中”の処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートであり、図9は、“停止中”の処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートである。
また、図10は、三方弁実開度Dr[deg]と熱応力判断用温度差ΔTから第1の所定時間T1[msec]を求めるためのテーブルデータを説明する説明図であり、図11は、冷却液供給ポンプの回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]から第2の所定時間T2[msec]を求めるためのテーブルデータを説明する説明図であり、図12は、燃料電池システムの停止完了までの時間から停止完了までの燃料電池の発熱量を求めるためのテーブルデータを説明する説明図である。
まず、図6を参照して、本実施例の燃料電池システムの停止時および起動時における冷却系制御の全体フローを説明する。図6に示す制御フローは、マイクロプロセッサ等を利用したコントローラ30の制御周期(例えば、10[msec])毎に実行されるものである。
まず、燃料電池入口冷却液温度検出手段201において、燃料電池入口冷却液温度センサ5からの検知信号に基づき燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]を検出する(ステップS301)。
次に、燃料電池出口冷却液温度検出手段202において、燃料電池出口冷却液温度センサ6からの検知信号に基づき、燃料電池出口冷却液温度Tout[℃]を検出する(ステップS302)。
次に、燃料電池近傍冷却液温度算出手段203において、燃料電池入口冷却液温度検出手段201および燃料電池出口冷却液温度検出手段202によりそれぞれ検出した燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]および燃料電池出口冷却液温度Tout[℃]の両者を加算して2で除算することにより、燃料電池内部冷却液温度Tc[℃]を算出する(ステップS303)。
次に、外気温度検出手段204において、外気温センサ10からの検知信号に基づき外気温Tamb[℃]を検出する(ステップS304)。
次に、熱応力判断用温度差算出手段205において、燃料電池近傍冷却液温度算出手段203により算出した燃料電池内部冷却液温度Tc[℃]、並びに外気温度検出手段204により検出した外気温Tamb[℃]に基づき、以下の式を用いて熱応力判断用温度差ΔT[℃]を算出する(ステップS305)。
(数1)
ΔT=|Tc−Tamb| …(1)
次に、三方弁実開度検出手段206において、三方弁9から出力されるPWM信号のデューティ比に基づき、三方弁実開度Dr[deg]を検出する(ステップS306)。
次に、起動・停止状態判定手段207において、後で(図7を参照して)詳細に説明する起動中・停止中・起動完了・停止完了状態判定処理を行い(ステップS307)、燃料電池システムの状態が“起動中”、“停止中”、“起動完了”または“停止完了”の何れの状態にあるかを判定する。
次に、燃料電池システムの状態が“起動中”であるか否かを判定し(ステップS308)、“起動中”であればステップS309に進んで、後で(図8を参照して)詳細に説明する“起動中”の処理を行った後にステップS310に進む。また、燃料電池システムの状態が“起動中”でなければステップS310に進む。
次に、燃料電池システムの状態が“停止中”であるか否かを判定し(ステップS310)、“停止中”であればステップS311に進んで、後で(図9を参照して)詳細に説明する“停止中”の処理を行った後にステップS310に進む。また、燃料電池システムの状態が“停止中”でなければステップS312に進む。
次に、燃料電池システムの状態が“停止完了”であるか否かを判定し(ステップS312)、“停止完了”であればステップS313に進んで、“停止完了”の処理を行った後にステップS310に進む。また、燃料電池システムの状態が“停止完了”でなければステップS314に進む。なお、“停止完了”の処理については、本発明の特徴と直接関係しないので特に記述しないが、燃料電池システムが停止した後の処理を行う。
次に、燃料電池システムの状態が“起動完了”であるか否かを判定し(ステップS312)、“起動完了”であればステップS313に進んで、“起動完了”の処理を行った後に終了する。また、燃料電池システムの状態が“起動完了”でなければ終了する。なお、“起動完了”の処理については、本発明の特徴と直接関係しないので特に記述しないが、燃料電池システムが起動した後の処理を行う。以上のステップS301〜S315により1制御周期での処理を終了する。
次に、図7を参照して、起動・停止状態判定手段207により行われる起動中・停止中・起動完了・停止完了状態判定処理の手順を説明する。
まず、スタートスイッチ11から出力されるON/OFF信号に基づき、スタートスイッチのON/OFF状態を検出する(ステップS401)。
次に、燃料電池システムの状態が“停止完了”で、かつ、ステップS401で検出したスタートスイッチ11の状態が“ON”であればステップS403に進み、そうでなければステップS405に進む。
次に、燃料電池システムの状態が“停止完了”で、かつ、スタートスイッチ11の状態が“ON”のとき、燃料電池システムの状態を“起動中”とし(ステップS403)、起動開始からの時間を計測するための起動時間タイマTsu[msec]にゼロを代入してリセットする(ステップS404)。
次に、起動時間タイマTsu[msec]にコントローラの制御周期[msec](例えば10[msec])を加算する(ステップS405)。
次に、燃料電池システムの状態が“起動完了”で、かつ、ステップS401で検出したスタートスイッチ11の状態が“OFF”であればステップS407に進み、そうでなければステップS409に進む。
次に、燃料電池システムの状態が“起動完了”で、かつ、スタートスイッチ11の状態が“OFF”のとき、燃料電池システムの状態を“停止中”とし(ステップS407)、停止開始からの時間を計測するための停止時間タイマTsd[msec]にゼロを代入してリセットする(ステップS408)。
次に、停止時間タイマTsd[msec]にコントローラの制御周期[msec](例えば10[msec])を加算する(ステップS409)。
次に、燃料電池システムの状態が“停止中”でかつ、停止時間タイマTsd[msec]が、予め定めておいた停止完了時間Tsde[msec]に達しているか否かを判断し(ステップS410)、これら2つの条件を満たしていればステップS411に進み、そうでなければステップS412に進む。ここで、停止完了時間Tsde[msec]は、実験データや机上検討で、燃料電池スタック4に供給している燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給が停止していること、並びに、燃料電池スタック4の発電が停止していること等、燃料電池システムが停止を完了するために必要な条件を全て満たすまでの時間にマージンを加えて決める。
次に、燃料電池システムの状態が“停止中”でかつ、停止時間タイマTsd[msec]が停止完了時間Tsue[msec]に達しているとき、燃料電池システムの状態を“停止完了”とする(ステップS411)。
次に、燃料電池システムの状態が“起動中”でかつ、起動時間タイマTsu[msec]が、予め定めておいた起動完了時間Tsue[msec]に達しているか否かを判断し(ステップS412)、これら2つの条件を満たしていればステップS413に進み、そうでなければ当該サブルーチンを終了する。ここで、起動完了時間Tsue[msec]は、実験データや机上検討で、燃料電池スタック4に供給している燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給量が所定値以上であること、並びに、燃料電池スタック4の発電が開始されていること等、燃料電池システムを運転するために必要な条件を全て満たすまでの時間にマージンを加えて決める。
次に、燃料電池システムの状態が“起動中”でかつ、起動時間タイマTsu[msec]が停止完了時間Tsue[msec]に達しているとき、燃料電池システムの状態を“起動完了”として(ステップS413)、当該サブルーチンを終了する。
なお、燃料電池システムの状態は、例えば、ワークメモリの所定アドレスの領域(当該燃料電池システムが運転停止状態にあっても不揮発であることが必要)に、現在の燃料電池システムの状態並びに前回の制御周期における燃料電池システムの状態が記憶される。したがって、ステップS403,S407,S411およびS413において、現在の燃料電池システムの状態領域が書き換えられるときは、現在の燃料電池システムの状態領域の内容を前回の制御周期における燃料電池システムの状態領域に退避させる作業も必要となる。
次に、図8を参照して、起動停止時間最適化手段31、冷却液供給ポンプ回転数制御手段215および三方弁開度制御手段216により行われる“起動中”の処理の手順を説明する。
まず、前回の制御周期での燃料電池システムの状態が“起動中”ではなく、かつ、現在の燃料電池システムの状態が“起動中”であるか否かを判断する。これら2つの条件が満たされればステップS502に進み、そうでなければステップS505に進む。
前回の制御周期での燃料電池システムの状態が“起動中”ではなく、かつ、現在の燃料電池システムの状態が“起動中”であるときは、燃料電池システムの状態が“起動中”となって初回の制御周期であるので、以下の各パラメータを算出する。
まず、冷却液供給開始判断手段210において、熱応力判断用温度差算出手段205(ステップS305)により算出した熱応力判断用温度差ΔT[℃]と、三方弁実開度検出手段206(ステップS306)により検出した三方弁実開度Dr[deg]とに基づいて、第1の所定時間T1[msec]を算出する(ステップS502)。
ここで、第1の所定時間T1[msec]は、上述した概略説明(図4(b)参照)におけるスタートスイッチ11がONして(時刻Tu10)から冷却液供給ポンプ3の回転を開始する(時刻Tu15)までのディレイ時間DL1であり、具体的には、例えば図10に示すようなテーブルデータを参照することによって、三方弁実開度Dr[deg]と熱応力判断用温度差ΔTに基づき可変設定する。
図10において、横軸は三方弁実開度Dr[deg]であり、冷却液が殆ど全てバイパス流路22側に流れる開度(以下、バイパス全開という)から、冷却液が殆ど全てラジエータ1側に流れる開度(以下ラジエータ全開という)までの範囲を持つ。図10のテーブルデータでは、第1の所定時間T1[msec]は、熱応力判断用温度差ΔT[℃]が小さいほど、また、三方弁実開度Dr[deg]がバイパス全開に近いほど、短くなるように定められている。また、第1の所定時間T1[msec]の数値設定は、実機を用いた実験によって、ラジエータ1および燃料電池スタック4に許容値以上の熱応力がかからないように定められている。
次に、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211において、起動完了時間Tsue[msec](ステップS412の説明参照)と、冷却液供給開始判断手段210(ステップS502)により算出した第1の所定時間T1[msec]とに基づいて、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]を算出する(ステップS503)。
ここで、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率の算出は、以下のようにして行われる。まず、冷却液供給ポンプ3の回転数がゼロから起動時の目標回転数Npmp[rpm]に到達するまでに使える時間Tpwt[msec]を、次式の計算を行うことで算出する。
(数2)
Tpwt=Tsue−T1 …(2)
次に、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]を、起動時の目標回転数Npmp[rpm]と、該目標回転数Npmp[rpm]に到達するまでに使える時間Tpwt[msec]に基づいて、次式の計算を行うことで算出する。
(数3)
Vpmp=(Npmp/Tpwt)×制御周期 …(3)
なお、起動時の目標回転数Npmp[rpm]は、燃料電池スタック4が発電する際に、冷却のために最低限必要な回転数として、実機を用いた実験および机上計算から求めて設定する。
次に、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211(ステップS503)により算出した冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]に基づいて、第2の所定時間T2[msec]を算出する(ステップS504)。
ここで、第2の所定時間T2[msec]は、上述した概略説明(図4(b)参照)における冷却液供給ポンプ3の回転を開始してからの調温待ち時間(ディレイ時間DL2)であり、具体的には、例えば図11に示すようなテーブルデータを参照することによって、冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]に基づき可変設定する。
図11のテーブルデータでは、第2の所定時間T2[msec]は、冷却液供給ポンプの回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]が大きいほど、短くなるように定められている。また、第2の所定時間T2[msec]の数値設定は、実機を用いた実験によって、三方弁9を用いた温度制御で温度制御精度が許容値以内に抑えられる冷却液供給ポンプ3の回転数Nct[rpm]を定め、机上計算によってゼロ回転からその回転数Nct[rpm]に到達するために必要な時間を計算して、これを第2の所定時間T2[msec]として定める。
次に、起動開始から第1の所定時間T1[msec]が経過したか否かを判断する(ステップS505)。起動時間タイマTsu[msec]が第1の所定時間T1[msec]に達していれば、ステップS506に進み、そうでなければステップS507に進む。
起動開始から第1の所定時間T1[msec]が経過したときには、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]を、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211(ステップS503)により算出した冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]と起動時の目標回転数Npmp[rpm]に基づいて、次式を用いて算出し(ステップS506)、その後ステップS508に進む。
(数4)
Ntpmp=min(Ntpmp+Vpmp,Npmp) …(4)
また、起動開始から第1の所定時間T1[msec]が経過していないときには、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]をゼロにする(ステップS507)。
次に、前回の制御周期での冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロで、かつ、現在の冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロでないか否かを判断する(ステップS508)。前回の制御周期での指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロで、かつ、現在の指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロでないならば、ステップS509に進み、そうでないならばステップS510に進む。
前回の制御周期での指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロで、かつ、現在の指令回転数Ntpmp[rpm]がゼロでないときには、冷却液供給ポンプ3の回転開始からの時間の計測を開始するため、ポンプ回転開始からのタイマTps[msec]にゼロを代入してリセットする(ステップS509)。
また、これら2つの条件を満たさないときは、ポンプ回転開始からのタイマTps[msec]にコントローラ30の制御周期[msec](例えば10[msec])を加算する(ステップS510)。
次に、冷却液供給ポンプ3の回転開始から第2の所定時間T2[msec]が経過したか否かを判断する(ステップS511)。ポンプ回転開始からのタイマTps[msec]が第2の所定時間T2[msec]に達していれば、ステップS512に進み、そうでなければステップS513に進む。
冷却液供給ポンプ3の回転開始から第2の所定時間T2[msec]が経過したときには、燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]が予め定めた目標温度Tt[℃]となるように、PI制御器を用いたフィードバック制御を実施し、該PI制御器の出力を三方弁指令開度Dt[deg]として算出して(ステップS512)、ステップS514に進む。
ここで、目標温度Tt[℃]は、燃料電池システム全体として効率が最も高くなるように、実機を用いた実験あるいは机上検討によって定める。
また、冷却液供給ポンプ3の回転開始から第2の所定時間T2[msec]が経過していないときには、三方弁指令開度Dt[deg]として、ラジエータ1を完全にバイパスするような開度を定める(ステップS513)。
次に、冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]となるようなデューティー比を計算し、そのデューティー比に基づいて、冷却液供給ポンプ3を駆動させるための駆動信号(PWM信号)を出力する(ステップS514)。
次に、三方弁指令開度Dt[deg]となるようなデューティー比を計算し、そのデューティー比に基づいて、三方弁9を駆動させるための駆動信号(PWM信号)を出力し、当該サブルーチンを終了する(ステップS515)。
次に、図9を参照して、起動停止時間最適化手段31、冷却液供給ポンプ回転数制御手段215および三方弁開度制御手段216により行われる“停止中”の処理の手順を説明する。
まず、停止完了時間Tsde[msec]から停止時間タイマTsd[msec]を減算することで、燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]を算出する(ステップS601)。
次に、ラジエータ1を完全にバイパスしている時の三方弁9の開度をDbps[deg]とし、三方弁実開度検出手段206(ステップS306)で検出した三方弁実開度Dr[deg]と、三方弁9の三方弁開度の変化率V3wv[deg/1制御周期]とに基づいて、三方弁9でラジエータ1を完全にバイパスするために必要な時間Tbps[msec]を次式を用いて算出する(ステップS602)。
(数5)
Tbps=(|Dr−Dbps|/V3wv)×制御周期 …(5)
ここで、三方弁開度の変化率V3wv[deg/1制御周期]は、指令開度をステップ的に変化させた際の三方弁実開度の変化率を測定して定める。ラジエータ1を完全にバイパスしている時の三方弁9の開度Dbps[deg]は、ラジエータ1を完全にバイパスしている時の三方弁実開度Dr[deg]を測定して定める。
次に、ステップS601で算出した燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]に基づいて、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]を算出する(ステップS603)。
ここで、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]は、例えば図12に示すようなテーブルデータを参照することによって、燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]に基づき算出する。図12のテーブルデータでは、停止完了までの燃料電池の発熱量積算値Qstp[kWh]は、燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]が大きいほど、小さくなるように定められている。また、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]の数値設定は、実機を用いた実験によって、燃料電池システムが停止するまでの燃料電池スタック4の発電量を計測し、机上計算で発熱量を算出して定める。
具体的には、実験で燃料電池システムの停止制御中の燃料電池スタック4の出力電流Ifc[A]と出力電圧Vfc[V]の時系列データを取得し、次式にこれら出力電流Ifc[A]および出力電圧Vfc[V]を代入して、燃料電池スタック4の発熱量Qfc[W]の時系列データを計算しておく。次に、所定の時間Tf[msec]からシステム停止が完了した時間Tend[msec]までの発熱量Qfc[W]を積分することで、所定時間Tf[msec]における停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]を得る。
(数6)
Qfc=(−ΔH×N/2F−Vfc)×Ifc …(6)
ここで、Qfc:燃料電池スタック4の発熱量[W]
ΔH:燃料電池反応前後でのエンタルピ変化量[J/mol]
「H2+1/2O2→H2O」の燃料電池反応では、ΔHHHV=-285840[J/mol]
と、ΔHLHV=-241830[J/mol]の2種類が考えられる。
F:ファラデー定数[C/mol]
1[mol]の電子がもつ電荷量(96485[C/mol])
N:燃料電池スタック4に積層した燃料電池セルの枚数[−]
Vfc:燃料電池スタック4の出力電圧[V]
Ifc:燃料電池スタック4の出力電流[A]
次に、ステップS601で算出した燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]よりも、ステップS602で算出した三方弁9でラジエータ1を完全にバイパスするために必要な時間Tbps[msec]が長いか否かを判断する(ステップS604)。燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]よりも三方弁9でラジエータ1を完全にバイパスするために必要な時間Tbps[msec]の方が長ければステップS605に進み、そうでなければステップS610に進む。
ステップS604において、燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]よりも三方弁9でラジエータ1を完全にバイパスするために必要な時間Tbps[msec]の方が長いときには、予め値を定めている許容発熱量積算値Qa[kWh]よりもステップS603で算出した停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]が大きいか否かを判断する(ステップS605)。許容発熱量積算値Qa[kWh]よりも停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]の方が大きければステップS606に進み、そうでなければステップS608に進む。
ステップS605において、許容発熱量積算値Qa[kWh]よりも停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]が大きいときには、燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]が予め定めた目標温度Tt[℃]となるように、PI制御器を用いたフィードバック制御を実施し、該PI制御器の出力を三方弁指令開度Dt[deg]として算出する(ステップS606;ステップS512と同様)。
そして、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]を、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211(ステップS503)により算出した冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]と起動時の目標回転数Npmp[rpm]に基づき算出し(ステップS607;ステップS506と同様)、その後ステップS615に進む。
ステップS605において、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]が許容発熱量積算値Qa[kWh]未満のときには、三方弁指令開度Dt[deg]として、ラジエータ1を完全にバイパスするような開度を定め(ステップS608;ステップS513と同様)、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]をゼロにし(ステップS609;ステップS507と同様)、その後ステップS615に進む。
また、ステップS604において、三方弁9でラジエータ1を完全にバイパスするために必要な時間Tbps[msec]が燃料電池システムの停止完了までの時間Tf[msec]に達していないときには、ステップS603で算出した停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]がゼロか否かを判断する(ステップS610)。停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]がゼロならばステップS611に進み、そうでなければステップS613に進む。
ステップS610において、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]がゼロのときには、燃料電池入口冷却液温度Tin[℃]が予め定めた目標温度Tt[℃]となるように、PI制御器を用いたフィードバック制御を実施し、該PI制御器の出力を三方弁指令開度Dt[deg]として算出して(ステップS611;ステップS512と同様)、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]を、冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段211(ステップS503)により算出した冷却液供給ポンプ3の回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]と起動時の目標回転数Npmp[rpm]に基づき算出し(ステップS612;ステップS506と同様)、その後ステップS615に進む。
ステップS610において、停止完了までの燃料電池スタック4の発熱量積算値Qstp[kWh]がゼロでないときには、三方弁指令開度Dt[deg]として、ラジエータ1を完全にバイパスするような開度を定め(ステップS613;ステップS513と同様)、冷却液供給ポンプの指令回転数Ntpmp[rpm]をゼロにして(ステップS614;ステップS507と同様)、その後ステップS615に進む。
次に、冷却液供給ポンプ3の指令回転数Ntpmp[rpm]となるようなデューティー比を計算し、そのデューティー比に基づいて、冷却液供給ポンプ3を駆動させるための駆動信号(PWM信号)を出力する(ステップS615)。
次に、三方弁指令開度Dt[deg]となるようなデューティー比を計算し、そのデューティー比に基づいて、三方弁9を駆動させるための駆動信号(PWM信号)を出力し、当該サブルーチンを終了する(ステップS616)。
以上説明したように、本実施例の燃料電池システムでは、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により発電を行う燃料電池スタック4と、燃料電池スタック4に循環供給される冷却液の流路である冷却液循環流路21と、冷却液循環流路21に接続され、燃料電池スタック4から排出された冷却液を冷却するラジエータ(冷却液冷却手段)1と、冷却液冷却手段を迂回して前記冷却液循環流路に接続されたバイパス流路22と、ラジエータ1を通過する冷却液流量とバイパス流路22を通過する冷却液流量との冷却液流量比を変更する三方弁(冷却液流量比変更手段)9と、燃料電池スタック4およびラジエータ1に冷却液を供給する冷却液供給ポンプ(冷却液供給手段)3と、当該燃料電池システムの動作を制御するコントローラ(システム制御手段)30と、を有することを特徴とする燃料電池システムにおいて、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、ラジエータ1の近傍の冷却液の温度と、燃料電池スタック4の近傍の冷却液の温度と、三方弁9により定められる冷却液流量比と、に基づいて、当該燃料電池システムの起動または停止方法を変更する。
これにより、熱応力を低下させるために、従来技術では時間を要していた三方弁9による冷却液の流量の比の変更を待つ時間を、より短時間で済ませることができるので、結果として、熱応力による燃料電池スタック4およびラジエータ1の耐久性が低下することを抑制すると共に、より短い時間で起動および停止を行うことができる燃料電池システムを実現できる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31に、当該燃料電池システムの停止制御中に、燃料電池スタック4の温度制御を停止可能か否かの判断を行う調温停止判断手段209を備え、該調温停止判断手段209により温度制御を停止可能と判断されたとき、冷却液の流路を三方弁9によりバイパス流路22を経由した流路とするバイパス制御を開始する。
従来の技術では、ラジエータ1を三方弁9によってバイパスしないまま、冷却液供給ポンプ3によって冷却液を燃料電池スタック4またはラジエータ1に供給してしまうと、燃料電池スタック4またはラジエータ1に熱応力がかかってしまうため、この熱応力を避けるために、燃料電池システムの起動制御時に三方弁9によってラジエータ1をバイパスするバイパス制御の完了を待ってから冷却液供給ポンプ3によって冷却液を燃料電池スタック4またはラジエータ1に供給していた。
これに対して本実施例では、燃料電池システムの起動制御時に、三方弁9によるバイパス制御の完了を待つ時間をできるだけ減らすために、燃料電池システムの停止制御の際に、調温停止判断手段209で燃料電池スタック4の温度制御を停止可能と判断できれば、三方弁9によりラジエータ1のバイパスを開始するので、燃料電池スタック4の発電が停止するのを待つことなくラジエータ1をバイパスさせ始めることができるため、燃料電池システムの停止制御中に、より大きくラジエータ1をバイパスさせることができ、次回の起動制御時にラジエータ1をバイパスし終わるまでの時間が短くなるため、起動時間を短くすることができる。また、燃料電池システムの停止完了と三方弁9によるバイパス制御の完了は独立しており、燃料電池システムが停止完了した際に、三方弁9によるバイパスが完了している必要はないため、本実施例を適用しても停止時間が延びることはない。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、当該燃料電池システムの停止制御中に、三方弁9により定められる冷却液流量比と、該冷却液流量比の変化速度と、当該燃料電池システムの停止制御完了までの時間に基づいて、燃料電池スタック4の発電量がゼロとなった後に、冷却液の流路を三方弁9によりバイパス流路22を経由した流路とするバイパス制御を開始しても、当該燃料電池システムの停止制御完了までに完全に該バイパス制御を完了することができると判断される場合には、燃料電池スタック4の発電量がゼロとなった後に、バイパス制御を開始する。また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、当該燃料電池システムの停止制御中に、三方弁9により定められる冷却液流量比と、該冷却液流量比の変化速度と、当該燃料電池システムの停止制御完了までの時間に基づいて、燃料電池スタック4の発電量がゼロとなった後に、冷却液の流路を三方弁9によりバイパス流路22を経由した流路とするバイパス制御を開始すると、当該燃料電池システムの停止制御完了までに完全に該バイパス制御を完了することができないと判断される場合には、調温停止判断手段209により温度制御を停止可能と判断された時にバイパス制御を開始する。
これにより、燃料電池スタック4が発電中に三方弁9を用いた温度制御を停止する機会を減らすことができ、燃料電池の寿命を延ばすことができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30に、当該燃料電池システムの停止制御中に、現時点から当該燃料電池システムの停止制御が完了するまでの燃料電池スタック4の発熱量を推定する停止完了までの発熱量推定手段208を備え、コントローラ30の調温停止判断手段209は、停止完了までの発熱量推定手段208による発熱量推定値が所定値を下回ったときに、燃料電池スタック4の温度制御を停止可能と判断する。これにより、燃料電池スタック4が発電中に三方弁9を用いた温度制御を停止する場合でも、燃料電池スタック4の寿命低下を抑えることができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31に、当該燃料電池システムの起動制御中に、燃料電池スタック4およびラジエータ1へ冷却液を供給開始可能か否かの判断を行う冷却液供給開始判断手段210を備え、該冷却液供給開始判断手段210により冷却液を供給開始可能と判断されたとき、冷却液供給ポンプ3により燃料電池スタック4およびラジエータ1へ冷却液を供給する制御を開始する。これにより、三方弁9によるラジエータ1のバイパス制御が完了していなくても冷却液の供給を開始できるので、燃料電池システムの起動制御時間を短くすることができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、冷却液供給開始判断手段210により、当該燃料電池システムの起動制御を開始してから第1の所定時間が経過した時に、燃料電池スタック4およびラジエータ1へ冷却液を供給開始可能と判断する。これにより、起動完了までの時間と照らし合わせて確実に起動時間を短くすることができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、冷却液供給開始判断手段210により、ラジエータ1の近傍の冷却液の温度と、燃料電池スタック4の近傍の冷却液の温度との温度差が小さいほど、また、ラジエータ1を通過する冷却液流量よりもバイパス流路22を通過する冷却液流量が多いほど、第1の所定時間を短く設定する。これにより、状況に応じて第1の所定時間を決めることができ、燃料電池スタック4やラジエータ1への熱応力を抑えながら、起動時間を短くすることができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、第1の所定時間が短いほど、冷却液供給ポンプ3により冷却液の供給を開始した際の該冷却液の流量が増加する速度を小さくする。これにより、冷却液供給ポンプ3の負荷を小さくすることができ、冷却液供給ポンプ3の寿命を延ばすことができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、前記冷却液供給手段により冷却液の供給が開始されてから第2の所定時間が経過した時に、三方弁9による燃料電池スタック4の温度制御を開始する。このように、冷却液が供給されていない時に温度制御を実施することで、温度制御精度が低下することを防止することができる。
またさらに、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ30の起動停止時間最適化手段31により、冷却液供給ポンプ3により冷却液の供給を開始した際の冷却液の流量が増加する速度が速いほど、第2の所定時間を短く設定する。これにより、温度制御精度の低下することを防止しながら、可能な限り第2の所定時間を短くすることができる。
本発明の一実施例に係る燃料電池システムの構成図である。 本発明の燃料電池システムにおけるコントローラ30の機能構成を示す構成図である。 燃料電池システムの停止制御の時間的推移を説明するタイムチャートであり、同図(a)および(b)は、それぞれ従来および本実施例の制御動作である。 燃料電池システムの起動制御時の時間的推移を説明するタイムチャートであり、同図(a)および(b)は、それぞれ従来および本実施例の制御動作である。 起動制御を開始してから冷却液供給ポンプ回転開始までの時間と、三方弁によるラジエータバイパス制御の間の冷却液供給ポンプ回転数の推移を例示する説明図である。 実施例の燃料電池システムの停止時および起動時における冷却系の制御手順を説明するメインのフローチャートである。 起動中・停止中・起動完了・停止完了状態判定処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートである。 “起動中”の処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートである。 “停止中”の処理の手順を説明するサブルーチンのフローチャートである。 三方弁実開度Dr[deg]と熱応力判断用温度差ΔTから第1の所定時間T1[msec]を求めるためのテーブルデータを説明する説明図である。 冷却液供給ポンプの回転数変化率Vpmp[rpm/1制御周期]から第2の所定時間T2[msec]を求めるためのテーブルデータを説明する説明図である。 燃料電池システムの停止完了までの時間から停止完了までの燃料電池の発熱量を求めるためのテーブルデータを説明する説明図である。
符号の説明
1 ラジエータ(冷却液冷却手段)
2 ラジエータファン
3 冷却液供給ポンプ(冷却液供給手段)
4 燃料電池スタック(燃料電池)
5 燃料電池入口冷却液温度センサ
6 燃料電池出口冷却液温度センサ
8 燃料電池発電量センサ
9 三方弁(冷却液流量比変更手段)
10 外気温度センサ
11 スタートスイッチ
21 冷却液循環流路
22 バイパス流路
30 コントローラ(システム制御手段)
31 起動停止時間最適化手段
201 燃料電池入口冷却液温度検出手段
202 燃料電池出口冷却液温度検出手段
203 燃料電池近傍冷却液温度算出手段
204 外気温度検出手段
205 熱応力判断用温度差算出手段
206 三方弁実開度検出手段
207 起動・停止状態判定手段
208 停止完了までの発熱量推定手段
209 調温停止判断手段
210 冷却液供給開始判断手段
211 冷却液供給ポンプ回転数変化率算出手段
212 調温開始判断手段
213 起動・停止時冷却液供給ポンプ指令回転数算出手段
214 起動・停止時三方弁指令開度算出手段
215 冷却液供給ポンプ回転数制御手段
216 三方弁開度制御手段

Claims (11)

  1. 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池に循環供給される冷却液の流路である冷却液循環流路と、
    前記冷却液循環流路に接続され、前記燃料電池から排出された冷却液を冷却する冷却液冷却手段と、
    前記冷却液冷却手段を迂回して前記冷却液循環流路に接続されたバイパス流路と、
    前記冷却液冷却手段を通過する冷却液流量と前記バイパス流路を通過する冷却液流量との冷却液流量比を変更する冷却液流量比変更手段と、
    前記燃料電池および前記冷却液冷却手段に前記冷却液を供給する冷却液供給手段と、
    当該燃料電池システムの動作を制御するシステム制御手段と、を有し、
    前記システム制御手段は、前記冷却液冷却手段の近傍の冷却液の温度と、前記燃料電池の近傍の冷却液の温度と、前記冷却液流量比変更手段により定められる冷却液流量比と、に基づいて、当該燃料電池システムの起動または停止方法を変更する起動停止時間最適化手段を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記起動停止時間最適化手段は、当該燃料電池システムの停止制御中に、前記燃料電池の温度制御を停止可能か否かの判断を行う調温停止判断手段を有し、該調温停止判断手段により温度制御を停止可能と判断されたとき、前記冷却液の流路を前記冷却液流量比変更手段により前記バイパス流路を経由した流路とするバイパス制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記起動停止時間最適化手段は、当該燃料電池システムの停止制御中に、前記冷却液流量比変更手段により定められる冷却液流量比と、該冷却液流量比の変化速度と、当該燃料電池システムの停止制御完了までの時間に基づいて、前記燃料電池の発電量がゼロとなった後に、前記冷却液の流路を前記冷却液流量比変更手段により前記バイパス流路を経由した流路とするバイパス制御を開始しても、当該燃料電池システムの停止制御完了までに完全に該バイパス制御を完了することができると判断される場合には、前記燃料電池の発電量がゼロとなった後に、前記バイパス制御を開始することを特徴とする請求項1または請求項2の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  4. 前記起動停止時間最適化手段は、当該燃料電池システムの停止制御中に、前記冷却液流量比変更手段により定められる冷却液流量比と、該冷却液流量比の変化速度と、当該燃料電池システムの停止制御完了までの時間に基づいて、前記燃料電池の発電量がゼロとなった後に、前記冷却液の流路を前記冷却液流量比変更手段により前記バイパス流路を経由した流路とするバイパス制御を開始すると、当該燃料電池システムの停止制御完了までに完全に該バイパス制御を完了することができないと判断される場合には、前記調温停止判断手段により温度制御を停止可能と判断された時に前記バイパス制御を開始することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記システム制御手段は、当該燃料電池システムの停止制御中に、現時点から当該燃料電池システムの停止制御が完了するまでの前記燃料電池の発熱量を推定する停止完了までの発熱量推定手段を有し、
    前記調温停止判断手段は、前記停止完了までの発熱量推定手段による発熱量推定値が所定値を下回ったときに、前記燃料電池の温度制御を停止可能と判断することを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記起動停止時間最適化手段は、当該燃料電池システムの起動制御中に、前記燃料電池および前記冷却液冷却手段へ前記冷却液を供給開始可能か否かの判断を行う冷却液供給開始判断手段を有し、該冷却液供給開始判断手段により前記冷却液を供給開始可能と判断されたとき、前記冷却液供給手段により前記燃料電池および前記冷却液冷却手段へ前記冷却液を供給する制御を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記冷却液供給開始判断手段は、当該燃料電池システムの起動制御を開始してから第1の所定時間が経過した時に、前記燃料電池および前記冷却液冷却手段へ前記冷却液を供給開始可能と判断することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記冷却液供給開始判断手段は、前記冷却液冷却手段の近傍の冷却液の温度と、前記燃料電池の近傍の冷却液の温度との温度差が小さいほど、また、前記冷却液冷却手段を通過する冷却液流量よりも前記バイパス流路を通過する冷却液流量が多いほど、前記第1の所定時間を短く設定することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記起動停止時間最適化手段は、前記第1の所定時間が短いほど、前記冷却液供給手段により前記冷却液の供給を開始した際の該冷却液の流量が増加する速度を小さくすることを特徴とする請求項7または請求項8の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記起動停止時間最適化手段は、前記冷却液供給手段により前記冷却液の供給が開始されてから第2の所定時間が経過した時に、前記冷却液流量比変更手段による前記燃料電池の温度制御を開始することを特徴とする請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記起動停止時間最適化手段は、前記冷却液供給手段により前記冷却液の供給を開始した際の該冷却液の流量が増加する速度が速いほど、前記第2の所定時間を短く設定することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
JP2006080210A 2006-03-23 2006-03-23 燃料電池システム Pending JP2007257976A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006080210A JP2007257976A (ja) 2006-03-23 2006-03-23 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006080210A JP2007257976A (ja) 2006-03-23 2006-03-23 燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007257976A true JP2007257976A (ja) 2007-10-04

Family

ID=38631997

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006080210A Pending JP2007257976A (ja) 2006-03-23 2006-03-23 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007257976A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014222966A (ja) * 2013-05-13 2014-11-27 三菱自動車工業株式会社 車両制御装置
JP2016028547A (ja) * 2015-10-13 2016-02-25 三菱自動車工業株式会社 車両制御装置
JP2018501610A (ja) * 2014-11-27 2018-01-18 インテリジェント エナジー リミテッドIntelligent Energy Limited 冷却剤注入制御装置
KR20200064685A (ko) * 2018-11-29 2020-06-08 현대자동차주식회사 파워 플랜트의 냉각계 제어 방법
CN113394489A (zh) * 2021-05-06 2021-09-14 华为技术有限公司 一种温控装置和温控系统
CN113540500A (zh) * 2021-06-15 2021-10-22 佛山仙湖实验室 一种氢燃料电池发动机低温冷启动控制方法
CN113827100A (zh) * 2021-11-05 2021-12-24 广东美芝制冷设备有限公司 烹饪器具及控制方法、控制装置和计算机可读存储介质
CN114188566A (zh) * 2021-11-30 2022-03-15 上海氢蓝新能源科技有限公司 热管理系统的控制方法、系统及热管理系统、燃料电池
CN114300708A (zh) * 2021-12-29 2022-04-08 潍柴动力股份有限公司 一种燃料电池冷却液自动加水排气系统以及燃料电池车辆
CN114695916A (zh) * 2022-04-21 2022-07-01 北京亿华通科技股份有限公司 一种氢燃料电池液冷系统的节温器控制方法及装置

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014222966A (ja) * 2013-05-13 2014-11-27 三菱自動車工業株式会社 車両制御装置
JP2018501610A (ja) * 2014-11-27 2018-01-18 インテリジェント エナジー リミテッドIntelligent Energy Limited 冷却剤注入制御装置
US10923738B2 (en) 2014-11-27 2021-02-16 Intelligent Energy Limited Coolant injection controller
JP2016028547A (ja) * 2015-10-13 2016-02-25 三菱自動車工業株式会社 車両制御装置
KR20200064685A (ko) * 2018-11-29 2020-06-08 현대자동차주식회사 파워 플랜트의 냉각계 제어 방법
US11872908B2 (en) 2018-11-29 2024-01-16 Hyundai Motor Company Method for controlling thermal management systems of power plant
KR102540936B1 (ko) * 2018-11-29 2023-06-08 현대자동차주식회사 파워 플랜트의 냉각계 제어 방법
US11642982B2 (en) 2018-11-29 2023-05-09 Hyundai Motor Company Method for controlling thermal management systems of power plant
CN113394489B (zh) * 2021-05-06 2023-02-03 华为数字能源技术有限公司 一种温控装置和温控系统
CN113394489A (zh) * 2021-05-06 2021-09-14 华为技术有限公司 一种温控装置和温控系统
CN113540500B (zh) * 2021-06-15 2022-08-23 佛山仙湖实验室 一种氢燃料电池发动机低温冷启动控制方法
CN113540500A (zh) * 2021-06-15 2021-10-22 佛山仙湖实验室 一种氢燃料电池发动机低温冷启动控制方法
CN113827100A (zh) * 2021-11-05 2021-12-24 广东美芝制冷设备有限公司 烹饪器具及控制方法、控制装置和计算机可读存储介质
CN114188566A (zh) * 2021-11-30 2022-03-15 上海氢蓝新能源科技有限公司 热管理系统的控制方法、系统及热管理系统、燃料电池
CN114300708A (zh) * 2021-12-29 2022-04-08 潍柴动力股份有限公司 一种燃料电池冷却液自动加水排气系统以及燃料电池车辆
CN114300708B (zh) * 2021-12-29 2024-03-26 潍柴动力股份有限公司 一种燃料电池冷却液自动加水排气方法
CN114695916A (zh) * 2022-04-21 2022-07-01 北京亿华通科技股份有限公司 一种氢燃料电池液冷系统的节温器控制方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007257976A (ja) 燃料電池システム
EP2075867B1 (en) Fuel cell system and control method thereof
US8735011B2 (en) Fuel cell system
US10283791B2 (en) Fuel cell system
JP2002313377A (ja) 燃料電池システムの導電率管理装置
JP2009026738A (ja) 燃料電池システム及びその運転方法
JP2006179198A (ja) 燃料電池システム
JP2005166540A (ja) 燃料電池冷却システム
JP5742481B2 (ja) 燃料電池車両用空調装置
JP5478669B2 (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法
JP2011178365A (ja) 空調装置および空調制御方法
JP2007157616A (ja) 熱媒体制御システム、暖房制御システム、燃料電池車
JP5212882B2 (ja) 燃料電池システム及び燃料電池の冷却方法
JP2004281201A (ja) 車両用燃料電池システム
JP2005150019A (ja) 燃料電池システム
JP7192690B2 (ja) 燃料電池システム
JP2004179123A (ja) 燃料電池の冷却装置
JP2007294141A (ja) 燃料電池システム
JP7151553B2 (ja) 燃料電池システム
JP2010140678A (ja) 燃料電池の冷却システム
JP2010113981A (ja) 燃料電池発電システム
JP7388345B2 (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法
JP2005190881A (ja) 燃料電池の冷却装置
JP5768980B2 (ja) 燃料電池システム
JP7445401B2 (ja) 燃料電池システムおよび制御装置