JP2007257608A - 無段変速機用ベルト、無段変速機用ベルトの設計方法及び設計プログラム - Google Patents

無段変速機用ベルト、無段変速機用ベルトの設計方法及び設計プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減するための設計を容易に行う。
【解決手段】ベルト周方向にm/2個(mはエレメントの全個数)離れたエレメント同士の板厚が異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するように、板厚の異なる2種類のエレメントの初期並びが設定される(S101)。このエレメントの初期並びに対して、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換え(S104)、このエレメントの入れ換え前後においてベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値が減少しない場合にこのエレメントの入れ換えを元に戻す(S106〜S107)手順が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して実行される。
【選択図】図8

Description

本発明は、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられる無段変速機用ベルト、無段変速機用ベルトの設計方法及び設計プログラムに関する。
ベルト式無段変速機においては、駆動プーリ及び従動プーリにベルトが巻き掛けられており、駆動プーリ及び従動プーリへのベルトの掛かり径を無段階に変化させることで変速比を無段階に変化させることができる。ここでのベルトは、一般的には、板状のエレメントを周方向に多数配列し、これをフープで締め付けて構成される。
こうしたベルト式無段変速機においては、ベルトの各エレメントがプーリに進入する(噛み込む)際やプーリから離脱する際に、ベルト(エレメント)に加振力が作用して振動・騒音が発生する。下記特許文献1には、ベルト式無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を低減するために、厚さの異なる複数種類のエレメントをランダムに配列した無段変速機用ベルトが開示されている。
また、駆動プーリ及び従動プーリにチェーンが巻き掛けられたチェーン式無段変速機においても、チェーンの各リンクがプーリに進入する際やプーリから離脱する際に振動・騒音が発生する。下記特許文献2には、チェーン式無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を低減するために、複数のリンクと、これらを相互に連結し且つプーリと接触するピンとを備え、隣接するピンのプーリとの接触位置間の距離がランダムに設定された無段変速機用チェーンが開示されている。
特許第2532253号公報 特開2004−301257号公報 特開2006−170393号公報
厚さの異なる複数種類のエレメントをランダムに配列する場合は、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値がエレメントの配列の仕方(並び方)に応じて変化する。しかし、無段変速機においては、例えば400個程度の多数のエレメントが配列されるため、エレメントの並び方の組み合わせも無数に存在する。そのため、単に複数種類のエレメントをランダムに配列するだけでは、振動・騒音のピーク値が十分に低くなるエレメント並びが得られるとは限らない。例えば乱数を利用してエレメントの並び方を決定する場合は、無数に存在するエレメントの並び方の組み合わせの中から、振動・騒音のピーク値が十分に低くなるエレメント並びを探し出すことは困難である。
同様に、チェーン式無段変速機においても、複数種類のリンクをランダムに連結するだけでは、振動・騒音のピーク値が十分に低くなるとは限らない。例えば乱数を利用してリンクの連結の仕方(並び方)を決定する場合は、無数に存在するリンクの並び方の組み合わせの中から、振動・騒音のピーク値が十分に低くなるリンク並びを探し出すことは困難である。
本発明の目的は、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することにある。また、本発明の目的は、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減するための設計を容易に行うことにある。
本発明に係る無段変速機用ベルトの設計方法は、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトを設計する方法であって、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、各エレメントにより加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す入換手順をコンピュータに実行させて、厚さの異なる2種類のエレメントの配列を決定することを要旨とする。
厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトにおいては、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分がエレメントの配列の仕方に応じて変化するため、厚さの異なるエレメント同士を入れ換えたことによるベルト振動の周波数成分への影響を評価することが可能である。ただし、周方向距離の短いエレメント同士を入れ換えると、入れ換えによるベルト振動への影響が局所的となり、全体としてベルト振動の周波数成分にほとんど影響を与えない場合も発生する。その場合は、ベルト振動の周波数成分のピーク値を十分に低減するエレメント配列を得るために必要な計算量(エレメント入れ換え回数)が増大する。本発明においては、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、ベルト振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士を入れ換える。例えば、ベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値に基づいてm/2個離れたエレメント同士を入れ換える。これによって、厚さの異なるエレメント同士を入れ換える際に、各入れ換え箇所でのエレメント厚さ変更によるベルト振動への影響が互いに相殺し合うのを抑止することができ、ベルト振動の周波数成分のピーク値を十分に低減するエレメント配列を少ない計算量(少ないエレメント入れ換え回数)で得ることができる。したがって、本発明によれば、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減するためのベルトの設計を容易に行うことができる。
本発明の一態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、前記入換手順は、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、該エレメントの入れ換え前における前記指標と該エレメントの入れ換え後における前記指標との比較結果に基づいて、該エレメントの入れ換えを元に戻すか否かを決定する手順とを、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることが好適である。この態様では、前記入換手順を複数回繰り返してコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分のピーク値をさらに低減するエレメント配列を得ることができる。また、本発明の一態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標は、
Figure 2007257608
で表されることが好適である。
本発明の一態様では、前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の最大値が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分のピーク値を少ないエレメント入れ換え回数で効率よく低減することができる。この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、前記入換手順は、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、該エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることが好適である。さらに、前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分のピーク値をほぼ最小に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、前記入換手順は、前記指標の最大値がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることで、ベルト振動の周波数成分のピーク値をほぼ最小に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の最大値は、所定範囲内の振動周期数jに対する
Figure 2007257608
の最大値で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
本発明の一態様では、前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の最大値と最小値との差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分の最大値と最小値との差を少ないエレメント入れ換え回数で効率よく低減することができ、ベルト振動の周波数成分を均一化することができる。この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、前記入換手順は、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、該エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値と最小値との差が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることが好適である。さらに、前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分の最大値と最小値との差をほぼ最小に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、前記入換手順は、前記指標の最大値と最小値との差がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることで、ベルト振動の周波数成分の最大値と最小値との差をほぼ最小に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の最大値と最小値との差は、所定範囲内の振動周期数jに対する
Figure 2007257608
の最大値と最小値との差で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
本発明の一態様では、前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の所定値に対する最大偏差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分を少ないエレメント入れ換え回数で効率よく所定値に近づけることができ、ベルト振動の周波数成分を均一化することができる。この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、前記入換手順は、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、該エレメントの入れ換え前後において前記指標の前記所定値に対する最大偏差が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることが好適である。さらに、前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の前記所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることで、ベルト振動の周波数成分をほぼ所定値に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、前記入換手順は、前記指標の前記所定値に対する最大偏差がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることで、ベルト振動の周波数成分をほぼ所定値に収束させるエレメント配列を得ることができる。また、この態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の前記所定値に対する最大偏差は、所定範囲内の振動周期数jにおける
Figure 2007257608
の前記所定値に対する最大偏差で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
本発明の一態様では、厚さが薄い方のエレメントの個数をn1、厚さが厚い方のエレメントの個数をn2(n2=m−n1)、厚い方のエレメントと薄い方のエレメントとの厚さ比を1+Δ(Δ>0)、対応値kに対応するエレメントが薄い方のエレメントである場合に0となり、対応値kに対応するエレメントが厚い方のエレメントである場合に1となる関数をT(k)とすると、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相αiは、
Figure 2007257608
で表されることが好適である。
本発明の一態様では、前記入換手順実行後のエレメントの配列に対して所定数のエレメントを挿入または除去する手順をコンピュータにさらに実行させて、厚さの異なる2種類のエレメントの配列を決定することもできる。ここでの所定数については、エレメントの配列個数よりも十分少ないことが好ましい。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、本発明に係る無段変速機用ベルトの設計方法により設計されたことを要旨とする。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分のピーク値がほぼ最小になるように、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、前記所定条件が成立するエレメントの配列は、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分のピーク値がほぼ最小になるエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。なお、ここでの所定数については、エレメントの配列個数よりも十分少ないことが好ましい。
本発明の一態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の最大値は、所定範囲内の振動周期数jに対する
Figure 2007257608
の最大値で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、エレメントの配列個数を偶数であるm、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαiとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、所定範囲内の値jに対する
Figure 2007257608
の最大値が、厚さの均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となるように、エレメントが周方向に配列されていることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分のピーク値が、厚さの均一なエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となるように、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。なお、ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、前記所定条件が成立するエレメントの配列は、エレメントの配列個数を偶数であるm、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαiとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つ所定範囲内の値jに対する
Figure 2007257608
の最大値が、厚さの均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となる配列であることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分のピーク値が厚さの均一なエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となるエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。なお、ここでの所定数については、エレメントの配列個数よりも十分少ないことが好ましい。また、ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分の最大値と最小値との差がほぼ最小になるように、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、前記所定条件が成立するエレメントの配列は、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分の最大値と最小値との差がほぼ最小になるエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。なお、ここでの所定数については、エレメントの配列個数よりも十分少ないことが好ましい。
本発明の一態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の最大値と最小値との差は、所定範囲内の振動周期数jに対する
Figure 2007257608
の最大値と最小値との差で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分の所定値に対する最大偏差がほぼ最小になるように、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトは 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、前記所定条件が成立するエレメントの配列は、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを要旨とする。
本発明によれば、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分の所定値に対する最大偏差がほぼ最小になるエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されていることで、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。なお、ここでの所定数については、エレメントの配列個数よりも十分少ないことが好ましい。
本発明の一態様では、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、前記指標の前記所定値に対する最大偏差は、所定範囲内の振動周期数jにおける
Figure 2007257608
の前記所定値に対する最大偏差で表されることが好適である。ここでの所定範囲については、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることや、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることが好適である。
また、本発明に係る無段変速機は、駆動プーリ及び従動プーリへのベルトの掛かり径を変化させることで変速比を変化させることが可能な無段変速機であって、前記ベルトが、本発明に係る無段変速機用ベルトであることを要旨とする。
また、本発明に係る無段変速機用ベルトの設計プログラムは、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトを設計するプログラムであって、エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、コンピュータに、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す入換手順を実行させることを要旨とする。このように、本発明については、無段変速機用ベルトの設計プログラムや、この設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する発明として把握することもできる。さらに、本発明を、無段変速機用ベルトの設計装置に関する発明として把握することもできる。
また、本発明に係る無段変速機用チェーンの設計方法は、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、長さの異なる2種類のリンクが周方向に連結された無段変速機用チェーンを設計する方法であって、リンクの連結個数を偶数であるmとすると、m/2個離れたリンク同士の長さが異なる条件がすべてのリンクに関して成立するm個のリンクの連結に対して、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたリンク同士の入れ換えを繰り返す入換手順をコンピュータに実行させて、長さの異なる2種類のリンクの連結を決定することを要旨とする。このように、本発明については、無段変速機用チェーンの設計方法に関する発明として把握することもできる。さらに、本発明を、無段変速機用チェーンに関する発明や、無段変速機用チェーンの設計プログラムに関する発明や、この設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する発明や、無段変速機用チェーンの設計装置に関する発明として把握することもできる。
本発明によれば、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分のピーク値を十分に低減するチェーンの連結を少ない計算量(少ないリンク入れ換え回数)で得ることができるので、無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減するためのチェーンの設計を容易に行うことができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無段変速機用ベルトを備える無段変速機の概略構成を示す図であり、図2は、本発明の実施形態に係る無段変速機用ベルトの概略構成を示す図である。ベルト式無段変速機(CVT)14は、入力軸26に連結されたプライマリプーリ(駆動プーリ)30、出力軸36に連結されたセカンダリプーリ(従動プーリ)32、及びプライマリプーリ30とセカンダリプーリ32とに巻き掛けられるよう周回された無端ベルト(無段変速機用ベルト)34を備えている。入力軸26(プライマリプーリ30)はエンジン等の動力発生源(図示せず)に連結されており、入力軸26には動力発生源の発生する動力が伝達される。ベルト式無段変速機14は、入力軸26に伝達された動力を変速して出力軸36(セカンダリプーリ32)へ伝達する。出力軸36に伝達された動力は、出力軸36に連結された負荷(図示せず)へ出力されることで、例えば車両の駆動等の負荷の駆動に用いられる。
プライマリプーリ30は、入力軸26方向に移動可能なプライマリ可動シーブとプライマリ固定シーブとを含んで構成されており、セカンダリプーリ32は、出力軸36方向に移動可能なセカンダリ可動シーブとセカンダリ固定シーブとを含んで構成されている。無端ベルト34は、プライマリ可動シーブとプライマリ固定シーブとの間、及びセカンダリ可動シーブとセカンダリ固定シーブとの間に挟持されている。プライマリ可動シーブ及びセカンダリ可動シーブが軸方向に移動することにより、無端ベルト34がプライマリプーリ30及びセカンダリプーリ32に巻き掛かる部分の回転半径(掛かり径)が連続的に変化する。これによって、ベルト式無段変速機14の変速比γ(=プライマリプーリ30の回転速度Nin/セカンダリプーリ32の回転速度Nout)が連続的に変化する。
図1,2に示すように、無端ベルト34は、複数の板状のエレメント18と、一対のフープ20とを含んで構成されている。複数のエレメント18は、フープ20の延長方向(無端ベルト34の周方向)に配列され且つ一対のフープ20に挟まれた状態で、フープ20に係止されている。
ベルト式無段変速機14においては、無端ベルト34の各エレメント18がプーリ30,32に進入する(噛み込む)際やプーリ30,32から離脱する際に、無端ベルト34(エレメント18)に加振力が作用して振動・騒音が発生する。ここで発生する振動・騒音の周波数特性は、複数のエレメント18がプーリ30,32に噛み込む(あるいはプーリ30,32から離脱する)周期に依存する。図3(A)に示すようにベルト周方向に配列されたm個のエレメント18の板厚(ベルト周方向の厚さ)tが均一に設定されている場合は、無端ベルト34(各エレメント18)に入力される加振力(起振力)は、図3(B)及び図3(C)に示すようにエレメント18の板厚tに依存した規則的な波形になる。そのため、この加振力によって無端ベルト34に生じる振動の周波数特性は、図3(D)に示すように、ベルト1周あたりの振動周期数(ベルト周回次数)がmである周波数(ベルト周回m次に相当する周波数)及びその近傍で振幅のピーク値が大幅に増大する。その結果、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値が増大することになる。
本実施形態では、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を低減するために、板厚の異なる2種類のエレメントをベルト周方向に配列する。例えば図4(A)に示すように板厚t0のエレメント18−1及び板厚t1(t1>t0)のエレメント18−2がベルト周方向に不規則にm個配列されている場合は、無端ベルト34に入力される加振力は、図4(B)及び図4(C)に示すようにエレメント18−1,18−2の不規則配列によって不規則な波形になる。そのため、この加振力によって無端ベルト34に生じる振動の周波数特性は、図4(D)に示すように、ベルト周回m次に相当する周波数及びその近傍で振幅のピーク値が大幅に低減する。その結果、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値の低減を図ることができる。なお、図3(B)、図3(C)、図4(B)、及び図4(C)におけるα1、α2、α3は、エレメント18(18−1,18−2)のベルト周方向に関する位置(位相)を表す。
「実施形態1」
次に、本発明の実施形態1に係る無段変速機用ベルトの設計方法、特に、板厚の異なる2種類のエレメント18−1,18−2の配列(並び方)を決定する方法について説明する。本実施形態では、エレメント18−1,18−2の並び方を決定する手順をコンピュータに実行させる。
まず板厚の異なる2種類のエレメント18−1,18−2の配列(並び方)をコンピュータで数値化したデータとして表すために、図5に示すように、ベルト周方向に配列されたm個のエレメント18−1,18−2の各々に対応する対応値(番号)をその配列順に1〜m番とする。そして、対応値k(kは1以上且つm以下の自然数)に対応するエレメントの板厚を表すデータとして、エレメントの板厚に応じてその値が変化する関数T(k)を設定する。より具体的には、対応値kに対応するエレメントが板厚の薄い方のエレメント18−1である場合にT(k)=0となり、対応値kに対応するエレメントが板厚の厚い方のエレメント18−2である場合にT(k)=1となる。コンピュータでは、m個のエレメント18−1,18−2の並び方を、1以上且つm以下の自然数kに対する関数T(k)の値(0または1の2値)を配列したデータによって表すことができる。例えば板厚の薄い方のエレメント18−1と板厚の厚い方のエレメント18−2とを交互に並べた場合は、奇数のkに対してT(k)=0、偶数のkに対してT(k)=1と表すことができる。
次に、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を低減するエレメント並びを決定するために、ベルト振動の周波数成分(その周波数における振幅)を表す評価指標を設定する。ここでの評価指標は、m個のエレメント18−1,18−2の各々に加振力(起振力)が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分(ベルト周回次数成分)を表す指標として設定される。以下、この指標の導出方法について説明する。
板厚の薄い方のエレメント18−1の個数をn1、板厚の厚い方のエレメント18−2の個数をn2、エレメント18−1の板厚をt0、エレメント18−2の板厚をt1=t0×(1+Δ)(Δ>0)(エレメント18−2とエレメント18−1との板厚比を1+Δ)とすると、無端ベルト34の1周長さが2×πである場合、対応値i(iは1以上且つm以下の自然数)に対応するエレメントのベルト周方向に関する位置(位相)αi(0≦αi<2×π)は、以下の(1)式で表される。
Figure 2007257608
また、ベルト1周中の位置(位相)をθ(0≦θ<2×π)とすると、図6に示すように、ベルト1周中の位置(位相)αにて単位インパルス入力(エレメント1個のプーリへの噛み込みにより発生する加振力を模擬)が行われた場合のベルト振動波形f(θ,α)は、単位インパルス関数のフーリエ級数展開を用いて以下の(2)式で表される。(2)式において、n(自然数)は、ベルト1周あたりの振動周期数(ベルト周回次数)である。
Figure 2007257608
エレメントの全個数(配列個数)がm個であり、図7に示すように、各エレメントの位相αiにて単位インパルス入力(各エレメントのプーリへの噛み込みにより発生する加振力を模擬)が行われた場合のベルト振動波形F(θ)は、各振動波形f(θ,αi)を重ね合わせたものとなる。
したがって、j(自然数)をベルト1周あたりの振動周期数(ベルト周回次数)とすると、ベルト振動波形F(θ)のベルト周回j次成分(振動周期数jにおける振幅)は、以下の(3)式で表されるAjを用いて、Aj/πとなる。
Figure 2007257608
本実施形態では、(3)式で表されるAjを、各エレメントにより加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分(ベルト周回j次成分)を表す指標として用いる。
次に、エレメント18−1,18−2の並び方を決定する手順の詳細について、図8のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、図8のフローチャートによる手順をコンピュータに実行させる。そして、図8のフローチャートによる手順については、コンピュータで実行されるプログラム(設計プログラム)によってソフトウェア的に実現することができる。
まずステップS101では、m個(mは偶数)のエレメント18−1,18−2の配列の初期状態(初期並び)を設定する手順がコンピュータにより実行される。ここでは、例えば図5に示すように、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の板厚が異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するように、m個のエレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列される。つまり、1≦k≦m/2を満たすすべての自然数kに対してT(k)≠T(k+m/2)が成立するように、関数T(k)の初期値が設定される。ここで設定された関数T(k)(配列データ)の初期値は、コンピュータの記憶装置(RAM)に記憶される。図5は、初期並びの一例として、対応値1〜m/2に対応するエレメントがすべて板厚の薄い方のエレメント18−1であり、対応値m/2+1〜mに対応するエレメントがすべて板厚の厚い方のエレメント18−2である場合を示している。その場合は、1≦k≦m/2に対してT(k)=0となり、m/2+1≦k≦mに対してT(k)=1となる。図5には、エレメント18−1,18−2を表すブロックの中に、板厚に対応するT(k)の値も示されている。ただし、対応値1〜m/2に対応するエレメントの配列(1≦k≦m/2に対するT(k)の値)を乱数を用いてランダムに設定することもできる。その場合は、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の板厚が異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する(m/2+1≦k≦mを満たすすべての自然数kに対してT(k)≠T(k−m/2)が成立する)ように、対応値m/2+1〜mに対応するエレメントの配列(m/2+1≦k≦mに対するT(k)の値)を設定する。
ステップS102では、ステップS101で設定されたエレメント18−1,18−2の初期並び(関数T(k)の初期値)に対して、振動周期数j(自然数)が所定範囲内にある条件で、前述したベルト振動のベルト周回j次成分を表す指標Ajの最大値を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでは、関数T(k)の値に基づいて(1)式を用いて対応値iに対応する(i番目の)エレメントの位相αiを算出することができ、このエレメントの位相αiと振動周期数jとに基づいて(3)式を用いて指標Ajを算出することができる。ベルト振動は、各エレメントがプーリに噛み込む(あるいはプーリから離脱する)ことで発生するため、エレメントの全個数がm個である場合は、ベルト振動の周波数特性は、例えばベルト周回m次(あるいはその近傍)に相当する周波数や、ベルト周回2×m次(あるいはその近傍)に相当する周波数等で振幅がピーク(最大)となる。そのため、ここでの所定範囲は、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることが好ましい。例えばm/2≦j≦3×m/2に設定することができる。また、ここでの所定範囲を、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲に設定することも好ましく、例えば3×m/2≦j≦5×m/2に設定することもできる。さらに、ここでの所定範囲を、m及びその近傍と、2×m及びその近傍とを含む範囲に設定することも好ましく、例えばm/2≦j≦5×m/2に設定することもできる。
ステップS103では、変数i(自然数),n(0以上の整数)の初期値を設定する手順がコンピュータにより実行される。ここでは、変数i,nの初期値として、i=1,n=0が設定される。
ステップS104では、対応値i〜i+nに対応する(i〜i+n番目の)エレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとの配置をそれぞれ入れ換える手順がコンピュータにより実行される。つまり、T(i)〜T(i+n)の値とT(i+m/2)〜T(i+n+m/2)の値とをそれぞれ入れ換える(ただし、k≧m/2+1の場合のT(k)についてはT(k−m/2)と値を入れ換える)ことで、記憶装置(RAM)に記憶される関数T(k)の値(配列データ)を書き換える手順がコンピュータにより実行される。
ステップS105では、ステップS104によるエレメントの入れ換えが行われた後のエレメント並び(関数T(k))に対して、振動周期数j(自然数)が所定範囲内にある条件で、ベルト周回j次成分を表す指標Ajの最大値を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでの所定範囲については、ステップS102と同様に設定することができる。
ステップS106では、ステップS104によるエレメントの入れ換え前後において、指標Ajの最大値が減少したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの最大値が減少しない場合(ステップS106の判定結果がNOの場合)は、ステップS107に進む。ステップS107では、ステップS104で行われたエレメントの入れ換えを元に戻す、つまり関数T(k)の値の書き換えを元に戻す手順がコンピュータにより実行される。そして、ステップS108に進む。一方、ステップS106で指標Ajの最大値が減少した場合(ステップS106の判定結果がYESの場合)は、ステップS104で行われたエレメントの入れ換え(関数T(k)の値の書き換え)を維持してステップS108に進む。つまり、エレメントの入れ換え前における指標Aj(の最大値)とエレメントの入れ換え後における指標Aj(の最大値)との比較結果に基づいて、エレメントの入れ換えを元に戻すか否かを決定する手順が実行される。なお、本実施形態では、エレメントを入れ換えた場合に指標Ajの値を変化させるために、エレメントの配列全個数m(偶数)を6以上に設定する。
ステップS108では、変数iの値がm/2であるか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。変数iの値がm/2でない(m/2より小さい)場合(ステップS108の判定結果がNOの場合)は、ステップS109に進む。ステップS109では、変数iの値を1増大させる手順がコンピュータにより実行される。そして、ステップS104に戻る。一方、ステップS108で変数iの値がm/2である場合(ステップS108の判定結果がYESの場合)は、ステップS110に進む。
ステップS110では、変数nの値がm/2−2であるか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。変数nの値がm/2−2でない(m/2−2より小さい)場合(ステップS110の判定結果がNOの場合)は、ステップS111に進む。ステップS111では、変数nの値を1増大させるとともに変数iの値を1に設定する手順がコンピュータにより実行される。そして、ステップS104に戻る。一方、ステップS110で変数nの値がm/2−2である場合(ステップS110の判定結果がYESの場合)は、ステップS112に進む。
以上のステップS103〜S111の手順によれば、まず例えば図9に示すようにi番目のエレメント(1個)とi+m/2番目のエレメント(1個)とを入れ換える(T(i)の値とT(i+m/2)の値とを入れ換える)手順と、この入れ換え前後で指標Ajの最大値が減少しない場合にこの入れ換えを元に戻す手順とが、i=1〜m/2の順に実行される。ここで、図9は、i=1の場合におけるエレメントの入れ換えを示している。次に、例えば図10に示すようにi〜i+1番目のエレメント(2個)とi+m/2〜i+1+m/2番目のエレメント(2個)とをそれぞれ入れ換える(T(i)〜T(i+1)の値とT(i+m/2)〜T(i+1+m/2)の値とをそれぞれ入れ換える)手順と、この入れ換え前後で指標Ajの最大値が減少しない場合にこの入れ換えを元に戻す手順とが、i=1〜m/2の順に実行される。ここで、図10も、i=1の場合におけるエレメントの入れ換えを示している。同様にして、m/2個離れたエレメント同士(連続するn+1個のエレメント同士)の入れ換えが、n=m/2−2に増大するまで繰り返して実行される。つまり、ステップS103〜S111の手順によれば、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとの配置をそれぞれ入れ換える手順と、このエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値が減少しない場合にこのエレメントの入れ換えを元に戻す手順とが、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して実行される。つまり、指標Ajの最大値が減少するように、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。ただし、m/2個離れたエレメント同士を入れ換える際の順序については、上記に説明した順序に限られるものではなく、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすi及びnの組み合わせの中で様々な順序を採り得ることができる。
ステップS112では、ステップS104によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値が減少する変数i及びnの組み合わせが存在したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの最大値が減少する変数i及びnの組み合わせが存在した場合(ステップS112の判定結果がYESの場合)は、ステップS103に戻る。一方、指標Ajの最大値が減少する変数i及びnの組み合わせが存在しない場合(ステップS112の判定結果がNOの場合)は、本手順の実行を終了する。このステップS112の手順によれば、ステップS104によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、ステップS103に戻る(ステップS103〜S111の手順が複数回繰り返して実行される)。つまり、指標Ajの最大値が最小(あるいはほぼ最小)に収束するまで、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。ただし、ステップS112を省略して、ステップS110の判定結果がYESの場合に本手順の実行を終了することも可能である。
以上の図8のフローチャートによる手順(エレメント入換手順)に従って設計された(エレメント18−1,18−2の配列が決定された)無端ベルト34においては、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するように、m個のエレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。そして、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、指標Ajの最大値が減少しない条件が、任意の(エレメント同士の)入れ換えに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。より具体的には、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとそれぞれ入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。なお、ここでの所定範囲についても、ステップS102の手順において説明した範囲と同様である。
ここで、一例として、板厚の薄い方のエレメント18−1の個数n1=223、板厚の厚い方のエレメント18−2の個数n2=223(エレメント18−1,18−2の配列全個数m=446)、Δ=0.071428571、関数T(k)の初期値が1≦k≦m/2に対してT(k)=0でm/2+1≦k≦mに対してT(k)=1である場合について、図8のフローチャートによる手順に従って関数T(k)の値(エレメント18−1,18−2の配列)を最終決定した。この最終決定されたエレメント配列におけるベルト振動の周波数特性を、板厚の異なる2種類のエレメントをランダム配列した場合と比較して図11,12に示す。図11は、本実施形態におけるベルト周回次数jに対するベルト振動の周波数成分(指標Aj)の特性を示し、図12は、乱数を用いた1000通りのランダム配列の中でベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)が最小となる場合の特性を示す。なお、図11,12は、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を1として示している。
また、ステップS101で1〜m/2番目のエレメント並びをランダムに設定した1000通りの初期並びに対して、図8のフローチャートによるエレメント入換手順を実行して得られた最終並びにおける周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を、ランダム配列(1000通り)における指標Ajの最大値と比較して図13,14に示す。図13は、1000通りのエレメント並びに対する周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を示し、図14は、周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)の頻度分布を示す。なお、図13,14も、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を1として示している。図13,14に示すように、エレメント並びをランダムに設定した場合は、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.346倍以上且つ0.862倍以下となる。これに対して、図8のフローチャートによるエレメント入換手順に従ってエレメント配列が決定された無端ベルト34においては、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.18倍以上且つ0.31倍(より正確には0.309倍)以下になるように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されていることがわかる。
板厚の異なる2種類のエレメント18−1,18−2をランダムに配列する場合は、ベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)がエレメント18−1,18−2の配列の仕方(並び方)に応じて変化する。しかし、ベルト式無段変速機14においては、例えば400個程度の多数のエレメント18−1,18−2が配列されるため、エレメント18−1,18−2の並び方の組み合わせも無数に存在する。そのため、単に2種類のエレメント18−1,18−2を不規則(ランダム)に配列するだけでは、ベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)が十分に低くなるエレメント並びが得られるとは限らない。例えば乱数を利用してエレメント18−1,18−2の並び方を決定する場合は、無数に存在するエレメント18−1,18−2の並び方の組み合わせの中から、指標Ajの最大値が十分に低くなるエレメント並びを探し出すことは困難である。
これに対して本実施形態では、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメント18−1,18−2の配列に対して、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが繰り返されることで、板厚の異なるエレメント同士の入れ換えが繰り返される。板厚の異なるエレメント同士の入れ換え前後において指標Ajの最大値を演算することで、エレメント並び変更によるベルト振動の周波数成分のピーク値への影響を評価することができる。そのため、指標Ajの最大値が減少するよう板厚の異なるエレメント同士の入れ換えを行うことで、ベルト振動の周波数成分のピーク値が減少するエレメント並びを得ることができる。
ただし、ベルト周方向距離の短いエレメント同士を入れ換えると、入れ換えによるベルト振動への影響が局所的となり、全体として指標Ajの最大値がほとんど変化しない場合も発生する。その場合は、指標Ajの最大値が十分に減少するエレメント並びを得るために必要な計算量(エレメント入れ換え回数)が増大することになる。
これに対して本実施形態では、ベルト周方向にm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士を入れ換えることで、各入れ換え箇所でのエレメント板厚変更によるベルト振動への影響が互いに相殺し合うのを抑止することができ、エレメント並び変更による指標Ajの最大値への影響を効率よく評価することができる。そして、指標Ajの最大値が減少するようm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返すことで、ベルト振動の周波数成分のピーク値を十分に低減するエレメント並びを少ない計算回数(少ないエレメント入れ換え回数)で見つけることができる。したがって、本実施形態によれば、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができるとともに、振動・騒音のピーク値を十分に低減するための無端ベルト34(エレメント配列)の設計を容易に行うことができる。そして、指標Ajの最大値が減少しなくなるまでm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士の入れ換えを複数回繰り返して実行することで、指標Ajの最大値を最小に収束させるエレメント並びを得ることができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値をさらに低減することができる。
図11〜14に示すように、本実施形態の無端ベルト34によれば、ランダム配列と比較して、ベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を大幅に低減できていることがわかる。より具体的には、1000通りのランダム配列の中で指標Ajの最大値が最小となる場合の値が0.346、指標Ajの最大値の平均値が0.568であるのに対して、図8のフローチャートによる手順で得られた1000通りのエレメント配列においては、指標Ajの最大値の平均値M1=0.218(1.59×M1=0.346)となる。
なお、本実施形態では、図8のフローチャートによるエレメント入換手順を実行した後のエレメント18−1,18−2の配列(関数T(k)の配列データ)に対して、所定数のエレメント(データ)を挿入する手順をコンピュータにさらに実行させることもできる。ここでの所定数は、エレメント18−1,18−2の配列全個数mよりも十分少ないことが好ましく、例えばエレメント全個数mの5%に最も近い自然数とすることもできるし、あるいは最少の1個とすることもできる。そして、エレメント(データ)を挿入する箇所や、挿入するエレメントの板厚(データの値)については、任意に設定することができる。
また、本実施形態では、図8のフローチャートによるエレメント入換手順を実行した後のエレメント18−1,18−2の配列(関数T(k)の配列データ)に対して、所定数のエレメント(データ)を除去する手順をコンピュータに実行させることもできる。ここでの所定数についても、エレメント18−1,18−2の配列全個数mよりも十分少ないことが好ましく、例えばエレメント全個数mの5%に最も近い自然数とすることもできるし、あるいは最少の1個とすることもできる。そして、エレメント(データ)を除去する箇所や、除去するエレメントの板厚(データの値)については、任意に設定することができる。
前述したように、図8のフローチャートによるエレメント入換手順の実行後のエレメント配列は、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列である。また、図13,14に示すように、図8のフローチャートによるエレメント入換手順の実行後のエレメント配列は、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.31倍(より正確には0.309倍)以下になる配列である。上記のように所定数のエレメントを挿入または除去する場合は、このような条件が成立するエレメント配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されることになる。したがって、この場合においても、指標Ajの最大値を十分に減少させるエレメント配列を得ることができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
「実施形態2」
図15は、本発明の実施形態2に係る無段変速機用ベルトの設計方法において、エレメント18−1,18−2の並び方を決定する手順の詳細を説明するフローチャートである。本実施形態でも、図15のフローチャートによる手順については、コンピュータに実行させるためのプログラムによってソフトウェア的に実現することができる。
ステップS201は、図8のフローチャートのステップS101と同様である。ステップS202では、ステップS201で設定されたエレメント18−1,18−2の初期並びに対して、振動周期数j(自然数)が所定範囲内にある条件で、ベルト振動のベルト周回j次成分を表す指標Ajの最大値と最小値との差を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでの所定範囲については、ステップS102と同様に設定することができる。例えば、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの特性が図16に示す特性で表される場合は、指標Ajの最大値と最小値との差は、図16のδA1で表される。
ステップS203,S204は、図8のフローチャートのステップS103,S104とそれぞれ同様である。ステップS205では、ステップS204によるエレメントの入れ換えが行われた後のエレメント並びに対して、振動周期数jが所定範囲内にある条件で、ベルト周回j次成分を表す指標Ajの最大値と最小値との差を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでの所定範囲については、ステップS202と同様に設定することができる。
ステップS206では、ステップS204によるエレメントの入れ換え前後において、指標Ajの最大値と最小値との差が減少したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない場合は、ステップS207に進み、ステップS204で行われたエレメントの入れ換えを元に戻す手順がコンピュータにより実行される。一方、ステップS206で指標Ajの最大値と最小値との差が減少した場合は、ステップS204で行われたエレメントの入れ換えを維持してステップS208に進む。
ステップS208〜S211は、図8のフローチャートのステップS108〜S111とそれぞれ同様である。ステップS203〜S211の手順によれば、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとの配置をそれぞれ入れ換える手順と、このエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない場合にこのエレメントの入れ換えを元に戻す手順とが、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して実行される。つまり、指標Ajの最大値と最小値との差が減少するように、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。
ステップS212では、ステップS204によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値と最小値との差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの最大値と最小値との差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在した場合は、ステップS203に戻る。一方、指標Ajの最大値と最小値との差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在しない場合は、本手順の実行を終了する。このステップS212の手順によれば、ステップS204によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、ステップS203〜S211の手順が複数回繰り返して実行される。つまり、指標Ajの最大値と最小値との差が最小(あるいはほぼ最小)に収束するまで、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。ただし、ステップS212を省略して、ステップS210の判定結果がYESの場合に本手順の実行を終了することも可能である。
以上の図15のフローチャートによる手順に従ってエレメント18−1,18−2の配列が決定された無端ベルト34においても、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するように、m個のエレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。そして、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の(エレメント同士の)入れ換えに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。より具体的には、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとそれぞれ入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。ここでの所定範囲についても、ステップS202,S205での所定範囲と同様である。
ここで、一例として、板厚の薄い方のエレメント18−1の個数n1=223、板厚の厚い方のエレメント18−2の個数n2=223(エレメント18−1,18−2の配列全個数m=446)、Δ=0.071428571、関数T(k)の初期値が1≦k≦m/2に対してT(k)=0でm/2+1≦k≦mに対してT(k)=1である場合について、図15のフローチャートによる手順に従って関数T(k)の値(エレメント18−1,18−2の配列)を最終決定した。この最終決定されたエレメント配列におけるベルト振動の周波数特性を図17に示す。なお、図17も、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を1として示している。
また、ステップS201で1〜m/2番目のエレメント並びをランダムに設定した1000通りの初期並びに対して、図15のフローチャートによるエレメント入換手順を実行して得られた最終並びにおける周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を、ランダム配列(1000通り)における指標Ajの最大値と比較して図18,19に示す。図18は、1000通りのエレメント並びに対する指標Ajの最大値を示し、図19は、指標Ajの最大値の頻度分布を示す。なお、図18,19も、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を1として示している。図18,19に示すように、エレメント並びをランダムに設定した場合は、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.339倍以上且つ0.843倍以下となる。これに対して、図15のフローチャートによるエレメント入換手順に従ってエレメント配列が決定された無端ベルト34においては、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.178倍以上且つ0.285倍以下になるように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されていることがわかる。
以上説明した本実施形態でも、ベルト周方向にm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士を入れ換えることで、各入れ換え箇所でのエレメント板厚変更によるベルト振動への影響が互いに相殺し合うのを抑止することができ、エレメント並び変更による指標Ajの最大値と最小値との差への影響を効率よく評価することができる。そして、指標Ajの最大値と最小値との差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返すことで、ベルト振動の周波数成分を均一化するためのエレメント並びを少ない計算回数(少ないエレメント入れ換え回数)で見つけることができる。したがって、本実施形態でも、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができるとともに、振動・騒音のピーク値を十分に低減するための無端ベルト34(エレメント配列)の設計を容易に行うことができる。そして、指標Ajの最大値と最小値との差が減少しなくなるまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを複数回繰り返して実行することで、ベルト振動の周波数成分をさらに均一化することができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値をさらに低減することができる。
図18,19に示すように、本実施形態の無端ベルト34においても、ランダム配列と比較して、ベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を大幅に低減できていることがわかる。より具体的には、1000通りのランダム配列では指標Ajの最大値の平均値が0.548であるのに対して、図15のフローチャートによる手順で得られた1000通りのエレメント配列では指標Ajの最大値の平均値が0.216となる。
なお、本実施形態でも、図15のフローチャートによるエレメント入換手順を実行した後のエレメント18−1,18−2の配列に対して、所定数のエレメントを挿入または除去する手順をコンピュータにさらに実行させることもできる。ここでの所定数も、エレメント18−1,18−2の配列全個数mよりも十分少ないことが好ましく、例えばエレメント全個数mの5%に最も近い自然数とすることもできるし、あるいは最少の1個とすることもできる。そして、エレメントを挿入または除去する箇所や、挿入または除去するエレメントの板厚についても、任意に設定することができる。
前述したように、図15のフローチャートによるエレメント入換手順の実行後のエレメント配列は、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列である。また、図18,19に示すように、図15のフローチャートによるエレメント入換手順の実行後のエレメント配列は、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.285倍以下になる配列である。上記のように所定数のエレメントを挿入または除去する場合は、このような条件が成立するエレメント配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されることになる。したがって、この場合においても、ベルト振動の周波数成分を均一化するためのエレメント配列を得ることができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
「実施形態3」
図20は、本発明の実施形態3に係る無段変速機用ベルトの設計方法において、エレメント18−1,18−2の並び方を決定する手順の詳細を説明するフローチャートである。本実施形態でも、図20のフローチャートによる手順については、コンピュータに実行させるためのプログラムによってソフトウェア的に実現することができる。
ステップS301は、図8のフローチャートのステップS101と同様である。ステップS302では、ステップS301で設定されたエレメント18−1,18−2の初期並びに対して、振動周期数j(自然数)が所定範囲内にある条件で、ベルト振動のベルト周回j次成分を表す指標Ajの目標値に対する最大偏差(指標Ajと目標値との偏差(絶対値)の最大値)を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでの所定範囲については、ステップS102と同様に設定することができる。例えば、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの特性が図21に示す特性で表される場合は、指標Ajの目標値に対する最大偏差は、図21のδA2で表される。また、ここでの目標値としては、指標Ajの最大値を十分に低減するための値(定数)が予め設定される。
ステップS303,S304は、図8のフローチャートのステップS103,S104とそれぞれ同様である。ステップS305では、ステップS304によるエレメントの入れ換えが行われた後のエレメント並びに対して、振動周期数jが所定範囲内にある条件で、ベルト周回j次成分を表す指標Ajの目標値に対する最大偏差を演算する手順がコンピュータにより実行される。ここでの所定範囲については、ステップS302と同様に設定することができる。
ステップS306では、ステップS304によるエレメントの入れ換え前後において、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない場合は、ステップS307に進み、ステップS304で行われたエレメントの入れ換えを元に戻す手順がコンピュータにより実行される。一方、ステップS306で指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少した場合は、ステップS304で行われたエレメントの入れ換えを維持してステップS308に進む。
ステップS308〜S311は、図8のフローチャートのステップS108〜S111とそれぞれ同様である。ステップS303〜S311の手順によれば、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとの配置をそれぞれ入れ換える手順と、このエレメントの入れ換え前後において指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない場合にこのエレメントの入れ換えを元に戻す手順とが、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して実行される。つまり、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少するように、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。
ステップS312では、ステップS304によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在したか否かを判定する手順がコンピュータにより実行される。指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在した場合は、ステップS303に戻る。一方、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少する変数i及びnの組み合わせが存在しない場合は、本手順の実行を終了する。このステップS312の手順によれば、ステップS304によるエレメントの入れ換え前後において指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、ステップS303〜S311の手順が複数回繰り返して実行される。つまり、指標Ajの目標値に対する最大偏差が最小(あるいはほぼ最小)に収束するまで、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の入れ換えが複数回繰り返して実行される。ただし、ステップS312を省略して、ステップS310の判定結果がYESの場合に本手順の実行を終了することも可能である。
以上の図20のフローチャートによる手順に従ってエレメント18−1,18−2の配列が決定された無端ベルト34においても、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するように、m個のエレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。そして、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の(エレメント同士の)入れ換えに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。より具体的には、i〜i+n番目のエレメントとこのエレメントよりもベルト周方向にm/2個離れたエレメントとそれぞれ入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajと目標値との偏差の最大値が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されている。ここでの所定範囲についても、ステップS302,S305での所定範囲と同様である。
ここで、一例として、板厚の薄い方のエレメント18−1の個数n1=223、板厚の厚い方のエレメント18−2の個数n2=223(エレメント18−1,18−2の配列全個数m=446)、Δ=0.071428571、関数T(k)の初期値が1≦k≦m/2に対してT(k)=0でm/2+1≦k≦mに対してT(k)=1である場合について、図20のフローチャートによる手順に従って関数T(k)の値(エレメント18−1,18−2の配列)を最終決定した。この最終決定されたエレメント配列におけるベルト振動の周波数特性を図22に示す。なお、図22も、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を1として示している。そして、図22は、目標値を0.23に設定した場合の周波数特性を示している。
また、ステップS201で1〜m/2番目のエレメント並びをランダムに設定した1000通りの初期並びに対して、図20のフローチャートによるエレメント入換手順を実行して得られた最終並びにおける周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を、ランダム配列(1000通り)における指標Ajの最大値と比較して図23,24に示す。図23は、1000通りのエレメント並びに対する指標Ajの最大値を示し、図24は、指標Ajの最大値の頻度分布を示す。なお、図23,24も、板厚の均一なm個のエレメントがベルト周方向に配列された場合におけるベルト振動の周波数成分のピーク値(ベルト周回m次近傍での指標Ajの最大値)を1として示している。そして、図23,24でも、目標値を0.23に設定している。図23,24に示すように、エレメント並びをランダムに設定した場合は、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.359倍以上且つ0.867倍以下となる。これに対して、図20のフローチャートによるエレメント入換手順に従ってエレメント配列が決定された無端ベルト34においては、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が、板厚の均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合における指標Ajの最大値の0.210倍以上且つ0.328倍以下になるように、エレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列されていることがわかる。
以上説明した本実施形態でも、ベルト周方向にm/2個(ほぼベルト半周)離れたエレメント同士を入れ換えることで、各入れ換え箇所でのエレメント板厚変更によるベルト振動への影響が互いに相殺し合うのを抑止することができ、エレメント並び変更による指標Ajの目標値に対する最大偏差への影響を効率よく評価することができる。そして、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返すことで、ベルト振動の周波数成分を目標値に近づけるためのエレメント並びを少ない計算回数(少ないエレメント入れ換え回数)で見つけることができ、ベルト振動の周波数成分を目標値へ向けて均一化することができる。したがって、本実施形態でも、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができるとともに、振動・騒音のピーク値を十分に低減するための無端ベルト34(エレメント配列)の設計を容易に行うことができる。そして、指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しなくなるまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを複数回繰り返して実行することで、ベルト振動の周波数成分を目標値へ向けてさらに均一化することができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値をさらに低減することができる。
図23,24に示すように、本実施形態の無端ベルト34においても、ランダム配列と比較して、ベルト振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を大幅に低減できていることがわかる。より具体的には、1000通りのランダム配列では指標Ajの最大値の平均値が0.546であるのに対して、図20のフローチャートによる手順で得られた1000通りのエレメント配列では指標Ajの最大値の平均値が0.262となる。
なお、本実施形態でも、図20のフローチャートによるエレメント入換手順を実行した後のエレメント18−1,18−2の配列に対して、所定数のエレメントを挿入または除去する手順をコンピュータにさらに実行させることもできる。ここでの所定数も、エレメント18−1,18−2の配列全個数mよりも十分少ないことが好ましく、例えばエレメント全個数mの5%に最も近い自然数とすることもできるし、あるいは最少の1個とすることもできる。そして、エレメントを挿入または除去する箇所や、挿入または除去するエレメントの板厚についても、任意に設定することができる。
前述したように、図20のフローチャートによるエレメント入換手順の実行後のエレメント配列は、ベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、且つベルト周方向にm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、所定範囲内(例えばm及びその近傍を含む範囲)の振動周期数jに対する指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列である。上記のように所定数のエレメントを挿入または除去する場合は、このような条件が成立するエレメント配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されることになる。したがって、この場合においても、ベルト振動の周波数成分を目標値へ向けて均一化するためのエレメント配列を得ることができ、ベルト式無段変速機14に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができる。
以上説明した実施形態1〜3では、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動のベルト周回j次成分を表す指標として、Ajの他に、例えばAj 2等のAjの累乗Aj p(p>0)を用いることもできる。
以上の説明では、本発明を、板厚の異なる2種類のエレメント18−1,18−2がベルト周方向に配列された無段変速機用ベルトに適用した場合について説明した。ただし、駆動プーリ及び従動プーリにチェーンが巻き掛けられたチェーン式無段変速機においても、チェーンの各リンクがプーリに進入する際やプーリから離脱する際に振動・騒音が発生する。そこで、本発明を、リンク長(長さ)の異なる2種類のリンクがピンによりチェーン周方向に連結された無段変速機用チェーンに適用する、つまり本発明を用いてリンク長の異なる2種類のリンクの連結(リンク並び)を決定することもできる。これによって、チェーン式無段変速機に発生する振動・騒音のピーク値を十分に低減することができるとともに、振動・騒音のピーク値を十分に低減するためのチェーンの設計を容易に行うことができる。その場合は、以上の実施形態の説明において、「ベルト」を「チェーン」、「エレメント」を「リンク」、「エレメント板厚」を「リンク長」、「板厚の厚い/薄い」を「リンク長(ピン間距離)の長い/短い」にそれぞれ置き換えたものを考えればよい。
つまり、実施形態1(図8のフローチャートによる手順)では、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するm個のリンクの連結に対して、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分を表す指標Ajの最大値が減少するように、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させて、リンク長の異なる2種類のリンクの連結(リンク並び)を決定する。この手順に従って設計されたチェーンにおいては、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するように、m個のリンクがチェーン周方向に連結されている。そして、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士を入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの最大値が減少しない条件が、任意の(リンク同士の)入れ換えに関して成立するように、リンクがチェーン周方向に連結されている。さらに、この手順を実行した後のリンク並びに対して、所定数のリンクを挿入または除去する手順をコンピュータに実行させることもできる。
また、実施形態2(図15のフローチャートによる手順)では、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するm個のリンクの連結に対して、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分を表す指標Ajの最大値と最小値との差が減少するように、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させて、リンク長の異なる2種類のリンクの連結を決定する。この手順に従って設計されたチェーンにおいても、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するように、m個のリンクがチェーン周方向に連結されている。そして、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士を入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jに対する指標Ajの最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の(リンク同士の)入れ換えに関して成立するように、リンクがチェーン周方向に連結されている。さらに、この手順を実行した後のリンク並びに対して、所定数のリンクを挿入または除去する手順をコンピュータに実行させることもできる。
また、実施形態3(図20のフローチャートによる手順)では、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するm個のリンクの連結に対して、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分を表す指標Ajの目標値(所定値)に対する最大偏差が減少するように、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させて、リンク長の異なる2種類のリンクの連結を決定する。この手順に従って設計されたチェーンにおいても、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士のリンク長が異なる条件がすべてのリンクに関して成立するように、m個のリンクがチェーン周方向に連結されている。そして、チェーン周方向にm/2個離れたリンク同士を入れ換える前後において、所定範囲内の振動周期数jにおける指標Ajの目標値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の(リンク同士の)入れ換えに関して成立するように、リンクがチェーン周方向に連結されている。さらに、この手順を実行した後のリンク並びに対して、所定数のリンクを挿入または除去する手順をコンピュータに実行させることもできる。
例えばリンク長の短い方のリンクの個数n1=50、リンク長の長い方のリンクの個数n2=223(リンクの連結全個数m=100)、Δ=0.071428571である場合に、図8のフローチャートによる手順に従って最終決定されたリンク並びにおけるチェーン振動の周波数特性を、リンク長の異なる2種類のリンクをランダム連結した場合と比較して図25,26に示す。図25は、本実施形態におけるチェーン周回次数jに対するチェーン振動の周波数成分(指標Aj)の特性を示し、図26は、乱数を用いた1000通りのランダム連結の中でチェーン振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)が最小となる場合の特性を示す。なお、図25,26は、リンク長の均一なm個のリンクがチェーン周方向に配列された場合におけるチェーン振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を1として示している。
図25,26に示すように、本実施形態によれば、ランダム連結と比較して、チェーン振動の周波数成分のピーク値(指標Ajの最大値)を大幅に低減できていることがわかる。より具体的には、1000通りのランダム配列の中で指標Ajの最大値が最小となる場合の値が0.527であるのに対して、図8のフローチャートによる手順で得られたリンク並びにおいては、指標Ajの最大値が0.323となる。
また、本発明の態様として、コンピュータに、図8、図15、または図20のフローチャートによる手順を実行させるためのプログラムとする態様や、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスクなどの種々の記録媒体とする態様なども好適である。こうしたプログラムをコンピュータにインストールするとともにこのプログラムを実行することにより、本発明の効果を奏することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態に係る無段変速機用ベルトを備える無段変速機の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る無段変速機用ベルトの概略構成を示す図である。 エレメントの板厚を均一に設定した場合に無端ベルトに生じる振動の周波数特性を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントを不規則に配列した場合に無端ベルトに生じる振動の周波数特性を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントの初期並びの一例を示す図である。 ベルト1周中の位置(位相)αにて単位インパルス入力が行われた場合のベルト振動波形f(θ,α)を示す図である。 各エレメントの位相αiにて単位インパルス入力が行われた場合のベルト振動波形F(θ)を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントの並び方を決定する手順の詳細を説明するフローチャートである。 m/2個離れたエレメント同士を入れ換える手順を説明する図である。 m/2個離れたエレメント同士を入れ換える手順を説明する図である。 本実施形態におけるベルト振動の周波数特性を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントをランダムに配列した場合におけるベルト振動の周波数特性を示す図である。 1000通りのエレメント並びに対するベルト振動の周波数成分のピーク値を示す図である。 ベルト振動の周波数成分のピーク値の頻度分布を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントの並び方を決定する他の手順の詳細を説明するフローチャートである。 指標Ajの最大値と最小値との差の一例を説明する図である。 本実施形態におけるベルト振動の周波数特性を示す図である。 1000通りのエレメント並びに対するベルト振動の周波数成分のピーク値を示す図である。 ベルト振動の周波数成分のピーク値の頻度分布を示す図である。 板厚の異なる2種類のエレメントの並び方を決定する他の手順の詳細を説明するフローチャートである。 指標Ajの目標値に対する最大偏差の一例を説明する図である。 本実施形態におけるベルト振動の周波数特性を示す図である。 1000通りのエレメント並びに対するベルト振動の周波数成分のピーク値を示す図である。 ベルト振動の周波数成分のピーク値の頻度分布を示す図である。 本実施形態におけるチェーン振動の周波数特性を示す図である。 リンク長の異なる2種類のリンクをランダムに連結した場合におけるチェーン振動の周波数特性を示す図である。
符号の説明
14 ベルト式無段変速機、18(18−1,18−2) エレメント、20 フープ、30 プライマリプーリ、32 セカンダリプーリ、34 無端ベルト。

Claims (38)

  1. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトを設計する方法であって、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、各エレメントにより加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す入換手順をコンピュータに実行させて、厚さの異なる2種類のエレメントの配列を決定することを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  2. 請求項1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、
    前記入換手順は、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、
    対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、
    該エレメントの入れ換え前における前記指標と該エレメントの入れ換え後における前記指標との比較結果に基づいて、該エレメントの入れ換えを元に戻すか否かを決定する手順とを、
    1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  3. 請求項2に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順を複数回繰り返してコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標は、
    Figure 2007257608
    で表されることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  5. 請求項1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の最大値が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  6. 請求項5に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、
    前記入換手順は、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、
    対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、
    該エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、
    1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  7. 請求項6に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順は、前記指標の最大値がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  9. 請求項5〜8のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の最大値は、所定範囲内の振動周期数jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値で表されることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  10. 請求項1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の最大値と最小値との差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  11. 請求項10に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、
    前記入換手順は、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、
    対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、
    該エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値と最小値との差が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、
    1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  12. 請求項11に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  13. 請求項10〜12のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順は、前記指標の最大値と最小値との差がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  14. 請求項10〜13のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の最大値と最小値との差は、所定範囲内の振動周期数jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値と最小値との差で表されることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  15. 請求項1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順として、m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、前記指標の所定値に対する最大偏差が減少するようm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順をコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  16. 請求項15に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、iを自然数、nを0以上の整数とすると、
    前記入換手順は、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、
    対応値i〜i+nに対応するエレメントと該エレメントよりm/2個離れたエレメントとをそれぞれ入れ換える手順と、
    該エレメントの入れ換え前後において前記指標の前記所定値に対する最大偏差が減少しない場合に、該エレメントの入れ換えを元に戻す手順とを、
    1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関してコンピュータに実行させる手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  17. 請求項16に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記エレメントの入れ換え前後において前記指標の前記所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、1≦i≦m/2且つ0≦n≦m/2−2を満たすすべてのi及びnの組み合わせに関して成立するまで、前記入換手順を繰り返してコンピュータに実行させることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  18. 請求項15〜17のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順は、前記指標の前記所定値に対する最大偏差がほぼ最小に収束するまでm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す手順であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  19. 請求項15〜18のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の前記所定値に対する最大偏差は、所定範囲内の振動周期数jにおける
    Figure 2007257608
    の前記所定値に対する最大偏差で表されることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  20. 請求項9,14,19のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記所定範囲は、少なくともm及びその近傍を含む範囲であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  21. 請求項9,14,19,20のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記所定範囲は、少なくとも2×m及びその近傍を含む範囲であることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  22. 請求項4,9,14,19,20,21のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    厚さが薄い方のエレメントの個数をn1、厚さが厚い方のエレメントの個数をn2(n2=m−n1)、厚い方のエレメントと薄い方のエレメントとの厚さ比を1+Δ(Δ>0)、対応値kに対応するエレメントが薄い方のエレメントである場合に0となり、対応値kに対応するエレメントが厚い方のエレメントである場合に1となる関数をT(k)とすると、
    対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相αiは、
    Figure 2007257608
    で表されることを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  23. 請求項1〜22のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトの設計方法であって、
    前記入換手順実行後のエレメントの配列に対して所定数のエレメントを挿入または除去する手順をコンピュータにさらに実行させて、厚さの異なる2種類のエレメントの配列を決定することを特徴とする無段変速機用ベルトの設計方法。
  24. 請求項1〜23のいずれか1に記載の設計方法により設計されたことを特徴とする無段変速機用ベルト。
  25. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、
    m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  26. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、
    前記所定条件が成立するエレメントの配列は、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、
    且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  27. 請求項25または26に記載の無段変速機用ベルトであって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の最大値は、所定範囲内の振動周期数jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値で表されることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  28. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    エレメントの配列個数を偶数であるm、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαiとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、
    所定範囲内の値jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値が、厚さの均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となるように、エレメントが周方向に配列されていることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  29. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、
    前記所定条件が成立するエレメントの配列は、
    エレメントの配列個数を偶数であるm、周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαiとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、
    且つ所定範囲内の値jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値が、厚さの均一なm個のエレメントが周方向に配列された場合の0.31倍以下となる配列であることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  30. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、
    m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  31. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、
    前記所定条件が成立するエレメントの配列は、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、
    且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の最大値と最小値との差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  32. 請求項30または31に記載の無段変速機用ベルトであって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の最大値と最小値との差は、所定範囲内の振動周期数jに対する
    Figure 2007257608
    の最大値と最小値との差で表されることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  33. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するようにm個のエレメントが周方向に配列されており、
    m/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立するように、エレメントが周方向に配列されていることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  34. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトであって、
    所定条件が成立するエレメントの配列に対して所定数のエレメントが挿入または除去されており、
    前記所定条件が成立するエレメントの配列は、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立する配列であり、
    且つm/2個離れたエレメント同士を入れ換える前後において、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標の所定値に対する最大偏差が減少しない条件が、任意の入れ換えに関して成立する配列であることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  35. 請求項33または34に記載の無段変速機用ベルトであって、
    周方向に配列されたエレメントの各々に対応する対応値をその配列順に1〜m、対応値iに対応するエレメントの周方向に関する位相をαi、前記ベルト振動のベルト1周あたりの振動周期数をjとすると、
    前記指標の前記所定値に対する最大偏差は、所定範囲内の振動周期数jにおける
    Figure 2007257608
    の前記所定値に対する最大偏差で表されることを特徴とする無段変速機用ベルト。
  36. 駆動プーリ及び従動プーリへのベルトの掛かり径を変化させることで変速比を変化させることが可能な無段変速機であって、
    前記ベルトが、請求項24〜35のいずれか1に記載の無段変速機用ベルトであることを特徴とする無段変速機。
  37. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、厚さの異なる2種類のエレメントが周方向に配列された無段変速機用ベルトを設計するプログラムであって、
    エレメントの配列個数を偶数であるmとすると、
    コンピュータに、
    m/2個離れたエレメント同士の厚さが異なる条件がすべてのエレメントに関して成立するm個のエレメントの配列に対して、各エレメントに加振力が入力されたときに生じるベルト振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたエレメント同士の入れ換えを繰り返す入換手順を実行させるための無段変速機用ベルトの設計プログラム。
  38. 駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられ、長さの異なる2種類のリンクが周方向に連結された無段変速機用チェーンを設計する方法であって、
    リンクの連結個数を偶数であるmとすると、
    m/2個離れたリンク同士の長さが異なる条件がすべてのリンクに関して成立するm個のリンクの連結に対して、各リンクに加振力が入力されたときに生じるチェーン振動の周波数成分を表す指標に基づいてm/2個離れたリンク同士の入れ換えを繰り返す入換手順をコンピュータに実行させて、長さの異なる2種類のリンクの連結を決定することを特徴とする無段変速機用チェーンの設計方法。
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