JP2007255207A - エンジンの吹返ガス量測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】演算負荷の少ない比較的に簡易、かつ実用的な方法により吹返ガス量を測定する。
【解決手段】吸気弁及び排気弁のオーバーラップ期間を前半と後半とに分け、各期間PRDFST,PRDLTRについて吸気弁通過ガス量dMinの近似特性線L1,L2を算出する。好ましい形態において、吹返ガス量Mifbは、算出した近似特性線L1,L2を基礎とする幾何学的な計算により算出する。
【選択図】 図5
【解決手段】吸気弁及び排気弁のオーバーラップ期間を前半と後半とに分け、各期間PRDFST,PRDLTRについて吸気弁通過ガス量dMinの近似特性線L1,L2を算出する。好ましい形態において、吹返ガス量Mifbは、算出した近似特性線L1,L2を基礎とする幾何学的な計算により算出する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、エンジンの吹返ガス量測定装置に関し、詳細には、吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンにおいて、筒内から吸気通路に吹き返す排気の量である吹返ガス量を正確、かつ簡易に測定して、より精度の高いエンジン制御を実現するための技術に関する。
ガソリンエンジンでは、吸気通路の導入部にスロットル弁が設けられ、このスロットル弁を操作して吸入空気量を制御するのが一般的である。
これに対し、加速時等における過渡応答性を向上させるための技術として、スロットル弁の操作による方法に代え、吸気弁の作動特性の変更により吸入空気量を制御するものが知られている。このものでは、吸気弁の作動角を拡大させたり、あるいは作動角の中心位相を進角させることで、吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合うオーバーラップ期間が形成され、このオーバーラップ期間において、吸気弁の開弁に伴い筒内から吸気通路に向けて排気の吹き返しが生じる。この吹き返しの量がオーバーラップ期間の長さに相関することは、既に知られるところであるが、オーバーラップ期間が長い場合に吹き返しにより筒内に還流され、次のサイクルに持ち越される排気の量(以下「吹返ガス量」という。)は、筒内に新たに吸入される空気の量に対して制御上無視することができないほどのものであり、高精度なエンジン制御を実現するうえでは、これを正確に評価することが必要とされる。
これに対し、加速時等における過渡応答性を向上させるための技術として、スロットル弁の操作による方法に代え、吸気弁の作動特性の変更により吸入空気量を制御するものが知られている。このものでは、吸気弁の作動角を拡大させたり、あるいは作動角の中心位相を進角させることで、吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合うオーバーラップ期間が形成され、このオーバーラップ期間において、吸気弁の開弁に伴い筒内から吸気通路に向けて排気の吹き返しが生じる。この吹き返しの量がオーバーラップ期間の長さに相関することは、既に知られるところであるが、オーバーラップ期間が長い場合に吹き返しにより筒内に還流され、次のサイクルに持ち越される排気の量(以下「吹返ガス量」という。)は、筒内に新たに吸入される空気の量に対して制御上無視することができないほどのものであり、高精度なエンジン制御を実現するうえでは、これを正確に評価することが必要とされる。
吹返ガス量をエンジン制御に反映させるためのものとして、新気割合を採用した次のような技術が知られている。すなわち、オーバーラップ期間の長さを算出するとともに、算出した長さに基づいて新気割合を算出し、この新気割合により吸入空気量を補正するものである(特許文献1)。
特開2001−050091号公報(段落番号0029)
しかしながら、新気割合を採用する上記の技術には、次のような問題がある。すなわち、この技術は、オーバーラップ期間の長さと吹返ガス量との関係を新気割合により全体的な傾向として把握し、エンジン制御に反映させるものに過ぎない。このため、より精度の高いエンジン制御を実現するうえで、吹返ガス量が充分な精度で反映されるとは言い難いことである。
これに対し、吸気弁を通過する排気の流量をクランク角毎に算出するとともに、算出した流量をオーバーラップ期間全体に亘り積算する方法も考えられるが、この方法では、吹返ガス量の算出に要する演算負荷が大きく、電子制御ユニットの処理能力等の制約のもとでこれを実現するのは、実用上困難である。
以上の実情に鑑み、本発明は、より精度の高いエンジン制御の実現のため、演算負荷の少ない比較的に簡易、かつ実用的な方法により吹返ガス量を所要の精度で測定することを目的とする。
以上の実情に鑑み、本発明は、より精度の高いエンジン制御の実現のため、演算負荷の少ない比較的に簡易、かつ実用的な方法により吹返ガス量を所要の精度で測定することを目的とする。
本発明は、エンジンの吹返ガス量測定装置を提供するものである。
本発明に係る装置は、吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンに適用されるものであり、吸気弁通過ガス量の特性を近似的に表す複数の特性線(すなわち、近似特性線)を算出し、算出した近似特性線を基礎とした計算により吹返ガス量を測定する。
本発明に係る装置は、吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンに適用されるものであり、吸気弁通過ガス量の特性を近似的に表す複数の特性線(すなわち、近似特性線)を算出し、算出した近似特性線を基礎とした計算により吹返ガス量を測定する。
本発明に係る装置は、好ましい形態において、各弁の弁開期間が重なり合う期間(すなわち、オーバーラップ期間)の前半における複数の時期、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量に基づいて、この前半の期間に吸気弁を通過するガスの流量に関する第1の近似特性線を算出するとともに、オーバーラップ期間の後半における複数の時期、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量に基づいて、この後半の期間に吸気弁を通過するガスの流量に関する第2の近似特性線を算出し、算出した第1の近似特性線及び第2の近似特性線に基づいて、オーバーラップ期間中に筒内から吸気通路に吹き返す排気の量である吹返ガス量を算出する。
本発明によれば、オーバーラップ期間を前半及び後半の期間に分け、吸気弁を通過するガスの流量を、前半の期間については第1の近似特性線により、後半の期間については第2の近似特性線により夫々近似したことで、これらの近似特性線に基づいて吹返ガス量を幾何学的に算出することが可能となる。このため、本発明によれば、近似特性線の算出及び算出した近似特性線を基礎とする幾何学的な計算により吹返ガス量を測定することができ、吹返ガス量の算出手順を簡易なものとして、少ない演算負荷で高精度なエンジン制御を実現することが可能となる。
本発明がオーバーラップ期間を前半及び後半に分け、それぞれの期間について吸気弁通過ガス量を近似するのは、次のような理由による。すなわち、前半の期間では、吸気弁の開弁に伴い筒内から吸気通路に向けて排気の吹き返しが生じる。前半における吹き返しの流量は、ピストンの上昇による筒内容積縮小の影響も相俟って増加する傾向にある。他方、排気弁閉時期に近い後半の期間では、排気弁の閉動作により排気ポートの開口面積が小さくなり、排気通路から筒内への排気の流入が収束に向かうことから、筒内圧力が急速に低下し、吹き返しの流量が減少する傾向に転じると考えられるからである。算出した吹返ガス量は、吸入空気量の検出又は点火時期の設定等、エンジン制御の基礎情報として広く適用することが可能であり、高精度なエンジン制御の実現に貢献する。
なお、本発明において、前半及び後半の期間は、オーバーラップ中の時期を区別するための概念的なものであり、オーバーラップ期間を必ずしも等分するものではない。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る火花点火エンジン(以下、単に「エンジン」という。)1の構成を示している。
エンジン1の吸気通路101には、スロットル弁102が設置されている。このスロットル弁102により吸気通路101に導入される空気の量を制御し、吸入空気量を制御することも可能であるが、本実施形態では、吸入空気量の制御を主に、後述する吸気弁104の作動特性の変更によることとし、スロットル弁102は、この作動特性の変更による制御の前提となる吸気圧力の制御に採用する。また、吸気通路101には、燃料供給用のインジェクタ103が設置されており、このインジェクタ103により、制御された吸入空気量のもとで所定の目標当量比を達成するのに必要な量の燃料が噴射される。吸気通路101のポート部101aには、ポペット型の吸気弁104が設置されている。この吸気弁104は、その上方に配設された動弁装置(以下「吸気動弁装置」という。)105により駆動され、この吸気弁104の弁開期間に吸入空気及び燃料の混合気が筒内に導入される。本実施形態では、吸気動弁装置105により、吸気弁104の作動角(以下「吸気作動角」という。)及びリフト量、ならびに吸気作動角の中心位相(以下「作動中心角」という。)を連続的に変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る火花点火エンジン(以下、単に「エンジン」という。)1の構成を示している。
エンジン1の吸気通路101には、スロットル弁102が設置されている。このスロットル弁102により吸気通路101に導入される空気の量を制御し、吸入空気量を制御することも可能であるが、本実施形態では、吸入空気量の制御を主に、後述する吸気弁104の作動特性の変更によることとし、スロットル弁102は、この作動特性の変更による制御の前提となる吸気圧力の制御に採用する。また、吸気通路101には、燃料供給用のインジェクタ103が設置されており、このインジェクタ103により、制御された吸入空気量のもとで所定の目標当量比を達成するのに必要な量の燃料が噴射される。吸気通路101のポート部101aには、ポペット型の吸気弁104が設置されている。この吸気弁104は、その上方に配設された動弁装置(以下「吸気動弁装置」という。)105により駆動され、この吸気弁104の弁開期間に吸入空気及び燃料の混合気が筒内に導入される。本実施形態では、吸気動弁装置105により、吸気弁104の作動角(以下「吸気作動角」という。)及びリフト量、ならびに吸気作動角の中心位相(以下「作動中心角」という。)を連続的に変更することができる。
エンジン本体において、シリンダヘッドHには、燃焼室の上部略中央に臨ませて点火プラグ106が設置されている。筒内に導入された混合気に対し、この点火プラグ106により点火が行われる。
燃焼後、発生した排気は、排気通路107に送り出される。排気通路107のポート部107aには、ポペット型の排気弁108が設置されている。この排気弁108は、その上方に配設された他の動弁装置109により駆動され、この排気弁108の弁開期間に排気の送出が行われる。なお、本実施形態では、吸気弁104とは異なり、排気弁108の作動角、リフト量及び作動角の中心位相を一定のものとしているが、吸気動弁装置105と同様な構成のもの又は他の公知の可変動弁装置を採用して、作動角等を変更可能に構成してもよい。
燃焼後、発生した排気は、排気通路107に送り出される。排気通路107のポート部107aには、ポペット型の排気弁108が設置されている。この排気弁108は、その上方に配設された他の動弁装置109により駆動され、この排気弁108の弁開期間に排気の送出が行われる。なお、本実施形態では、吸気弁104とは異なり、排気弁108の作動角、リフト量及び作動角の中心位相を一定のものとしているが、吸気動弁装置105と同様な構成のもの又は他の公知の可変動弁装置を採用して、作動角等を変更可能に構成してもよい。
吸気動弁装置105及びスロットル弁102、インジェクタ103、ならびに点火プラグ106の動作は、電子制御ユニットとして構成されるエンジンコントローラ(以下「ECU」という。)201により制御される。ECU201には、アクセルペダルの踏込量(アクセル開度APOを示し、以下「アクセル操作量」という。)を検出するアクセルセンサ211の検出信号、及びクランク角センサ212からの単位クランク角毎及び基準クランク角毎の信号(ECU201は、これに基づいてエンジン回転数NEを算出する。)が入力されるとともに、吸気マニホールド内の圧力(以下「吸気圧力」という。)Pinを検出する吸気圧力センサ213の検出信号、排気圧力Pexを検出する排気圧力センサ214の検出信号、排気温度Texを検出する排気温度センサ215の検出信号、及びエンジン冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ216の検出信号等が入力される。本実施形態において、排気圧力センサ214及び排気温度センサ215は、図示しない触媒の上流(たとえば、その入口付近)に設置される。ECU201は、入力した各種の信号をもとに、吸気動弁装置105により吸気作動角及び作動中心角を、スロットル弁102によりスロットル開度を夫々制御するとともに、インジェクタ103の燃料噴射量及び点火プラグ106の点火時期を制御する。なお、本実施形態では、後述するように、吸気通路101に向けた吹き返しにより筒内に還流される排気の量(すなわち、吹返ガス量)を測定する機能を、ECU201に持たせている。ECU201は、吸気動弁装置105により制御された作動特性のもと、実際の吹返ガス量Mifbを測定するとともに、測定したMifbをエンジン制御に反映させる。
図2は、本実施形態に係る吸気動弁装置105の構成を示している。
この吸気動弁装置105は、作動角変更機構Aと中心角変更機構Bとを含んで構成される。
吸気弁104の上方に駆動軸151が気筒列方向に延在させて設置されており、この駆動軸151に揺動カム152が相対回転可能に取り付けられている。この揺動カム152は、吸気弁104のリフタ141と当接し、このリフタ141を介して吸気弁104を上下に駆動する。作動角変更機構Aは、駆動軸151と揺動カム152とを繋ぐ後述するリンクの姿勢を変化させて、吸気作動角を変更するものである。他方、中心角変更機構Bは、駆動軸151のクランクシャフト(図示せず。)に対する位相を変化させることで、作動中心角を変更するものである。
この吸気動弁装置105は、作動角変更機構Aと中心角変更機構Bとを含んで構成される。
吸気弁104の上方に駆動軸151が気筒列方向に延在させて設置されており、この駆動軸151に揺動カム152が相対回転可能に取り付けられている。この揺動カム152は、吸気弁104のリフタ141と当接し、このリフタ141を介して吸気弁104を上下に駆動する。作動角変更機構Aは、駆動軸151と揺動カム152とを繋ぐ後述するリンクの姿勢を変化させて、吸気作動角を変更するものである。他方、中心角変更機構Bは、駆動軸151のクランクシャフト(図示せず。)に対する位相を変化させることで、作動中心角を変更するものである。
ここで、前者の作動角変更機構Aの作動原理について、図3を参照して説明する。
作動角変更機構Aは、駆動軸151に固定された円形の偏心駆動カム153と、この偏心駆動カム153に相対回転可能に外嵌するリング状リンク154と、駆動軸151と平行に配設された制御軸155と、この制御軸155に固定された円形の偏心制御カム156と、この偏心制御カム156に相対回転可能に外嵌し、一端でリング状リンク154と連結するロッカーアーム157と、このロッカーアーム157を揺動カム152と連結するロッド状リンク158とを含んで構成される。制御軸155は、電磁アクチュエータ161がギア列162を駆動することにより回転する。
作動角変更機構Aは、駆動軸151に固定された円形の偏心駆動カム153と、この偏心駆動カム153に相対回転可能に外嵌するリング状リンク154と、駆動軸151と平行に配設された制御軸155と、この制御軸155に固定された円形の偏心制御カム156と、この偏心制御カム156に相対回転可能に外嵌し、一端でリング状リンク154と連結するロッカーアーム157と、このロッカーアーム157を揺動カム152と連結するロッド状リンク158とを含んで構成される。制御軸155は、電磁アクチュエータ161がギア列162を駆動することにより回転する。
この作動角変更機構Aの動作は、次のようである。クランクシャフトに連動して駆動軸151が回転すると、これに伴うリング状リンク154の往復動作に併せ、ロッカーアーム157が偏心制御カム156の軸心周りで揺動し、ロッド状リンク158により揺動カム152を駆動する。また、電磁アクチュエータ161により制御軸155を回転させることで、偏心制御カム156の軸心位置が変化し、ロッカーアーム157の回転中心が変位して、吸気作動角(及びリフト量)が連続的に変化する。このため、電磁アクチュエータ161により制御軸155を操作することで、吸気作動角を連続的に変更することができる。
なお、中心角変更機構Bには、駆動軸151のカムスプロケットに対する位相を変化させ得る、公知のいかなる可変動弁装置が採用されてもよい。本実施形態では、カムスプロケットと駆動軸151との間に中間ギアを介装して、これらの間にヘリカルギア列を形成し、中間ギアを前後させることにより駆動軸151の相対位相を変化させるものを採用している。
以下、本実施形態に係るECU201の構成及びこれが行う制御(主に、吹返ガス量Mifbの測定)の内容について説明する。
ECU201が行う制御は、簡単には次のようである。ECU201は、アクセル操作量APO及びエンジン回転数NE等の運転条件に基づいてエンジン1が発生すべき目標トルクtTeを演算及び設定するとともに、設定したtTeに基づいて吸気動弁装置105及びスロットル弁102を作動させる。すなわち、ECU201は、目標トルクtTeを達成するのに必要な吸入空気量として目標新気量tQcylを算出するとともに、算出したtQcylに基づいて吸気作動角及び作動中心角の各目標値を設定し、吸気動弁装置105を作動させる。ECU201は、制御された作動特性のもと、吹返ガス量Mifbを算出して、これを考慮した実際の吸入空気量Qcylを検出するとともに、目標新気量tQcylと検出したQcylとの間に生じた乖離を、スロットル弁102の操作により吸気圧力を増減させて解消する。
ECU201が行う制御は、簡単には次のようである。ECU201は、アクセル操作量APO及びエンジン回転数NE等の運転条件に基づいてエンジン1が発生すべき目標トルクtTeを演算及び設定するとともに、設定したtTeに基づいて吸気動弁装置105及びスロットル弁102を作動させる。すなわち、ECU201は、目標トルクtTeを達成するのに必要な吸入空気量として目標新気量tQcylを算出するとともに、算出したtQcylに基づいて吸気作動角及び作動中心角の各目標値を設定し、吸気動弁装置105を作動させる。ECU201は、制御された作動特性のもと、吹返ガス量Mifbを算出して、これを考慮した実際の吸入空気量Qcylを検出するとともに、目標新気量tQcylと検出したQcylとの間に生じた乖離を、スロットル弁102の操作により吸気圧力を増減させて解消する。
次に、ECU201のうち吹返ガス量Mifbの測定に関する部分の構成及びその動作について説明する。
図4は、オーバーラップ期間PRDOL前後に亘る吸気弁104及び排気弁108のリフト量VLIFTi,VLIFTe、筒内圧力Pcyl、ならびに吸気弁104又は排気弁108を通過するガスの流量(すなわち、吸気弁通過ガス量dMin、排気弁通過ガス量dMex)の変化を、クランク角θとの関係で示している。
図4は、オーバーラップ期間PRDOL前後に亘る吸気弁104及び排気弁108のリフト量VLIFTi,VLIFTe、筒内圧力Pcyl、ならびに吸気弁104又は排気弁108を通過するガスの流量(すなわち、吸気弁通過ガス量dMin、排気弁通過ガス量dMex)の変化を、クランク角θとの関係で示している。
図4を参照して、筒内に関するガスの出入りについて説明する。本実施形態では、吸入空気量の制御を主に吸気弁104の作動特性の変更によることとしており、加速時等の高負荷域での運転において、吸気作動角が拡大されるとともに、作動中心角が進角される。これにより吸気弁104及び排気弁108の弁開期間が互いに重なり合うオーバーラップ期間PRDOLが形成され、このオーバーラップ期間PRDOLにおいて、吸気弁開時期IVOに吸気弁104が開弁すると、これに伴い筒内から吸気通路101に向けて排気の吹き返しが生じる。この吸気通路101へ向けた排気の吹き返しは、筒内圧力Pcylが低下して、これが吸気圧力Pinに一致するまで継続される。吹き返しにより吸気通路101に流出した排気は、吸気行程中に筒内に吸い戻され、次のサイクルに持ち越されることとなる。このように、排気の吹き返しにより次のサイクルにおける吸入空気量に吹返ガス量Mifb(図4に斜線で示す。)に相当する分の減少を来すことから、高精度なエンジン制御を実現するうえでこの吹返ガス量Mifbの正確な評価が必要とされることは、既述の通りである。また、排気の吹き返しにより、いわゆる内部EGRの効果が得られ、上死点近傍における筒内温度に変化を来すことからも、吹返ガス量Mifbの正確な評価が必要とされる。
図5は、本実施形態に係る吹返ガス量Mifbの測定方法を示しており、図6は、吹返ガス量測定部の構成を機能ブロックにより示している。
図5を参照して、吹返ガス量Mifbの算出手順について説明する。本実施形態では、オーバーラップ期間PRDOL中の吸気弁通過ガス量dMinの特性を複数の近似特性線(本実施形態では、直線)L1,L2により近似し、得られた近似特性線L1,L2に基づいて、幾何学的な計算により吹返ガス量Mifbを測定する。すなわち、オーバーラップ期間PRDOLを前半と後半とに分け、前半の期間PRDFSTにおける吸気弁通過ガス量dMinの特性を近似的に表す第1の関数fqifを算出するとともに、後半の期間PRDLTRにおける吸気弁通過ガス量dMinの特性を近似的に表す第2の関数fqilを算出する。第1の関数fqif及び第2の関数fqilにより表される各近似特性線L1,L2、ならびに流量=0に相当する図5の横軸(「時間座標軸」に相当する。)が座標上に画成する部分AECの面積を、オーバーラップ期間PRDOL中に筒内から吸気通路101に吹き返す排気の量(すなわち、吹返ガス量)Mifbとして算出する。なお、図5において、点Eは、近似特性線L1,L2の交点である。
図5を参照して、吹返ガス量Mifbの算出手順について説明する。本実施形態では、オーバーラップ期間PRDOL中の吸気弁通過ガス量dMinの特性を複数の近似特性線(本実施形態では、直線)L1,L2により近似し、得られた近似特性線L1,L2に基づいて、幾何学的な計算により吹返ガス量Mifbを測定する。すなわち、オーバーラップ期間PRDOLを前半と後半とに分け、前半の期間PRDFSTにおける吸気弁通過ガス量dMinの特性を近似的に表す第1の関数fqifを算出するとともに、後半の期間PRDLTRにおける吸気弁通過ガス量dMinの特性を近似的に表す第2の関数fqilを算出する。第1の関数fqif及び第2の関数fqilにより表される各近似特性線L1,L2、ならびに流量=0に相当する図5の横軸(「時間座標軸」に相当する。)が座標上に画成する部分AECの面積を、オーバーラップ期間PRDOL中に筒内から吸気通路101に吹き返す排気の量(すなわち、吹返ガス量)Mifbとして算出する。なお、図5において、点Eは、近似特性線L1,L2の交点である。
以下、図6を参照して、吹返ガス量測定部の構成及び動作について説明する。
ブロックB501では、吸気弁開時期IVOにおける筒内圧力(以下「IVO時筒内圧力」という。)Pcivoを算出する。本実施形態において、IVO時筒内圧力Pcivoは、平均排気圧力Peaveに筒内における圧力脈動に対するトリミング値PCTRMを加算して算出する。なお、平均排気圧力Peave及びトリミング値PCTRMの算出については、後述する。算出したPcivoは、第1の関数fqifを算出するブロックB502へ出力される。
ブロックB501では、吸気弁開時期IVOにおける筒内圧力(以下「IVO時筒内圧力」という。)Pcivoを算出する。本実施形態において、IVO時筒内圧力Pcivoは、平均排気圧力Peaveに筒内における圧力脈動に対するトリミング値PCTRMを加算して算出する。なお、平均排気圧力Peave及びトリミング値PCTRMの算出については、後述する。算出したPcivoは、第1の関数fqifを算出するブロックB502へ出力される。
Pcivo=Peave+PCTRM ・・・(1)
ブロックB502では、第1の関数fqifの算出のため、オーバーラップ期間の前半における点として予め定められた2つの点A,Bの時期θ1,θ2、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量dMinθ1,dMinθ2を算出する。本実施形態では、点A,Bとして、吸気弁開時期IVOの点Aと、この前半の期間PRDFSTにおける所定の時期θ2の点Bとを採用する。一方の点Aを吸気弁開時期IVOの点とするのは、吸気弁開時期IVOにおける吸気弁通過ガス量dMinθ1が0であり、演算を簡素化し得るからである。他方の点Bは、吸気弁通過ガス量dMinの変化にクランク角θに対する線形性が認められる範囲で任意の点を実験又はシミュレーションにより評価して決定する。本実施形態では、点Bとして、エンジン1の運転条件によらずこの線形性が充分な確からしさで認められる点(たとえば、IVOからEVCまでの横軸上の線分を1つの辺として、この辺を1:3に内分する点)を実験により特定し、採用する。なお、吸気弁通過ガス量dMinは、吸気ポート101aの開口面積が小さい場合にこの開口面積に比例する特性を示すことから、実験等による方法に代え、吸気弁通過ガス量dMinの線形性の評価に吸気弁104の作動特性を採用することができる。吸気弁104の弁プロフィールがクランク角θに対して直線的に増大する領域を特定し、この領域における吸気弁開時期IVO以外の時期の点を、点Bに設定するのである。以下、第1の関数fqifの算出について項目毎に説明する。
(点Aの特定)
点Aの時期θ1(=IVO)では、吸気弁104が閉弁しているため、吸気弁通過ガス量dMinθ1は、0である。
(点Bの特定)
点Bは、時期θ2が予め定められているため、この時期θ2における吸気弁通過ガス量dMinθ2を算出することで特定される。
ブロックB502では、第1の関数fqifの算出のため、オーバーラップ期間の前半における点として予め定められた2つの点A,Bの時期θ1,θ2、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量dMinθ1,dMinθ2を算出する。本実施形態では、点A,Bとして、吸気弁開時期IVOの点Aと、この前半の期間PRDFSTにおける所定の時期θ2の点Bとを採用する。一方の点Aを吸気弁開時期IVOの点とするのは、吸気弁開時期IVOにおける吸気弁通過ガス量dMinθ1が0であり、演算を簡素化し得るからである。他方の点Bは、吸気弁通過ガス量dMinの変化にクランク角θに対する線形性が認められる範囲で任意の点を実験又はシミュレーションにより評価して決定する。本実施形態では、点Bとして、エンジン1の運転条件によらずこの線形性が充分な確からしさで認められる点(たとえば、IVOからEVCまでの横軸上の線分を1つの辺として、この辺を1:3に内分する点)を実験により特定し、採用する。なお、吸気弁通過ガス量dMinは、吸気ポート101aの開口面積が小さい場合にこの開口面積に比例する特性を示すことから、実験等による方法に代え、吸気弁通過ガス量dMinの線形性の評価に吸気弁104の作動特性を採用することができる。吸気弁104の弁プロフィールがクランク角θに対して直線的に増大する領域を特定し、この領域における吸気弁開時期IVO以外の時期の点を、点Bに設定するのである。以下、第1の関数fqifの算出について項目毎に説明する。
(点Aの特定)
点Aの時期θ1(=IVO)では、吸気弁104が閉弁しているため、吸気弁通過ガス量dMinθ1は、0である。
(点Bの特定)
点Bは、時期θ2が予め定められているため、この時期θ2における吸気弁通過ガス量dMinθ2を算出することで特定される。
本実施形態において、時期θ2は、線分IVO‐EVCを1:3に内分する点として、下式により与えられる。
θ2=IVO+(EVC−IVO)/4 ・・・(2)
時期θ2では、筒内圧力Pcylを吸気弁開時期IVOにおけるもの、すなわち、IVO時筒内圧力Pcivoに等しいものとみなし得ることから、この近似のもと、吸気弁通過ガス量dMinθ2を次式により求めることができる。なお、吸気ポート101aの開口面積をAREAinと、既燃ガスのガス定数をRexと、筒内温度をTcylとする。本実施形態では、時期θ2における筒内温度Tcylとして、排気温度センサ215により検出される排気温度Texを、吸気圧力Pinとして、平均吸気圧力Piaveを採用する。平均吸気圧力Piaveは、吸気圧力センサ213により検出される瞬時吸気圧力を1サイクルに亘り平均して得られるものである。
θ2=IVO+(EVC−IVO)/4 ・・・(2)
時期θ2では、筒内圧力Pcylを吸気弁開時期IVOにおけるもの、すなわち、IVO時筒内圧力Pcivoに等しいものとみなし得ることから、この近似のもと、吸気弁通過ガス量dMinθ2を次式により求めることができる。なお、吸気ポート101aの開口面積をAREAinと、既燃ガスのガス定数をRexと、筒内温度をTcylとする。本実施形態では、時期θ2における筒内温度Tcylとして、排気温度センサ215により検出される排気温度Texを、吸気圧力Pinとして、平均吸気圧力Piaveを採用する。平均吸気圧力Piaveは、吸気圧力センサ213により検出される瞬時吸気圧力を1サイクルに亘り平均して得られるものである。
(dMin/dt)θ2=(AREAin×Pcivo/√(Rex×Tcyl))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(3)
RMF=(Piave/Pcivo)1/γ{(2γ/(γ−1))(1−(Piave/Pcivo)(γ−1)/γ)}1/2/(γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))) ・・・(4)
時期θ2における筒内圧力Pcylは、平均排気圧力Peaveに等しいと近似しても相応の精度が得られることから、流量比RMFを示す式(4)において、Piave/Pcivo=Piave/Peave(=Pin/Pex)とし、エンジン1の運転状態に対応させて予め作成されたマップ(図8)からの検索によりRMFを算出してもよい。なお、流量比RMFは、実際の流量の音速時における流量に対する比である。
RMF=(Piave/Pcivo)1/γ{(2γ/(γ−1))(1−(Piave/Pcivo)(γ−1)/γ)}1/2/(γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))) ・・・(4)
時期θ2における筒内圧力Pcylは、平均排気圧力Peaveに等しいと近似しても相応の精度が得られることから、流量比RMFを示す式(4)において、Piave/Pcivo=Piave/Peave(=Pin/Pex)とし、エンジン1の運転状態に対応させて予め作成されたマップ(図8)からの検索によりRMFを算出してもよい。なお、流量比RMFは、実際の流量の音速時における流量に対する比である。
また、時期θ2における筒内圧力Pcivo、筒内温度Tcyl(=Tex)及び比熱比γが運転条件毎に一定とみなし得ることから、式(3)を次のように整理することができる。
(dMin/dt)θ2=Cai(θ2−IVO)2×β ・・・(5)
β=(Pcivo/√(Rex×Tcyl))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(6)
AREAin=Cai(θ−IVO)2 ・・・(7)
なお、式(7)は、吸気弁開時期IVOの直後において、吸気弁104の弁プロフィールをクランク角θの二次関数とみなし得ることによるものである。
(近似特性線L1の算出)
以上から、近似特性線L1を表す第1の関数fqifは、2つの点A(IVO,0)及びB(θ2,dMinθ2)を通る直線の関数として、次式により求められる。
(dMin/dt)θ2=Cai(θ2−IVO)2×β ・・・(5)
β=(Pcivo/√(Rex×Tcyl))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(6)
AREAin=Cai(θ−IVO)2 ・・・(7)
なお、式(7)は、吸気弁開時期IVOの直後において、吸気弁104の弁プロフィールをクランク角θの二次関数とみなし得ることによるものである。
(近似特性線L1の算出)
以上から、近似特性線L1を表す第1の関数fqifは、2つの点A(IVO,0)及びB(θ2,dMinθ2)を通る直線の関数として、次式により求められる。
fqif=dMin/dt
={(dMinθ2−0)/(θ2−IVO)}(θ−IVO)
=A×θ−A×IVO ・・・(8)
A=dMinθ2/(θ2−IVO)
=dMinθ2/{IVO+(EVC−IVO)/4−IVO}
=4dMinθ2/(EVC−IVO) ・・・(9)
ブロックB503では、第2の関数fqilの算出のため、オーバーラップ期間の後半における点として予め定められた2つの点C,Dの時期θ3,θ4、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量dMinθ3,dMinθ4を算出する。本実施形態では、点C,Dとして、吸気弁通過ガス量dMinが0となる時期θ3の点Cと、排気弁閉時期EVC(=θ4)の点Dとを採用する。一方の点Cを吸気弁通過ガス量dMinが0となる時期θ3の点とするのは、筒内と吸気通路101との間におけるガスの出入りがなく、排気弁通過ガス量dMexと、筒内ガス量の単位時間当たりの変化量(すなわち、筒内ガス量変化分)dMcylとが等しいものとおくことで、この時期θ3を容易に特定することができるからである。他方の点Dを排気弁閉時期EVCの点とするのは、排気弁閉時期EVCにおける排気弁通過ガス量dMexθ4が0であり、筒内ガス量変化分dMcylの全てが筒内と吸気通路101との間におけるガスの出入りによるものと考えることで、この点Dの時期θ4における吸気弁通過ガス量dMinθ4を気体の状態方程式に基づいて容易に算出することができるからである。以下、第2の関数fqilの算出について項目毎に説明する。
(点Cの特定)
点Cは、時期θ3における吸気弁通過ガス量dMinθ3が0であることから、排気弁通過ガス量dMexと筒内ガス量変化分dMcylとが等しくなる時期θ3を算出することで特定される。
={(dMinθ2−0)/(θ2−IVO)}(θ−IVO)
=A×θ−A×IVO ・・・(8)
A=dMinθ2/(θ2−IVO)
=dMinθ2/{IVO+(EVC−IVO)/4−IVO}
=4dMinθ2/(EVC−IVO) ・・・(9)
ブロックB503では、第2の関数fqilの算出のため、オーバーラップ期間の後半における点として予め定められた2つの点C,Dの時期θ3,θ4、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量dMinθ3,dMinθ4を算出する。本実施形態では、点C,Dとして、吸気弁通過ガス量dMinが0となる時期θ3の点Cと、排気弁閉時期EVC(=θ4)の点Dとを採用する。一方の点Cを吸気弁通過ガス量dMinが0となる時期θ3の点とするのは、筒内と吸気通路101との間におけるガスの出入りがなく、排気弁通過ガス量dMexと、筒内ガス量の単位時間当たりの変化量(すなわち、筒内ガス量変化分)dMcylとが等しいものとおくことで、この時期θ3を容易に特定することができるからである。他方の点Dを排気弁閉時期EVCの点とするのは、排気弁閉時期EVCにおける排気弁通過ガス量dMexθ4が0であり、筒内ガス量変化分dMcylの全てが筒内と吸気通路101との間におけるガスの出入りによるものと考えることで、この点Dの時期θ4における吸気弁通過ガス量dMinθ4を気体の状態方程式に基づいて容易に算出することができるからである。以下、第2の関数fqilの算出について項目毎に説明する。
(点Cの特定)
点Cは、時期θ3における吸気弁通過ガス量dMinθ3が0であることから、排気弁通過ガス量dMexと筒内ガス量変化分dMcylとが等しくなる時期θ3を算出することで特定される。
吸気弁通過ガス量dMinθ3が0であり、筒内と吸気通路101との間におけるガスの出入りがないことから、時期θ3では、筒内圧力Pcylが吸気圧力Pinと等しいものと考えられる(図4)。このため、時期θ3における排気弁通過ガス量dMexθ3は、次式により求められる。なお、排気ポート107aの開口面積をAREAexと、既燃ガスの比熱比をγとする。
(dMex/dt)θ3=(AREAex×Pex/√(Rex×Tex))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(10)
RMF=(Pin/Pex)1/γ{(2γ/(γ−1))(1−(Pin/Pex)(γ−1)/γ)}1/2/(γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))) ・・・(11)
流量比RMFは、式(11)から明らかなように吸気圧力Pinと排気圧力Pexとの比により定められるものであるので、本実施形態では、エンジン1の運転条件に対応させたRMFのマップ(図8)を予め作成しておき、実際の運転に際してこのマップからの検索によりRMFを算出する。
RMF=(Pin/Pex)1/γ{(2γ/(γ−1))(1−(Pin/Pex)(γ−1)/γ)}1/2/(γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))) ・・・(11)
流量比RMFは、式(11)から明らかなように吸気圧力Pinと排気圧力Pexとの比により定められるものであるので、本実施形態では、エンジン1の運転条件に対応させたRMFのマップ(図8)を予め作成しておき、実際の運転に際してこのマップからの検索によりRMFを算出する。
また、排気圧力Pex、排気温度Tex及び比熱比γが運転条件毎に一定とみなし得ることから、式(10)を次のように整理することができる。
(dMex/dt)θ3=Cae(EVC−θ3)2×δ ・・・(12)
δ=(Pex/√(Rex×Tex))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(13)
AREAex=Cae(EVC−θ)2 ・・・(14)
なお、式(14)は、排気弁閉時期EVCの直前において、排気弁108の弁プロフィールをクランク角θの二次関数とみなし得ることによるものである。
(dMex/dt)θ3=Cae(EVC−θ3)2×δ ・・・(12)
δ=(Pex/√(Rex×Tex))γ1/2(2/(γ+1))(γ+1)/(2(γ−1))×RMF ・・・(13)
AREAex=Cae(EVC−θ)2 ・・・(14)
なお、式(14)は、排気弁閉時期EVCの直前において、排気弁108の弁プロフィールをクランク角θの二次関数とみなし得ることによるものである。
筒内ガス量変化分dMcylを表す式(15)と、排気弁通過ガス量dMexを表す式(12)とにより、(dMcyl/dt)θ3=(dMex/dt)θ3とすることで、点Cの時期θ3を下式により求めることができる。なお、式(15)の導出については、次の「点Dの特定」の項で示す。
dMcyl/dt=(6Ne/Rex×Tcyl){Vcyl×Cpa+Pcyl(Cva×θ+Cvb)} ・・・(15)
(6Ne/(Rex×Tex)){Vcylθ3×Cpa+Pin(Cva×θ3+Cvb))=Cae(EVC−θ3)2×δ ・・・(16)
式(16)は、(Vcylθ3/(Rex×Tex))×6Ne=χ、(Pin/(Rex×Tex))×6Ne=αとおくことで、次のように整理することができる。
dMcyl/dt=(6Ne/Rex×Tcyl){Vcyl×Cpa+Pcyl(Cva×θ+Cvb)} ・・・(15)
(6Ne/(Rex×Tex)){Vcylθ3×Cpa+Pin(Cva×θ3+Cvb))=Cae(EVC−θ3)2×δ ・・・(16)
式(16)は、(Vcylθ3/(Rex×Tex))×6Ne=χ、(Pin/(Rex×Tex))×6Ne=αとおくことで、次のように整理することができる。
χ×Cpa+α(Cva×θ3+Cvb)=Cae(EVC−θ3)2×δ ・・・(17)
式(17)がクランク角θに関する二次方程式であることから、これを解くことにより点Cの時期θ3が求められる。なお、θ3の算出において、Texとして平均排気温度Teaveを、Pexとして平均排気圧力Peaveを、Pin(=Pcyl)として平均吸気圧力Piaveを採用する。本実施形態では、平均排気温度Teaveとして、排気温度センサ215により検出される排気温度を採用する。
(点Dの特定)
点Dは、時期θ4が排気弁閉時期EVCとして予め定められているため、この時期θ4における吸気弁通過ガス量dMinθ4を算出することで特定される。dMinθ4の算出は、この時期θ4における排気弁通過ガス量dMexθ4が0であることから、筒内ガス量変化分dMcylを算出することによる。
式(17)がクランク角θに関する二次方程式であることから、これを解くことにより点Cの時期θ3が求められる。なお、θ3の算出において、Texとして平均排気温度Teaveを、Pexとして平均排気圧力Peaveを、Pin(=Pcyl)として平均吸気圧力Piaveを採用する。本実施形態では、平均排気温度Teaveとして、排気温度センサ215により検出される排気温度を採用する。
(点Dの特定)
点Dは、時期θ4が排気弁閉時期EVCとして予め定められているため、この時期θ4における吸気弁通過ガス量dMinθ4を算出することで特定される。dMinθ4の算出は、この時期θ4における排気弁通過ガス量dMexθ4が0であることから、筒内ガス量変化分dMcylを算出することによる。
筒内に関する状態量について、気体の状態方程式により次の関係が成立する。なお、筒内ガスの質量をM(=Mcyl)と、筒内圧力をP(=Pcyl)と、筒内容積をV(=Vcyl)と、筒内ガスのガス定数をRと、筒内温度をT(=Tcyl)とする。
M=PV/(RT) ・・・(18)
式(18)の両辺を微分することで、更に次の関係が得られる。
M=PV/(RT) ・・・(18)
式(18)の両辺を微分することで、更に次の関係が得られる。
dM/dt=d(PV/RT)/dt
=(V/RT)dP/dt+(P/RT)dV/dt−(VP/TR2)dR/dt−(VP/T2R)dT/dt ・・・(19)
排気弁閉時期EVCでは、筒内に吸い込まれるガスが主にその直前までに吸気通路101に吹き返した排気であると考えられることから、筒内温度T及びガス定数Rの変化が無視し得るほどであり(dT/dt=0,dR/dt=0)、かつガス定数Rが既燃ガスのもの(=Rex)にほぼ等しいものと近似して、式(19)を次のように整理することができる。
=(V/RT)dP/dt+(P/RT)dV/dt−(VP/TR2)dR/dt−(VP/T2R)dT/dt ・・・(19)
排気弁閉時期EVCでは、筒内に吸い込まれるガスが主にその直前までに吸気通路101に吹き返した排気であると考えられることから、筒内温度T及びガス定数Rの変化が無視し得るほどであり(dT/dt=0,dR/dt=0)、かつガス定数Rが既燃ガスのもの(=Rex)にほぼ等しいものと近似して、式(19)を次のように整理することができる。
dM/dt=(V/(Re×T))Cpa×6Ne+(P/(Re×T))(dV/dθ)dθ/dt
=(V/(Re×T))Cpa×6Ne+(P/(Re×T))(dV/dθ)×6Ne ・・・(20)
dP/dt=(Pcevc−Pcivo)/((EVC−IVO)×60/360Ne)
=(Pcevc−Pcivo)×6Ne/(EVC−IVO)
=Cpa×6Ne ・・・(21)
Cpa=(Piave−Pcivo)/(EVC−IVO) ・・・(22)
dθ/dt=360Ne/60=6Ne ・・・(23)
なお、式(21)は、筒内圧力Pcylがオーバーラップ期間PRDOL全体に亘り吸気弁開時期IVOにおける圧力Pcivoから排気弁閉時期EVCにおける圧力Pcevcにまで直線的に低下するとの近似によるものである(図4に二点鎖線Pcylaprで示す。)。なお、本実施形態では、排気弁閉時期EVCにおける筒内圧力として平均吸気圧力Piaveを採用する。
=(V/(Re×T))Cpa×6Ne+(P/(Re×T))(dV/dθ)×6Ne ・・・(20)
dP/dt=(Pcevc−Pcivo)/((EVC−IVO)×60/360Ne)
=(Pcevc−Pcivo)×6Ne/(EVC−IVO)
=Cpa×6Ne ・・・(21)
Cpa=(Piave−Pcivo)/(EVC−IVO) ・・・(22)
dθ/dt=360Ne/60=6Ne ・・・(23)
なお、式(21)は、筒内圧力Pcylがオーバーラップ期間PRDOL全体に亘り吸気弁開時期IVOにおける圧力Pcivoから排気弁閉時期EVCにおける圧力Pcevcにまで直線的に低下するとの近似によるものである(図4に二点鎖線Pcylaprで示す。)。なお、本実施形態では、排気弁閉時期EVCにおける筒内圧力として平均吸気圧力Piaveを採用する。
また、排気弁閉時期EVCを含め、上死点付近では、筒内容積Vの単位時間当たりの変化量を一定とみなし得るので、式(20)を次のように変形することができる。
dV/dθ=Cva×θ+Cvb ・・・(24)
dM/dt=(6Ne/RT)(V×Cpa+P(Cva×θ+Cvb)) ・・・(25)
以上から、点D(θ4,dMinθ4)における吸気弁通過ガス量dMinθ4は、次式により求められる。なお、排気弁閉時期EVCにおける筒内温度をTcevcとし、本実施形態では、このTcevcとして時期θ3における筒内温度、すなわち、平均排気温度Teaveを採用する。時期θ3における筒内温度Tcylθ3は、平均排気温度Teaveによる近似のほか、筒内における発熱量と放熱量との熱収支を考慮して、次のように推定することもできる。すなわち、目標当量比等に基づいて定常運転下での筒内平衡温度TEQEVCを算出し、この筒内平衡温度TEQEVCの変化に対して遅れを持たせて実際の筒内温度Tcylθ3を推定するのである(Tcylθ3=Tcyl−1+(TEQEVC−Tcyl−1)×KT:前のサイクルにおける筒内温度Tcylθ3をTcyl−1とし、KTは、遅れを定める定数である。)。
dV/dθ=Cva×θ+Cvb ・・・(24)
dM/dt=(6Ne/RT)(V×Cpa+P(Cva×θ+Cvb)) ・・・(25)
以上から、点D(θ4,dMinθ4)における吸気弁通過ガス量dMinθ4は、次式により求められる。なお、排気弁閉時期EVCにおける筒内温度をTcevcとし、本実施形態では、このTcevcとして時期θ3における筒内温度、すなわち、平均排気温度Teaveを採用する。時期θ3における筒内温度Tcylθ3は、平均排気温度Teaveによる近似のほか、筒内における発熱量と放熱量との熱収支を考慮して、次のように推定することもできる。すなわち、目標当量比等に基づいて定常運転下での筒内平衡温度TEQEVCを算出し、この筒内平衡温度TEQEVCの変化に対して遅れを持たせて実際の筒内温度Tcylθ3を推定するのである(Tcylθ3=Tcyl−1+(TEQEVC−Tcyl−1)×KT:前のサイクルにおける筒内温度Tcylθ3をTcyl−1とし、KTは、遅れを定める定数である。)。
(dMin/dt)θ4=(dMcyl/dt)θ4=EVC
=(6Ne/(Rex×Tcevc)){Vcevc×Cpa+Piave(Cva×EVC+Cvb)} ・・・(26)
(近似特性線L2の算出)
以上から、近似特性線L2を表す第2の関数fqilは、2つの点C(θ3,0)及びD(θ4,dMinθ4)を通る直線の関数として、式(23)を考慮して次式により求められる。
=(6Ne/(Rex×Tcevc)){Vcevc×Cpa+Piave(Cva×EVC+Cvb)} ・・・(26)
(近似特性線L2の算出)
以上から、近似特性線L2を表す第2の関数fqilは、2つの点C(θ3,0)及びD(θ4,dMinθ4)を通る直線の関数として、式(23)を考慮して次式により求められる。
fqil=dMin/dθ
={(dMinEVC−0)/(EVC−θ3)}(θ−θ3)
=B×θ−B×θ3 ・・・(27)
B=dMinEVC/(EVC−θ3) ・・・(28)
ブロックB504では、以上のように算出した第1及び第2の関数fqif,fqilに基づいて、オーバーラップ期間PRDOL中に筒内から吸気通路101に吹き返す排気の量(すなわち、吹返ガス量)Mifbを算出する。本実施形態において、吹返ガス量Mifbは、第1及び第2の関数fqif,fqilにより表される近似特性線L1,L2が横軸との間に画成する三角形AECの面積として、次式により算出される。なお、近似特性線L1,L2の交点を点Eとし、この点Eの座標を(θ5,dMinθ5)とする。
={(dMinEVC−0)/(EVC−θ3)}(θ−θ3)
=B×θ−B×θ3 ・・・(27)
B=dMinEVC/(EVC−θ3) ・・・(28)
ブロックB504では、以上のように算出した第1及び第2の関数fqif,fqilに基づいて、オーバーラップ期間PRDOL中に筒内から吸気通路101に吹き返す排気の量(すなわち、吹返ガス量)Mifbを算出する。本実施形態において、吹返ガス量Mifbは、第1及び第2の関数fqif,fqilにより表される近似特性線L1,L2が横軸との間に画成する三角形AECの面積として、次式により算出される。なお、近似特性線L1,L2の交点を点Eとし、この点Eの座標を(θ5,dMinθ5)とする。
θ5=(A×IVO−B×θ3)/(A−B) ・・・(29)
dMinθ5=fqif(θ=θ5)
={A×B×(IVO−θ3)}/(A−B) ・・・(30)
Mifb=((θ3−IVO)/6Ne)×dMinθ5/2 ・・・(31)
本実施形態では、ECU201により「エンジンの吹返ガス量測定装置」が構成される。吹返ガス量測定部のうち、図6に示すブロックB502により「第1の特性線算出手段」としての機能が、同ブロックB503により「第2の特性線算出手段」としての機能が、同ブロックB504により「吹返ガス量算出手段」としての機能が実現される。また、本実施形態では、吸気弁通過ガス量dMinの特性が第1の関数fqifにより表される特性から第2の関数fqilにより表される特性に移行する点Eの時期θ5を基準として、これよりも前半の期間PRDFSTがオーバーラップ期間の前半に、それ以後の期間PRDLTRがオーバーラップ期間の後半に相当する。
dMinθ5=fqif(θ=θ5)
={A×B×(IVO−θ3)}/(A−B) ・・・(30)
Mifb=((θ3−IVO)/6Ne)×dMinθ5/2 ・・・(31)
本実施形態では、ECU201により「エンジンの吹返ガス量測定装置」が構成される。吹返ガス量測定部のうち、図6に示すブロックB502により「第1の特性線算出手段」としての機能が、同ブロックB503により「第2の特性線算出手段」としての機能が、同ブロックB504により「吹返ガス量算出手段」としての機能が実現される。また、本実施形態では、吸気弁通過ガス量dMinの特性が第1の関数fqifにより表される特性から第2の関数fqilにより表される特性に移行する点Eの時期θ5を基準として、これよりも前半の期間PRDFSTがオーバーラップ期間の前半に、それ以後の期間PRDLTRがオーバーラップ期間の後半に相当する。
以上に説明したように、本実施形態によれば、オーバーラップ期間PRDOLを前半及び後半の期間PRDFST,PRDLTRに分け、オーバーラップ期間中に吸気弁104を通過するガスの流量を第1及び第2の関数fqif,fqilにより表される2つの近似特性線L1,L2により近似したことで、これらの近似特性線L1,L2に基づいて、吹返ガス量Mifbを幾何学的に算出することができる。このため、演算負荷を軽減し得る簡素な算出手順により、比較的に高い精度で吹返ガス量Mifbを測定し、これをエンジン制御に反映させることができる。また、本実施形態によれば、前半及び後半の期間PRDFST,PRDLTRにおける吸気弁通過ガス量dMinをいずれも直線により近似したことで、演算をより簡易なものとして、演算負荷を実用的な範囲に抑えることができる。
(IVO時筒内圧力Pcivoの算出)
IVO時筒内圧力Pcivoは、平均排気圧力Peaveに筒内における圧力脈動に対するトリミング値PCTRMを加算して算出する。
(IVO時筒内圧力Pcivoの算出)
IVO時筒内圧力Pcivoは、平均排気圧力Peaveに筒内における圧力脈動に対するトリミング値PCTRMを加算して算出する。
Pcivo=Peave+PCTRM ・・・(32)
本実施形態では、平均排気圧力Peaveとして、排気圧力センサ214の出力として得られる瞬時排気圧力を1サイクルに亘り平均したものを採用する。なお、平均排気圧力Peaveは、排気ポート107aにおける排気圧力を簡易に把握し得るものとして採用するものである。このため、排気圧力センサ214の上流に熱容量が比較的に小さい、いわゆるプレ触媒が設置されたエンジンでは、排気がこのプレ触媒を通過する際の圧損分を考慮する。たとえば、触媒の入口部における流れを乱流と、触媒内における流れを層流と仮定して、プレ触媒を通過する際の圧損分を乱流圧力損失項及び層流圧力損失項との合計として算出し、基準となる排気圧力(本実施形態では、排気圧力センサ214により検出される排気圧力)にこの圧損分を加算する。
(筒内圧力のトリミング値PCTRMの算出)
本実施形態において、筒内圧力のトリミング値(以下「圧力トリミング値」という。)PCTRMは、エンジン回転数NE及びクランク角θに対応させて予め作成した脈動値マップを検索することにより算出する。ECU201には、この脈動値マップとして、低負荷時に対応させて作成した低負荷時脈動値マップ(図7(a))と、高負荷時に対応させて作成した高負荷時脈動値マップ(図7(b))とが記憶されており、各マップには、脈動値として、平均排気圧力に対する筒内の相対圧力が記憶されている。ECU201は、実際のエンジン回転数NE及び吸気弁開時期IVOにより各マップを検索して低負荷時脈動値PCTRML及び高負荷時脈動値PCTRMHを算出し、得られたPCTRML,PCTRMHに基づいて、実際の充填効率ITAC(すなわち、負荷)による補間計算(たとえば、一次補間)をして圧力トリミング値PCTRMを算出する。
本実施形態では、平均排気圧力Peaveとして、排気圧力センサ214の出力として得られる瞬時排気圧力を1サイクルに亘り平均したものを採用する。なお、平均排気圧力Peaveは、排気ポート107aにおける排気圧力を簡易に把握し得るものとして採用するものである。このため、排気圧力センサ214の上流に熱容量が比較的に小さい、いわゆるプレ触媒が設置されたエンジンでは、排気がこのプレ触媒を通過する際の圧損分を考慮する。たとえば、触媒の入口部における流れを乱流と、触媒内における流れを層流と仮定して、プレ触媒を通過する際の圧損分を乱流圧力損失項及び層流圧力損失項との合計として算出し、基準となる排気圧力(本実施形態では、排気圧力センサ214により検出される排気圧力)にこの圧損分を加算する。
(筒内圧力のトリミング値PCTRMの算出)
本実施形態において、筒内圧力のトリミング値(以下「圧力トリミング値」という。)PCTRMは、エンジン回転数NE及びクランク角θに対応させて予め作成した脈動値マップを検索することにより算出する。ECU201には、この脈動値マップとして、低負荷時に対応させて作成した低負荷時脈動値マップ(図7(a))と、高負荷時に対応させて作成した高負荷時脈動値マップ(図7(b))とが記憶されており、各マップには、脈動値として、平均排気圧力に対する筒内の相対圧力が記憶されている。ECU201は、実際のエンジン回転数NE及び吸気弁開時期IVOにより各マップを検索して低負荷時脈動値PCTRML及び高負荷時脈動値PCTRMHを算出し、得られたPCTRML,PCTRMHに基づいて、実際の充填効率ITAC(すなわち、負荷)による補間計算(たとえば、一次補間)をして圧力トリミング値PCTRMを算出する。
以上では、本発明を、いわゆるポート噴射式の内燃機関に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限らず、直噴式の内燃機関(たとえば、直噴ガソリンエンジン)に適用することもできる。
1…エンジン、101…吸気通路、102…スロットル弁、103…インジェクタ、104…吸気弁、105…吸気動弁装置、106…点火プラグ、107…排気通路、108…排気弁、151…駆動軸、152…揺動カム、153…偏心駆動カム、154…リング状リンク、155…制御軸、156…偏心制御カム、157…ロッカーアーム、158…ロッド状リンク、161…電磁アクチュエータ、162…ギア列、201…エンジンコントローラ、211…アクセルセンサ、212…クランク角センサ、A…吸気動弁装置105の作動角変更機構、B…吸気動弁装置、105の中心角変更機構。
Claims (14)
- 吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンの吹返ガス量測定装置であって、
前記弁開期間が重なり合うオーバーラップ期間の前半における複数の時期、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量に基づいて、この前半の期間に前記吸気弁を通過するガスの流量に関する第1の近似特性線を算出する第1の特性線算出手段と、
前記オーバーラップ期間の後半における複数の時期、及びこれらの時期における吸気弁通過ガス量に基づいて、この後半の期間に前記吸気弁を通過するガスの流量に関する第2の近似特性線を算出する第2の特性線算出手段と、
前記第1の特性線算出手段により算出された第1の近似特性線、及び前記第2の特性線算出手段により算出された第2の近似特性線に基づいて、前記オーバーラップ期間中に筒内から吸気通路に吹き返す排気の量である吹返ガス量を算出する吹返ガス量算出手段と、を含んで構成されるエンジンの吹返ガス量測定装置。 - 前記吹返ガス量算出手段は、前記吹返ガス量として、前記第1及び第2の近似特性線が流量=0に相当する時間座標軸との間に画成する面積を算出する請求項1に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第1の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に吸気弁開時期が含まれる請求項1又は2に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第1の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に、吸気弁開時期及び排気弁閉時期により両端が定められる時間座標軸上の線分を1:3に内分する点の時期が含まれる請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第1の特性線算出手段は、筒内圧力、吸気圧力及び前記吸気弁の作動特性に応じた吸気ポートの開口面積に基づいて、前記内分する点における吸気弁通過ガス量を算出する請求項4に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第1の特性線算出手段は、前記内分する点における吸気弁通過ガス量の算出において、筒内圧力を吸気弁開時期における筒内圧力により近似する請求項5に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第1の特性線算出手段は、前記内分する点における吸気弁通過ガス量の算出において、前記オーバーラップ期間の前半における吸気ポートの開口面積をクランク角に対する二次関数により近似する請求項5又は6に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に、前記第2の近似特性線が流量=0に相当する時間座標軸と交差する点の時期が含まれる請求項1〜7のいずれかに記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の特性線算出手段は、前記交差する点の時期として、排気通路から筒内に吹き返す排気の量が、筒内ガス量の単位時間当たりの変化量である筒内ガス量変化分と一致する時期を算出する請求項8に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の特性線算出手段は、前記交差する点の時期の算出において、筒内圧力を平均吸気圧力により近似する請求項9に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の特性線算出手段は、前記交差する点の時期の算出において、前記オーバーラップ期間の後半における排気ポートの開口面積をクランク角に対する二次関数により近似する請求項9又は10に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に排気弁閉時期が含まれる請求項1〜11のいずれかに記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 前記第2の特性線算出手段は、排気弁閉時期における吸気弁通過ガス量として、排気弁閉時期における筒内ガス量変化分を算出する請求項12に記載のエンジンの吹返ガス量測定装置。
- 吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンの吹返ガス量測定装置であって、
前記弁開期間が重なり合うオーバーラップ期間の前半における吸気弁通過ガス量の特性をクランク角に対して減少する特性の関数により近似して、この前半の期間における吸気弁通過ガス量に関する第1の近似特性線を算出する第1の特性線算出手段と、
前記オーバーラップ期間の後半における吸気弁通過ガス量の特性をクランク角に対して増加する特性の関数により近似して、この後半の期間における吸気弁通過ガス量に関する第2の近似特性線を算出する第2の特性線算出手段と、
前記第1の特性線算出手段により算出された第1の近似特性線、及び前記第2の特性線算出手段により算出された第2の近似特性線に基づいて、前記オーバーラップ期間中に筒内から吸気通路に吹き返す排気の量である吹返ガス量を算出する吹返ガス量算出手段と、を含んで構成されるエンジンの吹返ガス量測定装置。
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JP2006076868A JP2007255207A (ja) | 2006-03-20 | 2006-03-20 | エンジンの吹返ガス量測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010050544A1 (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 筒内圧測定装置 |
-
2006
- 2006-03-20 JP JP2006076868A patent/JP2007255207A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010050544A1 (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 筒内圧測定装置 |
JP2010106742A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Hitachi Automotive Systems Ltd | 筒内圧測定装置 |
US8606484B2 (en) | 2008-10-30 | 2013-12-10 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Apparatus for measuring in-cylinder pressure |
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