JP2007254873A - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】現状よりもさらに微細な金属微粒子を製造することができる金属微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】金属微粒子のもとになる、金属のイオンを含む液相の反応系中で、前記イオンを、モル比で表して8倍以上の酢酸、または50倍〜105倍の2−プロパノールで還元して、金属微粒子として析出させる。本発明の製造方法は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属微粒子を製造するために、好適に採用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に、燃料電池用触媒等として好適に用いることができる金属微粒子の製造方法に関するものである。
燃料電池用触媒や排ガス浄化用触媒等としては、金属、特に、貴金属を用いた金属触媒が使用されるが、貴金属元素は地球上に限られた量しか存在しないことから、その使用量を極力減らし、しかも、触媒としての作用はできるだけ向上させることが求められる。そこで、金属触媒としては、例えば、カーボンブラックや無機化合物等からなる担体粒子の表面に、金属微粒子を担持させた複合構造を有するものが用いられる。
触媒作用は、主に、金属の表面において発揮されることから、前記複合構造の金属触媒において、良好な触媒作用を維持しつつ、金属の使用量をできるだけ少なくするためには、担体粒子の表面に担持させる金属微粒子を、できるだけ小粒径で、比表面積の大きいものとすることが有効である。
担体粒子の表面に、金属微粒子を担持させる方法としては、含浸法と呼ばれる高温処理法や、液相還元法、気相法等があり、特に、近年、製造設備の簡易化が容易な液相還元法、すなわち、担体粒子を分散させた液相の反応系中で、析出対象である金属のイオンを、還元剤の作用によって還元して、担体粒子の表面に、微粒子状に析出させて、担持させる方法が、広く普及しつつある。
液相還元法によって形成する金属微粒子の粒径を小さくするためには、析出させた金属微粒子の表面に吸着して、前記表面への、新たな金属の析出による、金属微粒子の成長や、析出した金属微粒子同士の凝集による、金属微粒子の成長等を抑制する働きを有する分散剤を、前記反応系中に含有させて、前記分散剤の存在下、還元剤の作用によって、金属のイオンを還元して析出させることが行われる。前記還元剤としては、有機の高分子化合物や界面活性剤等が、一般的に用いられる。
しかし、前記高分子化合物等の、従来の分散剤を使用した場合、製造される金属微粒子の粒径の下限は3.0nm程度が限界であり、それより粒径の小さい金属微粒子を製造することはできなかった。そこで、特許文献1において、分散剤として、エチレンおよび/またはアセチレンを使用することが提案された。
すなわち、特許文献1には、分散剤として、エチレンおよび/またはアセチレンを用いると共に、還元剤として、塩酸ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、エタノール、メタノール、ヒドラジンヒドラート、L−アスコルビン酸等を用いることによって、担体粒子の表面に、パラジウム、ロジウム、イリジウム、白金等からなり、粒径が16〜20Å(1.6〜2nm)の微細な金属微粒子を析出できたことが記載されている。
特開平6−114274号公報(請求項1〜3、段落[0012]〜[0022])
しかし、特許文献1に記載の製造方法でも、粒径が前記範囲よりさらに小さい、微細な金属微粒子を製造することはできなかった。本発明の目的は、現状よりもさらに微細な金属微粒子を製造することができる金属微粒子の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、発明者は、液相還元法による金属微粒子の製造方法における、前記金属微粒子の成長過程について、さらに検証した。その結果、還元剤と分散剤とを併用した系では、金属のイオンが、還元剤の作用によって還元されて、金属微粒子として析出する還元析出反応と、析出した金属微粒子の表面に分散剤が吸着する吸着反応との間に、どうしても、タイムラグが生じてしまい、金属微粒子が析出してから、その表面に分散剤が吸着して、それ以上の成長を抑制するまでの間、前記金属微粒子が成長を続けるため、微細な金属微粒子を製造できないことが判明した。
そこで、発明者は、前記析出反応と吸着反応とのタイムラグをできるだけ短くすることを検討した結果、還元剤として酢酸または2−プロパノールを使用すると共に、液相の反応系中に添加する前記還元剤の量を、金属のイオンに対するモル比で表して、液相還元法における通常の使用量、例えば特許文献1の1.0〜2.0倍などよりもはるかに多量に使用すると、これまでよりも、還元析出反応と吸着反応とのタイムラグを短くできることを見出した。
すなわち、酢酸の場合は8倍以上、2−プロパノールの場合は50倍〜105倍の範囲内とすると、反応系中に過剰に添加された前記酢酸または2−プロパノールが、分散剤としても機能して、金属微粒子の析出とほぼ同時に、その表面に、吸着して、金属微粒子の成長を抑制するため、これまでに比べて粒径がさらに小さい、微細な金属微粒子を製造できることが判明した。
したがって、請求項1に記載の発明は、金属微粒子のもとになる、金属のイオンを含む液相の反応系中で、前記イオンを、モル比で表して8倍以上の酢酸、または50倍〜105倍の2−プロパノールで還元して、金属微粒子として析出させる工程を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法である。
本発明の金属微粒子の製造方法は、種々の金属からなる金属微粒子の製造に適用することができるが、特に、請求項2に記載したように、金属触媒としての機能に優れる上、微粒子化することの効果が顕著な、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属微粒子の製造に適用するのが好ましい。
また、前記金属微粒子を、燃料電池用触媒や排ガス浄化用触媒等として好適に使用するためには、請求項3に記載したように、反応系中に担体粒子を分散させることによって、前記担体粒子の表面に、析出させた金属微粒子を担持させるのが好ましい。
本発明によれば、現状よりもさらに微細な金属微粒子を製造することができる金属微粒子の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の金属微粒子の製造方法は、金属微粒子のもとになる、金属のイオンを含む液相の反応系中で、前記イオンを、モル比で表して8倍以上の酢酸、または50倍〜105倍の2−プロパノール(以下両者を「特定還元剤」と総称する場合がある)で還元して、金属微粒子として析出させる工程を含むことを特徴とする。
本発明において使用する還元剤が、酢酸または2−プロパノールに限定されるのは、次の理由による。すなわち、発明者の検討によると、還元剤を、金属微粒子の表面に吸着させて、分散剤としても機能させるためには、前記還元剤が、分子中に、酸素、フッ素、窒素等の電気陰性度の高い元素を含んでいる必要がある。
しかし、分子が小さすぎる場合には、たとえ、前記元素を含んでいても、分散剤としては機能させることができない。一方、分子が大きすぎる場合には、前記分子が介在することで、析出する金属微粒子間の距離が離れすぎるため、特に、担体粒子の表面に、金属微粒子を担持させた複合構造の金属触媒を製造する場合には、担持される金属微粒子の量が不足して、所定の触媒作用を発現しうる金属触媒を製造できないおそれがある。そのため、分散剤としても機能させる還元剤としては、特許文献1に記載されたエチレンやアセチレン程度の分子量を有している化合物(炭素数が2〜3程度の化合物)が好ましい。
これらの観点からすると、前記2種の特定還元剤以外にも、液相の反応系中に過剰に添加した際に、分散剤としても機能させることができる還元剤としては、種々の化合物が考えられる。例えば、エタノール、メタノール等の1級アルコールや、アセトアルデヒド等のアルデヒドも、分散剤として機能させることは可能であると考えられる。しかし、1級アルコールやアルデヒドは、酢酸や2−プロパノールに比べて還元力が強く、金属微粒子の成長を促進しやすいため、たとえ、分散剤として機能させることができたとしても、製造される金属微粒子の粒径を小さくする効果は得られない。
しかも、1級アルコールのうち、エタノールは、金属のイオンを還元して、自身が酸化される際に、エタノール(1級アルコール)→アセトアルデヒド(アルデヒド)→酢酸(カルボン酸)→水+二酸化炭素という3段階の酸化反応をし、前記反応の途中の段階では、先に説明したように、互いに還元力が異なる還元剤として機能するエタノールとアセトアルデヒドと酢酸とが共存することになるため、製造される金属微粒子の粒径がばらつくという問題も生じる(二酸化炭素は、ガス化して系外へ除去されるため還元剤としては機能しない)。
アセトアルデヒドについても同様であって、前記アセトアルデヒドは、先に説明したように、2段階の酸化反応をして、最終的に、水と二酸化炭素とを生じるのであるが、その途中の段階では、互いに還元力が異なる還元剤として機能するアセトアルデヒドと酢酸とが共存することになるため、製造される金属微粒子の粒径がばらつくという問題を生じる。
メタノールは、メタノール(1級アルコール)→ホルムアルデヒド(アルデヒド)→蟻酸(カルボン酸)→水+二酸化炭素という3段階の酸化反応をし、その途中の段階では、互いに還元力が異なる還元剤として機能するメタノールとホルムアルデヒドと蟻酸とが共存することになるため、製造される金属微粒子の粒径がばらつく上、蟻酸は、分子中に、カルボキシル基とアルデヒド基とを有し、酢酸よりもアセトアルデヒドに近い性質を有しており、還元力が強いため、金属微粒子の粒径を小さくする効果も得られない。
これに対し、酢酸は、1級アルコールやアルデヒドに比べて還元力が弱いため、液相の反応系中に過剰に添加して、分散剤としても機能させた際に、還元析出反応と吸着反応とのタイムラグをできるだけ小さくして、金属微粒子の粒径を小さくする効果に優れている。しかも、酢酸は、先に説明したように、1段階の酸化反応によって、水と二酸化炭素とを生じる上、二酸化炭素は、先に説明したように、還元剤としては機能せずに、ガス化して系外へ除去されるため、還元反応中は、還元剤として、酢酸のみが存在することになり、結果として、製造される金属微粒子の粒径がばらつくおそれもない。
また、2−プロパノールも、1級アルコールやアルデヒドに比べて還元力が弱いため、液相の反応系中に過剰に添加して、分散剤としても機能させた際に、還元析出反応と吸着反応とのタイムラグをできるだけ小さくして、金属微粒子の粒径を小さくする効果に優れている。しかも、2−プロパノールは、2−プロパノール→アセトンという1段階の酸化反応をし、生成されるアセトンは、それ以上酸化されず、還元剤としては機能しない上、低沸点で、揮発性を有し、反応系の熱によって揮発して系外へ除去されるため、還元反応中は、還元剤として、2−プロパノールのみが存在することになり、結果として、製造される金属微粒子の粒径がばらつくおそれもない。
析出させる金属のイオンに対する、特定還元剤としての酢酸のモル比が8倍以上、2−プロパノールのモル比が50倍以上に限定されるのは、モル比が前記範囲未満では、液相の反応系中に析出した金属微粒子の表面に、分散剤として吸着する特定還元剤の量が不足して、吸着による、金属微粒子の成長を抑制して、粒径を小さくする効果が得られないためである。
また、2−プロパノールのモル比が105倍以下に限定されるのは、前記2−プロパノールは、本来的に、1級アルコールやアルデヒドに比べて極性が小さいことから、モル比が105倍以下の範囲内であれば、ゆっくりとした還元反応をして、金属微粒子の粒径を小さくする効果を得ることができるが、105倍を超える場合には、反応系中での、金属イオンと2−プロパノールとの衝突確率が増加して、還元反応が進行しやすくなる結果、粒径を小さくする効果が得られないためである。
なお、酢酸のモル比の上限については、特に限定されないが、2000倍以下であるのが好ましい。これは、次の理由による。すなわち、金属のイオンと、酢酸とのモル比を調整するには、反応系に添加する金属のイオンの量と、酢酸の量とを、それぞれ、個別に変更することが考えられるが、反応系の、金属のイオンを還元析出させるのに適したpHの範囲等を維持することを考慮すると、反応系に添加できる酢酸の量には限界がある。
そのため、酢酸のモル比を大きくするには、相対的に、金属のイオンの量を小さくしなければならないが、モル比が2000倍を超える場合には、金属のイオンの添加量が、著しく小さくなるため、1回の処理で析出できる金属微粒子の量が著しく少なくなって、金属微粒子の生産性が低下するおそれがある。また、担体粒子の表面に、金属微粒子を担持させた複合構造の金属触媒を製造する場合には、担持される金属微粒子の量が不足して、所定の触媒作用を発現しうる金属触媒を製造できないおそれもある。
また、これら効果のバランスを取って、より小粒径化された金属微粒子を、生産性よく製造したり、単体粒子の表面に、十分な量の金属微粒子を担持させたりすることを考慮すると、金属のイオンに対する酢酸のモル比は、前記範囲内でも40倍〜1700倍、特に50倍〜500倍であるのが好ましい。
本発明の製造方法は、還元剤として、酢酸または2−プロパノールを使用すると共に、その量を、従来に比べて多めの範囲に設定すること以外は、従来と同様に実施することができる。例えば、液相の反応系は、分散媒として水を使用するとともに、金属のイオンを、前記金属を含む水溶性の金属化合物の形で、水に溶解した水溶液とするのが好ましい。
本発明の製造方法によって製造する金属微粒子は、金属触媒としての機能に優れる上、微粒子化することの効果が顕著な、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属微粒子であるのが好ましく、このうち、白金のもとになる水溶性の金属化合物としては、例えば、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO22(NH32)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H2〔PtCl6〕・6H2O)等が挙げられ、特に、ジニトロジアンミン白金(II)が好ましい。
また、ロジウムの場合は、塩化ロジウム(III)溶液(RhCl3・3H2O)、パラジウムの場合は、塩化パラジウム(II)溶液(PdCl2)、ルテニウムの場合は、硝酸ルテニウム(III)溶液(Ru(NO3)3)、イリジウムの場合は、ヘキサクロロイリジウム(III)酸六水和物(2(IrCl6)・6H2O)、金の場合は、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl4・4H2O)等が挙げられる。銀の場合は、硝酸銀(I)(AgNO3)、メタンスルホン酸銀(CH3SO3Ag)等が挙げられ、特に、硝酸銀(I)が好ましい。
金属微粒子は、燃料電池用触媒や排ガス浄化用触媒等として好適に使用するため、反応系中に担体粒子を分散させることによって、前記担体粒子の表面に担持させた複合構造の金属触媒を構成するのが好ましい。担体粒子としては、カーボンや無機化合物の粒子が挙げられ、カーボンの粒子としては、種々のカーボンブラックが使用できる。
また、無機化合物の粒子としては、γ−アルミナ等のアルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、およびこれらの複合酸化物等の金属酸化物の粒子や、窒化チタン、窒化鉄、窒化ケイ素等の金属窒化物の粒子、あるいは硫化銀の粒子等が挙げられる。担体粒子の粒径は、金属触媒の用途等に応じて適宜の範囲に設定することができるが、例えば、無機化合物の粒子の粒径は、比表面積で表して50〜500m2/g程度であるのが好ましい。
本発明の金属微粒子の製造方法によって、複合構造を有する金属触媒を製造する場合には、所定量の担体粒子を、分散媒としての水に分散させると共に、特定還元剤と、金属のイオン源となる水溶性の金属化合物とを、それぞれ所定の濃度で含む液相の反応系を調製し、前記反応系を、所定の温度条件下で一定時間、反応させることによって、反応系中に分散した担体粒子の表面に、金属イオンの還元によって析出した金属微粒子が担持される。
先に説明したように、金属微粒子の粒径は、金属イオンに対する、特定還元剤のモル比を調整することによって、任意に調整することができるが、さらに、反応系の温度や粘度、かく拌の有無、かく拌する場合はかく拌速度などを調整することによっても、副次的に調整することができる。すなわち、反応系の温度が低いほど、また粘度が高いほど、さらにかく拌する場合はかく拌速度が低いほど、形成される金属微粒子の粒径が小さくなる傾向がある。したがって、形成する金属微粒子の種類や粒径、使用する特定還元剤の種類や量、その他の条件を考慮しながら、反応系の温度、粘度、かく拌条件等を設定するのが好ましい。
液相の反応系中には、例えば、反応系のpHを、金属のイオンの還元析出に適した範囲に調整するためのpH調整剤、担体粒子を分散させるための分散剤、反応系の粘度を調製するための粘度調整剤等の添加剤を添加してもよい。
このうち、pH調整剤としては、各種の酸やアルカリが何れも使用可能であるが、特に、核成長の起点となって異常な核成長を生じさせるおそれのある不純物元素を含まない、酸やアルカリを使用するのが好ましい。かかる、不純物元素を含まない酸としては、硝酸等を挙げることができ、アルカリとしては、アンモニア水等を挙げることができる。
反応系のpHの好適な範囲は、析出させる金属の種類や、そのもとになる金属のイオン源としての、金属化合物の種類等によって異なり、また、その好適な範囲内でpHを小さくするほど、形成される金属微粒子の粒径が小さくなる傾向がある。よって、形成する金属微粒子の種類や粒径、使用する還元剤の種類、その他の条件を考慮しながら、pH調整剤を添加するか否か、添加する場合は、どの程度の量を添加するか、を選択するのが好ましい。
また、分散剤や粘度調整剤としては、従来公知の種々の化合物を用いることができるが、この両者の機能を兼ね備えた高分子分散剤を使用するのが好ましい。かかる高分子分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤や、カルボキシメチルセルロース等の、分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、あるいは、1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体(以下「PEI−PO共重合体」とする)等を挙げることができる。
高分子分散剤の添加量は、特に、限定されないが、添加量を多くするほど反応系の粘度が上昇して、形成される金属微粒子の粒径が小さくなる傾向があることから、製造する金属微粒子の粒径や、使用する還元剤の種類、その他の条件を考慮しながら、好適な添加量の範囲を設定するのが好ましい。
〈実施例1〜10、比較例1〜3〉
カーボンブラック〔ライオン(株)製のケッチェンブラック(登録商標)ECP−600JD、BET比表面積:約1400m2/g〕1gと、特定還元剤としての酢酸〔和光純薬工業(株)製の試薬特級グレード〕100mlとを、4つ口フラスコに入れ、約80℃で360分間、加熱還流した。次に、予め、別の恒温水槽で、90℃に温めておいた、表1に示す量のジニトロジアンミン白金(II)硝酸溶液(濃度50g/リットル)と、純水とを加えて、全量が2.5リットルとなるように調整した。
次に、前記反応系を、マグネチックスターラを用いて、500rpmの回転数でかく拌しながら、還流下、約90℃で6時間、反応させることにより、反応系中に分散した担体粒子の表面に、還元された白金を、微粒子状に析出させて、担持させた後、担体粒子を反応系からろ別し、純水によって洗浄し、さらに窒素雰囲気中で乾燥することによって、白金触媒を製造した。
〈白金微粒子の担持量および粒径測定〉
白金微粒子の担持量および粒径は、下記の手順で求めた。すなわち、CO吸着法により、製造した白金触媒を前処理温度120℃、吸着温度50℃の条件で処理してCO吸着量を求め、その結果から、カーボンブラックの表面に担持された白金微粒子の比表面積を算出した。
また、製造した白金触媒における白金微粒子の担持量を、ICP(Inductively Coupled Plazma、誘導結合プラズマ)分光分析法によって測定した。そして、前記担持量と比表面積とから、式(1):
D=5VC/S=5(C/100/d)×100/S (1)
〔式中、Dは白金微粒子の粒径(nm)、VCは試料1gあたりの白金微粒子の体積(cm3)、Sは白金微粒子の比表面積(m2/g-cat)、dは白金の密度(g/cm3)、Cは白金微粒子の担持量(重量%)を示す。〕
により、カーボンブラックの表面に担持された白金微粒子の粒径を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2007254873
表より、白金イオンに対する酢酸のモル比を8倍以上とした実施例1〜10によれば、前記範囲未満とした比較例1〜3に比べて粒径の小さい、粒径が1.5nm以下という微細な白金微粒子を、担体粒子の表面に担持できることが確認された。また、各実施例を比較すると、白金イオンに対する酢酸のモル比は、前記範囲内でも40倍〜1700倍、特に50倍〜500倍であるのが、白金微粒子の粒径を小さくする上で、好ましいことも確認された。
〈実施例11、12、比較例4〜12〉
特定還元剤として、酢酸に代えて、表2に示す量の2−プロパノール〔和光純薬工業(株)製の試薬特級グレード〕を使用したこと以外は、実施例1〜10と同様にして、白金触媒を製造し、白金微粒子の比表面積と担持量とを測定すると共に、粒径を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2007254873
表より、白金イオンに対する2−プロパノールのモル比を50倍〜105倍とした実施例11、12によれば、前記範囲を超える値とした比較例4〜6、および前記範囲未満とした比較例7〜12比べて粒径の小さい、粒径が1.5nm以下という微細な白金微粒子を、担体粒子の表面に担持できることが確認された。

Claims (3)

  1. 金属微粒子のもとになる、金属のイオンを含む液相の反応系中で、前記イオンを、モル比で表して8倍以上の酢酸、または50倍〜105倍の2−プロパノールで還元して、金属微粒子として析出させる工程を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  2. 白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属微粒子を製造する請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
  3. 液相の反応系中に担体粒子を分散させることによって、前記担体粒子の表面に、析出させた金属微粒子を担持させる請求項1または2に記載の金属微粒子の製造方法。

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