JP2007254646A - 光硬化性組成物及びこれを硬化させてなる光制御膜 - Google Patents

光硬化性組成物及びこれを硬化させてなる光制御膜 Download PDF

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Abstract

【課題】光散乱角度域が広い光制御膜の原料として好適な光硬化性組成物を提供し、この光硬化性組成物を硬化させることにより、光散乱角度域が広い光制御膜を提供する。
【解決手段】重合性化合物として、それぞれ分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を有し、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の化合物を用い、光重合開始剤として、オキシム系化合物を用いて、光硬化性組成物とする。この光硬化性組成物の膜に光を照射して硬化させることにより、光制御膜とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光制御膜の原料として好適な光硬化性組成物に関する。また、本発明は、この光硬化性組成物を硬化させてなる光制御膜にも関係している。
光制御膜(例えば特許文献1〜8参照)は、その曇価に角度依存性があるという特異な性質を生かして、例えば、プライバシーを保護するため、窓ガラスやキャッシュディスペンサーのタッチパネルなどに貼着して視野角制御フィルムとして用いられたり、フラットパネルディスプレーなどに貼着して視野角拡大フィルムとして用いられたりしている。また、光制御膜をプロジェクション用スクリーンに適用することも提案されている(例えば特許文献9〜15参照)。
光制御膜における曇価の角度依存性は、次のようにして測定される。すなわち、図1に示す如く、光制御膜の試験片1への入射光の角度θを0〜180°の間で変化させて、それぞれの角度毎に曇価を測定すると、特定の角度範囲では入射光が散乱して高い曇価を示し、それ以外の角度範囲では入射光が基本的に直進透過して低い曇価を示す。そして、この高い曇価を示す角度範囲を、本明細書では光散乱角度域と呼ぶこととする。
なお、角度θは、試験片1の面と平行な方向を0°とし、試験片1の法線方向を90°とする値であり、試験片1の回転は、曇価の角度依存性が最大となる方向に行う。図中にあるAとBは、左の図(試験片1に垂直方向から光を入射する場合:θ=90°)と右の図(試験片1に斜め方向から光を入射する場合)とで、試験片1の対応する部分がわかるように付した符号である。
また、曇価は、積分球式光線透過率測定装置を用いて、光制御膜の全光線透過率及び拡散透過率を測定し、下式により求められる値である。
Figure 2007254646
そして、このような光制御膜を得るため、例えば、特許文献1〜5や8には、それぞれ分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を有し、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の化合物を含有する光硬化性組成物を原料として用い、この組成物の膜に所定の方向から光を照射して硬化させることが開示されており、その際、硬化を促進するため、光重合開始剤として、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを配合することが記載されている。
特開昭63−309902号公報(特公平7−58361号公報) 特開昭64−40905号公報(特許第2547419号公報) 特開昭64−77001号公報(特許第2691543号公報) 特開平2−67501号公報(特許第2702521号公報) 特開平2−54201号公報(特許第2782200号公報) 特開平3−107901号公報(特許第2822065号公報) 特開平3−107902号公報(特許第2782250号公報) 特開平6−11606号公報(特許第3211381号公報) 特開平3−127039号公報 特開平3−127042号公報(特許第2838295号公報) 特開平3−200949号公報 特開平4−77728号公報 国際公開第2004/034145号パンフレット 特開2005−316354号公報 特開2005−331631号公報
光制御膜としては、視野角制御効果を高めるため、また視野角拡大効果を高めるため、光散乱角度域が広いものが求められることが多いが、従来の光硬化性組成物では、かかる光制御膜が容易に得られ難いという問題があった。そこで、本発明の目的は、光散乱角度域が広い光制御膜の原料として好適な光硬化性組成物を提供することにある。そして、この光硬化性組成物を硬化させることにより、光散乱角度域が広い光制御膜を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、前記の光硬化性組成物に光重合開始剤としてオキシム系化合物を配合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、それぞれ分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を有し、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の化合物、及びオキシム系化合物を含有する光硬化性組成物を提供するものである。また、本発明によれば、この光硬化性組成物の膜に光を照射して硬化させてなる光制御膜も提供される。
本発明の光硬化性組成物を用いることにより、光散乱角度域の広い光制御膜を容易に得ることができる。
本発明の光硬化性組成物は、分子内に少なくとも1個の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、単に重合性化合物ということがある)を含有するものである。この重合性化合物は、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アリリデン基、スチリル基、アクリロイルアミノ基、クロトニル基、シンナモイル基、ブタジエン構造の如き共役ポリエン構造、シクロペンテン環構造の如きシクロオレフィン環構造などとして有するものであり、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アリリデン基として有するものであり、より好ましくは、アクリロイル基として有するものである。
このような重合性化合物としては、各種モノマーないしオリゴマーが使用でき、モノマーの好ましい例としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートや、これらの単官能性アクリレートに対応するメタクリレート、さらには、N−ビニルピロリドン、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、ジアリリデンペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、オリゴマーの好ましい例としては、ポリエステルアクリレート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオールポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリレート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポリアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートや、これらの多官能性アクリレートに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
本発明の光重合性組成物では、これらの重合性化合物が少なくとも2種類用いられ、その際、互いに屈折率が異なるものが選択される。このように互いに屈折率が異なる少なくとも2種類の重合性化合物を含有する組成物の膜に所定の方向から光を照射して硬化させることで、光を散乱する領域、すなわち光散乱角度域が形成される。この組成物は、それを構成する複数の化合物相互の溶解性と屈折率差によって、曇価の角度依存性を発現するものであり、相溶性があまり良くない組合せで屈折率差が大きく、かつ反応速度が異なる場合に、光の散乱する度合い、すなわち曇価が大きくなる。この屈折率差は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上である。また、各化合物の使用割合は、通常、任意の1種類の化合物100重量部を基準として、これ以外の化合物がそれぞれ10〜900重量部である。なお、重合性化合物を3種類以上使用する場合、必ずしも全ての化合物の屈折率が互いに異なっている必要はなく、いずれか2つ化合物の屈折率が互いに異なっていればよい。
また、本発明の光硬化性組成物は、光重合開始剤として、オキシム系化合物を含有するものである。このように特定の光重合開始剤を配合することにより、光散乱角度域が広い光制御膜を得ることができる。また、光散乱角度域の曇価を高めることもできる。
オキシム系化合物は、オキシムないしそのO−置換体であり、好ましくはO−アシルオキシムである。その好ましい例として、次の式(I)で示されるものを挙げることができる。
Figure 2007254646
〔式(I)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、フェニル基、シアノ基又はニトロ基を表し、R2は炭素数2〜12のアシル基を表し、R3〜R7はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、フェニルチオ基又はハロゲン原子を表す。〕
式(I)中、R1が炭素数1〜20のアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基などが挙げられ、R1が炭素数1〜4のハロアルキル基である場合、このハロアルキル基の例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、クロロブチル基、ブロモブチル基などが挙げられる。R1は炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基であるのがよい。
式(I)中、R2で表される炭素数2〜12のアシル基は、例えば、アルカノイル基であってもよいし、ベンゾイル基であってもよく、このアルカノイル基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などが挙げられる。R2は炭素数2〜8のアシル基であるのがよい。
式(I)中、R3〜R7のいずれかが炭素数1〜12のアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。R3〜R7はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はフェニルチオ基であるのがよい。
式(I)で示される化合物は、例えば、特開2000−80068号公報に記載の方法に準じて、調製することができる。
また、オキシム系化合物の好ましい例として、次の式(II)で示されるものを挙げることができる。
Figure 2007254646
〔式(II)中、R8は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、フェニル基、シアノ基又はニトロ基を表し、R9は炭素数2〜12のアシル基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表し、R11〜R15はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子を表す。〕
式(II)中、R8が炭素数1〜20のアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基などが挙げられ、R8が炭素数1〜4のハロアルキル基である場合、このハロアルキル基の例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、クロロブチル基、ブロモブチル基などが挙げられる。R8は炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基であるのがよい。
式(II)中、R9で表される炭素数2〜12のアシル基は、例えば、アルカノイル基であってもよいし、ベンゾイル基であってもよく、このアルカノイル基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などが挙げられる。R9は炭素数2〜8のアシル基であるのがよい。
式(II)中、R10が炭素数1〜12のアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。R10は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であるのがよい。
式(II)中、R11〜R15のいずれかが炭素数1〜12のアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。R11〜R15はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であるのがよい。
式(II)で示される化合物は、例えば、特表2004−534797号公報に記載の方法に準じて、調製することができる。
オキシム系化合物の使用量は、重合性化合物の全量100重量部に対し、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部である。この使用量が多いほど、得られる光制御膜の光散乱角度域が広くなり、光硬化性組成物の硬化も促進される傾向にあるが、あまり多いと、得られる光制御膜の熱や光、物理的衝撃、有機溶剤などに対する耐性が低くなる傾向にある。オキシム系化合物は、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
なお、本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、オキシム系化合物以外の光重合開始剤、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれていてもよい。
また、本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、重合性化合物及び光重合開始剤以外の成分、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロンの如きポリマー類、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルの如き有機溶剤、有機ハロゲン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤の如き添加剤などが含まれていてもよい。
以上説明した本発明の光硬化性組成物の膜に所定の方向から光を照射して硬化させることで、具体的には、この組成物を基板上に塗布するか、又はセル中に封入して膜状とし、棒状光源より光を照射しながら徐々に硬化させることで、入射光が広い角度域で散乱し、他の角度域では基本的に直進透過する光散乱膜、すなわち光制御膜が得られる。硬化に用いる光は、この組成物を硬化させるものであればどのような波長を有していてもよく、例えば、可視光、紫外線などがよく用いられる。紫外線は、水銀ランプやメタルハライドランプなどから発せられるが、棒状のランプを用いた場合には、その照射条件を調節することにより、生成した光硬化膜が光源の長軸と短軸方向に対して異方性を示し、光源の長軸方向を軸として回転させた場合にのみ、特定角度の光を散乱するようになる。
光硬化の際、光の照射方向を中心に光散乱角度域が発現する。例えば、光硬化性組成物から形成された膜面にほぼ垂直に光を照射すれば、当該垂直方向、すなわち法線方向を中心に、光散乱角度域が発現するし、法線方向に対して所定角度傾いた斜め方向から光を照射すれば、その傾いた方向を中心に、光散乱角度域が発現する。
光硬化性組成物膜に対して垂直方向から光を照射する場合の例を、図2に基づいて説明する。図2の(A)は、光硬化性組成物膜に対して垂直方向から光を照射する場合に採用しうる装置の一例を模式的に示す側面図であり、同(B)は、その装置の斜視図である。この装置は、白抜き矢印方向に移動するコンベア2と、その上方に配置され、コンベアの幅方向にわたってスリット4が形成された遮光板3と、さらにその上方に所定距離隔てて配置された棒状の光源ランプ5とで構成されている。スリット4は、光源ランプ5の長さ方向と一致するように形成されている。そして、光硬化性組成物膜が形成された基板6をコンベア2上に載置し、一定速度で移動させながら、光源ランプ5からの光を遮光板3のスリット4を介して光硬化性組成物膜に照射すれば、該組成物膜には垂直方向の光が中心となってあたるので、垂直方向(法線方向)に屈折率の異なる相が交互に形成され、その方向を中心に光散乱角度域が発現することになる。スリット4の幅や棒状の光源ランプ5から光硬化性樹脂膜までの距離、光硬化性樹脂膜の厚さ、照射光量、照射光の波長などを制御することにより、曇価が大きくなる角度範囲、すなわち光散乱角度域をさらに広くできる。
次に、光硬化性組成物膜に対して斜め方向から光を照射する場合の例を、図3に基づいて説明する。図3の(A)は、光硬化性組成物膜に対して斜め方向から光を照射する場合に採用しうる装置の一例を模式的に示す側面図であり、同(B)は、その装置の斜視図である。この装置は、白抜き矢印方向に移動するコンベア2と、その上方で所定位置を覆う遮光板3と、さらにその上方に所定距離隔てて配置された棒状の光源ランプ5とで構成されている。この例における遮光板3は、その端部が光源ランプ5の直下からコンベア2の進行方向側へ少しはみ出している。そして、光硬化性組成物膜が形成された基板6をコンベア2上に載置し、一定速度で移動させながら、光源ランプ5からの光を遮光板3側に向けて照射すれば、所定の角度αをもった光が中心となって光硬化性組成物膜にあたるので、この光の入射方向に屈折率の異なる相が交互に形成され、その方向を中心に光散乱角度域が発現することになる。光照射角度αを変化させることにより、光散乱角度域の中心値を変化させることができ、また、光源ランプ5から光硬化性組成物膜までの距離や光硬化性組成物膜の厚さ、照射光量、照射光の波長などを制御することにより、曇価が大きくなる角度範囲、すなわち光散乱角度域をさらに広くできる。
こうして得られる本発明の光制御膜は、60%以上の曇価を示す光散乱角度域の幅が40°以上であるのが好ましく、より好ましくは50°以上である。ただし、この光散乱角度域の幅があまり大きいと、視野角制御フィルムや視野角拡大フィルム、プロジェクション用スクリーンやその部材などとして、かえって使い難くなるので、通常は100°以内である。
本発明の光制御膜は、広い光散乱角度域を有し、それ自体が優れた光拡散性能を有するが、その光散乱角度範囲をさらに広げるため、あるいは光散乱の均一性を向上させるために、2枚以上積層して用いることもできる。光制御膜の積層は、例えば、光制御膜を適当な大きさに切断し、枚葉で貼合することにより行ってもよいし、個別に作製した2枚以上の光制御膜を同時に貼合装置に供給し、連続的に貼合することにより行ってもよい。その際、光制御膜同士の貼合をより強固なものにするために、膜間に粘着剤等の媒体を挿入することも可能である。
本発明の光制御膜は、透明ガラスや透明プラスチック等の透明基材表面に被着させたり、複数の基材の間に介挿させたりして用いることもできる。また、特にプロジェクション用スクリーンに適用する場合、磨りガラスや、フィラー添加量が比較的少なく、光拡散性を低下させて全光線透過率を高めた光拡散板に、光制御膜を積層して用いることもできる。光制御膜を形成する際に用いる基板を、そのまま、上記した透明又は光拡散性の基材とすることもできる。
また、本発明の光制御膜は、平板で用いてもよいし、最外層をレンチキュラーレンズなどのレンズ形状にしてもよい。レンズ曲面を形成する方法としては、レンズ曲面を有する基材に光制御膜を積層する方法のほか、レンズ曲面を有する光制御膜を形成する方法がある。後者の方法を採用する場合、例えば、レンズ曲面を有する鋳型を使用して、そこに光硬化性組成物を塗布し、さらに光照射して、硬化膜にレンズ曲面をもたせればよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す部は、重量基準である。
実施例1
平均分子量約3,000のポリプロピレングリコールと、該ポリプロピレングリコール2モルあたり、0.3モルのトルエンジイソシアネート、2.7モルのヘキサメチレンジイソシアネート及び2モルの2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応によって得たポリエーテルウレタンアクリレート(屈折率1.460)40部に対して、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート(屈折率1.6以上)30部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(屈折率1.526)30部及び式(Ia)
Figure 2007254646
で示される化合物〔式(I)において、R1がn−ヘキシル基であり、R2がベンゾイル基であり、R3、R4、R6及びR7が水素原子であり、R5がフェニルチオ基である化合物;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のIrgacure OXE01〕0.5部を添加混合した光硬化性組成物を、フィルム状の透明ポリエチレンテレフタレート基材(以下、PET基材という)上に約220μmの厚さで塗布した。その塗膜の上方80cmの位置に、80W/cmの棒状高圧水銀ランプを固定し、塗膜全面に光が垂直にあたるようにスリットをつけた遮光板を介して、0.2m/分の速度で塗膜付きPET基材を横方向へ移動させつつ光照射し(図2参照)、光制御膜を得た。この光制御膜について、積分球式光線透過率測定装置〔ガードナー社のヘイズガードプラス4725〕を用い、入射光の角度を0〜180°の間で変化させて、角度毎の曇価を測定した結果、60%以上の曇価を示す光散乱角度域は61〜116°の範囲(幅55°)であった。また、この光散乱角度域における曇価の最大値は99.1%であった。
実施例2
式(Ia)で示される化合物0.5部に代えて、式(IIa)
Figure 2007254646
で示される化合物〔式(II)において、R8がメチル基であり、R9がアセチル基であり、R10がエチル基であり、R11がメチル基であり、R12〜R15が水素原子である化合物;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のCGI242〕0.5部を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、光制御膜を得た。この光制御膜について、実施例1と同様に曇価を測定した結果、60%以上の曇価を示す光散乱角度域は39〜103°の範囲(幅64°)であった。また、この光散乱角度域における曇価の最大値は99.9%であった。
比較例1
式(Ia)で示される化合物0.5部に代えて、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン1.5部を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、光制御膜を得た。この光制御膜について、実施例1と同様に曇価を測定した結果、60%以上の曇価を示す光散乱角度域は67〜102°の範囲(幅35°)であった。また、この光散乱角度域における曇価の最大値は95.3%であった。
本発明の光制御膜は、例えば、窓ガラスやキャッシュディスペンサーのタッチパネルなどに貼着して視野角制御フィルムとして用いることができる。また、フラットパネルディスプレーなどに貼着して視野角拡大フィルムとして用いることもできる。さらに、プロジェクション用スクリーンに適用することもできる。
また、本発明の光硬化性組成物を用いて、例えば特開昭64−40906号公報に開示の如く、曇価に角度依存性がない光散乱膜を得ることも可能である。
曇価の角度依存性の測定方法を説明するための図である。 光硬化性組成物塗膜に対して垂直方向から光を照射する場合の装置の例を示す側面図(A)と斜視図(B)である。 光硬化性組成物塗膜に対して斜め方向から光を照射する場合の装置の例を示す側面図(A)と斜視図(B)である。
符号の説明
1……曇価を測定する試験片、
2……コンベア、
3……遮光板、
4……遮光板に設けられたスリット、
5……棒状の光源ランプ、
6……光硬化性組成物膜が形成された基板。

Claims (4)

  1. それぞれ分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を有し、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の化合物、及びオキシム系化合物を含有することを特徴とする光硬化性組成物。
  2. オキシム系化合物が式(I)
    Figure 2007254646
    〔式(I)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、フェニル基、シアノ基又はニトロ基を表し、R2は炭素数2〜12のアシル基を表し、R3〜R7はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、フェニルチオ基又はハロゲン原子を表す。〕
    で示される化合物である請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. オキシム系化合物が式(II)
    Figure 2007254646
    〔式(II)中、R8は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、フェニル基、シアノ基又はニトロ基を表し、R9は炭素数2〜12のアシル基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表し、R11〜R15はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子を表す。〕
    で示される化合物である請求項1に記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性組成物の膜に光を照射して硬化させてなる光制御膜。
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