JP2007254571A - 粉体接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性が良く、小接着面積加工材料に対して、仮止め加工の際に安定して上記の加工材料を仮固定できる適度の塗布厚みを有する塗布性、仮止め適性、接着性および加工後の使用済み接着剤組成物の洗浄除去が容易にできる粉体からなる接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】セラック樹脂を主成分とする樹脂粉体(a)と、トリメチロールプロパンの安息香酸エステル類(化合物b)とアルキルベンゼンスルホンアミド類(化合物c)とマレイン酸の環式アルコールエステル類(化合物d)から選ばれる少なくとも1種の化合物の粉体とを含有することを特徴とする粉体接着剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】セラック樹脂を主成分とする樹脂粉体(a)と、トリメチロールプロパンの安息香酸エステル類(化合物b)とアルキルベンゼンスルホンアミド類(化合物c)とマレイン酸の環式アルコールエステル類(化合物d)から選ばれる少なくとも1種の化合物の粉体とを含有することを特徴とする粉体接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子部品、光学部品、医療部品および自動車部品などの部材を切断加工、切削加工および研磨加工する際に、これらの部材を一時的に仮り止めするために使用する粉体接着剤組成物(以下単に「接着剤組成物」という)に関し、さらに詳しくは、保存安定性が良く、接着面積が小さい加工材料に対しても適度の塗布厚みを有する塗布性、仮止め適性、加工後の接着剤洗浄除去性など優れている仮り止め用の接着剤組成物に関する。
従来より、上記の仮り止め用の接着剤としては、セラック樹脂系の液状あるいは固形の接着剤が知られている。上記の液状の接着剤は、その多くが有機溶剤を含有しており、塗布作業時に有機溶剤の揮発などの環境上の負荷がかかるという問題がある。また、接着剤の塗膜厚みが得にくいことから、接着性が弱く、仮固定性が劣るために上記部材の切断などの加工性が低下するという問題があり、とくに、丸棒や球形など、あるいは接着表面が凹凸を有する点や線接点であるような接着面積が小さい加工材料(以下、単に「小接着面積加工材料」という)に対する仮止め適性および接着性がよくない。また、上記の液状型接着剤は、塗布後に、溶剤分または水分を乾燥する工程が必要であるため、作業性が低下するという問題がある。
また、前記の固形の接着剤は、棒状など一定の形に成型された固形の接着剤を加熱された支持固定台上に押し当てて熱溶融させて塗布し、加工される材料と接着させるが、接着層の厚みが塗布温度の影響を受けやすく、その塗布厚みにバラツキが発生しやすい。また、液状型接着剤に比べて溶融粘度が高いために塗布作業性が低下する。とくに、隙間部分を有する前記の小接着面積加工材料などに対して塗布性が劣り十分な接着性が得られない。
上記の接着剤に使用されるセラック樹脂は熱硬化性を有するために、接着剤調製時の加熱温度や加熱時間によって熱硬化が進行して、使用時の溶融粘度が上昇して流動性が失われ、塗布性や接着性が低下する。また、熱硬化が進行しているために、切断などの加工終了後、加工部材に付着している接着剤を洗浄剤などで除去する場合に、接着剤の洗浄除去性が低下する。
上記の溶融粘度が上昇して流動性が失われるのを抑制するために、セラック樹脂に可塑剤、脂肪酸、粘着付与剤などの添加剤を配合している。しかしながら、従来のこれらの添加剤を使用することにより得られる接着剤組成物は、経時変化や熱履歴によって、固化しやすく保存安定性がよくない。
前記の接着剤の調製方法として、例えば、固形の接着剤(特許文献1参照)が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示の接着剤は、前記の固形接着剤と同様に小接着面積加工材料を仮固定した場合に、十分な塗布厚みを有する塗布性や仮り止め性が得られない。また、接着剤調製時の加熱溶融によってセラック樹脂の熱硬化が進行しており、セラック樹脂本来の接着強度が得にくい。
上述のことから、保存安定性が良く、小接着面積加工材料に対して適度の塗布厚みを有する塗布性、仮止め適性、接着性および加工後の接着剤洗浄除去性などが優れている仮り止め用の接着剤組成物が要望されている。
従って、本発明の目的は、保存安定性が良く、小接着面積加工材料に対して、仮止め加工の際に安定して上記の加工材料を仮固定できる適度の塗布厚みを有する塗布性、仮り止め適性、接着性および加工後の使用済み接着剤組成物の洗浄除去が容易にできる粉体からなる接着剤組成物を提供することである。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、セラック樹脂を主成分とする樹脂粉体(a)と、トリメチロールプロパンの安息香酸エステル類(化合物b)とアルキルベンゼンスルホンアミド類(化合物c)とマレイン酸の環式アルコールエステル類(化合物d)から選ばれる少なくとも1種の化合物の粉体とを含有することを特徴とする接着剤組成物を提供する。
上記本発明においては、前記化合物bがトリメチロールプロパントリベンゾエイトであること;前記化合物cがo−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドおよびp−エチルベンゼンスルホンアミドから選ばれる少なくとも1種であること;前記の化合物dがジシクロヘキシルマレエートであること;さらに前記の化合物b、cおよびd以外の40℃以上の融点を有する固体可塑剤を含有すること;前記樹脂粉体aが40質量%〜100質量%のセラック樹脂を含むこと;前記樹脂粉体aが軟化点が70℃以上のロジン類を含むこと;前記樹脂粉体aと、前記化合物b、cおよびdから選ばれる少なくとも1種(Y)との配合割合が、a/Y=30/70〜95/5(質量比)であること;およびさらに、無機粉体および/または架橋性高分子粉体を含有すること;および粒径が0.01μm〜500μmであることが好ましい。
本発明によれば、セラック樹脂を主成分とする樹脂粉体に上記の化合物からなる粉体を配合することにより、保存安定性が良く、適度の塗布厚みを有する塗布性、仮り止め適性、接着性および加工後の使用済み接着剤組成物の洗浄除去性が優れており、とくに、小接着面積加工材料を切断加工、切削加工および研磨加工などの加工をする際の仮り止め接着に有効である接着剤組成物が提供される。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明を特徴づける化合物b、cおよびdの各々の粉体は単独でも、あるいは2種以上の混合粉体としても使用することができる。上記の化合物の粉体は、公知の凍結粉砕またはハンマーミル、ジェットミルなどの機械的処理により調製することができる。上記の化合物の粉体は、粒径が0.01〜500μmのものが好ましく使用される。
前記化合物bは、安息香酸あるいはその誘導体と、トリメチロールプロパンとのエステル化反応によって得られる反応生成物である。上記の化合物bは、単独でも、あるいは混合物としても使用することができる。該化合物bは、その融点が60℃〜180℃、好ましくは70℃〜120℃のものが好ましく使用される。
上記のエステル化反応に使用される安息香酸類としては、例えば、安息香酸、o−、m−およびp−トルイル酸、p−イソプロピル安息香酸、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−および3,5−ジメチル安息香酸、2,4,5−トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−t−ブチル安息香酸などのアルキル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、o−、m−およびp−アミノ安息香酸など、好ましくは安息香酸が挙げられる。
上記のエステル化反応によって得られる特に好ましい化合物bとしては、トリメチロールプロパントリベンゾエイトが挙げられる。
また、前記化合物cとしては、例えば、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、o−およびp−トルエンスルホンアミドの混合物、例えば、o−パラトルエンスルホンアミドとp−トルエンスルホンアミドのモル比率が3〜7/7〜3など、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、p−エチルベンゼンスルホンアミドなど、好ましくは、o−および/またはp−トルエンスルホンアミドおよびp−エチルベンゼンスルホンアミドが挙げられる。
また、前記化合物dは、マレイン酸とシクロヘキサノールやシクロペンタノールなどの環式アルコールとのエステル化反応より得られる反応生成物である。上記の化合物dとしては、好ましくはマレイン酸とシクロヘキサノールのエステル化によるジエステルであるジシクロヘキシルマレエートが挙げられる。
また、本発明では、さらに、前記の化合物b、cおよびd以外の40℃以上の融点を有する固体可塑剤、好ましくは60℃〜100℃の融点を有する固体可塑剤を含有することができる。上記の固体可塑剤は、前記の化合物の接着時の展延性と前記セラック樹脂を主成分とする樹脂との相溶性を向上する目的で添加する。上記の固体可塑剤の融点が、高過ぎると展延性が低下し、一方、融点が低過ぎると得られる接着剤組成物の保存性が低下する。
上記の固体可塑剤としては、特に限定するものではないが、セラック樹脂との相溶性の良い、例えば、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸エステル系、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル系、高級脂肪酸、高級アルコールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
前記の化合物b、cおよびdは、前記セラック樹脂の塗布後の加熱による熱重合ライフを延長し、強度の接着性と、切断、打ち抜き、切削などの加工性を向上させる。また、上記の化合物は、セラック樹脂との相溶性が良好で、均一に樹脂に分散し易く強度の接着性が得られる。また、得られる接着剤組成物の経時変化による保存安定性も良好である。
本発明の接着剤組成物を構成するセラック樹脂を主成分とする粉体aは、仮り止め接着時のバインダーとして前記の部材を一時的に仮り止めする目的で、前記の化合物b、c、dと、接着時に瞬時に熱溶融相溶する。上記粉体aは、公知の方法で粉体化されたセラック樹脂粉体単体でもよく、また、該セラック樹脂粉体とアルカリ溶液あるいは有機溶剤に可溶な樹脂粉体との混合物、とくに、セラック樹脂粉体とロジン類粉体から選ばれる混合物が好ましく使用される。上記の粉体aは、その粒径が0.01μm〜500μm、好ましくは0.01〜250μmのものが使用される。とくに、上記粉体aは、熱硬化反応が進行してないもの、あるいは反応が抑制されているものが好ましく使用される。
上記の粉体a中のセラック樹脂の含有量は、好ましくは40質量%〜100質量%、とくに好ましくは50質量%〜100質量%である。上記のセラック樹脂の含有量が少な過ぎると接着強度が低下しやすい。
上記のセラック樹脂は、ラックカイガラ虫が分泌する樹脂状の物質を公知の熱溶融法、アルカリ水や、アルコールなどを用いた溶液抽出法により精製したもので、その樹脂分はアレウリチン酸、ジャラール酸、ラクシジャラール酸などの樹脂酸とのエステル化合物を主成分とした天然セラック樹脂あるいは合成セラック樹脂である。上記のセラック樹脂としては、例えば、精製セラック樹脂、漂白セラック樹脂、脱色セラック樹脂、および熱硬化抑制剤を配合したセラック樹脂などが挙げられる。
前記の粒径を有するロジン類粉体としては、天然ロジン類や合成ロジン類を公知の方法で粉体化したものが挙げられる。上記のロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン類;ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、マレイン酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジンエステル、ロジン変性フェノール樹脂などの合成ロジン類などおよびこれらの混合物、好ましくは水添ロジンおよびマレイン酸変性ロジンが挙げられる。
上記のロジン類粉体は、その軟化点が70℃以上、好ましくは70℃〜160℃のものが好ましく使用される。上記の軟化点が70℃未満の場合には、粘着性が増加する傾向にあるために、粉体化がしにくく、また、得られる接着剤組成物が保存中に固化しやすくなり、接着剤組成物の均一な塗布性が劣る。なお、上記の軟化点は、JIS K2207の環球法に準拠した測定値である。
前記の粉体aと、前記の化合物b、cおよびdの粉体から選ばれる少なくとも1種の化合物粉体(Y)とを配合する場合、その好ましい配合割合は、a/Y=30/70〜95/5(質量比)である。上記の化合物粉体(Y)の割合が多過ぎると、得られる接着剤組成物の仮止め接着性が低下する。一方、化合物粉体(Y)の割合が少な過ぎると、得られる接着剤組成物を粉末で塗布した後、粉末を熱溶融した場合、溶融粘度が上昇して塗布性が低下する。
また、本発明の接着剤組成物は、得られる接着剤組成物に適度な接着性並びに塗布性を付与するために、さらに無機粉体および/または架橋性高分子粉体を含有することができる。上記の無機粉体としては、例えば、ひ性硫酸バリウムや沈降性硫酸バリウムなどの硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウムなど、およびこれらの混合物が挙げられる。また、上記の架橋性高分子粉体としては、例えば、架橋性アクリル系樹脂、尿素樹脂などの架橋性高分子粉体などが挙げられる。上記の無機粉体および架橋性高分子粉体は、その粒径が0.01μm〜500μm、好ましくは粒径が0.01μm〜100μmの粉体が好ましく使用される。
本発明の接着剤組成物は、前記の粉体aと、前記の化合物b、cおよびdの粉体から選ばれる少なくとも1種の化合物粉体とを一緒に公知の粉体混合機で均一に混合分散され、粒径が0.01μm〜500μm、好ましくは0.01μm〜250μmの粉体に調製する。上記の本発明の接着剤組成物の粒度は、塗布された粉体層に適度の盛り厚みを有する程度のものが好ましく使用される。
なお、上記の接着剤組成物の粒径範囲を有する粉体の調製方法は、例えば、粒径が50μm〜250μmの粉体を得る場合には、上記上限の粒径に相当するメッシュを有する篩を使用して、上記の調製される粉体を一次ふるい分けし、次に、上記下限粒径未満の粉体を除去する篩を使用して、一次ふるい分けされた粉体を、二次ふるい分けして粉体を調製する。なお、0.01μm〜250μmのようにふるい分けの測定範囲外である微粒子を含有する場合には、上限の粒径に相当するメッシュを有する篩を使用して、上記粉体をふるい分けして得る。なお、使用する篩は、JIS Z8801に準拠した標準篩である。
本発明の接着剤組成物を使用する事例としては、例えば、本発明の接着剤組成物を120℃〜200℃に加熱したカーボン材質からなる仮固定台に均一にふりかけることにより塗布層を形成し、該塗布層を熱溶融しながら加工される材料を押し当てて仮固定接着する。あるいは、本発明の接着剤組成物を予備加熱されていない上記の仮固定台に均一にふりかけ粉体塗布層を形成し、該粉体塗布層に加工される材料を押し当て、次に、仮固定台を120℃〜200℃に加熱し仮固定接着する。その後、仮固定された材料をダイヤモンドカッターなどによって一定の寸法に切削および切断加工し、加工後、有機溶剤やアルカリ性の洗浄剤によって上記の接着剤組成物を洗浄除去する。
前記の切削および切断加工される材料としては、例えば、電子部品などに使用されるフェライト、ネオジウムおよび希土類金属などからなる磁性体、光学部品、医療用部品などに使用されるガラス類、その他として、セラミック、金属などが挙げられる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。文中「部」または「%」とあるのはとくに断りのない限り質量基準である。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6]
下記粉体a〜fを使用し、表1のように配合し、粉体混合分散機を使用して、均一に混合分散し本発明の接着剤組成物y1〜y6を調製した。
下記粉体a〜fを使用し、表1のように配合し、粉体混合分散機を使用して、均一に混合分散し本発明の接着剤組成物y1〜y6を調製した。
なお、上記粉体a〜fは下記の通りである。
粉体a:
・a1:セラック樹脂粉体(粒径0.1μm〜100μm)
・a2:セラック樹脂粉体/マレイン酸変性ロジン粉体(軟化点100℃)混合物(混合割合80/20(質量比))(粒径0.1μm〜100μm)
粉体b:トリメチロールプロパントリベンゾエイト粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体c:
・c1:o−トルエンスルホンアミド粉体(粒径0.1μm〜250μm)
・c2:p−トルエンスルホンアミド粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体d:ジシクロヘキシルマレエート粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体e:ジシクロヘキシルフタレート粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体f:簸性硫酸バリウム粉体(粒径0.1μm〜30μm)
粉体a:
・a1:セラック樹脂粉体(粒径0.1μm〜100μm)
・a2:セラック樹脂粉体/マレイン酸変性ロジン粉体(軟化点100℃)混合物(混合割合80/20(質量比))(粒径0.1μm〜100μm)
粉体b:トリメチロールプロパントリベンゾエイト粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体c:
・c1:o−トルエンスルホンアミド粉体(粒径0.1μm〜250μm)
・c2:p−トルエンスルホンアミド粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体d:ジシクロヘキシルマレエート粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体e:ジシクロヘキシルフタレート粉体(粒径0.1μm〜250μm)
粉体f:簸性硫酸バリウム粉体(粒径0.1μm〜30μm)
[比較例1]
下記の成分を均一に溶解分散して比較例の液状型接着剤組成物z1を調製した。
・ロジン樹脂 30部
・トルエン50%とイソプロピルアルコール50%の混合溶剤 70部
下記の成分を均一に溶解分散して比較例の液状型接着剤組成物z1を調製した。
・ロジン樹脂 30部
・トルエン50%とイソプロピルアルコール50%の混合溶剤 70部
[比較例2]
下記の成分を120℃の条件下にて30〜60分間均一に熱溶融混練し、均質化した後に型枠に流し込み、常温まで冷却固化して比較例の固形型接着剤組成物z2を調製した。
・ロジン樹脂 70部
・ミツロウ 30部
下記の成分を120℃の条件下にて30〜60分間均一に熱溶融混練し、均質化した後に型枠に流し込み、常温まで冷却固化して比較例の固形型接着剤組成物z2を調製した。
・ロジン樹脂 70部
・ミツロウ 30部
上記で得られた各々の接着剤組成物について、保存安定性、塗布性、仮止め適性、接着性および洗浄除去性に関して下記の測定方法で評価した。評価結果を表2に示す。なお、塗布性および仮止め適性は、円筒状の磁性体を使用し、その円筒面を各々の接着剤組成物を使用して下記の方法でカーボンプレートの仮固定台に下記の仮固定接着を行い評価したものである。
[仮固定接着]
本発明の接着剤組成物による仮固定は、150℃に加熱したカーボンプレートの仮固定台に本発明の接着剤組成物の粉を均一にふりかけ上記の磁性体を押し当てて仮固定接着し、また、比較例1の液状型接着剤組成物による仮固定は、刷毛塗りにて仮固定台に塗布し、溶剤を揮発させた後、カーボンプレートを150℃に加熱して磁性体を仮固定接着し、また、比較例2の固形型接着剤組成物は150℃に加熱されたカーボンプレートの仮固定台に手塗りにて塗布し、直ちに上記の磁性体を仮固定接着する。
本発明の接着剤組成物による仮固定は、150℃に加熱したカーボンプレートの仮固定台に本発明の接着剤組成物の粉を均一にふりかけ上記の磁性体を押し当てて仮固定接着し、また、比較例1の液状型接着剤組成物による仮固定は、刷毛塗りにて仮固定台に塗布し、溶剤を揮発させた後、カーボンプレートを150℃に加熱して磁性体を仮固定接着し、また、比較例2の固形型接着剤組成物は150℃に加熱されたカーボンプレートの仮固定台に手塗りにて塗布し、直ちに上記の磁性体を仮固定接着する。
(保存安定性)
上記で得られた各々の接着剤組成物を40℃または0℃の雰囲気下で1ケ月間放置し、下記の評価方法から保存安定性を評価した。
○:接着剤組成物に固化、析出あるいはベタつきのいずれも認められない。
×:接着剤組成物に固化、析出あるいはベタつきのいずれかが認められる。
上記で得られた各々の接着剤組成物を40℃または0℃の雰囲気下で1ケ月間放置し、下記の評価方法から保存安定性を評価した。
○:接着剤組成物に固化、析出あるいはベタつきのいずれも認められない。
×:接着剤組成物に固化、析出あるいはベタつきのいずれかが認められる。
(塗布性)
仮固定における上記磁性体の円筒面に対する接着剤組成物の塗布性の状況を下記の評価方法で評価した。
○:磁性体の円筒面の接着面に対する接点から円筒の周囲にかけて接着剤組成物が付着しており、仮止めに十分な接着塗布性が得られている。
×:磁性体の円筒面が接着面と接着剤組成物を介して接点のみで付着しており、仮止めに十分な接着塗布性が得られていない。
仮固定における上記磁性体の円筒面に対する接着剤組成物の塗布性の状況を下記の評価方法で評価した。
○:磁性体の円筒面の接着面に対する接点から円筒の周囲にかけて接着剤組成物が付着しており、仮止めに十分な接着塗布性が得られている。
×:磁性体の円筒面が接着面と接着剤組成物を介して接点のみで付着しており、仮止めに十分な接着塗布性が得られていない。
(仮止め適性)
前記円筒状の磁性体の仮止め適性を下記の評価方法で評価した。
○:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面との接触面積が大きくなり、磁性体の切断加工が良好に行える程度のしっかりした仮止めを有している。
△:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面との接触面積が十分に大きくなく、磁性体の切断加工が良好に行える程度の仮止めが得られない。
×:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面が接点のみで接着しており、磁性体の切断加工が良好に行えず、仮止めが不十分である。
前記円筒状の磁性体の仮止め適性を下記の評価方法で評価した。
○:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面との接触面積が大きくなり、磁性体の切断加工が良好に行える程度のしっかりした仮止めを有している。
△:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面との接触面積が十分に大きくなく、磁性体の切断加工が良好に行える程度の仮止めが得られない。
×:仮固定台上の接着剤層と磁性体の円筒面が接点のみで接着しており、磁性体の切断加工が良好に行えず、仮止めが不十分である。
(接着性)
上記で得られた各々の接着剤組成物を一方のステンレス基板に塗布し、150℃にて加熱溶融してから他方のステンレス基板を貼り合わせ、常温まで冷却してから、該貼り合わせ基板の剪断力を引張強度測定機を使用してJIS K6850の引張剪断力に準拠して測定した。
上記で得られた各々の接着剤組成物を一方のステンレス基板に塗布し、150℃にて加熱溶融してから他方のステンレス基板を貼り合わせ、常温まで冷却してから、該貼り合わせ基板の剪断力を引張強度測定機を使用してJIS K6850の引張剪断力に準拠して測定した。
(洗浄除去性)
上記で得られた各々の接着剤組成物を使用して、150℃に加熱されたガラス基板上に40μm〜50μmの厚みに塗布し、溶融された接着剤組成物を常温まで冷却して固化させ試料を作製した。該試料を90℃の条件下で5質量%の水酸化カリウム水溶液の洗浄液に浸漬し、各々の接着剤組成物の上記洗浄液に対する洗浄除去性を下記の基準で評価した。
○:ガラス基板上の接着剤組成物が、5分未満で完全に洗浄除去される。
△:ガラス基板上の接着剤組成物が、5分以上15分未満で完全に洗浄除去される。
×:ガラス基板上の接着剤組成物が洗浄除去されるのに、15分以上を要する。
上記で得られた各々の接着剤組成物を使用して、150℃に加熱されたガラス基板上に40μm〜50μmの厚みに塗布し、溶融された接着剤組成物を常温まで冷却して固化させ試料を作製した。該試料を90℃の条件下で5質量%の水酸化カリウム水溶液の洗浄液に浸漬し、各々の接着剤組成物の上記洗浄液に対する洗浄除去性を下記の基準で評価した。
○:ガラス基板上の接着剤組成物が、5分未満で完全に洗浄除去される。
△:ガラス基板上の接着剤組成物が、5分以上15分未満で完全に洗浄除去される。
×:ガラス基板上の接着剤組成物が洗浄除去されるのに、15分以上を要する。
上記の評価結果から、本発明の接着剤組成物は、従来の液状型あるいは固形型の仮止め接着剤に比べて、保存安定性は同等以上であり、また、塗布性、仮止め適性、接着性、加工後の接着剤組成物の洗浄除去性が優れており、とくに、塗布性および小接着面積加工材料の仮止め適性が優れていることが実証されている。
本発明の接着剤組成物は、保存安定性、塗布性、仮止め適性、接着性、加工後の使用済み接着剤組成物の洗浄除去性が優れており、とくに、電子部品、光学部品、医療部品および自動車部品などの小接着面積加工材料の切断加工、切削加工および研磨加工する際に、これらの部材を一時的に仮り止めするために使用する仮固定用の接着剤組成物として有効に使用することができる。
Claims (10)
- セラック樹脂を主成分とする樹脂粉体(a)と、トリメチロールプロパンの安息香酸エステル類(化合物b)とアルキルベンゼンスルホンアミド類(化合物c)とマレイン酸の環式アルコールエステル類(化合物d)から選ばれる少なくとも1種の化合物の粉体とを含有することを特徴とする粉体接着剤組成物。
- 前記化合物bが、トリメチロールプロパントリベンゾエイトである請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記の化合物cが、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドおよびp−エチルベンゼンスルホンアミドから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記の化合物dが、ジシクロヘキシルマレエートである請求項1に記載の接着剤組成物。
- さらに、前記の化合物b、cおよびd以外の40℃以上の融点を有する固体可塑剤を含有する請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記樹脂粉体aが、40質量%〜100質量%のセラック樹脂を含む請求項1に記載の粉体接着剤組成物。
- 前記樹脂粉体aが、軟化点が70℃以上のロジン類を含む請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記樹脂粉体aと、前記化合物b、cおよびdから選ばれる少なくとも1種(Y)との配合割合が、a/Y=30/70〜95/5(質量比)である請求項1に記載の接着剤組成物。
- さらに、無機粉体および/または架橋性高分子粉体を含有する請求項1に記載の接着剤組成物。
- 粒径が、0.01μm〜500μmである請求項1に記載の接着剤組成物。
Priority Applications (1)
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