以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機に配備された遊技盤46の正面図である。以下、図1を参照して遊技盤46に区画形成された遊技領域47内に設けられる各種構成部材について説明する。
図1に示すように、遊技領域47のほぼ中央には、入賞振分装置50(振分装置)が配置されている。入賞振分装置50は、上端位置に配置された入賞口51(球入口)と、該入賞口51に入賞した遊技球を検出する入賞口スイッチ(図示せず)と、入賞口51に入賞した遊技球を下方に誘導する螺旋形状の誘導通路52と、該誘導通路52の球排出口53から落下排出された遊技球を視認可能に転動するクルーン転動板54(旋回転動板)と、該クルーン転動板54の球落下口(図示せず)から落下排出された遊技球を受け入れる下部空間55とを備えている。
下部空間55には、モータ(図示せず)の駆動に基づいて常時時計方向に回転する球受回転体57(球振分手段)が設けられている。球受回転体57の外周部分には、遊技球1個を受け入れる大きさに穿設された切欠部が全周に沿って3つ設けられ、そのうちの1つの切欠部が当選切欠部58を構成し、残り2つの切欠部が落選切欠部59を構成している。そして、当選切欠部58に入った遊技球は、球受回転体57の回転に伴って遊技盤46の裏面の特別通路部(図示せず)に送り込まれ、後述する当選遊技状態を発生させる。一方、落選切欠部59に入った遊技球は、球受回転体57の回転に伴って遊技盤46の裏面の排出通路部(図示せず)に送り込まれて回収される。なお、入賞振分装置50の詳細な構成については本発明の要旨とは直接関わりがないため、説明を省略する。
入賞振分装置50の下方には、上部可変入賞球装置60(可変入賞球装置)が配置され、上部可変入賞球装置60の下方には、下部可変入賞球装置80(可変入賞球装置)が配置されている。
上部可変入賞球装置60は、当該上部可変入賞球装置60を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板61を有している。取付基板61の上側部分には、遊技球1個分の大きさに形成された第1、第4の可変入賞口61a,61dが左右一対に穿設され、取付基板61の下側部分には、遊技球1個分の大きさに形成された第2、第3の可変入賞口61b,61cが左右一対に穿設されている。即ち、第1〜第4の可変入賞口61a〜61d(入賞口)が取付基板61の左上、左下、右下、右上の計4箇所に設けられている。
また、第1、第4の可変入賞口61a,61dが穿設された上側部分と、第2、第3の可変入賞口61b,61cが穿設された下側部分との間に位置する取付基板61の左右両端部には、それぞれ取付基板61の中央に向って下方に傾斜した誘導突起61eが突設されている。左側の誘導突起61eは、第2の可変入賞口61bの左上の近傍部分に突設されることで、当該誘導突起61e上に流下した遊技球を第2の可変入賞口61b側に誘導する。右側の誘導突起61eは、第3の可変入賞口61cの右上の近傍部分に突設されることで、当該誘導突起61e上に流下した遊技球を第3の可変入賞口61c側に誘導する。
第1〜第4の可変入賞口61a〜61dには、それぞれ開閉部材62(回動部材)が設けられている。開閉部材62は、遊技盤46の裏面に設けられた開放機構及び閉鎖機構(遊技球の重さを物理的に利用した機構、詳細な構造は後述する)によって傾動位置(可変入賞口61a〜61dを開放する位置)と垂直位置(可変入賞口61a〜61dを閉鎖する位置)との間で移行可能になっている。具体的には、前述した当選切欠部58に入って特別通路部に送り込まれた遊技球が遊技盤46の裏面の開放機構を作動することで、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dの全ての開閉部材62が垂直位置から傾動位置に移行し、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dが開放するようになっている。即ち、開放機構は、特別通路部に送り込まれた遊技球の作用によって全ての可変入賞口61a〜61dを開放するようになっている。
一方、開放状態にある第1〜第4の可変入賞口61a〜61dにおいて、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤46の裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉部材62が傾動位置から垂直位置に移行して第1〜第4の可変入賞口61a〜61dを閉鎖するようになっている。但し、閉鎖機構は、各可変入賞口61a〜61d毎に作用し、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dのうち遊技球が入賞した可変入賞口(開閉部材62)のみを閉鎖するようになっている。
また、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dの裏面側には、それぞれ入賞した遊技球を個々の方向に誘導する各誘導路(図示せず)が連通して設けられ、各誘導路には、各可変入賞口61a〜61dに入った遊技球を検出するための入賞口スイッチ(図示せず)が設けられている。第1の可変入賞口61aと連通する誘導路は、第1の可変入賞口61aに入った遊技球を後述する第1入賞球装置91の方向(具体的には、第1チューリップ式入賞口91cの開放機構)に誘導する。第2の可変入賞口61bと連通する誘導路は、第2の可変入賞口61bに入った遊技球を後述する第2入賞球装置92の方向(具体的には、第2チューリップ式入賞口92cの開放機構)に誘導する。第3の可変入賞口61cと連通する誘導路は、第3の可変入賞口61cに入った遊技球を後述する第3入賞球装置93の方向(具体的には、第3チューリップ式入賞口93cの開放機構)に誘導する。第4の可変入賞口61dと連通する誘導路は、第4の可変入賞口61dに入った遊技球を後述する第4入賞球装置94の方向(具体的には、第4チューリップ式入賞口94cの開放機構)に誘導する。
次に、上部可変入賞球装置60の下方に配置された下部可変入賞球装置80について説明する。下部可変入賞球装置80は、当該下部可変入賞球装置80を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板81を有している。取付基板81の上側部分には、遊技球1個分の大きさに形成された第5、第8の可変入賞口81a,81dが左右一対に穿設され、取付基板81の下側部分には、遊技球1個分の大きさに形成された第6、第7の可変入賞口81b,81cが左右一対に穿設されている。即ち、上部可変入賞球装置60の第1〜第4の可変入賞口61a〜61dと同様に、第5〜第8の可変入賞口81a〜81d(入賞口)が取付基板81の左上、左下、右下、右上の計4箇所に設けられている。
また、第5、第8の可変入賞口81a,81dが穿設された上側部分と、第6、第7の可変入賞口81b,81cが穿設された下側部分との間に位置する取付基板81の左右両端部には、上部可変入賞球装置60の誘導突起61eと同様に、取付基板81の中央に向って下方に傾斜した誘導突起81eが左右一対に突設されている。左側の誘導突起81eは、第6の可変入賞口81bの左上の近傍部分に突設されることで、当該誘導突起81e上に流下した遊技球を第6の可変入賞口81b側に誘導する。右側の誘導突起81eは、第7の可変入賞口81cの右上の近傍部分に突設されることで、当該誘導突起81e上に流下した遊技球を第7の可変入賞口81c側に誘導する。
第5〜第8の可変入賞口81a〜81dには、それぞれ遊技盤46の裏面に設けられた開放機構及び閉鎖機構(遊技球の重さを物理的に利用した機構、詳細な構造は後述する)によって傾動位置(可変入賞口81a〜81dを開放する位置)と垂直位置(可変入賞口81a〜81dを閉鎖する位置)との間で移行可能な開閉部材82が設けられている。第5〜第8の可変入賞口81a〜81dの開放機構は、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dの開放機構と同様に、当選切欠部58に入って特別通路部に送り込まれた遊技球の自重によって作動して開閉部材82を垂直位置から傾動位置に移行することで、第5〜第8の可変入賞口81a〜81dを全て開放する。また、第5〜第8の可変入賞口81a〜81dの閉鎖機構についても、第1〜第4の可変入賞口61a〜61dの閉鎖機構と同様に、各可変入賞口81a〜81d毎に設けられて、第5〜第8の可変入賞口81a〜81dのうち遊技球が入賞した可変入賞口(開閉部材82)のみを閉鎖する。
また、第5〜第8の可変入賞口81a〜81dの裏面側には、それぞれ入賞した遊技球を誘導する誘導路(図示せず)が連通して設けられ、各誘導路には、各可変入賞口81a〜81dに入った遊技球を検出するための入賞口スイッチ(図示せず)が設けられている。但し、各可変入賞口81a〜81dと連通する誘導路は、それぞれ可変入賞口81a〜81dに入った遊技球をそのままパチンコ機の裏面側に排出する回収通路(図示せず)に誘導する。なお、上部可変入賞球装置60及び下部可変入賞球装置80の詳細な構成については本発明の要旨とは直接関わりがないため、説明を省略する。
上部可変入賞球装置60及び下部可変入賞球装置80の左右側方には、第1〜第4の入賞球装置91〜94が設けられている。第1入賞球装置91は、上部可変入賞球装置60の左側方における遊技領域47の側端位置に配置され、第2入賞球装置92は、下部可変入賞球装置80の左側方における近傍位置に配置されている。一方、第3入賞球装置93は、下部可変入賞球装置80の右側方における近傍位置に配置され、第4入賞球装置94は、上部可変入賞球装置60の右側方における遊技領域47の側端位置に配置されている。即ち、第1〜第4の入賞球装置91〜94のうち左右側端に位置する第1、第4の入賞球装置91,94は、第2、第3の入賞球装置92,93に比べて若干高い位置に配置されている。
第1入賞球装置91は、当該第1入賞球装置91を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板91aを有している。取付基板91aの上側部分には、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓された第1開放入賞口91bが設けられ、取付基板91aの下側部分には、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓されると共に左右一対の開閉片97を備えた第1チューリップ式入賞口91c(左右一対の開閉片を備えた可変入賞球装置のことであり、以下このような可変入賞球装置をチューリップ式入賞口という)が設けられている。開閉片97は、遊技盤46の裏面に設けられた開放機構及び閉鎖機構(遊技球の重さを物理的に利用した機構)によって傾動位置(第1チューリップ式入賞口91cを開放する位置)と垂直位置(第1チューリップ式入賞口91cを閉鎖する位置)との間で移行可能になっている。
第1チューリップ式入賞口91cの開放機構は、第1開放入賞口91bに入った遊技球の自重によって作動して開閉片97を垂直位置から傾動位置に移行することで、第1チューリップ式入賞口91cを開放する。一方、開放状態にある第1チューリップ式入賞口91cにおいて、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤46の裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片97が傾動位置から垂直位置に移行して第1チューリップ式入賞口91cを閉鎖する。即ち、第1開放入賞口91bに遊技球が入賞すると、その入賞特典として第1チューリップ式入賞口91cが開放され、第1チューリップ式入賞口91cに遊技球が入賞すると第1チューリップ式入賞口91cが閉鎖される。なお、第1チューリップ式入賞口91cの開放機構には、前述した第1の可変入賞口61aに入った遊技球も送り込まれるものであり、当該遊技球による作動においても、同様に第1チューリップ式入賞口91cを開放する。即ち、第1チューリップ式入賞口91cは、第1開放入賞口91bへの入賞及び第1の可変入賞口61aへの入賞と連動して開放するようになっている。
次に、第2〜第4の入賞球装置92〜94について説明する。但し、第2〜第4の入賞球装置92〜94は、それぞれ第1入賞球装置91と同一の構成部材によって構成される。このため、同一の構成部材における詳細な説明は省略すると共に、同一の構成部材には同一の符号を付して説明を行う。第2入賞球装置92は、当該第2入賞球装置92を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板92aを有している。取付基板92aには、第1入賞球装置91の取付基板91aと同様に、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓された第2開放入賞口92bと、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓されると共に左右一対の開閉片97を備えた第2チューリップ式入賞口92cとが設けられている。第2チューリップ式入賞口92cの開放機構は、第1チューリップ式入賞口91cの開放機構と同様に、第2開放入賞口92bに入った遊技球の自重によって作動して開閉片97を垂直位置から傾動位置に移行することで、第2チューリップ式入賞口92cを開放する。
一方、第2チューリップ式入賞口92cの閉鎖機構についても、第1チューリップ式入賞口91cの閉鎖機構と同様に、開放状態にある第2チューリップ式入賞口92cにおいて、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤46の裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片97が傾動位置から垂直位置に移行して第2チューリップ式入賞口92cを閉鎖する。即ち、第2開放入賞口92bに遊技球が入賞すると、その入賞特典として第2チューリップ式入賞口92cが開放され、第2チューリップ式入賞口92cに遊技球が入賞すると第2チューリップ式入賞口92cが閉鎖される。なお、第2チューリップ式入賞口92cの開放機構には、前述した第2の可変入賞口61bに入った遊技球も送り込まれるものであり、当該遊技球による作動においても、同様に第2チューリップ式入賞口92cを開放する。即ち、第2チューリップ式入賞口92cは、第2開放入賞口92bへの入賞及び第2の可変入賞口61bへの入賞と連動して開放するようになっている。
第3入賞球装置93は、当該第3入賞球装置93を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板93aを有している。取付基板93aには、第1入賞球装置91の取付基板91aと同様に、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓された第3開放入賞口93bと、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓されると共に左右一対の開閉片97を備えた第3チューリップ式入賞口93cとが設けられている。第3チューリップ式入賞口93cの開放機構は、第1チューリップ式入賞口91cの開放機構と同様に、第3開放入賞口93bに入った遊技球の自重によって作動して開閉片97を垂直位置から傾動位置に移行することで、第3チューリップ式入賞口93cを開放する。
一方、第3チューリップ式入賞口93cの閉鎖機構についても、第1チューリップ式入賞口91cの閉鎖機構と同様に、開放状態にある第3チューリップ式入賞口93cにおいて、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤46の裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片97が傾動位置から垂直位置に移行して第3チューリップ式入賞口93cを閉鎖する。即ち、第3開放入賞口93bに遊技球が入賞すると、その入賞特典として第3チューリップ式入賞口93cが開放され、第3チューリップ式入賞口93cに遊技球が入賞すると第3チューリップ式入賞口93cが閉鎖される。なお、第3チューリップ式入賞口93cの開放機構には、前述した第3の可変入賞口61cに入った遊技球も送り込まれるものであり、当該遊技球による作動においても、同様に第3チューリップ式入賞口93cを開放する。即ち、第3チューリップ式入賞口93cは、第3開放入賞口93bへの入賞及び第3の可変入賞口61cへの入賞と連動して開放するようになっている。
第4入賞球装置94は、当該第4入賞球装置94を遊技盤46の表面(遊技領域47)に取り付けるための取付基板94aを有している。取付基板94aには、第1入賞球装置91の取付基板91aと同様に、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓された第4開放入賞口94bと、入賞口スイッチ(図示せず)が内臓されると共に左右一対の開閉片97を備えた第4チューリップ式入賞口94cとが設けられている。第4チューリップ式入賞口94cの開放機構は、第1チューリップ式入賞口91cの開放機構と同様に、第4開放入賞口94bに入った遊技球の自重によって作動して開閉片97を垂直位置から傾動位置に移行することで、第4チューリップ式入賞口94cを開放する。
一方、第4チューリップ式入賞口94cの閉鎖機構についても、第1チューリップ式入賞口91cの閉鎖機構と同様に、開放状態にある第4チューリップ式入賞口94cにおいて、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤46の裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片97が傾動位置から垂直位置に移行して第4チューリップ式入賞口94cを閉鎖する。即ち、第4開放入賞口94bに遊技球が入賞すると、その入賞特典として第4チューリップ式入賞口94cが開放され、第4チューリップ式入賞口94cに遊技球が入賞すると第4チューリップ式入賞口94cが閉鎖される。なお、第4チューリップ式入賞口94cの開放機構には、前述した第4の可変入賞口61dに入った遊技球も送り込まれるものであり、当該遊技球による作動においても、同様に第4チューリップ式入賞口94cを開放する。即ち、第4チューリップ式入賞口94cは、第4開放入賞口94bへの入賞及び第4の可変入賞口61dへの入賞と連動して開放するようになっている。
また、遊技領域47には、上記した構成以外にも、一般入賞口48やアウト口49等が設けられている。一般入賞口48は、受け入れた遊技球を遊技盤46の裏面に設けられた入賞口スイッチ(図示せず)に誘導するものであり、入賞振分装置50の上方及び左右側方の計3箇所に配置されている。アウト口49は、遊技領域47の最下端に設けられ、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を受け入れてアウト球として回収する。
次に、実施形態のパチンコ機に配備された電源系統について説明する。図2は実施形態のパチンコ機に配備された電源系統を示すブロック図である。まず、パチンコ機の主電源AC24Vは、例えば、図示しない当該パチンコ機が設置されている島設備において商用電源100Vが変圧器によって変圧されて生成され、遊技機専用の電源AC24Vとして分電板(図示せず)を介して当該パチンコ機に供給される。
電源基板1は、遊技機専用の電源AC24Vを基にして整流および平滑して直流電源34V(以下、単に34Vという)を生成する34V作成回路2、電源AC24Vを基にして整流および平滑した後、レギュレータにより安定化した直流定電圧+12V(以下、単に12Vという)を生成する12V作成回路3、12V作成回路3によって生成された+12Vを基にしてレギュレータにより安定化した直流定電圧+5Vを生成する5V作成回路4、12V作成回路3によって生成された12Vの電圧降下を検出する停電検出回路5、メイン制御基板10に配されたMPUの記憶保持のためのバックアップ用電源としてのコンデンサ6、払出制御基板11に配されたMPUの記憶保持のためのバックアップ用電源としてのコンデンサ7を備えている。
上述の電源基板1において、34Vは第1の直流電源に相当し、34V作成回路2は第1の直流電源作成回路部に相当する。また、12Vは第1の直流電源よりも低い電圧の第2の直流電源に相当し、12V作成回路3は第2の直流電源作成回路部に相当する。
電源基板1の34V作成回路2で生成された34V電源はヒューズ8を介した後、電源基板1から34V電源配線15aを通じて払出制御基板11に供給される。また、電源基板1の12V作成回路3で生成された12V電源は、電源基板1から12V電源配線16aを通じて払出制御基板11に供給される。また、5V作成回路4によって生成された5V電源は、作動用電源として停電検出回路5に供給される。
払出制御基板11は、34Vを作動電源として動作する34V使用回路部17(例えば、賞球払出装置を動作させる払出モータを駆動するための払出モータ駆動回路)、12Vを作動用電源として動作する12V使用回路部18(例えば、メイン制御基板から送信されるコマンドの入力を行うコマンド入力回路、サンド貸機とのデータ通信を行うためのサンドIF回路、スイッチによる操作信号或いは検出信号の入力を行うためのSWIF回路)、主として賞球の払出制御を行うためのMPU他ロジック回路部19を備えている。
34V電源配線15aを通じて払出制御基板11に供給される34V電源は、払出制御基板11において二股に分岐され、一方は払出制御基板11から34V電源配線15bを通じてメイン制御基板10に供給され、他方は払出制御基板11から34V電源配線15cを通じて発射制御基板12に供給される。また、34V電源は発射制御基板12への供給ラインの中途から分岐されて34V使用回路部17に供給される。
12V電源配線16aを通じて払出制御基板11に供給される12V電源は、払出制御基板11において二股に分岐され、一方は払出制御基板11から12V電源配線16bを通じてメイン制御基板10に供給され、他方は払出制御基板11から12V電源配線16cを通じて発射制御基板12に供給される。また、12V電源は発射制御基板12への供給ラインの中途から分岐され、さらに2つに分岐されて一方は直接12V使用回路部18に供給され、他方はレギュレータ20に供給される。レギュレータ20は供給された12Vを基にして安定化した直流定電圧5Vを生成し、レギュレータ20によって生成された5V電源は、作動用電源としてMPU他ロジック回路部19に供給される。
発射制御基板12は、34Vを作動電源として動作する34V使用回路部21(例えば、打球発射装置を動作させる発射モータを駆動するためのモータ駆動回路)、12Vを作動用電源として動作する12V使用回路部22(例えば、払出制御基板から送信されるコマンドの入力を行うコマンド入力回路)、発射モータ制御を行うためのモータ制御IC23を備えている。
34V電源配線15cを通じて発射制御基板12に供給される34V電源は、34V使用回路部21に供給される。12V電源配線16cを通じて発射制御基板12に供給される12V電源は、発射制御基板12において二股に分岐され、一方は直接12V使用回路部22に供給され、他方はレギュレータ24に供給される。レギュレータ24は供給された+12Vを基にして安定化した定電圧+5Vを生成し、レギュレータ24によって生成された5V電源は、作動用電源としてモータ制御IC23に供給される。
メイン制御基板10は、12Vを作動用電源として動作する12V使用回路部25(例えば、払出制御基板から送信されるコマンドの入力を行うコマンド入力回路、遊技制御用に用いる各種検出スイッチによる検出信号の入力を行うための遊技用SWIF回路、前記遊技制御とは別の各スイッチによる検出信号の入力を行うためのSWIF回路、球受回転体47を回転するためのモータを駆動するモータ駆動回路)、主として遊技制御を行うためのMPUを含むMPU他ロジック回路部26及びRAMクリアスイッチ回路部27を備えている。
12V電源配線16bを通じてメイン制御基板10に供給される12V電源は、メイン制御基板10において二股に分岐され、一方はメイン制御基板10から12V電源配線16dを通じてサブ統合基板13に供給され、他方はさらに2つに分岐され、その一方は直接12V使用回路部25に供給され、他方はレギュレータ28に供給される。レギュレータ28は供給された12Vを基にして安定化した直流定電圧5Vを生成し、レギュレータ28によって生成された5V電源は、作動用電源としてMPU他ロジック回路部26に供給される。また、34V電源配線15bを通じてメイン制御基板10に供給される34V電源は、メイン制御基板10において二股に分岐され、一方はRAMクリアスイッチ回路部27の作動用の専用電源としてRAMクリアスイッチ回路部27に供給される。また、他方は、メイン制御基板10から34V電源配線15dを通じてサブ統合基板13に供給される。
サブ統合基板13は、12Vを作動用電源として動作する12V使用回路部29(例えば、メイン制御基板から送信されるコマンドの入力を行うコマンド入力回路、音声回路部のアンプ)、CPU回路部30、ロジック回路部31、音声出力のための音声回路部32を備えている。
12V電源配線16dを通じてサブ統合基板13に供給される12V電源は、サブ統合基板13において二股に分岐され、一方はサブ統合基板13から12V電源配線16eを通じてランプ駆動基板14に供給され、他方はさらに2つに分岐され、その一方は直接12V使用回路部29に供給され、他方はレギュレータ33に供給される。レギュレータ33は供給された12Vを基にして安定化した直流定電圧5Vと3.3Vとを生成し、レギュレータ33によって生成された5V電源は、作動用電源としてCPU回路部30に供給され、3.3V電源はロジック回路部31に供給される。さらに、レギュレータ33によって生成された5V電源及び3.3V電源は音声回路部32にも供給され、音声回路部32の作動用電源として使用される。また、34V電源配線15dを通じてサブ統合基板13に供給される34V電源は、サブ統合基板13においては中継されるのみであり、サブ統合基板13から34V電源配線15eを通じて枠装飾基板34に供給され、遊技状態を報知するLEDや異常状態を報知するLEDの点灯用電源に使用される。
ランプ駆動基板14は、12Vを作動用電源として動作する12V使用回路部35(例えば、遊技盤に配されて遊技状態に応じて点灯制御される装飾用LEDのドライバ)、遊技盤に対する遊技者による殴打を検知する振動検出回路36等を備えている。なお、実施形態の遊技盤46は球受回転体57の当選切欠部58に遊技球が入球することで遊技者に多大な利益が付与されるものであるため、遊技球が下部空間55に転動したタイミングで遊技盤46を叩いて遊技球の動きを変化させ、当選切欠部58への入球を狙うという違反遊技行為がなされる虞がある。振動検出回路36は上述のような遊技盤に対する殴打を検知し、前記枠装飾基板34に配された異常を報知するLEDを点灯することにより報知するためのものである。
12V電源配線16eを通じてランプ駆動基板14に供給される12V電源は、ランプ駆動基板14において二股に分岐され、一方は点灯用電源として直接12V使用回路部35に供給され、他方はレギュレータ37に供給される。レギュレータ37は供給された12Vを基にして安定化した直流定電圧5Vを生成し、レギュレータ37によって生成された5V電源は、作動用電源として振動検出回路36に供給される。
以上に説明した各基板のうち、電源基板1、払出制御基板11、発射制御基板12及び枠装飾基板34は、当該パチンコ機の図示しない基枠(枠側)に配設されている。また、メイン制御基板10、サブ統合基板13及びランプ駆動基板14は、図示しない前面枠に対して取りつけられる遊技盤46の裏面(遊技パネル側)に配設されている。
なお、図2において、当該パチンコ機の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、12V電源の電圧が12Vを維持できなくなり降下する。停電検出回路9は、12V電源電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号を出力する。停電検出回路9が出力した停電信号は、払出制御基板11のMPU、メイン制御基板10のMPU及びサブ統合基板13に入力される。
また、図示していないが、電源基板1に配備されたコンデンサ6はメイン制御基板10において生成された5V電源に接続されることで充電され、当該パチンコ機の電源断時、バックアップ用電源として機能し、メイン制御基板10に配されたMPUのRAMの記憶が保持される。同様に、電源基板1に配備されたコンデンサ7は払出制御基板11において生成された5V電源に接続されることで充電され、当該パチンコ機の電源断時、バックアップ用電源として機能し、払出制御基板11に配されたMPUのRAMの記憶が保持される。
上述した図2の電気系統において、34V電源配線15a,15bは第1の直流電源配線に相当し、12V電源配線16a,16bは第2の直流電源配線に相当する。また、メイン制御基板10のレギュレータ28は、メイン制御回路部用電源生成部に相当する。また、メイン制御基板10において、34V電源はRAMクリアスイッチ回路部27の作動用電源のための専用電源である。
図3はメイン制御基板10における回路部分の電源系統を示すブロック図である。なお、図3には、図2に示したMPU他ロジック回路部のうちのMPUのみを示している。図3に示すように34V電源が供給されるRAMクリアスイッチ回路部27は、一端を34V電源ライン41に接続された抵抗R1と、抵抗R1の他端に対してカソードが直列に接続されると共にアノードが接地接続されたツェナーダイオードD1と、抵抗R1とツェナーダイオードD1との接続点Aに対して一端が接続された抵抗R2と、抵抗R2の他端に対して一方の接点が接続点Bにて接続されると共に他方の接点が接地に接続された押しボタン式の常開接点スイッチよりなるRAMクリアスイッチ38と、抵抗R2とRAMクリアスイッチ38の一方の接点との接続点Bに対してアノードが接続されると共にカソードが34V電源ライン41に接続されたダイオードD2と、前記接続点Bに一端が接続された抵抗R3と、抵抗R3の他端に対して一端が接続されると共に他端が接地接続された抵抗R4と、検出信号用のトランジスタTRで構成されている。
トランジスタTRのベースは抵抗R3と抵抗R4との接続点Cに接続され、トランジスタTRのエミッタは接地接続され、トランジスタTRのコレクタは抵抗R5を介して5V電源ライン43に接続されている。また、トランジスタTRのコレクタはI/O(拡張ポートIC)39の入力端子PIAに接続され、I/O39データ出力端子とMPU40のデータ入力端子とが接続されている。
一方、レギュレータ(3端子レギュレータ)28の入力端子は12V電源ライン42と接続され、レギュレータ28の出力端子は5V電源ライン43に接続されている。レギュレータ28は供給された12Vを基にして安定化した直流定電圧5Vを生成し、レギュレータ28によって生成された5V電源は、5V電源ライン43を通じてMPU40の作動用電源端子並びにI/O39の作動用電源端子に供給される。
以上のように構成されたRAMクリアスイッチ回路部27において、ツェナーダイオードD1は、接続点Aの電圧を12V以上とならないように抑制するものである。RAMクリアスイッチ回路部27の作用について説明する。RAMクリアスイッチ38が操作されていない状態では、RAMクリアスイッチ38は開いており、34V電源ライン41から抵抗R1、接続点A、抵抗R2、接続点B、抵抗R3、接続点C、抵抗R4を通じて電流が接地に向けて流れる。前述のように、接続点Aの電圧はツェナーダイオードD1のツェナー電圧により12V以上とはならない。また、接続点Bでの電圧がほぼ5Vとなるように抵抗R2、抵抗R3及び抵抗R4が設定されている。接続点Cでの電圧がトランジスタTRのベースに印加されるため、トランジスタTRがオンとなり、5V電源ライン43から抵抗R5、トランジスタTRのコレクタ、エミッタを通じて電流が接地に向けて流れる。従って、トランジスタTRのコレクタの電圧は、ほぼ接地と同じレベルになり、I/O39の入力端子PIAの入力はローレベルとなっている。よって、MPUは、RAMクリアスイッチ38の状態を示す検出信号としてローレベル(操作なし)を入力する。
次に、RAMクリアスイッチ38が操作された状態では(押された状態では)、RAMクリアスイッチ38が閉じる。このため、接続点Bの電圧は接地と同じとなり、34V電源ライン41から抵抗R1、接続点A、抵抗R2、RAMクリアスイッチ38を通じて電流が接地に向けて流れる。また、接続点Bの電圧が接地と同じとなることから、接続点Cでの電圧も接地と同じとなるため、トランジスタTRがオフする。従って、トランジスタTRのコレクタの電圧は、抵抗R5を介して接続された5V電源ライン43と同じレベルになり、I/O39の入力端子PIAの入力はハイレベルとなる。よって、MPUは、RAMクリアスイッチ38の状態を示す検出信号としてハイレベル(操作あり)を入力する。
また、操作者が静電気を帯びた状態で不測にRAMクリアスイッチ38の導電部分(接地接続されていない一方の端子)に接触してしまった場合、瞬間的に接続点Bでの電圧が34Vよりもはるかに高くなる。このため、静電気ノイズは、RAMクリアスイッチ38の一方の端子、接続点B、ダイオードD2を通じて34V電源ライン41に入り込み、さらに、図2の34V電源配線15b、34V電源配線15aを通って電源基板1に流れていく。この結果、静電ノイズを34V電源配線を通じて電源基板1に逃がす。
図4は、電源基板1の34V作成回路部及び12V作成回路部と、電源基板1とハーネス接続されている分電基板120を具体的に示した回路図である。符号100は、3組のダイオードブリッジよりなる整流回路であり、分電基板120側からのコモンモードノイズ対策として配されたチョークコイル107を介して分電基板120よりAC24Vが整流回路100に供給される。また、平滑コンデンサ103は、整流回路100によって整流された出力を平滑して34V供給ラインに供給する。平滑コンデンサ104は、整流回路100によって整流された出力34Vを平滑してレギュレータ105に供給する。レギュレータ105は、整流された34Vを基に直流定電圧+12Vを12V供給ラインに供給する。34V供給ラインとグランドラインGNDとの間には、サージ吸収素子としてバリスタ106が接続されている。
分電基板120は、電源側からのコモンモードノイズ対策として、コンデンサ108,109、バリスタ112,113、ノーマルモードノイズ対策としてコンデンサ110、バリスタ111を有しているが、分電基板120の回路構成は従来と同様の周知のものである。なお、バリスタ112,113はサージ吸収素子として機能する。
34V電源配線を通じて電源基板1に入った静電ノイズは、バリスタ106が導通することにより、整流回路100のダイオード101,102を通じ、更にチョークコイル107を経由して分電基板120に入る。分電基板120に入った静電ノイズは、バリスタ112又はバリスタ113が導通することにより、接地に向って流れる。
以上に、説明したように、RAMクリアスイッチ回路部27の作動電源を、メイン制御回路部(MPU40)の作動用電源とは別の専用電源としたRAMクリアスイッチ回路部のRAMクリアスイッチ38の一端がダイオードD2のアノードと接続され、ダイオードD2のカソードが専用電源とされた34V電源ライン41に接続され、34V電源ラインがサージ吸収素子(バリスタ106、バリスタ112,113)を介して接地されているので、係員等によって操作されるメイン制御基板10に設けられたRAMクリアスイッチ38から静電ノイズがメイン制御回路部(MPU40)に入り込むことはなく、静電気対策を確実に取ることができる。
次に、パチンコ機の遊技の進行に応じてメイン制御基板10のMPU40のCPU(図3参照、以下、単にCPUという)が行う各種制御処理について説明する。まず、電源投入時処理を説明し、次いでタイマ割込処理について説明する。図5は電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図6はタイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。
パチンコ機に電源が投入されると、メイン制御基板10のCPUは電源投入時処理を行う。電源投入時処理が開始されると、CPUは、割込モードの設定を行う(ステップS01)。割込モードは、CPUの割込の優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述するタイマ割込が優先順位として最も高く設定されており、このタイマ割込みが発生すると、優先的にタイマ割込処理が行われる。ステップS01に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS02)。I/Oの入出力設定では、CPUのI/Oの設定を行う。
例えば、図1に示した球受回転体57を回転させるステッピングモータを駆動するための励磁信号を出力する端子は出力端子(Output)として設定される。また、上部可変入賞球装置60の第1の可変入賞口61aに入球した遊技球を検出する入賞口スイッチからの検出信号が入力される端子は入力端子(Input)として設定される。
ステップS02に続いて、CPUに内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS03)。ウォッチドックタイマは、CPUの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリアされないときにはCPUにリセットがかかる(CPUのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS03に続いてウェイトタイマ処理1を行う(ステップS04)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待つ。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。
ステップS04に続いて、RAMクリアスイッチ38が操作されているか否かを判定する(ステップS05)。この判定は、メイン制御基板10のRAMクリアスイッチ38が操作されると、RAMクリアスイッチ38の操作信号(検出信号)がCPUに入力されているか否かにより行われる。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ38が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ38が操作されていないと判定する。
ステップS05において、RAMクリアスイッチ38が操作されていると判定されたときには、RAMクリア報知フラグに「1(操作あり)」をセットし(ステップS06)、ステップS08に進む。一方、ステップS05において、RAMクリアスイッチ38が操作されていないと判定されたときには、RAMクリア報知フラグに「0(操作なし)」をセットし(ステップS07)、ステップS08に進む。RAMクリア報知フラグは、メイン制御基板10のRAM10cに記憶されている、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去する場合には「1」、遊技情報を消去しない場合には「0」がそれぞれ設定されている。なお、ステップS06及びステップS07でセットされたRAMクリア報知フラグは、CPUの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS08に進むと、RAM(図3参照)へのアクセスを許可する設定を行う(ステップS08)。この設定によりRAMへのアクセスが可能となり、例えば、遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。次いで、スタックポインタの設定を行う(ステップS09)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS09では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまでの順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS09に続いて、RAMクリア報知フラグが「0」である否かを判定する(ステップS10)。上述したように、RAMクリア報知フラグは、遊技情報を消去するときは「1」、遊技情報を消去しないときは「0」にそれぞれ設定されている。ステップS10において、RAMクリア報知フラグが「0」であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、ステップS11に進み、チェックサムの算出を行う(ステップS11)。
チェックサムは、RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。次いで、算出したチェックサムの値が後述する電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、算出したチェックサムの値が電源断時処理(電源断時)において記憶したチェックサムの値と一致していると判定された場合には、ステップS13に進み、バックアップフラグが「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。バックアップフラグは、遊技情報、チェックサムの値及びバックアップフラグの値等のバックアップ情報を後述する電源断時処理においてRAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、電源断時処理を行ったときには「1」に、電源断時処理を行っていないときには「0」にそれぞれ設定されている。
ステップS13において、バックアップフラグが「1」であるとき、つまり電源断時処理を行ったときには、ステップS14に進み、復電時としてRAMの作業領域を設定する(ステップS14)。復電時の設定は、バックアップフラグを0クリアする他、メイン制御基板10のROMから復電時情報を読み出し、読み出した復電時情報をRAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後に電力が復旧した状態も含める。
次いで、ステップS15に進み、電源投入時コマンド作成処理を行い(ステップS15)、ステップS15を終えるとステップS19に進む。電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドをRAMの所定記憶領域に記億する。なお、各種コマンドについての説明は後述する。
一方、ステップS10において、RAMクリア報知フラグが「0」でない場合(即ち、「1」である場合)、つまり遊技情報を消去するときには、ステップS16に移行する。また、ステップS12において、チェックサムの値が一致していないときも、ステップS16に移行する。さらに、ステップS13において、バックアップフラグが「1」でない場合(即ち、「0」である場合)、つまり電源断時処理を行っていないときにも、ステップS16に移行する。
ステップS16に進む場合には、RAMの全領域をクリアし(ステップS16)、初期設定としてRAMの作業領域を設定する(ステップS17)。この設定は、メイン制御基板10のR0Mから初期情報を読み出し、この初期情報がRAMの作業領域にセットされる。次いで、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行い(ステップS18)、ステップS18を終えるとステップS19に進む。RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、RAMクリアスイッチ38が操作されたことを、図2に示したサブ統合基板13に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板13の各種検査を行うためのテストコマンドとを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS19に進むと、割込初期設定を行う(ステップS19)。この設定は、後述するタイマ割込処理が行われるときの割込周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。次いで、割込許可設定を行う(ステップS20)。この設定によりステップS19で設定した割込周期、つまり4msごとにタイマ割込処理が繰り返し行われる。
ステップS20を終えるとステップS21に進み、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS21)。ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリアされる。次いで、CPUは停電信号が入力されているか否かを判定する(ステップS22)。上述したように、パチンコ機の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。ステップS22の判定は、この停電信号に基づいて行われる。
停電信号が入力されていないと判定された場合には、再びステップS21に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする。従って、ステップS21、ステップS22をNOと判断する処理ルーチンを繰り返し行う。なお、ステップS21〜ステップS22の処理を「メイン処理」という。
一方、ステップS22で停電信号の入力があったときには、ステップS30に進み、割込禁止設定を行う(ステップS30)。割込禁止設定により後述するタイマ割込処理が行われなくなり、RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。ステップS30に続いてチェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS31)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値及びバックアップフラグの値の記憶領域を除いたRAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
次に、バックアップフラグに値1をセットする(ステップS32)。これによりバックアップ情報の記憶が完了する。次いで、RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS33)。この設定によりRAMへのアクセスが禁止されて書き込み及び読み出しができなくなり、RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。ステップS33に続いてウォッチドックタイマのクリアを行う(ステップS34)。このクリアは、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
CPUはステップS34を行うと無限ループに入る。無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないため、ウォッチドックタイマがクリアされなくなる。このため、CPUにリセットがかかり、その後CPUは、この電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS30〜ステップS34の処理及び無限ループを「電源断時処理」という。
パチンコ機(CPU)は、停電したとき、あるいは瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により電源投入時処理を行う。
次に、タイマ割込処理について説明する。タイマ割込処理は、図5に示した電源投入時処理において設定された割込周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
タイマ割込処理が開始されると、メイン制御基板10のCPUは、図6に示すように、タイマ割込を禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS40)。ここでは、メイン処理で使用する記憶素子(レジスタ)から補助レジスタに切替、このタイマ割込処理ではこの補助レジスタを使用する。このため、メイン処理で使用するレジスタの値が上書きされることなく、その内容の破壊を防いでいる。
次いで、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS41)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、電源投入時処理(メイン処理)のステップS21においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
次いで、スイッチ入力処理を行う(ステップS42)。このスイッチ入力処理では、電源投入時処理のステップS02においてI/Oの入出力設定で入力端子(Input)として設定された端子の入力状態を読み取り、入力情報としてRAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、図1の上部可変入賞球装置60の第1の可変入賞口61aに入球した遊技球を検出する入賞口スイッチからの検出信号等を読み取り、入力情報記億領域に記憶する。
ステップS42に続いてタイマ減算処理を行う(ステップS43)。このタイマ減算処理では、例えば、後述するポート出力処理(ステップS49)において出力端子から出力する時間の管理等を行う。
ステップS43に続いて賞球制御処理を行う(ステップS44)。賞球制御処理では、上述した入力状態記憶領域から入力端子の入力状態、つまり入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成する。そして作成した賞球コマンドを図2に示した払出制御基板11に送信する。
ステップS44を行うと入賞数チェック処理を行う(ステップS45)。入賞数チェック処理では、入賞球に関する異常状態を確認する。例えば、図1の上部可変入賞球装置60の第1の可変入賞口61aに所定個数以上の遊技球が入球すると、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS45を行うと払出異常コマンド受信処理を行う(ステップS46)。払出制御基板11は、例えば、図示しない払出装置に、球詰まりにより遊技球を払い出せない等の払出異常が生じたときには、メイン制御基板10に払出異常コマンドを送信する。ステップS46の払出異常コマンド受信処理では、払出異常コマンドを受信すると、払出異常報知コマンドを作成し、送信情報として送信情報記億領域に記憶する。
ステップS46に続いて遊技演出コマンド作成処理を行う(ステップS47)。遊技演出コマンド作成処理では、上述した入力惜報記憶領域から入力情報を読み出し、この入力情報に基づいて、サブ統合基板13で音や装飾LEDを演奏、点灯制御するための遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記億領域に記憶する。
ステップS47を行うと、ステップS48に進んでモータ駆動信号作成処理を行う(ステップS48)。モータ駆動信号作成処理では、図1の球受回転体57を回転させるステッピングモータを駆動するための励磁信号のデータを出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS48に続いてポート出力処理を行う(ステップS49)。ポート出力処理では、上述した出力情報記億領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて出力端子の出力制御を行う。例えば、図1の球受回転体57を回転させるステッピングモータを駆動するための励磁信号を出力する。
ステップS49に続いてサブ統合基坂13に関するコマンド送信処理を行う(ステップS50)。コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を図2に示したサブ統合基板13に送信する。この送信情報には、上述した、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び払出異常報知コマンド等が組み合わされて構成されている。
ステップS50に続いてウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS51)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS41においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされたことになって、ウォッチドックタイマがクリアされる。ステップS51に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS52)。この復帰は、ステップS40でスタックに積んで退避した内容を読み出して、この内容をレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS52に続いて、割込許可の設定を行い(ステップS53)、このルーチンを終了する。