JP2007251905A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動物体や動画などの撮像に際して画像再現性の高い撮像装置を提供する。
【解決手段】映像信号を検出する第1のラインメモリと、第2のラインメモリと、写体を撮像可能なイメージセンサ11と、画面分割部47と、画面分割部47により分割された各エリアの輝度値の積算結果を比較して、輝度レベルの低い順に低輝度エリアを抽出し、低輝度エリアの輝度平均値を算出する低輝度平均値算出部48aと、分割された各エリアの輝度値の積算結果を比較して、輝度レベルの高い順に高輝度エリアを抽出し、高輝度エリアの輝度平均値を算出する高輝度平均値算出部48bと、各算出手段による輝度平均値の算出結果に基づき、それぞれ第1,第2の映像信号を得る光量を個別に制御する第1,第2の制御信号を生成する低速シャッタ制御部49a及び高速シャッタ制御部49bとを具備する。
【選択図】図8
【解決手段】映像信号を検出する第1のラインメモリと、第2のラインメモリと、写体を撮像可能なイメージセンサ11と、画面分割部47と、画面分割部47により分割された各エリアの輝度値の積算結果を比較して、輝度レベルの低い順に低輝度エリアを抽出し、低輝度エリアの輝度平均値を算出する低輝度平均値算出部48aと、分割された各エリアの輝度値の積算結果を比較して、輝度レベルの高い順に高輝度エリアを抽出し、高輝度エリアの輝度平均値を算出する高輝度平均値算出部48bと、各算出手段による輝度平均値の算出結果に基づき、それぞれ第1,第2の映像信号を得る光量を個別に制御する第1,第2の制御信号を生成する低速シャッタ制御部49a及び高速シャッタ制御部49bとを具備する。
【選択図】図8
Description
この発明は、移動物体や動画などの撮像においてもダイナミックレンジを拡大可能な撮像装置に関する。
CCDやCMOSセンサを用いた撮像装置において、明るい被写体から暗い被写体までが含まれるシーンを撮像しようとすると、これら撮像装置のダイナミックレンジが狭いため、明るい部分が飽和して飛んでしまう、暗い部分のS/Nが悪くノイズにうずもれ、見えなくなるなどの欠点がある。また、広ダイナミックレンジレンジ化の技術は色々と試みられてきたが、カメラの基本特性である感度、解像度、高速性を犠牲にせずにダイナミックレンジを拡大することは著しく困難である。
従って、目でモニタ画像を確認する場合や画像処理技術を用いて自動車などの衝突防止や自動運転する場合には感度、解像度、高速性を維持したままでダイナミックレンジを拡大する技術の確立が強く期待されている。
これを解決するために、高速シャッタ画像と低速シャッタ画像の2枚の画像を同じに撮像装置から取り出し、これらを合成することにより、ダイナミックレンジを広げて明るい部分から暗い部分に至るまで、鮮明に撮影できる方法も提案され、実用化されている。
ところが、実際には、高速シャッタ、低速シャッタ画像を取り出す際にシャッタ速度を理想的な値に瞬時に設定することが極めて難しい。これを解決する手段として、撮像された画像を分割することにより、この中の情報から最適シャッタ速度を決定しようとする試みも行われている。
即ち、被写体の1画面の中から、明るい部分を選択して取り出し、この明るい部分の輝度情報を検出して、この大きさによって高速画像用電子シャッタ時間を決定する。一方、被写体の1画面の中から、暗い部分を選択して取り出し、この暗い部分の輝度情報を検出して、その輝度情報の大きさによって低速画像用電子シャッタ時間を決定する。
この具体的方法は、被写体の1画面の中をたとえば5×5の25分割して、この各領域内で輝度情報を検出して明るい方から暗い方に並べて順番をつける。そこで、明るい方から、例えば6個の領域を選択して、この領域内の輝度情報を抽出して、高速画像用電子シャッタ時間を決定する。一方、暗い方から、例えば5個の領域を選択して、この領域内の輝度情報を抽出して、低速画像用電子シャッタ時間を決定する。
このようにして、被写体のシーンが変化するに伴い、高速画像用、低速画像用それぞれの電子シャッタ時間を任意に設定することができる。これを適応型制御と呼んでいる(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、これらの方法を用いたとしても、被写体の中に急速に移動する物体が含まれていると、この部分が二重像になる、輪郭がぼける、1画面のメモリが必要になるため信号取得までに時間がかかり、画像処理が迅速にできないなどの欠点がある。このため、見たいところが必ずしも鮮明に見えるとは限らず、しかも信号の高速性が失われ、車載カメラや移動体に取り付けて使うカメラでは十分満足できるような撮像装置を作ることは困難となる。
また、高感度画素と低感度画素をラインごとに配置したCCD(非特許文献1参照)を用いると上記画像が2重になる欠点は軽減されるが、画素が2倍必要となり、利用できる光量が1/2に減少してしまう。そのため、感度が悪くなり、低照度の被写体が撮影できない、暗い場合には画像処理が使えないという欠点がある。
一方、撮像装置でダイナミックレンジを広げる手段としては上述した技術のほかに、明るいシーンから暗いシーンまで広範囲に感度を有するような撮像デバイスを開発して、これを用いて撮像装置をつくればそれなりの効果が期待できると予想される。
しかしながら、ダイナミックレンジ拡大は撮像デバイス開発技術者の永遠の課題であって、プロセス技術の改良や設計手法の改良など数々の試みがなされてきたが、ノイズが増大して、感度が悪くなるなどの弊害が生じ、一般に利用できるカメラが作れる状況には至っていない。
この中で、フォトダイオードで蓄積状態において、振幅を小さくしたリセットパルスを加えることにより蓄積された信号電荷の一部を掃き出し消去させた後に、再度、信号電荷を蓄積させる動作方法がある(非特許文献2参照)。この動作によって、光量対信号電荷の特性曲線に折れ線特性を持たせることにより、実質的にダイナミックレンジを広げようとする試みである。しかしながら、この方式においても、リセットパルスの振幅値が画素ごとに変化すると掃き出し電荷量が変化してしまい、画素ごとに一様な信号が得られず、ノイズが発生するという欠点があり、実用的に困難である。
なお、2ライン同時読み出し型の固体イメージセンサを用いて、第1フィールドの露光時間を長く、第2フィールドの露光時間を短くして、1フィールド毎に露光条件の異なるビデオ信号を交互に得る方法もあるが、ブレの影響を受けやすく、かつ各フィールドに対応したビデオ信号を収容するフィールドメモリを備える必要がある(特許文献3参照)。
小田、ほか:広ダイナミックレンジ撮像素子の開発−第4世代スーパーCCDハニカム−、映像情報メディア学会技術報告、Vol.27, No.25, pp.17−20,2003年3月28日。 U.Seger, H.G.Graf and M.E.Landgraf : Vision Assistance in Scenes with Extreme Contrast, IEEE Micro, Vol.13, No.1, pp.50-56, May 1993. 特開2003−250094号公報
特開2003−319250号公報
特開平5−22669号公報
小田、ほか:広ダイナミックレンジ撮像素子の開発−第4世代スーパーCCDハニカム−、映像情報メディア学会技術報告、Vol.27, No.25, pp.17−20,2003年3月28日。 U.Seger, H.G.Graf and M.E.Landgraf : Vision Assistance in Scenes with Extreme Contrast, IEEE Micro, Vol.13, No.1, pp.50-56, May 1993.
この発明は、移動物体や動画などの撮像に際して画像再現性の高い撮像装置を提供することを目的とする。
本発明に係る撮像装置は、被写体の2次元画像に対して、第1の露光時間で撮像された第1映像信号および前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で撮像された第2映像信号を得るためのイメージセンサと、前記2次元画像を複数のエリアに分割し、当該エリアごとに対応する前記第1の映像信号を選択的に抽出して前記複数のエリアごとに輝度積算値を求めて、輝度レベルの低い順にn個の低輝度エリアを抽出し、そのn個の低輝度エリアの輝度平均値を算出する低輝度平均値算出手段と、前記2次元画像を複数のエリアに分割し、当該エリアごとに対応する前記第2の映像信号を選択的に抽出して前記複数のエリアごとに輝度積算値を求め、輝度レベルの高い順にm個の高輝度エリアを抽出し、そのm個の高輝度エリアの輝度平均値を算出する高輝度平均値算出手段と、前記各輝度平均値の算出結果に基づき、それぞれ前記第1,第2の露光時間を個別に制御するための第1,第2の制御信号を生成する手段と、前記第2の映像信号から、環境光成分を除去して物体光成分の映像信号を得る信号処理手段と、 を具備することを特徴とする。
この発明によれば、移動物体や動画などの撮像に際して画像再現性の高い撮像装置を提供することを目的とする。
以下、図面を参照して、本発明に係る撮像装置の一実施形態を説明する。
[第1実施形態] 図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置のCMOSイメージセンサ1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、このCMOSイメージセンサ1は、主に、光を検出する画素部11と、画素部11を制御する同期信号を生成する同期信号生成部12と、画素部11からの出力信号を格納する格納部13とから構成されている。
画素部11には、複数の画素を有し、レンズを介して光が入射され、光電変換によって入射光量に応じた電荷が生成される。各画素の電荷の蓄積量は後述する露光時間により制御される。生成された電荷に対応するアナログ信号は、格納部13に出力される。
同期信号生成部12は、後述する露光時間を決定するタイミングパルスを生成するタイミングジェネレータ121と、フローティングディフュージョンFDに転送するための読み出しトランジスタへのゲート電圧を印加するためのレベルシフタ122と、各画素を駆動するための垂直走査を行う垂直シフトレジスタ123と、水平走査を行う水平シフトレジスタ124とを備えている。
格納部13は、画素部11で得られるアナログ信号に対して、ノイズを除去しデジタル変換を行うCDS/ADC部131と、1ライン分の高速シャッタに対応する映像信号SHを記憶する第1(ライン)メモリ132と、1ライン分の低速シャッタに対応する映像信号SLを記憶する第2(ライン)メモリ133とを備えている。
画素部11は、例えば、縦480画素、横640画素が配列され、感光面となっている。これらの1画素は、図1に示すように、4つのトランジスタ(行選択トランジスタTa、増幅トランジスタTb、リセットトランジスタTc、読み出しトランジスタTd)とフォトダイオードPDとから構成されている。上記トランジスタTa,Tbの電流通路は、電源VDDと垂直信号線VLIN間に直列接続される。行選択トランジスタTaのゲートには、転送ゲートパルスADRESnが供給される。リセットトランジスタTcの電流通路は、電源VDDと増幅トランジスタTbのゲートとの間に接続され、そのゲートにはリセットパルスRESETnが供給される。また、上記トランジスタTdの電流通路の一端は、上記フローティングディフュージョンFDに接続され、そのゲートに読み出しパルスREADnが供給される。そして、上記トランジスタTdの電流通路の他端にフォトダイオードPDのカソードが接続され、このフォトダイオードPDのアノードは接地されている。なお、上記図1では、1画素分の4つのトランジスタのみを表示したが、実際には複数の画素の各々に対し、図1のような4つのトランジスタが配置されている。
このように形成されたCMOSイメージセンサ1により、撮像が行われる。この撮像された光学像は、フォトダイオードPDで光電変換される。まず、フローティングディフュージョンFDのリーク信号を除去するために、リセットパルスRESETnがリセットトランジスタTcに印加され、フローティングディフュージョンFDをリセットレベル(電圧VDD)にリセットする。このリセットレベルは、転送ゲートパルスADRESnが印加され、行選択トランジスタTbがオンになると、CDS/ADC部131へ信号として読み出される。次に、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷は、読み出しパルスREADnが印加されると読み出しトランジスタTdがオンになり、フローティングディフュージョンFDに転送される。そして、転送ゲートパルスADRESnが印加されると行選択トランジスタTbがオンになり、増幅トランジスタTbで増幅された信号が垂直信号線VLINを経由してCDS/ADC部131に信号及びリセットレベルとして読み出される。CDS/ADC部131で信号及びリセットレベルから先のリセットレベルを差分動作させることで信号成分のみを抽出することができる。そして、抽出した信号のみをCDS/ADC部131でアナログデジタル変換している。なお、フォトダイオードPDは、読み出しパルスREADnが印加された後にも、継続して光が当たっているので、蓄積状態に入り、光電変換が継続して行われている。
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態の撮像装置のCMOSセンサの3種類の動作パターンを説明する。
[第1動作パターン] 図2は、本発明の撮像装置のCMOSセンサの第1動作パターンを示す図である。図2(a)の符号HPは、水平同期パルスのタイミングを示すもので、例えば、VGA画素では1V=1/30fpsで画面が構成され、全体で525個のパルスが発生することになる。パルスの間隔は15.74kHzであって、符号1Hで示されている。
図2(b)は、リセットパルスRESETnの信号を示すものである。リセットパルスRESETnは、フローティングディフュージョンFDを電源VDDの電圧にリセットすることにより、信号電荷を空にする。図2(c)は、読み出しパルスREADnを示している。この読み出しパルスREADnによりフォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。図2(d)は、転送ゲートパルスADRESnを示すものである。この転送ゲートパルスADRESnは、信号電荷を出力線に読み出すためのセンシングパルスとなる。
フォトダイオードPDに蓄積される信号電荷は、入射光量が一定であれば、蓄積時間に比例して増大する。そこで、低速シャッタに対応する映像信号SLを得るためには長時間露光、高速シャッタに対応する映像信号SHを得るためには短時間露光にすればよい。本実施の形態では、長時間露光TLと短時間露光THとの2つの信号蓄積モードがある。長時間露光TLはt=t0で蓄積が開始され、t=t7で終了する。そして、短時間露光THはt=t3で蓄積が開始され、t=t5で終了する。それぞれの蓄積終了の時間であるt=t5、t7は、同一の1Hの期間内であることが必要なので、設定の自由度は小さいが、蓄積開始の時間、t=t0、t=t3は異なる1Hの範囲でよく、各々任意の時間に設定できる。TLとTHとは少なくとも一部が重複している露光時間である。
図2(e)は、図2(a)〜図2(d)に示した制御によるフォトダイオードPDの信号電荷の蓄積の変化を示すものである。短時間露光THにおける強い光が入射された画素は、SH2の直線に沿って信号電荷が増加していき、短時間露光THにおける弱い光が入射された画素は、SH1の直線に沿って信号電荷が増加する。また、更に弱い光が入射された長時間露光TLにおける画素は、SLの直線に沿って信号電荷を蓄積する。
次に、図2〜図4を参照して、信号電荷の時間的変化を詳細に説明する。図3及び図4(a)〜(c)において、上段(a)は入射光量が大であり短時間露光THとされる画素(高輝度画素)の場合、中段(b)は入射光量が中であり短時間露光THとされる画素(中輝度画素)の場合、下段(c)は入射光量が小であり長時間露光TLとされる画素(低輝度画素)におけるt=t1〜t7の信号電荷を示す。フォトダイオードPDに光があたると信号電荷は徐々に増加していく。t=t1の時点では(a)の場合、信号電荷は飽和し、読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁を超えてフローティングディフュージョンFDに流入する。一方、(b)及び(c)の場合、信号電荷は未飽和の状態にある。
次に、時間t=t2では、リセットパルスRESETnが加えられ、リセットトランジスタTcのポテンシャル障壁が、押下げられ、(a)〜(c)のフローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷は、消去される。続いて、t=t3において、振幅Vmの読み出しパルスREADnが加えられると、読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁がエネルギーVmまで下がり、(a)においては、このレベル以上の信号電荷は、フローティングディフュージョンFDに流入する。これに対し、(b)及び(c)においては、信号電荷は、ポテンシャル障壁のエネルギーVmまで達していないので、信号電荷はそのまま変化することはない。この後、読み出しパルスREADnは停止し、ポテンシャル障壁は、0V近くまで上昇するので、井戸型ポテンシャルに余裕ができ、高感度画素でも信号蓄積が再開される。t=t4において、リセットパルスRESETnが加えられ、リセットトランジスタTcのポテンシャル障壁が引き下げられ、フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷は消去される。そして、t=t5において、再び、読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁をエネルギーVmまで引き下げ、フローティングディフュージョンFDに電荷を蓄積し、この状態で転送ゲートパルスADRESnを加え、電荷量を読み取る。すなわち、(a)ではt=t3以降に新たに蓄積された信号電荷量SH1valueのみが読み出される。同様に、(b)では振幅Vmを越えた信号電荷量SH2valueのみが読み出される。このとき、t=t5で読み出された第1の信号電荷量SH1value,SH2valueは、高速シャッタ信号に対応する映像信号SHとして、CDS/ADC部131を経て、第1メモリ132に格納され出力される。
信号電荷を読み出した後、t=t6で、t=t4時と同様にフローティングディフュージョンFDをリセットし、t=t7で読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁をエネルギーVnまで下げ、フォトダイオードPDの全ての蓄積電荷をフローティングディフュージョンFDに流入させる。即ち、蓄積された信号電荷に関係なく、残された信号電荷が、全て読み出される。この状態で、再び、転送ゲートパルスADRESnが加えられるが、t=t5において信号電荷が読み出された画素(図3(a),(b))に対しては、SL2valueの信号レベルが読み出される。そして、t=t5で読み出された信号SH1value,SH2valueとt=t7で読み出した信号SL2valueは、CDS/ADC部131に出力される。t=t5で信号電荷が読み出されない画素(図3(c))は、CDS/ADC部131へ出力されること無くt=t7で読み出したSL1valueのみを信号電荷として出力する。
図3(c)の場合、即ち直線SL(図2)に沿って蓄積される電荷量は、小さいため、エネルギーVmに達することはなく、t=t7まで読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁を越えることはない。したがって、t=t7において初めて、t=t0から蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョンFDに流入する。この流入した信号電荷量SL1valueが、転送ゲートパルスADRESnにより読み取られる。t=t7で読み取られた信号SL(図2)の信号電荷量SL1valueは、低速シャッタ信号に対応する映像信号SLとして、CDS/ADC部131を経て、第2メモリ133に格納され出力される。上記の短時間露光信号SHと長時間露光信号SLは、水平レジスタ124により同時に読み出すことができる。
[第2動作パターン] 次に、図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る撮像装置のCMOSセンサの第2動作パターンを説明する。第1動作パターンにおいて、図2〜図4を用いて説明した際には、t=t3までに蓄積した信号電荷を捨て去る構成であったが、第2動作パターンにおいては、この信号電荷を積極的に活用する構成とされている。したがって、第1動作パターンのように、t=t4においてリセットパルスRESRTnを加えることはない。すなわち、t=t4まで蓄積された信号をフローティングディフュージョンFDに保持して得られる信号SHvalueを読み出す。次に、時間t=t5においてRESETnパルスを印加して、フローティングディフュージョンFDの電荷を消去しリセットレベルを出力する。そして、CDS/ADC部131により時刻t=t4とt=t5の信号差分を信号成分としてデジタル信号に変換している。この信号差分を高速シャッタ信号SH1value,SH2valueとして読み出し、第1メモリ132に蓄積させる。そして、t=t6においてフローティングディフュージョンFDの電荷を消去する。その前に、READnパルスで電圧Vmを印加して、Vm以上の信号電荷を排出する。この動作により、時刻t=t7で各画素に対応した信号SH1value,SH2valueのLOレベル側の信号SL2value(図5)を出力することが出来る。t=t7において読み出しトランジスタTdに読み出しパルスREADnを加えてフォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をすべてフローティングディフュージョンFDに転送して、転送ゲートパルスADRESnを加えて読出し、CDS/ADC部131により時刻t=t6とt=t7の信号差分を信号成分としてデジタル信号に変換して、第2メモリ133に低速シャッタ信号SL1value,SL2valueとして蓄積させる。このように第2動作パターンにおいても、第1動作パターンと同様に高感度及び低感度の信号電荷を得ることができる。
なお、第2動作パターンにおいても、第1動作パターンと同様にt=t3で読み出しトランジスタTdに印加するパルスの振幅をVmにして、ポテンシャル障壁を所定のエネルギーまで下げ、信号電荷の一部をフォトダイオードPDに保存する構成である。
上記の第1動作パターン及び第2動作パターンに記載のように、読み出しパルスREADnの振幅を変化させて、読み出しトランジスタTdのポテンシャル障壁を変化させた場合の補足説明をする。例えば、図6(a)に示すように、t=ta,tb,tcにおいて読み出しパルスREADnによりポテンシャル障壁をV=Vm,V1,V2と変化させたとする。これに伴い、光量に対する信号出力は、図6(b)に示すように、いわゆる折れ線特性を示すことになる。この折れ線特性を有する理由は、第1動作パターンの図3及び図4に示したように、光量が大きいために一度信号電荷があふれて飽和した画素も、再度信号電荷が蓄積可能になるためである。
[第3動作パターン] 次に、図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る撮像装置の第3動作パターンを説明する。
図7に示すように、第3動作パターンでは、読み込みパルスREADnの振幅を電圧Vnに大きくしてt=t3で全ての信号電荷を読み出すようにしている。このようにすると一旦フォトダイオードPDに蓄積されてきた信号電荷全てが、t=t3までフローティングディフュージョンFDに読み出され、フォトダイオードPDの信号電荷は一旦ゼロになる。この信号電荷の蓄積時間が、蓄積時間TLとなる。この時点t=t3から再び、信号電荷の蓄積が開始されt=t7までが高速シャッタ信号に対応する映像信号SHの蓄積時間THとなる。まず、時刻t=t4で信号SLvalueを読出し、次の時刻t=t5でフローティングディフュージョンFDをリセットする。次に、CDS/ADC部131で時刻t=t4とt=t5の信号差分を信号成分としてCDS/ADC部131でデジタル信号に変換している。本動作パターンでは、見かけ上フォトダイオードPDの飽和信号電荷量を約2倍にすることが出来る。特に、微細画素で飽和電荷量が減少するのを改善するのに有効である。また、本動作パターンは前半の蓄積時間を短くTH期間とし、後半の蓄積時間を長くTL期間として動作しても良い。このような動作に対し、信号読み出しの次にRESET動作をし、リセットレベルを読み出す方法であれば、RESET動作により、リセットノイズが混入する。一方、上記第3の動作パターンにおける動作のように、RESET動作でリセットレベルを読み出し、次に信号レベルを読み出す動作は、RESET動作が途中に入らないため、純粋に信号成分のみCDS/ADC部131で抽出できるため高S/Nの信号が得られる。この場合、露光時間の和が1/30fps未満である。
[信号処理回路の構成] このようにして得られた高速シャッタ信号に対応する映像信号SHと低速シャッタに対応する映像信号SLは、図8に示すような信号処理回路4に加えられる。この信号処理回路4において、上記のCMOSセンサ1から出力される低速シャッタ信号SLと高速シャッタ信号SHとは、それぞれ非直線処理を行う非直線部41a,41b、Retinex変換部42により所望の特性に変換された後、加算部43に入力される。このとき、各信号の振幅値は、必要に応じてレベル変換回路で変化させる構成であってもよい。加算部43の出力は、ダイナミックレンジ拡大信号となっているが、デジタル信号処理部(DSP)44を通すことにより、白黒信号或いはカラー信号とすることができる。さらに、NTSCエンコーダ45によりアナログのNTSC信号とすることができる。また、必要に応じて、信号出力はデジタル信号のままで取り出したり、LVDS信号にしたりすることができる。
一方、低速シャッタ信号SL及び高速シャッタ信号SHは、マイコン46に入力される。
このマイコン46は、画面分割部47と、低輝度平均値算出部48aと、高輝度平均値算出部48bと、低速シャッタ制御部49aと、高速シャッタ制御部49bとを備えている。また、マイコン46は、EEPROM46aを備えており、EEPROM46aには、上記画面分割部47〜高速シャッタ制御部49bを制御するプログラムが格納されている。
まず、マイコン46に入力された低速シャッタ信号SL及び高速シャッタ信号SHは、画面分割部47に入力され、分割されたエリア内の輝度を積算する。つづいて、その出力は低輝度画素の平均値を求める低輝度平均値算出部48aと、高輝度画素の平均値を求める高輝度平均値算出部48bとに入力され、各々低速シャッタ制御部49a及び高速シャッタ制御部49bによりシャッタ時間を制御する。すなわち、低速シャッタ制御部49a及び高速シャッタ制御部49bにより生成した制御信号は、図1に示したタイミングジェネレータ121に入力され、タイミングジェネレータ121は、図2、図5、図7に示したタイミングで制御パルスを出力する。なお、実際には画面分割部46まではマイコンのソフトプログラムにより構成される。低速シャッタ制御部49a、高速シャッタ制御部49bはそれぞれ図3の低速シャッタ時間TL、高速シャッタ時間THを決めるもので、被写体の内容によって長くなったり、短くなったり変化する。
すなわち、低速シャッタ時間TLは図2(c)のt=t0からt=t7であり、高速シャッタ時間THは図2(c)のt=t3からt=t5である。実際には、t5,t7の位置は決まっているので、低速シャッタ制御49a、高速シャッタ制御部49bで決めるのはt=t0とt=t3のタイミングということになる。
図9は、第1実施形態における画像処理の具体例を示した図である。画面分割部47は、低速シャッタ信号、高速シャッタ信号のそれぞれ画面を図9に示すように、例えば縦横5×5の25ブロックに分ける。次に、このブロックごとに明るさを算出する。
各ブロック内で積算された輝度情報を基に25のブロックを明るい方から暗い方に並べて順番(1〜25)をつける。そして、高輝度平均値算出部48bは、図9に示すように、明るい方から、例えば5個(1〜5)の領域を選択して、この領域内の輝度情報を抽出して、高速画像用電子シャッタ時間を決定する。一方、低輝度平均値算出部48aは、暗い方から、例えば5個(21〜25)の領域を選択して、この領域内の輝度情報を抽出して、低速画像用電子シャッタ時間を決定する。このようにすると、被写体のシーンが変化するに伴い、高速画像用、低速画像用それぞれの電子シャッタ時間を低速シャッタ制御部49a及び低感度シャッタ制御部49bにより、その都度、任意に設定することができる。
被写体の輝度分布が平坦であれば、明るい方から選んだ5個の領域の輝度と暗い方から選んだ5個(21〜25)の輝度とが接近するので、高速画像用、低速画像用それぞれの電子シャッタ時間が接近する。
一方、被写体の中に西日のような明るい部分と、逆光の木陰のような暗い部分が混在していると、その被写体の輝度分布は大きく変化したものとなる。このようなシーンでは、明るい方から選んだ5個の領域の輝度が大きく、暗い方から選んだ5個の輝度が小さくなる。従って、高速画像用の電子シャッタ時間が短く、低速画像用の電子シャッタ時間が長く両者のシャッタ時間は大きく離れる。
このように、被写体が変化するとそれに応じて輝度情報を的確に判断して、最適シャッタ時間を決定することができる。
図10は、図8に示したRetinex変換部42を説明する図である。Retinex変換部42は、環境光による成分と被写体が反射して発生する物体光成分とを分離し、それぞれに最適処理を施した上で合成するものである。まず、入力信号は2次元LPF421に加えられ、環境光成分が分離される。物体光成分は原信号から環境光成分を除去することによって得られるので、原信号は引算部422に加えられ、2次元LPF421の出力が引き算され、物体光成分が得られる。環境光成分は必要に応じて圧縮部423aにより圧縮され、利得調整部424aを経て加算部425に加えられる。一方、物体光成分は必要に応じて伸長部423bにより伸長され利得調整部424bを経て加算部425に加えられる。加算部425の出力がRetinex変換された信号となる。なお、引算部422を第2の2次元LPFに置換して構成することもできる。
以上のような適応型制御をCMOSセンサ及びその周辺回路に適用することによって、CMOSセンサの特徴を十分に引き出すことができ、高性能の広ダイナミックレンジを有する撮像装置を構成できる。
また、従来にあっては、高感度画像と低感度画像の間に時間遅れがあるため、画像を合成すると二重画像になり、著しく画質が低下するという欠陥があった。特に高速で移動する被写体を撮るとエッジが二重になり、画像処理を行う場合にも誤差が大きく、精度が向上しないという問題があった。
この発明においては、図1のような新規な構成と動作を有する撮像デバイスを適応型処理に適応した場合、従来は時分割で低感度画像、高感度画像を交互に取り出していたものが、並列処理で取り出すことが可能になるという大きな効果がある。
[第2実施形態] 次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る撮像装置を説明する。第2実施形態に係る撮像装置は、第1実施形態と信号処理部のみが異なる構成である。すなわち、第2実施形態に係る信号処理部4’は、低速シャッタ信号と高速シャッタ信号とにそれぞれ独立したRetinex変換部42a,42bを備えており、加算部を備えていない。このような構成により、画像処理を行う場合などの目的に応じて加算部を介さずに、Retinex変換部42a,42bからの出力を各々DSP回路44a,44bに加えることにより低速シャッタ信号、高速シャッタ信号を別々に出力とすることも可能である。
[第3実施形態] 次に、図12を参照して、本発明の第3実施形態に係る撮像装置を説明する。第3実施形態の撮像装置は、第1実施形態と信号処理部のみが異なり、その回路を簡素化している。すなわち、第3実施形態に係る信号処理部4aは、図12に示すように、第1及び第2実施形態と異なり、画面分割部を備えていないマイコン46’を有する構成である。
この信号処理部4aは、単純に全画面の低輝度平均値算出部48aの結果に応じて低速シャッタ制御49aを制御し、また、全画面の高輝度平均値算出部48bの結果に応じて高速シャッタ制御部49bを制御している。このような構成であれば、低輝度平均値算出レベルを高レベルに設定することにより、低輝度の信号を見易くすることが出来る。また、高輝度平均値算出レベルを低レベルに設定することで、高輝度の信号レベルをより大きいレベルまで再生することが出来る。第3実施形態の信号処理回路では、画面分割用の25個のメモリと、順番を並べ替える回路が不要となる。
[第4実施形態] 次に、図13を参照して、本発明の第4実施形態に係る撮像装置を説明する。第4実施形態の撮像装置は、第1実施形態と信号処理部のみが異なり、その回路を簡素化している。すなわち、第4実施形態に係る信号処理部4bは、図13に示すように、第1及び第2実施形態と異なるマイコン46’’を備えている。
マイコン46’’は、画面分割部、高輝度平均値算出部及び低輝度平均値算出部を備えておらず、全画面の輝度平均値を算出する輝度平均値算出部48cと、低速シャッタの制御時間の1/N(N>1)の制御時間を導く1/N変換部48dを備えている。
このマイコン46’’においては、単純に加算信号の全画面の輝度平均値算出48cの結果に応じて低速シャッタ制御部49aを制御している。また、この低速シャッタの制御信号をもとに1/N変換部48dにより高速シャッタ制御部49bを制御する。即ち、1/N変換部48dは、第1の制御信号(低速シャッタの制御信号)をもとに第2の制御信号を生成する第2制御信号生成部として機能する。第4実施形態では、複雑な低速シャッタ制御と高速シャッタ制御の制御が不要で、使いやすい撮像装置が提供できる。特に携帯電話などのカメラでは小型(回路規模も小さい)簡単制御のセンサ要求に合っている。
[第5実施形態] 次に、図14を参照して、本発明の第5実施形態に係る撮像装置を説明する。第5実施形態に係る撮像装置は、第4実施形態と信号処理部のみが異なる構成である。すなわち、第5実施形態に係る信号処理部4cは、第4実施形態と異なり、低速シャッタ信号側の機能構成は、非直線処理部41aとRetinex変換部42aの構成が入れ替わり、Retinex変換部42aの処理の後に非直線処理部41aの処理がなされる構成とされている。また、高速シャッタ信号側の機能構成は、Retinex変換部を有しておらず、非直線処理部41bのみを有する構成とされている。これら以外の構成は、第4実施形態と同様である。
通常の撮影では、低速シャッタ側の不要光線による広がりの影響が大きい。例えば、車載カメラで夜間の道路を撮影する場合、対向車のヘッドランプが画面に入ると、低速シャッタ画像において、ヘッドランプ周辺に明るいフレアのような広がりが生じることがある。この画像信号にRetinex処理を施すと、フレア成分が除去でき、ヘッドランプの明るさの広がりを除去できる。このようにすると、ヘッドランプ近くに人影が存在する場合にもフレア成分で、人影が見えなくならず、鮮明な画像をとらえることができる。このように、高輝度の被写体が画面に入ってきた場合には本発明の効果は大変大きなものとなる。このような場合には、高速シャッタ画像ではヘッドランプの信号はさほど大きくないので、周辺のフレア状の明るさの広がりもは大きくなく、画像に与える影響も小さい。したがって、高速シャッタ画像には特にRetinex処理を施す必要がなく鮮明な画像をとらえることができる。
上記説明のように、低速シャッタ画像だけに処理を加えることにより、回路規模が小さくでき、その結果消費電力も押さえることができるというメリットがある。
[第6実施形態] 次に、図15を参照して、本発明の第6実施形態に係る撮像装置を説明する。第6実施形態に係る撮像装置は、第5実施形態と信号処理部のみが異なる構成である。すなわち、第6実施形態に係る信号処理部4dは、第5実施形態と異なり、非直線処理部42bの後に、Retinex変換部41bを有する構成とされている。これら以外の構成は、第5実施形態と同様である。
[第7実施形態] 次に、図16を参照して、本発明の第7実施形態に係る撮像装置を説明する。第7実施形態の撮像装置は、第1実施形態とRetinex変換部のみが異なる構成である。第1実施形態に係るRetinex変換部は、一般にハローと呼ばれる輪郭部付近に発生するハレーションが生じる虞がある。そこで、第7実施形態に係るRetinex変換部は、ハレーションを除去する処理を施した回路構成とされている。すなわち、第7実施形態に係るRetinex変換部42’は、2次元補正処理部426と、その出力信号を加算する加算部427とを備える構成である。Retinex変換部42’に入力された入力信号は、2次元LPF(ローパスフィルタ)421と、引算部422と、2次元補正処理部426に入力される。2次元補正処理部426に入力された信号は、補正処理が施され、引算部422からの出力信号と加算部427において加算される。この加算された信号は、伸長部423bに入力され、以下、第1実施形態と同様の信号処理がなされる。なお、引算部422は、第2の2次元LPFに置換して構成し、2次元LPF421を第1の2次元LPFとして機能させることも可能である。
[他の実施形態] 上記説明では、撮像デバイスとして、CMOSセンサ1の例で説明してきたが、CCDセンサ1’でも同様に実施できる。
図17は、2ラインメモリに相当する2個のライン転送部を有するインターライン転送のCCDセンサ1’の構成を説明したものである。ここでは、原理説明のため垂直6画素、水平3画素のいわゆる3×6の画素部11’を有するCCDセンサ1’について示してある。
垂直方向に高感度画素Hと低感度画素Lとが交互に配列されており、それぞれの画素に隣接して垂直転送部が4個ずつ配列され、いわゆる垂直転送は4相駆動の例である。高速シャッタ信号SH、低速シャッタ信号SLは垂直転送後、それぞれ格納部13’に設けられたL用ライン転送部131’、H用ライン転送部132’にライン毎の信号として一旦メモリされ、読み出される。従って、このライン転送部をラインメモリとみなすこともできる。なお、この際の読み出しタイミングとしては高感度信号H、低感度信号Lを同時に読み出すことも、時間ごとに順次に読み出すこともできる。
以上のように、本発明によると、被写体の輝度差が大きく変化するようなシーンが続く場合であってもそのシーンに応じて最適な高感度画像と低感度画像が得られ、しかも、高感度画像と低感度画像に時間差がないので、被写体やカメラが動いた場合でもぶれや2重像になることがなく、鮮明で最適な広ダイナミックレンジ画像を容易に得ることができるという大きな効果がある。
例えば、図18は従来の手法によるWDRカメラの出力特性の一例である。この例では低速シャッタ速度を1/60s、高速シャッタ速度を1/11,000sにそれぞれ設定し、これらの合成比率を10%と90%で合成したものである。しかしながら、カーブの中で40nit付近に不連続点が生じている。
本来、低速シャッタ速度で得られる画像の比率を10%でなく、30〜40%程度に大きくして、感度向上を図りたいところである。しかしながら、このような比率で合成すると、不連続点が大きくなり、この付近の明るさに対して画像の再現が著しく低下するという欠点があった。
ここで、本願発明は、低速シャッタ画像成分を分析すると本来必要な被写体からの反射光成分に加えて、外部照明による環境光の影響に起因することに着目して、なされたものである。即ち、本願発明は、カメラで撮影する際に必要な被写体からの光学像の成分を抽出することにより、低速シャッタ速度で得られる画像の比率を大きくしても不連続性を起すことなく、WDR画像を著しく改善したものである。
特に、本願発明は車載カメラや移動体に取り付けるカメラでは被写体が高速に移動したり、変化したりすることが多いが、高感度画像と低感度画像の露光条件を高速に精度よく決定することができ、しかも高感度画像と低感度画像とが同時に得られるので、高解像度で確実な広ダイナミックレンジ画像を容易に得ることができるという大きな効果がある。
また、レベルシフタと1Hメモリを加えるだけで、CMOSセンサの画素構成を大きく変えることがないため、CMOSセンサの特性を最大限活用した上で、S/Nがよく高感度の広ダイナミックレンジカメラを構成できるというメリットがある。
また、同時に分離した高感度画像と低感度画像が得られるため、信号を分離する必要がなく、個別に非直線処理や、輝度信号平均値算出などの信号処理が実施できる。また、時間分割で高感度画像と低感度画像を得る方式に対して、同時に画像がえられるため、高速動作が可能となる。
さらに、これらの信号を用いて、白線検出や障害物検出、前方車両との距離計測などの画像処理を行う場合にも高感度、高解像度、広ダイナミックレンジの画像を高速で得られるので、確実で精度のよい処理ができるという大きな効果がある。
従来方式では感度、解像度、ダイナミックレンジの3大要件の一つを改良しようとするとどこかに弊害が発生することが多かったが、本発明によれば3大要件のいずれの性能も低下することなしに、どの特性も大幅に特性が改善できるとともに時間遅れがなく高速に信号が得られるという特徴がある。更に本発明の信号処理を用いると、本発明の効果が一層発揮できる。即ち、カメラ全体のダイナミックレンジが広くなると階調範囲が一定である場合には当然、注目したい被写体のコントラストが低下してしまい、判別しにくくなるが、本発明の回路処理を施すことにより、鮮明な画像が得られるという特徴がある。
このことにより、画像認識の際の誤動作がなくなり、悪条件下でも確実な制御が可能になるという利点がある。さらに、本発明によれば、高速動作が可能になるので、移動物体や動画などの撮像に際して画像再現性の高い撮像装置を提供することが可能である。したがって、従来、2シャッタ方式では使えないといわれていた車内監視カメラや側方に設置する車載カメラにも使用可能になり、用途が大きく広がるという効果がある。
上記したように、車載カメラは従来、一長一短があって、広く普及することができなかったが、本発明のカメラは、特に移動体に取り付けられることを前提とした車載カメラに好適な機能を数多く含んでおり、車載カメラに最適である。
以上、発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。例えば、各ブロックの組み合わせは任意であり、また、上記画像装置は、単体の装置で構成する必要はなく、複数の装置の組み合わせであってもよい。
1・・・CMOSセンサ、1’・・・CCDセンサ、11・・・画素部、12・・・同期信号生成部、121・・・タイミングジェネレータ、122・・・レベルシフタ、123・・・垂直レジスタ、124・・・水平レジスタ、13・・・格納部、131・・・CDS/ADC部、132・・・第1メモリ、133・・・第2メモリ、131’・・・L用ライン転送部、132’・・・H用ライン転送部、41a,41b・・・非直線処理回路、42a,42b・・・Retinex変換部、421・・・2次元LPF、422・・・引算部、423・・・圧縮部、423・・・伸長部、424a,424b・・・利得調整部、425・・・加算部、426・・・2次元補正処理部、43・・・加算部、44・・・DSP、45・・・NTSCエンコーダ、46,46’,46’’・・・マイコン、47・・・画面分割部、48a・・・低輝度平均値算出部、48b・・・高輝度平均値算出部、49a・・・低速シャッタ制御部、49b・・・高速シャッタ制御部、Ta・・・行選択トランジスタ、Tb・・・増幅トランジスタ、Tc・・・リセットトランジスタ、Td・・・読み出しトランジスタ、PD・・・フォトダイオード、Vn・・・電源、VLIN・・・垂直信号線。
Claims (9)
- 被写体の2次元画像に対して、第1の露光時間で撮像された第1映像信号および前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で撮像された第2映像信号を得るためのイメージセンサと、
前記2次元画像を複数のエリアに分割し、当該エリアごとに対応する前記第1の映像信号を選択的に抽出して前記複数のエリアごとに輝度積算値を求めて、輝度レベルの低い順にn個の低輝度エリアを抽出し、そのn個の低輝度エリアの輝度平均値を算出する低輝度平均値算出手段と、
前記2次元画像を複数のエリアに分割し、当該エリアごとに対応する前記第2の映像信号を選択的に抽出して前記複数のエリアごとに輝度積算値を求め、輝度レベルの高い順にm個の高輝度エリアを抽出し、そのm個の高輝度エリアの輝度平均値を算出する高輝度平均値算出手段と、
前記各輝度平均値の算出結果に基づき、それぞれ前記第1,第2の露光時間を個別に制御するための第1,第2の制御信号を生成する手段と、
前記第2の映像信号から、環境光成分を除去して物体光成分の映像信号を得る信号処理手段と、
を具備することを特徴とする撮像装置。 - 前記イメージセンサが、少なくとも一部期間が重複している第1の露光時間および第2の露光時間で撮像可能であって、前記第1の露光時間で撮像された第1映像信号を格納するための第1のラインメモリおよび前記第2の露光時間で撮像された第2映像信号を格納するための第2のラインメモリとを備え、前記第1及び第2のラインメモリ間の対応する映像信号を並行して出力可能である、請求項1記載の撮像装置。
- 前記イメージセンサが、被写体の2次元画像を、第1の露光時間および第2の露光時間で撮像可能であって、前記第1の露光時間で撮像された第1映像信号を格納するための第1のラインメモリおよび前記第2の露光時間で撮像された第2映像信号を格納するための第2のラインメモリとを備え、第1の露光時間および第2の露光時間の和が1/フレーム周波数未満であってかつ、前記第1及び第2のラインメモリ間の対応する映像信号を並行して出力可能である、請求項1記載の撮像装置。
- 前記信号処理手段が、前記第1および第2の映像信号のそれぞれから、環境光を除去するための第1の2次元低域フィルタ群を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記信号処理手段が、前記第1および第2の映像信号から前記第1の2次元低域フィルタ群の出力をそれぞれ引き算する手段を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記信号処理手段が、前記第1および第2の映像信号から、それぞれが物体の輪郭部付近に発生するハレーションを除去するための第2の2次元低域フィルタ群を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記信号処理手段は、Retinex変換を行なう第1の変換手段を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記信号処理手段は、さらに、前記第1の映像信号に対してRetinex変換を行なう第2の変換手段を有することを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
- さらに、第1の映像信号もしくはRetinex変換を行なった第1の映像信号のいずれか一方と、Retinex変換を行なった第2の映像信号とを合成する合成手段を備えることを特徴とする請求項7または8記載の撮像装置。
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