以下、本発明の一実施例に係わる絶縁コイルおよびその含浸・硬化方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例に係わる絶縁コイルの概略構成を示す切り欠き外観図である。なお、図1に示した絶縁コイルでは、超伝導コイルを例にとったが、本発明は、それ以外の絶縁コイルにも適用可能である。図1において、超伝導線を円筒状に巻いたソレノイドを同心円状に何層にも重ねることにより、絶縁コイル1が形成され、絶縁コイル1の上下面には、口出し部2a、2bが設けられている。
図2(a)は、図1のAの部分の拡大図である。図2(a)において、撚った超伝導線12がコンジット13の内部に封入されており、コンジット13は巻線絶縁層14で覆われている。
図2(b)は、図2(a)のコンジットタイプの超伝導巻線の拡大図である。図2(b)において、巻線絶縁層14は、例えば、ガラステープ14aおよび貼り合わせテープ14bから構成することができる。例えば、巻線絶縁層14の最内層には、ガラステープ14aを1/2重ね巻し、巻線絶縁層14の2層目〜4層目には、貼り合わせテープを1/2重ね巻きすることができる。なお、貼り合わせテープ14bとしては、ポリイミドフィルムとガラステ−プとを貼り合わせたものを用いることができる。
図2(a)において、図2(b)のコンジットタイプの超電導線12が円筒状に巻かれたソレノイド19a、19bが同心円状に何層にも積層され、各ソレノイド19a、19bの間には、層間絶縁層16、17が設けられている。最外層のソレノイド19aの周囲には、対地絶縁層15が設けられ、対地絶縁層15の外側には、離型層18が設けられている。
層間絶縁層16、17は、例えば、ガラステープ16a、17aを円周方向に1/2重ねで3層巻きとして構成することができる。対地絶縁層15は、例えば、ガラステープ15aを円周方向に1/2重ねで10層巻きとして構成することができる。離型層18は、例えば、テフロン(登録商標)テープを1/4重ねで1層巻きとして構成することができる。
層間絶縁層16、17および対地絶縁層15を構成するガラステープ15a〜17aの層間には、所定幅のスペーサ15b〜17bが一定の間隔を置いて縦方向に挿入される。このスペーサ15b〜17bをガラステープ15a〜17aの層間に挿入して、ガラステープ15a〜17aを各ソレノイド19a、19bの周りに巻きつけることにより、各スペーサ15b〜17bの両脇には、隙間15c〜17cを形成することができる。
ガラステープ15a〜17aの各層間に隙間15c〜17cを形成することにより、層間絶縁層16、17および対地絶縁層15に下から樹脂を注入する際の樹脂の通路を形成することが可能となり、層間絶縁層16、17および対地絶縁層15の樹脂含浸を容易にすることが可能となる。
すなわち、フィルム材や体積の大きいコイルなどに樹脂を含浸させると、含浸時間が長くなる。特に、超伝導コイルの場合、コイルの巻き線張力は非常に高くなり、超電導線が絶縁物に対して強い圧縮力を加えた状態のものが多い。そのような絶縁コイルに含浸するには、非常に長時間を要するとともに、十分な樹脂含浸を行うことは困難となる。
そこで、含浸を容易にするために、帯状または棒状の挿入物を絶縁テープと交差する方向に適当な絶縁層ごとに挿入しつつ、絶縁テープの巻き付けを行う。これにより、挿入物と絶縁テープとの間に若干のスペースを生成することができ、絶縁層に樹脂の含浸パスを生成することができる。このため、含浸パスに先導的に樹脂が注入され、含浸パスの両側に樹脂を含浸浸透させることが可能となることから、樹脂含浸面積が増加し、含浸時間を短縮することが可能となる。
なお、スペーサ15b〜17bは、例えば、テープ、クロス、セラミックスペーパ、帯状のFRP(ガラス強化積層板)などを用いることができる。
また、絶縁コイル1の外径が3600mm、高さが3075mmであるものとすると、スペーサ15b〜17bの厚さは0.2〜0.5mm程度、幅は32mm程度、間隔は500mm程度とすることが好ましい。
図3は、本発明の一実施例に係わる樹脂含浸コイルの製造装置の概略構成を示すブロック図である。図3において、恒温槽25には恒温槽25内の温度を制御する温度制御装置31cが設けられ、恒温槽25内には圧力容器24が設けられている。圧力容器24には、絶縁コイル1が設置され、絶縁コイル1の横には、液面計22および含浸位置検出器23が設置される。
ここで、液面計22および含浸位置検出器23において、含浸の際の樹脂液面および絶縁コイル1の絶縁物中への浸透面の計測は、静電容量法または抵抗法を用いることができる。
静電容量法では、静電容量法に用いる対向電極の構成は、幾何学的に電極板を固定できればよく、電極板をFRPなどに固定するのが簡便で有効である。また、電極間にガラスクロスや不織布などを挟むことにより、含浸樹脂を検知することもできる。
抵抗法は、絶縁された2本のリード線の先端に配置された電極間の抵抗を計測する方法で、電極を絶縁板に固定するか、あるいはリード線先端の絶縁被覆を剥して対向させるように配置することができる。この抵抗法は、絶縁層の樹脂の有無で3桁〜5桁の抵抗差があるので、非常に感度がよい。
図4は、抵抗法を用いた含浸位置検出器の概略構成を示す側面図である。図4において、固定板43a〜43cにはリード線41a、41bが固定され、リード線41a、41bの先端には電極として金属導体42a、42bが設けられている。
図3において、圧力容器24の上方には、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27が設けられ、攪拌脱泡機26は配管33aを介して圧力容器24の下面と接続され、樹脂貯留槽27は配管33bを介して圧力容器24の上面と接続されている。ここで、攪拌脱泡機26を圧力容器24の上方に設け、攪拌脱泡機26を絶縁コイル1よりも高い位置に設置することにより、含浸速度を速くすることができる。すなわち、通常、脱泡は真空攪拌でも行なわれるが、含浸の直前に薄膜脱泡をすることも多くの場合行なわれる。この時、攪拌脱泡機26の位置が絶縁コイル1よりも高いと、含浸樹脂の比重と高さに比例した圧力を絶縁コイル1に作用させることが可能となり、含浸速度を速くすることができる。
配管33aには、配管33aの温度を独自に制御する温度制御装置31aが設けられるとともに、攪拌脱泡機26の樹脂を圧力容器24に注入するためのバルブ32eが設けられている。また、配管33bには、配管33bの温度を独自に制御する温度制御装置31bが設けられている。
ここで、配管33a、33bの温度を制御する温度制御装置31a、31bを恒温槽25内の温度を制御する温度制御装置31cとは別個に設けることにより、樹脂の収縮状態や樹脂の流動性を局所的に制御することが可能となり、絶縁コイル1内に存在する気体を効率よく外部に排出しつつ、樹脂の含浸や硬化を進めることができる。
攪拌脱泡機26は、攪拌脱泡機26内の圧力を制御する圧力制御装置28にバルブ32aを介して接続されるとともに、攪拌脱泡機26内の真空引きを行う真空ポンプ29にバルブ32bを介して接続されている。
樹脂貯留槽27は、樹脂貯留槽27内の圧力を制御する圧力制御装置30にバルブ32dを介して接続されるとともに、樹脂貯留槽27内の真空引きを行う真空ポンプ29にバルブ32cを介して接続されている。
ここで、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に真空ポンプ29を設けるとともに、圧力制御装置28、30を設けることにより、加圧と真空引きとを繰り返しながら、絶縁コイル1の樹脂の含浸を行うことができ、絶縁コイル1に対する樹脂の濡れ性をある程度維持しつつ、絶縁コイル1内に存在する気体を効率よく外部に排出することが可能となる。なお、圧力制御装置28、30は、例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に供給することにより、攪拌脱泡機26内および樹脂貯留槽27内の圧力を制御することができる。
図5は、本発明の一実施例に係わる樹脂含浸コイルの各工程の製造条件を示すタイムチャートである。図5において、樹脂含浸コイルの製造は、主に、乾燥工程、含浸工程、硬化工程および離型工程の四工程を経て行われる。
乾燥工程では、樹脂含浸前の絶縁コイルを樹脂硬化温度以下の温度に保ち、減圧と併用するか、あるいは不活性ガスを流しながら、絶縁コイルの絶縁物を乾燥する。
例えば、図3および図5において、絶縁コイル1を圧力容器24内に配置するとともに、液面計22および含浸位置検出器23を絶縁コイル1の横に設置する。そして、バルブ32cを開き、真空ポンプ29により、樹脂貯留槽27を介して圧力容器24内を真空引きしながら、恒温槽25内を樹脂硬化温度以下の範囲で加熱することにより、絶縁コイル1の乾燥を行う。
このように、乾燥時の絶縁コイル1の温度を樹脂硬化温度以下とすることにより、絶縁コイル1の絶縁物の熱膨張差による変形やひずみを最少に押さえることが可能なるとともに、絶縁コイル1への樹脂の注入を絶縁コイル1の乾燥終了から即座に行うことが可能となる。
含浸工程では、容器に収められた絶縁コイルに樹脂を含浸する場合、容器の下部から樹脂を注入し、樹脂の注入速度を、絶縁物に樹脂が浸透する速度以下とする。
例えば、図3および図5において、樹脂硬化温度より低い温度の含浸樹脂を攪拌脱泡機26に所定量注入し、真空バルブ32bを開いて攪拌と同時に真空引きを行うことにより、樹脂を十分に脱泡する。そして、真空バルブ32bを閉じ、攪拌脱泡機26に窒素ガスを供給するためにバルブ32aを開けることにより、攪拌脱泡機26内の圧力を大気圧近傍まで上げる。その後、攪拌脱泡機26の下部の樹脂注入用のバルブ32eを開け、絶縁コイル1の下部から所定の注入速度で樹脂を注入するとともに、絶縁コイル1の上部から真空引きを行うことにより、絶縁コイル1の樹脂含浸を行う。
ここで、恒温槽25内の温度は、樹脂の反応が始まらない温度以下であって、かつ、なるべく高い温度に設定することが好ましい。樹脂の温度が高くなると、樹脂の粘度が低下し、絶縁コイル1内への含浸が速く進むからである。一方、樹脂の反応が始まる温度を超えると、樹脂のゲル化が促進され、樹脂の粘度が却って増加するので、樹脂の反応が始まらない温度以下に設定する必要がある。
また、絶縁コイル1の下部から樹脂を注入する場合、絶縁コイル1への樹脂の浸透速度より、圧力容器24への樹脂の注入速度が遅くなるように、樹脂の圧力容器24への注入量を制御する。樹脂の注入速度が樹脂の浸透速度より速いと、樹脂の未含浸部の上に樹脂が浸透し、未含浸部を樹脂が覆う状態となる。このような状態になると、未含浸部の残存空気が抜けにくくなり、絶縁コイル1内にボイドが発生する可能性が高くなる。そこで、樹脂の浸透速度より樹脂の注入速度が遅くなるようにして、絶縁コイル1内に存在する空気を樹脂の浸透によって追い出しながら、絶縁コイル1の含浸を進めることにより、絶縁コイル1のボイドの発生を抑制することが可能となる。
図6は、本発明の一実施例に係わる含浸工程での樹脂の注入方法を示す断面図である。ここで、図6(a)は、絶縁コイル1内への樹脂の浸透速度より、圧力容器24内への樹脂の注入速度が遅くなるように、樹脂の注入を行った場合を示す。図6(a)において、攪拌脱泡機26の未含浸樹脂51が圧力容器24の下部から注入されると、絶縁コイル1の下から上に向かって樹脂の含浸が進行し、絶縁コイル1に含浸樹脂52が浸透する。ここで、未含浸樹脂51の樹脂液面51aが含浸樹脂52の含浸面52aよりも下になるように、未含浸樹脂51の注入量を制御する。これにより、絶縁コイル1の未含浸部53に存在する気泡54を上方へ追い出しつつ、絶縁コイル1の含浸を進めることが可能となり、絶縁コイル1のボイドの発生を抑制することが可能となる。
一方、図6(b)は、絶縁コイル1内への樹脂の浸透速度より、圧力容器24内への樹脂の注入速度が速くなるように、樹脂の注入を行った場合を示す。図6(b)において、未含浸樹脂51が圧力容器24の下部から注入された時に、未含浸樹脂51の樹脂液面51aが含浸樹脂52の含浸面52aよりも上になると、未含浸部53への樹脂の含浸が、未含浸部53の周囲全体から進行する。このため、未含浸部53が含浸樹脂52で囲まれ、未含浸部53に存在する気泡54の逃げ場がなくなる。このため、この気泡54が絶縁コイル1内に閉じ込められ、絶縁コイル1にボイドが発生する。
また、絶縁コイルに樹脂を真空含浸し、樹脂液面が絶縁コイルの上部の樹脂貯留槽の所定な位置に達すると、真空を破って常圧または加圧にする。所定時間経過後、再度真空に引く。このように、真空と常圧または加圧を複数回繰り返すことにより、ボイドを最少にする。
例えば、図3および図5において、絶縁コイル1の下部からの含浸が、絶縁コイル1全体に行き渡った予定時間を経過後さらに、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さになるまで樹脂を注入する。そして、真空ポンプ29を止め、樹脂貯留槽27内の圧力を大気圧にする。この時、樹脂貯留槽27を真空引きしている場合に比べて、絶縁コイル1への樹脂の濡れ性が向上し、絶縁コイル1への樹脂の含浸が進行する。その後、再度、樹脂貯留槽27内の真空引きを行い、絶縁コイル1に含浸する樹脂の脱泡を行いながら、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さになるまで樹脂を注入する。この作業を所定の回数繰り返す。
図7は、本発明の一実施例に係わる含浸工程での樹脂の含浸方法を示す断面図である。図7(a)において、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さに達すると、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に窒素ガスを導入することにより、圧力容器24内の圧力を高くする。これにより、絶縁コイル1への樹脂51の濡れ性が向上し、絶縁コイル1への樹脂51の含浸がさらに進行する。
次に、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27の真空引きを行うことにより、絶縁コイル1に含浸する樹脂51の脱泡を行いながら、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さになるまで樹脂51を注入する。
ここで、一般に広く行なわれているVPI含浸法では、絶縁コイル1を真空乾燥し、真空状態を保ったまま樹脂を注入する。この真空状態での樹脂は、絶縁層にあまり含浸しない。一方、真空を破り、加圧に切り換えると、内圧との差で急激に樹脂が含浸して行く。しかしながら、加圧状態では、気体が樹脂内に残存したままになるので、ボイドが発生する。そこで、真空引きと常圧あるいは加圧を繰り返しながら、樹脂を含浸させる。これにより、ボイドを最少に押さえつつ、濡れ性を向上させることが可能となり、含浸性を向上させることが可能となる。
硬化工程では、攪拌脱泡機および樹脂貯留槽から圧力を加え、所定の温度条件で含浸樹脂を硬化する。この時、コイル絶縁層に含浸された樹脂が少なくともゲル化を始めるまでの間、恒温槽への樹脂注入配管、圧力容器から樹脂貯留槽までの配管を絶縁コイルの温度未満に冷却する。
例えば、図3および図5において、配管33a、33bを冷却したままの状態で、真空バルブ32b、32cを閉じ、バルブ32a、32dを開くことにより、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に窒素ガスを導入する。これにより、攪拌脱泡機26内および樹脂貯留槽27内の圧力を上昇させる。そして、配管33a、33bを冷却したままの状態で、恒温槽24の温度を樹脂の硬化温度まで上げ、樹脂の硬化を所定時間実施する。
図8は、本発明の一実施例に係わる硬化工程での樹脂の硬化方法を示す断面図である。図8において、含浸工程が終了すると、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に窒素ガスを導入することにより、攪拌脱泡機26内および樹脂貯留槽27内を加圧する。また、絶縁コイル1を加熱するとともに、配管33a、33bを冷却する。なお、を絶縁コイル1を加熱する方法として、恒温槽24の温度を上昇させる方法の他に、絶縁コイル1の超伝導線12に電流を流す方法や絶縁コイル1の内部にヒータを設置して絶縁コイル1を加熱する方法などを用いてもよい。
ここで、樹脂51に圧力を加えることにより、絶縁コイル1内に残存している気体の体積を小さくすることが可能となり、この状態を維持したままで樹脂を硬化させることにより、ボイドを小さくすることができる。
また、樹脂は温度が高いほど硬化時間が短くなり、硬化と共に体積が収縮する。このため、絶縁コイル1内部に浸透した含浸樹脂52の温度を高くして樹脂の反応を促進するとともに、絶縁コイル1の外側の未含浸樹脂51の温度を低くして樹脂の反応を抑制することにより、絶縁コイル1内部の樹脂52の硬化が絶縁コイル1の外部の樹脂51よりも速く進行するようにする。これにより、絶縁コイル1の外部の未含浸樹脂51の流動性を保ちながら、絶縁コイル1内部の含浸樹脂52の硬化を進めることが可能となり、絶縁コイル1内部の含浸樹脂52の収縮に伴ってできた空間を絶縁コイル1の外部の未含浸樹脂51で補いながら、樹脂の硬化を進めることが可能となる。この結果、絶縁コイル1に含浸された含浸樹脂52の硬化によるボイドの発生を抑制することができる。
離型工程では、樹脂の硬化完了後、絶縁コイル1全体を室温まで冷却し、絶縁コイル1を圧力容器24から取り出す。そして、絶縁コイル1の側面に固着した未含浸樹脂51を離型層18の部分で剥離する。
このように、上述した実施例では、絶縁コイル1に樹脂を含浸する方法において、絶縁コイル1を温度制御装置31cを具備した金型または圧力容器24に収納し、あるいは温度を調節できる恒温槽25に収納する。また、樹脂貯留槽27樹脂の攪拌脱泡機26、および樹脂含浸のための複数の配管33a、33bを具備し、恒温槽25の温度を制御する温度制御装置31c以外に温度制御装置31a、31bを別個に設け、配管33a、33bの温度を恒温槽25の温度と独立に制御できるようにする。そして、真空ポンプ29を接続した樹脂含浸装置により含浸を行い、含浸終了後、常圧ないし加圧に切り替えて、恒温槽25内の温度を調節して樹脂を硬化させる。
これにより、要素機器ごとに温度調整することが可能となり、含浸樹脂の粘度や可使時間に合わせて最適な条件を選択することが可能となることから、ボイドを最少にする含浸条件を設定できる。
なお、上述した実施例では、絶縁コイル1を圧力容器24内に設置した際に、絶縁コイル1を圧力容器24との間に隙間が生じ、この隙間にも樹脂が充填される。このため、絶縁コイル1を圧力容器24との間にできた隙間分だけ樹脂が無駄に消費される。そこで、この隙間部分に埋め草を予め充填し、その後に樹脂の注入を行うようにする。これにより、埋め草の体積分だけ圧力容器24内への樹脂の注入量を少なくすることが可能となり、埋め草の体積分の樹脂を節約することができる。ここで、埋め草としては、樹脂と反応せず、かつ樹脂とに離形性を有するプラスチックの成形品または小粒子のチップなどを用いることができる。
図9は、本発明の一実施例に係わる埋め草を用いた樹脂の含浸方法を示す断面図である。図9において、絶縁コイル1を蓋付きの圧力容器24に収納する際に、絶縁コイル1の上下を除いた横の空間に埋め草62を挿入する。ここで、埋め草62の材質は、樹脂51の反応に影響を与えないことと、樹脂51と離型性を有するものが好ましい。例えば、埋め草62の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、またはテフロン(登録商標)などが適している。コストや利便性の観点からは、ポリエチレンが最も適している。
ここで、樹脂51を圧力容器24に注入して行くと、埋め草62には浮力が生じ、埋め草62が上に移動する力が働く。そのため、液体である樹脂51は通過できるが、埋め草62は通過できないようなスペーサ、シール、網状物などを用いることにより、埋め草62の移動を抑制できるようにする。例えば、絶縁コイル1の上下の境界に、埋め草62よりも小さな網目を有する網61a、61bを配置することにより、絶縁コイル1の上下に埋め草62が入らないようにする。
埋め草62および網61a、61bを圧力容器24内に配置すると、樹脂51の注入を圧力容器24の下から行う。ここで、圧力容器24内には、埋め草62が配置されているので、埋め草62の体積に相当する分の樹脂の消費量を減らすことが可能となる。
絶縁コイル1への含浸樹脂52の含浸および硬化が完了すると、絶縁コイル1全体を室温まで冷却し、絶縁コイル1を圧力容器24から取り出す。そして、絶縁コイル1の側面に固着した樹脂51の剥離を行う。ここで、絶縁コイル1の側面に固着した樹脂51には、埋め草62が充填されているため、絶縁コイル1からの樹脂51の剥離を容易に行うことができる。
このように、離型処理された絶縁コイル1を金型または圧力容器24に収納する際に、両者の無駄な空間に樹脂と反応しない埋め草62を充填する。これにより、樹脂の使用量を低減させることが可能となるとともに、絶縁コイル1の側面に固着した樹脂51の解体を容易にかつ効率よく行うことが可能となる。また、圧力容器24内の樹脂51の充填量が減少することから、樹脂51の硬化時の反応熱による硬化温度の不均一性を減少させることが可能となり、絶縁コイル1の品質を向上させることが可能となる。
以下、超電導コイルに樹脂を含浸させる場合の具体例について説明する。図1〜9において、圧力容器24内に設置された絶縁コイル1として、コンジットタイプの超電導線12をソレノイドに巻いた大型の超電導コイルを用いた。超電導線12の絶縁層14には、ポリイミドフィルムとガラステ−プを貼り合わせた貼り合わせテープとガラステープを使用した。最内層にはガラステープ14aを1/2重ねで巻き付け、2層目からは貼り合わせテープ14bを1/2重ねで巻き付けることにより、4層巻きにした。ソレノイド19a、19bの層間絶縁層16、17は、1/2重ね巻きで3層巻きとし、絶縁コイル1の最外層の対地絶縁層15は1/2重ね巻きで10層巻とした。さらに、対地絶縁層15の外側の離型層18としてテフロン(登録商標)テープを1/4重ね巻きで1回巻きつけた。ソレノイド19a、19bの層間絶縁層16、17と対地絶縁層15には、ガラステープのスペーサ15b〜17bを適当な間隔を置いて縦に挿入した。絶縁コイル1は、口出し部2の構成や上下の押えにFRPを使用するなど通常のコイルを形成する要素部品も含まれている。
この絶縁コイル1を蓋付きの圧力容器24に収納して、絶縁コイル1の上下を除いた横の空間に3mmφで長さ5mm程度の高密度ポリエチレンチップを埋め草62として挿入した。また、絶縁コイル1の上下に埋め草62が入らないように、絶縁コイル1の上下の境界に目の細かい網61a、61bを配置した。絶縁コイル1の横に静電容量タイプの液面計22と抵抗タイプの含浸位置検出器23を要所に配置した。この圧力容器24全体を恒温槽25内に配置し、圧力容器24に接続する樹脂の通過する配管33a、33bは水冷できるようにした。樹脂の攪拌脱泡機26は圧力容器21より高い位置に置き、上下にバルブ32a、32b、32eを配している。圧力容器24の上部の樹脂貯留槽27は樹脂の硬化収縮の補償用に配置した容器である。
樹脂の含浸前には、恒温槽24内の温度を上げて、絶縁コイル1の温度を120℃にして、24時間真空乾燥をした。その後、恒温槽24内の温度を下げて、絶縁コイル1の温度を60℃±5℃に調整し、含浸完了まで、この温度を保持した。
樹脂の含浸時には、60℃の含浸樹脂を60℃の攪拌脱泡機26に所定量注入して、攪拌と同時に真空引きをして十分に脱泡した。次に、真空バルブ32bを閉じ、攪拌脱泡機26に窒素ガスを供給するためにバルブ32aを開け、攪拌脱泡機26内の圧力を大気圧近傍まで上げ、攪拌脱泡機26の下部の樹脂注入用のバルブ32eを開け、所定の注入速度で絶縁コイル1の下部から含浸を行った。この攪拌と注入を繰り返して含浸を進めた。ここで、絶縁コイル1の絶縁物中の含浸面52aよりも、圧力容器24内の樹脂液面51aの上昇が速くならないように、液面計22の計測値と予備実験で確かめた含浸速度を参考にして注入量を調整した。
絶縁コイル1の下部からの含浸が絶縁コイル1全体に行き渡った予定時間を経過後さらに、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さになるまで樹脂を注入した。その後、真空ポンプ29を止め、樹脂貯留槽27内の圧力を大気圧にした。この時、さらに絶縁コイル1への含浸が進行した。再度、樹脂貯留槽27内の真空引きを行い、樹脂液面51aが樹脂貯留槽27の所定の高さになるまで樹脂を注入した。この作業を3回繰り返した。
しかる後、配管33a、33bを冷却したままの状態で、真空ポンプ29の系を切り離し、攪拌脱泡機26および樹脂貯留槽27に窒素ガスを導入することにより、攪拌脱泡機26内および樹脂貯留槽27内の圧力を0.7MPaに上げた。この状態で恒温槽24の温度を上げ、120℃での樹脂の硬化を所定時間実施した。樹脂のゲル化および硬化の進行に従って、絶縁コイル1中の含浸樹脂52の硬化収縮が始まり、樹脂貯留槽27の樹脂液面51aが低下し、計算予測値とほぼ一致する結果が得られた。樹脂の硬化収縮が安定した後、配管33a、33bの冷却を止め、絶縁コイル1全体の樹脂の硬化程度が一様に揃うように調整した。
樹脂の硬化完了後、絶縁コイル1全体を室温まで冷却し、絶縁コイル1を圧力容器24から取り出した。絶縁コイル1側面に固着した樹脂51の剥離は、絶縁コイル1の側面に固着した樹脂51に埋め草62が充填されているため、容易に行うことができる。また、埋め草62の体積に相当する分の樹脂51の消費量を減らすことが可能となる。このため、絶縁コイル1の成形が容易となるとともに、低コスト化に加え作業時間の低減にも大きな効果があった。
また、ボイドの有無を判定するための高電圧コロナ特性も良好で、計算予測と一致する樹脂注入が行なわれたことから、ボイドを極小に抑えることが可能となるとともに、樹脂含浸にかかる時間も短縮することができた。
以下、本発明の含浸速度を確認するための実験例について説明する。図10は、本発明の実験例に係わる樹脂含浸の実験装置の構成を示す断面図である。
図10(a)において、同心円の三層に構成されたアクリル製外筒71、アクリル製中間内筒72およびアクリル製内筒73が設けられ、アクリル製外筒71の上下には、アクリル製上蓋74および底板75が設けられている。アクリル製上蓋74には、真空ポンプ接続排気口76が設けられ、アクリル製外筒71の下方には樹脂注入口77が設けられている。アクリル製外筒71とアクリル製中間内筒72とは、ゴムリング78でシールされ、アクリル製中間内筒72とアクリル製内筒73との間には被含浸絶縁層79が設けられている。また、アクリル中間円筒72の下部には、樹脂の通路となる切り欠き79が形成されている。ここで、アクリル製内筒73の外径W1は90φ、アクリル製中間内筒72の高さH1は1mである。
図10(b)において、同心円の二層に構成されたアクリル製外筒81およびアクリル製内筒82が設けられ、アクリル製外筒81の上下には、アクリル製上蓋83および底板84が設けられている。アクリル製上蓋83には、真空ポンプ接続排気口85が設けられ、アクリル製外筒81の下方には樹脂注入口86が設けられている。アクリル製内筒82の周囲には被含浸絶縁層87が設けられている。ここで、アクリル製内筒82の外径W2は450φ、アクリル製内筒82の高さH2は1mである。
比較例として、図10(a)のアクリル製中間円筒72のない構成を用いた。また、被含浸絶縁層79は、ポリイミドテープの裏表に少量の接着剤でガラステープを貼り付けた三層構造の絶縁テープを用い、この絶縁テープをアクリル製内筒73に突き合わせで4層巻きつけた。さらに、この絶縁テープの外側に1/4重ねでテフロン(登録商標)テープを巻きつけた。
セットが完了すると、アクリル製上蓋74の真空ポンプ接続排気口76を真空ポンプに接続して、アクリル製外筒71内の真空引きを行いながら、樹脂注入口77から樹脂を注入した。ここで、注入された樹脂の液面が樹脂の含浸面よりも50〜100mm程度高くなるように、樹脂注入量を調整した。含浸速度は、予めセットしておいたスケールを用いて、目視により測定した。
実験例1として、図10(a)の構成を用いた。また、被含浸絶縁層79は、ポリイミドテープの裏表に少量の接着剤でガラステープを貼り付けた三層構造の絶縁テープを用い、この絶縁テープをアクリル製内筒73に突き合わせで4層巻きつけた。その外側にスリットを1本入れたアクリル中間円筒72をかぶせ、適度な圧縮力でアクリル中間円筒72を締め付け、アクリル中間円筒72のスリット部分をシールした。このアクリル中間円筒72をアクリル製外筒71に納め、アクリル中間円筒72とアクリル製外筒71との間をゴムリング78でシールした。
セットが完了すると、アクリル製外筒71を真空容器として、真空ポンプ接続排気口76に真空ポンプを接続した。また、樹脂注入口77にバルブおよびホースを介して含浸樹脂容器を接続した。そして、アクリル製外筒71内の真空引きを行いながら、樹脂注入口77から樹脂を注入し、予めセットしておいたスケールで目視により含浸速度を測定した。ここで、注入された樹脂の液面が樹脂の含浸面よりも50〜100mm程度高くなるように、樹脂注入量を調整した。また、注入される樹脂の表面を大気圧として、アクリル製外筒71内を0.5Torr以下に保った。従って、被含浸絶縁層79には、0.1MPaの差圧が作用する。
実験例2は、比較例と同様の構成を用いたが、絶縁テープを巻きつけるアクリル製内筒73の代わりに鉄製内筒を用いた。また、樹脂の含浸を行う前に、被含浸絶縁層79を130℃で10時間の加熱乾燥させ、その後速やかに組み立てを行い、含浸実験を行った。なお、これ以外の条件は比較例と同じである。
実験例3は、比較例と同様の構成を用いたが、被含浸絶縁層79の各層間に厚さ0.2mm、幅18mm、長さ1mのセラミックスペーパをスペーサとして挿入した。ここで、第1層目には0°と180°の位置に2本挿入し、次の層には90°と270°の位置に2本挿入するようにして、セラミックスペーパを各層に交互に挿入した。なお、これ以外の条件は比較例と同じである。
実験例4は、実験例3とスペーサの材質のみが異なり、セラミックスペーパの代わりに同一寸法のガラステープを用いた。
実験例5は、実験例3とスペーサの材質のみが異なり、セラミックスペーパの代わりに同一寸法のガラスエポキシのFRPを用いた。
実験例6は、図10(b)の構成のアクリル製内筒82に実験例1で用いた3層構造の絶縁テープを1/2重ねで4回巻きつけ、スペーサとしてガラステープを挿入した。それ以外の条件は実験例2と同様にした。
実験例7は、実験例6と同様の構成を用い、含浸樹脂の液面が含浸面よりも約300mm高くなるように樹脂の注入量を調整した。それ以外の条件は実験例6と同様にした。
実験例8は、実験例7と同様の構成を用い、被含浸絶縁層87、容器、含浸樹脂共に55℃に調整して含浸を行った。それ以外の条件は実験例7と同様にした。
なお、比較例および実験例2〜8では、アクリル製中間内筒72が設けられていないが、被含浸絶縁層87と被含浸樹脂とはテフロン(登録商標)テープで隔てられており、テフロン(登録商標)テープのラップ目から樹脂が被含浸絶縁層87に浸透することはないので、被含浸樹脂は被含浸絶縁層79、87の下部から注入される。
上述した比較例および実験例1〜8の実験結果を以下の表に示す。
上記の表において、比較例の含浸速度は30mm/hであるのに対し、実験例1の含浸速度は330mm/hである。ここで、実験例1では被含浸絶縁層79に圧力差が作用するが、比較例では被含浸絶縁層79に圧力差が作用しない。この結果、被含浸絶縁層79に圧力差が作用する場合には、含浸速度が非常に速くなることが示された。
また、比較例の含浸速度は30mm/hであるのに対し、実験例2の含浸速度は110mm/hである。ここで、実験例2では含浸前に被含浸絶縁層79の乾燥が行われているが、比較例では含浸前に被含浸絶縁層79の乾燥が行われていない。この結果、被含浸絶縁層79の乾燥を行うと、含浸速度が速くなることが示された。
また、比較例の含浸速度は30mm/hであるのに対し、実験例3〜5の含浸速度はそれぞれ40mm/h、52mm/h、60mm/hである。ここで、実験例3〜5では被含浸絶縁層79にスペーサが挿入されているが、比較例では被含浸絶縁層79にスペーサが挿入されていない。この結果、被含浸絶縁層79にスペーサを挿入すると、含浸速度が速くなることが示された。また、スペーサの材質の違いも含浸速度に若干の影響があることが示された。
また、実験例2の含浸速度は110mm/hであるのに対し、実験例6の含浸速度は70mm/hである。ここで、実験例6では被含浸絶縁層79にスペーサが挿入されているが、実験例2では被含浸絶縁層79にスペーサが挿入されていない。また、実験例6では被含浸絶縁層79の曲率が実験例2と比べて小さくなっている。この結果、被含浸絶縁層79の大きさが大きくなると、含浸速度が遅くなるとともに、被含浸絶縁層79の曲率が小さくなると、スペーサの挿入が含浸速度の改善にあまり寄与しなくなることが示された。
また、実験例6の含浸速度は70mm/hであるのに対し、実験例7の含浸速度は95mm/hである。ここで、実験例7では樹脂の液面と被含浸絶縁層79の含浸面との差が実験例7と比べて大きくなっている。この結果、樹脂の液面と被含浸絶縁層79の含浸面との差が大きくなると、含浸速度が速くなることが示された。
また、実験例7の含浸速度は95mm/hであるのに対し、実験例8の含浸速度は210mm/hである。ここで、実験例8では樹脂の粘度が実験例7と比べて小さくなっている。この結果、樹脂の粘度が小さくなると、含浸速度が速くなることが示された。
このように、含浸速度には、乾燥、スペーサ、樹脂面のヘッド差、絶縁物に加わる圧力差および樹脂粘度等が影響することが明らかになった。
実験例9は、実験例4と同じ絶縁構成で樹脂を含浸して、約50cmまで樹脂を浸透させた後、急速に注入樹脂速度を速め、被含浸絶縁層79の上端より上に樹脂面がくるようにした。その後、真空ポンプを止め、アクリル製外筒71内部を徐々に大気圧に戻す操作をした。この操作により、上部からの樹脂含浸が3分程度で約40mm浸透した。この結果、真空と大気圧を繰り返すことで含浸速度が速まることが示された。
実験例10では、静電容量法および抵抗法の実験を行った。静電容量法では、30mm幅、2mm厚さのFRP板2枚を対向させ、FRP板の内面にアルミテープを貼り、FRP板の適度な位置に5mmのギャップ用駒を挟み、静電容量用の電極とした。この静電容量法は、液面の上昇に従って容量が徐々に増加する連続測定に適している。
抵抗法では、1mmφの絶縁電線の先端を10mm程度裸にして、10mm幅に並行に配置し、FRP板に固定した。この抵抗法では、含浸樹脂に浸った領域は、未含浸のドライの状態の領域に比べて、抵抗値が3〜4桁変化する。このため、抵抗法では、含浸樹脂の有無を精度よく測定することが可能となる。従って、リミッターや2個を使用した液面制御などに効果的に使用できる。
以上説明したように、上述した実施例によれば、緻密な絶縁物やフィルムを含む難含浸性の絶縁層に対しても、スペーサ、乾燥、含浸液面、圧力差、粘度などを効果的に取り入れ、コイルの下部から含浸することにより、ボイドの少ない含浸絶縁を行うことができる。さらに、含浸の最終過程での圧力変化による含浸の促進と加圧硬化により、ボイドをさらに減少させることが可能となるとともに、絶縁コイルの前後に設けられた樹脂注入管の冷却により、ゲル化時の樹脂の硬化収縮を補償することが可能となり、ボイドのより一層の低減とクラックの発生の抑制に効果がある。
さらに、含浸樹脂系よりも低価格なポリエチレンなどの埋め草を充填することにより、製品価格の低減に寄与することが可能となるとともに、硬化時の発熱の抑制や成形時の作業時間の短縮にも優れた効果がある。
また、一般に超電導コイルの場合は、運転時に強大な電磁力が働き、その電磁力に対しても超電導線が正常に固定されていることが要求される。そのため、コイルの巻き線張力は非常に高くなり、超電導線が絶縁物に対しても強い圧縮力を加えた状態が多い。そのような絶縁コイルに含浸するのは、非常に長時間を要するので、含浸に対して工夫が必要である。そこで、上述した含浸法を超電導コイルに適用することにより、ボイドの少ない含浸を短時間で行うことができ、その効果が大きい。