以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、第1パターンPA1を有する第1マスクM1を保持して移動可能な第1マスクステージ1と、第2パターンPA2を有する第2マスクM2を保持して移動可能な第2マスクステージ2と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ4と、各ステージの位置情報を計測可能な計測システム3と、第1露光光EL1で第1マスクM1の第1パターンPA1を照明する第1照明系IL1と、第2露光光EL2で第2マスクM2の第2パターンPA2を照明する第2照明系IL2と、第1露光光EL1で照明された第1パターンPA1の像及び第2露光光EL2で照明された第2パターンPA2の像を基板P上に投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。基板ステージ4は、投影光学系PLの光射出側、すなわち投影光学系PLの像面側で、ベース部材BP上で移動可能である。また、制御装置5には、露光に関する各種情報を記憶する記憶装置6が接続されている。
なお、ここでいう基板は、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、感光膜とは別に保護膜(トップコート膜)などの各種の膜を塗布したものも含む。マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含み、例えばガラス板等の透明板部材上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成されたものである。この透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。また、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。また、本実施形態においては、第1パターンPA1と第2パターンPA2とは異なるパターンである。さらに、第1、第2マスクM1、M2は種類が同一であるものとしたが、その種類が異なっていてもよい。例えば、第1、第2マスクM1、M2の一方がバイナリーマスクで、他方が位相シフトレチクルでもよい。
本実施形態の投影光学系PLは、第1パターンPA1からの第1露光光EL1と第2パターンPA2からの第2露光光EL2とが入射する光学素子20を有している。また、本実施形態においては、その投影光学系PLの光射出側、すなわち投影光学系PLの像面側に、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とが所定位置関係で設定される。本実施形態においては、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とが同一位置に設定されている。本実施形態の投影光学系PLは、第1パターンPA1からの第1露光光EL1を光学素子20へ導く第1光学系11と、第2パターンPA2からの第2露光光EL2を光学素子20へ導く第2光学系12と、光学素子20からの第1露光光EL1及び第2露光光EL2を第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれへ導く第3光学系13とを有している。光学素子20は、第1光学系11を介して入射された第1露光光EL1の少なくとも一部と、第2光学系12を介して入射された第2露光光EL2の少なくとも一部とを、第3光学系13を介して第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とにそれぞれ照射可能である。すなわち、本実施形態の投影光学系PLは、光学素子20からの第1露光光EL1の少なくとも一部と第2露光光EL2の少なくとも一部とを第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とにそれぞれ照射可能である。
投影光学系PLは、第1パターンPA1からの第1露光光EL1を第1露光領域AR1に照射して、その第1露光領域AR1に第1パターンPA1の像を形成可能であり、第2パターンPA2からの第2露光光EL2を第2露光領域AR2に照射して、その第2露光領域AR2に第2パターンPA2の像を形成可能である。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、第1照明系IL1より射出され、第1パターンPA1及び投影光学系PLを介して第1露光領域AR1に照射される第1露光光EL1によって、第1露光領域AR1に第1パターンPA1の像を形成可能であり、第2照明系IL2より射出され、第2パターンPA2及び投影光学系PLを介して第2露光領域AR2に照射される第2露光光EL2によって、第2露光領域AR2に第2パターンPA2の像を形成可能である。投影光学系PLは、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像と、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の両方の像の形成に共通に使用されている。
そして、本実施形態の露光装置EXは、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像と第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像とで基板P上のショット領域Sを多重露光(二重露光)する。
また、本実施形態の露光装置EXは、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、第1マスクM1の第1パターンPA1の像及び第2マスクM2の第2パターンPA2の像を基板P上に投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pのショット領域Sを第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2に対してY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLを介して第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれに第1露光光EL1及び第2露光光EL2のそれぞれを照射することによって、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像と第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像とで基板P上のショット領域Sを多重露光する。また、本実施形態の露光装置EXは、基板PのY軸方向への移動と同期して、第1マスクM1をY軸方向に移動し、第2マスクM2をZ軸方向に移動する。すなわち、本実施形態においては、第1マスクM1の走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、第2マスクM2の走査方向(同期移動方向)をZ軸方向とする。
また、本実施形態の露光装置EXは、投影光学系PLの少なくとも一部を介して検出光を受光する受光装置31を有し、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pとの位置関係に関する情報を取得する検出システム30を備えている。検出システム30の受光装置31は、本実施形態においては投影光学系PLの鏡筒PKに設けられている。第1光学系11及び第2光学系12を介して光学素子20に入射した第1露光光EL1及び第2露光光EL2のうち、光学素子20から第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない、すなわち、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2とは異なる方向または領域(ここでは受光装置31の上面35a)に向かう、第1露光光EL1及び第2露光光EL2の少なくとも一方の一部を検出光として受光する。なお、光学素子20と受光装置31との間には、光学素子20からの光を受光装置31へ導くために少なくとも一つの光学素子が配置されているが、説明を簡略化するために、図示省略されている。
本実施形態の光学素子20は、第1露光光EL1及び第2露光光EL2のそれぞれを第1偏光状態の露光光と第2偏光状態の露光光とに分離する偏光分離光学素子(例えば、偏光ビームスプリッタ)を含む。投影光学系PLは、光学素子20で分離した第1パターンPA1からの第1露光光EL1の一部と、光学素子20で分離した第2パターンPA2からの第2露光光EL2の一部とを、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とにそれぞれ照射する。また、受光装置31は、光学素子20に入射した第1露光光EL1及び第2露光光EL2のうち、その光学素子20から第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない、第1露光光EL1及び第2露光光EL2の少なくとも一方の一部を検出光として受光する。
まず、第1、第2照明系IL1、IL2について説明する。第1照明系IL1は、第1マスクステージ1に保持された第1マスクM1上の第1照明領域IA1を均一な照度分布の第1露光光EL1で照明する。第1照明系IL1の照明光学系は、例えば、照明条件を可変とする成形光学系、第1露光光EL1の照度分布を均一化する照度均一化部材(内面反射型インテグレータあるいはフライアイレンズなど)、第1照明領域IA1を規定するマスクブラインド系(マスキング・システム、又は可変視野絞りとも呼ばれる)、及びリレー光学系などを有する。第2照明系IL2も同様に、例えば、照明条件を可変とする成形光学系、第2露光光EL2の照度分布を均一化する照度均一化部材、第2照明領域IA2を規定するマスクブラインド系、及びリレー光学系などを有する。
第1照明系IL1に設けられた成形光学系は、例えば、交換可能な回折光学素子、間隔が可変である複数のプリズム(アキシコンなど)、及びズーム光学系(アフォーカル系)を有する。そして、回折光学素子の交換、プリズムの移動(上記間隔の変更)、及びズーム光学系の移動の少なくとも1つによって、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役となる照明光学系の瞳面上での第1露光光EL1の強度分布を変更する(換言すれば、照明光学系の瞳面に形成される2次光源の形状及び/又は大きさを変更する)。これにより、第1マスクM1の照明条件が変更される。従って、照明光学系は、第1マスクM1のパターンに対応した照明条件を設定できるとともに、そのパターンの変更に応じて照明条件の変更も行うことが可能である。
第1照明系IL1に設けられたマスクブラインド系は、その少なくとも一部、例えば独立に可動な複数の遮光板(マスキング・ブレード)が、照明光学系内で第1マスクM1の表面と光学的にほぼ共役な面に配置され、その複数の遮光板の少なくとも1つの移動によって、第1マスクM1上の照明領域IA1の大きさ(幅)などを変更する。従って、このマスクブラインド系によって、第1露光領域AR1(投影光学系PLに関して第1照明領域IA1と共役な、第1パターンPA1の像の投影領域)の大きさ(幅)などを調整できる。すなわち、第1露光領域AR1に照射される第1露光光EL1による基板の走査露光の開始及び終了を制御可能となっている。これにより、1回の走査露光動作によって多重露光すべき基板P上の1つのショット領域以外での不要な露光が防止される。なお、光源装置を制御してその不要な露光を防止してもよい。
第2照明系IL2は、第2マスクステージ2に保持された第2マスクM2上の第2照明領域IA2を均一な照度分布の第2露光光EL2で照明する。第2照明系IL2の照明光学系は、その構成が第1照明系IL1の照明光学系と同一であるので、その詳細な説明は省略する。なお、第1照明系IL1と第2照明系IL2とでその一部(例えば、光源装置、あるいは照明光学系の一部)を兼用してもよい。
第1、第2照明系IL1、IL2のそれぞれから射出される第1、第2露光光EL1、EL2としては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においては、第1、第2露光光EL1、EL2として、ArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態の露光装置EXは、第1照明系IL1に対応する第1光源装置と、第2照明系IL2に対応する第2光源装置とを有している。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、複数の光源装置(エキシマレーザ光源装置)を有している。また本実施形態においては、第1照明系IL1は、第1偏光状態の第1露光光EL1で第1マスクM1の第1パターンPA1を照明し、第2照明系IL2は、第2偏光状態の第2露光光EL2で第2マスクM2の第2パターンPA2を照明する。より具体的には、本実施形態においては、第1照明系IL1は、P偏光成分が主成分(例えば、P偏光成分が90%以上)である第1露光光EL1で第1マスクM1を照明し、第2照明系IL2は、S偏光成分が主成分(例えば、S偏光成分が90%以上)である第2露光光EL2で第2マスクM2を照明する。
なお、1つの光源装置から射出された露光光を第1偏光状態の第1露光光EL1と第2偏光状態の第2露光光EL2とに分離し、それら第1露光光EL1と第2露光光EL2とで第1パターンPA1と第2パターンPA2とを照明するようにしてもよい。
次に、第1マスクステージ1について説明する。第1マスクステージ1は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む第1マスクステージ駆動装置1Dの駆動により、第1マスクM1を保持して、少なくともX軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。第1マスクステージ1は、第1マスクM1の第1パターンPA1が形成された第1パターン形成面とXY平面とがほぼ平行となるように、第1マスクM1を保持する。第1マスクステージ1(ひいては第1マスクM1)の位置情報は、計測システム3のレーザ干渉計301によって計測される。レーザ干渉計301は、第1マスクステージ1上に設けられた反射面301Kを用いて第1マスクステージ1の位置情報を計測する。制御装置5は、レーザ干渉計301の計測結果に基づいて第1マスクステージ駆動装置1Dを駆動し、第1マスクステージ1に保持されている第1マスクM1の位置制御を行う。
次に、第2マスクステージ2について説明する。第2マスクステージ2は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む第2マスクステージ駆動装置2Dの駆動により、第2マスクM2を保持して、少なくともZ軸、X軸、及びθY方向に移動可能である。第2マスクステージ2は、第2マスクM2の第2パターンPA2が形成された第2パターン形成面とXZ平面とがほぼ平行となるように、第2マスクM2を保持する。第2マスクステージ2(ひいては第2マスクM2)の位置情報は、計測システム3のレーザ干渉計302によって計測される。レーザ干渉計302は、第2マスクステージ2上に設けられた反射面302Kを用いて第2マスクステージ2の位置情報を計測する。制御装置5は、レーザ干渉計302の計測結果に基づいて第2マスクステージ駆動装置2Dを駆動し、第2マスクステージ2に保持されている第2マスクM2の位置制御を行う。
図2(A)は、第1マスクステージ1に保持された第1マスクM1を示す平面図、図2(B)は、第2マスクステージ2に保持された第2マスクM2を示す平面図である。図2に示すように、第1マスクステージ1は、第1マスクM1の第1パターンPA1が形成された第1パターン形成面とXY平面とがほぼ平行となるように、第1マスクM1を保持し、第2マスクステージ2は、第2マスクM2の第2パターンPA2が形成された第2パターン形成面とXZ平面とがほぼ平行となるように、第2マスクM2を保持する。第1マスクM1上での第1露光光EL1による第1照明領域IA1は、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されており、第2マスクM2上での第2露光光EL2による第2照明領域IA2も、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されている。
第1マスクステージ1は、第1パターンPA1を有する第1マスクM1を第1露光光EL1に対してY軸方向に移動可能である。また、第2マスクステージ2は、第2パターンPA2を有する第2マスクM2を第2露光光EL2に対してZ軸方向に移動可能である。制御装置5は、基板P上の一つのショット領域を露光するとき、第1マスクM1のうち、少なくとも第1パターンPA1が形成された第1パターン形成領域SA1が第1露光光EL1による第1照明領域IA1を通過するように、第1マスクステージ1を制御して第1マスクM1をY軸方向に移動する。また、制御装置5は、基板P上の一つのショット領域を露光するとき、第2マスクM2のうち、少なくとも第2パターンPA2が形成された第2パターン形成領域SA2が、第2露光光EL2による第2照明領域IA2を通過するように、第2マスクステージ2を制御して、第2マスクM2をZ軸方向に移動する。
また、第1マスクM1は、第1パターンPA1と所定位置関係で形成された第1アライメントマークRM1を備えており、第2マスクM2は、第2パターンPA2と所定位置関係で形成された第2アライメントマークRM2を備えている。本実施形態では、第1、第2アライメントマークRM1、RM2はそれぞれ2次元マーク、例えば十字状マークを含む。
第1アライメントマークRM1は、第1マスクM1のうち、第1パターンPA1が形成された第1パターン形成面内の所定領域に複数形成されている。図2(A)に示すように、第1アライメントマークRM1は、第1マスクM1の第1パターン形成領域SA1の+X側及び−X側のエッジ領域のそれぞれにおいて、第1マスクM1の走査方向(Y軸方向)に沿って複数並んで形成されている。従って、第1アライメントマークRM1はその全てが、第1照明領域IAと第1マスクM1との相対移動によって第1照明系IL1からの第1露光光EL1で照明される。第2アライメントマークRM2は、第2マスクM2のうち、第2パターンPA2が形成された第2パターン形成面内の所定領域に複数形成されている。図2(B)に示すように、第2アライメントマークRM2は、第2マスクM2の第2パターン形成領域SA2の+X側及び−X側のエッジ領域のそれぞれにおいて、第2マスクM2の走査方向(Z軸方向)に沿って複数並んで形成されている。従って、第2アライメントマークRM2はその全てが、第2照明領域IA2と第2マスクM2との相対移動によって第2照明系IL2からの第2露光光EL2で照明される。また、本実施形態においては、第1アライメントマークRM1と第2アライメントマークRM2とは、互いに対応するように第1マスクM1上及び第2マスクM2上のそれぞれに形成されている。なお、第1、第2アライメントマークRM1、RM2はその数や配置が図2に限定されるものでなく、例えば第1、第2アライメントマークRM1、RM2を第1、第2パターン形成面の外側に形成してもよい。
次に、図1を参照しながら投影光学系PLについて説明する。投影光学系PLは、第1露光光EL1で照明された第1マスクM1の第1パターンPA1の像及び第2露光光EL2で照明された第2マスクM2の第2パターンPA2の像を所定の投影倍率で基板P上に投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。投影光学系PLの複数の光学素子は鏡筒PKで保持されている。
本実施形態の投影光学系PLは、複数の光学素子を含み、第1パターンPA1からの第1露光光EL1を光学素子20へ導く第1光学系11と、複数の光学素子を含み、第2パターンPA2からの第2露光光EL2を光学素子20へ導く第2光学系12と、複数の光学素子を含み、光学素子20からの第1露光光EL1及び第2露光光EL2のそれぞれを第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれへ導く第3光学系13とを備えている。
光学素子20は、第1マスクM1の第1パターンPA1からの第1露光光EL1が入射する第1入射面21と、第2マスクM2の第2パターンPA2からの第2露光光EL2が入射する第2入射面22とを有している。第1マスクM1の第1パターンPA1からの第1露光光EL1は、第1光学系11を介して光学素子20の第1入射面21に入射する。また、第2マスクM2の第2パターンPA2からの第2露光光EL2は、第2光学系12を介して光学素子20の第2入射面22に入射する。すなわち、第1露光光EL1と第2露光光EL2とは光学素子20に対して異なる方向(ここでは直交する方向)から入射する。上述のように、光学素子20は、偏光分離光学素子(偏光ビームスプリッタ)であり、第1偏光状態の第1露光光EL1はP偏光成分を主成分とする露光光であり、第2偏光状態の第2露光光EL2はS偏光成分を主成分とする露光光である。本実施形態においては、第1パターンPA1から第1入射面21を介して光学素子20に入射した第1露光光EL1の一部(P偏光成分)は、所定面(偏光分離面)25を透過して、光学素子20の第1射出面23より射出され、第2パターンPA2から第2入射面22を介して光学素子20に入射した第2露光光EL2の一部(S偏光成分)は、所定面25で反射して光学素子20の第1射出面23より射出される。すなわち、光学素子20に異なる方向から入射した第1露光光EL1の一部と第2露光光EL2の一部は光学素子20の同一面(第1射出面23)から同一の方向に射出する。ここでは「P偏光成分」は偏光分離面25への入射光(第1露光光EL1)の入射面に対して平行な(入射面内で振動する)直線偏光であり、「S偏光成分」は偏光分離面25への入射光(第2露光光EL2)の入射面に対して垂直な(入射面に直交する面内で振動する)直線偏光である。そして、第1射出面23より射出された第1露光光EL1と第2露光光EL2とは、第3光学系13を介して、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とにそれぞれ照射される。
一方、第1パターンPA1から第1入射面21を介して光学素子20に入射した第1露光光EL1の他部(S偏光成分)は、第1露光領域AR1に向かわずに、所定面25で反射して光学素子20の第2射出面24より射出され、第2パターンPA2から第2入射面22を介して光学素子20に入射した第2露光光EL2の他部(P偏光成分)は、第2露光領域AR2に向かわずに、所定面25を透過して光学素子20の第2射出面24より射出される。すなわち、光学素子20に異なる方向から入射した第1露光光EL1の他部と第2露光光EL2の他部は光学素子20の同一面(第2射出面24)から同一の方向に射出して、受光装置31に向かう。
なお、以下の説明において、光学素子20の第1射出面23から射出される第1露光光EL1の一部(P偏光成分)及び第2露光光EL2の一部(S偏光成分)を適宜第1露光光EL1(P)及び第2露光光EL2(S)とそれぞれ称し、第2射出面24から射出される第1露光光EL1の一部(S偏光成分)及び第2露光光EL2の一部(P偏光成分)を適宜第1露光光EL1(S)及び第2露光光EL2(P)とそれぞれ称する。
図1に示すように、光学素子20の第2射出面24から射出される第1露光光EL1(S)及び第2露光光EL2(P)が照射可能な位置には、検出システム30の受光装置31が配置されている。本実施形態においては、受光装置31は、投影光学系PLの鏡筒PKに設けられているが、投影光学系PL(鏡筒PK)とは別の部材、例えばアライメント系7などが設けられる計測フレーム(不図示)などに配置してもよい。受光装置31は、光学素子20から第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない、第2射出面24から射出される第1露光光EL1(S)及び第2露光光EL2(P)を受光可能である。
また、本実施形態の露光装置EXには、投影光学系PLによる第1パターンPA1の像及び第2パターンPA2の像の結像特性(結像状態)をそれぞれ独立に調整可能な第1結像特性調整装置LC1及び第2結像特性調整装置LC2が設けられている。第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2は、投影光学系PLの複数の光学素子の少なくとも1つを移動可能な光学素子駆動機構を含む。
第1結像特性調整装置LC1は、第1光学系11の少なくとも一つの特定の光学素子を、第1光学系11の光軸と平行なZ軸方向、及び光軸に垂直な方向(X軸、Y軸方向)に移動可能であるとともに、光軸と直交するXY平面に対して傾斜可能(すなわち、θX、θY方向に回転可能)である。第1パターンPA1からの第1露光光EL1は、第1光学系11、光学素子20、及び第3光学系13を介して第1露光領域AR1に照射され、第1結像特性調整装置LC1は、第1光学系11の特定の光学素子を駆動することによって、第1露光領域AR1に照射される第1露光光EL1で形成される第1パターンPA1の像の結像特性を調整可能である。
第2結像特性調整装置LC2は、第2光学系12の少なくとも一つの特定の光学素子を、第2光学系12の光軸と平行なY軸方向、及び光軸に垂直な方向(X軸、Z軸方向)に移動可能であるとともに、光軸と直交するXZ平面に対して傾斜可能(すなわち、θX、θZ方向に回転可能)である。第2パターンPA2からの第2露光光EL2は、第2光学系12、光学素子20、及び第3光学系13を介して第2露光領域AR2に照射され、第2結像特性調整装置LC2は、第2光学系12の特定の光学素子を駆動することによって、第2露光領域AR2に照射される第2露光光EL2で形成される第2パターンPA2の像の結像特性を調整可能である。
第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2は、制御装置5によって制御される。制御装置5は、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2を用いて、投影光学系PL(第1、第2光学系11、12)の特定の光学素子を駆動することで、投影光学系PLの各種収差(例えば、ディストーション、非点収差、球面収差、波面収差等)、投影倍率及び像面位置(焦点位置)等を含む結像特性を調整することができる。
また、制御装置5は、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2を用いて、第1、第2パターンPA1、PA2の像のXY方向、及び/又はθZ方向の位置調整(すなわち、シフト調整、及び/又はローテーション調整)を行うこともできる。
すなわち、制御装置5は、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2を用いて、第1、第2パターンPA1、PA2それぞれの像の状態(大きさ、歪み等)の調整、第1、第2パターンPA1、PA2それぞれの像が形成される投影光学系PLの像面のZ軸方向の位置調整、及びθX、θY方向の傾斜調整、並びに第1、第2パターンPA1、PA2それぞれの像のX軸方向、Y軸方向、θZ方向の位置調整を行うことができる。
なお、本実施形態では第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2によってそれぞれ移動する第1、第2光学系11、12の少なくとも1つの光学素子は、レンズに限られるものでなく他の光学素子、例えば平行平面板、あるいは反射素子などでもよい。また、本実施形態では2つの結像特性調整装置(LC1、LC2)を設けるものとしたが、1つの結像特性調整装置を設けるだけでもよいし、あるいは3つ以上の結像特性調整装置を設けてもよい。例えば、第3光学系13の少なくとも1つの光学素子を、第3光学系13の光軸と平行なZ軸方向、及びX軸、Y軸方向に移動可能、かつθX、θY方向に回転可能とする結像特性調整装置を設けてもよい。さらに、本実施形態では、第1結像特性調整装置LC1がX軸、Y軸、Z軸、θX及びθY方向の5自由度の方向に、第2結像特性調整装置LC2がX軸、Y軸、Z軸、θX及びθZ方向の5自由度の方向にそれぞれ光学素子を移動するものとしたが、光学素子の移動方向はこの5自由度の方向に限定されるものではない。また、本実施形態では結像特性調整装置が光学素子を移動する方式を採用するものとしたが、他の方式を代用あるいは併用してもよい。例えば、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2として、鏡筒PKの内部に保持されている一部の光学素子間の空間の気体の圧力を調整する圧力調整機構を用いてもよい。
なお、投影光学系によるパターンの像の結像特性を調整可能な結像特性調整装置を備えた露光装置については、例えば特開昭60−78454号公報(対応米国特許第4,666,273号)、特開平11−195602号公報(対応米国特許第6,235,438号)、国際公開第03/65428号パンフレット(対応米国特許出願公開第2005/0206850号)等に開示されている。
次に、基板ステージ4について説明する。基板ステージ4は、第1露光光EL1及び第2露光光EL2が照射される第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2を含む所定領域内で基板Pを保持して移動可能である。図1に示すように、基板ステージ4は、例えばエアベアリングによりベース部材BP上で非接触支持されるとともに、基板Pを保持する基板ホルダ4Hを有している。基板ホルダ4Hは、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ4は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置4Dの駆動により、基板PをX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。
基板ステージ4(ひいては基板P)の位置情報は、計測システム3のレーザ干渉計304によって計測される。レーザ干渉計304は、基板ステージ4に設けられた反射面304Kを用いて基板ステージ4のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ4に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、不図示のフォーカス・レベリング検出系によって検出される。制御装置5は、レーザ干渉計304の計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置4Dを駆動し、基板ステージ4に保持されている基板Pの位置制御を行う。なお、フォーカス・レベリング検出系は、例えば米国特許第6,608,681号などに開示されるように、その複数の計測点でそれぞれ基板PのZ軸方向の位置情報を計測してその面位置情報を検出する多点位置検出系を用いることができる。本実施形態では、この複数の計測点はその少なくとも一部が第1、第2露光領域AR1、AR2内に設定されるが、例えば後述の液浸露光装置の例では、全ての計測点が第1、第2露光領域AR1、AR2(または液浸領域)の外側に設定されてもよい。また、レーザ干渉計304は基板ステージ4のZ軸、θX及びθY方向の位置情報をも計測可能としてよく、その詳細は、例えば特表2001−510577号公報(対応国際公開第1999/28790号パンフレット)に開示されている。この場合、フォーカス・レベリング検出系は設けなくてもよい。あるいは、複数の計測点が第1、第2露光領域AR1、AR2の内部及び/又は外部に配置されるようにフォーカス・レベリング検出系を設けなくてもよく、例えば投影光学系PLから離して設けてもよい。
また、基板ステージ4には、例えば特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)等に開示されているような空間像計測器162の少なくとも一部が配置されている。制御装置5は、空間像計測器162を用いて、計測システム3で規定されるXY座標系内における第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、及び第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報の少なくとも一方を取得することができる。本実施形態では、空間像計測器162によって第1、第2マスクM1、M2の第1、第2アライメントマークRM1、RM2の像の少なくとも一方を検出するので、XY座標系における第1、第2パターンPA1、PA2の投影位置の少なくとも一方も求めることができる。
また、図1に示すように、本実施形態の露光装置EXは、基板ステージ4上に設けられた基準マークFPと、基板P上に設けられたアライメントマークAMとを検出するアライメント系7を備えている。アライメント系7は、投影光学系PLの近傍に設けられたオフアクシス方式のアライメント系であって、例えば特開平4−65603号(対応米国特許第5,493,403号)、米国特許第5,646,413号などに開示されているような、基板P上の感光材を感光させないブロードバンドな検出光束を対象マーク(基板Pに形成されたアライメントマークAM、及び基板ステージ4上に形成された基準マークFP等)に照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と指標(アライメント系7内に設けられた指標板上の指標マーク)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することでマークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメント系である。この指標は、計測システム3で規定されるXY座標系内におけるアライメント系7の検出基準位置を規定するものである。アライメント系7は、検出対象マークの像と指標との位置関係(位置ずれ)を検出し、制御装置5はその検出された位置関係と、アライメント系7によるマーク検出時に計測システム3から得られる基板ステージ4の位置情報に基づいて、計測システム3で規定されるXY座標系内における検出対象マークの位置(座標値)を検出することができる。なお、アライメント系7のベースライン量、すなわちXY座標系内におけるアライメント系7の検出基準位置と、第1、第2パターンPA1、PA2の像の少なくとも一方の投影位置との距離は、空間像計測器162による第1、第2マスクM1、M2の第1、第2アライメントマークRM1、RM2の像の少なくとも一方の検出と、アライメント系7による基準マークFPの検出とによって求められ、記憶装置6に記憶されている。また、本実施形態では基板PのアライメントマークAM及び基準マークFPがそれぞれ2次元マーク、例えばX軸、Y軸方向にそれぞれ周期的に配列される2つの周期マークを含む。
図3は、基板P上のショット領域Sと第1、第2露光領域AR1、AR2との位置関係を示す模式図である。図3に示すように、基板P上での第1露光光EL1による第1露光領域AR1は、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されており、基板P上での第2露光光EL2による第2露光領域AR2も、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されている。なお、上述したように、本実施形態においては、第1露光光EL1が照射される第1露光領域AR1、及び第2露光光EL2が照射される第2露光領域AR2とは重複(一致)している。なお、図3には、基板P上のショット領域Sの位置情報を検出するためのアライメントマークAMの一例も示されている。本実施形態では、ショット領域SのY軸方向の両側にそれぞれアライメントマークAMが形成されているが、アライメントマークAMの個数や位置はこれに限定されるものではない。
基板ステージ4は、基板P上のショット領域Sを第1露光領域AR1及び第2露光領域R2に対してY軸方向に移動可能である。制御装置5は、基板Pを露光するとき、基板P上のショット領域Sが第1、第2露光光EL1、EL2による第1、第2露光領域AR1、AR2を通過するように、基板ステージ4を制御して基板PをY軸方向に移動する。
次に、検出システム30について説明する。図4は、検出システム30を示す概略構成図である。検出システム30は、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係に関する情報を取得するためのものであって、投影光学系PLの少なくとも一部を介して第1露光光EL1及び第2露光光EL2の少なくとも一方の一部を受光可能な受光装置31を備えている。本実施形態においては、受光装置31は、光学素子20の第2射出面24から射出される第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない第1露光光EL1(S)及び第2露光光EL2(P)を、上述の位置関係に関する情報を取得するための検出光として受光する。
図4において、受光装置31は、第1露光光EL1(S)及び第2露光光EL2(P)が透過可能な透過部(開口)36が形成された板部材35と、板部材35の透過部36(第1の位置)を通過した光を所定の光学系33を介して受光する受光素子32とを備えている。第1、第2露光光EL1(S)、EL2(P)は、光学素子20の第2射出面24より射出し、受光装置31の光学系33を介して受光素子32の受光面32aに照射される。
板部材35は、例えば石英などによって形成されており、第1、第2露光光EL1(S)、EL2(P)が透過可能である。透過部36は、板部材35の上面35aに、例えばCr(クロム)等の金属で形成された遮光領域に開口を形成したものである。透過部36は、アライメントマークRM1,RM2の配置に合わせて、X軸方向に離れた二箇所に設けられている。板部材35の透過部(開口)36を通過した光は、光学系33を介して受光素子32に受光される。受光素子32は、例えば撮像素子(CCD等)、フォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT、光電子増倍管)等の光電変換素子を含む。
受光装置31の板部材35の上面35aは、投影光学系PLの物体面(不図示)、及び像面(不図示)と光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置されている。すなわち、受光装置31の板部材35の上面35aは、第1、第2マスクM1,M2の第1、第2パターン形成面、及び基板Pの表面と光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置されている。また、受光装置31の板部材35の上面35aと受光素子32の受光面32aとは、光学系33を介して光学的に互いに共役である。したがって、第1露光領域AR1,第2露光領域AR2と同様の位置関係で、板部材35の上面35aに第1露光光EL1(S),第2露光光EL2(P)が入射する。
図5は、受光装置31の板部材35の上面35aを示す図である。第1、第2照明系IL1、IL2より第1、第2露光光EL1、EL2を射出し、投影光学系PLに入射させた場合、板部材35の上面35aに、第1露光光EL1(S)と第2露光光EL2(P)とが入射する。図3に示したように、本実施形態においては、投影光学系PLの像面において、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とが重複する。したがって、投影光学系PLの物体面、及び像面と光学的に共役な位置に配置されている板部材35の上面35aにおいて、第1露光光EL1(S)が照射される領域AR1’と、第2露光光EL2(P)が照射される領域AR2’とは重複するように形成される。
ここで、以下の説明において、受光装置31の板部材35の上面35aの、第1露光光EL1が照射される領域AR1’を適宜、第1検出光領域AR1’と称し、第2露光光EL2が照射される領域AR2’を適宜、第2検出光領域AR2’と称する。
上述したように、板部材35の上面35aは、投影光学系PLの物体面、及び像面と光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置されているので、板部材35の上面35a上の第1検出光領域AR1’に照射される第1露光光EL1(S)によって、第1検出光領域AR1’に第1パターンPA1の像が形成され、受光面32a上の第2検出領域AR2’に照射される第2露光光EL2(P)によって、第2検出光領域AR2’に第2パターンPA2の像が形成される。
また、図2を参照して説明したように、本実施形態においては、第1マスクM1上の第1アライメントマークRM1は、第1照明領域IA1の内側に配置可能となっているので、第1照明系IL1からの第1露光光EL1で照明できる。また、第2マスクM2上の第2アライメントマークRM2は、第2照明領域IA2の内側に配置可能となっているので、第2照明系IL2からの第2露光光EL2で照明できる。したがって、板部材35の上面35a上の第1検出光領域AR1’には、第1アライメントマークRM1の像も形成され、板部材35の上面35a上の第2検出領域AR2’には、第2アライメントマークRM2の像も形成される。すなわち、本実施形態においては、板部材35の上面35aには、投影光学系PLの光学素子20等を介して、第1アライメントマークRM1の像と、第2アライメントマークRM2の像とが形成される。
そして、図5に示すように、受光装置31の透過部36は、板部材35の上面35aにおいて、第1アライメントマークRM1の像、及び第2アライメントマークRM2の像が形成可能な位置(二箇所)に配置されている。また、上述したように、受光素子32の受光面32aは、板部材35の透過部36と光学系33に関して共役な位置に配置されているので、受光装置31の受光面32aには、第1,第2パターンPA1,PA2の像は形成されず、第1アライメントマークRM1と第2アライメントマークRM2の少なくとも一方の像のみが形成可能である。
このように、本実施形態においては、受光装置31(受光素子32)は、第1アライメントマークRM1からの第1露光光EL1(S)と第2アライメントマークRM2からの第2露光光EL2(P)とを、光学素子20を含む投影光学系PLの一部を介して検出光として受光する。
図6は、第1アライメントマークRM1の像が、受光面32aに形成されている状態の一例を示す模式図である。図6に示すように、本実施形態の検出システム30の受光装置31の受光面32a上には、板部材35の透過部(開口)36の4つのエッジの像が矩形状に形成されており、透過部36のエッジ像の内側に第1アライメントマークRM1の像が形成される。透過部36(透過部36のエッジ像)は、第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置情報を求めるときの基準となる。第1マスクM1上の第1パターンPA1と第1アライメントマークRM1とは所定位置関係で形成されている。また、第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係と、第1露光領域AR1における第1アライメントマークRM1の投影位置(第1パターン像の投影位置)とは、後述するように予め関連付けされる。従って、後述するように、受光素子32の受光面32aに投影光学系PLの一部を介して形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることによって、第1露光領域AR1に形成される第1アライメントマークRM1の像、ひいては第1パターンPA1の像の位置情報、及び/又は第1パターンPA1(第1マスクM1)の位置情報(目標位置から位置ずれ情報など)を取得することができる。すなわち、制御装置5は、受光装置31の受光結果に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、及び/又は第1パターンPA1(第1マスクM1)の位置情報を取得することができる。なお、制御装置5が取得する位置情報は、X軸方向、Y軸方向に関する位置情報だけでなく、回転情報も含む。
同様にして、制御装置5は、受光装置31の受光結果(受光素子32の受光面32aに形成される第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係)に基づいて、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報、及び/又は第2パターンPA2(第2マスクM2)の位置情報を取得することができる。
また、制御装置5は、受光装置31の受光結果に基づいて、露光領域(AR1,AR2)内に形成される第1パターンの像と第2パターンの像との位置関係と、第1パターンPA1(第1マスクM1)と第2パターンPA2(第2マスクM2)との位置関係の少なくとも一方も取得することができる。
なお、図6に示すように、受光面32a上に第2アライメントマークRM2の像を形成せずに、第1アライメントマークRM1の像のみを形成するためには、制御装置5は、第2照明系IL2からの第2露光光EL2の射出を停止した状態で、第1照明系IL1からの第1露光光EL1で第1アライメントマークRM1を照明すればよい。
また、受光面32a上に第1アライメントマークRM1の像を形成せずに、第2アライメントマークRM2の像のみを形成して、その受光面32aに形成される第2パターンPA2の像の位置情報を求めるためには、制御装置5は、第1照明系IL1からの第1露光光EL1の射出を停止した状態で、第2照明系IL2からの第2露光光EL2で第2アライメントマークRM2を照明すればよい。
なお、第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像とを同時に受光素子32の受光面32aに形成してもよい。
図7は、第1アライメントマークRM1の像及び第2アライメントマークRM2の像が、受光素子32の受光面32aに形成されている状態の一例を示す模式図である。図7に示すように、受光面32a上には、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とが形成されている。検出システム30は、受光装置31の受光結果に基づいて、受光装置31の受光面32aに投影光学系PLの一部を介して形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係、及び第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることができる。第1マスクM1上の第1パターンPA1と第1アライメントマークRM1とは所定位置関係で形成されており、第2マスクM2上の第2パターンPA2と第2アライメントマークRM2とは所定位置関係で形成されている。このため、制御装置5は、受光装置31の受光結果に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報と第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報と、露光領域(AR1,AR2)内における第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係と、第1パターンPA1の位置情報と、第2パターンPA2の位置情報と、第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係の少なくとも1つを求めることができる。
なお、受光装置31の受光面32a上に第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像とを同時に形成する場合、第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像を独立して検出しやすくするために、第1アライメントマークRM1の形状と第2アライメントマークRM2の形状を異ならせるようにしてもよい。
なお、図7に示すように、受光面32a上に第1アライメントマークRM1の像及び第2アライメントマークRM2の像のそれぞれを形成するためには、制御装置5は、第1照明系IL1からの第1露光光EL1で第1アライメントマークRM1を照明するとともに、第2照明系IL2からの第2露光光EL2で第2アライメントマークRM2を照明すればよい。
次に、空間像計測器162について説明する。図8は、空間像計測器162を示す図である。制御装置5は、空間像計測器162を用いて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、及び第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報を計測可能である。本実施形態においては、空間像計測器162の少なくとも一部は、投影光学系PLの像面側に配置可能な基板ステージ4に設けられている。図8に示すように、本実施形態においては、基板ステージ4上に、光が透過可能な透過部(開口)FM’を有する基準板50が設けられ、その基準板50の下方(−Z方向)に、基板ステージ4の内部空間58が形成されている。内部空間58には、投影光学系PLにより基板ステージ4上に照射される検出光を受光する空間像検出器162の一部が設けられている。空間像検出器162は、基準板50の下方に設けられた光学系163と、光学系163を介した光を受光する受光素子164とを備えている。
基準板50は、例えば石英などによって形成されており、第1露光光EL1(P)、第2露光光EL2(S)が透過可能である。透過部FM’は、例えばCr(クロム)等の金属で形成された遮光領域に十字形状の開口(スリット)を形成したものである。基準板50の透過部(開口)FM’に照射された光は、光学系163を介して受光素子164に受光される。この透過部FM’(第2の位置)は、第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置情報を求めるときの基準となる。以下の説明において、透過部FM’を適宜、基準透過部FM’と称する。
また、不図示ではあるが、基準板50上には、アライメント系7で検出される基準マークFPが形成されている。基準透過部FM’と基準マークFPとは所定位置関係で設けられている。
次に、空間像計測器162を用いて第1パターンPA1の像の位置情報を計測する動作の一例について説明する。制御装置5は、基板ステージ4をXY方向に移動し、第1露光領域AR1に、基板ステージ4上の基準透過部FM’を配置する。また、制御装置5は、第1照明系IL1より、第1マスクM1の第1アライメントマークRM1に、検出光として第1露光光EL1を照射する。上述のように、第1アライメントマークRM1は第1照明領域IA1に配置可能であり、第1照明系IL1は、第1照明領域IA1に配置された第1アライメントマークRM1を第1露光光EL1で照明可能である。そして、制御装置5は、計測システム3を用いて基板ステージ4の位置情報を計測しつつ、空間像計測器162により、第1露光光EL1で照明された第1アライメントマークRM1の空間像を投影光学系PLを介して計測する。なお上述のように、本実施形態においては、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とは重複しており、制御装置5は、第1アライメントマークRM1の空間像を計測しているときには、第2照明系IL2からの第2露光光EL2の射出を停止する。これにより、空間像計測器162は、基準板50上の基準透過部FM’と、第1マスクM1上の第1アライメントマークRM1との位置関係を検出することができる。第1マスクM1上の第1パターンPA1と第1アライメントマークRM1とは所定位置関係で形成されているため、制御装置5は、第1パターンPA1と基準透過部FM’との位置関係を求めることができるとともに、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の投影位置と基準透過部FM’との位置関係を求めることができる。すなわち、制御装置5は、空間像計測器162の計測結果に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報を求めることができる。
また、空間像計測器162による計測中、受光装置31の受光面32a上にも、第1アライメントマークRM1の像が形成される。図6等を参照して説明したように、制御装置5は、検出システム30の検出結果に基づいて、受光装置31の受光面32a上に形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることができる。また、上述したように、制御装置5は、空間像計測器162の計測結果に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1アライメントマークFM1の像と基準透過部FM’との位置関係、及び第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像と基準透過部FM’との位置関係を求めることができる。したがって、制御装置5は、検出システム30の検出結果である受光面32a上に形成される第1アライメントマークRM1の像の位置情報(第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係)と、空間像計測器162の計測結果である第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報とを関連付けることができる。
したがって、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の出力に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、及び/又は第1パターンPA1の位置情報を取得することができる。
同様にして、制御装置5は、検出システム30の検出結果である受光面32a上に形成される第2アライメントマークRM2の像の位置情報(第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係)と、空間像計測器162の計測結果である第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報とを関連付けることができる。
したがって、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の出力に基づいて、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報、及び/又は第2パターンPA2の位置情報を取得することができる。したがって、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の出力に基づいて、露光領域(AR1,AR2)における第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係も求めることができる。
なお、空間像計測器162を用いて第1パターンPA1の像の位置情報(第1パターンPA1の位置情報)を取得する場合に用いられる第1アライメントマークRM1は、複数の第1アライメントマークRM1のうち、特定の第1アライメントマークRM1を用いることができる。あるいは、第1アライメントマークRM1とは別の計測マークを第1マスクM1上に設け、その計測マークを用いてもよい。同様に、第2パターンPA2の像の位置情報(第2パターンPA2の位置情報)を取得する場合に用いられる第2アライメントマークRM2は、複数の第2アライメントマークRM2のうち、特定の第2アライメントマークRM2を用いることができる。あるいは、第2アライメントマークRM2とは別の計測マークを第2マスクM2上に設け、その計測マークを用いてもよい。すなわち、空間像計測器162の計測に用いられるマークは、受光装置31の受光面32aに像が形成される第1、第2アライメントマークRM1,RM2と所定の位置関係で形成されていればよい。これは、検出システム30でも同様である。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る露光方法を説明するためのフローチャート図である。
まず、基板Pの露光を開始する前に、制御装置5は、図8等を参照して説明したように、空間像計測器162を用いて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報を取得する(ステップSA1)。上述のように、空間像計測器162で第1パターンPA1の像の位置情報を取得するために、第1露光光EL1(P)が基準板50に照射されているとき、検出システム30の受光装置31の受光面32aにも第1露光光EL1(S)が照射されており、検出システム30は、受光面32aに形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係を検出する。上述のように、制御装置5は、空間像計測器162の計測結果と検出システム30の検出結果に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報と、検出システム30の検出結果とを関連付ける。制御装置5は、検出システム30の検出結果と、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報との関係を、記憶装置6に記憶する(ステップSA2)。これ以降、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の出力と、記憶装置6に記憶した情報とに基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報を取得することができる。すなわち、制御装置5は、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報の計測動作(空間像計測器162を用いた計測動作)を行うことなく、検出システム30による検出動作を行うことで、検出システム30の検出結果(受光装置31の受光結果)と、記憶装置6に記憶した情報とに基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報を取得することができる。
また、制御装置5は、図8等を参照して説明したように、空間像計測器162を用いて、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報を取得する(ステップSA3)。上述のように、空間像計測器162で第2パターンPA2の像の位置情報を取得するために、第2露光光EL2が基準板50に照射されているとき、検出システム30の受光装置31の受光面32aにも第2露光光EL2が照射されており、検出システム30は、受光面32aに形成される第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係を検出する。そして、上述のように、制御装置5は、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報と、検出システム30の検出結果とを関連付ける。制御装置5は、検出システム30の検出結果と、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報との関係を、記憶装置6に記憶する(ステップSA4)。これ以降、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の出力と、記憶装置6に記憶した情報とに基づいて、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報を取得することができる。すなわち、制御装置5は、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報の計測動作(空間像計測器162を用いた計測動作)を行うことなく、検出システム30による検出動作を行うことで、検出システム30の検出結果(受光装置31の受光結果)と、記憶装置6に記憶した情報とに基づいて、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報を取得することができる。
次に、制御装置5は、基板ステージ4をXY方向に移動し、アライメント系7の検出領域に、基板ステージ4上の基準マークFPを配置する。そして、制御装置5は、計測システム3を用いて、基板ステージ4の位置情報を計測しつつ、アライメント系7を用いて、基板ステージ4上の基準マークFPを検出する(ステップSA5)。これにより、制御装置5は、計測システム3によって規定されるXY座標系内におけるアライメント系7の検出基準位置と基準マークFPとの位置関係を求めることができる。
次に、制御装置5は、アライメント系7の検出基準位置と、第1パターンPA1の像の投影位置との位置関係を導出する(ステップSA6)。基準板50上の基準透過部FM’と基準マークFPとは所定位置関係で形成されており、基準透過部FM’と基準マークFPとの位置関係は既知である。制御装置5は、ステップSA1で求めた、第1パターンPA1の像の投影位置と基準透過部FM’との位置関係と、ステップSA6で求めた、アライメント系7の検出基準位置と基準マークFPとの位置関係と、既知である基準透過部FM’と基準マークFPとの位置関係とに基づいて、計測システム3によって規定されるXY座標系内でのアライメント系7の検出基準位置と、第1マスクM1の第1パターンPA1の像の投影位置との位置関係を導出することができる。すなわち、制御装置5は、ステップSA1で求めた第1パターンPA1の像の投影位置と、ステップSA6で求めたアライメント系7の検出基準位置と、基準透過部FM’と基準マークFPとの位置関係とに基づき、アライメント系7のベースライン量を決定できる。本実施形態では、ステップSA1で求めた第1パターンPA1の像の投影位置を用いているが、ステップSA3で求めた第2パターンPA2の像の投影位置を代用あるいは併用してベースライン量を決定してもよい。
なお、アライメント系7による基準マークFPの検出の後、空間像計測器162による計測を行ってもよい。
次に、制御装置5は、基板ステージ4上の基板Pに対するアライメント処理を開始する。制御装置5は、基板ステージ4をXY方向に移動し、アライメント系7の検出領域に、基板P上の各ショット領域S1〜S21に対応して設けられている複数のアライメントマークAMの少なくとも一部を順次配置する。制御装置5は、計測システム3を用いて、基板ステージ4の位置情報を計測しつつ、アライメント系7を用いて、基板P上の複数のアライメントマークAMを順次検出する(ステップSA7)。これにより、制御装置5は、計測システム3によって規定されるXY座標系内でのアライメント系7の検出基準位置とアライメントマークAMとの位置関係を求めることができる。
次に、制御装置5は、ステップSA8で求めた、基板P上の各アライメントマークAMの位置情報に基づいて、アライメント系7の検出基準位置に対する、基板P上の複数のショット領域S1〜S21のそれぞれの位置情報を演算処理によって求める(ステップSA8)。基板P上の複数のショット領域S1〜S21のそれぞれの位置情報を演算処理によって求める際には、例えば特開昭61−44429号公報(対応米国特許第4,780,617号)に開示されているような、所謂EGA(エンハンスド・グローバル・アライメント)方式を用いて求めることができる。これにより、制御装置5は、アライメント系7によって、基板P上のアライメントマークAMの検出を行い、計測システム3で規定されるXY座標系内における基板P上に設けられた複数のショット領域S1〜S21それぞれの位置座標(配列座標)を決定することができる。すなわち、制御装置5は、計測システム3で規定されるXY座標系内において、アライメント系7の検出基準位置に対して、基板P上の各ショット領域S1〜S21がどこに位置しているのかを知ることができる。
制御装置5は、ステップSA8で求めた、XY座標系内でのアライメント系7の検出基準位置と基板P上のショット領域S1〜S21との位置関係(検出基準位置に対するショット領域の配列情報)、及びステップSA6で求めた、XY座標系内での、アライメント系7の検出基準位置と、第1マスクM1の第1パターンPA1の像の投影位置との位置関係(前述のベースライン量)に基づいて、XY座標系内での、基板P上のショット領域S1〜S21と、第1マスクM1の第1パターンPA1の投影位置との位置関係を導出する。すなわち、基板P上のショット領域毎に第1パターンPA1の像が正確に露光されるXY座標系での位置(座標値)を決定する。なお、本実施形態では第1パターンPA1と第2パターンPA2とは投影位置が同一であるので、この決定された位置に基づいて基板Pを移動することで、基板P上の各ショット領域に、所望の位置関係で、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とを形成することが可能となる。
次に、制御装置5は、基板P上のショット領域Sの露光を開始する(ステップSA9)。制御装置5は、第1パターンPA1と第2パターンPA2とを各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)に移動するとともに、基板Pを走査方向(Y軸方向)に移動しつつ、基板P上のショット領域Sを多重露光する。具体的には、制御装置5は、上述のステップSA1,SA3,SA5〜SA8の結果に基づいて、露光領域(AR1,AR2)に所望のタイミングで第1、第2パターンが投影されるように、第1、第2マスクステージ1、2を移動するとともに、基板P上の各ショット領域内の所望位置にパターンが形成されるように基板ステージ4を移動する。制御装置5は、計測システム3を用いて、第1、第2マスクステージ1、2及び基板ステージ4の位置情報を検出しながら、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2による第1マスクM1及び第2マスクM2の各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)への移動と、基板ステージ4による基板Pの走査方向(Y軸方向)への移動とを同期して行いつつ、第1露光光EL1及び第2露光光EL2で、第1マスクM1の第1パターンPA1及び第2マスクM2の第2パターンPA2のそれぞれを照明し、基板P上の第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれに、第1露光光EL1及び第2露光光EL2のそれぞれを照射して、基板Pのショット領域Sを多重露光する。
制御装置5は、第1、第2露光領域AR1、AR2に対する基板PのY軸方向への移動と、第1照明領域IA1に対する第1マスクM1のY軸方向への移動、及び第2照明領域IA2に対する第2マスクM2のZ軸方向への移動とを同期して行いつつ、第1露光光EL1及び第2露光光EL2を第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれに照射して、基板P上のショット領域Sを多重露光する。本実施形態においては、基板Pの露光中に、例えば第1マスクM1が+Y方向に移動される場合、第2マスクM2は+Z方向に移動され、基板Pは+Y方向に移動される。
図10は、基板Pを保持した基板ステージ4の平面図である。図10に示すように、基板P上には、露光対象領域である複数のショット領域S1〜S21がマトリクス状に設定されているとともに、ショット領域S1〜S21のそれぞれに対応して複数のアライメントマークAMが設けられている。基板Pのショット領域S1〜S21のそれぞれを露光するとき、制御装置5は、図10中、例えば矢印y1で示すように、第1、第2露光領域AR1、AR2と基板Pとを相対的に移動しつつ、第1、第2露光領域AR1、AR2に第1、第2露光光EL1、EL2を照射することによって、基板P上に第1、第2露光光EL1、EL2を照射する。制御装置5は、第1、第2露光領域AR1、AR2が基板Pに対して矢印y1に沿って移動するように、基板ステージ4の動作を制御する。制御装置5は、基板Pの−Y方向へのスキャン動作と+Y方向へのスキャン動作とを繰り返すことによって、基板P上の複数のショット領域S1〜S21を順次多重露光する。
本実施形態においては、1回のスキャン動作で、基板P上の1つのショット領域Sを第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とで多重露光(二重露光)することができる。基板P上のショット領域Sの感光材層は、現像工程等を介さずに、第1露光領域AR1に照射された第1露光光EL1と、第2露光領域AR2に照射された第2露光光EL2とで多重露光(二重露光)される。
本実施形態においては、制御装置5は、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とで基板P上のショット領域Sを多重露光する動作と、検出システム30の検出動作とを並行して(または同時に)行う。すなわち、本実施形態においては、検出システム30は、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とで基板P上のショット領域Sを多重露光する動作の少なくとも一部と並行して(例えば、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとを同期移動しながら)、受光装置31の受光面32aに形成される第1,第2アライメントマークRM1,RM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係の検出を行う。すなわち、制御装置5は、基板P上のショット領域Sを多重露光する動作の少なくとも一部と並行して、受光素子32の受光面32aに順次形成されるアライメントマークの像を検出システム30を使って順次検出し、投影光学系PLの少なくとも一部を介して第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pとの位置関係に関する情報を取得する。
制御装置5は、基板Pの露光中に、検出システム30の受光装置31の出力に基づいて、第1パターンPA1及び第2パターンPA2の少なくとも一方の位置を調整する。すなわち、制御装置5は、基板P上の各ショット領域内の所望位置に各パターンが形成されるように、検出システム30の受光装置31の出力に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置(すなわち、第1パターンPA1の像と基板Pのショット領域Sとの位置関係)と、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置(すなわち、第2パターンPA2の像と基板Pのショット領域Sとの位置関係)と、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係の少なくとも1つを調整する。
基板P上のショット領域Sを多重露光するために、第1マスクM1と第2マスクM2とを各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)に移動したとき、第1パターンPA1とともに第1アライメントマークRM1が第1マスクM1の走査方向(Y軸方向)に移動し、第2パターンPA2とともに第2アライメントマークRM2が第2マスクM2の走査方向(Z軸方向)に移動するが、上述のように、第1アライメントマークRM1は、第1照明領域IA1の内側に配置され、第2アライメントマークRM2は、第2照明領域IA2の内側に配置される。したがって、基板Pの露光中においても、第1照明領域IA1に配置された第1アライメントマークRM1は第1露光光EL1で照明され、第2照明領域IA2に配置された第2アライメントマークRM2は第2露光光EL2で照明される。したがって、基板Pの露光中においても、検出システム30の受光装置31の受光面32aには、第1照明領域IA1に配置された第1アライメントマークRM1の像と第2照明領域IA2に配置された第2アライメントマークRM2の像とが形成される。
図2に示したように、第1アライメントマークRM1は、第1マスクM1上に走査方向(Y軸方向)に沿って複数並んで形成されており、第2アライメントマークRM2は、第2マスクM2上に走査方向(Z軸方向)に複数並んで形成されている。したがって、基板P上のショット領域Sを多重露光するために、第1マスクM1と第2マスクM2とを各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)に移動したとき、第1照明領域IA1には複数の第1アライメントマークRM1のそれぞれが順次配置され、第2照明領域IA2には複数の第2アライメントマークRM2のそれぞれが順次配置される。
検出システム30は、基板P上のショット領域Sを多重露光するために、第1マスクM1と第2マスクM2とを各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)に移動しているときに、受光面32a上に形成される第1アライメントマークRM1の像の位置情報と、第2アライメントマークRM2の像の位置情報とを順次取得する。
例えば、基板P上のショット領域Sの露光中における第1のタイミングにおいて、図11の模式図に示すように、第1マスクM1上の複数の第1アライメントマークRM1のうち、ある特定の第1アライメントマークRM1が第1露光光EL1で照明された場合について考える。この第1のタイミングにおいて第1パターンPA1(第1パターンPA1の部分像)が目標位置に配置されているとき、図12(A)の模式図に示すように、特定の第1アライメントマークRM1の像が受光面32a上の所定位置に形成されるものとする(ここでは第1アライメントマークRM1の像が透過部36の矩形状のエッジ像のほぼ中心に形成されるものとする)。同様に、第1のタイミングにおいて第2パターンPA2(第2パターンPA2の部分像)が目標位置に配置されているとき、図12(A)に示すように、特定の第2アライメントマークRM2の像が受光面32a上の所定位置に形成されるものとする(ここでは第2アライメントマークRM2の像が透過部36の矩形状のエッジ像のほぼ中心に形成されるものとする)。
第1のタイミングにおける第1パターンPA1(第1パターンPA1の部分像)が目標位置からずれている場合(例えば、目標位置からX軸方向にずれている場合)、特定の第1アライメントマークRM1も、図11に示した状態に対してずれた位置に配置される。この場合、その第1のタイミングにおける第1アライメントマークRM1の像は、図12(B)の模式図に示すように、図12(A)に示した状態に対してX軸方向にずれた位置に形成される。同様に、第1のタイミングにおける第2パターンPA2(第2パターンPA2の部分像)が目標位置からずれている場合、その第1のタイミングにおける特定の第2アライメントマークRM2の像もずれた位置に形成される。
したがって、制御装置5は、検出システム30の受光装置31の受光面32aに形成される第1アライメントマークRM1の像の位置情報(第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係)と、第2アライメントマークRM2の像の位置情報(第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係)との少なくとも一方に基づいて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報、第1パターンPA1の位置情報、第2パターンPA2の位置情報、第1パターンPA1の像(部分像)と第2パターンPA2の像(部分像)との位置関係、及び第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係の少なくとも一つを取得することができる。
そして、制御装置5は、基板P上のショット領域Sの多重露光中に、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとが所望の位置関係になるように、受光装置31の出力に基づいて、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2の位置を調整しつつ、基板P上のショット領域Sを多重露光する。
このように、基板P上の1つのショット領域Sを多重露光しているときに、第1マスクM1の第1パターンPA1と第2マスクM2の第2パターンPA2と基板P上のショット領域Sとの位置関係が目標位置関係からずれる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、基板P上の1つのショット領域Sを多重露光しているときに、検出システム30を用いて、第1パターンP1と第2パターンPA2との基板P上のショット領域Sとの位置関係、ひいては第1パターンP1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係を検出している。このため、制御装置5は、検出システム30で取得した情報に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係を調整しつつ、その基板P上のショット領域Sを多重露光することができる。例えば、制御装置5は、基板Pの1つのショット領域Sの多重露光中に、検出システム30で取得した情報に基づいて、第1マスクM1の第1パターンPA1と第2マスクM2の第2パターンPA2との位置関係が目標位置関係からずれたと判断した場合には、その基板Pの1つのショット領域Sの多重露光中に、検出システム30の検出結果に基づいて、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2の少なくとも一方の位置を調整して、第1マスクM1の第1パターンPA1及び第2マスクM2の第2パターンPA2の少なくとも一方の位置を調整する。これにより、第1マスクM1の第1パターンPA1と第2マスクM2の第2パターンPA2と基板P上のショット領域Sとの位置関係が常に所望状態に調整され、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とを基板P上のショット領域S内の所望位置に形成することができる。なお、検出システム30の検出結果に基づく第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2の位置調整に代えて、あるいはそれに加えて第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2の少なくとも一方を用いて、第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置を調整してもよい。
なお上述の説明においては、受光装置31の受光面32aに形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係、及び/又は第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係に基づいて、露光領域(AR1,AR2)に形成される第1、第2パターンPA1,PA2の像の位置情報、及び/又は第1、第2パターンPA1,PA2の位置情報を取得しているが、基板Pの露光中は、マスクM1、M2の移動に伴って、露光光(EL1,EL2)に対してアライメントマークRM1,RM2もY軸方向に移動するため、受光素子32の受光面32aにおいてアライメントマークRM1、RM2の像も移動する。したがって、第1、第2アライメントマークRM1,RM2の像のY軸方向の位置ずれを検知する場合には、第1、第2アライメントマークRM1,RM2の像が、透過部36のエッジ像に対して所定位置(例えば、矩形状のエッジ像の中心)に形成されるべき所定のタイミングで、第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係、及び/又は第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めればよい。
なお上述の説明においては、基板ステージ4に設けられた空間像計測器162を用いて、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像の位置情報、及び第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の位置情報を取得したが、他の方法によりそれらの情報を取得してもよい。例えば、第1、第2マスクM1、M2の上方にそれぞれ配置されるアライメント系を用いて、第1、第2アライメントマークRM1、RM2と基準板50の透過部FM’(あるいは別の基準マーク)とを検出して、第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置情報を取得してもよい。
以上説明したように、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれに第1露光光EL1及び第2露光光EL2のそれぞれを照射するとともに、基板P上のショット領域Sが第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とを通過するように基板PをY軸方向に移動することで、基板Pのショット領域Sを効率良く多重露光することができる。本実施形態においては、基板P上のショット領域Sを多重露光(二重露光)するときに、1回のスキャン動作で、1つのショット領域Sを第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とで露光することができ、スループットを向上できる。また、基板Pの−Y方向へのスキャン動作と+Y方向へのスキャン動作とを繰り返すことによって、基板P上の複数のショット領域Sを効率良く多重露光することができる。また、1回のスキャン動作で1つのショット領域Sを多重露光することができるので、各ショット領域S内に第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とを所望の位置関係で形成することができる。
そして、本実施形態においては、検出システム30を用いて、基板Pのショット領域Sを多重露光する動作と並行して(多重露光しながら)、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係を検出することができる。したがって、制御装置5は、基板Pのショット領域Sの多重露光中においても、検出システム30を用いて得られる情報に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pのショット領域Sとの位置関係を調整することができる。
また、本実施形態においては、検出システム30は、光学素子20から第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない第1、第2露光光EL1(S)、EL2(P)を検出光として受光装置31により受光しているので、その検出システム30を用いて得られる情報に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とを基板P上のショット領域S内の所望位置に形成することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、第2実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図、図14は、第2実施形態に係る基板P上のショット領域Sと第1、第2露光領域AR1、AR2との位置関係を示す模式図である。図13に示すように、本実施形態の露光装置EXは、第1マスクM1上の第1照明領域IA1と第1光学系11の光軸AX1とがY軸方向にずれているとともに、第2マスクM2上の第2照明領域IA2と第2光学系12の光軸AX2とがZ軸方向にずれている。この場合、図14に示すように、投影光学系PLの視野内で第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とは異なる位置に設定される。具体的には、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とが、例えばY軸方向(基板Pの走査方向)に関して、離れて設定される。また、本実施形態において、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とは、1つのショット領域Sに同時に配置可能となっている。すなわち、本実施形態においては、第1露光領域AR1(第1露光領域AR1の中心)と第2露光領域AR2(第2露光領域AR2の中心)とのY軸方向の距離は、基板P上の1つのショット領域SのY軸方向の幅よりも小さい。
図15は、第2実施形態に係る受光装置31の近傍の構成を示す図、図16は、受光装置31の板部材35の上面35aを示す図である。本実施形態においても、受光装置31の板部材35の上面35aは、投影光学系PLの物体面、及び像面と光学的に共役な位置に配置されている。したがって、受光装置31の板部材35の上面35aには、投影光学系PLの像面側に設定される第1露光領域AR1と第2露光領域AR2と同様の位置関係で第1露光光EL1(S)と第2露光光EL2(P)とが入射する。図14に示したように、本実施形態においては、投影光学系PLは、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とがY軸方向に離れるように、それら第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とを基板P上に設定する。したがって、基板Pの表面と光学的に配置されている受光装置31の板部材35の上面35aにおいて、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2と同様の位置関係でZ軸方向に離れて形成される第1検出光領域AR1’及び第2検出光領域AR2’のそれぞれに、第1露光光EL1(S)と第2露光光EL2(P)とのそれぞれが入射する。
第1検出光領域AR1’に第1露光光EL1(S)を照射することによって、第1検出光領域AR1’に第1パターンPA1の像及び第1アライメントマークRM1の像を形成可能であり、第2検出領域AR2’に第2露光光EL2(P)を照射することによって、第2検出光領域AR2’に第2パターンPA2の像及び第2アライメントマークRM2の像を形成可能である。
そして、図16に示すように、受光装置31の透過部36は、板部材35の上面35aにおいて、第1アライメントマークRM1の像、及び第2アライメントマークRM2の像が形成可能な位置に配置されている。本実施形態においては、第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像はZ軸方向に離れて形成されるため、板部材35の上面35aには、透過部36が4カ所設けられている。
また、上述の第1実施形態と同様、検出システム30は、受光装置31の受光結果に基づいて、受光装置31の受光面32aに投影光学系PLの一部を介して形成される第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることができる。したがって、制御装置5は、第1アライメントマークRM1の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることによって、第1パターンPA1の像の位置情報、及び/または第1パターンPA1の位置情報を求めることができる。同様に、検出システム30は、受光装置31の受光結果に基づいて、受光装置31の受光面32aに投影光学系PLの一部を介して形成される第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることができる。したがって、制御装置5は、第2アライメントマークRM2の像と透過部36のエッジ像との位置関係を求めることによって、第2パターンPA2の像の位置情報、及び/または第2パターンPA2の位置情報を求めることができる。そして、制御装置5は、第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像との位置関係に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係、及び/または第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係に関する情報を取得することができる。
そして、制御装置5は、検出システム30の検出結果に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係を調整しつつ、基板P上のショット領域Sを多重露光することができる。
以上説明したように、制御装置5は、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とが離れている場合であっても、検出システム30を用いて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係に関する情報を取得することができる。なお、本実施形態では基板P上で第1、第2露光領域AR1、AR2がY軸方向に離れて配置されるものとしたが、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とをその一部が重複するように配置してもよい。
なお、上述の第1、第2実施形態においては、第1照明系IL1より射出され、第1パターンPA1を照明するための第1露光光EL1で第1アライメントマークRM1を照明し、受光装置31は、その第1アライメントマークRM1からの第1露光光EL1を受光しているが、例えば、第1照明系IL1とは別に、第1露光光EL1と同じ波長でS偏光成分を主成分とする検出光を射出可能な第1照明装置を設け、その第1照明装置から射出した検出光で第1アライメントマークRM1を照明するようにしてもよい。同様に、第2照明系IL2とは別に、第2露光光EL2と同じ波長でP偏光成分を主成分とする検出光を射出可能な第2照明装置を設け、その第2照明装置から射出した検出光で第2アライメントマークRM2を照明するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、基板Pの多重露光動作中に、検出システム30を使って、第1アライメントマークRM1の像と第2アライメントマークRM2の像の両方を検出するようにしているが、どちらか一方のみを検出して、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pとの位置関係を調整するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態においては、基板Pの多重露光動作の少なくとも一部と並行して、検出システム30の検出動作を行っているが、基板Pの露光を開始する前に検出動作を行うだけでもよい。すなわち、基板Pの露光を開始する前に、第1、第2露光光EL1,EL2に対して第1、第2マスクM1,M2を各走査方向に移動するとともに、検出システム30を使って、第1アライメントマークRM1の像、及び/又は第2アライメントマークRM2の像を検出し、その結果に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pとの位置関係を調整しながら、基板P上のショット領域Sに対する多重露光動作を行うようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、受光装置31は、板部材35の上面35aに設けられた透過部36のエッジを基準として、第1アライメントマークRM1、及び/または第2アライメントマークRM2の位置情報を取得しているが、受光素子32としてラインセンサなどを用いて受光素子32の出力から第1アライメントマークRM1、及び/又は第2アライメントマークRM2の像の位置情報を直接取得するようにしても良い。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図17は、第3実施形態に係る検出システム30’を備えた露光装置EXを示す概略構成図である。第3実施形態に係る検出システム30’は、第1、第2露光光EL1、EL2とは別の検出光Lbを照射する照射装置40と、照射装置40からの検出光Lbを投影光学系PLの少なくとも一部を介して受光する受光装置43とを備えている。照射装置40は、第1、第2露光光EL1、EL2と異なる波長の検出光Lbを照射する。本実施形態においては、第1、第2露光光EL1、EL2の波長は193nmであり、照射装置40は、例えば約633nmの波長を有する検出光Lbを照射する。また本実施形態において、検出光Lbは、ランダム偏光の光である。
なお、第1、第2露光光EL1,EL2と同じ波長の光を検出光Lbとして用いてもよいし、P偏光成分とS偏光成分とを50%ずつ含む光を検出光Lbとして用いてもよい。
照射装置40は、投影光学系PLの光学素子20に向けて検出光Lbを照射し、受光装置43は、光学素子20の第1入射面21からの検出光Lb、及び第2入射面22からの検出光Lbの少なくとも一方を受光する。図17に示すように、本実施形態の受光装置43は、光学素子20の第1入射面21からの検出光Lbを受光する第1受光器41と、第2入射面22からの検出光Lbを受光する第2受光器42とを含む。
具体的には、照射装置40は、光学素子20の第2射出面24に検出光Lbを照射する。第2射出面24に入射した検出光Lbの一部(S偏光成分)は、所定面(偏光分離面)25を介して光学素子20の第1入射面21より射出され、第2射出面24に入射した検出光Lbの残りの一部(P偏光成分)は、所定面25を介して光学素子20の第2入射面22より射出される。なお、以下の説明において、第1入射面21から射出される検出光をLb(S)、第2入射面22から射出される検出光をLb(P)と適宜称することにする。
第1入射面21より射出された検出光Lb(S)は、第1光学系11を介して、第1マスクM1の第1パターンPA1と所定位置関係で形成された第1アライメントマークRM1’に照射される。第1受光器41は、第1アライメントマークRM1’からの検出光Lb(S)を受光する。すなわち、第1受光器41は、照射装置40から射出され、光学素子20の所定面25と、第1入射面21と、第1パターンPA1に対して所定位置関係で形成された第1アライメントマークRM1’とを介した検出光Lb(S)を受光する。
第2入射面22より射出された検出光Lb(P)は、第2光学系12を介して、第2マスクM2の第2パターンPA2と所定位置関係で形成された第2アライメントマークRM2’に照射される。第2受光器42は、第2アライメントマークRM2’からの検出光Lb(P)を受光する。すなわち、第2受光器42は、照射装置40から射出され、光学素子20の所定面25、第2入射面22と、第2パターンPA2に対して所定位置関係で形成された第2アライメントマークRM2’とを介した検出光Lb(P)を受光する。
すなわち、照射装置40より射出され、第2射出面24を介して光学素子20に入射した検出光Lbは、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわずに、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2とは異なる方向に向かい、受光装置43に照射される。第1、第2受光器41、42を含む受光装置43は、光学素子20から第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のいずれにも向かわない検出光Lbを受光する。
図18(A)は、本実施形態に係る第1マスクステージ1に保持された第1マスクM1を示す平面図、図18(B)は、第2マスクステージ2に保持された第2マスクM2を示す平面図である。本実施形態においても、第1マスクM1上での第1露光光EL1による第1照明領域IA1は、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されており、第2マスクM2上での第2露光光EL2による第2照明領域IA2も、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に設定されている。また、本実施形態においても、第1マスクステージ1は、第1パターンPA1を有する第1マスクM1を第1露光光EL1に対してY軸方向に移動可能であり、第2マスクステージ2は、第2パターンPA2を有する第2マスクM2を第2露光光EL2に対してZ軸方向に移動可能である。
図18(A)に示すように、本実施形態においては、第1アライメントマークRM1’は、X軸方向に関して第1マスクM1の第1パターン形成領域SA1の両側に、第1マスクM1の走査方向(Y軸方向)に沿って複数並んで形成されている。本実施形態においては、第1アライメントマークRM1’は、第1パターン形成領域SA1の外側に形成されており、第1照明領域IA1の外側に配置される。したがって、基板Pの露光時などにおいては、第1照明系IL1からの第1露光光EL1で照明されない。また、図18(B)に示すように、第2アライメントマークRM2’は、X軸方向に関して第2マスクM2の第2パターン形成領域SA2の両側に、第2マスクM2の走査方向(Z軸方向)に沿って複数並んで形成されている。第2アライメントマークRM2’も、第2パターン形成領域SA2の外側に形成されており、第2照明領域IA2の外側に配置される。したがって、基板Pの露光時などにおいては、第2照明系IL2からの第2露光光EL2で照明されない。また、本実施形態においても、第1アライメントマークRM1’と第2アライメントマークRM2’とは、互いに対応するように第1マスクM1上及び第2マスクM2上のそれぞれに形成されている。
図19は、本実施形態に係る第1アライメントマークRM1’を示す拡大図、図20は、第1受光器41と第1マスクM1との関係を示す模式図である。第1アライメントマークRM1’は、第1マスクM1上に、例えばCr(クロム)等の金属で形成された遮光領域に開口を形成したものであり、検出光Lb(S)が透過可能である。図19に示すように、第1アライメントマークRM1’は、第1マスクM1の走査方向(Y軸方向)と交差する方向(X軸方向)を長手方向とする矩形状(スリット状)の開口(透過領域)である。そして、第1アライメントマークRM1’は、照射装置40から射出された検出光Lb(S)による照射領域44に配置可能となっている。照明装置40から射出され、光学素子20及び第1光学系11を介して第1アライメントマークRM1’に照射される検出光Lb(S)の少なくとも一部は、照射領域44に配置されている第1アライメントマークRM1’を通過して、第1受光器41の第1受光面45に到達する。
図21は、第1受光器41の第1受光面45を示す模式図である。第1受光面45には、検出光Lb(S)を受光可能な受光領域47が形成されている。本実施形態においては、受光領域47は、第1アライメントマークRM1’に対応するように、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)に形成されている。検出光Lb(S)の照射領域44に第1アライメントマークRM1’が配置されたとき、第1アライメントマークRM1’を通過した検出光Lb(S)は、第1受光面45の受光領域47に照射され、第1受光器41は、検出光Lb(S)を受光する。したがって、検出システム30’は、第1受光器41の出力に基づいて、照射領域44に第1アライメントマークRM1’が配置されたかどうかを検出することができる。
第2マスクM2の第2アライメントマークRM2’は、第1アライメントマークRM1’と同様、照射装置40から射出された検出光Lb(P)による照射領域44に配置可能となっており、照明装置40から射出され、光学素子20及び第2光学系12を介して照射される検出光Lb(P)の少なくとも一部が透過可能である。また、第2アライメントマークRM2’は、第2マスクM2の走査方向(Z軸方向)と交差する方向(X軸方向)を長手方向とする矩形状(スリット状)の開口である。第2アライメントマークRM2’を通過した検出光Lb(P)は、第2受光器42の第2受光面46に照射される。また、第2受光器42の第2受光面46には、第1受光器41と同様、第2アライメントマークRM2’に対応するように、X軸方向を長手方向とする矩形状(スリット状)の透過領域48が形成されている。検出光Lb(P)の照射領域44に第2アライメントマークRM2’が配置されたとき、第2アライメントマークRM2’を通過した検出光Lb(P)は、第2受光面46の受光領域48に照射され、第2受光器42は、検出光Lb(P)を受光する。したがって、検出システム30’は、第2受光器42の出力に基づいて、照射領域44に第2アライメントマークRM2’が配置されたかどうかを検出することができる。
なお、投影光学系PLの各光学素子は、第1、第2露光光EL1、EL2に対して最適化されており、照射装置40と光学素子20との間には、検出光Lbを所望状態で受光装置43に入射させるための、例えば色収差を補正するための補正光学系14が設けられている。また、第1マスクM1と第1受光器41との間には、検出光Lb(S)で照明された第1アライメントマークRM1’の像を第1受光面45上に結像させるための光学系15が設けられている。同様に、第2マスクM2と第2受光器42との間には、検出光Lb(P)で照明された第2アライメントマークRM2’の像を第2受光面46上に結像させるための光学系16が設けられている。
次に、本実施形態に係る露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。上述の実施形態と同様、制御装置5は、第1マスクステージ1、第2マスクステージ2、及び基板ステージ4を制御して、第1パターンPA1を有する第1マスクM1と第2パターンPA2を有する第2マスクM2とを各走査方向(Y軸方向、Z軸方向)に移動するとともに、基板Pを走査方向(Y軸方向)に移動しつつ、第1パターンPA1の像及び第2パターンPA2の像で基板Pのショット領域Sを多重露光する。
本実施形態においては、制御装置5は、基板Pの露光中、検出システム30’の照射装置40より、光学素子20に向けて検出光Lbを射出し続ける。すなわち、制御装置5は、基板Pの露光中、照射装置40による検出光Lbの照射動作を継続して行う。したがって、基板Pの露光中、第1、第2マスクM1、M2の所定部分は、光学素子20の第1、第2入射面21、22から射出された検出光Lbで照明され続ける。
制御装置5は、第1受光器41の第1受光面45に第1アライメントマークRM1’を介して照射される検出光Lb(S)、及び第2受光器42の第2受光面46に第2アライメントマークRM2’を介して照射される検出光Lb(P)に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係、及び第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係の少なくとも一方に関する情報を取得することができる。
制御装置5は、検出システム30’の第1受光器41の第1受光面45に第1アライメントマークRM1’を介して検出光Lb(S)が照射されるタイミングと、第2受光器42の第2受光面46に、第1アライメントマークRM1’に対応する第2アライメントマークRM2’を介して検出光Lb(P)が照射されるタイミングとに基づいて、基板P上のショット領域Sの露光中に第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係(位置ずれ)、及び/又はショット領域Sに投影される第1パターンPA1の像(部分像)と、第2パターンPA2の像(部分像)との位置関係(位置ずれ)を求めることができる。
例えば、基板P上のショット領域Sの露光中における第1のタイミングにおいて、図22(A)の模式図に示すように、第1マスクM1上の複数の第1アライメントマークRM1’のうち、ある特定の第1アライメントマークRM1’が照射領域44に配置された場合について考える。そして、第1のタイミングにおいて第1パターンPA1(第1パターンPA1の部分像)が目標位置に配置されているとき、特定の第1アライメントマークRM1’が照射領域44に配置されるものとする。同様に、第1のタイミングにおいて第2パターンPA2(第2パターンPA2の部分像)が目標位置に配置されているとき、特定の第2アライメントマークRM2’の像が照射領域44に配置されるものとする。
第1のタイミングにおける第1パターンPA1(第1パターンPA1の部分像)が目標位置からずれている場合、図22(B)の模式図に示すように、その第1のタイミングにおける特定の第1アライメントマークRM1’も、照射領域44からずれた位置に配置される。すなわち、その第1のタイミングにおいては、第1アライメントマークRM1’は照射領域44に配置されないため、検出光Lb(S)は遮光領域に遮られて、第1受光器41に到達しない。この第1のタイミングにおいて第2パターンPA2(第2パターンPA2の部分像)が目標位置に配置されている場合、第1のタイミングにおいて、特定の第1のアライメントマークRM1’に対応する特定の第2アライメントマークRM2’も照射領域44に配置される。すなわち、対応する第1、第2アライメントマークRM1’、RM2’は、異なるタイミングで、照射領域44に配置され、第1、第2受光器41、42は異なるタイミングで検出光Lbを受光する。
制御装置5は、第1アライメントマークRM1’を通過した検出光Lbが第1受光器41に受光されるタイミング、すなわち第1アライメントマークRM1の像が第1受光面45上の受光領域47に形成されるタイミングと、第2アライメントマークRM2’を通過した検出光Lbが第2受光器42に受光されるタイミング、すなわち第2アライメントマークRM2’の像が第2受光面46上の受光領域48に形成されるタイミングとを比較して、その比較結果に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との位置関係、及び/又は第1パターンPA1と第2パターンPA2との位置関係を取得することができる。
そして、制御装置5は、基板P上のショット領域Sの多重露光中に、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとが所望の位置関係になるように、受光装置43の出力に基づいて、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2の位置を調整しつつ、基板P上のショット領域Sを多重露光する。
以上説明したように、本実施形態においても、基板P上の各ショット領域Sを多重露光しているときに、検出システム30’を用いて、第1パターンP1と第2パターンPA2との位置関係、及び/又は第1パターンP1の像と第2パターンPA2の像との位置関係を検出しているので、制御装置5は、検出システム30’で取得した情報に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとの位置関係を調整しつつ、その基板P上のショット領域Sを多重露光することができる。
また、本実施形態においては、第1、第2露光光EL1、EL2とは異なる波長の検出光Lbを用いて位置情報の検出を行っているので、照射装置40から射出された検出光Lbが基板P上に漏れても、基板Pを不要に露光してしまうことを抑制することができる。また、本実施形態においては、第1、第2アライメントマークRM1’、RM2’は、第1、第2照明領域IA1、IA2の外側に設けられており、第1、第2アライメントマークRM1’、RM2’の像が基板P上に投影されることを抑制することができる。
また、本実施形態においては、第1、第2アライメントマークRM1’、RM2’のそれぞれは、第1、第2マスクM1、M2の走査方向と交差する方向と長手方向とする形状であり、検出システム30’は、第1、第2アライメントマークRM1’、RM2’を介した検出光Lbに基づいて、第1、第2マスクM1、M2の第1、第2パターンPA1、PA2の各走査方向に関する位置情報を精度良く検出することができる。
なお、本実施形態においても、基板P上のショット領域Sの多重露光を開始する前に、検出システム30’の検出動作を実行し、基板Pの各ショットの露光中は、その検出結果に基づいて、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板P上のショット領域Sとが所望の位置関係になるように第1パターンPA1と第2パターンPA2と基板Pの少なくとも位置を調整することができる。
なお、上述の第1〜第3実施形態においては、露光領域(AR1,AR2)に形成される第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像との少なくとも一方の位置を調整するために、第1パターンPA1を有する第1マスクM1及び第2パターンPA2を有する第2マスクM2の少なくとも一方の位置を調整しているが、制御装置5は、第1露光領域AR1に形成される第1パターンPA1の像と第2露光領域AR2に形成される第2パターンPA2の像の少なくとも一方の位置調整を、第1結像特性調整装置LC1及び第2結像特性調整装置LC2の少なくとも一方を用いて行うことができる。上述のように、制御装置5は、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2を用いて、第1、第2パターンPA1、PA2それぞれの像のX軸方向、Y軸方向、θZ方向の位置調整を行うことができる。したがって、制御装置5は、例えば基板Pの露光中に、受光装置31の出力に基づいて、第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2を用いて、第1パターンPA1の像及び第2パターンPA2の像の少なくとも一方の位置を調整することによって、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像と基板Pとの位置関係を調整することができる。
なお、上述の各実施形態においては、光学素子20として、偏光分離光学素子(偏光ビームスプリッタ)を用いているが、光学素子20として、第1露光光EL1及び第2露光光EL2それぞれの光路を分岐する分岐光学素子(ハーフミラー)を用いてもよい。分岐光学素子は、例えば使用する露光光EL1、EL2や検出光Lbなどの照射光がランダム偏光であっても、それら照射光を分岐することができ、照射光の偏光状態の自由度を高めることができる。
なお、上述の各実施形態においては、第1マスクM1が+Y方向に移動するときには、第2マスクM2が+Z方向に移動しているが、第1マスクM1が+Y方向に移動するときには、第2マスクM2が−Z方向に移動するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、基板Pの露光中に、第1マスクM1がY軸方向に移動し、第2マスクM2が第1マスクM1の移動方向(Y軸方向)と交差する方向(Z軸方向)に移動しているが、第1マスクM1と第2マスクM2とが同じ方向(例えばY軸方向)に移動するように、投影光学系PLを構成してもよい。この場合、例えば投影光学系を双頭型とし、投影光学系の物体面側で同一平面に第1、第2パターン形成面が配置される第1、第2マスクM1、M2を異なるマスクステージでそれぞれ同一の走査方向に移動してもよいし、あるいは第1、第2マスクM1、M2を同一のマスクステージに載置して同一の走査方向に移動してもよい。後者では、例えばマスクステージ上で第1、第2マスクM1、M2を相対移動するアクチュエータを設け、第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置関係を調整可能とすることが好ましい。また、上述の各実施形態においては、第1、第2パターンPA1、PA2を異なるマスク(M1、M2)に形成するものとしたが、1つのマスク上に第1、第2パターンPA1、PA2を形成してもよい。
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLとしては、縮小系に限られず、例えば等倍系及び拡大系のいずれであってもよい。また、上述の各実施形態においては、投影光学系PLとして、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系(カタディ・オプトリック系)を例にして説明したが、投影光学系PLとしては、反射光学素子を含まない屈折系、あるいは屈折光学素子を含まない反射系等であってもよい。さらに、投影光学系PLは双頭型の反射屈折系に限られず、例えば国際公開第2004/107011号パンフレット(対応米国特許出願公開第2006/0121364号)に開示されるように、複数の反射面を有しかつ中間像を少なくとも1回形成する光学系(反射系または反屈系)がその一部に設けられ、かつ単一の光軸を有する、いわゆるインライン型の反射屈折系でもよい。また、投影光学系PLが生成する投影像は倒立像及び正立像のいずれでもよい。
また、上述の各実施形態において、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2の大きさ及び形状の少なくとも一方が異なっていてもよい。例えば、第1露光領域AR1と第2露光領域AR2とでX軸方向の幅及び/又はY軸方向の幅が異なっていてもよい。なお、X軸方向の幅が異なる場合には、1回のスキャン動作によってショット領域S内の一部だけが多重(二重)露光される。また、第1、第2露光領域AR1、AR2(及び/又は第1、第2照明領域IA1、IA2)はその形状が矩形に限られず、他の形状、例えば円弧状、台形、あるいは平行四辺形などでもよい。
また、上述の各実施形態においては、ショット領域Sが第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2を通過する間、第1露光領域AR1及び第2露光領域AR2のそれぞれに露光光EL1、EL2の照射が続けられるが、少なくとも一方の露光領域において、ショット領域Sが通過する間の一部の期間だけで露光光が照射されるようにしてもよい。すなわち、ショット領域S内の一部だけ多重(二重)露光するようにしてもよい。
なお、上記各実施形態では、アライメント系7が画像処理方式であるものとしたが、これに限られず他の方式、例えばコヒーレントなビームの照射によってマークから発生する回折光などを検出する方式などでもよい。また、上記各実施形態では、空間像計測器162を用いて第1、第2パターンPA1、PA2の像の位置情報を計測するものとしたが、その位置情報の計測装置は空間像計測器に限定されず任意でよい。さらに、上記各実施形態では第1、第2マスクM1、M2の移動中に検出システム30による第1、第2アライメントマークRM1、RM2の検出を行うものとしたが、第1、第2マスクM1、M2を静止させた状態で第1、第2アライメントマークRM1、RM2の検出を行ってもよい。また、上記各実施形態では第1、第2パターンPA1、PA2による基板の二重露光を行うものとしたが、3つ以上のパターンを用いる多重露光を行ってもよい。
なお、上述の各実施形態において、例えば国際公開第99/49504号パンフレット,特開2004−289126号(対応米国特許公開第2004/0165159号公報)等に開示されているような液浸法を適用してもよい。すなわち、第1、第2露光領域AR1、AR2を覆うように、液浸システムを用いて液体の液浸領域を基板P上に形成し、その液体を介して第1、第2露光光EL1、EL2を基板P上に照射するようにしてもよい。液浸システムは、例えば、投影光学系PLの終端光学素子と基板Pとの間の露光光の光路の近傍に設けられ、その光路に対して液体を供給するための供給口を有する供給部材及び液体を回収するための回収口を有する回収部材を有し得る。なお、液浸システムは、その一部(例えば、液体供給部材及び/又は液体回収部材)が露光装置に設けられている必要はなく、例えば露光装置が設置される工場等の設備を代用してもよい。また、液浸システムの構造は、上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号パンフレット、国際公開第2004/057590号パンフレット、国際公開第2005/029559号パンフレット(対応米国特許公開第2006/0231206号)、国際公開第2004/086468号パンフレット(対応米国特許公開第2005/0280791号)、特開2004−289126号公報(対応米国特許第6,952,253号)などに記載されているものを用いることができる。
液浸法に用いる液体としては、水(純水)を用いてもよいし、水以外のもの、例えば過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体、あるいはセダー油などを用いてもよい。また、液体としては、水よりも露光光に対する屈折率が高い液体、例えば屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。ここで、純水よりも屈折率が高い(例えば1.5以上)の液体LQとしては、例えば、屈折率が約1.50のイソプロパノール、屈折率が約1.61のグリセロール(グリセリン)といったC−H結合あるいはO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)、あるいは屈折率が約1.60のデカリン(Decalin: Decahydronaphthalene)などが挙げられる。また、液体LQは、これら液体のうち任意の2種類以上の液体を混合したものでもよいし、純水にこれら液体の少なくとも1つを添加(混合)したものでもよい。さらに、液体LQは、純水にH+、Cs+、K+、Cl−、SO4 2−、PO4 2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものでもよいし、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものでもよい。なお、液体LQとしては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系PL、及び/又は基板Pの表面に塗布されている感光材(又はトップコート膜あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。液体LQとして、超臨界流体を用いることも可能である。また、基板Pには、液体から感光材や基材を保護するトップコート膜などを設けることができる。また、終端光学素子FLを、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成してもよいし、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成してもよい。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示される、サファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示される、塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。
液浸法に用いる場合、例えば、国際公開第2004/019128号パンフレット(対応米国特許公開第2005/0248856号)に開示されているように、終端光学素子の像面側の光路に加えて、終端光学素子の物体面側の光路も液体で満たすようにしてもよい。さらに、終端光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成してもよい。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することが好ましい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、またはフィルム部材等が適用される。また、基板Pの形状は円形のみならず、矩形など他の形状でもよい。
また、本発明は、例えば特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報(対応する米国特許6,341,007、6,400,441、6,549,269及び6,590,634号)、特表2000−505958号公報(対応する米国特許5,969,441号)などに開示されているような複数の基板ステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、例えば特開平11−135400号公報(対応する国際公開第1999/23692号パンフレット)、特開2000−164504号公報(対応する米国特許6,897,963号)に開示されているように、基板を保持する基板ステージと、計測部材(例えば、基準マークが形成された基準部材、及び/又は各種の光電センサ)を搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。基板ステージと計測ステージの両方を備える露光装置では、空間像計測器162を含む複数の計測部材の全部あるいは一部を計測ステージに設けてもよい。
上記各実施形態では、第1及び第2パターンを形成するために第1及び第2マスクM1、M2を用いたが、これらに代えて、可変のパターンを生成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはパターンジェネレータとも呼ばれる)を用いることができる。この電子マスクとして、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器:Spatial Light Modulator (SLM)とも呼ばれる)の一種であるDMD(Deformable Micro-mirror Device又はDigital Micro-mirror Device)を用い得る。DMDは、所定の電子データに基づいて駆動する複数の反射素子(微小ミラー)を有し、複数の反射素子は、DMDの表面に2次元マトリックス状に配列され、かつ素子単位で駆動されて露光光を反射、偏向する。各反射素子はその反射面の角度が調整される。DMDの動作は、制御装置30により制御され得る。制御装置30は、基板P上に形成すべき第1パターン及び第2パターンに応じた電子データ(パターン情報)に基づいてそれぞれのDMDの反射素子を駆動し、照明系ILにより照射される露光光を反射素子でパターン化する。DMDを使用することにより、パターンが形成されたマスク(レチクル)を用いて露光する場合に比べて、パターンが変更されたときに、マスクの交換作業及びマスクステージにおけるマスクの位置合わせ操作が不要になるため、多重露光を一層効率よく行うことができる。なお、電子マスクを用いる露光装置では、マスクステージを設けず、基板ステージによって基板をX軸及びY軸方向に移動するだけでもよい。また、基板上での第1、第2パターンの像の相対位置を調整するため、例えばアクチュエータなどによって、第1、第2パターンをそれぞれ生成する2つの電子マスクの相対位置を調整してもよいが、2つの電子マスクの少なくとも一方で、パターンを生成するタイミングを調整する、あるいは電子マスクでのパターン生成位置をずらしてもよい。なお、DMDを用いた露光装置は、例えば特開平8−313842号公報、特開2004−304135号公報、米国特許第6,778,257号公報に開示されている。
上記各実施形態では干渉計システムを用いてマスクステージ及び基板ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば基板ステージの上面に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り替えて用いる、あるいはその両方を用いて、基板ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
上記各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いたが、例えば、国際公開第1999/46835号パンフレット(対応米国特許第7,023,610号)に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、第1、第2照明領域と、第1、第2露光領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状、台形状、平行四辺形状、あるいは菱形状などでもよい。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図23に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光工程及び露光した基板の現像工程を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…第1マスクステージ、2…第2マスクステージ、4…基板ステージ、5…制御装置、6…記憶装置、11…第1光学系、12…第2光学系、13…第3光学系、20…光学素子、21…第1入射面、22…第2入射面、23…第1射出面、24…第2射出面、30、30’…検出システム、31…受光装置、32…受光面、40…照射装置、41…第1受光器、42…第2受光器、43…受光装置、45…第1受光面、46…第2受光面、AR1…第1露光領域、AR2…第2露光領域、EL1…第1露光光、EL2…第2露光光、EX…露光装置、IL1…第1照明系、IL2…第2照明系、La、Lb…検出光、M1…第1マスク、M2…第2マスク、P…基板、PA1…第1パターン、PA2…第2パターン、PL…投影光学系、RM1、RM1’…第1アライメントマーク、RM2、RM2’…第2アライメントマーク、S…ショット領域