近年の高輝度、高照度等の光出力の高出力化の要求に伴い、高出力のいわゆるパワー系LEDを使用した発光装置の需要が高まっている。LEDは、高出力になるほど電流量が増し、発熱量も大きくなる。したがって、高出力のLEDの安定して駆動するためには、LEDで発生した発熱を効率よく放熱する構造が求められる。
一方、LEDをユニット状に構成し、これを複数段連結して、大型のディスプレイや照明を構成する態様においては、LEDを点灯するための点灯データを各ユニット間で伝達するためのデータ通信が必要となる。このような通信を行うための通信回路は、一般に論理回路で構成されるため、熱に対する耐性が弱い傾向にある。したがって、パワー系LEDやLD等、発熱量の多い発光素子を使用した発光装置に通信回路を内蔵する場合は、発光素子の発熱を通信回路を構成する論理回路と遮断することが必要となる。
従来は、LED駆動回路と通信回路とを別基板で構成することで、熱的に分断する構成が採用されていた。しかしながらこの構成では、基板数や部品点数が増えて回路が複雑化し、製造工数が増しコスト高となるという問題があった。一方、一枚の基板状にLED駆動回路と通信回路とを併設すると、LEDの発熱が隣接する通信回路の論理回路に伝搬してしまうため、安定性が低下し、結局のところ論理回路の耐熱温度が上限となって、LEDに流すことのできる電流量が制限され、高出力を得ることができないという問題があった。
本発明は、従来のこのような目的を解決するために成されたものである。本発明の主な目的は、簡素な構成で発光素子の発熱から通信回路を保護できる発光装置及び照明装置を提供することにある。
以上の目的を達成するために本発明の第1の発光装置は、発光素子と、発光素子を制御する駆動回路と、駆動回路と外部とのデータ通信をする通信回路とを配置する回路基板と、回路基板を収容する筐体と、放熱部材とを備える。回路基板は、その長手方向の中央に発光素子を配置する第1の領域を有する第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを有している。第2の面は、駆動回路が配置された第2の領域と、通信回路が配置された第3の領域と、第2と第3の領域の間であり、かつ第1の領域の反対側に設けられ放熱部材へ熱的に接続された第4の領域とを有する。このように、本発明は、回路基板の放熱性に優れるため、共通の回路基板に駆動回路と通信回路を実装でき、部品点数を減らして組み立て工程を簡素化でき、コスト削減に寄与する。
また第2の発光装置は、第4の領域と放熱部材との間に、熱伝導シートを介在させている。これにより、第4の領域と放熱部材との接触面を、効果的に絶縁を維持しつつ熱伝導状態とすることができる。
さらに第3の発光装置は、回路基板は、配置された発光素子の周囲に、複数の貫通孔を有する。これにより、発光素子の発熱が貫通孔を介して裏面側の第4の領域に伝導されるので、熱伝導を向上させることができる。
さらにまた第4の発光装置は、放熱部材は、筐体の一部である。これにより、筐体自体を放熱部材と兼用でき、構成をより簡素化できる。
さらにまた第5の発光装置は、放熱部材は、凸状に突出させた中央部を有しており、その中央部の天面が回路基板の第4の領域と熱的に接続されている。これにより、放熱部材中央部の天面で回路基板の第4の領域から熱伝導された熱を効率よく放熱できる。
さらにまた第6の発光装置は、筐体がさらに透光性を有するカバーを含む。これにより、透光性を有するカバーを介して、発光素子の出力光を効率よく外部に出力できる。
さらにまた第7の発光装置は、中央部の天面には、その長手方向に沿って第1の螺子孔が開口され、回路基板には、第1の螺子孔と対応する位置に第2の螺子孔が開口されており、カバーには、第1の螺子孔及び第2の螺子孔と対応する位置に、回路基板側に向かって突出する凸部が設けられており、凸部は第1の螺子孔を挿通できる大きさであると共に、凸部の先端部には第3の螺子孔が穿孔されている。これにより、回路基板と放熱部材とカバーとを、螺子止めにより一括して固定でき、各部材の固定作業を纏めることで組み立て工程の省力化を図ることができる。
さらにまた第8の発光装置は、凸部がさらに、その外周に、凸部に挿通された回路基板を押圧する段差部を有している。これにより、カバーの段差部で回路基板を上面から放熱部材に向かって押圧できるので、確実に回路基板の第4の領域と放熱部材とを熱伝導状態に密着させることができる。
さらにまた第9の発光装置は、カバーは、その外縁から突出された鍔部を有し、筐体は、さらに、その長手方向に設けられる側面を覆うサイドカバーを有しており、サイドカバーは、回路基板の端部及びカバーの鍔部を収容するカバー用スリットを有する。これにより、サイドカバーで回路基板の端縁を確実に保持、固定できる。特に、螺子止めにより回路基板と放熱部材とを固定すると、螺子の近傍では回路基板が放熱部材に押圧される一方、螺子止めの位置から離れるほど、回路基板が反ったような状態となり相対的に浮き上がる結果、回路基板と放熱部材との間に接触不良や隙間が生じるおそれがある。これを回避するため、最も浮き上がりの生じやすい回路基板の端部において、サイドカバーのカバー用スリットで確実に回路基板とカバーとを固定、押圧し、カバーでも回路基板を放熱部材に押圧して、回路基板の第4の領域と放熱部材の中央部の天面との接触をより強固なものとし、放熱性を十分に発揮させることができる。
さらにまた第10の発光装置は、さらに他の発光装置と電気的に接続するためのケーブルを備えており、ケーブルは、サイドカバーに各々設けられており、筐体の一方のサイドカバーにおいて、中心から一方の端部側に偏在して突出するよう固定され、ケーブルとは別のケーブルが他方のサイドカバーにおいて、中心から他方の端部側に偏在して突出するよう固定されている。これにより、発光装置同士をケーブルで連結する際、隣接する発光装置間でケーブルがオフセット状に配置されることとなり、ケーブルが干渉することなく無理なく連結できる。
さらにまた第11の発光装置は、ケーブルが、筐体のサイドカバーと、ケーブルとが一体に形成されている。これにより、ケーブルとサイドカバーとの機械的強度を高め、かつこの部分で隙間を無くして密閉構造とし、発光装置の防水、防湿効果が得られる。
さらにまた第12の発光装置は、ケーブルが、回路基板に設けられたケーブル接続コネクタと電気的に接続されており、ケーブル接続コネクタは、第2の領域及び/又は第3の領域上に固定されており、さらに第2の領域及び/又は第3の領域上に、他の発光装置の通信回路とデータ通信を行うための中間ケーブルを接続するための内部接続コネクタを固定可能としている。これにより、発光装置同士を接続する際は、オフセット状に固定されたケーブル同士を干渉しないように接続でき、一方、発光装置の内部で回路基板同士を連結する際には、同じ第3の領域側に固定されたケーブル接続コネクタと内部接続コネクタとを連結できるので、リード等を短くできる。このように、外部接続と内部接続とでケーブルやリードの配置を最適に調整でき、構成上の自由度が高いという利点が得られる。
さらにまた第13の発光装置は、ケーブルは、同一のケーブル内に通信回路へのデータを通信する信号線と駆動回路に電力を供給する電源線とを含む。これにより、発光装置から延びるケーブルの本数を減らして、取り回しを良くする。
さらにまた第14の発光装置は、発光素子が、赤、緑、青の順序で繰り返し直線状に配列したものである。これにより、発光素子は赤→緑→青→赤→緑→青の順に配置することで隣接する3個の発光素子は赤緑青、緑青赤、青赤緑となり、どの部分でも赤緑青という光の三原色が並ぶため、これらの混色によって均一な白色光を得ることができる。
さらにまた第15の発光装置は、回路基板の第1の面が白色である。これにより、発光面側の反射が良くなり、照明として好適に利用できる。
さらにまた第16の発光装置は、筐体の少なくとも一の面に、長手方向に沿って開口するスリット状であって、開口部分の内径を狭く形成した台座スリットを有する。この構成によって、台座スリットに四角ナット等を挿入することにより筐体を任意の位置で容易に固定することが可能となる。
さらにまた第17の発光装置は、サイドカバーはさらに、表面から突出させた固定板を備えると共に、固定板に第4の螺子孔が形成されている。この構成によって、第4の螺子孔は発光装置の発光面側に開口するので、発光装置を発光面側から螺子等で固定することができるようになる。
さらにまた第18の発光装置は、第2の領域は、第4の領域に熱伝導するよう形成された熱伝導パターンを有する。この構成によって、駆動回路の発熱を第4の領域まで熱伝導パターンで熱伝導でき、発光素子の放熱機構を駆動回路の放熱にも兼用でき、さらに安定性が高まる。
さらにまた第19の発光装置は、筐体の一部に熱伝導状態に固定される追加放熱部材を備える。これにより、発光装置の筐体の外部への放熱性をさらに高めることができる。
さらにまた第20の発光装置は、建物の壁面を照明する間接照明として建物の壁面に固定されている。これにより、発光装置を建物の間接照明として利用できる。特に放熱性を向上させた発光装置は信頼性が高く、LED等の発光素子の長寿命と相俟ってメンテナンスフリーが実現でき、交換や点検作業が面倒な建物の壁面照明として好適に利用できる。
さらにまた第21の照明装置は、複数の発光装置を建物のガラス面の枠に配置して、これらの発光装置を発光させてガラス面を照明する照明装置であって、ガラス面の内面に、ガラス面と離間して反射率の高いスクリーンを配置しており、ガラス面の枠が熱伝導性に優れた部材であって、発光装置は、ガラス面の枠の内側で、スクリーンに対して光を照射する姿勢に固定されており、各発光装置とスクリーンとの距離を、略等間隔に維持しており、さらに各発光装置は、発光素子、発光素子を制御する駆動回路、駆動回路と外部とのデータ通信をする通信回路、を配置する回路基板と、回路基板を収容する筐体と、放熱部材とを備え、回路基板は、その長手方向の中央に発光素子を配置する第1の領域を有する第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを有しており、第2の面は、駆動回路が配置された第2の領域と、通信回路が配置された第3の領域と、第2と第3の領域の間であり、かつ第1の領域の反対側に設けられ放熱部材へ熱的に接続された第4の領域とを有している。これにより、放熱性に優れた発光装置を熱伝導性の高い枠に固定して、効率よく放熱し信頼性の高い照明装置を得ることができる。加えて、このように枠の内側に発光装置を固定することで、建物の外面からは発光装置が視認されず見栄えがよく、さらに間接照明によってスクリーンに均一に光を照射することができ、高品質な発光パターンを表現できる。
さらにまた第22の照明装置は、各発光装置が、熱伝導性に優れたフレームを介してガラス面の枠に固定されている。これにより、フレームを介して発光装置の発熱を効率よく枠側に熱伝導できることに加えて、各発光装置を一旦フレームに固定した状態で設置現場に搬入し、フレームを枠に固定することで複数の発光装置を枠に固定できるため、搬入が容易であり、かつ設置現場での作業を省力化して作業能率を向上できる。
さらにまた第23の照明装置は、枠に固定された複数の発光装置が、マトリックス状に配置されている。これにより、各発光装置の発光パターンを制御することによって、建物のガラス面に表現する発光パターンを様々な形状に表現することが容易となり、表現力を高めることが可能となる。
さらにまた第24の照明装置は、スクリーンが、建物の内部に設けられた壁面である。これにより、壁面をスクリーンとして利用でき、構成を簡素化したガラス面の間接照明が実現できる。
さらにまた第25の照明装置は、スクリーンが、巻き取り可能なロールスクリーンである。これにより、必要時にのみスクリーンを用意し、非使用時はスクリーンを収納できるので、ガラス面を採光などに有効利用できる。
本発明の発光装置及び照明装置によれば、同一の回路基板上に駆動回路と通信回路を実装することで、部品点数の低減や組み立て工程の省力化を図りつつ、発光素子の発熱から通信回路を保護でき、安価でかつ信頼性の高い発光装置及び照明装置を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置及び照明装置を例示するものであって、本発明は発光装置及び照明装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施の形態1)
図1〜図3に、本発明の実施の形態1に係る発光装置を示す。図1(a)は発光装置100を斜め上方から見た斜視図、図1(b)は斜め下方から見た斜視図、図2は分解斜視図を、図3は平面図及び正面図を、それぞれ示している。図3において(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は固定状態の一例を示す正面図、(e)は固定状態の他の例を示す(a)のA−A’線における断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す発光装置100は、筐体10と、筐体10に内蔵される発光素子70を実装した回路基板60を備える。筐体10は直方体状の箱形に構成され、回路基板60を載置するベース部材である放熱部材20と、回路基板60の上面を閉塞するカバー30と、放熱部材20の長手方向端面を覆うサイドカバー40とで構成される。サイドカバー40には、ケーブル50が固定されている。回路基板60と放熱部材20との界面には、熱伝導シート80が介在される。また回路基板60は、上面に発光素子70を実装し、下面に発光素子70の駆動回路と、外部機器等とデータ通信を行うための通信回路を実装している。以下、各部材について順に詳述する。
(回路基板60)
回路基板60は、発光素子70を実装する第1の面と、この面の反対側で通信回路及び駆動回路を実装する第2の面とを有する。回路基板60を第1の面である表面側、すなわち発光素子70を実装して光を取り出す面側から見た平面図を図4に、第2の面である裏面側、すなわち放熱部材20と接する面側から見た平面図を図5に、それぞれ示す。第1の面上には、長手方向の略中央に、発光素子70を実装する第1の領域として、発光素子実装領域61を設ける。また第2の面上には、発光素子実装領域61とほぼ対向する領域を第4の領域として熱伝導領域62とし、かつ熱伝導領域62で分断された一方の領域を、通信回路を実装する第3の領域として、通信回路実装領域63とし、他方の領域をLEDの駆動回路を実装する第2の領域として、駆動回路実装領域64とする。熱伝導領域62は、後述する放熱部材20の天面22と熱伝導状態に接続されている。このように、主たる発熱源である発光素子70の裏面側を熱伝導領域62として、放熱部材20と熱伝導させることにより、発光素子70で発生した熱をそのまま裏面側に熱伝導でき、回路基板60上の他の領域に熱が拡散することを抑制できる。この結果、熱伝導領域62以外に形成された通信回路実装領域63に実装される通信回路に発光素子70の発熱が伝導することが防止され、発光素子70と通信回路とを同じ基板上に実装して駆動させることが可能となる。この構成であれば、同一の基板に回路基板60に駆動回路と通信回路を実装できるので、基板数を少なくして構成を簡素化し、さらに組み立て工程を省力化できる。また、熱伝導領域62を回路基板60の長手方向におけるほぼ中央としたため、その両側に設けた通信回路実装領域63と駆動回路実装領域64とが中央部分で熱的に分断される。これにより、駆動回路実装領域64に実装される駆動回路の発熱が、通信回路側に熱伝導することも回避され、通信回路を発熱から一層保護できる。さらに駆動部の発熱を熱伝導するために、駆動回路実装領域64は放熱パターンを中央の熱伝導領域62に配線している。例えば、駆動回路を構成するLED駆動トランジスタの放熱部のフィンが、ベタパターンで熱伝導領域62まで延長されている。ベタパターンは、例えば回路基板を多層構造とし、配線パターンの裏面に設けることができる。これにより、駆動部の発熱も効率よく放熱でき、一放熱ケーシング構造で発光素子と駆動部の放熱を実現できる。
(通信回路)
通信回路は、ケーブル50を介して外部機器や他の発光装置と電気的に接続され、データ通信を行って、駆動回路を制御する制御信号のやりとりを行う。すなわち、各発光素子70のON/OFFのタイミングや出力等を制御する制御信号が、外部機器からデータ通信により送られ、発光装置の駆動回路はこれを受信して、発光素子70に供給する電流量や点灯パターン等の情報を含む点灯制御信号を生成する。出力の制御方式は、PWMやPAM等、既知の方式が適宜利用できる。また、複数の発光装置を連結し、発光装置の集合体をより大きな発光装置として利用する場合は、発光装置同士も連結されてデータ通信を行う。例えば、外部機器から発光装置1、発光装置2、・・・、発光装置nのように直列に接続されて、データが順次送出される。各発光装置には予め固有の識別番号が付与され、自身の識別番号を付したデータを受信すると共に、次段に接続された発光装置にデータを転送する。このように、複数の発光装置をシリアル接続してデータ通信により制御を行う方式は、配線数を少なくし、また接続段数や配列等、構築の自由度が高く好適に利用できる。通信方式としては、DMX512等、既知の方式が適宜利用できる。
(駆動回路)
一方、駆動回路は通信回路が生成した点灯制御信号に基づいて、実際に発光素子70を駆動する。このため駆動回路には、発光素子70を駆動する駆動電力を供給するための電源回路を含んでいる。なお、駆動回路はスイッチング用のトランジスタ等、通信回路に比べて比較的発熱量の多い素子を使用することがあるため、駆動回路の熱からも通信回路を保護することが好ましい。このため、本実施の形態では、駆動回路と通信回路とを分け、各々の回路の実装領域を離間させ、かつその間に熱伝導領域62を位置させることで、駆動回路実装領域64と通信回路実装領域63との間を熱的に分断して、熱伝導を防止している。また、これらの駆動回路や通信回路は、ケーブル50によって電気的に外部機器と接続される。ケーブル50と駆動回路、通信回路とを接続するためのコネクタを、いずれかもしくは両方の実装領域に設ける。さらに、発光装置を複数の外部機器と直列に接続可能とするために、ケーブル50は少なくとも2本以上接続可能とする。このため、外部機器や他の発光装置の回路基板60と直列接続できるよう、ケーブル50と接続するためのケーブル接続コネクタ65は2つ以上設ける。なお、他の回路基板60と内部接続する際は、ケーブル接続コネクタ65に代わって、あるいはこれに加えて内部接続コネクタ66を設ける。また、ケーブル接続コネクタ65を内部接続コネクタ66と兼用することもできる。
(発光素子70)
発光素子70は、LEDやLD(半導体レーザ)等の半導体発光素子が利用できる。これらの半導体発光素子は、入力に対する出力のリニアリティが良く、効率に優れ、長寿命で安定して使用できる利点が得られる。特にLEDは安価で入手容易であり、好ましい。また半導体発光素子は、表面実装型(SMD)の他、砲弾型(ランプタイプ)等が好適に利用できる。半導体発光素子の材料として、BN、SiC、ZnSeやGaN、InGaN、InAlGaN、AlGaN、BAlGaN、BInAlGaN等種々の半導体を挙げることができる。発光層の材料として、窒化物半導体(例えば、AlやGaを含む窒化物半導体、InやGaを含む窒化物半導体としてInXAlYGa1-X-YN(0<X<1、0<Y<1、X+Y≦1)等が利用できる。さらに、発光素子70の周囲に蛍光体を含む透光性樹脂層等で構成した波長変換部材を配置し、発光素子70の光で波長変換部材を励起して波長変換し、波長変換光と発光素子70の光との混色光を出力することも可能である。例えば、青色LEDとYAG:Ce等、青色光で励起されて黄色の蛍光を得る蛍光体を組み合わせて、白色LEDとすることもできる。このように発光素子70として使用可能な素子には、単色光や可変色光を単体、もしくは組み合わせて利用できる。
図4の例では、パワー系LEDである最大出力150mWの表面実装型LEDのR、G、B三種類を使用し、これらを回路基板60の長手方向ほぼ中央に形成された発光素子実装領域61の、ほぼ中心に、計18個を一直線上に配置した。本実施の形態では十分な放熱性が確保されているため、さらに出力を向上させた350mWのタイプも使用でき、このようなパワー系LEDを安定して動作させることが可能となった。長手方向に沿って一列に、ほぼ等間隔に実装されるLEDは、R、G、Bの順序で配置している。これらRGBの混色によってフルカラー発光が可能となる。RGBの3色を同時に発光させると白色光を得ることができるが、R→G→B→R→G→Bの順に配置することで隣接する3個の発光素子70はRGB、GBR、BRGのいずれかとなり、どの部分でもRGBという光の三原色が並ぶため、これらの混色によって均一な白色光を得ることができる。もちろん、RGBの順に限られず、RBG、GRB等の順序でも同様の高価を得ることができることはいうまでもない。また配置パターンは一列に限られず、2列、3列としたり、あるいはマトリックス状や千鳥状、同心円状、渦巻き状等、所望のパターンが採用できる。
また回路基板60のLED実装面を白色に塗装することで、発光面側の反射が良くなり、照明として好適に利用できる。回路基板60は、ガラスエポキシ基板や、熱伝導性、放熱性に優れたセラミック基板等が利用できる。
(貫通孔67)
図4に示すように、発光素子70の周囲には複数の貫通孔67が開口されており、この貫通孔67を介して発光素子70の発熱を裏面側の熱伝導領域62に伝導する効果を高めることができる。この様子を、図6に基づいて説明する。図6は、回路基板60と放熱部材20との接合面の断面図を示しており、拡大断面図に熱伝導の様子を破線矢印で示している。このように、貫通孔67は回路基板60を貫通して、回路基板60の表面と裏面とを挿通しており、表面側に実装されたLED等の発光素子70の発熱により温められた空気が、裏面側に直接接することができる。このように、貫通孔67によって直接裏面側が表出させる構成は、特にガラスエポキシ基板のような熱伝導性に劣る回路基板60を介するよりも、効果的な熱伝導が期待できる。
(熱伝導シート80)
また、回路基板60の裏面と放熱部材20との間には、熱伝導シート80を介在させている。熱伝導シート80は絶縁性を備え、回路基板60と放熱部材20との導通を防止する絶縁部材として機能すると共に、回路基板60からの熱が放熱部材20に熱伝導することを阻害しないよう、熱伝導性も備えている。このような絶縁性と熱伝導性とを備えるシートとしては、シリコーン等が使用できる。本実施の形態では、熱伝導シート80として株式会社信越化学工業製TC−50THE(厚さ0.5mm)を使用した。
(放熱部材20)
放熱部材20は、ヒートシンクとして機能する。長手方向断面を上方を開口した有底コ字状としつつ、中央を凸状に突出させており、凸状の天面を回路基板60の熱伝導領域62と接する天面22とする。放熱部材20の斜視図を図7に、平面図及び断面図を図8に、それぞれ示す。図8において(a)は平面図を、(b)は(a)のA−A’線における断面図を、それぞれ示している。
これらの図に示す放熱部材20は、筐体10の一部、ここではベース部分を兼ねている。すなわち、図2に示すように上面にカバー30、長手方向の端面にサイドカバー40をそれぞれ装着することで、発光装置の筐体10を構成する。放熱部材20は、熱伝導性に優れた部材で好適に構成され、例えばアルミニウム等で構成する。アルミニウム製放熱部材の表面は、好ましくはアルマイト処理して酸化アルミニウムの被膜を形成する。これによって腐食を防止し、放熱性を維持することができる。
放熱部材20の天面22には、長手方向に沿って略等間隔に第1の螺子孔24が開口される。また回路基板60には、第1の螺子孔24と対応する位置に第2の螺子孔68が貫通される。さらにカバー30の内面には、第1の螺子孔24及び第2の螺子孔68と対応する位置に凸部32が形成される。凸部32は第1の螺子孔24を挿通できる大きさに設計されると共に、凸部32の先端には凸部螺子孔34が穿孔される。これにより、回路基板60と放熱部材20とカバー30とを、螺子止めにより一括して固定でき、各部材の固定作業を纏めることで組み立て工程の省力化を図ることができる。
また放熱部材20の側面には、図7の斜視図及び図8(b)の断面図に示すように、好ましくは複数のひだ状のフィン26を設けている。これにより表面積を大きくして、放熱部材20の天面22で回路基板60の熱伝導領域62から熱伝導された熱を、外部に表出する筐体10の表面から効率よく放熱できる。
さらに放熱部材20の下面には、図8(b)の断面図に示すように、長手方向に沿って台座スリット27が形成されている。台座スリット27は開口部分の内径を狭くしており、図3(e)に示すように螺子の頭やナットを台座スリット27の端面から挿入して、完成後の発光装置を取付板金B’等に固定できる。
(放熱構造)
また、使用する発光素子の出力や個数により、さらに放熱力を向上させる必要がある場合は、発光装置の筐体を固定するフレームに、放熱機構を備える。例えば、筐体にアルミニウム製フレームを固定する。
あるいは、発光装置自体に追加の放熱部材を設けることもできる。このような発光装置の一例を図9〜図10に示す。図9は、追加放熱部材28としてヒートシンクを固定した発光装置を斜め上方から見た斜視図、図10は図9の発光装置を斜め下方から見た斜視図を、それぞれ示す。これらの図に示す発光装置は、筐体の下面にヒートシンクを固定している。ヒートシンクは複数の放熱フィンを下面に突出させて表面積を大きくし、放熱性を向上させている。このヒートシンクは熱伝導性に優れたアルミニウムや銅製とすることができる。また図10の例ではヒートシンクはアルミニウムで放熱フィンを一体に形成すると共に、ねじ止め用の穴を形成している。なお、従来の照明ユニットでは、照明角度を変更するための回転構造を備えているため、このような追加の放熱部材を筐体に固定することは困難であった。これに対し本実施の形態では回転機構を省略して構成を簡素化すると共に、筐体に追加放熱部材28を固定し易い構造として柔軟性を高めている。
(サイドカバー40)
サイドカバー40は、筐体10の長手方向端面を閉塞する部材である。サイドカバー40を図11に示す。図11において(a)はサイドカバー40の背面図、(b)は(a)のA−A’線断面図、(c)は平面図、(d)は(a)のB−B’線断面図、図(e)は正面図を、それぞれ示している。このサイドカバー40は、耐候性樹脂であるAES等で構成され、図11(a)の正面図に示すように左右に設けられたサイドカバー螺子孔42で放熱部材20に螺子止めされる。またサイドカバー40は、内側面にカバー30の長手方向端縁から突出される鍔部36を挿入するカバー用スリット44を形成しており、サイドカバー40を螺子止めすることで回路基板60端部でカバー30と回路基板60との接合を強固なものとする。
サイドカバー40は筐体10の左右の側面に配置される同じ部材としており、いずれもケーブル50を固定している。ケーブル50は、後述するように偏心した位置に開口されたケーブル固定穴46に固定される。ケーブル固定穴46の内部には内面に沿って円盤状の突起47が設けられ、これによってケーブル50がケーブル固定穴46から抜けないように固定される。
さらに図11(b)、(c)に示すように、サイドカバー40の下端からほぼ垂直に突出させた固定板48に、完成後の発光装置を固定するための固定螺子孔49が設けられており、図3(d)に示すように発光装置の上面方向からの螺子止めにより発光装置を取付板金B等に固定できる。固定螺子孔49は好ましくは、ケーブル50を設けた側と反対側に偏心して突出させる。このようなレイアウトによって、ケーブル50に邪魔されることなく固定螺子孔49で螺子止め作業ができ、サイドカバー40のスペースを有効利用できる。
(ケーブル50)
ケーブル50は内部に複数の電気線を含んでおり、ここでは信号線と電源線を混在させている。これによって、発光装置を外部機器に接続、あるいは発光装置同士を連結する際に接続すべきケーブルの本数を少なくして、設置作業の簡素化と省スペース化に寄与する。図の例では2本の信号線と2本の電源線の計4線を一本のケーブル50に纏めている。
ケーブル50は、サイドカバー40に固定される。図12に、ケーブル50をサイドカバー40に固定した平面図を示す。この図に示すケーブル50は、サイドカバー40を樹脂で成形する際にインサートされ、樹脂の硬化と共にサイドカバー40と一体に固定される。サイドカバー40と一体に成形することで、強度を高めると共に、この部分での気密性も確保し、ケーブル50とサイドカバー40との連結部分での防水、防湿性を維持している。なお、ケーブルをサイドカバーに固定式とせず、脱着式とする構成も採用できる。この場合は、抜け落ちを防止するロック機構や、ケーブルとサイドカバーとの接続面での防水機構等を必要に応じて設ける。
ケーブル50は外部機器や他の発光装置のケーブル50と連結可能に構成されている。このため発光装置の左右に設けられ外部に引き出されたケーブル50は、先端にソケット52を備えている。左右のケーブル50先端に設けられたソケット52は、互いに契合する形状とすることが好ましい。例えば一方のサイドカバー40に固定されたケーブル50のソケット52を雄型、他方のサイドカバー40に固定されたケーブル50のソケット52は、この雄型と係合する雌型に形成する。
一方、発光装置の内部側に延びるケーブル50の先端には内部ピン54が設けられており、ケーブル接続コネクタ65と接続される。これらのコネクタは、脱着自在に構成することで、組み立てやメンテナンスを容易にできる。ただ、半田付け等で固定することも可能である。
(オフセット接続)
ケーブル50は図11に示すようにサイドカバー40の中心から偏在させ、左右でオフセット状となるように配置する。これにより、発光装置同士を隣接させて配置する際でも、発光装置同士の間の空間で左右のケーブル50が突出して干渉することなく、邪魔にならないように配置できる。このことは、ケーブル50を無理に折曲して内部の電気線を破損、断線するおそれを回避でき、信頼性の向上にも寄与する。
またオフセット接続によって、発光装置を180°回転した状態で接続しても、隣接する発光装置との対向面は同様にオフセット状態が維持できるので、発光装置同士の接続の際に上下を気にせずともよく、設置現場での作業性向上に資する。特に、回路基板60上で上下いずれに通信回路、駆動回路が位置しているかに関係なく、一のケーブルに信号線と駆動線が纏められているため、ケーブル50同士の接続によって隣接する発光装置同士が正確に電気接続でき、この点においても発光装置を複数増設する作業を容易にしている。このように複数の発光装置をユニット状に連結して、より多くの発光素子70を有する発光装置を構築でき、要求される発光素子数やサイズに応じて所望の発光装置を準備することで対応できるという設計上の柔軟性も実現できる。なおオフセット接続は、図3(a)のようにケーブル50の取り付け位置、すなわちケーブル固定穴46を設ける位置を左上と右下とする他、左下と右上とすることも可能であることはいうまでもない。
(カバー30)
図13に、カバーの詳細を示す。図13において(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は(b)のA−A’線における縦断面図、(d)は側面図、(e)は(b)のB−B’線における横断面図を、それぞれ示している。カバー30は、放熱部材20の開口部分を閉塞する。発光素子70の光を外部に放出できるよう、カバー30は透光性部材で構成する。光を効率よく取り出すためには無色透明が好ましい。一方、乳白色等の半透明とすることで、回路基板60表面に実装された発光素子70等を外部から視認し難くでき、外観の見栄えを改善することもできる。この例では、透明で耐熱性、耐候性にも優れたアクリル材で構成している。
(凸部32)
またカバー30は、回路基板60を放熱部材20側に押圧して、これらの接合面の熱伝導を確実たらしめる機能も有する。このためカバー30の内面には、凸部32が形成される。凸部32は、放熱部材20の第1の螺子孔24及び回路基板60の第2の螺子孔68と対応する位置に、第1の螺子孔24を挿通できる大きさに設けられる。図13の例では、凸部32はボス状に形成され、カバー30の長手方向に沿ってほぼ等間隔に3カ所に設けられる。凸部32の先端には凸部螺子孔34が穿孔される。このように、螺子孔をカバー30、回路基板60、放熱部材20に設けて、これらを纏めて螺子止して固定できるため、組み立て工程が省力化される。
(カバーリブ38)
さらにカバー30の周縁で少なくとも側面には、図13(d)に示すように回路基板60側に突出するようにカバーリブ38が設けられており、カバーリブ38の端縁を回路基板60表面に当接させて、回路基板60の周囲を放熱部材20に押圧している。
(凸部段差部35)
さらにまた凸部32の周囲には、凸部32を挿通した回路基板60を押圧する凸部段差部35が形成されている。図13(b)の例では、凸部段差部35は十字状の突起に形成されている。突起部分で回路基板60を放熱部材20側に押圧し、これらの間の隙間を無くして確実な熱伝導を図ることができる。
(鍔部36)
回路基板60と放熱部材20とを螺子止めすると、螺子止めされた部分では確実に接合されるものの、その反作用で螺子止めされていない部分が浮き上がりやすくなるという問題がある。特に、回路基板60の端部でその傾向が顕著となる。そこで、回路基板60端部でも確実に界面の接触を図り熱伝導を確実たらしめるため、カバー30は図13(c)に示すように、長手方向の端縁からフランジ状の鍔部36を突出させている。
一方、サイドカバー40は、図11に示すように、回路基板60の端縁を挿入するカバー用スリット44を形成している。カバー用スリット44の大きさは、カバー30をセットした状態の回路基板60が挿入可能なよう、端縁の断面形状とほぼ大きさ及び形状に形成される。図11の例では回路基板60の断面に、カバー30のカバーリブ38を載置した二重の長方形状としている。これにより、サイドカバー40で回路基板60の端縁部分を確実に保持、固定でき、この部分でも熱伝導が確実に発揮される。
なお、カバー用スリットの形状は回路基板やカバーの端縁すべてを挿入できる形状に限られず、例えば部分的に突出した突起や段差部で係止、押圧する構成等も利用できる。また回路基板とカバーとを個別に保持する構成としても良い。
(実施の形態2)
また、放熱部材を長く形成することで、より多くの発光素子を実装した大きな発光装置を構成できる。図14に実施の形態2として、上記実施の形態1で使用した回路基板60と同じタイプの基板を3枚連結し、一の発光装置200を構成した例を示す。この発光装置200は、上述した実施の形態1と同じ部材については同じ符号を付しており、詳細説明を省略する。放熱部材20Bの長手方向側面をそれぞれ被覆するサイドカバー40Bには、各々ケーブル50Bが設けられている。
図14に示す発光装置200では、放熱部材20Bを長手方向にほぼ3倍に延長したサイズで一体に形成している。放熱部材20Bを金属製とすることで、延長しても十分な強度を維持でき、さらに樹脂製のカバー30Bや回路基板60を保護できる。またカバー30Bも、実施の形態1よりもほぼ3倍に延長した形状のものを使用する。この例では、3枚の回路基板を連結しているが、2枚あるいは4枚以上とすることも可能であることは言うまでもない。さらに、回路基板を長手方向に連結する形態に限られず、縦横いずれの方向に連結することも可能であり、特に回路基板を可撓性のあるケーブルで連結することによって、このような自由なレイアウトが実現される。さらにアルミニウム製の放熱部材は、押出成形の際に押出方向のカットサイズを大きくとることで、材質や形状を同じとしつつ、長さの異なる放熱部材を容易に得ることができる。アルミニウムの押出成形は、長さを調整可能であるので、回路基板を複数枚、中間ケーブルを介して連結し、両端をサイドカバーで固定することで、装置の長さや発光素子の総数を用途に応じて変化させた発光装置を容易に提供することが可能となる。
回路基板60の接続状態を説明するために、図15に、実施の形態1に係る回路基板60を、図16に実施の形態2に係る回路基板60を、各々発光面側から見た平面図を、それぞれ示す。実施の形態2に係る回路基板60は3枚を直列に接続しているが、図16は説明のため2枚の回路基板60を接続した例を示している。なお図15の裏面側から見た回路基板60の平面図が、上述した図5に相当する。
図15の発光装置では、ケーブル50を回路基板60と接続するコネクタを、上述の通りオフセット状に、すなわち左右の発光装置について上下に配置している。このため、図15に示すように複数の発光装置を連結する場合、発光装置同士の間ではケーブル50を交差させるようにしてソケット52同士を連結できる。この構成によれば、ケーブル50同士が干渉しないため、ケーブル50を無理なく折曲して接続できる。
なお、このようにコネクタに信号線と電源線を纏めるために、通信回路の信号線及び/又は電源回路の電源線を、これらを区画する熱伝導領域62を跨いで、電源回路側及び/又は通信回路側に引き出している。このような交差を行うために、例えばリード線を使用して配線したり、多層基板の内部配線を利用する。
一方、図16に示す3枚の回路基板60は、隣接する回路基板60同士を中間ケーブル56を介して接続している。このため回路基板60は、ケーブル50を接続するケーブル接続コネクタ65に加えて、内部的に中間ケーブル56を接続するための内部接続コネクタ66を設けている。これらのコネクタの形状を共通とすることで、接続を簡素化できる。なお、中間ケーブルを使用することなく、隣接する回路基板同士の界面にコネクタを配置し、コネクタ同士を接続する構成も利用できる。
また、回路基板60同士を電気的接続する構成を簡素化するために、発光装置の内部で回路基板60同士を接続する際には、図15のようなオフセット状でなく、図16のように同じ側にコネクタを配置することが好ましい。図15の例では、ケーブル接続コネクタ65を下側に固定しているが、図16の例では、内部接続コネクタ66を上側に配置している。このように、接続すべきコネクタ同士を同じ側に配置することで、接続線を短くして基板同士を電気接続することができ、中間ケーブルを発光装置内部で引き回すことによる断線等の問題を回避できる。
このように同じ側にコネクタを配置できるよう、回路基板60には、ケーブル接続コネクタ65及び内部接続コネクタ66を同じ端子とし、熱伝導領域62の両側に、すなわち通信回路実装領域63と駆動回路実装領域64の両方に設けている。これにより、ケーブルの内部接続、外部接続いずれの場合にも、各々に適した位置にコネクタを固定して利用できる。すなわち、一の回路基板で、内部接続用、外部接続用に共用できるので、用意すべき基板の種類が増えることによる製造コストアップを回避できる。
(発光装置の製造方法)
次に、実施の形態1に係る発光装置の製造方法を図17〜図20に基づいて説明する。まず図17に示すように、回路基板60の左右に各々サイドカバー40を配置し、各々ケーブル50の内部ピン54を回路基板60のケーブル接続コネクタ65に連結する。このようにして得られた回路基板60に図7に示す放熱部材20を連結する。ここでは、図18に示すように放熱部材20の天板に熱伝導シート80を載置し、さらに熱伝導シート80と回路基板60の熱伝導領域62が接するように回路基板60を設置し、図19に示すように上面からカバー30をセットする。この際、カバー30の凸部32が、回路基板60に形成された貫通孔である第2の螺子孔68、及び放熱部材20の第1の螺子孔24に挿入される。この状態で放熱部材20の下面から、螺子を第1の螺子孔24に挿入して凸部32の凸部螺子孔34を螺子止めする。螺子孔はほぼ等間隔に3カ所設けられている。これによって、カバー30と放熱部材20との間に回路基板60が教示され固定される。次いで図20に示すようにサイドカバー40を側面から螺子止めする。この例では、サイドカバー40の左右2カ所にサイドカバー螺子孔42が形成されている。このようにして、図1(a)に示す発光装置が完成される。この発光装置は、使用される場所に応じて図3(d)、(e)等に示すように、台座スリット27や固定螺子孔49を利用して適宜螺子やナット等で固定される。
(照明装置)
以上のようにして得られた発光装置は、照明やディスプレイとして利用できる。照明は、光源の光を直接照射する直接照明の他、半直接照明や間接照明としても利用できる。間接照明は、光源から発される直接光でなく、何らかの反射体に反射させて、輝度を抑えた柔らかい反射光によって周囲を照らすので、全体的に柔らかな印象を与えることができる。また、部分的に照らすことで明るさの濃淡を生成し、全体に立体感を生み出す効果もある。このような照明装置は特に、ビルの壁面照明やオブジェのライトアップ等の空間演出に好適に利用できる。
間接照明の分野では、空間を明るく広く見せるために、壁面を照明するように配光を設計したウォールウォッシャー等のダウンライトが利用されている。ウォールウォッシャーWWは図21に示すように、壁面Kに対して光を投影する。この方法では、図21(b)のように光源に近い程明るく、光源から離れる程照度が低下して、山形の配向ムラが生じる。この性質を積極的に利用して、光の濃淡で奥行きや大きさの表現には効果的である。しかしながら、逆に壁面の全面で均一な照度を得ることができず、照明演出の表現力に制限があった。これに対して、本実施の形態では、後述するように複数の光源を用いて均一に壁面を照射できるので、表現力の豊かな照明演出が実現できる。またウォールウォッシャーやダウンライトでは、これをビルのガラス窓近傍に設置してビルの壁面に間接照明による発光パターンを表現しようとしても、これらの光源を各階毎に設置するため、一階分の高さが表現の最小単位になってしまう制限がある。これに対して本実施の形態では、後述するように発光装置毎に発光パターンを変化させることも可能であり、発光装置を一画素とした表現が可能で、一階分の高さに左右されず、均一発光可能な特長と併せてより自由度の高い表現力豊かな発光パターンで演出できる。
発光装置をビル照明用の光源として利用した照明装置を構成する例を、図22〜図30に示す。これらの図において、図22はビルのガラス面内側に発光装置を固定する様子を示す斜視図、図23は固定した発光装置の拡大斜視図、図24は発光装置とスクリーンの位置関係を示す断面図、図25はビルの内面側から見た平面図、図26はビルの外側から見た平面図、図27(a)は発光装置をH鋼に取り付ける状態を示す平面図、図27(b)は図27(a)のB−B’線における断面図、図28は発光装置を固定したガラス窓の内側にロールスクリーンを固定した状態を示す斜視図、図29(a)は格子状に離間してスクリーンを配置した状態を示す平面図、図29(b)は水平面で切断した断面図、図30は発光装置をマトリックス状に配置した照明装置で発光パターンを表現する状態を、それぞれ示している。この照明装置において、発光装置300は、図22や図25に示すように、ビルの外面を構成するガラス面Gの枠Wを構成する柱に、所定間隔で固定され、マトリックス状に配置している。各々の発光装置300同士はケーブル350で連結され、外部の制御機器によってON/OFFや光量、発光色等が制御される。各発光装置300は、図22や図23に示すように枠Wの内側に固定されるため、各発光装置300は図26に示すようにビルの外部からは枠Wの内側に隠れて見えない。また発光装置300は図24の側面図に示すように、発光面をビルの内面に向けた姿勢に固定される。
(固定方法)
図23の斜視図の例では枠Wを角柱状としているが、H鋼や円柱状等、種々の枠に対して発光装置を取り付けることができる。一例としてH鋼に取り付ける状態を図27に示す。図27(a)は平面図、図27(b)は(a)のB−B’線における断面図を、それぞれ示している。この図に示す発光装置300Bは、フレームFを介して枠WであるH鋼に固定されている。フレームFは一方向に延長された平板状で、発光装置300Bを載置できる幅に形成される。この例では発光装置300Bとほぼ等しい幅とし、さらに発光装置300Bを載置する面に平行スリットPSを2本、平行に形成している。平行スリットPSは、発光装置300Bの左右のサイドカバー40C、40Dから突出させた固定板48A、48Bに各々貫通された固定螺子孔49A、49Bの各々と一致する間隔に形成される。これにより、平行スリットPSをガイドとして発光装置300BをフレームFと平行となるよう容易に固定できる。さらに平行スリットPSは図27(b)の断面図に示すように、各々のスリットの開口部を狭くすると共に、底面を広く形成している。これにより、四角ナットN等をスリットに挿入して、固定螺子孔49A、49Bから螺子を四角ナットNに通して固定できる。四角ナットNは平行スリットPS内をスライド可能であり、発光装置300Bの固定位置の微調整が可能となる。四角ナットNは、周囲を樹脂で被覆したものを使用し、被覆後の四角ナットNの大きさが平行スリットPSの内径とほぼ等しいか、若干大きくする。これにより、平行スリットPSの内面で樹脂により弾性的に押圧されて四角ナットNが仮止めされる。また樹脂の弾性変形によって四角ナットNを平行スリットPS内でスライドさせることもできるので、四角ナットNの位置決めと固定位置の微調整が容易となる。このようにして、発光装置300Bの発光面側から、固定螺子孔49A、49Bの2カ所で螺子によりフレームFに固定できる。
一方、フレームFは連結金具により枠WであるH鋼に固定される。このように、発光装置300Bを枠Wに直接固定せず、フレームFを介在させることで、設置作業を簡便にできる。すなわち、照明装置の設置現場で各発光装置300Bを一個ずつ固定するよりも、予め工場内等で複数の発光装置300BをフレームFに固定しておき、この状態のフレームFを現場に搬入してフレームFのみを枠Wに固定することで、複数の発光装置300Bを効率よく枠Wに設置して設置現場における作業性を高めることができる。この方法は、照明装置に使用する発光装置の数が多い場合に特に有効である。
図27(b)の例では、連結金具としてL字金具Lが使用されている。ここでは、L字金具Lの一方の折曲片をH鋼の端縁に係止した状態で、L字金具Lの他方の折曲片に開口された螺子孔を介してフレームFをねじ止めする。このように、発光装置300Bを左右から狭持するようにL字金具Lを左右側面に配置して固定することで、確実に発光装置300Bが枠Wに固定され、さらに取り付け作業を効率よく行うことが可能となる。フレームFは、発光装置300Bの筐体からの発熱を効率よく熱伝導して外部に放熱できるよう、好ましくは熱伝導性に優れた材質で構成される。図27の例ではアルミニウム製のフレームFを用いている。
(スクリーンS)
さらにビルの内面には、好ましくは反射体としてスクリーンSが設けられている。スクリーンSは、反射率の高い色、あるいは材質とする。例えばビル内部にガラス面Gから一定距離を隔てて設けられた白色の壁面をスクリーンとして利用する他、カーテンや仕切り板等、反射率の高い白色系の平面状が利用できる。特に、固定式のスクリーンでは図22等に示すように窓ガラスの内側にスクリーンが固定されるため、この部分ではビルの内部への採光ができず、窓が利用できない状態となる。このため、巻き取り式のロールスクリーンやカーテン、ブラインド等、収納型のスクリーンを使用することで、窓ガラスを有効利用できる。一例として、枠Wに発光装置300Cを固定したガラス窓の内側にロールスクリーンRSを固定した状態を図28に示す。この図において、日中は図28(a)に示すようにロールスクリーンRSを上げて採光、換気などにガラス窓を利用し、夜間は図28(b)に示すようにロールスクリーンRSを下ろして、照明用のスクリーンとして利用することができる。これによって、オフィスビルのガラスを、日中の営業時には窓として利用し、夜は演出照明や宣伝などに利用できるので、効率的なガラスの利用が図られる。なお、図面においてロールスクリーンRSを固定する構造は図示を省略している。ロールスクリーンRSの固定は、例えば天井から吊り下げたり、天井や床、枠等から延長された支持躯体に固定できる。
あるいは、他の変形例として図29に示すように、格子状にスクリーンを配置する構成によっても、ガラス窓の採光機能を維持しつつ、スクリーンを利用した間接照明を実現できる。図29(a)は格子状に離間して配置されるスクリーンS’を示す平面図、図29(b)は水平面で切断した断面図を、それぞれ示している。図29(a)において、スクリーンS’はクロスハッチングで表現している。このように、スクリーンS’同士の間に形成された空間を利用して日中はビル内部に採光でき、さらに枠Wの内面に固定された発光装置300DでスクリーンS’を照明して間接照明のパターンを表現できる。
以上の照明装置によって、観察者は、離れた位置からビルを観察すると、ガラス面を通じて、スクリーンに反射された間接光を鑑賞することができる。このように発光装置を利用して、シースルー型の間接照明が構築できる。なお、ガラス面には、ガラスそのものに限られず、これに代わって他の透光性あるいは光の透過性に優れた部材、例えば強化プラスチック等も利用できることは言うまでもない。本明細書においては、これらを包含する意味でガラスと呼ぶ。
このように、各発光装置300が発する光がスクリーンSに照射され、スクリーンSで反射された光がガラス面Gを介してビルの外部から観察できる。このような構成によって、ビルのガラス面Gが柔らかい光で発光する間接照明が実現できる。特に発光装置300の発光色をカラーとすることで、所望の色に均一に発光させたり、あるいは部分的に発光色を変化させた色パターンを表現できる。色パターンとしては、図25において縦方向の発光色を同じとして、横方向の発光パターンを変化させた縦縞によって虹色を表現したり、あるいは縦方向の発光色も同時に変化させた斑模様の表現、特定の発光色によって図形や文字パターンを表現する等、グラフィカルな表現が可能で、自由度の高い照明が可能となる。このような発光パターンの一例を図30に示す。この図において、図30(a)は水平方向の発光色を同じとして横縞状の発光パターンを表現する例、図30(b)は垂直方向の発光色を同じとして縦縞状の発光パターンを表現する例、図30(c)は斜めの発光パターンを表現する例、図30(d)は図形状の発光パターンを表現する例を、それぞれ示している。特に複数の発光装置を配置した状態で、発光装置毎に、あるいは一の発光装置を構成する発光素子の組毎に、これを画素として利用し、各画素の発光色や点灯パターンを制御することで、照明のみならずディスプレイ的に利用することも可能である。ディスプレイとして利用する際は、外部機器から映像ソースに対応する点灯信号を送出することで、所定のパターンで各発光装置を発光させて静止画や動画像を表示させる。
また変形例として、スクリーンを別途設けることなく、ガラス張りのビルの内部空間の壁面をそのままスクリーンとして利用してもよい。また発光装置の配置位置も、ガラスの枠内面の他、天井や床面、あるいはスクリーンの上下左右等、反射体となるスクリーンに対して照明光を照射できる位置であれば特に限定されない。
このように照明装置は、コントローラやセンサを接続して、発光のON/OFF、光量や発光色の調整が可能なインテリジェント照明等に利用できる。特に、発光装置をユニット状に連結することで照明装置を構成でき、設置場所に応じて発光装置の配置パターン等を自由に変更できる。また固定作業も固定板や台座スリットを利用した螺子止めを容易に行え、作業性にも優れ、設計上の自由度が高い。加えて、照明色を変更した空間演出も可能で、簡便で効果的な間接照明が実現される。加えて、各発光装置は放熱性の改善によって信頼性が高まり、電球等に比較して球切れの心配のないLED等を使用することでメンテナンスフリーが実現できる。このことは、高所での作業が困難で、点検や交換作業が困難な建物の壁面照明としては理想的である。
また、照明は間接照明とする他、直接照明として利用することも可能である。直接照明とする場合は、発光面を照明対象に向けて発光装置を配置する。例えば天井や壁面等に発光装置を固定した照明として利用できる。複数の発光装置を平面状に配置すれば、面状光源としても利用できる。
従来の、ビルのガラス外壁を巨大なディスプレイとして利用する技術は、例えば特開2005−180017号公報、特開2004−191401号公報、特開2000−132123号公報、特開平9−134143号公報等が知られている。これらはいずれも、ビルの外壁に直接LEDユニットを装着し、照射面を観察面とした直視型のディスプレイを構成している。またLEDユニット同士の間に空間を設けることで、ガラス窓から採光可能なシースルー型としている。直視型のディスプレイでは、ビルの外壁にLEDが表出するため、日中はLEDが視認でき、特にビルに近付くとこれらが目視し易くなって見栄えが悪いという問題がある。また外部に表出したLEDが外気に晒されるため、雨風や埃で劣化する一方、メンテナンスをビルの壁面から行う必要があり、極めて作業が面倒であるという問題もある。加えて、これらはビルの壁面に直接モジュールを設置する方式のため、極めて大掛かりな装置となり、設置作業もクレーンを使用しなければならない等、極めて大変でコストがかかるという問題もあった。
これに対し、上述した実施の形態に係る照明装置では、ビルの内側で枠の裏側に発光装置を設ける構成のため、外部に表出せず、ビルの外部から視認できないので見栄えが悪くなることがない。また、ビルの内部に位置する構成のため、外気に晒されることもなく、発光装置が保護される結果、信頼性が高く長寿命でメンテナンスを簡素化できる。さらに設置作業も、上述の通り予めユニットを固定したフレームを用意すれば、H鋼等の枠に対してフレームを固定するのみで足り、極めて簡単に設置できる。加えて、メンテナンス作業もビル内部ではより容易となる。このように本実施の形態は、ビルの壁面を使用した照明演出や、模様や映像を表示する等ディプレイ的な表現も可能な照明装置とできる。
これらの照明装置は、発光装置を設置した設置場所と離れた位置にある制御装置から、信号線を通して制御信号を受け取り、輝度や色調を変化させることができる。制御装置には例えばコンピュータなどが利用でき、コンピュータとシリアルラインで接続された各発光装置とデータ通信を行い、制御信号を送受信する。また照明装置全体で所望の発光パターンを表現するために、発光パターンを構成する画素に分解した制御信号を、各発光装置に対して送出する。このため各発光装置は、表示開始、終了、色変化のタイミング等の制御の同期を取るようにデータ通信している。発光装置同士を接続するケーブルには信号線と電源線が一体化されているため、配線も容易で、数珠繋ぎに発光装置同士を連結することにより、電力供給と制御が行える。また、発光装置をマトリックス状に配置してディスプレイ状に構成する他、星形、円形、多角形状など、所望のパターンで発光装置を配列できる。さらに、発光装置を、文字情報を表示したり、文字をスクロール表示する掲示板のように使用することも可能である。