JP2007250974A - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常のCMOSプロセスと同じ材料・技術のみを用いて作製できる新しい構造の不揮発性メモリの実現。
【解決手段】導電性材料で形成された複数のフローティング領域1,2と、隣接する複数のフローティング領域の間に設けられたトンネル膜領域3と、トンネル膜領域3を介して複数のフローティング領域1,2間で電荷を移動させて、複数のフローティング領域1,2における電荷保持状態を変化させる制御部6,7と、複数のフローティング領域1,2における電荷保持状態の差を検出する検出部6,7と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】導電性材料で形成された複数のフローティング領域1,2と、隣接する複数のフローティング領域の間に設けられたトンネル膜領域3と、トンネル膜領域3を介して複数のフローティング領域1,2間で電荷を移動させて、複数のフローティング領域1,2における電荷保持状態を変化させる制御部6,7と、複数のフローティング領域1,2における電荷保持状態の差を検出する検出部6,7と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関し、特にトンネル膜を介して設けられた複数のフローティング領域を有する不揮発性半導体記憶装置に関する。
現在、不揮発性半導体記憶装置(メモリ)としては、フラッシュメモリが広く普及している。フラッシュメモリとしては、NAND型とNOR型が一般的であるが、NAND型フラッシュメモリにはセル間干渉が、NOR型フラッシュメモリには高い駆動電圧が、構造上避けられない問題としてある。また、今後の微細化のための更なるスケーリングダウンは、電荷保持機能とのトレードオフの関係にあり、この問題の打開は非常に難しいと予測されている。
一方、現在の新しいタイプのメモリの開発は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリを置換しうる、高速・高密度(微細化)・低消費電力・不揮発性といった特性を兼ね備えたユニバーサルメモリに注力されている。中でも強誘電体メモリ(FeRAM)、磁気抵抗効果メモリ(MRAM)、相変化メモリ(PRAM)、RRAM(Resistance RAM)が注目され、開発が進められている。
しかしながら、これらのメモリにはそれぞれ問題がある。FeRAMの問題としては、強誘電体材料のCMOSプロセスとの不整合性、キャパシタ特性のバラツキのために大容量化が困難であること、非破壊読出ができないことが挙げられる。MRAMの問題としては、磁性体材料のCMOSプロセスとの不整合性、1セル当たりの書き込み電流が大きいことが上げられる。PRAMの問題としては動作電流が大きいことが挙げられ、RRAMの問題としては書換回数が少ないこと、動作電流が大きいことが挙げられる。
また、フラッシュメモリでは、フローティング領域からの小リーク電流、読出時のオン・オフに応じた十分な電流差、書込時間を短くするためのフローティング領域への高い電荷注入電流密度などが要求され、書換動作によるトンネル膜の特性劣化などの問題がある。このような問題を解決するため、例えば、特許文献1は、ゲート絶縁膜としてトンネル障壁構造を有するフラッシュメモリを提案している。更に、非特許文献1から3は、トンネル膜に関する改良を提案している。
以上のように、現在のフラッシュメモリ及び開発中の各種のメモリにはそれぞれ問題があり、各種の提案が行われている。
本発明は、通常のCMOSプロセスと同じ材料・技術のみを用いて作製できる新しい構造の不揮発性メモリを提案するもので、現在のフラッシュメモリや開発中のユニバーサルメモリの候補が抱える問題点を克服できる新しいユニバーサルメモリ候補を提案することを目的とする。
本発明の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)は、導電性材料で形成された複数のフローティング領域をトンネル膜領域を介して隣接させ、制御部により複数のフローティング領域間で電荷を移動させて複数のフローティング領域の間で分極を生じさせて電荷保持状態(分極状態)を変化させ、検出部で電荷保持状態(分極)による静電ポテンシャルの差を検出することを特徴とする。
本発明の不揮発性半導体記憶装置は、フローティング領域、トンネル膜領域、制御部、検出部のそれぞれの個数や配置により各種の変形例が可能である。
図1は、本発明の不揮発性半導体記憶装置の代表的な構造例を示す図である。図1に示すように、この例では、ソース及びドレインを有するMOSトランジスタのチャンネル6上に、チャンネル絶縁層を介して積層構造を設け、積層構造の上にゲート絶縁層を介してゲート電極7を設ける。積層構造は、第1のフローティング領域1と、トンネル膜領域3と、第2のフローティング領域2と、を積層したもので、この例では第1及び第2のフローティング領域1、2、トンネル膜領域3、ゲート電極7は柱状に積層されている。言い換えれば、従来のフラッシュメモリにおいて、同じ形状のフローティングゲートを2重に設け、2重のフローティングゲートの間にトンネル膜を設けた構成である。この構成を縦積層構成と呼ぶことにする。
このような縦積層構成において、ゲート電極7とチャンネル6の間に読出電圧を印加すると、2つのフローティング領域1、2における電荷の分布状態に応じてチャンネル6のソースとドレイン間に流れる電流に差が生じる。図1の(A)は、第1のフローティング領域1が相対的に正に帯電し、第2のフローティング領域2が相対的に負に帯電した論理値”1”に対応する状態を示し、図1の(B)は、第1のフローティング領域1が相対的に負に帯電し、第2のフローティング領域2が相対的に正に帯電した論理値”0”に対応する状態を示す。図1の(A)と(B)の状態では、ゲート電極7とチャンネル6の間に同一の読出電圧を印加しても、2つのフローティングゲートにおける電荷の分布状態が異なるので、チャンネル6の部分における電圧が異なる。
2つのフローティングゲート1、2における電荷の分布状態を変化させるには、読出し電圧より絶対値の大きな書込み電圧を印加して、2つのフローティングゲート1、2間にトンネル膜領域3を電荷が通過する電圧を印加する。電圧の印加方向を逆にすれば、電荷の移動方向も逆になる。この時、第1のフローティング領域1とチャンネル6の間及び第2のフローティング領域2とゲート電極7の間にはほとんど電流が流れないように、チャンネル絶縁膜とゲート絶縁膜の特性を設定する。
以上のように、図1の例では、チャンネル6とゲート電極7が、複数のフローティング領域1、2における電荷保持状態を変化させる制御部、及び複数のフローティング領域における電荷保持状態の差を検出するための検出部として動作する。そして、論理値の書き込みは、フローティング領域間の電荷の移動で行われる。従って、従来のフラッシュメモリで必要であったチャンネルとフローティング領域間の電荷のやりとりが不要になるので、チャンネル(ゲート)絶縁膜などの設計自由度が増し、書込みによるチャンネル(ゲート)絶縁膜の劣化の問題を回避できる。
なお、外部から電荷を注入しない限り、2つのフローティング領域1、2における電荷の合計はゼロである。そのため、一方のフローティング領域から他方のフローティング領域に負電荷(電子)が移動すると、一方のフローティング領域には正電荷(正孔)が生じ、他方のフローティング領域に電子が保持されることになる。
初期化時に、外部から2つのフローティング領域1、2に電荷(電子)を注入して、2つのフローティング領域おける電荷の合計をゼロでないようにすることも可能である。この場合、例えば、一方のフローティング領域おける電荷の合計がゼロで、他方のフローティング領域に電荷(電子)が保持された状態を一方の論理値とし、一方のフローティング領域に電荷(電子)が保持され、他方のフローティング領域における電荷の合計がゼロの状態を他方の論理値とする。初期化時の外部からフローティング領域への電荷の注入は、例えば、ゲート電極と基板間に書き込み時より更に大きな電圧を印加して、チャンネル絶縁膜を介して基板から、又はゲート絶縁膜を介してゲート電極から行う。
また、2つのフローティング領域の電荷量の差を複数段階に分類して、多値の論理値に対応させることも可能である。これは、他の変形例でも同様である。
上記のように、本発明の不揮発性半導体記憶装置は各種の変形例が可能である。
例えば、図1の構成例において、フローティング電極1、2を更に3層以上にすることも可能である。この場合、トンネル膜領域の層数は、フローティング電極の層数から1だけ減じた値である。この場合、中間のフローティング領域の側面に絶縁層を介して補助制御電極を更に設ける。
3層以上のフローティング電極を積層した場合、いずれか1つのフローティング電極に電荷を保持し、他のフローティング電極には電荷が保持されない状態を、フローティング電極の層数に対応する数だけとり得るので、それに多値の論理値に対応させれば、多値メモリが実現できる。
上記の例では、フローティング領域(ゲート)をチャンネル上に積層したが、横方向に積層する変形例も可能である。これを横積層構成と呼ぶ。この横積層構成では、2つのフローティング領域をトンネル膜領域を介して横方向に積層し、一方のフローティング領域の下にチャンネルを、上にゲート電極を配置してトランジスタを構成し、トランジスタの出力が一方のフローティング領域内の電荷量により異なるようにする。一方のフローティング領域内の電荷量は、他方のフローティング領域との電荷移動により変化される。2つのフローティング領域の間の電荷移動を制御するために、2つのフローティング領域の対向する面(トンネル膜に対向する面)に制御電極を設ける。なお、初期化時にフローティング領域に電荷を注入するために、他方のフローティング領域に電荷注入のための電荷注入用電極を設ける。
この横積層構成では、制御電極とチャンネルによる一方のフローティング領域の保持電荷量の状態の検出はトンネル膜領域を介さないで行われ、フローティング領域の保持状態はトンネル膜領域を介した電荷移動により行われるので、すなわち、読出と書込が別の系で行われるので、トンネル膜領域、チャンネル絶縁膜及びゲート絶縁膜の劣化を低減できる。
上記の横積層構成で、他方のフローティング領域の下にチャンネルを、上にゲート電極を配置して第1のトランジスタを構成する。言い換えれば、従来のフラッシュメモリを隣接して設け、フローティング領域をトンネル膜を介して接続する。この場合も、フローティング領域のトンネル膜に対向する面に制御電極を設け、必要があれば電荷注入用電極を設ける。2つのトランジスタの出力は、一方が増加すれば他方は減少する関係にある。2つのトランジスタの出力電流の差を検出する差動増幅回路を設ければ、2つのフローティング領域の電荷保持状態、すなわち分極状態をより精密に検出できる。
トンネル膜領域は、電圧を印加しない時には高い絶縁性を有し、書込電圧を印加すると高い導通性を有することが望ましい。また、読出電圧を印加した時にも、高い絶縁性を有することが望ましい。
そこで、本発明では、少なくとも2層の積層構造からなるトンネル膜領域を用いる。トンネル膜領域の少なくとも2層は、相対的に絶縁性の高い絶縁膜と、相対的に絶縁性の低い高い絶縁膜の組合せ、相対的に高いエネルギー障壁層と、相対的に低いエネルギー障壁層の組合せ、相対的に大きなエネルギー禁制帯の層と、相対的に小さなエネルギー禁制帯の層の組合せ、などであり、積層構造のうち、少なくとも1層は比誘電率4.9以上の絶縁膜であり、その厚さは2nm以上10nm以下であることが望ましい。また、トンネル膜領域を構成する積層構造のうち、少なくとも1層が厚さ2nm以下の二酸化シリコン膜(SiO2)であることが望ましい。
複数のフローティング領域は、例えばポリシリコンで形成される。その場合、トンネル膜領域の少なくとも2層は、Ta2O5,SiOx(0<x<2),Pr2O3,ZrO2,ZrSiO4,HfO2,Y2O3,Si3N4,SiONx,Al2O3,SiO2から選択される。
特に、トンネル膜領域は、導電性のフローティング領域との導通バンドオフセットの大きな薄い外側層と、外側層に挟まれた比誘電率の大きな中間層と、を備えることが望ましく、例えば、外側層は厚さ2nm以下の二酸化シリコン膜(又はSi3N4)で、中間層は二酸化ハフニューム(HfO2)であることが望ましい。
なお、このようなトンネル膜領域は、従来のフラッシュメモリのチャンネル絶縁膜及びゲート絶縁膜として使用しても有効である。
本発明によれば、複数のフローティング領域における電荷保持状態(分極状態)に対応させてデータを記憶するという新しい半導体記憶装置(メモリ)が実現される。
本発明の縦積層構成の半導体記憶装置は、1トランジスタのセル面積で、DRAM並みの高速性とフラッシュメモリ並みの記憶保持特性の両立を実現する。高速メモリとしてDRAMと比較した場合、大きなセル・キャパシタが不要となるため将来のスケーラビリティに優れている。一方、不揮発性メモリとしてフラッシュメモリと比較した場合、書込・消去動作において、MOSFETチャンネルと電荷のやりとりが不要となるため、チャンネル(ゲート)絶縁膜劣化の問題を回避することができる。更に、MRAM、FRAM(登録商標)、PCRAMなどの競合技術と比較した場合、本発明のメモリは新材料の導入を必要とせず、従来のCMOSプロセス技術の範囲内で作製されるため、システムLSI(SoC: system on chip)への組み込みも容易である。以上のように、本発明のメモリは、高速・高密度・低消費電力・不揮発性という特徴を有する。
図2は、本発明の第1実施例の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)の1セルの構成を示す図である。図示のように、第1実施例のメモリの1セルは、P型のSOI(Silicon On Insulator)19にソース領域20とドレイン領域21の拡散領域を形成する。ソース領域20とドレイン領域21の間のSOI19の部分がMOSFETのチャンネルとして動作する。チャンネル19の上に、チャンネル絶縁膜16と、第1フローティング領域11と、トンネル膜と、第2フローティング領域12と、ゲート絶縁膜17と、制御(ゲート)電極18を積層するように形成し、側面を絶縁膜22で覆う。第1及び第2フローティング領域11、12は、導電性のn+ポリシリコンで形成された厚さ10nmの層である。チャンネル絶縁膜16及びゲート絶縁膜17は、シリコンとのバンドギャップの大きな二酸化シリコン(SiO2)で形成された厚さ6nmの層であり、第1及び第2フローティング領域11、12からの電荷の流失を防止するブロックバリアとして働く。
トンネル膜は、厚さ1.5nmの極薄の二酸化シリコン(SiO2)層14と、厚さ7.0nmの高誘電率酸化 (High-k)材料膜である二酸化ハフニューム(HfO2)層13と、厚さ1.5nmの極薄の二酸化シリコン(SiO2)層15と、を積層した構成を有する。
図の右側に示された線は、電圧を印加しない状態の各層のエネルギギャップを示す。図示のように、チャンネル絶縁膜16、ゲート絶縁膜17及びトンネル膜がエネルギ障壁として働き、第1及び第2フローティング領域11、12に保持された電荷の流失を防止する。本発明では、トンネル膜を介して第1及び第2フローティング領域11、12間で電荷(電子)を移動させ、第1及び第2フローティング領域11、12が保持する電荷の状態を変化させる。言い換えれば、第1及び第2フローティング領域11、12間で分極を生じさせる。ゲート電極18にゲート電圧Vgを、ドレイン領域21にドレイン電圧Vdを、ソース領域20をグランドにすると、第1及び第2フローティング領域11、12間での分極状態に応じてチャンネル19での電圧が異なり、それに応じてチャンネル19に電流が流れる閾値が変化する。本実施例のメモリセルでは、異なる分極状態、例えば、第1フローティング領域11に電荷が保持された状態を一方の論理状態(”0”)に、第2フローティング領域12に電荷が保持された状態を他方の論理状態(”1”)に対応させる。ここでは、第1フローティング領域11に電荷が保持された論理状態”0”がオフ(OFF)状態で、消去状態と称し、第2フローティング領域12に電荷が保持された論理状態”1”がオン(ON)状態で、プログラム(書込)状態と称する。
なお、外部から電荷を注入しない限り、2つのフローティング領域1、2における電荷の合計はゼロである。そのため、一方のフローティング領域から他方のフローティング領域に電荷(電子)が移動すると、一方のフローティング領域には逆極性の電荷(正孔)が生じ、他方のフローティング領域に電子が保持されることになる。そこで、初期化時に、外部から2つのフローティング領域1、2に電荷(電子)を注入して、2つのフローティング領域おける電荷の合計をゼロでないようにする。この場合、第1フローティング領域11おける電荷がゼロで、第2フローティング領域12に電荷(電子)が保持された状態はトランジスタがオン(ON)状態である。そして、第2フローティング領域12おける電荷がゼロで、第1フローティング領域11に電荷(電子)が保持された状態はトランジスタがオン(ON)状態である。
初期化時の外部からフローティング領域への電荷の注入は、例えば、制御電極と基板間に書き込み時より更に大きな電圧を印加して、チャンネル絶縁膜を介して基板から、又はゲート絶縁膜を介して制御電極から行う。なお、初期化時の電荷の注入は必ずしも必要ではない。
まず、トンネル膜について説明する。図2に示したように、トンネル膜は、極薄のSiO2層14と、HfO2層13と、極薄のSiO2層15と、を積層した構成を有する。図3は、トンネル膜のバンドダイアグラムを示し、上側がSiO2の単一膜、下側が本実施例のSiO2/HfO2/ SiO2の積層膜の場合であり、同じ膜厚の場合である。これらの膜に同一の電圧を印加した場合、図3の右側に示すようにバンドは傾く。この時、膜を透過する電流が生じるが、電流が透過する膜厚はSiO2単一膜の場合に比べて、SiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜の場合の方が実質的に薄くなる。つまり、同じ印加電圧を印加した時には、SiO2単一膜に比べて、SiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜は大きな透過電流が得られると考えられる。
一方で、左側に示すように、電圧を印加しない場合や低電圧印加時は物理的な膜厚は共に同じであり、ゲート絶縁膜としてのHigh-k材料の特性からも分かるように、SiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜のリーク電流抑制性能は、SiO2単一膜と同様に良好である。
バンドダイアグラムを使って考察した結果からは、上記のような特性が見込まれるが、シュレディンガー方程式の数値解析に基づく量子力学的計算方法で、SiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜の特性をシミュレーションした。シミュレーションによる膜両端の電圧と電流密度の関係を図4に示す。このシミュレーションでは、SiO2に対して、比誘電率を3.9、Siとの伝導帯エネルギー差ΔEcを3.15eV、電子の有効質量meffを0.5m0とし、HfO2に対して、比誘電率を23、Siとの伝導体エネルギー差を1.5eV、電子の有効質量meffを0.2m0として計算を行った。また、計算は、SiO2/HfO2/ SiO2の膜厚が、それぞれ1.5nm,8.0nm,1.5nmの場合、2.0nm,8.0nm,2.0nmの場合、1.5nm,10nm,1.5nmの場合、2.0nm,10nm,2.0nmの場合及び5nmの厚さのSiO2単一膜について行った。
図4から、SiO2単一膜に比べると、この積層トンネル膜は、低印加電圧では、電流はほとんど流れず、高印加電圧では大きな電流が流れることが分かる。この積層トンネル膜の特性を大きく左右する主な要因は、挟まれているHigh-k材料(HfO2)ではなく、両端の極薄SiO2の膜厚であることが分かる。更に、この積層トンネル膜は、印加電圧が1V以下では特に電荷保持性能が高いことが分かる。
以上のように、本実施例で使用するSiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜は、これまでにない高オン・オフ特性を有するので、例えば、従来のフラッシュメモリなどでこれまでトンネル膜として利用されていたSiO2膜をこのトンネル積層膜に置き換えれば、メモリなどでこれまでトンネル膜として使用されていたSiO2単一膜ではトレードオフの関係にあったメモリの高速書込・消去と不揮発性能を同時に達成することが可能であり、電荷保持特性を犠牲にすることなく、書込・消去動作を低印加電圧で行えるようになる。
いずれにしろ、トンネル積層膜に0.5V程度を印加しても電荷は流れず、第1及び第2フローティング領域11、12の分極状態は維持され、トンネル積層膜に6V程度の大きな電圧を印加すると電荷が流れ、第1及び第2フローティング領域11、12の分極状態を変化させることができる。
図5は、第1及び第2フローティング領域11、12間での分極状態と閾値の変化を説明する図である。図5の左側は、図2のメモリセルの基板19をグランドに接地した状態を示し、右側は縦方向の一次元モデルに基づいた等価回路を示す。
図5において、第1フローティング領域11に電荷が保持されている状態(OFF状態)におけるゲート電極18からトンネル膜までの合成容量をCu1、第1フローティング領域11からチャンネル19間の合成容量をCl1とし、同様に第2フローティング領域12に電荷が保持されている状態(ON状態)におけるゲート電極18と第2フローティング領域12間の合成容量をCu2、トンネル膜からチャンネル19間の合成容量をCl2とする。Cl1及びCu2は共にチャンネル絶縁膜16及びゲート絶縁膜17のSiO2容量として、Cu1及びCl2は共にチャンネル絶縁膜16及びゲート絶縁膜17のSiO2容量、トンネル膜を構成するSiO2薄膜、HfO2薄膜の容量の直列として計算している。この等価回路から、以下の数式が導かれる。
この数式において、Ψsは基板表面の電位である。この数式からΨsとゲート電圧Vgの関係式が得られる。この数式で、電荷数密度を3×1012cm-2、チャンネルのアクセプタ濃度を9×1014cm-3、SiO2の比誘電率を3.9、HfO2の比誘電率を28、n+ポリシリコンとp型チャンネル間の仕事関数差を-0.87eVを代入して、第1フローティング領域11に電荷(電子)が保持された状態をオフ(OFF)状態、第2フローティング領域12に電荷(電子)が保持された状態をオン(ON)状態として得られたVg−Ψs特性のシミュレーション結果を図6に示す。
OFF状態及びON状態において、表面電位ΨsがΨ(inv)より大きな領域が強反転状態、Ψ(inv)からΨ(inv)/2までが弱反転状態、Ψ(inv)/2から0までが空乏状態、負の領域が蓄積状態となる。図示のように、どちらのフローティング領域に電荷が保持されているか、すなわちフローティング領域間で電荷が移動することにより、基板表面の電位が0.5V程度シフトすることが分かる。これに応じて閾値電圧も同様にシフトする。従って、ON状態では強反転状態に、OFF状態では弱反転状態〜空乏状態になる大きなウィンドウが確保できる。このように、外部からの電荷注入を行わずに、フローティング領域間での分極のみで、論理状態に対応した二状態を作り出せることが分かる。
図7に、上記の構成で、ゲート電圧Vg=1.15Vとした時の第1実施例のメモリセルのIds-Vds特性を示す。ここではチャンネル部のアスペクト比が1の長チャンネルモデルにより計算を行った。図7から分かるように、このメモリセルでは、セル全体に印加する電圧が1V程度で、ソース・ドレイン間電流Idsは、ON状態と、OFF状態とで3000倍以上の比が得られるため、読出し時にトンネル膜に印加される電圧は1V未満でよい。具体的には、ゲート電圧1.15V印加時に、トンネル膜にかかる電圧は、ON状態で0.11V、OFF状態で0.57Vである。図4に示したように、トンネル積層膜は、印加電圧が1V以下では特に電荷保持性能が高く、読出し動作における電荷保持特性の劣化はない。
また、ゲート電極に電圧を印加しない時にトンネル積層膜にかかるビルトイン電圧は、第2フローティング領域12に電荷(電子)が保持されたプログラム状態で0.002V、第1フローティング領域11に電荷(電子)が保持された消去状態で0.47Vと見積もられ、これであれば電荷保持性能が保証される。
次に、書込み・消去動作について説明する。図8は、図2の第1実施例で用いたトンネル積層膜における印加電圧と電流密度の関係を示す図である。図8に示すように、トンネル積層膜を介して2つのフローティング領域11、12間で電荷を移動させて分極状態を変化させるには、トンネル積層膜に6V程度を印加する。トンネル積層膜に6Vを印加するには、ゲート電極に20V程度の電圧を印加する。トンネル積層膜に6Vを印加すると、電流密度は5×10-1A/cm2)であり、書込み・消去時間(書換時間)は、1μs弱である。これは現状のフラッシュメモリにくらべて十分に高速である。
以上説明したように、図2の第1実施例のメモリセルは、フローティング領域間の分極によりメモリとしての機能を実現できることが分かる。
第1実施例のメモリセルで不揮発性メモリを構成する場合には、フラッシュメモリと同様の構成が利用できる。図9に本発明の第1実施例の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)を用いた回路の一例を示す。図9に示すように、メモリセルがアレイ状に配列され、m番目の行のメモリセルのゲート電極18は対応する第1ワード線Wmに、ドレイン領域21は対応する第2ワード線WDmに接続される。また、n番目の列のメモリセルのソース領域20は対応するビット線Bnに接続される。
図9に示すメモリセルCmnに着目し第1実施例の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)の各種操作を説明する。読出し(Read)動作では、第1ワード線Wmを1V程度、第2ワード線WDmをGNDに、ビット線Bnを0.3V以上に設定する。メモリセルCmnが状態”1”の場合第2ワード線WDmとビット線Bn間に大きな電流が流れ、メモリセルCmnが状態”0”の場合第2ワード線WDmとビット線Bn間に電流は流れない。書込み(Write)動作(状態”0”から状態”1”にする場合)では、第1ワード線Wmを15V程度、第2ワード線WDm、ビット線Bnに負のバイアスをかける。また消去(Erase)動作(状態”1”から状態”0”にする場合)では、第1ワード線Wmをマイナス15V程度、第2ワード線WDm、ビット線Bnに正のバイアスをかける。メモリセルを囲む3つの線の組み合わせにより、ランダムアクセスが可能である。
第1実施例のメモリセルで構成された不揮発性メモリは、1トランジスタのセル面積で、高速性とフラッシュメモリ並みの記憶保持特性の両方を実現できる。高速メモリとしてDRAMと比較した場合、大きなセル・キャパシタが不要となるため、将来のスケーラビリティに優れている。
不揮発性メモリとしてフラッシュメモリと比較した場合、書込・消去動作においてMOSFETチャンネルとの電荷のやり取りが不要となるため、ゲート絶縁膜劣化の問題を回避することができる。また、フラッシュメモリは、スケーリングに伴う動作電圧低減のためトンネル膜(MOSFETのゲート絶縁膜)、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜の薄膜化が求められるが、データ保持のため限界がある。一方、本実施例のメモリは、MOSFETから独立して分極構造が電荷を保持しているため、動作電圧スケーリングはゲート絶縁膜薄膜化のみでなく、分極構造の最適化により解消でき、その結果フラッシュメモリよりもスケーリング耐性を持つ。
更に、書換可能回数、読出回数、書込み時間、セルサイズ、消費電力などの前述のユニバーサルメモリとして要求される要件のほとんどを満たしており、現在開発が進められているMRAM、FRAM(登録商標)、PRAM、RRAMなどと比較しても、これらの項目について同等かそれ以上の性能を有している。
なお、第1実施例のメモリセルでは各種の変形例が可能である。
1つは、第1実施例のメモリセルでは、第1フローティング領域11に電荷が保持された状態(OFF状態)と、第2フローティング領域12に電荷が保持された状態(ON状態)と、を2値の論理値に対応させたが、分極状態をより細かく分割して、それぞれの状態を多値の論理値に対応させることも可能である。これは、従来のフラッシュメモリで行われている多値化方法と同様に実現できる。
また、第1実施例のメモリセルでは、トンネル膜としてSiO2/HfO2/ SiO2積層トンネル膜を使用したが、トンネル膜として他の材料で構成した積層膜を使用することも可能である。図9は、トンネル膜として使用するのに適した材料の比誘電率k、シリコン(Si)との伝導帯エネルギー差ΔEc(eV),及び電子の有効質量meffを示す。なお、他にも、SiC,HfSiOx,HfAOx,HfONxなどを使用することもできる。
高誘電率酸化物材料(High-k)とは、一般的にSiO2よりも比誘電率の大きな材料のことであり、SiO2に比べて物理的な膜厚を厚くしても実効的な膜厚を薄くできる材料である。図9に示すように、High-k材料の多くがSiO2に比べて、シリコンとのバンド・オフセットが小さく、この傾向は誘電率が大きい材料ほど強い。従って、ただ単に誘電率の大きな材料を使用するだけでは、リーク電流を抑えることはできない。誘電率とバンド・オフセットとのバランスを保ちながら積層する材料を選択する。また、トンネル積層膜の電流伝導に大きく影響するのは電子の有効質量meffよりも、Siとの伝導帯エネルギー差ΔEcの変化であることがシミュレーションから分かっているので、それを考慮して積層する材料を組み合わせる。
例えば、相対的に絶縁性の高い材料と相対的に絶縁性の低い高い材料を積層するか、又は相対的に高いエネルギー障壁を有する材料と相対的に低いエネルギー障壁を有する材料を積層するか、又は相対的に大きなエネルギー禁制帯を有する材料と相対的に小さなエネルギー禁制帯を有する材料を積層する。
第1実施例でも厚さ7.0nmの二酸化ハフニューム(HfO2)層を設けたように、トンネル積層膜のうち、少なくとも1層は比誘電率4.0以上の絶縁膜であるようにし、その厚さは2nm以上10nm以下であるようにする。
また、第1実施例と同様に、トンネル積層膜のうち、少なくとも1層を厚さ2nm以下の二酸化シリコン膜にすると、製造が容易である。
更に、第1実施例のトンネル膜は、SiO2/HfO2/ SiO2の三層の積層トンネル膜であったが、図11に示すように、極薄のSiO2膜の一方を除いて、2層にすることも可能である。図10の(A)は、第2フローティング領域12と二酸化ハフニューム(HfO2)層13との間の極薄のSiO2膜15を除いて2層のトンネル積層膜としたメモリセル構成を示し、図11の(B)は、第1フローティング領域11と二酸化ハフニューム(HfO2)層13との間の極薄のSiO2膜14を除いて2層のトンネル積層膜としたメモリセル構成を示す。
本発明では、複数のフローティング領域(ゲート)の間の分極状態を変化させ、その分極状態を読み出す。そのため、本発明のメモリセルは、トンネル膜を介して配置された複数のフローティング領域と、複数のフローティング領域の分極状態を変化させるための制御(書込)部と、分極状態を検出する検出(読出)部と、を有する。本発明のメモリセルは、フローティング領域、書込部、読出部のそれぞれの個数や配置により各種の変形例が可能である。第1実施例のメモリセルは、フローティング領域が2つで、トンネル膜が1つで、チャンネルとゲート電極が書込部及び読出部として動作するといえる。以下、変形例を説明する。
図12は、本発明の第2実施例の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)の1セルの構成を示す図である。図示のように、第2実施例のメモリセルは、第1実施例のメモリセルにおいて、3つのフローティング領域31、32、33を設け、それに応じて2つのトンネル膜を設けたものである。2つのトンネル膜は、それぞれ厚さ1.5nmの極薄の二酸化シリコン(SiO2)層35、38と、厚さ7.0nmの高誘電率酸化 (High-k)材料膜である二酸化ハフニューム(HfO2)層34、37と、厚さ1.5nmの極薄の二酸化シリコン(SiO2)層136、39と、を積層した第1実施例のトンネル膜と同じ構成を有する。
第2実施例のメモリセルは、中間のフローティング領域32の側面に絶縁層22を介してフローティング領域32を囲むように設けられた補助制御電極40を更に有する。第2実施例のメモリセルは、例えば、いずれか1つのフローティング電極に電荷を保持し、他のフローティング電極には電荷が保持されない状態を、フローティング電極の層数(ここでは3)に対応する数だけとり得るので、それに多値の論理値に対応させれば、多値(3値)メモリが実現できる。以下、第2実施例のメモリセルの動作を説明する。
図13の(A)は、3つのフローティング領域31、32、33に保持された電荷の状態を、P状態−Q状態−R状態−Q状態−P状態の順に変化させる(書込み)動作のために、ゲート電極に印加するゲート電圧Vg及び補助制御電極に印加する補助電圧Vsgを示し。図13の(B)は、各状態での電圧を印加しない時のエネルギーバンドダイアグラムを示す。
製造した初期段階ではメモリセルは、図13の(B)の最上位に示すようなエネルギーギャップを有する。次に、第1実施例と同様に、一番上のフローティング領域33、すなわちゲート電極18に近いフローティング領域に電荷(電子)を注入する。この電荷注入は、例えば、ゲート電極18の大きな負電圧を印加して、ゲート電極18からゲート絶縁膜17を介してフローティング領域33に注入される。この時、3つのフローティング領域31、32、33の間で電荷の移動が生じないように、補助電圧Vsgをチャンネルと同じ電位グランドにする。なお、フローティング領域33からフローティング領域32への電荷(電子)の移動が発生するので、電荷注入後、補助電圧Vsgを負の書込み電圧にした状態で、ゲート電圧Vgに正の書込み電圧を印加してフローティング領域32からフローティング領域33へ電荷を移動させ、フローティング領域33にのみ電荷が保持され、他のフローティング領域31、32の電荷がゼロであるPの状態を実現する。この時のエネルギーバンドダイアグラムは、図示のように、フローティング領域33の静電エネルギーレベルが高くなった状態である。P状態でゲートVgを変化させた時のチャンネル19を流れるソース20とドレイン21の間の電流Idsの変化を図13の(B)の右側に示す。Vgが比較的小さい状態でトランジスタはON状態になる。電荷の注入は、工場での製造段階で行われる。
P状態からQ状態に変化させるには、図13の(A)に示すように、Vgを負の書込電圧に、Vsgを正の書込電圧にする。なお、基板はグランドに近い電圧であるとする。これにより、フローティング領域32とフローティング領域33の間に書込電圧が印加され、フローティング領域33からフローティング領域32へ電荷が移動して、フローティング領域32にのみ電荷が保持され、他のフローティング領域31、33の電荷がゼロであるQ状態になる。この時のエネルギーバンドダイアグラムは、図示のように、フローティング領域32の静電エネルギーレベルが高くなった状態である。Q状態でのVg−Ids特性は右側に示すように、Vgが中間の状態でトランジスタはON状態になる。
更に、Q状態からR状態に変化させるには、図13の(A)に示すように、Vgを負の書込電圧に、Vsgも負の書込電圧にする。基板はグランドに近い電圧である。これにより、フローティング領域31とフローティング領域32の間に書込電圧が印加され、フローティング領域32からフローティング領域31へ電荷が移動して、フローティング領域31にのみ電荷が保持され、他のフローティング領域32、33の電荷がゼロであるR状態になる。この時のエネルギーバンドダイアグラムは、図示のように、フローティング領域33の静電エネルギーレベルが高くなった状態である。R状態でのVg−Ids特性は更に右側にずれて、Vgが高い状態でトランジスタはON状態になる。
R状態からQ状態、Q状態からP状態に変化させるには、図示のように上記と逆のVg及びVsgを印加する。説明は省略する。
Vg−Ids特性は、P状態、Q状態、R状態の順でセルが構成するトランジスタの閾値がシフトすることを示しており、2種類の閾値を設定することにより、3つの状態を対応させることができ、3値のデータを記憶して読み出すことができる。
図14は、本発明の第3実施例の不揮発性半導体記憶装置(メモリ)のメモリセルの主要構成部の平面図である。また、図15は、図14においてA−A’で示す断面図で見た第3実施例のメモリセルの作製プロセスを説明する図である。A−A’断面であるので、ソース領域20とドレイン領域21は示されない。
図14に示すように、ゲート18、フローティング領域11、12、チャネル部19、ソース領域20、ドレイン領域21はBOX(基板)上のSOI(Silicon On Insulator)を用いて形成され、フローティング領域11、12間にはトンネル膜3が作製される。ゲート18、ソース領域20、ドレイン領域21の上部にはゲート電極18’、ソース電極20’、ドレイン電極21’をそれぞれ配する。
作製プロセスは以下のとおりである。図15の(A)に示すようなSOI基板に深堀エッチングでマーカーを作製し、その後酸化膜マスクを用いた選択的イオンインプランテーションによりゲート18、フローティング領域11、12、ソース領域20、ドレイン領域21部分にPドーピングする。
次に酸化膜マスクを剥離し、レジスト塗布、深堀エッチングで作製したマーカーを用いた位置合わせ後、EB(電子ビーム)リソグラフィによりゲート18、フローティング領域11、12、チャネル部19、ソース領域20、ドレイン領域21を描画した後、Siエッチングによりゲート18、フローティング領域11、12、チャネル部19、ソース領域20、ドレイン領域21を作製する(図15の(B))。
レジストを剥離した後、PECVDによりSiO2を堆積させアニールを施す。ここでゲート18、フローティング領域11、12、ソース領域20、ドレイン領域21部分にPがドライブインされる。その後CMP(もしくはエッチバック)により、ゲート18、フローティング領域11、12、チャネル部19、ソース領域20、ドレイン領域21の上面を露出させる(図15の(C))。
レジスト塗布後深堀エッチングで作製したマーカーを用いた位置合わせを行い、EBリソグラフィによりフローティング領域11、12間のSiO2をエッチングし、レジストを除去する(図15の(D))。
さらに、PECVD(もしくは熱酸化)により2nm以下のSiO2を作製した後、MOCVD等によりHfO2をフローティング領域11、12が埋まるまで十分堆積させる(図15の(E))。
その後CMP(もしくはエッチバック)により、ゲート18、フローティング領域11、12、チャネル部19、ソース領域20、ドレイン領域21の上面を露出させ、さらにその上にPECVDによりSiO2を堆積させる。レジスト塗布後深堀エッチングで作製したマーカーを用いた位置合わせを行い、EBリソグラフィによりゲート18、ソース領域20、ドレイン領域21部分の上のSiO2をエッチングする。金属堆積後、レジスト剥離する。
第1及び第2実施例では、チャンネルに垂直な方向(縦方向)に2つ又は3つのフローティング領域を積層したが、横方向に積層することも可能である。
図16は、本発明の第4実施例の半導体記憶装置(メモリ)のメモリセルを示す図であり、(A)が主要構成部の平面図であり、(B)はA−A’で示す断面図であり、(C)はB−B’で示す断面図であり、(D)はC−C’で示す断面図である。
図16の(C)に示すように、ソース55とドレイン56を有するチャンネル54上に、チャンネル絶縁膜60を介して第1フローティング領域51が設けられ、更にゲート絶縁膜67を介して第1ゲート電極61が設けられ、通常のフラッシュメモリと類似した第1トランジスタX1が構成される。更に図16の(C)に示すように、ソース58とドレイン59を有するチャンネル57上に、チャンネル絶縁膜60を介して第2フローティング領域52が設けられ、更にゲート絶縁膜67を介して第2ゲート電極62が設けられ、通常のフラッシュメモリと類似した第2トランジスタX2が構成される。ただし、第2トランジスタX2の第2フローティング領域52の積層方向に平行な面で対向する面にはゲート絶縁膜を介して2つの電荷注入用電極65と66が設けられている。
図16の(A)及び(B)に示すように、第1フローティング領域51と第2フローティング領域52の間にはトンネル膜53が設けられている。すなわち、第1フローティング領域51とトンネル膜53と第2フローティング領域52が横方向に積層されている。また、第1フローティング領域51と第2フローティング領域52の積層方向に垂直な対向する面、すなわちトンネル膜53に対向する面には、ゲート絶縁膜を介して制御電極63と64が設けられている。
第4実施例のメモリセルは、初期化時に電荷注入用電極65及び66と第2フローティング領域52の間に大きな電圧を印加して電荷を注入する。この時、他の電極やチャンネルには、他の動作が起きないような電圧が印加される。
書込動作は、制御電極63と64の間に書込電圧を印加して、トンネル膜53を介して第1フローティング領域51と第2フローティング領域52の間で電荷を移動させることにより行われる。この時も、他の電極やチャンネルには、他の動作が起きないような電圧が印加される。消去動作も同様であり、制御電極63と64の間に逆に電圧が印加される。
読出動作は、第1及び第2ゲート電極61、62に所定の読出電圧を印加して、それぞれのトランジスタのソース−ドレイン電流Idsを検出することにより行われる。
第4実施例のメモリセルでは、フローティング領域51と52の保持する電荷量の合計は一定であり、書き込みにより保持する電荷量に差に応じて分極状態になる。第1トランジスタX1と第2トランジスタX2の出力Idsは、フローティング領域51と52の保持する電荷量に応じて変化し、2つの出力の差は、分極状態と所定の関係を有する。
なお、電荷注入用電極65及び66を設けずに、第2ゲート電極62と制御電極64を利用して電荷の注入を行うことも可能である。
図17は、第4実施例のメモリセルの第1トランジスタX1と第2トランジスタX2の出力Idsの差を検出する差動増幅器70を設けた応用例を示す。上記のように、2つのトランジスタX1とX2の出力の差は、分極状態と所定の関係を有するので、図17の構成であれば、分極状態を正確に検出することができる。これにより、例えば、第4実施例のメモリセルを使用して多値メモリを実現すれば、小さな電圧差で範囲を分割してもその差を正確に検出することが可能であり、1メモリセル(トランジスタ2個)でビット数の多い多値メモリが実現できる。また、読出動作、書込動作及び初期化時の電荷注入動作は、フローティング領域以外はすべて異なる電極を利用して異なる絶縁膜を利用して別の系で行えるので、設計の自由度が増加すると共に、膜の劣化なども低減できる。
なお、第4実施例のメモリセルで、第2トランジスタのチャンネルを設けず、第2フローティング領域52は第1フローティング領域51に保持される電荷量を調整するためだけに使用する変形例も可能である。この場合も、各動作を別の系で行うことができる。
以上、本発明の実施例を説明した。実施例のメモリセルは、従来の製造技術をそのまま使用しても製造可能である。例えば、第1実施例のメモリセルは、従来のフラッシュメモリの製造工程の技術で、トンネル膜とフローティング領域を更に設ける工程を増加させればよい。
本発明の半導体記憶装置(メモリ)は、新規な原理によるものであり、不揮発性メモリ、ユニバーサルメモリとして、各種のメモリ分野に適用可能である。
1、11 第1フローティング領域(ゲート)
2、12 第2フローティング領域(ゲート)
3 トンネル膜
6、19 チャンネル
7、18 ゲート電極
2、12 第2フローティング領域(ゲート)
3 トンネル膜
6、19 チャンネル
7、18 ゲート電極
Claims (23)
- 導電性材料で形成された複数のフローティング領域と、
隣接する前記複数のフローティング領域の間に設けられたトンネル膜領域と、
前記トンネル膜領域を介して、前記複数のフローティング領域間で電荷を移動させて、前記複数のフローティング領域における電荷保持状態を変化させる制御部と、
前記複数のフローティング領域における電荷保持状態の差を検出する検出部と、を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。 - 前記複数のフローティング領域及び前記トンネル膜領域を交互に一方向に積層した積層構造を備える請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記積層構造の積層方向の下側にチャンネル絶縁層を介して設けられ、ソース及びドレインを有するMOSトランジスタのチャンネルと、
前記積層構造の積層方向の上側にゲート絶縁層を介して設けられた制御電極と、を備え、
前記チャンネル及び前記制御電極は、前記制御部及び前記検出部として動作する請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置。 - 前記積層構造は、2つのフローティング領域と、1つのトンネル膜領域を積層した構成を有する請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記積層構造は、3つ以上のフローティング領域と、前記フローティング領域の個数より1だけ少ないトンネル膜領域を積層した構成を有し、
中間の前記フローティング領域の側面に絶縁層を介して設けられた補助制御電極を更に備える請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。 - 前記ゲート電極と前記チャンネル間に所定の電圧を印加した時には、前記トンネル膜領域は、前記チャンネル絶縁層及び前記ゲート絶縁層より電荷に対して高い導通性を有する請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記複数のフローティング領域には、あらかじめ所定の電荷量が注入されている請求項1又は3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 第1及び第2の2つの前記フローティング領域を前記トンネル膜領域を介して積層した積層構造を備え、
前記第1のフローティング領域の積層方向と平行な第1の面の下にチャンネル絶縁層を介して設けられ、ソース及びドレインを有するMOSトランジスタのチャンネルと、
前記第1のフローティング領域の前記第1の面の対向面にゲート絶縁層を介して設けられた制御電極と、
前記第1及び第2のフローティング領域の積層方向に垂直な2つの面にゲート絶縁層を介して設けられた2つの分極制御電極と、を備え、
前記チャンネル及び前記制御電極は、前記検出部として動作する請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。 - 前記複数のフローティング領域には、あらかじめ所定の電荷量が注入されている請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記第2のフローティング領域の面にゲート絶縁層を介して設けられた電荷注入用電極を備える請求項9に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記第2のフローティング領域の前記第1のフローティング領域の第1の面と同じ側の第2の面にゲート絶縁層を介して設けられ、ソース及びドレインを有するMOSトランジスタの第2のチャンネルと、
前記第2の面の対向面にゲート絶縁層を介して設けられた第2の制御電極と、を備え、
前記第2のチャンネル及び前記第2の制御電極は、検出部として動作する請求項9又は10に記載の不揮発性半導体記憶装置。 - 前記第1のチャンネルと前記第2のチャンネルを流れる電流の差を検出する差動増幅回路を備える請求項12に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記トンネル膜領域は、少なくとも2層の積層構造からなる請求項1から13のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記少なくとも2層は、相対的に絶縁性の高い絶縁膜と、相対的に絶縁性の低い高い絶縁膜である請求項14に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記少なくとも2層は、相対的に高いエネルギー障壁層と、相対的に低いエネルギー障壁層である請求項14に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記少なくとも2層は、相対的に大きなエネルギー禁制帯の層と、相対的に小さなエネルギー禁制帯の層である請求項14に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記トンネル膜領域を構成する前記積層構造のうち、少なくとも1層が比誘電率4.0以上の絶縁膜である請求項15から17のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記比誘電率4.0以上の絶縁膜の厚さは2nm以上10nm以下である請求項18に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記トンネル膜領域を構成する前記積層構造のうち、少なくとも1層が厚さ2nm以下の二酸化シリコン膜である請求項15ら17のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記トンネル膜領域の前記少なくとも2層は、Ta2O5,SiOx(0<x<2),Pr2O3,ZrO2,ZrSiO4,HfO2,Y2O3,Si3N4,SiONx,Al2O3,SiO2から選択される請求項14に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- ソース及びドレインを有するMOSトランジスタのチャンネルと、
前記チャンネル上にチャンネル絶縁層を介して設けられた積層構造と、
前記積層構造の上にゲート絶縁層を介して設けられた制御電極と、を備え、
前記積層構造は、
導電性材料で形成された複数のフローティング領域と、
隣接する前記複数のフローティング領域の間に設けられたトンネル膜領域と、を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。 - 前記フローティング領域は2つであり、前記トンネル膜領域は1つである請求項21に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記フローティング領域は3つ以上であり、前記トンネル膜領域は前記フローティング領域の個数から1だけ減じた個数であり、
中間の前記フローティング領域の側面に絶縁層を介して設けられた補助制御電極を更に備える請求項21に記載の不揮発性半導体記憶装置。
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