以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を用いて説明する。
図1、図2に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す。これは、複写機及びプリンタとして機能することができる複合機である。
図1において、画像形成装置1は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色ごとにトナー像を形成する現像カートリッジ501K、501M、501C、501Y(以下「現像カートリッジ501」と総称する場合もある)、及び光書き込み装置502K、502M、502C、502Y(以下「光書き込み装置502」と総称する場合もある)を備え、カラー画像を形成するための画像形成部と、転写材(例えば、シート状の転写紙)506を搬送する搬送ベルト503A、及び搬送ベルト503Aを挟んで現像カートリッジ501と対向する転写ローラ503Bk、503Bm、503Bc、503By(以下「転写ローラ503B」と総称する場合もある)等を備え、像担持体(例えば、感光体ドラム)521上のトナー像を転写材506に転写する転写部と、転写材506に転写されたトナー像を加熱定着する定着装置504を備えた定着部と、転写材506を収容する給紙装置505を備えた給紙部と、転写材506を給紙部から転写部へと給送する給送部と、トナー像が加熱定着された後の転写材506を収容する排紙トレイを備えた排紙部507と、を有する構成である。
ここで、現像カートリッジ501は、像担持体521と、像担持体521上に形成された潜像をトナー像として顕像化する現像装置541と、像担持体521上の付着トナー量を測定する付着量検知部材542と、像担持体521上の残留トナーを除去するクリーニング装置551と、を有する。また、現像カートリッジ501は、画像形成装置1の本体から着脱可能に構成されている。つまり、図2に示すように、搬送ベルト503Aは装置本体から開放退避できるようになっており、搬送ベルト503Aを開放退避させることで、現像カートリッジ501K、501M、501C、501Yは、開放された空間から着脱可能となっており、ユーザによる交換が可能となっている。現像カートリッジ501の詳細は図3を用いて後述する。
光書き込み装置502は、画像情報に従って現像カートリッジ501における帯電後の像担持体521に潜像を書き込むためのものであり、ポリゴンを用いた光走査装置やLEDアレイ等、種々のものを使用することができる。前記画像情報は、例えば、所定のインタフェースを介して画像形成装置1と接続されたホストコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)からのプリント指示信号に基づいて、ホストコンピュータから取得する。或いは、画像形成装置1の制御部から取得する。この制御部の構成は図5を用いて後述する。
搬送ベルト503Aは、搬送ローラ511、従動ローラ512及びテンションローラ513、514間に架け渡され、搬送ローラ511の回転により矢印で示す方向に周回移動する。そして、搬送ローラ511と対向して転写材506を搬送ベルト503A上に吸着させるための吸着ローラ515を配置し、また、搬送ベルト503Aの出口側(従動ローラ512側)には、搬送ベルト503Aにトナー像を形成したときの所定パターンを検出するパターンセンサ516を配置している。この所定パターンは、書き込みタイミングや現像バイアスの変更タイミングを決定するために用いられる。
転写ローラ503Bk、503Bm、503Bc、503Byは、少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有し、導電性弾性層はポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmに調整した弾性体ローラである。
定着装置504は、加熱ローラ504a及びこれに対向して配された加圧ローラ504bを備えている。
そして、この画像形成装置1において、通常の画像形成動作では、給紙装置505から供給される転写紙紙等の転写材506は、吸着ローラ515に所定の電圧が印加されることで、転写体である搬送ベルト503Aに吸着させられる。この後、転写材506は、搬送ベルト503Aに担持された状態で搬送ベルト503Aと共に移動する。この移動中に、現像カートリッジ501から順次各色のトナー像が転写され、転写材506上にカラーのトナー像が形成される。転写材506が搬送ベルト503Aを通過して定着装置504に到達すると、転写材506上のトナー像は加熱ローラ504a及び加圧ローラ504bに挟まれつつ加熱されることで転写材506上に定着され、転写材506上に可視像が定着形成される。その後、カラー画像が形成された転写材506は装置本体上部の排紙部507に排出される。
また、画像形成装置1は、各色トナー像の色ずれやトナー濃度の調整を行う調整モードを有し、この調整モードでは、作像ユニットとしての現像カートリッジ501から搬送ベルト503A上に直接、所定パターンのトナー像が形成され、パターンセンサ516によってそのトナーパターンが検出され、その検出結果に基づいて書き込みタイミングや現像バイアスの変更等が行われ、前記画像形成部は、最適なカラー画像を得ることができる状態に調整される。搬送ベルト503A上のトナーパターンは、吸着ローラ515に印加されたバイアスによって帯電極性を整えられた後、転写ローラ503Bに印加された電圧によって現像カートリッジ501に回収される。
図3に、画像形成装置1における現像カートリッジ501の構成を示す。
図3において、現像カートリッジ501は、光書き込み装置502からの光ビーム502aによって静電潜像が形成される像担持体521と、像担持体周面に現像剤(例えば、磁性キャリアと非磁性トナーから成る2成分現像剤)を供給して前記静電潜像を顕像化する現像装置541と、像担持体周面を清掃するクリーニング装置551と、を有する構成である。
ここで、像担持体521は、負帯電の有機感光体であり、図示しない回転駆動機構によって、反時計回り(図中、矢印で示す方向)に回転されるようにして備えられている。
現像装置541は、像担持体521と対向し、像担持体周面の対向領域にトナーを搬送するローラ状のトナー搬送部材2と、トナー搬送部材2と対向し、トナー搬送部材2の対向周面にトナーを供給する現像剤担持体3と、現像剤担持体3で供給するトナー及び磁性キャリアを収容する現像剤収容部4と、を有する。
トナー搬送部材2は、像担持体521及び現像剤担持体3に対して径方向の反対側の領域で対向する配置としている。トナー搬送部材2と像担持体521は、50〜1000μm、好ましくは150〜400μmの間隙をあけて非接触で対向している。また、トナー搬送部材2は回転せず、外周面をトナーが矢印で示す方向に搬送電界(移相電界)を利用して搬送される。一方、現像剤担持体3は矢印で示す方向に回転する。
現像剤収容部4は、2室に分けられており、各室は現像装置内の両端部の図示しない現像剤通路によって連通している。この現像剤収容部4には前記2成分現像剤が収容されており、各室にある攪拌搬送スクリュー5A、5Bによって攪拌されながら現像剤収容部4内を搬送されている。
また、現像剤収容部4には、図示しない現像剤収容部から現像剤を補給するための図示しない現像剤補給口を設けている。そして、現像剤収容部4には、現像剤の透磁率を検知する図示しないトナー濃度センサが設置されており、現像剤の濃度を検知している。現像剤収容部4のトナー濃度が減少すると、前記現像剤補給口から現像剤収容部4にトナーが補給される。なお、前記トナー濃度センサの回路構成は、例えば、発振回路、共振回路、位相比較回路、積分回路、インピーダンス変換回路を有するものである。この回路構成は、例えば、特開2004−139038号公報(第10頁、第10図等)に詳述されている。
現像剤担持体3は、現像剤収容部4の攪拌搬送スクリュー5Aと対向する領域に配置されている。現像剤担持体3の内部には、固定された磁石が配置されており、現像剤担持体3の回転と磁力によって、現像剤収容部4内の現像剤は現像剤担持体3表面に汲み上げられる。
また、現像剤の汲み上げ領域より現像剤担持体3の回転方向(図中、矢印で示す方向)下流側でトナー搬送部材2との対向領域より上流側には、現像剤担持体3と対向する現像剤層規制部材7を設け、汲み上げ領域で汲み上げられた現像剤の層厚を一定量に規制している。そして、現像剤層規制部材7を通った現像剤は現像剤担持体3の回転に伴って、トナー搬送部材2と対向する領域まで搬送される。
ここで、現像剤担持体3には、第1電圧印加手段11によって供給バイアスが印加されている。また、トナー搬送部材2には、第2電圧印加手段12によって後述するように電極に電圧が印加されている。
これにより、現像剤担持体3とトナー搬送部材2が対向する領域においては、第1電圧印加手段11、第2電圧印加手段12によってトナー搬送部材2と現像剤担持体3との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、非磁性トナーは磁性キャリアから解離し、トナー搬送部材2表面に移動する。そして、トナー搬送部材2表面に達した非磁性トナーは、第2電圧印加手段12が印加する電圧によって形成される搬送電界によって、トナー搬送部材2表面上をホッピングしながら搬送される(移動する)。
次いで、像担持体521と対向するトナー搬送部材2の領域まで搬送電界によって搬送されたトナーは、トナー搬送部材2と像担持体521上の画像部との間の現像電界によって、像担持体521上に移動して像担持体521上の潜像を可視像化(現像)する。
このように、磁性キャリアと非磁性トナーから成る2成分現像剤を用いた現像装置541では、キャリアとの接触摩擦によってトナーが帯電するため、帯電が安定する。また、現像においてトナーの供給量が多いため、高速現像に適している。従って、2成分現像剤を用いることによって、帯電の安定したトナーを大量にトナー搬送部材2に供給することができる。
クリーニング装置551は、像担持体521の回転方向に対し、カウンタ方向で当接されたクリーニングブレード552と、クリーニングされたトナー粒子を廃トナーとして収納する廃トナー格納部553と、像担持体521と接触して負帯電させる接触帯電部材531と、を有する。
ここで、接触帯電部材531は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した可撓性の帯電ローラである。接触帯電部材(帯電ローラ)531の芯金上に形成される中抵抗層としては、前記発泡ウレタン層に限定されるものではなく、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることができる。
図4に、現像カートリッジ501におけるトナー搬送部材2の構成を示す。
図4において、トナー搬送部材2は、支持基板101と、支持基板101上に配置された複数の電極102と、複数の電極102を覆うように支持基板101に積層された表面保護層103と、を有する。
ここで、複数の電極102は、n本(例えば、n=3)を1セットとして、トナー移動方向に沿って所要の間隔で配置されている。表面保護層103は、無機又は有機の絶縁性材料で形成されている。また、表面保護層103は、電極102の表面を覆う保護膜として機能し、その外周は静電搬送面103aを形成している。
本実施形態における支持基板101としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いは、SUS等の導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルム等のフレキシブルに変形可能な材料からなる基板等を用いることができる。
電極102は、支持基板101上に、Al、Ni−Cr等の導電性材料を厚さ0.1〜10μm、好ましくは厚さ0.5〜2.0μmで成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。また、電極102のトナー搬送方向における幅(電極幅)は、移動させる粉体(トナー)の平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ、電極102のピッチも移動させるトナーの平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
表面保護層103としては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5等を厚さ0.5〜10μm、好ましくは厚さ0.5〜3μmで成膜して形成している。
ここで、各電極102から伸びる線は各電極102に電圧を印加するための導電線を表しており、各線の重なる部分のうち黒丸で示した部分だけが電気的に接続されており、他の部分は電気的に絶縁状態である。各電極102に対しては、画像形成装置1の本体(以下「装置本体」ともいう)側の電源104からn相の異なる駆動電圧V11〜V13、V21〜V23が印加される。なお、本実施形態では3相の駆動電圧が印加される場合(n=3)について説明するが、本発明はトナー粒子が搬送される限りにおいて、n>2を満たす任意の自然数nについて適用可能である。
本実施形態では、各電極102は現像装置541側の接点S11、S12、S13、S21、S22、S23のいずれかに接続されており、各接点S11、S12、S13、S21、S22、S23は、現像装置541が装置本体に装着された状態においては、それぞれ駆動波形V11、V12、V13、V21、V22、V23を与える装置本体側の電源104と接続される。
トナー搬送部材2の外周の領域は、トナー粒子を像担持体521近傍まで移送し、また現像領域通過後の現像に寄与しなかったトナー粒子を回収するための搬送領域と、像担持体521の潜像にトナー粒子を付着させてトナー像を形成するための現像領域と、に分けられる。
現像領域は、像担持体521に近接した領域のみに存在し、搬送領域は、トナー搬送部材2の周上、現像領域以外の全域に存在する。本実施形態では、トナーが移相電界によって移動可能な領域を「静電搬送面」という。本実施形態の場合、トナー搬送部材2の外周面(表面)全体が静電搬送面である。
搬送領域では、電源104によって各電極102に駆動波形V11、V12、V13が印加され、現像領域では、電源104によって各電極102に駆動波形V21、V22、V23が印加される。
図5に、画像形成装置1の制御部の構成を示す。
図5において、制御部80は、不図示のI/O(入出力)ポートと、画像形成に関する制御プログラム(動作プログラム)や各種データを記憶したROM(読み出し専用記憶装置)84と、ROM84に記憶された制御プログラムに従い、帯電量判断手段91、帯電量調整手段92として各種の処理を実行するCPU81と、ROM84に記憶された制御プログラムをCPU81で実行するときの一時記憶手段として用いられる不揮発性のRAM(記憶保持動作が可能で読み書き可能な記憶装置)82と、を有し、これらが信号バス(不図示)によって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
また、制御部80は、装置本体内の制御基板配置部に設けられている。制御部80は、画像形成装置1の主として画像書き込み時の動作を制御する他、装置全般の動作も制御している。また、制御部80には、画像形成装置1に対する画像形成条件等を指示する操作スイッチ、キー等を具備した操作パネル22や、パターンセンサ516、トナー濃度センサ75、付着量センサ542、表面電位測定プローブ543、画像読取手段71等からの情報(信号)が入力されるようになっている。また、制御手段70は、画像読取手段71、画像形成手段72、像担持体駆動系73、その他の被制御対象74に対して画像形成に必要な制御上の情報(制御信号)を出力する。ここで、画像形成装置1が所定のインタフェースを介してホストコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)に接続されているとき、制御部80は、前記ホストコンピュータからのプリント指示信号に基づいて画像形成に必要な制御信号(書き込みデータ)を出力する。
なお、画像読取手段71は、例えば、スキャナ(不図示)に相当する。画像形成手段72は、例えば、光書き込み装置502、現像装置541、第1電圧印加手段11、第2電圧印加手段12に相当する。像担持体駆動系73は、例えば、像担持体521の駆動機構(駆動軸、駆動ベルト等)に相当する。他の被制御対象74は、例えば、定着装置504、給紙装置505、クリーニング装置551に相当する。
ROM84には、前述のように画像形成装置1全体の動作プログラムや必要なデータ等が記憶されており、この動作プログラムはCPU81によって適宜呼び出される。また、RAM82は、CPU81の演算結果を一時的に記憶及び保持する機能、操作パネル22、パターンセンサ516、トナー濃度センサ75、付着量センサ542、表面電位測定プローブ543、画像読取手段71等からの各種信号を随時記憶する機能等を有している。
CPU81は、例えば、不図示のセンサからの主走査同期信号及び副走査方向の画像形成開始信号に従い、像担持体521に対する光書き込みを行うように光書き込み装置502を制御する。また、CPU81は、パターンセンサ516により搬送ベルト503A上に前記所定パターンが検出されたことに基づいて、書き込みタイミングや現像バイアスの変更タイミング等を決定する。また、CPU81は、帯電量判断手段91、帯電量調整手段92として機能する。
ここで、帯電量判断手段91は、付着量センサ(付着トナー量検知部材に相当する)542の検知情報(付着量信号)、表面電位測定プローブ543により検出されたトナー搬送部材2の表面電位(トナー層電位Vtに相当する)等を用い、トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を検出する処理(後述する)を行うものである。また、帯電量判断手段91は、2つ以上の露光条件で像担持体521を露光した場合、付着量センサ542からの付着量信号に基づいてトナーの付着量と共に前記トナー層電位を取得し、トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を検出する処理(後述する)を行うものである。
また、帯電量調整手段92は、トナー供給開始後、帯電量判断手段91からの帯電量信号(前記電荷量(q/m)を示す)に基づいて、搬送周波数、搬送電圧によりトナー搬送部材2上のトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)を調整する処理(後述する)を行うものである。また、帯電量調整手段92は、トナー濃度センサ75の検出結果に基づいて現像剤収容部4内のトナー濃度を調整することにより、現像剤担持体3に対するトナー供給開始前のトナー帯電量を調整する処理(後述する)を行うものである。
ここで、トナー搬送部材2におけるトナーの静電搬送の原理について説明する。トナー搬送部材2の複数の電極102に対してn相のパルス状電圧を印加することにより、複数の電極102によって移相電界(進行波電界)が発生し、トナー搬送部材2上の帯電したトナーは反発力と吸引力のいずれか又は双方を受けて移送方向に移動する。
図6に、トナー搬送部材2における複数の電極に印加される3相のパルス状駆動波形を示す。図7に、静電搬送面でトナーの受ける力を示す。図8に、静電搬送面でのトナーの移動の様子を示す。図6、図7、図8を用い、前述のトナーの静電搬送を具体的に説明する。
図6において、A相、B相、C相は、それぞれの電極102にタイミングをずらして印加される駆動電圧の波形を示している。ここでは、の駆動電圧がグランドG(0)と正の電圧(+)との間で規則的に変化するようにしている。
図7において、非磁性トナー(以下「負帯電トナー」ともいう)Tは、前述のように磁性キャリアから解離して、トナー搬送部材2表面に移動する際、負(−)に帯電する。また、(a)〜(c)は、それぞれの電極102にタイミングをずらして印加される駆動電圧を示している。
ここで、トナー搬送部材2の連続した複数の電極102にそれぞれ「G」、「G」、「+」、「G」、「G」が印加された(同図(a))とすると、負帯電トナーTは「+」の電極102上に位置する。次のタイミングで複数の電極102にはそれぞれ「+」、「G」、「G」、「+」、「G」が印加され(同図(b))、負帯電トナーTには左側の「G」の電極102との間で反発力が、右側の「+」の電極102との間で吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電トナーTは「+」の電極102側に移動する。更に、次のタイミングで複数の電極102には、同図(c)に示すように、それぞれ「G」、「+」、「G」、「G」、「+」が印加され、負帯電トナーTには同様に反発力と吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電トナーTは更に「+」の電極102側に移動する。このように負帯電トナーTは、第2電圧印加手段12が印加する電圧によって形成される搬送電界によって、トナー搬送部材2の表面を移動する。
図8において、(a)に示すように、トナー搬送部材2の電極A〜F(複数の電極102に相当する)がいずれも0V(G)で、トナー搬送部材2上に負帯電トナーTが載っている状態から、(b)に示すように電極A、Dに「+」が印加されると、負帯電トナーTは電極A及び電極Dに吸引されて電極A、D上に移る。次のタイミングで、(c)に示すように、電極A、Dがいずれも「0」になり、電極B、Eに「+」が印加されると、電極A、D上のトナーTは反発力を受けると共に、電極B、Eの吸引力を受けることになって、負帯電トナーTは電極B及び電極Eに移送される。更に、次のタイミングで、(d)に示すように、電極B、Eがいずれも「0」になり、電極C、Fに「+」が印加されると、電極B、E上の負帯電トナーTは反発力を受けると共に、電極C、Fの吸引力を受けることになって、負帯電トナーTは電極C及び電極Fに移送される。このように進行波電界によって負帯電トナーは図中、右方向に順次、移送されることになる。
このように複数の電極102に電圧の変化する多相の駆動波形(電圧)を印加することで、トナー搬送部材2上には進行波電界が発生し、負帯電トナーはこの進行波電界の進行方向に移動する。なお、正帯電トナーの場合には駆動波形の変化パターンを逆にすることで同様に同方向に移動する。
図9に、前述の第2電圧印加手段12(電源104に相当する)の構成を示す。図10に、トナー搬送部材2の搬送領域及び現像領域に印加される3相の駆動波形(電圧)を示す。図9、図10を用い、前述の進行波電界の発生を具体的に説明する。
図9において、第2電圧印加手段12は、所要のタイミングで電極102を駆動させるパルス信号(駆動波形に相当する)を発生するパルス信号発生回路105と、パルス信号発生回路105からのパルス信号を入力し、駆動波形としてのパルス状電圧V11、V12、V13を生成して出力(印加)する波形増幅器106a〜106cと、パルス信号発生回路105からのパルス信号を入力し、駆動波形としてのパルス状電圧V21、V22、V23を生成して出力(印加)する波形増幅器107a〜107cと、を有する。
ここで、パルス信号発生回路105は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトした2組パルスで、次段の波形増幅器106a〜106c、107a〜107cに含まれるスイッチング手段、例えばトランジスタを駆動して100Vのスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力する。
波形増幅器106a、106b、106cは、搬送領域の各電極102に対して、3相(A相、B相、C相)の駆動波形(駆動パルス)V11、V12、V13を印加し、波形増幅器107a、107b、107cは、現像領域の各電極102に対して、3相(A相、B相、C相)の駆動波形(駆動パルス)V21、V22、V23を印加する。
図10に、前述の3相の駆動波形(駆動パルス)V11、V12、V13、V21、V22、V23の具体例を示す。ここで、(a)はV11(A相)、V12(B相)、V13(C相)の搬送電圧パターンであり、(b)はV21(A相)、V22(B相)、V23(C相)の搬送電圧パターンである。なお、電極102に対する印加時間taと繰り返し周期tfで規定された電極102の駆動態様を「搬送電圧パターン」という。
図10(a)において、前記搬送領域電極に対する各相の正電圧「+100V」の印加時間taは、この「+100V」の繰り返し周期tfの1/3(約33%に相当する)となっている。トナー搬送部材2の搬送領域では、各電極102に対し、図10(a)に示す搬送電圧パターンに基づいて3相の駆動波形(駆動パルス)V11、V12、V13を印加する。この駆動波形は搬送領域においてトナーを高速搬送させるのに適した波形である。
図10(b)において、前記現像領域電極に対する各相の正電圧「+100V」の印加時間taは、この「+100V」の繰り返し周期tfの2/3(約67%に相当する)となっている。トナー搬送部材2の現像領域では、各電極102に対し、図10(b)に示す搬送電圧パターンに基づいて3相の駆動波形(駆動パルス)V21、V22、V23を印加する。現像領域では、トナー粒子を積極的に像担持体521に向かって打ち上げることが好ましく、図10(b)に示す搬送電圧パターンの駆動波形はトナー粒子を打ち上げるのに適している。
なお、現像電圧パターンの駆動波形を印加した場合でも、0V電極のセンターに位置したトナー以外は、横方向への力も受けるため、すべてのトナーがいっせいに高く打ち上げられるというものではなく、水平方向に移動するトナーもあり、逆に、搬送電圧パターンの駆動波形を印加した場合でも、トナーの位置によっては、大きな角度で斜めに打ち上げられて水平に移動するよりも上昇距離の方が大きいものがある。
従って、搬送領域において各電極102に印加する駆動波形パターンは前述した図10(a)に示す搬送電圧パターンに限られるものではなく、また、現像領域において各電極102に印加する駆動波形パターンも前述した図10(b)に示す現像電圧パターンに限られるものではない。
本実施形態では、駆動波形が3相の場合を示すが、これをn相に一般化すると、次のようになる。即ち、各電極に対してn相(nは3以上の整数)のパルス状電圧(駆動波形)を印加して進行波電界を発生させる場合、1相当たりの電圧印加時間が{繰り返し周期時間×(n−1)/n}未満となる電圧印加デューティとすることによって、搬送、現像の効率を上げることができる。例えば、3相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間taを繰り返し周期時間tfの2/3である約67%未満に設定し、4相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間を繰り返し周期時間の3/4である75%未満に設定することが好ましい。
他方、電圧印加デューティは、{繰り返し周期時間/n}以上に設定することが好ましい。例えば、3相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間taを繰り返し周期時間tfの1/3である約33%以上に設定することが好ましい。
即ち、注目電極に印加する電圧と進行方向の上流側隣接電極及び下流側隣接電極に印加する各電圧との間には、上流側隣接電極が反発、下流側隣接電極が吸引という時間を設定することによって、効率を向上することができる。特に、駆動周波数が高い(1kHz以上、好ましくは3kHz以上)場合は、{繰り返し周期時間/n}以上で{繰り返し周期時間×(n−1)/n}未満の範囲内に設定することにより、注目電極上のトナーに対する初期速度が得られやすくなる。
図11に、EH現像の現像特性を示す。このEH現像は、前述のようにホッピングするトナーを、像担持体521上の潜像に付着させるものであり、現像時間内に現像領域内のトナー(2成分現像剤をなす非磁性トナー)を像担持体521上の潜像が形成する電界で引き付け、像担持体521に付着させるもので、現像領域内の非磁性トナーには磁性キャリア等に保持された非磁性トナーが潜像に向かう場合に必要な、磁性キャリア等との付着力に打ち勝つための力は必要なく、電界に対して敏感に反応する現像方式である。
図11において、横軸は、潜像ポテンシャル(後述の式(2)に示す)を示し、縦軸は、像担持体521上にベタの潜像を作り現像させた場合の、像担持体上トナーの単位面積当たりの付着量(付着トナー量)を示している。この付着量は、現像時間内に現像領域を通過する現像可能トナー量による制限によって、所定の値aが上限となる。上限に達するまでの現像の停止条件は、トナーが潜像側にひきつけられる力の消滅、即ち、付着したトナーの電荷量により潜像ポテンシャルが埋められた状態(飽和現像)となることである。
図12に、EH現像方式での飽和現像時の電位の状態を示す。ここでは、像担持体521上を負極性に帯電させ、ネガポジにてマイナストナーを現像させる場合の付着トナー量と潜像ポテンシャルの関係を説明する。
図12(a)は、像担持体上の潜像の状態を示す。ここでは、像担持体521上の非画像部電位V1と、露光により減衰した像担持体521上の露光部電位(画像部電位に相当する)V2との関係を示している。現像プロセスでは、像担持体521の画像部に所定量のトナーを付着させる。
図12(b)は、トナー搬送部材2の表面電位(静電搬送面103aの電位に相当する)を示す。前述のように、トナー搬送部材2は像担持体521に対向し、像担持体521にトナーを供給して画像部を現像する。支持基板101上に配置された電極102には、所定の相数(例えば、3相)、デューティの電圧がある周波数で印加される。図12(b)においては説明のために、支持基板101の電極102に印加する電圧の最大値をVh、最小値をVlと記し、模式的に両者の間の振動電圧を示している。この最大値Vhと最小値Vlとの中心値をVaveとする。また、値Vは、トナー搬送部材2と像担持体521との電位差(潜像ポテンシャル)を示している。この電位差Vにより、トナー搬送部材2上をホッピングするトナーは、トナー搬送部材2から前記露光部の潜像へと運ばれる。運ばれたトナーの電荷量によって潜像ポテンシャルは減少するため、潜像ポテンシャルを埋めるだけの帯電量(電荷量)のトナーが現像した時点で、現像が終了する。ここで、潜像ポテンシャルをV、トナーが現像される像担持体の静電容量をC、トナー単位質量当たりの電荷量をq/m、飽和現像が終了した時の付着トナー量をM、付着トナーの総電荷量をQとすると、これらの関係は概略式(1)のようになる。
Q=CV=M*q/m ・・・(1)
ここで、像担持体521の静電容量は変動しないと考えると、潜像ポテンシャルVに対し、現像するトナーの付着量Mは、トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)により決まる。従って、付着トナー量Mを安定化するためには、前記電荷量(q/m)を安定化することが必要であり、前記電荷量(q/m)を検知することが有用である。ここでは、トナー搬送部材2側の電位を説明する際、支持基板101の電極102に印加される電圧の時間的、空間的な平均値を用いたが、トナー搬送部材2上に帯電したトナーが存在する場合、トナー層がある電位を持つことがある。例えば、トナーの極性がマイナスの場合は、潜像ポテンシャルが増加したようになる。この増加分は、図12(b)のVtに相当する。
像担持体521上における付着トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を検知するには、既知の潜像ポテンシャルVに対するトナーの付着量Mを知る必要がある。像担持体上のトナーの付着量Mは、光の反射を利用した方法等で知ることができる。潜像ポテンシャルVは、像担持体521上の静電潜像の電位と、トナー搬送部材2の表面電位とで決まり、表面電位計を用いて双方の電位を実測することにより確実に知ることも可能である。トナー搬送部材2の表面電位を測定する手段として、例えば、後述の表面電位測定プローブ543がある。また、潜像ポテンシャルVは、プロセス設定値を元に推定することも可能である。所定の帯電電位を狙った帯電条件にて帯電された像担持体521に対し、既知のレベルのエネルギーで露光した場合の露光後電位は、像担持体521の露光特性として決定し、帯電、露光の条件を知れば図13に示すような光誘導放電曲線(PIDC)により潜像電位(露光後電位に相当する)を知ることができる。具体的には、初期の帯電電位を決定することで、光誘導放電曲線が選択され、露光のエネルギーの設定値Pに相当する電位Vpを露光後電位として見積もる。
これに対し、トナー搬送部材2の表面電位は、電極102への搬送電圧と、搬送されるトナー層の電位によって決定する。搬送トナー量が十分少ない場合、トナー層の電位は無視できるレベルであるが、多量の搬送を行う場合には、トナー層の電位を考慮し推定する。この推定はトナーを搬送するトナー搬送部材2の表面電位の測定により、より確実に行えるが、支持基板101の電極102への印加電圧、搬送トナー量により推定可能である。ここで、トナー層電位をVt、搬送バイアス平均値(図12(b)の最大値Vhと最小値Vlの中心値)をVave、露光後電位(潜像電位に相当する)をV2とした場合、潜像ポテンシャルVは式(2)で示される。
V=V2−Vave−Vt ・・・(2)
次に、トナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)の検知方法について具体的に説明する。
前記電荷量(q/m)の検知にあたっては、不図示のトナー付着検知用のパターンを像担持体521上に形成して現像させ、像担持体521に対向して設けられた付着量検知部材542(例えば、光学式センサ)によってトナーの付着量を検知し、付着量検知部材542の出力(付着量信号に相当する)に基づいて前記制御部80が付着トナー量を判断する。ここで、付着量検知部材542としての光反射センサにより像担持体521としての感光体の非画像部に形成されたトナー濃度検知パターンの濃度(トナーの付着量を示す)を検知する方法については、例えば、特開2004−279829号公報(第3頁、第4頁、第1図等)に記載されている。なお、付着量検知部材542は、必ずしも像担持体521に対向して設けられる必要はなく、例えば像担持体521上のトナーを転写材506に転写した後のトナーの付着量を測定するものであってもよい。帯電、露光条件を選択すると、そのときの露光後電位(図13のVpに相当する)が決められる。既知の露光後電位に対し、現像を行い、トナーの付着量を検出する。例えば、前記制御部80は、帯電、露光条件によりPIDCに基づいて取得した露光後電位(式(2)のV2に相当する)、電極102に対する印加電圧、搬送トナー量から推定した搬送電圧(式(2)のVaveに相当する)、トナー層電位(式(2)のVtに相当する)を取得し、更に、式(2)に基づいて潜像ポテンシャルVを取得し、この潜像ポテンシャルVと前述の付着トナー量(式(1)のMに相当する)を用い、式(1)に基づいて、トナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)を検知することになる。ここで、トナー搬送部材2の表面電位(式(2)のVave、Vtに相当する)は、表面電位測定プローブ543で測定してもよい。
図14(a)に、付着量検知部材542からの信号レベルと露光後電位との関係を示す。ここで、縦軸は付着トナー量(前記信号レベルMに相当する)を示し、横軸は現像電位差(前記露光後電位V2に相当する)を示している。
図14(a)において、特性直線a、b、cはそれぞれ、トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)が異なる場合の現像電位差と付着トナー量の関係を示しており、特性直線a、b、cは前記電荷量(q/m)が低い順である。これらの特性直線は、式(2)に示すトナー搬送部材2のトナー層電位Vtが十分小さい((Vave−V2)/10<Vt)場合を示す。この場合、例えば、前記現像電位差、搬送バイアス平均値を用い、式(2)に基づいて潜像ポテンシャルを取得し、この前記潜像ポテンシャル、像担持体521の静電容量、前記付着トナー量を用い、式(1)に基づいて前記電荷量(q/m)を取得することができる。
更に、前記電荷量(q/m)の検知に用いた条件での現像電位差がVpであるとき、付着量検知部材542からの信号レベル(付着トナー量を示す)と、付着トナー量の上限基準値Ma、下限基準値Mcの双方とを比較することで、付着トナー量検知部材542の検知した付着トナー量が上限基準値Maと下限基準値Mcの範囲にあるか否かを判断し、この判断に従い、前記電荷量(q/m)を調整することができる。なお、付着トナー量の値Mbは、前記信号上限基準値Maと下限基準値Mcの範囲にある(特性直線bは、特性直線aと特性直線cの中間にある)ので、前記電荷量(q/m)の調整を要しない。
図14(b)に、前記トナー層電位Vtが存在する場合の付着量検知部材542からの信号レベルと露光後電位との関係を示す。ここで、縦軸は付着トナー量(前記信号レベルに相当する)を示し、横軸は現像電位差(前記露光後電位に相当する)を示している。
前述した図14(a)のように、現像のためのトナー搬送部材2におけるトナー搬送量が比較的少ない場合、横軸に現像電位差をとると、前記特性直線a、b、cは原点を通るものとなるが、トナー層電位Vtが存在する場合、図14(b)のように、特性直線は原点を通らない。ここで、トナー層電位Vtを一定として処理を行うこともできるが、トナー層電位の変化が想定される場合には、例えば、表面電位測定プローブ543を用いてトナー搬送部材2の表面電位を測定し、その出力によりトナー層電位Vtを判断することができる。この他に、2つ以上の露光条件で露光し、付着量検知部材542からの信号レベルに基づいて、トナーの付着量と共に前記トナー層電位Vtを検知することも可能である。具体的には、前述の搬送バイアス平均値(図12(b)に示すVhとVlの中心値Vave)と露光後電位(図12(b)に示すV2)との差がVp2となる第1の条件で潜像を形成した場合の現像後の付着トナー量をMdとすると、トナー層電位Vtによっていろいろな特性直線d、Eが選択できる。そこで、搬送バイアス平均値と露光後電位との差がVp1となる第2の条件で潜像を形成し、現像後の付着トナー量Meを得て、双方の条件を満足する特性直線dを決定する。この特性直線dに基づいて、トナー層電位Vtdを取得し、このトナー層電位Vtdと、電極102への印加電圧及び搬送トナー量から推定した搬送電圧(搬送バイアス平均値)とを用い、式(2)に基づいて潜像ポテンシャルを取得し、この前記潜像ポテンシャル、像担持体521の静電容量、前記付着トナー量を用い、式(1)に基づいて前記電荷量(q/m)を取得することができる。
図15に、付着量検知部材542からの信号(付着量信号)に基づいたトナー帯電量調整処理の流れを示す。これは、トナーの搬送終了後(飽和現像後)、付着量検知部材542の検知結果が、図14(a)の付着トナー量の調整基準値としての上限基準値Maから下限基準値Mcの範囲を越えて上下に変化した場合に、前記電荷量(q/m)を調整するものである。ここでは、上限基準値Ma、下限基準値Mcが、付着量検知部材542から付着量信号の信号レベルを示すものとする。
前記制御部80は、付着量検知部材542からの付着量信号(検知情報に相当する)を入力し(S101)、その信号レベルMpが、所望の下限基準値Mcより低い(Mp<Mc)と判断した場合(S102のNO)は、トナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)を低下させる動作を現像装置541に対して指示する(S103)。また、前記制御部80は、所望の上限基準値Maより前記付着量信号の信号レベルMpが高い(Ma<Mp)と判断した場合(S104のNO)には、トナーの単位付着量(質量)当たりの電荷量(q/m)を増加させる動作を現像装置541に対して指示する(S105)。
なお、本実施形態によれば、付着量検知部材542による検知をプリント枚数10枚から数10枚に一回の割合で行い、図15のトナー帯電量調整処理を行うことで、適正なトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)の範囲を維持できた。トナー帯電量の調整方法としては、例えば、後述の搬送電圧、搬送周波数を増減する方法を用いてもよい。また、図14(b)のようにトナー層電位Vtが存在する場合にも、トナー層電位Vtを含む潜像ポテンシャルを取得し、この潜像ポテンシャルに基づいて付着トナー量の上限基準値及び下限基準値を設定することにより、図15のトナー帯電量調整処理を適用することができる。
更に、トナー搬送中、付着量検知部材542からの信号レベルに基づいて付着トナー量を検出し、この付着トナー量を用いてトナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)を取得し、この電荷量(q/m)の可否を判断してトナー帯電量を調整する方法について説明する。
前述のようにトナー搬送部材2上をホッピングさせてトナーを搬送する方式においては、搬送電圧の印加条件により、搬送中に前記電荷量(q/m)を変化させることが可能である。トナー搬送部材2に供給されたトナーは、静電搬送面103aをホッピングしながら搬送されるに従い、前記電荷量(q/m)が変化する。これは、トナー帯電量の変化は搬送距離に比例することから、静電搬送面103aとの接触による、電荷の授受が原因であると考えられる。
1)搬送電圧周波数による調整方法
図16に、搬送電圧周波数と現像領域まで搬送後の前記電荷量(q/m)との関係を示す。ここで、横軸が搬送周波数(搬送電圧周波数に相当する)f、縦軸がトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)である。
図16において、搬送周波数が1KHzから10KHzの範囲ではトナー帯電量が変化している。即ち、低い搬送周波数fでは搬送後のトナー帯電量の低下が大きく、搬送周波数fが高くなると搬送後のトナー帯電量の低下は見られなくなる。そこで、調整にはトナー帯電量が変化する周波数範囲を使用する。例えば、図16に示す関係が当てはまるトナーについては、10KHz以下の周波数を用いる。また、周波数を変化させることで搬送速度は変化するが、現像トナー量はトナー搬送速度に依存しない範囲であるため、現像特性に影響を与えない制御が可能である。
図17に、前記搬送電圧周波数によるトナー帯電量(トナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)に相当する)の調整方法を示す。ここでは、制御部80が付着量検知部材542からの付着量信号に基づいて取得したトナー帯電量を示す値をQs、目標のトナー帯電量の値をQtとしている。なお、トナー帯電量を示す値Qsは、後述の帯電量信号の信号レベルに相当する。
例えば、前述のように2つ以上の露光条件で露光することにより、前記制御部80の帯電量判断手段91は、付着量検知部材542からの付着量信号を入力し、この付着量信号に基づいて、付着トナー量と共にトナー搬送部材2上のトナー層電位を検知し、このトナー層電位と、電極102への印加電圧及び搬送トナー量から推定した搬送電圧(搬送バイアス平均値)とを用い、式(2)に基づいて潜像ポテンシャルを取得し、この前記潜像ポテンシャル、像担持体521の静電容量、前記付着トナー量を用い、式(1)に基づいて前記電荷量(q/m)を推定し、前記電荷量(q/m)を示す帯電量信号を出力する。
前記制御部80の帯電量調整手段92は、帯電量判断手段91からの帯電量信号を入力し(S201)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較し(S202)、「Qt<Qs」である場合は前記搬送電圧周波数を低下させる動作を電源装置(第2電圧印加手段12に相当する)に対して指示する(S203)。この後、帯電量調整手段92は、再び前述のように帯電量信号を入力し(S204)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較する(S205)。ここで、「Qt<Qs」である場合は、再び前記搬送電圧周波数を低下させる動作を電源装置に対して指示する。また、ここで「Qt<Qs」でない場合には、トナー帯電量の調整を終了する。
一方、前述のS202において、「Qt<Qs」でない場合(トナー帯電量が不足している場合)、帯電量調整手段92は、前記搬送電圧周波数を増加させる動作を電源装置に対して指示する(S206)。この後、帯電量調整手段92は、再び前述のように帯電量信号を入力し(S207)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較する(S208)。ここで、「Qt<Qs」でない場合は、再び前記搬送電圧周波数を増加させる動作を電源装置に対して指示する。また、ここで「Qt<Qs」である場合には、トナー帯電量の調整を終了する。
2)搬送電圧Vppによる調整方法
図18に、搬送電圧と現像領域まで搬送後のトナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)との関係を示す。ここで、横軸が搬送電圧Vpp、縦軸がトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)である。
図18において、例えば、80Vから300Vの間で搬送電圧が大きくなると、トナー帯電量は低下している。そこで、本実施形態では搬送電圧の振幅を変化させることで、現像領域に搬送されたトナーの帯電量を調整する。
図19に、前記搬送電圧によるトナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)の調整方法を示す。ここでは、制御部80が付着量検知部材542からの付着量信号に基づいて取得したトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)を示す値をQs、目標のトナー帯電量の値をQtとしている。なお、トナー帯電量を示す値Qsは、後述の帯電量信号の信号レベルに相当する。
例えば、前述のように2つ以上の露光条件で露光することにより、前記制御部80の帯電量判断手段91は、付着量検知部材542からの付着量信号を入力し、この付着量信号に基づいて、付着トナー量と共にトナー搬送部材2上のトナー層電位を検知し、このトナー層電位と、電極102への印加電圧及び搬送トナー量から推定した搬送電圧(搬送バイアス平均値)とを用い、式(2)に基づいて潜像ポテンシャルを取得し、この前記潜像ポテンシャル、像担持体521の静電容量、前記付着トナー量を用い、式(1)に基づいて前記電荷量(q/m)を推定し、前記電荷量(q/m)を示す帯電量信号を出力する。
前記制御部80の帯電量調整手段92は、帯電量判断手段91からの帯電量信号を入力し(S301)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較し(S302)、「Qt<Qs」である場合は前記搬送電圧を増加させる動作を電源装置(第2電圧印加手段12)に対して指示する(S303)。この後、帯電量調整手段92は、再び前述のように帯電量信号を入力し(S304)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較する(S305)。ここで、「Qt<Qs」である場合は、再び前記搬送電圧を増加させる動作を電源装置に対して指示する。また、ここで「Qt<Qs」でない場合には、トナー帯電量の調整を終了する。
一方、前述のS302において、「Qt<Qs」でない場合(トナー帯電量が不足している場合)、帯電量調整手段92は、前記搬送電圧を低下させる動作を電源装置に対して指示する(S306)。この後、再び前述のように帯電量信号を入力し(S307)、この信号レベルQsと、目標のトナー帯電量を示す値Qtとを比較する(S308)。ここで、「Qt<Qs」でない場合は、再び前記搬送電圧を低下させる動作を電源装置に対して指示する。また、ここで「Qt<Qs」である場合には、トナー帯電量の調整を終了する。
なお、本実施形態に拘らず、前記表面電位測定プローブ543を用いてトナー搬送部材2の表面電位(式(2)のVave、Vtに相当する)を測定し、その出力に基づいてトナーの単位質量(付着量)当たりの電荷量(q/m)を取得してもよい。
また、搬送周波数f、搬送電圧Vppによる調整は、トナーの初期帯電電位からの低下量をコントロールするため、初期の帯電電位より高い帯電量とすることはできない。そのため、画像形成装置1のシステム(制御部80に相当する)の設定値を、ある程度トナー帯電量が低下した値、例えば図16、図18に示す特性を有するトナーについては、搬送周波数3kHz、搬送電圧100V程度とすることが望ましい。
図20に、トナー濃度と搬送前のトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)との関係を示す。ここで、横軸がトナー濃度、縦軸がトナーのq/mである。
図20において、トナー濃度は、磁性キャリアと非磁性トナーを混合して調製された2成分現像剤における非磁性トナーの濃度である。この2成分現像剤は、従来の電子写真で一般的に用いられているものであり、図18に示す関係に基づいて、磁性キャリア中に混合する非磁性トナーの量によりトナー帯電量(前記電荷量(q/m)に相当する)をコントロールできる。通常のトナー帯電量制御可能範囲においては、トナー濃度(混合比)とトナー帯電量は反比例し、トナーの濃度を決定することでトナー帯電量を制御できる。本実施形態では、トナー搬送部材2にトナーを供給する以前のトナーへの帯電の付与方法として、トナーを所定の帯電量とするよう、磁性キャリアと非磁性トナーを混合して2成分現像剤を調製する方法を適用している。本実施形態によれば、図20に示す関係に基づいて、トナー濃度を調整することで搬送前にトナー帯電量を調整できた。
以上のように構成された画像形成装置1について、その動作を説明する。
画像形成装置1は、前述の複写機として機能するときには、スキャナから読み込まれた画像情報がA/D変換、MTF補正、階調処理等の種々の画像処理を施されて書き込みデータに変換される。また、プリンタとして機能するときには、コンピュータ等から転送されるページ記述言語やビットマップ等の形式の画像情報に対して画像処理が施され、書き込みデータに変換される。前述したように書き込みデータの変換が行われた後、画像形成処理に入る。
そして、画像形成に先駆けて、像担持体521は表面の移動速度が所定の速度となるように、図3の矢印方向即ち反時計回り方向に回転を始める。また、接触帯電部材531は像担持体521に対して連れまわり回転させられる。このとき、接触帯電部材531の芯金には帯電バイアス印加電源(第2電圧印加手段12に相当する)から−100Vの直流電圧及び振幅1200V、周波数2kHzの交流電圧が印加され、これにより像担持体521の表面が約−100Vに帯電させられる。
帯電させられた像担持体521に対し、光書き込み装置502は書き込みデータに応じてレーザ光502aを照射して露光を行う。即ち、光照射によって画像部の電位を変化させることで光照射されなかった非画像部の電位との差を発生させ、この電位コントラストによる静電潜像を形成する。
光書き込み装置502によって像担持体521上に形成された静電潜像は、現像装置541によって現像され、画像部にトナー粒子が付着することによってトナー像として像担持体521上に可視化される。
像担持体521上に形成させられたトナー像が転写ローラ503Bと像担持体521との対向部である転写部に到達するのとタイミングを合わせて給紙装置505から転写材506が搬送され、像担持体521上のトナー像は、転写ローラ503Bに印加された電圧により転写材506へと転写される。トナー像が転写された転写材506は、定着装置504によって定着処理され、転写材506上にカラー画像が出力される。
一方、転写されずに像担持体521上に残留したトナー(転写残トナー)はクリーニング装置551によって清掃され、清掃後の像担持体521の表面は次回の画像形成のために使用される。
ここで、本実施形態の画像形成装置1において、前述したトナー帯電量の検知を行い、その結果に基づいてトナー補給量(トナー濃度に相当する)、搬送周波数f、搬送電圧Vppを調節しながら、単色の画像を出力して行ったところ、安定した画像濃度のプリントが得られた。具体的には、マゼンタのユニットのみ作像動作をさせ、他の色のユニットはマゼンタの画像に影響のない状態とした。像担持体521は、−200Vに帯電したのち、像担持体521をレーザで露光することで選択的に帯電電位を減衰させ、潜像を形成した。最も減衰した状態で像担持体521の電位は−40Vであった。像担持体521は、30mm/sの速度で回転させた。搬送電極には、−100V〜−200Vの交番電圧を印加し、周波数を4kHzとした。こうして連続プリントし、プリント画像濃度を測定した。プリントした画像は、3ドット間隔で1ドットを埋める1バイ3のドットの画像、ベタ画像でそれぞれ評価した。なお、トナー補給量、搬送周波数f、搬送電圧Vppトナーの調節を行わずに連続プリントした場合、画像の濃度は、トナー帯電量の上昇と共に低下してしまった。
このような本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1によれば、像担持体521に形成された静電潜像に対して非磁性トナーを供給し、EH現像方式で前記潜像を現像する現像装置541(現像手段に相当する)を備え、現像装置541には、像担持体521と対向して配置されると共に、所定の間隔で配置された複数の電極102を有し、第2電圧印加手段12により複数の電極102に多相の電圧が印加されることで形成される搬送電界によって、非磁性トナーを搬送するトナー搬送部材2を備え、トナー搬送部材2により搬送された非磁性トナーを、前記潜像ポテンシャルに応じて前記潜像に付着させ(飽和現像)、像担持体521の表面にトナー像を顕像化させて画像を形成するようにした構成において、制御部80は、像担持体521の表面に付着したトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を検知する帯電量判断手段91(電荷量検知手段に相当する)、前記電荷量に基づいて作像条件を調整する帯電量調整手段92(調整手段に相当する)、として機能する構成を有している。なお、帯電手段は、例えば、接触帯電部材531に相当し、露光手段は、例えば、光書き込み装置502に相当している。この構成により、トナーの単位質量(付着量)あたりの電荷量(q/m)の変化に対し、安定な画像形成が可能となる。この構成は、請求項1に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、前記潜像に付着したトナーの付着量を検知する付着量検知部材542を備え、制御部80は、付着量検知部材542からの付着量信号に基づいて前記潜像ポテンシャルを検知する潜像ポテンシャル検知手段として機能する構成を有している。なお、付着量検知手段は、付着量検知部材542及び制御部80に相当する。この構成により、付着したトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)が容易に検知できる。この構成は、請求項2に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御部80は、潜像形成時の帯電、露光値、トナー搬送部材2の表面電位に基づいて前記潜像ポテンシャルを検知する潜像ポテンシャル検知手段として機能する構成を有している。この構成により、像担持体521の表面電位を直接、測定しなくても、前記潜像ポテンシャルは、潜像形成時の帯電、露光値、及びトナー搬送部材2の表面電位から推定できるので、前記潜像ポテンシャルの検知が容易になる。この構成は、請求項3に係る本発明の実施の一形態に相当する。なお、前記帯電、露光値によりPIDCに基づいて、像担持体521の露光後電位(式(2)のV2)を推定することができる。トナー搬送部材2の表面電位は、トナー搬送部材2の搬送電圧(式(2)のVave)及びトナー層電位(式(2)のVt)に相当する。前記搬送電圧は、電極102に対する印加電圧、搬送トナー量から推定できる。
また、本実施形態によれば、トナー搬送部材2の表面電位を測定する表面電位測定手段としての表面電位測定プローブ543を備えた構成を有している。この構成により、この構成により、前記潜像ポテンシャルの検知がより確実になる(精度が高まる)。この構成は、請求項5に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御部80は、作像条件としてトナー搬送部材2により搬送されるトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を調整する帯電量調整手段92として機能するので、像担持体521に形成された前記潜像に対する付着トナー量を高精度かつ容易に調整することができる。この構成は、請求項6に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御部80は、トナー搬送部材2の支持基板101に配置された複数の電極102に印加する搬送電圧の周波数を変化させることで、作像条件としてのトナー搬送部材2により搬送されるトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を調整する帯電量調整手段92として機能する構成を有している。この構成により、前記電荷量(q/m)の調整によるトナー供給、現像プロセスへの影響を低減できる。この構成は、請求項7に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御部80は、トナー搬送部材2の支持基板101に配置された複数の電極102に印加する搬送電圧の電圧値を変化させることで、作像条件としてのトナー搬送部材2により搬送されるトナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)を調整する帯電量調整手段92として機能する構成を有している。この構成により、トナー搬送部材2によるトナー搬送速度を変化させずに、前記電荷量(q/m)を調整することができる。この構成は、請求項8に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御部80は、トナー搬送開始以前に、前記電荷量(q/m)を調整する帯電量調整手段92として機能する構成を有している。この構成により、所望の前記電荷量(q/m)となるように確実に調整することができる。この構成は、請求項9に係る本発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、前記2成分現像剤は、非磁性トナーとこの非磁性トナーを帯電する磁性キャリアとが混合されたものであり、制御部80は、現像剤担持体3に対する現像剤の供給開始以前に、前記2成分現像剤中の非磁性トナーの濃度を調整することで、前記電荷量(q/m)を調整する帯電量調整手段92として機能する構成を有している。この構成により、前記電荷量(q/m)を容易に調整することができる。この構成は、請求項10に係る本発明の実施の一形態に相当する。
なお、前述した実施形態では、トナー帯電量の調節方法として、現像剤の供給開始前のトナー濃度の調節、トナー供給終了後の付着トナー量に基づいた調節、トナー供給開始後(トナー供給中)のトナー帯電量に基づいた搬送周波数f、搬送電圧Vppによる調節を全て用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、複数種類のトナー帯電量調節方法のいずれかを用いても同様の効果が得られるものである。
また、前述した実施形態では、潜像形成時の帯電、露光値、トナー搬送部材2の表面電位に基づいて前記潜像ポテンシャルを推定した場合について説明したが、本発明はこのほかに、像担持体521の表面電位を測定する表面電位測定手段としての電位センサを設けても同様の効果が得られるものである。この構成により、前記潜像ポテンシャルの検知がより確実になる(精度が高まる)。この構成は、請求項4に係る本発明の実施の一形態に相当する。
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置を図21、図22に示す。これは、第1の実施形態とは、各色ごとのドラム状の像担持体521に替えて、1本のベルト状の像担持体561を設けた点が相違している。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
図21において、画像形成装置1′は、負帯電の有機感光体をベルト形状に構成したベルト状の像担持体561と、像担持体561を帯電させる帯電装置565と、像担持体561上に形成されたフルカラー画像を転写材506上に転写する転写ローラ568と、を有する構成である。
ベルト状の像担持体561は、駆動ローラ562、従動ローラ563及び転写対向ローラ564間に架け渡され、不図示の回転駆動機構によって図中、矢印方向に周回移動される。また、像担持体561には、像担持体561を帯電させる帯電装置565K、565M、565C、565Y(以下「帯電装置565」と総称する場合もある)と、像担持体561上の静電潜像を現像する現像装置としての現像カートリッジ566K、566M、566C、566Y(以下「現像カートリッジ566」と総称する場合もある)とが、それぞれ各色ごとに対向しており、ベルト状の像担持体561の移動に従って順次トナー像を像担持体561上に重ねて形成するように構成されている(1パスカラー)。
また、現像カートリッジ566のトナー搬送部材2に像担持体561を挟んで対向する位置に、対向ローラ567K、567M、567C、567Y(以下「対向ローラ567」と総称する場合もある)を配置している。更に、転写対向ローラ564に像担持体561を挟んで対向する位置に、転写ローラ568を配置している。
帯電装置565は、像担持体561の表面を一様帯電させるためのものであり、本実施形態ではコロナ帯電方式を採用している。コロナ帯電のように非接触の帯電手段を用いれば、上流側の現像カートリッジ566によって形成されたトナー像を乱すことなく、像担持体561を帯電させることができる。
なお、現像カートリッジ566は、本実施形態に係る現像装置であり、多少の形状の変更はあるが第1の実施形態で説明した現像装置541と同じ構成及び機能を有している。例えば、不図示のパターンセンサ(図1の516に相当する)、トナー濃度センサ(図5の75に相当する)、付着量センサ(図3の542に相当する)、表面電位測定プローブ(図3の543に相当する)等を有している。更に、像担持体561の表面電位を測定する表面電位測定手段としての電位センサを設けてもよい。ここでも、第1の実施形態を適用し、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのトナー像を現像するための現像カートリッジ566K、566M、566C、566Yは、図22に示すように、像担持体561が画像形成装置1′の本体から開放退避することで、開放された空間から着脱可能となっており、ユーザによる交換が可能となっている。
以上のように構成された画像形成装置1′について、その動作を説明する。
この画像形成装置1′においては、画像形成時に、帯電装置565によって像担持体561表面が一様に帯電させられる。すでに像担持体561上にトナー像が形成されている場合でも、トナー像を含め像担持体561の表面が一様帯電させられる。次いで、光書き込み装置502から画像情報に応じた光ビームが照射される。光ビームは帯電装置565と現像カートリッジ566の間を通過するため、すでに一様帯電させられた像担持体561に対して光ビームが照射されることとなり、負帯電性の感光体である像担持体561の表面では画像部に対応する領域が除電されて潜像が形成される。
次いで、現像カートリッジ566は、第1の実施形態と同様に像担持体561上に形成された潜像の画像部にトナー粒子を付着させ、潜像をトナー像として可視化する。以上の帯電、光ビーム照射、現像の工程が、前述のように各現像カートリッジとの対向部において繰り返され、像担持体561上に4色のトナー像が重ねられたフルカラー画像が形成される。ここでも、第1の実施形態を適用し、画像形成装置1′の制御部(図5の80に相当する)は、現像剤担持体3に対する現像剤の供給開始前に、前述のようにトナー濃度を調整してトナー帯電量(トナーの単位質量当たりの電荷量(q/m)に相当する)を調整している。同じく、トナー搬送部材2に対するトナー供給開始後(トナー搬送中)に、前述の搬送周波数f、搬送電圧Vppによる調整方法に基づいてトナー帯電量を調整している。
一方、給紙装置505から送られた転写材506が、像担持体561と転写ローラ568との接触部へと搬送され、当該接触部において像担持体561上に形成されたフルカラー画像が転写ローラ568に印加された電圧によって転写材506上に転写される。その後、転写材506は定着装置504に到達すると、転写材506上のトナー像は加熱ローラ504a及び加圧ローラ504bに挟まれつつ加熱されることで転写材506上に定着させられ、転写材506上にフルカラーの可視像が形成される。
このような本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置1′において、帯電装置565は、帯電手段に相当する。現像カートリッジ566は、現像手段に相当する。不図示の付着トナー量検知部材(図3の542に相当する)は、電荷量検知手段に相当する。不図示の表面電位測定プローブ(図3の543に相当する)は、トナー搬送部材2の表面電位を測定する表面電位測定手段に相当する。電位センサ(不図示)は、像担持体561の表面電位を測定する表面電位測定手段に相当する。
ここで、前述した第1、第2の実施形態に限らず、本発明は、中間転写ベルト、転写ドラム、中間転写ドラム等を用いたカラー画像形成装置、モノクロ画像形成装置等にも適用可能であることはいうまでもない。