JP2007248335A - 還元性ガス検知素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】基準ガスを必要としない還元性ガス検知素子を提供する。
【解決手段】還元性ガスに活性な検知極3と、基準極4と、イオン伝導性を有する固体電解質2とを備え、検知極3と基準極4とが、固体電解質2に接合してある還元性ガス検知素子であって、基準極4の表面をガス非透過性物質6で被覆することにより、基準極4に空気を封入してある。
【選択図】図1

Description

本発明は、還元性ガスに活性な検知極と、基準極と、イオン伝導性を有する固体電解質とを備え、前記検知極と前記基準極とが、前記固体電解質に接合してある還元性ガス検知素子に関する。
従来、ガス検知素子としては、接触燃焼式ガス検知素子、半導体式ガス検知素子、気体熱伝導式ガス検知素子、固体電解質型ガス検知素子等が知られている。これらのガス検知素子のうち、特に還元性ガスの濃度を測定する還元性ガス検知素子としては、固体電解質型ガス検知素子の一種であって、還元性ガスに活性な検知極と、基準極と、イオン伝導性を有する固体電解質とを備え、検知極と基準極とを固体電解質に接合してある濃淡電池型の還元性ガス検知素子がある。
濃淡電池型の還元性ガス検知素子は、検知極に未知濃度の還元性ガスを含む測定対象ガスを接触させ、基準極に既知濃度の還元性ガスを含む基準ガスを接触させると、検知極と基準極との間の平衡電位が検知極に接触した還元性ガスの濃度に応じて変化する。このため、この変化によって発生する起電力を測定すれば、下記(I)式に示すネルンストの式に従い、還元性ガスの濃度を測定対象ガス中の還元性ガスの分圧として算出することができる。
尚、本発明における従来技術となる濃淡電池型のガス検知素子は、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。
しかし、前記従来の濃淡電池型の還元性ガス検知素子は、基準極を測定対象ガスから隔離して、基準ガスに接触させる必要があるため、極めて煩雑であり、実用性に乏しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基準ガスを必要としない還元性ガス検知素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る還元性ガス検知素子の第1特徴構成は、還元性ガスに活性な検知極と、基準極と、イオン伝導性を有する固体電解質とを備え、前記検知極と前記基準極とが、前記固体電解質に接合してある還元性ガス検知素子であって、前記基準極の表面をガス非透過性物質で被覆することにより、前記基準極に空気を封入してある点にある。
つまり、この構成によれば、基準極に空気を封入し、還元性ガスを遮断することにより、基準極では封入した空気中の酸素が還元性ガスの検知に寄与するため、基準ガスを使用しなくても還元性ガスを検知することができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第2特徴構成は、前記基準極は、表面に孔径が0.01〜1μmの孔部を有する多孔質構造である点にある。
つまり、この構成によれば、より多くの空気を基準極の内部に封入し、反応に寄与させることができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第3特徴構成は、前記孔部は、前記表面の50μmあたりに1つ以上存在する点にある。
つまり、この構成によれば、さらに多くの空気を基準極の内部に封入することができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第4特徴構成は、前記基準極は、白金、金、ロジウム、ルテニウム、パラジウムの群から選ばれる少なくとも一種の貴金属、または当該貴金属を含む合金である点にある。
つまり、この構成によれば、上記の貴金属及び合金は、導電性を有すると共に良好な耐久性を有するため、これらの貴金属または合金を基準極に用いた還元性ガス検知素子は、長期間安定に使用することができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第5特徴構成は、前記固体電解質は、絶縁基板の一方の面に設けてあり、前記固体電解質の膜厚が50〜500nmである点にある。
つまり、この構成によれば、固体電解質として、膜厚が50〜500nmの薄膜を用いるため、イオンの厚み方向への伝導を少なくして、検知極と基準極との間のイオン伝導性を向上させることができる。したがって、還元性ガス検知素子の還元性ガスに対する応答速度を向上させることができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第6特徴構成は、前記固体電解質は、理論密度に対する相対密度が80%以上である点にある。
つまり、この構成によれば、固体電解質は、理論密度に対する相対密度が80%以上の緻密な構造であるため、良好なイオン伝導性を有する。したがって、還元性ガス検知素子の還元性ガスに対する応答速度を向上させることができる。
本発明に係る還元性ガス検知素子の第7特徴構成は、前記固体電解質が、安定化ジルコニアである点にある。
つまり、この構成によれば、安定化ジルコニアは良好な酸化物イオン伝導性を有するため、安定化ジルコニアを用いることにより酸化物イオンが伝導する還元性ガス検知素子として好適な実施形態が得られる。
本発明に係る還元性ガス検知素子は、還元性ガスに活性な検知極と、基準極と、イオン伝導性を有する固体電解質とを備え、前記検知極と前記基準極とが、前記固体電解質に接合してある還元性ガス検知素子であって、前記基準極の表面をガス非透過性物質で被覆することにより、前記基準極に空気を封入してあるものである。すなわち、本発明者らは、基準極に空気を封入し、還元性ガスを遮断することにより、還元性ガス検知素子が還元性ガスを検知する際、基準極では封入した空気中の酸素が反応に寄与していることを見出した。還元性ガス検知素子が水素を検知する場合に、固体電解質としてプロトン伝導性を有するものを使用したものでは、下記(II)(III)に示す反応が起こり、酸化物イオン伝導性を有するものを使用したものでは、下記(IV)(V)に示す反応が起こっているものと推測される。したがって、このような還元性ガス検知素子によれば、上記の反応により生じる検知極と基準極との電位差を検出することにより、還元性ガスを含む基準ガスを使用しなくても還元性ガスを検知することができる。
以下、本発明に係る還元性ガス検知素子の一実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、絶縁基板の上に電解質を設けた基板型のガス検知素子を例示するが、これに限られるものではない。その他のガス検知素子としては、チューブ型の還元性ガス検知素子等、従来公知の形態の還元性ガス検知素子が挙げられる。
本実施形態に係る基板型の還元性ガス検知素子は、図1,2に示すように、絶縁基板1の一方の面に、イオン伝導性を有する固体電解質2と、還元性ガスに活性な検知極3と、基準極4とが設けてあり、絶縁基板1の他方の面には、還元性ガス検知素子を一定の温度に維持するため、薄膜ヒータ5が設けてある。検知極3と基準極4とは、固体電解質2の同一面に接合してあり、両極間の起電力を測定するため、それぞれの電極が電位差測定手段(図示しない)に電気的に接続してある。また、基準極4には、その表面をガス非透過性物質6で被覆することにより空気が封入してある。
絶縁基板1は、従来の基板型のガス検知素子に用いられるものが好ましく適用でき、その大きさ、形状等は特に限定されない。また、絶縁基板1の材質は、電気絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、熱伝導性、耐熱性等を考慮して選択することが好ましく、例えば、アルミナ、シリカ等のセラミックス材料を適用することが好ましい。
固体電解質2は、イオン伝導性を有するものであれば、特に限定することなく、酸化物イオン伝導性を有するものやプロトン伝導性を有するもの等を適用することができる。すなわち、例えば、水素ガス検知素子の場合、固体電解質2としてプロトン伝導性を有するものを選択することが一般的であるが、上記(IV)(V)に示すように、酸化物イオン伝導性を有するものを適用することによっても、検知極3と基準極4との間に起電力を発生させて、還元性ガスを検知することができる。酸化物イオン伝導性を有する固体電解質2としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア等の安定化ジルコニアを好ましく適用することができる、また、プロトン伝導性を有する固体電解質2としては、セリウム酸バリウム系、セリウム酸ストロンチウム系等が例示される。
固体電解質2は、検知極3と基準極4の間をイオンが伝導し易い方が、還元性ガスに対する応答速度が速くなるため好ましく、例えば、膜厚が50〜500nmの薄膜である場合には、イオンがスムーズに伝導されるため特に好ましい。また、固体電解質2は、理論密度に対する相対密度が80%以上であることが好ましく、このように緻密な構造にすることにより、イオン伝導性が向上し、還元性ガスに対する応答速度を速くすることができる。
このような固体電解質2は、金属酸化物を加圧成型・焼結し、所定形状に切断する等の従来公知の方法によって製造することができ、特に限定されないが、膜厚が50〜500nmの薄膜状のものを作製する場合には、液相析出法(Liquid Phase Deposition, LPD法)によって、絶縁基板1の一方の面に直接析出させることもできる。
ここで、LPD法とは、金属フルオロ錯体水溶液の加水分解平衡反応を利用し、水溶液中に、ホウ素等のフッ化物イオンとより安定なフルオロ錯体を形成する物質を加えることにより、平衡を金属フルオロ錯体の加水分解反応が進行する側にシフトさせ、絶縁基板1の上に金属酸化物を均一に析出させる方法である。このLPD法によれば、固体電解質2の構造をナノオーダで制御できるため、薄膜で、理論密度に対する相対密度が80%以上の緻密なものにすることができる。
基準極4は、その表面をガス非透過性物質6で被覆することにより、還元性ガスを遮断すると共に、基準極4に空気が封入してある。この場合、基準極4においては、封入した空気中の酸素が還元性ガスの検知に関与するため、基準極4を基準ガスに接触させる必要がなくなる。
基準極4は、ガス非透過性物質6によって空気を封入できる構造であれば、特に限定はされないが、多孔質構造のものが好ましく、その表面に孔径が0.01〜1μmの孔部を有するものがより好ましい。これにより、基準極に十分な空気を封入することができる。同様の観点から、基準極4の表面に孔径が0.01〜1μmの孔部を設ける場合は、特に限定されないが、50μmあたりに1つ以上存在するように設けることが好ましい。また、基準極4の厚みは、特に制限はないが、薄いと封入できる空気量が少なくなる反面、表面から固体電解質2と基準極4との界面までの距離が短くなると反応速度は向上するため、例えば、1μm〜50μmに設定することが好ましい。
基準極4の材質は、基準極4が直接還元性ガスに晒されることがないため、特に制限はなく、任意に選択可能であるが、導電性、耐久性の観点から、例えば、白金、金、ロジウム、ルテニウム、パラジウムの群から選ばれる少なくとも一種の貴金属、または当該貴金属を含む合金であることが好ましく、中でも、白金または金を用いたものは触媒活性が安定でより長期間使用可能であるため、特に好ましい。
このような基準極4は、例えば、基準極4の構成材料を含有するペーストを、固体電解質2に付着させた後、焼成する方法によって作製することができる。ペーストを固体電解質2に付着させる方法は、固体電解質2に直接塗布する方法や、一般的なスクリーン印刷法、インクジェット方式等によって吹きつける方法等を採用することができ、特に限定はされない。焼成条件は、昇温速度1〜5℃/分で800〜1000℃まで昇温し、その温度で0.5〜5時間保持した後、降温速度1〜5℃/分で冷却することが好ましい。基準極4を多孔質構造にするためには、ペーストを固体電解質2に付着させた後、急速に乾燥させることが好ましく、このような観点から昇温速度を2〜5℃/分とすることがより好ましい。
基準極4を多孔質構造にする手段としては、ペーストに粒径1μm以下のカーボン粒子等の熱によって消失するものを混合することもできる。すなわち、この方法によれば、焼成の際にカーボン粒子等が消失し、空間が生じるため、多孔質構造を形成することができる。また、ペーストをインクジェット方式によって固体電解質2に吹きつける場合には、例えば、揮発性溶媒に超微粒子の基準極4の構成材料を分散させたものを用い、吹きつけ後の溶媒の乾燥速度(蒸気圧)を調整することにより多孔質構造にすることができる。
基準極4は、上記の方法に限定されず、スパッタリング法等、従来公知の方法によって作製することができる。例えば、スパッタリング法は、その条件によって基準極4の微細構造を任意に制御することができる。
ガス非透過性物質6は、特に限定されず、例えば、一般に市販されている加熱によって溶融するガラス系材料が適用できるが、還元性ガス検知の際の薄膜ヒータ5の加熱による剥離を防ぐため、固体電解質2の熱膨張率に近い熱膨張率を有するものを選択することが好ましい。このようなガス非透過性物質6は、基準極4の表面に塗布した後、例えば、昇温速度1.5〜3℃/分で800〜950℃まで昇温し、その温度で0.5〜1時間保持した後、降温速度2.5〜5℃/分で冷却することにより、基準極4に隙間無く被覆させることができる。
検知極3は、還元性ガスに活性な導電性材料であれば、特に制限はなく、例えば、基準極4と同様のものを適用することができる。
薄膜ヒータ5は、加熱手段の一例であり、例えば、白金、金、白金パラジウム合金等をスパッタリング法、蒸着法等の従来公知の方法によって設けることができる。また、加熱手段は、薄膜ヒータ5の他、従来公知の加熱手段を適用することができる。なお、外部加熱機構が別途用意できる場合には、還元性ガス検知素子に加熱手段を設けなくてもよい。
尚、その他の還元性ガス検知素子の構成、機能については、従来公知の還元性ガス検知素子と同様である。そして、本発明に係る還元性ガス検知素子は、既知のガス検知回路等に組み込むことにより、還元性ガスセンサ等として、適用することができる。
以下に、本発明に係る還元性ガス検知素子として、図1,2に示す還元性ガス検知素子を用いた実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
固体電解質2として、0.8mm×0.8mm、厚さ0.2mmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のブロックを用いた。このYSZのブロックに、検知極3及び基準極4としてそれぞれ市販の金のペースト(純度95%)をスクリーン印刷法により塗布し、2.5℃/分で昇温して950℃で1時間保持した後、2.5℃/分の降温速度で冷却し、金の電極を作製した。そして、絶縁基板1として、1mm×1.5mm、厚さ0.38mmのアルミナセラミックス基板を用い、このアルミナセラミックス基板の一方の面に、検知極3及び基準極4を設けたYSZのブロックをセラミック接着剤により接合させ、他方の面に、薄膜ヒータ5として、白金の薄膜を蒸着させた。次いで、検知極3及び基準極4のそれぞれに金のリード線を金のペーストによって接続し、基準極4に、ガス非透過性物質6として、市販のガラス系材料を塗布し、2.5℃/分で昇温して950℃で30分保持した後、3℃/分の降温速度で冷却し、基準極4をガラス系材料で隙間無く被覆させた。
ガラス系材料を被覆する前の基準極4の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図3に示すように孔径が0.5〜1μmの孔部が50μmあたりに約100個存在していた。尚、基準極4の厚みは、10〜20μmであった。また、検知極3についても観察したところ基準極4と同様であった。
(実施例2)
絶縁基板1として、アルミナセラミックス基板を用い、このアルミナセラミックス基板の一方の面に、薄膜ヒータ5として、白金の薄膜を蒸着させた後、他方の面に、LPD法により、固体電解質2として、YSZの薄膜を析出させた。すなわち、LPD法は、HZrF水溶液(約0.06mol%/L)及びイットリウムイオンを含む塩酸水溶液(約0.02mol%/L,pH=約5)及びEDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid(C1014Na・2HO))及び蒸留水をそれぞれ体積比で、約10:1:1:38となるように混合したYSZ析出反応液をアルミニウム板が内壁に沿って設置された容器に流し込み、アルミナセラミックス基板を垂直懸下して速やかに容器内に浸漬し、30℃で反応させて、アルミナセラミックス基板にYSZを析出させた後、800℃で2時間処理し、厚みが100nmのYSZの薄膜を得た。そして、YSZの薄膜を形成させたアルミナセラミックス基板を1.0mm×1.5mmに切断し、YSZの薄膜の表面に、実施例1と同様の方法により、検知極3及び基準極4を接合させ、基準極4をガス非透過性物質6としてのガラス系材料で被覆した。尚、検知極3、及びガラス系材料を被覆する前の基準極4の表面は、実施例1と同様であった。
(比較例)
検知極3及び基準極4を、ペーストを用いる方法に代えてスパッタリング法で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法によって還元性ガス検知素子を作製した。スパッタリング法は、4N(99.99%)以上のAuターゲットを用いて行った。そして、このようにして得られた還元性ガス検知素子における基準極4の表面をSEMで観察したところ、図4に示すように孔径が0.01μm以上の孔部は存在していなかった。また、基準極4の厚みは、2〜5μmであった。
実施例1,2及び比較例によって作製した還元性ガス検知素子を用いて、600℃に保持した場合の水素に対する応答特性を調べた。その結果、実施例1,2では、それぞれ図5,6に示すように、水素に対して迅速に応答し、10秒程度で出力が安定したのに対し、比較例では、図7に示すように、水素に対する応答が遅く、出力も安定しなかった。
また、実施例1によって作製した還元性ガス検知素子を用いて、600℃に保持し、各濃度の水素に対する出力特性を調べた。その結果、図8に示すように、水素に対してその濃度とセンサ出力との間にほぼ直線的な関係が示され、10〜10000ppmの幅広い濃度の範囲で水素が検知できることが確認できた。
尚、本実施例における還元性ガス検知素子では、検知極3で発生する電流量は、非常に小さくナノオーダ以下であることが分かった。
ここで、本実施例における還元性ガス検知素子の検知メカニズムを考察すると、検知極3及び基準極4における反応は、下記(VI)(VII)に示すものであると推測される。
水素が存在すると、検知極3において(VI)の反応が起こり、この反応によって発生した電子を、基準極4と固体電解質2と酸素との三相界面において酸素が受け取る。これにより、(VII)の反応が起こり、固体電解質2に酸素イオンを戻して電池反応が完結する。すなわち、本実施例における還元性ガス検知素子では、(VI)の反応の進行に伴い、(VII)に示す固体電解質2に酸素イオンを戻す反応が起こり、基準極4に封止した酸素を消費することによって両極間に酸素濃淡が生じ、起電力が発生する。一方、ガス非透過性物質6によって被覆された基準極4の酸素量は制限されているため、(VII)の反応で生じた酸素濃淡を解消するように(VII)の逆反応が起こる。この逆反応により、(VI)の反応は制限され、検出回路を流れる電流量は減少すると共に、起電力が平衡に達し、水素に対して迅速な応答を示すものと推測される。
上記の反応を、実施例2で作製した還元性ガス検知素子の水素に対する応答特性のグラフに当てはめると、図9に示すように、(1)の段階では、(VI)(VII)の正反応が進行し、(2)の段階で(VII)の逆反応が起こり、(3)の段階で(VII)の正逆反応が平衡に達するものと考えられる。このように、(VII)の逆反応は、(VII)の正反応がある程度進行してから起こっており、両極間に一定以上の酸素濃淡が生じることが逆反応のドライビングフォースになるものと推測される。したがって、基準極4には、(VII)の正反応が進行して、逆反応が起こり得る程度の酸素濃淡が生じるように、一定量以上の酸素を封入しておくことが好ましい。尚、図6に示す実施例2で作製した還元性ガス検知素子の応答特性を示すグラフは、図5に示す実施例1で作製した還元性ガス検知素子の応答特性を示すグラフと形状が異なっている。これは、実施例2では、固体電解質2に薄膜を使用しているため、反応がより速く進行し、このような違いが表れたものと推測される。
本発明に係る還元性ガス検知素子は、水素、一酸化炭素、メタン・プロパン・ブタン等の炭化水素等を検知する各種ガスセンサに適用することができる。
本実施形態に係る還元性ガス検知素子の概略図 本実施形態に係る還元性ガス検知素子の断面図 実施例1で作製した還元性ガス検知素子の基準極の表面状態を示す写真 比較例で作製した還元性ガス検知素子の基準極の表面状態を示す写真 実施例1で作製した還元性ガス検知素子の水素に対する応答特性を示すグラフ 実施例2で作製した還元性ガス検知素子の水素に対する応答特性を示すグラフ 比較例で作製した還元性ガス検知素子の水素に対する応答特性を示すグラフ 実施例1で作製した還元性ガス検知素子の水素に対する出力特性を示すグラフ 実施例2で作製した還元性ガス検知素子の検知メカニズムを説明する図
符号の説明
1 絶縁基板
2 固体電解質
3 検知極
4 基準極
5 薄膜ヒータ
6 ガス非透過性物質

Claims (7)

  1. 還元性ガスに活性な検知極と、基準極と、イオン伝導性を有する固体電解質とを備え、前記検知極と前記基準極とが、前記固体電解質に接合してある還元性ガス検知素子であって、
    前記基準極の表面をガス非透過性物質で被覆することにより、前記基準極に空気を封入してある還元性ガス検知素子。
  2. 前記基準極は、表面に孔径が0.01〜1μmの孔部を有する多孔質構造である請求項1に記載の還元性ガス検知素子。
  3. 前記孔部は、前記表面の50μmあたりに1つ以上存在する請求項1または2に記載の還元性ガス検知素子。
  4. 前記基準極は、白金、金、ロジウム、ルテニウム、パラジウムの群から選ばれる少なくとも一種の貴金属、または当該貴金属を含む合金である請求項1〜3のいずれか一項に記載の還元性ガス検知素子。
  5. 前記固体電解質は、絶縁基板の一方の面に設けてあり、前記固体電解質の膜厚が50〜500nmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の還元性ガス検知素子。
  6. 前記固体電解質は、理論密度に対する相対密度が80%以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の還元性ガス検知素子。
  7. 前記固体電解質は、安定化ジルコニアである請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス検知素子。
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