JP2007248152A - 力学量検出装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に浮いた状態で設けられ電極部から延設される配線を取り出すために必然的に生じる分断領域を有する梁構造体の剛性を部分的に高めることができ、梁構造体の、検出とは関係しない部分の熱応力や慣性力による変形を防止して安定した出力を得ることができる力学量検出装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板2上に浮いた状態で設けられる梁構造体3の変位にともなう可動電極3a〜3f及び固定電極9a〜9f間の静電容量の変化に基づいて梁構造体3に作用する力学量を検出する力学量検出装置1において、梁構造体3に設けられ少なくとも一部が該梁構造体3の長尺部分により形成されて配線11〜13が配設される分断領域10に、梁構造体3を上方に迂回させるとともに前記長尺部分を補強するブリッジ構造(補強ブリッジ20)を架設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体などで構成され、基板上に浮動支持される振動子などの変位により、角速度や加速度などの力学量を検出するための力学量検出装置及びその製造方法に関する。
従来から、基板上に浮いた状態に設けられ基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態に支持されるとともに固定電極を有する配線とを備え、梁構造体の変位にともなう可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて梁構造体に作用する角速度や加速度などの力学量を検出する力学量検出装置(力学量センサ)が公知となっている。
このような力学量検出装置には、SOI(Silicon on Insulator)基板が用いられて製造され、前記梁構造体において互いに対向配置されるフレームとこれらフレーム間に配置される振動子とを有し、これらフレーム及び振動子それぞれの振動(変位)にともなう前記可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて角速度などの力学量を検出する構成のものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
特許第3525862号公報 特許第3512004号公報
前述したように、SOI基板が用いられて製造され振動子やフレームを含む梁構造体を有する構成の力学量検出装置においては、可動電極及び固定電極により構成される各種電極部での信号の入出力を行うため、各電極部から配線が延設される。
このように、基板上にて各電極部から延設される配線は、その先端部にワイヤ等が接続されるパッド部を有し、その接続の際の作業性を良くするためや基板上の限られた面積内において所定の面積を有する各パッド部を配置するため、例えば各パッド部が基板の周縁部に位置するように基板の周縁部へと配線が延設され取り出される。
また、SOI基板が用いられて製造される構成において、振動子などを含む梁構造体と各配線とは、SOI基板の同じ単結晶シリコン層により形成されることから同じ層位置となる。このため、振動子などを含む梁構造体と配線とは、基板上において重なることなく設計されて形成される。
このように、基板上において梁構造体と同じ層位置にある配線が、各電極部から延設されてそれぞれのパッド部が所定の配置位置となるように取り出されるという構成上、梁構造体は分断された状態の形状(分断領域)を有することとなる。つまり、各電極部から取り出される配線の位置における梁構造体の形状が制限されるため、梁構造体においては必然的に分断領域が形成されることとなる。
具体的には、前記特許文献にも示されているように、基板上に浮いた状態で設けられる梁構造体において、振動子は長尺状の部分(長尺部分)となるアーム部を有し、このアーム部を介してメインフレームと接続され、このメインフレームもアーム部と同じ方向に延設され長尺状に形成される。このような形状を有する梁構造体における分断領域は、振動子の両側のアーム部間の部分及び対向するメインフレーム間の部分を含む部分となる。つまり、このように梁構造体に形成される分断領域を介して配線が基板の周縁部へと取り出されることとなる。
このように、梁構造体が分断領域を有する形状においては、分断領域を形成する前記アーム部やメインフレーム等の長尺部分の剛性が低下することから、その剛性が不足する方向に対する変形の自由度が大きくなり変形しやすくなる。このため、熱応力や慣性力などが加わることにより、梁構造体が長尺部分を含む部分において変形するおそれがある。
このように梁構造体で生じる変形は、梁構造体の変位にともなう可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて角速度などの力学量を検出する構成において出力の変動の原因となり、その結果、力学量検出装置の出力が不安定となる。
具体的に可動電極及び固定電極から構成される電極部は、例えば図9に示すような構成となる。すなわち、可動電極は、基板上に浮いた状態に設けられる梁構造体において振動子104及びこの振動子104から延設されるアーム部104aに形成される複数の電極指103により櫛歯状に形成され、配線111に形成される固定電極は、同じく複数の電極指109により形成される。そして、これら各電極の電極指同士が交互に噛み合うように配置され、各電極の電極指間の静電容量が検出される。
このような構成の電極部121においては、振動子104から延設されるアーム部104aが長尺部分となり、その長手方向に直角な方向(図9における上下方向)に対する剛性が低下するので、梁構造体に熱応力や慣性力などが加わった場合、アーム部104aに変形が生じやすくなる。アーム部104aが変形することにより、可動電極の電極指103の位置が変わるため、電極部121における容量も変化することとなる。
そうすると、力学量検出装置においては前記のとおり可動電極と固定電極との間の静電容量を検出しているため、梁構造体の変形によって容量変化が発生し、出力が変動することとなり、意図しない出力が出てくることとなる。すなわち、力学量検出装置における検出精度が低下することとなる。
こうした梁構造体における変形を防止するため、梁構造体を長尺部分がない形状としたり、あるいは長尺部分を他の部分と連結させたりすることにより、梁構造体の剛性を高めることが考えられる。
しかし、梁構造体と配線とは、前述したように基板上において同じ層位置に形成されるパターン構造であるため、限られた面積において形状が制限されるので、長尺部分に連結部などを設けることによって梁構造体の剛性を高めることは難しい。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、基板上に浮いた状態で設けられ電極部から延設される配線を取り出すために必然的に生じる分断領域を有する梁構造体の剛性を部分的に高めることができ、梁構造体の、検出とは関係しない部分の熱応力や慣性力による変形を防止して安定した出力を得ることができる力学量検出装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、基板上に浮いた状態に設けられ前記基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、前記基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態で前記梁構造体と同じ層位置に支持されるとともに固定電極を有する配線と、を備え、前記梁構造体の変位にともなう前記可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて前記梁構造体に作用する力学量を検出する力学量検出装置であって、前記梁構造体に設けられ少なくとも一部が該梁構造体の長尺部分により形成されて前記配線が配設される分断領域に、前記梁構造体を上方に迂回させるとともに前記長尺部分を補強するブリッジ構造を架設したものである。
請求項2においては、基板上に浮いた状態に設けられ前記基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、前記基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態で前記梁構造体と同じ層位置に支持されるとともに固定電極を有する配線と、を備え、前記梁構造体の変位にともなう前記可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて前記梁構造体に作用する力学量を検出する力学量検出装置であって、前記梁構造体に設けられ少なくとも一部が該梁構造体の長尺部分により形成されて前記配線が配設される分断領域に、前記梁構造体と同じ層位置に架設されて前記長尺部分を補強する連結部を設けるとともに、前記配線に、前記連結部を通過させる破断部を形成し、該破断部に、前記配線を上方に迂回させるとともに前記破断部を連係するブリッジ構造を架設したものである。
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載の力学量検出装置の製造方法であって、前記基板上に絶縁層を介して設けられる表面層をパターニングすることにより前記梁構造体及び前記配線のためのパターン構造を形成する工程と、前記パターン構造間を充填するとともに該パターン構造上から所定厚さを有する犠牲膜を形成する工程と、前記犠牲膜における、前記ブリッジ構造により連結する部分に対応する部分に、前記パターン構造まで達するコンタクトホールを形成する工程と、前記犠牲膜上に、前記コンタクトホールを埋めるとともに所定厚さを有し前記ブリッジ構造を構成するブリッジ形成膜を形成する工程と、前記ブリッジ用薄膜をパターニングすることにより、該ブリッジ用薄膜における前記コンタクトホールを埋めた部分同士を連結する前記ブリッジ構造の梁部を形成する工程と、前記犠牲膜をエッチングすることにより除去する工程と、前記絶縁層をエッチングすることにより、該絶縁層の、前記基板上に前記配線を支持する部分以外の部分を除去する工程と、を含むものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、補強部としてのブリッジ構造により、基板上に浮いた状態で設けられ電極部から延設される配線を取り出すために必然的に生じる分断領域を有する梁構造体の剛性を部分的に高めることができ、梁構造体の、検出とは関係しない部分の熱応力や慣性力による変形を防止して安定した出力を得ることができる。
また、前記ブリッジ構造は、梁構造体の既存のパターン形状について設計変更などすることなく容易に設けることができる。
請求項2においては、補強部としての連結部により、基板上に浮いた状態で設けられ電極部から延設される配線を取り出すために必然的に生じる分断領域を有する梁構造体の剛性を部分的に高めることができ、梁構造体の、検出とは関係しない部分の熱応力や慣性力による変形を防止して安定した出力を得ることができる。
また、前記連結部は、梁構造体において同じ層構造により一体の部分として設けることができるので、梁構造体を補強するに際して容易に高い強度を得ることができる。
請求項3においては、力学量検出装置の製造過程において、梁構造体を補強するためのブリッジ構造を周知の方法を用いて容易に設けることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る力学量検出装置は、基板上に浮いた状態に設けられ基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態で前記梁構造体と同じ層位置に支持されるとともに固定電極を有する配線とを備え、梁構造体の変位にともなう可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて梁構造体に作用する力学量を検出するものである。
以下の実施形態においては、力学量検出装置の構成として、梁構造体に一つの振動子を有する構成のもの(以下、「非音叉タイプ」という。)と、同じく梁構造体に二つの(一対の)振動子を有する構成のもの(以下、「音叉タイプ」という。)とについて説明する。
まず、本発明に係る力学量検出装置の第一実施形態として、非音叉タイプの力学量検出装置1を用いて説明する。
力学量検出装置1は、単結晶シリコン層の上面上にシリコン酸化膜を介して単結晶シリコン層が設けられるSOI基板が用いられて製造される。このSOI基板において、最下層の単結晶シリコン層が基板2とされ、エッチング等により低抵抗化された(導電帯層とされた)表面層の単結晶シリコンがパターニングされ、さらにフッ酸水溶液などを用いたエッチングにより所定の部分において中間層のシリコン酸化膜のみが除去され表面層の単結晶シリコンが残されることにより、基板2上に各種機能部品が形成される。
図1及び図4に示す力学量検出装置1において、前記絶縁層(中間層)及び導電帯層(表面層)の両方が除去された部分は白色のままで示し(後記電極パッド除く)、絶縁層のみが除去された部分は点模様で示し、絶縁層及び導電帯層の両方が残された部分は網模様で示す。したがって、点模様の部分が基板2から浮いた部分となり、網模様の部分が基板2に固着された部分となる。
図1に示すように、力学量検出装置1は、水平面内にて互いに直交するX軸(図1における左右方向となる)及びY軸(図1における上下方向となる)の各方向の中心線に対してそれぞれ略対称に構成されている。このため、以下においては、対称な構成であって対応する部分についてはそれぞれ同一の符号を付して説明する。
力学量検出装置1は、方形状に形成される基板2を有し、この基板2上に浮いた状態に設けられ基板2に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極3a〜3fを有する梁構造体3と、基板2上に固着され該基板2と電気的に絶縁された状態に支持されるとともに固定電極9a〜9fを有する配線11〜15とを備える。
そして、梁構造体3において複数箇所に設けられる可動電極3a〜3fと、これらにそれぞれ対応して配線11〜15に設けられる固定電極9a〜9fとにより、後述する各種電極部21〜26が基板2上に構成される。
梁構造体3は、基板2の上面(表面)から所定距離だけ隔てられた水平面内に延設され、一つの振動子4と、この振動子4のY軸方向両側においてX軸方向を長手方向として長尺に形成される一対のメインフレーム5とを有する。
振動子4は、X軸方向に振動している状態で、X・Y両軸に直交するZ軸回りの角速度によって同角速度の大きさに比例した振幅でY軸方向に振動する。
振動子4は、中央部に設けられて適当な質量を有するとともにX軸及びY軸を各辺の延設方向とする方形状のマス部4aと、このマス部4aの各対角位置からX軸方向外側に一体的に延設される四つの長尺のアーム部4bとからなる略H型に形成されている。
メインフレーム5は、振動子4をX軸方向に振動させるもので、振動子4の各アーム部4bのY軸方向外側位置にてX軸方向にそれぞれ延設される幅広の長尺部5aと、両長尺部5aの各両端にてY軸方向両側に短く延設される幅広の終端部5bとからなる略I型に形成されている。なお、図示は省略するが、振動子4やメインフレーム5における幅広の部分には、複数の方形状の貫通孔が設けられている。
振動子4と各メインフレーム5とは、振動子4のY軸方向両側においてX軸方向両外側に延設される検出用梁6により連結されている。検出用梁6も振動子4等と同様、基板2上面から所定距離だけ隔てた水平面内に形成されており、各一端が振動子4の各アーム部4bの根元付近にそれぞれ接続され、各他端が各メインフレーム5の各終端部5bにそれぞれ接続されている。
また、梁検出用6は、振動子4のアーム部4b、メインフレーム5の長尺部5a及び終端部5bの幅より細く構成されている。
これらの構成により、各メインフレーム5から振動子4へY軸方向の振動が伝達され難くかつX軸方向の振動が効率よく伝達されるとともに、振動子4が各メインフレーム5に対しX軸方向に比べてY軸方向に振動し易くなる。すなわち、各梁検出用6は、振動子4を、基板2及び各メインフレーム5に対してY軸方向に振動可能に支持する機能を有する。
各メインフレーム5は、その長尺部5aからY軸方向外側に延設される複数の駆動用梁7及びアンカ8を介して基板2に対して振動可能に支持されている。各アンカ8は、メインフレーム5の長尺部5aの各Y軸方向外側位置にて、基板2の上面に固着されている。
各駆動用梁7は、振動子4及びメインフレーム5と同様に基板2上面から所定距離だけ隔てた上方に浮いて設けられており、前記検出用梁6と同様に狭い幅に構成されている。
これらの構成により、各メインフレーム5は、基板2に対しX軸方向に振動し易くかつY軸方向に振動し難く支持されている。すなわち、各駆動用梁7は、各メインフレーム5及び振動子4を基板2に対してX軸方向に振動可能に支持する機能を有する。
また、基板2上には、前述した各種電極部として、各メインフレーム5を基板2に対してX軸方向に駆動するための駆動電極部21と、各メインフレーム5の基板2に対するX軸方向の駆動をモニタするための駆動モニタ電極部22と、振動子4の基板2に対するY軸方向の振動を検出するための検出電極部23と、駆動によるメインフレーム5の斜め振動(Y軸方向の振動成分)の影響を打ち消すための補正電極部24と、振動子4の共振周波数を調整するための調整電極部25と、振動子4のY軸方向の振動を打ち消すためのサーボ電極部26とが設けられている。
駆動電極部21は、メインフレーム5の各終端部5bからX軸方向外側に延設される可動電極3aと、前記各終端部5bのX軸方向外側位置にて同終端部5bに向けてX軸方向に延設され可動電極3aに対向して設けられる固定電極9aとから構成される。なお、可動電極及び固定電極について、図では簡略化して示しているが、いずれも複数の電極指により櫛歯状に形成される(図9参照、以下に説明する各電極部において同じ。)。
可動電極3aは、固定電極9aの隣り合う電極指の幅方向(Y軸方向、以下同じ)の中心位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極9aは、駆動電極部21からX軸方向外側に延設される配線14に形成されている。
駆動モニタ電極部22は、メインフレーム5の各終端部5bからX軸方向内側に延設される可動電極3bと、前記各終端部5bのX軸方向内側位置にて同終端部5bに向けてX軸方向に延設され可動電極3bに対向して設けられる固定電極9bとから構成される。
可動電極3bは、固定電極9aの隣り合う電極指の幅方向の中心位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極9bは、駆動モニタ電極部22からX軸方向外側に延設される配線15に形成されている。
検出電極部23は、振動子4のアーム部4bからX軸方向内側に延設される可動電極3cと、振動子4のマス部4aのX軸方向各外側位置にてX軸方向外側に延設され可動電極3cに対向して設けられる固定電極9cとから構成される。
可動電極3cは、固定電極9cの隣り合う電極指の幅方向の中心位置から一方にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。ここで、前記ずれ方向は、X軸方向の中心線に対して対称となる一側(図1における上側)の二つの検出電極部23と、同他側(図1における下側)の二つの検出電極部23とでは逆方向になっている。固定電極9cは、検出電極部23からX軸方向外側に延設される配線13に形成されている。
補正電極部24は、メインフレーム5の各終端部5bのY軸方向内側部分からX軸方向内側に延設される可動電極3dと、メインフレーム5の各終端部5bのY軸方向内側部分にてX軸方向内側に設けられX軸方向外側に延設され可動電極3dに対向して設けられる固定電極9dとから構成される。
可動電極3dは、固定電極9dの隣り合う電極指の幅方向の中心位置から一方にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。ここで、前記ずれ方向は、X軸方向の中心線に対して対称となる一側(図1における上側)の二つの補正電極部24と、同他側(図1における下側)の二つの補正電極部24とでは逆方向になっている。固定電極9dは、前記検出電極部23から延設される配線13に形成されている。
したがって、メインフレーム5のY軸方向の変位による補正電極部24の容量(キャパシタンス)変化は、振動子4の前記と同じY軸方向の変位による検出電極部23の容量変化と逆に変化する。すなわち、メインフレーム5と振動子4とのY軸同一方向の変位に対して、補正電極部24の容量が増加(または減少)するときには、検出電極部23の容量は減少(または増加)する。
なお、補正電極部24及び検出電極部23は、メインフレーム5のY軸方向の不要な振動によってもたらされる補正電極部24の容量変化が、振動子4のY軸方向の不要な振動によってもたらされる検出電極部23の容量変化に対して反対かつ同じ大きさになるように構成される。
調整電極部25は、振動子4のマス部4aのX軸方向両側から同X軸方向外側に突出形成されるT字部4cのY軸方向内側に一体的に形成されX軸方向外側に延設される可動電極3eと、振動子4のマス部4aのX軸方向両外側であって基板2のY軸方向中央部にてX軸方向内側に延設され可動電極3eに対向して設けられる固定電極9eとから構成される。
可動電極3eは、固定電極9eの隣り合う電極指の幅方向の中心位置からY軸方向外側にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極9eは、調整電極部25からX軸方向外側に延設される配線11に形成されている。ここで、Y軸方向の中心線に対して対称となる一側(図1における左側)の二つの調整電極部25においては、それぞれの固定電極9eが共通の配線11に形成される。
サーボ電極部26は、各検出電極部23のY軸方向内側にそれぞれ設けられ、前記T字部4cのY軸方向外側に一体的に形成されX軸方向外側に延設される可動電極3fと、振動子4のマス部4aのX軸方向両外側であってX軸方向内側に延設され可動電極3fに対向して設けられる固定電極9fとから構成される。
可動電極3fは、固定電極9fの隣り合う電極指の幅方向の中心位置から一方にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極9fは、サーボ電極部26からX軸方向外側に延設される配線12に形成されている。
以上の各電極部21〜26において、可動電極3a〜3fは、梁構造体3の振動子4やメインフレーム5の各部に一体的に形成されて基板2の上面から所定距離だけ浮かせて設けられる。また、各電極部21〜26から延設される配線11〜15の先端部には、導電金属(例えばアルミニウム)で形成される電極パッド11b〜15bを有するパッド部11a〜15aがそれぞれ設けられており、各配線11〜15は、それぞれの固定電極9a〜9f及びパッド部11a〜15aを含み基板2の上面に固着される。
さらに、基板2上には、振動子4に、検出用梁6、メインフレーム5、駆動用梁7及びアンカ8を介して配線16が接続されており、この配線16の先端部には、導電金属(例えばアルミニウム)で形成される電極パッド16bを有するパッド部16aが設けられている。配線16も、前記各配線11〜15と同様、パッド部16aを含み基板2の上面に固着される。
以上のような構成を有する非音叉タイプの力学量検出装置1において、各電極部21〜26の電極パッド11b〜15b及び電極パッド16bに、それぞれ各種発振器や回路構成や電圧源などが接続されて各種信号の出入力が行われることにより、梁構造体3の変位にともなう可動電極3a〜3f及び固定電極9a〜9f間の静電容量の変化に基づいて梁構造体3に作用する角速度などの力学量が検出される。
そして、力学量検出装置1においては、梁構造体3に設けられ、少なくとも一部が梁構造体3の長尺部分により形成されて前記配線11〜13が配設される分断領域10にて、梁構造体3及び配線11〜13のいずれか一方を上方に迂回させるブリッジ構造が設けられることにより、梁構造体3に補強部が設けられている。
すなわち、前述したように、方形状のマス部4a及び該マス部4aから延設される四つの長尺のアーム部4bにより略H型に形成される振動子4と、この振動子4のY軸方向両側においてX軸方向に延設される長尺のメインフレーム5とを備える梁構造体3においては、Y軸方向に対向するアーム部4bの間の分断部分、及びこの部分のX軸方向外側に形成される、Y軸方向に対向するメインフレーム5間の分断部分を含む領域が、梁構造体3における分断領域10となる。つまり、分断領域10は、少なくとも一部が梁構造体3の長尺部分であるアーム部4b及びメインフレーム5の一部(長尺部5a)により形成され、電極部23〜26からそれぞれ延設される配線11〜13が配設される部分となる。
したがって、分断領域10は、梁構造体3の振動子4のマス部4aのX軸方向両側に形成されることとなる。このように梁構造体3に設けられる分断領域10は、基板2上において梁構造体3と同じ層位置にある配線11〜13が、各電極部23〜26から延設されてそれぞれのパッド部11a〜13aが所定の配置位置となるように取り出されるという構成上、必然的に形成される領域となる。
このように、梁構造体3において設けられる分断領域10にて、梁構造体3及び配線11〜13のいずれか一方を上方に迂回させるブリッジ構造が設けられることにより、梁構造体3に補強部が設けられる。
具体的に本実施形態では、梁構造体3の振動子4のX軸方向両方に形成される分断領域10において、Y軸方向に対向するアーム部4bの間、及び同じくY軸方向に対向するメインフレーム5のX軸方向両端部に形成される終端部5bの間に、アーム部4b同士及びメインフレーム5の終端部5b同士を連結する補強部が設けられる。なお、図1においては、梁構造体3を上方に迂回させるブリッジ構造(後述する補強ブリッジ20)が設けられている状態を示している。
このように、梁構造体3に設けられる分断領域10に補強部を設けることにより、基板2上に浮いた状態で設けられ電極部23〜26から延設される配線11〜13を取り出すために必然的に生じる分断領域10を有する梁構造体3の剛性を部分的に高めることができ、梁構造体3の、検出とは関係しない部分の熱応力や慣性力による変形を防止して安定した出力を得ることができる。
すなわち、本実施形態においては、振動子4においてY軸方向に対向するアーム部4bの間に補強部を設けることにより、X軸方向に延設される長尺部分でありY軸方向の変形の自由度が大きい部分となるアーム部4bにおいて、熱応力や慣性力による変形(反り等)が生じること防止することができる。また、一対のメインフレーム5においてY軸方向に対向する終端部5bの間に補強部を設けることにより、前記アーム部4bと同様、Y軸方向の変形の自由度が大きい部分となるメインフレーム5において、熱応力などによる変形が生じることを防止することができる。
以下、前記ブリッジ構造及び梁構造体3の補強部の具体的な構成について、梁構造体3が上方に迂回させられることにより梁構造体3に補強部が設けられる構成(以下、「梁構造体迂回構成」という。)と、配線11〜13が上方に迂回させられることにより梁構造体3に補強部が設けられる構成(以下、「配線迂回構成」という。)とについてそれぞれ説明する。
まず、力学量検出装置1における梁構造体迂回構成について、図1及び図2を用いて説明する。
本構成においては、前記分断領域10に、梁構造体3を上方に迂回させるとともに前記長尺部分を補強するブリッジ構造としての補強ブリッジ20が架設されている。
つまり、補強ブリッジ20により、分断領域10に配設される配線11〜13に対して梁構造体3が上方に迂回させられるとともに前記補強部が構成される。
図1及び図2に示すように、本実施形態においては、梁構造体3における分断領域10にて、振動子4においてY軸方向に対向するアーム部4bの間の分断部分、及び一対のメインフレーム5においてY軸方向に対向する終端部5bの間の分断部分それぞれに、各部を連結する補強部としての補強ブリッジ20が設けられる。
図2に示すように、一対のメインフレーム5の終端部5bの間に設けられる補強ブリッジ20を例に説明すると、補強ブリッジ20は、各終端部5bのY軸方向内側端部から立設する脚部20aと、これら脚部20a間において基板2の表面に平行な方向に形成される梁部20bとを有しておりこれらが一体に構成される。脚部20a及び梁部20bは、それぞれ連結する終端部5bの幅と略同一幅あるいは若干狭い幅を有する。
すなわち、補強ブリッジ20は、対向する終端部5b間において、脚部20aにより終端部5bの上面から上方に間隔を隔てた状態で梁部20bを架設させることにより、終端部5bと同じ層位置にある配線11〜13を迂回するとともに、各終端部5b間を連結する。したがって、補強ブリッジ20は、その脚部20aが終端部5bに固着された状態で設けられる。
また、振動子4においてY軸方向に対向するアーム部4bの間にも、前記終端部5b間と同様にして、補強ブリッジ20が設けられる。この場合、補強ブリッジ20はアーム部4bの幅と略同一幅あるいは若干狭い幅を有するように形成される。
なお、図2において配線11〜13と基板2との間にそれぞれ介在する部分は、前述したように、SOI基板が用いられて製造される力学量検出装置1において、製造過程で残されて各配線を基板2に対して絶縁状態に支持する絶縁膜層(シリコン酸化膜)の部分(後記絶縁支持部2b)を示している。
補強ブリッジ20を構成する材料としては、その連結するメインフレーム5(梁構造体3)がSOI基板の単結晶シリコンで構成されるのに対し、単結晶シリコンと線膨張係数(線膨張率)が近いことや加工のし易さ等からポリシリコンが好適に用いられる。
ただし、補強ブリッジ20の材料は、ポリシリコンに限定されるものではなく、梁構造体3を構成する材料(本実施形態では単結晶シリコン)と線膨張係数が近く、温度変化による膨張・伸縮によって力学量検出装置1の出力に影響が出る程の変形を梁構造体3に生じさせないものであり、かつ、熱応力などによる梁構造体3の変形を防止して安定した出力を得ることができる程度に梁構造体3の剛性を高めるに十分な強度を得ることができるものであればよい。例えば、ポリシリコンの他、単結晶シリコンに線膨張係数の近いコバール等の金属を用いることができる。
このように、補強ブリッジ20を設けて梁構造体3を上方に迂回させることで該梁構造体3を補強することにより、梁構造体3の既存のパターン形状について設計変更などすることなく補強部としての補強ブリッジ20を設けることが可能となり、梁構造体3の剛性を高めるための補強部を容易に設けることができる。
以上のように、梁構造体迂回構成を備える力学量検出装置1の製造方法について、図3を用い、一対のメインフレーム5の終端部5bの間に設けられる補強ブリッジ20の部分を例に説明する。なお、図3においては、図1におけるA−A一部断面図を示しており、同じ表面層により形成される梁構造体3のメインフレーム5の終端部5b及び配線11〜13について便宜上異なるハッチングを付している。
本実施形態に係る力学量検出装置1の製造方法は、次のような工程を含む。
すなわち、基板2上に絶縁層を介して設けられる表面層をパターニングすることにより梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する工程と、前記パターン構造間を充填するとともに該パターン構造上から所定厚さを有する犠牲膜を形成する工程と、前記犠牲膜における、ブリッジ構造である補強ブリッジ20により連結する部分に対応する部分に、前記パターン構造まで達するコンタクトホールを形成する工程と、前記犠牲膜上に、前記コンタクトホールを埋めるとともに所定厚さを有し補強ブリッジ20を構成するブリッジ用薄膜を形成する工程と、前記ブリッジ用薄膜をパターニングすることにより、該ブリッジ用薄膜における前記コンタクトホールを埋めた部分同士を連結する補強ブリッジ20の梁部20bを形成する工程と、前記犠牲膜をエッチングすることにより除去する工程と、前記絶縁層をエッチングすることにより、該絶縁層の、基板2上に配線11〜16を支持する部分以外の部分を除去する工程とを含む。
以下、各工程について具体的に説明する。
まず、基板2上に絶縁層を介して設けられる表面層をパターニングすることにより梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する工程を行う。
本実施形態に係る力学量検出装置1は、前述したようにSOI基板が用いられて製造され、その最下層の単結晶シリコン層を基板2とし、シリコン酸化膜である絶縁層2aを介して設けられる単結晶シリコン層である表面層(導電帯層)により梁構造体3及び配線11〜16を形成する。
すなわち、SOI基板を用意し、その表面層の単結晶シリコンをエッチングすることによりパターニングし、梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する(図3(a)参照)。具体的には、例えば、SOI基板の表面層の上面にフォトレジストを塗布し、それを露光装置などによる露光及び現像処理によりパターニングすることにより、梁構造体3及び配線11〜16に対応する部分をレジスト膜にてマスクする。その後、表面層をRIE(Reactive Ion Etching)法などでドライエッチングして不要な部分を除去し、梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する。ここで、エッチングとしては前記RIE法に限られず周知の方法を用いることができる。
次に、図3(b)に示すように、前記パターン構造間を充填するとともに該パターン構造上から所定厚さを有する犠牲膜を形成する工程を行う。
この工程では、スピンオンガラス(Spin on Glass;以下、「SOG」という。)を用い、絶縁層2a上に形成した梁構造体3と配線11〜16との間を充填するとともにこれら梁構造体3などの上面から所定の厚さとなる犠牲膜17を形成する。
すなわち、各部の間(凹部)にSOGを用いることによりエッチングにより生じた部分を埋め戻すとともにその上側に義性膜17を形成する。具体的には、絶縁層2a上のパターン構造に対し、室温で液体の有機溶媒に溶けたガラスであるSOGを必要な膜厚(数μ程度)となるように基板の全面に塗布し、スピンコートした後に熱処理を行うことにより有機物を蒸発させてシリコン酸化膜である犠牲膜17を形成する。ここでの犠牲膜17の膜厚が、配線11〜13の上面と補強ブリッジ20の梁部20bの下面との間の間隔となる。
なお、犠牲膜17を形成するに際しては、SOGによる薄膜の代わりにシリコン酸化膜を用いることもできる。
続いて、図3(c)に示すように、犠牲膜17における、補強ブリッジ20により連結する部分に対応する部分に、前記パターン構造まで達するコンタクトホールを形成する工程を行う。
この工程では、犠牲膜17に対しエッチングを行うことにより補強ブリッジ20により連結する部分に対応する部分、即ち補強ブリッジ20の脚部20aがメインフレーム5の終端部5bに固着される部分に、脚部20a(図2参照)に対応する形状及び大きさのコンタクトホール17aを形成する。
その後、図3(d)に示すように、犠牲膜17上に、コンタクトホール17aを埋めるとともに所定厚さを有し補強ブリッジ20を構成するブリッジ用薄膜を形成する工程を行う。
この工程では、犠牲膜17上に、補強ブリッジ20を構成するポリシリコンを基板の全面に堆積することにより、コンタクトホール17aを埋めた状態とするとともに犠牲膜17の上面から必要な膜厚(数μ程度)となるようにブリッジ形成膜18を形成する。ここでのブリッジ用薄膜18の膜厚が、補強ブリッジ20の梁部20bの厚さとなる。
なお、ブリッジ用薄膜18を形成するに際しては、ポリシリコンの代わりにコバール等の金属を用いることができる。
次に、図3(e)に示すように、ブリッジ用薄膜18をパターニングすることにより、該ブリッジ用薄膜18におけるコンタクトホール17aを埋めた部分同士を連結する補強ブリッジ20の梁部20bを形成する工程を行う。
この工程では、ブリッジ用薄膜18をエッチングすることによりパターニングし、補強ブリッジ20の梁部20bに相当する部分を形成する。具体的には、例えば、ブリッジ用薄膜18の上面にフォトレジストを塗布し、それを露光装置などによる露光及び現像処理によりパターニングすることにより、補強ブリッジ20の梁部20bに対応する部分をレジスト膜にてマスクする。その後、表面層をRIE法などでドライエッチングして不要な部分を除去し、補強ブリッジ20の梁部20bを形成する。ここで、エッチングとしては前記RIE法に限られず周知の方法を用いることができる。
そして、図3(f)に示すように、犠牲膜17をエッチングすることにより除去する工程、及び絶縁層2aをエッチングすることにより、該絶縁層2aの、基板2上に配線11〜16を支持する部分以外の部分を除去する工程を行う。
これらの工程は一つの工程で行うことができる。すなわち、この工程では、前述したように熱処理により有機物を蒸発させることによりシリコン酸化膜となったSOG(犠牲膜17)と、同じくシリコン酸化膜である絶縁層2aとをフッ酸(HF)系のエッチング液を用いたウエットエッチングすることにより除去する。
このエッチングでは、犠牲膜17についてはその全部除去し、絶縁層2aについては、基板2と梁構造体3との間に介在する部分を除去するとともに基板2と配線11〜16との間に介在する部分を残す。この際、梁構造体3における振動子4やメインフレーム5の幅広の部分であっても、前述した複数の貫通孔を介してエッチング液が通過することにより、その部分の絶縁層2aが除去される。
これにより、梁構造体3が基板2から浮いた状態となるとともに配線11〜16が絶縁層2aの残った部分である絶縁支持部2bにより基板2に対して絶縁状態で支持され、補強ブリッジ20が犠牲膜17の厚み分だけ配線11〜13から浮いた状態で形成される。
また、この工程では、犠牲膜17が絶縁層2aと同じエッチングにより除去できない材料で形成される場合は、犠牲膜17を除去する工程と絶縁層2aを除去する工程とを別工程により行うこととなる。
以上のような工程を含む方法により、補強ブリッジ20を備える力学量検出装置1を製造する。
このような製造方法を用いることにより、力学量検出装置1の製造過程において、梁構造体3を補強するための補強ブリッジ20を周知の方法を用いて容易に設けることができる。
次に、力学量検出装置1における配線迂回構成について、図4及び図5を用いて説明する。
本構成においては、前記分断領域10に、梁構造体3と同じ層位置に架設されて前記長尺部分を補強する連結部29が設けられるとともに、分断領域10に配設される配線11〜13それぞれに、連結部29を通過させる破断部28が形成され、この破断部28に、前記配線11〜13を上方に迂回させるとともに前記破断部28を連係するブリッジ構造としての連係ブリッジ30が架設される。
図4及び図5に示すように、本実施形態においては、梁構造体3における分断領域10にて、振動子4においてY軸方向に対向するアーム部4bの間、及び一対のメインフレーム5においてY軸方向に対向する終端部5bの間それぞれに、各部を連結する補強部としての連結部29が設けられる。そして、分断領域10に配設される配線11〜13おける、各連結部29に対応する位置に、これら連結部29の延設を許容するための破断部28が形成される。つまり、各配線11〜13に形成される破断部28は、同じ層位置に形成される配線の部分が途切れた部分であり、この破断部28を通過するように前記連結部29が設けられる。
そして、配線11〜13に形成された破断部28を繋いで配線としての機能を確保するため、破断部28にブリッジ構造としての連係ブリッジ30が架設される。つまりこの連係ブリッジ30により、梁構造体3の分断領域10にて設けられる連結部29に対して配線11〜13が上方に迂回させられる。
図5に示すように、一対のメインフレーム5の終端部5bの間に設けられる連結部29及び配線11の破断部28に架設される連係ブリッジ30を例に説明すると、連係ブリッジ30は、配線11の破断部28側端部から立設する脚部30aと、これら脚部30a間において基板2の表面に平行な方向に形成される梁部30bとを有しておりこれらが一体に構成される。脚部30a及び梁部30bは、それぞれ連結する配線11の幅と略同一幅あるいは若干狭い幅を有する。
すなわち、連係ブリッジ30は、破断部28にて対向する配線11間において、脚部30aにより配線11の上面から上方に間隔を隔てた状態で梁部30bを架設させることにより、配線11と同じ層位置にある連結部29を迂回するとともに、各配線11間を連結する。したがって、連係ブリッジ30は、その脚部30aが各配線11に固着された状態で設けられる。
また、メインフレーム5の終端部5b間に設けられる連結部29は、これら終端部5b間にてY軸方向に延設され両終端部5bを繋ぐ同一層の部分により形成される。連結部29の幅は、例えば終端部5bの幅と略同一となるように形成される。
そして、振動子4においてY軸方向に対向するアーム部4bの間にも、前記終端部5b間と同様にして、連結部29が設けられ、この連結部29の延設を許容するように各配線11〜13に破断部28が形成されるとともに、破断部28を繋ぐ連係ブリッジ30がそれぞれの配線11〜13に設けられる。この場合、連結部29はアーム部4bの幅と略同一幅を有するように形成される。
連係ブリッジ30を構成する材料としては、その連結する配線11〜13がSOI基板の単結晶シリコンで構成されるのに対し、単結晶シリコンと線膨張係数(線膨張率)が近いことや加工のし易さ等からポリシリコンが好適に用いられる。
ただし、連係ブリッジ30の材料は、ポリシリコンに限定されるものではなく、各配線11〜13を迂回させた状態を保持することができるとともに、各配線における所望の導電性が得られるものであればよい。例えば、ポリシリコンの他、アルミニウム等の金属を用いることができる。
このように、連係ブリッジ30を設けて配線11〜13を上方に迂回させるとともに、連結部29を設けることで梁構造体3を補強することにより、梁構造体3において同じ層構造により一体の部分として補強部としての連結部29を設けることができるので、梁構造体3を補強するに際して容易に高い強度を得ることができる。
つまり、本実施形態においては、SOI基板における導電帯層(単結晶シリコン)により連結部29を梁構造体3の補強部として一体に形成することができる。したがって、連結部29は梁構造体3のパターン形状の設計変更を行うことにより容易に形成することができる。
以上のように、配線迂回構成を備える力学量検出装置1の製造方法について、図6を用い、一対のメインフレーム5の終端部5bの間に設けられる連結部29及び配線11の破断部28に架設される連係ブリッジ30を例に説明する。なお、図6においては、図4におけるB−B一部断面図を示しており、同じ表面層により形成される梁構造体3の連結部29及び配線11について便宜上異なるハッチングを付している。
配線迂回構成を備える力学量検出装置1は、前述した梁構造体迂回構成を備える場合の製造方法と同様の工程を含む方法により製造される。このため、重複する部分については適宜その説明を省略し、対応する部分については同一の符号を付して説明する。
まず、基板2上に絶縁層2aを介して設けられる表面層をパターニングすることにより梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する工程を行う。
すなわち、SOI基板を用意し、その表面層の単結晶シリコンをエッチングすることによりパターニングし、梁構造体3及び配線11〜16のためのパターン構造を形成する(図6(a)参照)。
この工程では、前記パターニングにより、梁構造体3に連結部29を形成するとともに、配線11〜13の連結部29に対応する部分にそれぞれ破断部28を形成する。
次に、図6(b)に示すように、前記パターン構造間を充填するとともに該パターン構造上から所定厚さを有する犠牲膜17を形成する工程を行う。
すなわち、この工程では、SOGを用い、絶縁層2a上に形成した梁構造体3と配線11〜16との間を充填するとともにこれら梁構造体3などの上面から所定の厚さとなる犠牲膜17を形成する。ここでの犠牲膜17の膜厚が、梁構造体3の連結部29の上面と連係ブリッジ30の梁部30bの下面との間の間隔となる。
続いて、図6(c)に示すように、犠牲膜17における、連係ブリッジ30により連結する部分に対応する部分に、前記パターン構造まで達するコンタクトホール17aを形成する工程を行う。
すなわち、この工程では、犠牲膜17に対しエッチングを行うことにより連係ブリッジ30により連結する部分に対応する部分、即ち連係ブリッジ30の脚部30aが破断部28を介して対向する各配線11に固着される部分に、脚部30a(図5参照)に対応する形状及び大きさのコンタクトホール17aを形成する。
その後、図6(d)に示すように、犠牲膜17上に、コンタクトホール17aを埋めるとともに所定厚さを有し連係ブリッジ30を構成するブリッジ用薄膜18を形成する工程を行う。
この工程では、犠牲膜17上に、連係ブリッジ30を構成するポリシリコンを基板の全面に堆積することにより、コンタクトホール17aを埋めた状態とするとともに犠牲膜17の上面から必要な膜厚(数μ程度)となるようにブリッジ形成膜18を形成する。ここでのブリッジ用薄膜18の膜厚が、連係ブリッジ30の梁部30bの厚さとなる。
なお、ブリッジ用薄膜18を形成するに際しては、ポリシリコンの代わりにアルミニウム等の金属を用いることができる。
次に、図6(e)に示すように、ブリッジ用薄膜18をパターニングすることにより、該ブリッジ用薄膜18におけるコンタクトホール17aを埋めた部分同士を連結する連係ブリッジ30の梁部30bを形成する工程を行う。
この工程では、ブリッジ形成膜18をエッチングすることによりパターニングし、連係ブリッジ30の梁部30bに相当する部分を形成する。
そして、図6(f)に示すように、犠牲膜17をエッチングすることにより除去する工程、及び絶縁層2aをエッチングすることにより、該絶縁層2aの、基板2上に配線11〜16を支持する部分以外の部分を除去する工程を行う。
これらの工程は一つの工程で行うことができる。すなわち、この工程では、前述したように熱処理により有機物を蒸発させることによりシリコン酸化膜となったSOG(犠牲膜17)と、同じくシリコン酸化膜である絶縁層2aとをフッ酸(HF)系のエッチング液を用いたウエットエッチングすることにより除去する。
このエッチングでは、犠牲膜17についてはその全部除去し、絶縁層2aについては、基板2と梁構造体3との間に介在する部分を除去するとともに基板2と配線11〜16との間に介在する部分を残す。
これにより、梁構造体3が基板2から浮いた状態となるとともに配線11〜16が絶縁層2aの残った部分である絶縁支持部2bにより基板2に対して絶縁状態で支持され、連係ブリッジ30が犠牲膜17の厚み分だけ連結部29から浮いた状態で形成される。
以上のような工程を含む方法により、連係ブリッジ30を備える力学量検出装置1を製造する。
このような製造方法を用いることにより、力学量検出装置1の製造過程において、梁構造体3を補強するための連結部29及びこの連結部29を迂回して配線11〜13を連結する連係ブリッジ30を周知の方法を用いて容易に設けることができる。
次に、本発明に係る力学量検出装置の第二実施形態として、音叉タイプの力学量検出装置31を用いて説明する。
力学量検出装置31は、前述した非音叉タイプの力学量検出装置1と同様、SOI基板が用いられて製造されるものであり、図7及び図8に示す力学量検出装置31において、前記絶縁層(中間層)及び導電帯層(表面層)の両方が除去された部分は白色のままで示し(後記電極パッド除く)、絶縁層のみが除去された部分は点模様で示し、絶縁層及び導電帯層の両方が残された部分は網模様で示す。したがって、点模様の部分が基板32から浮いた部分となり、網模様の部分が基板32に固着された部分となる。
図7に示すように、力学量検出装置31は、水平面内にて互いに直交するX軸(図7における左右方向となる)及びY軸(図7における上下方向となる)の各方向の中心線に対してそれぞれ略対称に構成されている。このため、以下においては、対称な構成であって対応する部分についてはそれぞれ同一の符号を付して説明する。
力学量検出装置31は、方形状に形成される基板32を有し、この基板32上に浮いた状態に設けられ基板32に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極33a〜33eを有する梁構造体33と、基板32上に固着され該基板32と電気的に絶縁された状態に支持されるとともに固定電極39a〜39eを有する配線41〜45とを備える。
そして、梁構造体33において複数箇所に設けられる可動電極33a〜33eと、これらにそれぞれ対応して配線41〜45に設けられる固定電極39a〜39eとにより、後述する各種電極部51〜55が基板32上に構成される。つまり、梁構造体33の変位が、各種電極部51〜55から配線41〜45を介してセンサ出力として取り出されることにより、角速度などの力学量が検出される。
梁構造体33は、基板32の上面(表面)から所定距離だけ隔てられた水平面内に延設され、一対の振動子34と、各振動子34のY軸方向両側においてX軸方向を長手方向として長尺に形成される一対のメインフレーム35とを有する。
振動子34は、X軸方向に振動している状態で、X・Y両軸に直交するZ軸回りの角速度によって同角速度の大きさに比例した振幅でY軸方向に振動する。
振動子34は、中央部に設けられて適当な質量を有するとともにX軸及びY軸を各辺の延設方向とする方形状のマス部34aと、このマス部34aのY軸方向両側部分からX軸方向外側に一体的に延設される二つの長尺のアーム部34bとからなる略コ字型に形成されている。なお、図示は省略するが、振動子34やメインフレーム35における幅広の部分には、複数の方形状の貫通孔が設けられている。
振動子34と各メインフレーム35とは、振動子34の各アーム部34bのX軸方向両端にてX軸方向両外側に延設される長尺の検出用梁36を介して連結されている。検出用梁36も振動子34等と同様、基板32上面から所定距離だけ隔てた水平面内に形成されており、各一端が振動子34の各アーム部34bの端部にそれぞれ接続され、各他端が各メインフレーム35の端部にそれぞれ接続されている。
また、検出用梁36は、振動子34のアーム部34b及びメインフレーム35の幅より細く構成されている。
これらの構成により、各メインフレーム35から振動子34へY軸方向の振動が伝達され難くかつX軸方向の振動が効率よく伝達されるとともに、振動子34が各メインフレーム35に対しX軸方向に比べてY軸方向に振動し易くなる。すなわち、各検出用梁36は、振動子34を、基板32及び各メインフレーム35に対してY軸方向に振動可能に支持する機能を有する。
各メインフレーム35は、その中途部からY軸方向外側に延設される駆動用梁37及びアンカ38を介して基板32に対して振動可能に支持されている。各アンカ38は、メインフレーム35のY軸方向外側位置にて、基板32の上面に固着されている。
各駆動用梁37は、振動子34及びメインフレーム35と同様に基板32上面から所定距離だけ隔てた上方に浮いて設けられており、前記検出用梁36と同様に狭い幅に構成されている。
これらの構成により、各メインフレーム35は、基板32に対しX軸方向に振動し易くかつY軸方向に振動し難く支持されている。すなわち、各駆動用梁37は、各メインフレーム35及び振動子34を基板32に対してX軸方向に振動可能に支持する機能を有する。
また、X軸方向の中心線に対して対称となる一側(図7における上側)の二つのメインフレーム35同士と、同他側(図7における下側)の二つのメインフレーム35同士は、それぞれ長尺かつ幅狭のリンク梁47a及び長尺かつ幅広のリンク47bを介して連結されている。
各リンク梁47aは、各メインフレーム35と一体的に基板32から浮かせて形成され、各一端にて各メインフレーム35にそれぞれ接続されるとともにY軸方向に延設され、各他端にてリンク47bにそれぞれ接続されている。リンク47bも、各メインフレーム35と一体的に基板32から浮かせて形成され、X軸方向に延設されている。
前記リンク47b同士は、それぞれのX軸方向両側において長尺かつ幅狭のサブリンク梁48a及び長尺かつ幅広のサブリンク48bを介して連結されている。
サブリンク梁48aは、リンク47bと一体的に基板32から浮かせて形成され、各一端にてリンク47bにそれぞれ接続されるとともにX軸方向に延設されて、各他端にてサブリンク48bにそれぞれ接続されている。サブリンク48bも、リンク47bと一体的に基板32から浮かせて形成され、Y軸方向に延設されている。
また、基板32上には、前述した各種電極部として、各メインフレーム35を基板32に対してX軸方向に駆動するための駆動電極部51と、各メインフレーム35の基板32に対するX軸方向の駆動をモニタするための駆動モニタ電極部52と、振動子34の基板32に対するY軸方向の振動を検出するための検出電極部53と、振動子34のY軸方向の共振周波数を調整するための調整電極部54と、振動子34のY軸方向の振動を抑制するためのサーボ電極部55とが設けられている。
駆動電極部51は、メインフレーム35のX軸方向外側端部にて一体的にY軸方向外側に基板32から浮かせて延設される突出部35aからX軸方向外側に延設される可動電極33aと、前記突出部35aのX軸方向外側位置にて同突出部35aに向けてX軸方向に延設され可動電極33aに対向して設けられる固定電極39aとから構成される。なお、可動電極及び固定電極について、図では簡略化して示しているが、いずれも複数の電極指により櫛歯状に形成される(図9参照、以下に説明する各電極部において同じ。)。
可動電極33aは、固定電極39aの隣り合う電極指の幅方向(Y軸方向、以下同じ)の中心位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極39aは、駆動電極部51からX軸方向外側に延設される配線44に形成されている。
駆動モニタ電極部52は、メインフレーム35の突出部35aのX軸方向内側(駆動電極部51とX軸方向反対側)に設けられ、突出部35aからX軸方向内側に延設される可動電極33bと、前記突出部35aのX軸方向内側位置にて同突出部35aに向けてX軸方向に延設され可動電極33bに対向して設けられる固定電極39bとから構成される。
可動電極33bは、固定電極39aの隣り合う電極指の幅方向の中心位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極39bは、駆動モニタ電極部52からX軸方向外側に延設される配線45に形成されている。
検出電極部53は、振動子34のアーム部34bのY軸方向内側に設けられ、振動子34のマス部34aのX軸方向外側からX軸方向に突出される可動電極33cと、この可動電極33cに向けてX軸方向に延設される固定電極39cとから構成される。
可動電極33cは、固定電極39cの隣り合う電極指の幅方向の中心位置から一方にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。ここで、前記ずれ方向は、X軸方向の中心線に対して対称となる一側(図7における上側)の二つの検出電極部53と、同他側(図7における下側)の二つの検出電極部53とでは逆方向になっている。固定電極39cは、検出電極部53からX軸方向外側に延設される配線43に形成されている。
調整電極部54は、振動子34のマス部34aのX軸方向外側位置におけるY軸方向中央部に設けられ、前記マス部34aのX軸方向外側からX軸方向に突出される可動電極33dと、この可動電極33dに向けてX軸方向に延設される固定電極39dとから構成される。
可動電極33dは、固定電極39dの隣り合う電極指の幅方向の中心位置からY軸方向外側にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極39dは、調整電極部54からX軸方向外側に延設される配線41に形成されている。ここで、それぞれの振動子34に対して構成される二つの調整電極部54においては、それぞれの固定電極39dが共通の配線41に形成される。
サーボ電極部55は、調整電極部54のY軸方向外側に設けられ、振動子34のマス部34aのX軸方向外側からX軸方向に突出される可動電極33eと、この可動電極33eに向けてX軸方向に延設される固定電極39eとから構成される。
可動電極33eは、固定電極39eの隣り合う電極指の幅方向の中心位置から一方にずれた位置に侵入して隣り合う電極指に対向している。固定電極39eは、サーボ電極部55からX軸方向外側に延設される配線42に形成されている。
以上の各電極部51〜55において、可動電極33a〜33eは、梁構造体33の振動子34やメインフレーム35の各部に一体的に形成されて基板32の上面から所定距離だけ浮かせて設けられる。また、各電極部51〜55から延設される配線41〜45の先端部には、導電金属(例えばアルミニウム)で形成される電極パッド41b〜45bを有するパッド部41a〜45aがそれぞれ設けられており、各配線41〜45は、それぞれの固定電極39a〜39e及びパッド部41a〜45aを含み基板32の上面に固着される。
さらに、基板32上には、振動子34に、検出用梁36、メインフレーム35、駆動用梁37及びアンカ38を介して配線46が接続されており、この配線46の先端部には、導電金属(例えばアルミニウム)で形成される電極パッド46bを有するパッド部46aが設けられている。配線46も、前記各配線41〜45と同様、パッド部46aを含み基板32の上面に固着される。
以上のような構成を有する音叉タイプの力学量検出装置31において、各電極部51〜55の電極パッド41b〜45b及び電極パッド46bに、それぞれ各種発振器や回路構成や電圧源などが接続されて各種信号の出入力が行われることにより、梁構造体33の変位にともなう可動電極33a〜33e及び固定電極39a〜39e間の静電容量の変化に基づいて梁構造体33に作用する角速度などの力学量が検出される。
そして、力学量検出装置31においては、第一実施形態と同様に、梁構造体33に設けられ、少なくとも一部が梁構造体33の長尺部分により形成されて前記配線41〜43が配設される分断領域40にて、梁構造体33及び配線41〜43のいずれか一方を上方に迂回させるブリッジ構造が設けられることにより、梁構造体33に補強部が設けられる。
すなわち、前述したように、方形状のマス部34a及び該マス部34aから延設される二つの長尺のアーム部34bにより略コ字型に形成される一対の振動子34と、各振動子34のY軸方向両側においてX軸方向に延設される長尺のメインフレーム35とを備える梁構造体33においては、Y軸方向に対向するアーム部34bの間の分断部分、及びこの部分のX軸方向外側に形成される、Y軸方向に対向するメインフレーム35間の分断部分を含む領域が、梁構造体33における分断領域40となる。つまり、分断領域40は、少なくとも一部が梁構造体33の長尺部分であるアーム部34b及びメインフレーム35の一部により形成され、電極部53〜55からそれぞれ延設される配線41〜43が配設される部分となる。
したがって、分断領域40は、梁構造体33の振動子34のマス部34aのX軸方向両側に形成されることとなる。このように梁構造体33に設けられる分断領域40は、基板32上において梁構造体33と同じ層位置にある配線41〜43が、各電極部53〜55から延設されてそれぞれのパッド部41a〜43aが所定の配置位置となるように取り出されるという構成上、必然的に形成される領域となる。
このように、梁構造体33において設けられる分断領域40にて、梁構造体33及び配線41〜43のいずれか一方を上方に迂回させるブリッジ構造が設けられることにより、梁構造体33に補強部が設けられる。
具体的に本実施形態では、梁構造体33の振動子34のX軸方向両方に形成される分断領域40において、Y軸方向に対向するアーム部34bの間、及び同じくY軸方向に対向するメインフレーム35の間に、アーム部34b同士及びメインフレーム35同士を連結する補強部が設けられる。なお、図7においては、梁構造体33を上方に迂回させるブリッジ構造(後述する補強ブリッジ50)が設けられている状態を示している。
このように、梁構造体33に設けられる分断領域40に補強部を設けることにより、基板32上に浮いた状態で設けられる梁構造体33が、電極部53〜55から延設される配線41〜43を取り出すために必然的に生じる分断領域40を形成する長尺部分を有する形状であっても、梁構造体33の変位による検出とは関係しない部分の剛性を高めることができ、熱応力や慣性力による梁構造体33の変形を防止して安定した出力を得ることができる。
すなわち、本実施形態においては、振動子34においてY軸方向に対向するアーム部34bの間に補強部を設けることにより、X軸方向に延設される長尺部分でありY軸方向の変形の自由度が大きい部分となるアーム部34bにおいて、熱応力や慣性力による変形(反り等)が生じること防止することができる。また、Y軸方向に対向するメインフレーム35の間に補強部を設けることにより、前記アーム部34bと同様、Y軸方向の変形の自由度が大きい部分となるメインフレーム35において、熱応力などによる変形が生じることを防止することができる。
そして、本実施形態の力学量検出装置31においても、第一実施形態と同様に、ブリッジ構造及び梁構造体33の補強部の構成について、梁構造体迂回構成(図7)と配線迂回構成(図8)とがある。
すなわち、図7に示すように、力学量検出装置31における梁構造体迂回構成においては、分断領域40に、梁構造体33を上方に迂回させるとともに前記長尺部分を補強するブリッジ構造としての補強ブリッジ50が架設される。
つまり、補強ブリッジ50により、分断領域40に配設される配線41〜43に対して梁構造体33が上方に迂回させられるとともに前記補強部が構成される。
本実施形態においては、梁構造体33における分断領域40にて、振動子34においてY軸方向に対向するアーム部34bのX軸方向外側端部間の分断部分、及びY軸方向に対向するメインフレーム35のX軸方向外側端部間の分断部分それぞれに、各部を連結する補強部としての補強ブリッジ50が設けられる。
本実施形態における補強ブリッジ50は、第一実施形態における補強ブリッジ20と同様の構成を備えている。
すなわち、補強ブリッジ50は、その連結する各部分(アーム部34b、メインフレーム35)から立設する脚部と、これら脚部間において基板32の表面に平行な方向に形成される梁部とが、ポリシリコン等により一体に構成される。
また、補強ブリッジ50の製造方法についても、第一実施形態における補強ブリッジ20の製造方法と同様の方法を用いることができる。
一方、図8に示すように、力学量検出装置31における配線迂回構成においては、前記分断領域40に、梁構造体33と同じ層位置に架設されて前記長尺部分を補強する連結部59が設けられるとともに、分断領域40に配設される配線41〜43それぞれに、連結部59を通過させる破断部58が形成され、この破断部58に、前記配線41〜43を上方に迂回させるとともに前記破断部58を連係するブリッジ構造としての連係ブリッジ60が架設される。
本実施形態においては、梁構造体33における分断領域40にて、振動子34においてY軸方向に対向するアーム部34bのX軸方向外側端部間の分断部分、及びY軸方向に対向するメインフレーム35のX軸方向外側端部間の分断部分それぞれに、各部を連結する補強部としての連結部59が設けられる。そして、分断領域40に配設される配線41〜43おける、各連結部59に対応する位置に、これら連結部59の延設を許容するための破断部58が形成される。つまり、各配線41〜43に形成される破断部58は、同じ層位置に形成される配線の部分が途切れた部分であり、この破断部58を通過するように前記連結部59が設けられる。
そして、配線41〜43に形成された破断部58を繋いで配線としての機能を確保するため、破断部58にブリッジ構造としての連係ブリッジ60が架設される。つまりこの連係ブリッジ60により、梁構造体33の分断領域40にて設けられる連結部59に対して配線41〜43が上方に迂回させられる。
本実施形態における、配線に形成される破断部58、梁構造体33に設けられる連結部59及び前記破断部58に架設される連係ブリッジ60は、第一実施形態における破断部28、連結部29及び連結ブリッジ30と同様の構成を備えている。
すなわち、連結部59は、アーム部34b間及びメインフレーム35間にて、各配線41〜43に形成される破断部58を通過してY軸方向に延設され各部を繋ぐ同一層の部分により形成される。また、破断部58は、連結部59の延設を許容するように各配線41〜43に形成される。そして、連係ブリッジ60は、その連結する各部分(各配線41〜43における破断部58にて対向する各端部)から立設する脚部と、これら脚部間において基板32の表面に平行な方向に形成される梁部とが、ポリシリコン等により一体に構成される。
また、破断部58、連結部59及び連係ブリッジ60の製造方法についても、第一実施形態における破断部28、連結部29及び連係ブリッジ30の製造方法と同様の方法を用いることができる。
なお、本実施形態における力学量検出装置31においては、一対の振動子34のX軸方向内側においてY軸方向に対向するメインフレーム35間の分断部分においても、梁構造体33の補強部が設けられている(図7「50a」、図8「59a」参照)。
図7に示す梁構造体迂回構成においては、各振動子34のX軸方向内側にて、メインフレーム35のX軸方向内側端部間の分断部分に、前記補強ブリッジ50と同様にして補強部としての補強ブリッジ50aが架設されている。また、図8に示す配線迂回構成においては、同じくメインフレーム35のX軸方向内側端部間の分断部分に、前記連結部59と同様にして補強部としての連結部59aが設けられている。
本実施形態において、これら各振動子34のX軸方向内側に設けられる梁構造体33の各構成における補強部(補強ブリッジ50a、連結部59a)は、配線の配設とは無関係に設けることができることからいずれの構成を用いることができるが、補強ブリッジ50の場合、Y軸方向に対向するメインフレーム35間に梁構造体33の他の部分(サブリンク梁48a等)が形成される位置であってもその部分を上方に迂回して補強部を設けることができるので、力学量検出装置31のコンパクト化が図れる。また、連結部59aの場合、梁構造体33において同じ層構造により一体の部分として補強部を設けることができるので、梁構造体33を補強するに際して容易に高い強度を得ることができる。
本発明の第一実施形態に係る力学量検出装置を示す概略平面図。 図1におけるA−A一部断面図。 ブリッジ構造の製造過程を示す説明図。 本発明の第一実施形態に係る力学量検出装置の別構成を示す概略平面図。 図4におけるB−B一部断面図。 別構成におけるブリッジ構造の製造過程を示す説明図。 本発明の第二実施形態に係る力学量検出装置を示す概略平面図。 本発明の第二実施形態に係る力学量検出装置の別構成を示す概略平面図。 電極部の構成を示す平面図。
符号の説明
1、31 力学量検出装置
2、32 基板
3、33 梁構造体
3a〜3f、33a〜33e 可動電極
4b、34b アーム部
5、35 メインフレーム
9a〜9f、39a〜39e 固定電極
10、40 分断領域
11〜13、41〜43 配線
17 犠牲膜
17a コンタクトホール
18 ブリッジ形成膜
20、50 補強ブリッジ(ブリッジ構造)
28、58 破断部
29、59 連結部
30、60 連係ブリッジ(ブリッジ構造)

Claims (3)

  1. 基板上に浮いた状態に設けられ前記基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、前記基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態で前記梁構造体と同じ層位置に支持されるとともに固定電極を有する配線と、を備え、
    前記梁構造体の変位にともなう前記可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて前記梁構造体に作用する力学量を検出する力学量検出装置であって、
    前記梁構造体に設けられ少なくとも一部が該梁構造体の長尺部分により形成されて前記配線が配設される分断領域に、前記梁構造体を上方に迂回させるとともに前記長尺部分を補強するブリッジ構造を架設したことを特徴とする力学量検出装置。
  2. 基板上に浮いた状態に設けられ前記基板に対して基板表面と平行な方向に変位可能に支持されるとともに可動電極を有する梁構造体と、前記基板上に固着され該基板と電気的に絶縁された状態で前記梁構造体と同じ層位置に支持されるとともに固定電極を有する配線と、を備え、
    前記梁構造体の変位にともなう前記可動電極及び固定電極間の静電容量の変化に基づいて前記梁構造体に作用する力学量を検出する力学量検出装置であって、
    前記梁構造体に設けられ少なくとも一部が該梁構造体の長尺部分により形成されて前記配線が配設される分断領域に、前記梁構造体と同じ層位置に架設されて前記長尺部分を補強する連結部を設けるとともに、前記配線に、前記連結部を通過させる破断部を形成し、該破断部に、前記配線を上方に迂回させるとともに前記破断部を連係するブリッジ構造を架設したことを特徴とする力学量検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の力学量検出装置の製造方法であって、
    前記基板上に絶縁層を介して設けられる表面層をパターニングすることにより前記梁構造体及び前記配線のためのパターン構造を形成する工程と、
    前記パターン構造間を充填するとともに該パターン構造上から所定厚さを有する犠牲膜を形成する工程と、
    前記犠牲膜における、前記ブリッジ構造により連結する部分に対応する部分に、前記パターン構造まで達するコンタクトホールを形成する工程と、
    前記犠牲膜上に、前記コンタクトホールを埋めるとともに所定厚さを有し前記ブリッジ構造を構成するブリッジ形成膜を形成する工程と、
    前記ブリッジ用薄膜をパターニングすることにより、該ブリッジ用薄膜における前記コンタクトホールを埋めた部分同士を連結する前記ブリッジ構造の梁部を形成する工程と、
    前記犠牲膜をエッチングすることにより除去する工程と、
    前記絶縁層をエッチングすることにより、該絶縁層の、前記基板上に前記配線を支持する部分以外の部分を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする力学量検出装置の製造方法。
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