JP2007247767A - 動圧軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動圧軸受装置の小型化を図りつつも、高いモーメント剛性および軸受剛性を得る。
【解決手段】軸受部材の内周面に設けられる動圧発生部4は、複数の第1の動圧溝5および第2の動圧溝6とを備える。第1の動圧溝5は、下流側で流体の合流部11を形成する短寸傾斜部7と長寸傾斜部8とを備える。短寸傾斜部7の円周方向線X1に対する傾斜角は、長寸傾斜部8に比べて小さい。第2の動圧溝6は、下流側で流体の合流部12を形成する短寸傾斜部9と長寸傾斜部10とを備える。短寸傾斜部9の円周方向線X2に対する傾斜角は、長寸傾斜部10に比べて小さい。短寸傾斜部7は、合流部11を基準として動圧発生部4の軸方向一端側(上側)に配設され、短寸傾斜部9は、合流部12を基準として動圧発生部4の軸方向他端側(下側)に配設される。
【選択図】図2

Description

本発明は、動圧軸受装置に関する。
動圧軸受装置は、軸受隙間に生じる流体の動圧作用で軸部材などの回転側部材を回転自在に非接触支持するものである。この種の軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を備えるものであり、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的にはHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるディスクドライブのスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
例えば、HDD用スピンドルモータに組み込まれる動圧軸受装置において、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部の一方または双方を動圧軸受で構成したものが知られている。この場合、軸受スリーブの内周面と、これに対向する軸部材の外周面との何れか一方に動圧発生部を構成する動圧溝が形成されると共に、両面間のラジアル軸受隙間にラジアル軸受部が形成されることが多い。また、軸部材に設けたフランジ部の一端面と、これに対向する軸受スリーブの端面との何れか一方に動圧溝が形成されると共に、両面間のスラスト軸受隙間にスラスト軸受部が形成されることが多い(例えば、特許文献1を参照)。
動圧発生部を構成する動圧溝の形状として、例えば図10に示すように、傾斜方向の異なる一対の傾斜部206、207からなる動圧溝208をへリングボーン形状に配列したものが公知である(例えば、特許文献2を参照)。同文献では、動圧溝208をへリングボーン形状に配列した領域、いわゆる動圧発生部204を、軸方向に離隔して2箇所設けた構成を例示している。この場合、軸部材の回転に伴い、軸受隙間内の流体が傾斜部206、207を介して各動圧発生部204の軸方向中央に位置する平滑部209に向けて流れ込み、平滑部209における流体圧が高められる。
特開2003−239951号公報 特開2003−336636号公報
ところで、最近では、各種情報機器の小型化、携帯化に伴い、これに組み込まれるモータないしは動圧軸受装置に対する小サイズ化の要求が高まっている。上記要求を満たすための手段として例えば動圧軸受装置の薄型化が考えられるが、その場合には、ラジアル軸受部を構成する動圧発生部の軸受面積(軸方向幅)が減少する。その一方で、軸部材等の回転側部材に取り付けられ軸部材と一体に回転する磁気ディスク等の重量は、性能上(容量上)の観点からそれほど小さくはならない。そのため、軸受面積に比して相対的に回転体重量が増加し、これによりモーメント荷重に対する軸振れ性(モーメント剛性)の低下が懸念される。
特許文献2に開示の構成では、傾斜部206、207からなる動圧溝208を円周方向に配列した動圧発生部204が軸方向に離隔して2箇所に設けられているので、ラジアル軸受部の軸受スパンを軸方向に大きくとることができ、高いモーメント剛性が得られるものの、その構成上、どうしても動圧発生部204を設けた部材(例えば軸受スリーブ)の軸方向寸法が大きくなる。そのため、これ以上の動圧軸受装置の薄型化は困難な状況にある。動圧発生部204の数(傾斜部206、207形成領域の数)を1箇所に減らすことで動圧軸受装置の薄肉化は図れるが、これだとモーメント剛性の不足が避けられない。また、薄肉化のために動圧発生部204の軸方向寸法を縮小すると、どうしても傾斜部206、207の溝長さを短くせざるを得ない。これでは、平滑部209で十分な流体圧を得ることができず、場合によっては軸受剛性が不足する恐れが生じる。
本発明の課題は、この種の動圧軸受装置の小型化を図りつつも、高いモーメント剛性および軸受剛性を得ることである。
前記課題を解決するため、本発明は、固定側部材と回転側部材のうち何れか一方の部材の円筒面に、流体の合流部を形成するよう傾斜方向を異ならせた一対の傾斜部を有する動圧溝を円周方向に複数配列してなる動圧発生部を設けた動圧軸受装置において、動圧溝を構成する一対の傾斜部は、互いに溝長さの異なる短寸傾斜部と長寸傾斜部とで構成され、かつ円筒面上の円周方向線に対する短寸傾斜部の傾斜角が、長寸傾斜部の傾斜角よりも小さく、複数の動圧溝は、短寸傾斜部を動圧発生部の軸方向一端側に配置した第1の動圧溝と、短寸傾斜部を動圧発生部の軸方向他端側に配置した第2の動圧溝とからなることを特徴とする動圧軸受装置を提供する。
上述のように、本発明は、一対の傾斜部を有し、かつ動圧発生部を構成する動圧溝を、互いに溝長さの異なる短寸傾斜部と長寸傾斜部とで構成し、この複数の動圧溝のうち一部の動圧溝が、短寸傾斜部を動圧発生部の軸方向一端側に配置した第1の動圧溝で構成され、かつ残りの動圧溝が、短寸傾斜部を動圧発生部の軸方向他端側に配置した第2の動圧溝で構成されることを第1の特徴とする。このように、第1の動圧溝を構成する短寸傾斜部を動圧発生部の軸方向一端側に、また第2の動圧溝を構成する短寸傾斜部を軸方向他端側にそれぞれ配設することで、動圧発生部を構成する動圧溝を、限られた配列領域(円筒面)内で溝長さをなるべく大きくとって配列しつつも、これら第1の動圧溝に設けられる流体の合流部と、第2の動圧溝に設けられる流体の合流部とを軸方向に離隔して形成することができる。これら合流部は、回転側部材の回転時、一対の傾斜部(動圧溝)により高い動圧を生じるので、これにより、回転側部材を、固定側部材の円筒面の、軸方向に離隔した位置でそれぞれ高圧の流体膜を介してラジアル方向に支持することができ、高いモーメント剛性を発揮することが可能となる。
本発明は、また、各動圧溝を構成する短寸傾斜部と長寸傾斜部において、円筒面上の円周方向線に対する短寸傾斜部の傾斜角を、長寸傾斜部の傾斜角よりも小さくしたことを第2の特徴とするものである。一般に、傾斜部(傾斜溝)はその溝長さが長いほど、かかる傾斜部により生じる動圧作用が高まり、一方で、回転側部材の回転方向に沿った線(通常、円周方向線に等しい)に対する傾斜部の傾斜角がある程度小さければ、かかる傾斜部により生じる動圧作用は高くなる傾向にある。本発明は、上述の如く、動圧溝をなす各傾斜部の溝長さや、円筒面の円周方向線に対する傾斜角が流体の動圧作用に大きく影響する点に鑑みて創出されたもので、短寸傾斜部を長寸傾斜部よりも円筒面上の円周方向線の側に傾けることで、双方の傾斜部から合流部に向けて流れ込む流体圧のバランスを保つことができる。そのため、一方の傾斜部により生じた流体動圧が他方の傾斜部に逃げるのを避けて、各傾斜部により生じる流体動圧を余すことなく合流部に形成される流体膜圧の上昇に使用することができる。これにより、動圧溝を、溝長さの異なる一対の傾斜部で構成した場合であっても、流体の合流部に形成される高圧部の圧力を効果的に高めて、優れた軸受剛性を動圧軸受装置に付与することができる。
以上より、薄肉化を狙って、動圧溝配列領域の軸方向幅を従来に比べて縮小した場合であっても、上記双方の特徴を備えた動圧軸受装置であれば、軸方向に離隔して形成された高圧部により高いモーメント剛性を発揮することができ、また、溝長さの異なる傾斜部間で傾斜角を調整することで、双方の傾斜溝から合流部に流れ込む流体圧のバランスを保って、高い軸受剛性を発揮することができる。
第1の動圧溝および第2の動圧溝の配列態様として、例えば双方の動圧溝を円周方向に交互に配列した構成が考えられる。この場合には、第2の動圧溝を介して円周方向に隣接する第1の動圧溝間の距離をなるべく近づけることができ、また、第1の動圧溝を介して円周方向に隣接する第2の動圧溝間の距離をなるべく近づけることができる。これにより、各高圧部(合流部)における流体膜圧の円周方向でのばらつきを小さくして、高い支持力を安定的に発揮することができる。あるいは、双方の動圧溝を複数かつ同数本ずつ交互に配列することもでき、この場合には、動圧発生部(動圧溝配列領域)における動圧溝の配列本数を極力多くとることができる。従って、各高圧部の流体圧をさらに高めて、軸受剛性およびモーメント剛性の一層の向上を図ることができる。もちろん、動圧溝の配列態様は上記構成に限ることなく、例えば一方の動圧溝を2本、他方の動圧溝を1本の順に交互に配列するなど、互いに異なる本数の第1および第2の動圧溝を交互に配列することも可能である。
また、双方あるいは何れか一方の動圧溝の溝深さを、合流部に向けて漸次浅くすることもできる。この構成によれば、傾斜部(傾斜溝)上を流れる流体の動圧作用がより一層高められ、合流部に生じる流体圧をさらに高めることができる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、固定側部材と回転側部材のうち何れか一方の部材の平面に、流体の合流部を形成するよう傾斜方向を異ならせた一対の傾斜部を有する動圧溝を円周方向に複数配列してなる動圧発生部を設けた動圧軸受装置において、動圧溝を構成する一対の傾斜部は、互いに溝長さの異なる短寸傾斜部と長寸傾斜部とで構成され、かつ平面上の円周線に対する短寸傾斜部の傾斜角が、長寸傾斜部の傾斜角よりも小さく、複数の動圧溝は、短寸傾斜部を動圧発生部の半径方向一端側に配置した第1の動圧溝と、短寸傾斜部を動圧発生部の半径方向他端側に配置した第2の動圧溝とからなることを特徴とする動圧軸受装置を提供する。なお、ここでいう平面上の円周線は、回転側部材の回転軸心を中心とする任意の円周線を意味する。
本発明は、固定側部材と回転側部材のうち、何れか一方の部材の平面に動圧発生部を設ける場合にも適用可能であり、動圧発生部を構成する双方の動圧溝のうち、第1の動圧溝を構成する短寸傾斜部を軸方向一端側に、また第2の動圧溝を構成する短寸傾斜部を軸方向他端側にそれぞれ配設することで、各動圧溝の溝長さを極力大きくとりつつも、第1の動圧溝に設けられる流体の合流部と、第2の動圧溝に設けられる流体の合流部とを軸方向に離隔して形成することができる。そのため、これら合流部に、回転側部材の回転時、一対の傾斜部(動圧溝)により高い動圧を生じることで、回転側部材を、固定側部材の平面の、半径方向に離隔した位置でそれぞれ高圧の流体膜を介してスラスト方向に支持することができる。また、各動圧溝を構成する短寸傾斜部と長寸傾斜部とについて、平面上の円周線に対する短寸傾斜部の傾斜角を長寸傾斜部の傾斜角よりも小さくすることで、双方の傾斜部から合流部に向けて流れ込む流体の圧力バランスを保つことができる。これにより、一方の傾斜部(傾斜溝)により生じた流体動圧が他方の傾斜部に逃げるのを避けて、高いスラスト軸受剛性を発揮することができる。
上記構成の動圧軸受装置は、例えば動圧軸受装置と、この動圧軸受装置の回転側部材を回転駆動させる駆動部とを備えたモータとして好適に提供することができる。
以上のように、本発明によれば、この種の動圧軸受装置の小型化を図りつつも、高いモーメント剛性および軸受剛性を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は単に各図における上下方向を便宜的に示すもので、動圧発生部およびこれを備えた動圧軸受装置の設置方向や使用態様等を特定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置1の断面図を示す。同図において、動圧軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2を内周に挿入可能な軸受部材3とを備える。この実施形態において、軸部材2は回転側部材に、軸受部材3は固定側部材にそれぞれ対応する。
軸部材2は軸状をなし、例えばSUS等の金属材料から製作される。外周面2aは断面真円状をなす。後述する軸受部材3の平滑領域13表面とこれに対向する外周面2aとの間には半径方向寸法が一定の隙間空間が形成される。
軸受部材3は円筒状をなすもので、この実施形態では、CuやFe等の金属粉末からなる焼結金属の多孔質体で形成される。軸受部材3の内部空孔には、潤滑油が含浸されている。
軸受部材3の内周面3aの全面あるいは一部領域に動圧発生部4が設けられる。この実施形態では、軸方向両端の斜面部3bを除く内周面3aのほぼ全領域に亘って動圧発生部4が設けられる。
動圧発生部4は、複数の第1の動圧溝5および第2の動圧溝6とを備える。このうち、第1の動圧溝5は、互いに溝長さが異なり、かつ一方(図2で言えば内周面3aの円周方向線X1に対して軸方向上側)に向けて傾斜する短寸傾斜部7と、他方(図2で言えば円周方向線X1に対して軸方向下側)に向けて傾斜する長寸傾斜部8とを備える。両傾斜部7,8は、互いの下流側で流体の合流部11を形成する。このため、短寸傾斜部7は、合流部11を基準として動圧発生部4(ここでは内周面3a)の軸方向一端側(上側)に配設され、長寸傾斜部8は、合流部11を基準として動圧発生部4の軸方向他端側(下側)に配設される。また、短寸傾斜部7の円周方向線X1(図2を参照)に対する傾斜角α1は、長寸傾斜部8の円周方向線X1に対する傾斜角β1に比べて小さい。
同様に、第2の動圧溝6は、互いに溝長さが異なり、かつ他方(図2で言えば内周面3aの円周方向線X2に対して軸方向下側)に向けて傾斜する短寸傾斜部9と、一方(図2で言えば円周方向線X2に対して軸方向上側)に向けて傾斜する長寸傾斜部10とを備える。両傾斜部9、10は、互いの下流側で流体の合流部12を形成する。このため、短寸傾斜部9は、合流部12を基準として動圧発生部4(ここでは内周面3a)の軸方向他端側(下側)に配設され、長寸傾斜部10は、合流部12を基準として動圧発生部4の軸方向一端側(上側)に配設される。また、短寸傾斜部9の円周方向線X2(図2を参照)に対する傾斜角α2は、長寸傾斜部10の円周方向線X2に対する傾斜角β2に比べて小さい。
この実施形態では、第1の動圧溝5を構成する短寸傾斜部7の傾斜角α1は、第2の動圧溝6を構成する短寸傾斜部9の傾斜角α2に等しく、第1の動圧溝5を構成する長寸傾斜部8の傾斜角β1は、第2の動圧溝6を構成する長寸傾斜部10の傾斜角β2に等しい。また、第1の動圧溝5の短寸傾斜部7の溝長さは、第2の動圧溝6の短寸傾斜部9の溝長さに等しく、同様に第1の動圧溝5の長寸傾斜部8の溝長さは、第2の動圧溝6の長寸傾斜部10の溝長さに等しい。
さらに、この実施形態では、第1の動圧溝5の軸方向幅寸法と第2の動圧溝6の軸方向幅寸法とは等しくなっている。また、第1の動圧溝5を構成する短寸傾斜部7の端部7a(上端)と、第2の動圧溝6を構成する長寸傾斜部10の端部10a(上端)とが同一の円周方向線上にあり、第1の動圧溝5を構成する長寸傾斜部8の端部8a(下端)と、第2の動圧溝6を構成する短寸傾斜部9の端部9a(下端)とが同一の円周方向線上にある。すなわち、第1の動圧溝5の両端を円周方向に結んで形成される領域と、第2の動圧溝6の両端を円周方向に結んで形成される領域とは完全に重複している。
上記構成の動圧溝5、6はそれぞれ内周面3aの円周方向に沿って交互に配列される。この実施形態では、第1の動圧溝5と第2の動圧溝6とが円周方向に一本ずつ交互に配列される。円周方向全周に亘って配列される各動圧溝5、6の数は同じである。動圧溝5、6の周囲には、各動圧溝5、6より小径の平滑領域13が形成される。
また、この実施形態では、例えば図3に示すように、第1の動圧溝5を構成する短寸傾斜部7の溝底面7bが、流体導入側の端部7aから流体排出側となる合流部11に向けて内径側に傾斜した形状をなす。また、第1の動圧溝5を構成する長寸傾斜部8の溝底面8bが、流体導入側の端部8aから合流部11に向けて内径側に傾斜した形状をなす。これにより、第1の動圧溝5の溝深さは、合流部11に向けて漸次浅くなっている。同様に、第2の動圧溝6の溝深さは、各傾斜部9、10の端部9a、10aから合流部12に向けて漸次浅くなっている。もちろん、溝深さが溝の長手方向に亘って一定となるよう各動圧溝5、6を形成しても構わない。
上記構成の動圧溝5、6およびその平滑領域13は、例えば軸受部材3の内周面3aを、各動圧溝5、6を成形するための複数の凸部を有する成形型(サイジングピンなど)で圧迫して、かかる形状に内周面3aを変形させることで形成される。
上記構成の動圧軸受装置1において、軸部材(回転側部材)2を、図1中矢印の向き(図2でいえば矢印aの向き)に回転させることで、第1の動圧溝5の表面あるいはその平滑領域13の表面から滲み出た潤滑油(あるいは軸部材2と軸受部材3との半径方向隙間を満たす潤滑油)が端部7aを介して短寸傾斜部7に流れ込む。同様に、平滑領域13などの表面から滲み出た潤滑油が端部8aを介して長寸傾斜部8に流れ込む。流れ込んだ潤滑油は各傾斜部7,8上を合流部11に向けて(それぞれ矢印b1、b2の向きに)流れ、合流部11において最大の動圧を生じる。これにより、平滑領域13の、合流部11の回転方向前方に位置する領域13aと、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に第1の高圧部14が形成される。
同様に、軸部材2の回転に伴い、第2の動圧溝6(短寸傾斜部9および長寸傾斜部10)に流れ込んだ潤滑油は各傾斜部9、10上を端部9a、10aの側から合流部12に向けて(それぞれ矢印c1、c2の向きに)流れ、合流部12において最大の動圧を生じる。これにより、平滑領域13の、合流部12の回転方向前方に位置する領域13bと、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に第2の高圧部15が形成される。
このように、軸部材(回転側部材)2の回転時、軸受部材3の内周面3aに設けられた動圧発生部4と、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に、第1の動圧溝5および第2の動圧溝6による動圧作用が生じる。この際、第1の動圧溝5を構成する短寸傾斜部7を動圧発生部4の軸方向一端側に、また第2の動圧溝6を構成する短寸傾斜部9を軸方向他端側にそれぞれ配設することで、第1の動圧溝5に設けられる合流部11と、第2の動圧溝6に設けられる合流部12とを軸方向に離隔して形成することができる。これにより、第1の動圧溝5の合流部11、すなわち動圧発生部4の軸方向上端側に第1の高圧部14が形成されると共に、第2の動圧溝6の合流部12、すなわち動圧発生部4の軸方向下端側に第2の高圧部15が形成される(図1あるいは図2を参照)。従って、軸部材2を、高圧の潤滑油膜でかつ軸方向に離隔した位置でラジアル方向に非接触支持することができ、高いモーメント剛性を動圧軸受装置1に付与することができる。
また、第1の動圧溝5について、短寸傾斜部7を長寸傾斜部8よりも合流部11上の円周方向線X1の側に傾けて(α1<β1)配設することで、双方の傾斜部7,8から合流部11に向けて流れ込む潤滑油の圧力バランスを保つことができる。そのため、モーメント剛性確保のため、動圧溝5を、溝長さの異なる一対の傾斜部7、8で構成した場合であっても、各傾斜部7,8により生じる流体動圧を余すことなく合流部11に形成される流体膜圧の上昇に使用して、かかる合流部11上に形成される高圧部14の圧力を効果的に高めることができ、これにより軸受剛性の向上を図ることができる。第2の動圧溝6についても同様に、短寸傾斜部9を長寸傾斜部10よりも合流部12上の円周方向線X2の側に傾けて(α2<β2)配設することで、各傾斜部9、10により生じる流体動圧を余すことなく合流部12に形成される流体膜圧の上昇に使用して、合流部12上に形成される高圧部15の圧力を効果的に高めることができる。
加えて、この実施形態では、第1の動圧溝5の軸方向幅寸法と第2の動圧溝6の軸方向幅寸法とを等しくし、かつ、第1の動圧溝5の両端を円周方向に結んで形成される領域と、第2の動圧溝6の両端を円周方向に結んで形成される領域とを完全に重複させた。そのため、従来品(例えば特許文献2に記載の動圧軸受装置)に比べて各傾斜部7〜10の溝長さをできるだけ長く保ちつつも、軸受部材3の軸方向寸法(動圧発生部4の軸方向幅)を狭めることができる。従って、動圧軸受装置1の薄型化(小型化)を図りつつも、各動圧溝5、6による高い動圧作用を発揮して、高いモーメント剛性および軸受剛性を発揮することができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明に係る動圧軸受装置1(動圧発生部4)は、この実施形態に限定されることなく、他の構成を採ることもできる。以下、本発明に係る動圧軸受装置1、具体的には動圧発生部4の他構成を、図4〜図7に基づいて説明する。
上記実施形態では、第1の動圧溝5の軸方向幅寸法と第2の動圧溝6の軸方向幅寸法とが等しく、また、第1の動圧溝5の両端(端部7a、8a)の軸方向位置と、第2の動圧溝6の両端(端部9a、10a)の軸方向位置とを一致させて配列した場合を例示したがこれに限らず、他の配列態様をとることも可能である。図4はその一例を示すもので、第1の動圧溝5を第2の動圧溝6に対して相対的に上方に移行した配列態様をなしている。かかる構成をとることで、双方の合流部11、12(高圧部14、15)の軸方向離間距離を大きくとり、モーメント剛性のさらなる向上を図ることもできる。
また、この場合には、第1の動圧溝5の流体導入部となる長寸傾斜部8の端部8aを、第2の動圧溝6の合流部12に近づけることができるので、かかる合流部12上に形成される第2の高圧部15から漏れた潤滑油を効率良く回収して、第1の動圧溝5へ潤滑油を滞りなく供給することができる。図4では、同様に、第2の動圧溝6の流体導入部となる長寸傾斜部10の端部10aを、第1の動圧溝5の合流部11に近づけた場合を例示している。ただ、あまりに流体導入部(端部8a)を合流部12(高圧部15)に近づけ過ぎると、第2の動圧溝6の合流部12(あるいはその前方領域13b)に集められた潤滑油が第1の動圧溝5の側に逃げてしまう恐れあるため、これらを考慮に入れて、両者8a、12の間隔を適正に設定するのが好ましい。また、この場合には、双方の傾斜部7,8から合流部11に流れ込む潤滑油の圧力バランスを保つ観点から、双方の傾斜部7,8間で溝長さや傾斜角を適宜調整するのがよい。第2の動圧溝6の端部10aと第1の動圧溝5の合流部11との間隔、および傾斜部9、10間での溝長さおよび傾斜角の関係についても同様の観点から適正に設定するのが好ましい。
また、上記実施形態では、動圧溝5を構成する短寸傾斜部7と長寸傾斜部8とを、双方の下流側で連続させ、かかる箇所に流体の合流部11を設けた場合を説明したが、本発明では、双方の傾斜部7,8の下流側で流体の合流部11が形成されるのであれば、必ずしも双方の傾斜部7,8を下流側で連続させる必要はない。例えば図5に示すように、双方の傾斜部7,8の下流側端部の間に平滑領域13を介在させた構成や、図6に示すように、一方の傾斜溝(例えば短寸傾斜部7)の下流側端部を、他方の傾斜溝(例えば長寸傾斜部8)の下流側端部に対して円周方向に相対的に移行した(ずらした)構成なども、本発明による作用効果が得られる範囲内において採用することができる。
また、例えば第1の動圧溝5を構成する一対の傾斜部7,8の溝長さを、第2の動圧溝6を構成する一対の傾斜部9、10の溝長さより大きくすることもでき、この場合には、前者の合流部11に生じる動圧作用を、後者の合流部12に生じる動圧作用と比べて大きくすることができる。かかる構成は、例えば後述のように、軸部材2の一端側に取り付けた他部材(ロータハブハブ103など)の重量が他端側のそれに比べて大きく、動圧発生部4に多大なモーメント荷重が作用する場合などに有効である。
また、第1の動圧溝5における各傾斜部7,8の周方向線X1に対する傾斜角α1、β1や、第2の動圧溝6における各傾斜部9、10の周方向線X2に対する傾斜角α2、β2は、上記実施形態に係る関係(α1=α2、β1=β2)に限定されるものではなく、各合流部11、12において必要とされる動圧作用の大きさに合わせて適宜個別に変更することができる。同様に、各傾斜部7〜10の溝長さやその溝深さについても、上述の観点から適宜個別に変更することができる。
また、上記実施形態では、第1の動圧溝5と第2の動圧溝6とを一本ずつ円周方向に交互に配列した場合を例示したが、これに限ることなく、例えば双方の動圧溝5、6を同数本ずつ交互に配列することもできる。図7はその一例を示すもので、第1の動圧溝5と第2の動圧溝6とが2本ずつ円周方向に交互に配列されている。このように、双方の動圧溝5、6を複数本かつ同数本ずつ交互に配列することで、一本ずつ交互に配列する場合と比べて、動圧発生部4における(単位面積当りの)溝配列本数を増やすことができる。そのため、各動圧溝5、6の合流部11、12上にそれぞれ形成される第1の高圧部14および第2の高圧部15の油膜圧をさらに高めることができる。もちろん、動圧溝5、6の配列態様は上記構成に限ることなく、例えば第1の動圧溝5を3本ずつ、第2の動圧溝6を2本ずつ交互に配列するなど、互いに異なる本数の動圧溝5、6を交互に配列した構成を採ることもできる。一方で、使用時の摩耗を考えれば、適度に動圧溝以外の領域(平滑領域13)が存在する方がよい場合もあるため、かかる観点から動圧溝5、6と丘部(平滑領域13)との面積比を決定するのが好ましい。
また、各動圧溝5、6は、必ずしも内周面3aの全周に亘って設ける必要はなく、主に片当りの状態でラジアル支持する場合には内周面3aの半周領域にのみ設けるなど、用途に応じて、内周面3aの円周方向の一部領域に設けることも可能である。
また、以上の実施形態では、複数の動圧溝5、6を有する動圧発生部4を軸受部材3の内周面3aに設けた場合を説明したが、本発明に係る動圧発生部4は、固定側部材に限らず回転側部材の側(図1でいえば軸部材2の外周面2a)に設けることもできる。
また、本発明に係る動圧発生部4は、上述のように、ラジアル方向に対向する固定側部材と回転側部材の何れか一方の円筒面に設ける他、スラスト方向に対向する固定側部材と回転側部材の何れか一方の平面に設けることもできる。図8はその一例を示すもので、図1に示す軸受部材3の端面3cに動圧発生部24が形成されている。
動圧発生部24は、複数の第1の動圧溝25および第2の動圧溝26とを備える。このうち、第1の動圧溝25は、互いに溝長さが異なり、かつ一方(図8で言えば端面3cの円周線X3に対して半径方向外側)に向けて傾斜する短寸傾斜部27と、他方(図8で言えば円周線X4に対して半径方向内側)に向けて傾斜する長寸傾斜部28とを備える。両傾斜部27、28は、互いの下流側で流体の合流部31を形成する。このため、短寸傾斜部27は、合流部31を基準として動圧発生部24(ここでは端面3c)の半径方向一端側(外径側)に配設され、長寸傾斜部28は、合流部31を基準として動圧発生部24の半径方向他端側(内径側)に配設される。また、短寸傾斜部27の円周線X3(図8を参照)に対する傾斜角α3は、長寸傾斜部28の円周線X3に対する傾斜角β3に比べて小さい。
同様に、第2の動圧溝26は、互いに溝長さが異なり、かつ他方(図8で言えば端面3cの円周線X4に対して半径方向内側)に向けて傾斜する短寸傾斜部29と、一方(図8で言えば円周線X4に対して半径方向外側)に向けて傾斜する長寸傾斜部30とを備える。両傾斜部29、30は、互いの下流側で流体の合流部32を形成する。このため、短寸傾斜部29は、合流部32を基準として動圧発生部24の半径方向他端側(内径側)に配設され、長寸傾斜部30は、合流部32を基準として動圧発生部24の半径方向一端側(外径側)に配設される。また、短寸傾斜部29の円周線X4(図8を参照)に対する傾斜角α4は、長寸傾斜部30の円周線X4に対する傾斜角β4に比べて小さい。
上記構成の動圧溝25、26はそれぞれ端面3cの円周方向に沿って交互に配列される。この実施形態では、第1の動圧溝25と第2の動圧溝26とが円周方向に一本ずつ交互に配列される。円周方向全周に亘って配列される各動圧溝25、26の数は同じである。動圧溝25、26の周囲には、各動圧溝25、26より小径の平滑領域33が形成される。
この場合、図示は省略するが、例えば外周面2aから外径側に張り出したフランジ部を一体又は別体に備えた軸部材2を軸受部材3の内周に挿入し、軸受部材3に対して図8中矢印dの方向に回転させることで、平滑領域13などの表面から滲み出た潤滑油が端部27aを介して短寸傾斜部27に流れ込む。同様に、潤滑油が端部28aを介して長寸傾斜部28に流れ込む。流れ込んだ潤滑油は各傾斜部27、28上を合流部31に向けて流れ、合流部31において最大の動圧を生じる。これにより、平滑領域33の、合流部31の回転方向前方に位置する領域33aと、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に第1の高圧部34が形成される。
同様に、軸部材2の回転に伴い、第2の動圧溝26(短寸傾斜部29および長寸傾斜部30)に流れ込んだ潤滑油は各傾斜部29、30上を端部29a、30aの側から合流部32に向けて流れ、合流部32において最大の動圧を生じる。これにより、平滑領域33の、合流部32の回転方向前方に位置する領域33bと、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に第2の高圧部35が形成される。
このように、軸部材(回転側部材)2の回転時、軸受部材3の端面3cに設けられた動圧発生部24と、これに対向する軸部材2の外周面2aとの間に、第1の動圧溝25および第2の動圧溝26による動圧作用が生じる。この際、第1の動圧溝25を構成する短寸傾斜部27を動圧発生部24の半径方向一端側に、また第2の動圧溝26を構成する短寸傾斜部29を半径方向他端側にそれぞれ配設することで、第1の動圧溝25に設けられる合流部31と、第2の動圧溝26に設けられる合流部32とを半径方向に離隔して形成することができる。これにより、第1の動圧溝25の合流部31、すなわち動圧発生部24の外径側に第1の高圧部34が形成されると共に、第2の動圧溝26の合流部32、すなわち動圧発生部24の内径側に第2の高圧部35が形成される(図8を参照)。従って、軸部材2を、高圧の潤滑油膜でかつ半径方向に離隔した位置でスラスト方向に非接触支持することができ、高いモーメント剛性を動圧軸受装置1に付与することができる。
また、第1の動圧溝25について、短寸傾斜部27を長寸傾斜部28よりも合流部31上の円周線X3の側に傾けて配設することで、双方の傾斜部27、28から合流部31に向けて流れ込む潤滑油の圧力バランスを保つことができる。これにより、モーメント剛性確保のため、動圧溝25を、溝長さの異なる一対の傾斜部27、28で構成した場合であっても、各傾斜部27、28により生じる流体動圧を余すことなく合流部31に形成される流体膜圧の上昇に使用して、かかる合流部31上に形成される高圧部34の圧力を効果的に高めることができ、これにより軸受剛性の向上を図ることができる。第2の動圧溝26についても同様に、短寸傾斜部29を長寸傾斜部30よりも合流部32上の円周線X4の側に傾けて配設することで、各傾斜部29、30により生じる流体動圧を余すことなく合流部32に形成される流体膜圧の上昇に使用して、合流部32上に形成される高圧部35の圧力を効果的に高めることができる。なお、各動圧溝25、26の形状やサイズ、配置態様について、上記動圧溝5、6と同様の構成が可能である。
以上説明した動圧発生部4、24を備えた動圧軸受装置は、例えば電子機器冷却用のファンモータに組み込んで使用可能である。以下、本発明に係る動圧軸受装置を上記モータ用のスピンドルに適用した構成例を、図9に基づいて説明する。なお、図1〜図8に示す実施形態と構成・作用を同一にする部位および部材については、同一の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図9は、動圧軸受装置101を組み込んだモータ100の断面図を示している。このモータ100は、軸部材102を回転自在に非接触支持する動圧軸受装置101と、軸部材102の一端に装着されたロータハブ(この図示例ではファンインペラ)103と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル104aおよびロータハブマグネット104bとからなる駆動部104と、ロータハブ103を収容し、かつ冷却すべき部品(図9中1点鎖線で示す部品)に取り付けられたベース部105とを備えている。ロータハブ103の外径側には複数枚のファン106が円周方向に亘って立設されている。ベース部105の外壁部105aの円周方向一部領域には開口部105bが設けられている。この開口部105bは、モータ100の駆動時、外径側に送られる排気流の排気口として作用する。また、外壁部105aの上端には内径側に向けて延びた環状部105cが設けられ、この環状部105cの内周には孔105dが形成されている。
ステータコイル104aに通電すると、ステータコイル104aとロータハブマグネット104bとの間の励磁力でロータハブマグネット104bが回転し、それによって、ロータハブ103およびロータハブ103に立設された複数枚のファン106が軸部材102と一体に回転する。この回転により、各ファン106は外径方向(図9中矢印Aの方向)への気流を生じ、この気流に引き込まれる形で、孔105dから吸気流が軸方向下側(図9中矢印Bの方向)に向けて生じる。その一方で、外径方向への気流により押し出される形で、排気流が図9中矢印Cの方向に生じ、外壁部105aに設けられた開口部105bを介して外部に排出される。
この実施形態において、動圧軸受装置101は、ベース部105に取り付けられるハウジング107と、ハウジング107の内周に位置する軸受部材3と、軸受部材3の内周に挿入される軸部材102と、シール部108とを備えている。この場合、軸部材102おおよび軸部材102の一端に取り付けられるロータハブ103とが回転側部材に対応する。また、軸受部材3とハウジング107、およびシール部108とが固定側部材に対応する。
軸受部材3の内周面3aの全面又は一部領域には、第1の動圧溝5および第2の動圧溝6を例えば図2に示すように配列した領域(動圧発生部4)が設けられている。軸部材102の他端面102bは略球面状をなし、軸部材102を軸受部材3の内周に挿入した状態では、対向するハウジング107の底部107aの上端面107a1に当接する。これ以外の構成は、上記実施形態における記載に準じるので説明を省略する。
上記構成の軸部材102を軸受部材3の内周に挿入し、軸受部材3と軸部材102との間の半径方向隙間の大気解放側(シール部108の側)から潤滑油を注油する。これにより、軸受部材3の内部空孔を含む軸受内部空間を潤滑油で充満した動圧軸受装置101が完成する。
上記構成の動圧軸受装置101において、軸部材102の回転時、軸受部材3の動圧発生部4とこれに対向する軸部材102の外周面102aとの間の潤滑油が第1の動圧溝5上(短寸傾斜部7および長寸傾斜部8上)を合流部11に向けて流れ(図2を参照)、合流部11で最大の動圧を生じる。これにより、動圧発生部4の軸方向上端とこれに対向する軸部材102の外周面102aとの間に第1高圧部110が形成される。同様に、第2の動圧溝6による動圧作用が第2の動圧溝6(短寸傾斜部9および長寸傾斜部10)の合流部12で最大となり、動圧発生部4の軸方向下端と軸部材2の外周面102aとの間に第2の高圧部109が形成される。従って、これら第1および第2の高圧部109、110とで軸部材102がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。同時に、軸部材102の他端面102bが、これに対向する底部107aの上端面107a1により接触支持(ピボット支持)され、これにより軸部材102がスラスト方向に回転自在に支持される。
以上より、この実施形態に係る動圧軸受装置1であれば、高圧の潤滑油膜(第1の高圧部109と第2の高圧部110)でかつこれらを軸方向に離隔した位置で非接触支持することができ、高いモーメント剛性を得ることができる。また、第1の動圧溝5を構成する短寸傾斜部7を長寸傾斜部8よりも内周面3a上の円周方向線X1の側に傾けることで、双方の傾斜部7,8から合流部11に向けて流れ込む流体の圧力バランスを保ち、各傾斜部7,8により生じる流体動圧を余すことなく合流部11に形成される流体膜圧の上昇に使用することができる。第2の動圧溝6についても同様のことがいえる。これにより合流部11、12上に形成される高圧部14、15の圧力を効果的に高めることができ、軸受剛性の向上を図ることができる。従って、薄型化(小型化)を図りつつも、高いモーメント剛性および軸受剛性を備えた動圧軸受装置101およびこれを備えたモータ100を長期に亘って安定的に使用することができる。
上記構成の動圧軸受装置101は、上記タイプのファンモータ(シロッコファンモータ)だけでなく、例えばクロスフローファン用モータや軸流ファン用モータなど、携帯機器等に搭載され、更なる小型化が要求されるファンモータ用の軸受装置として好適に適用可能である。もちろん、これらファンモータ以外にも、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等の情報機器に搭載されるスピンドルモータ用の軸受装置として、またレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータなど、種々のモータ用軸受装置として使用可能である。
なお、上記実施形態では、軸受部材3を、焼結金属の多孔質体で形成した場合を例示したが、特にこの構成に限る必要はない。例えば図示は省略するが、軸受部材3を電鋳部と成形部とで構成し、軸受面となる動圧発生部4の各動圧溝5、6、および平滑領域13表面を含む箇所を電鋳部で形成したものを使用することもできる。この場合、例えば動圧発生部4の各動圧溝5、6および平滑領域13は、マスターへの電鋳加工により一体に形成される。また、軸受部材3は、マスターと一体又は別体の電鋳部をインサート部品として例えば樹脂で一体に射出成形することができる。
また、軸受部材3を非多孔質の金属材料で形成したり、摺動性や耐摩耗性を高めた樹脂組成物で形成することもできる。あるいは、軸受部材3をインサート部品としてハウジング107と一体に樹脂で成形し、または軸受部材3とハウジング107とを同じ材料で一体に形成することもできる。さらに、図9に例示のモータ100でいえば、ベース部105を軸受部材3やハウジング107と一体に形成することも可能である。何れにしても、樹脂で成形する場合には、上記電鋳部をインサート部品とする射出成形が可能である。また、図9に例示のファンモータ100であれば、ベース部105の材料に、ファンの冷却効率を考慮して、なるべく熱伝導性の良好な材料で形成するのがよい。
なお、図9では、軸部材102をいわゆるピボット軸受で支持した場合を例示しているが、例えば図8に示す形状の動圧発生部24を軸受部材3の端面3cあるいはこれに対向する面に設け、この対向面間に生じる高圧部34、35で軸部材2をスラスト方向に非接触支持することも可能である。
また、以上の実施形態では、動圧軸受装置1、101の内部に充満し、各動圧溝5、6による動圧作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも動圧作用を生じ得る流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置の断面図である。 軸受部材の内周面に設けた動圧発生部を周方向に展開した図である。 軸受部材の図2におけるA−A断面図である。 動圧発生部の他の構成を示す展開図である。 動圧発生部の他の構成を示す展開図である。 動圧発生部の他の構成を示す展開図である。 動圧発生部の他の構成を示す展開図である。 スラスト方向に動圧発生部を設けた軸受部材の下端面図である。 動圧軸受装置を組込んだファンモータの一構成例を示す断面図である。 従来の動圧発生部を示す展開図である。
符号の説明
1、101 動圧軸受装置
2、102 軸部材
3 軸受部材
3a 内周面
3c 端面
4、24 動圧発生部
5、25 第1の動圧溝
6、26 第2の動圧溝
7、27 短寸傾斜部(第1の動圧溝)
8、28 長寸傾斜部(第1の動圧溝)
9、29 短寸傾斜部(第2の動圧溝)
10、30 長寸傾斜部(第2の動圧溝)
11、31 合流部(第1の動圧溝)
12、32 合流部(第2の動圧溝)
13、33 平滑領域
X1、X2 円周方向線
X3、X4 円周線

Claims (5)

  1. 固定側部材と回転側部材のうち何れか一方の部材の円筒面に、流体の合流部を形成するよう傾斜方向を異ならせた一対の傾斜部を有する動圧溝を円周方向に複数配列してなる動圧発生部を設けた動圧軸受装置において、
    前記動圧溝を構成する一対の傾斜部は、互いに溝長さの異なる短寸傾斜部と長寸傾斜部とで構成され、かつ前記円筒面上の円周方向線に対する前記短寸傾斜部の傾斜角が、前記長寸傾斜部の傾斜角よりも小さく、
    前記複数の動圧溝は、前記短寸傾斜部を前記動圧発生部の軸方向一端側に配置した第1の動圧溝と、前記短寸傾斜部を前記動圧発生部の軸方向他端側に配置した第2の動圧溝とからなることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 固定側部材と回転側部材のうち何れか一方の部材の平面に、流体の合流部を形成するよう傾斜方向を異ならせた一対の傾斜部を有する動圧溝を円周方向に複数配列してなる動圧発生部を設けた動圧軸受装置において、
    前記動圧溝を構成する一対の傾斜部は、互いに溝長さの異なる短寸傾斜部と長寸傾斜部とで構成され、かつ前記平面上の円周線に対する前記短寸傾斜部の傾斜角が、前記長寸傾斜部の傾斜角よりも小さく、
    前記複数の動圧溝は、前記短寸傾斜部を前記動圧発生部の半径方向一端側に配置した第1の動圧溝と、前記短寸傾斜部を前記動圧発生部の半径方向他端側に配置した第2の動圧溝とからなることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 前記第1および第2の動圧溝を円周方向に交互に配列した請求項1又は2記載の動圧軸受装置。
  4. 前記第1および第2の動圧溝の双方あるいは何れか一方の溝深さを、前記合流部に向けて漸次浅くした請求項1又は2記載の動圧軸受装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の動圧軸受装置と、この動圧軸受装置の回転側部材を回転駆動させる駆動部とを備えたモータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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