JP2007247040A - マスク用部材 - Google Patents

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清志 林
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Abstract

【課題】耐久性に優れたマスク用部材を提供すること。
【解決手段】電子部品用部材を挿入保持する複数の保持孔31を有する弾性部材3と、複数の貫通孔21を有し、前記保持孔31が前記貫通孔21を貫通するように、前記弾性部材3に内蔵される補強部材2とを備え、挿入保持した前記電子部品用部材をめっきするのに使用されるマスク用部材1であって、前記補強部材2は、前記貫通孔21の開口部近傍22に、曲面部又は面取部23を有することを特徴とするマスク用部材1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マスク用部材に関し、さらに詳しくは、耐久性に優れたマスク用部材に関する。
コンピュータ、デジタルビデオカメラ関連機器、デジタルスチルカメラ関連機器、コンパクトディスク関連機器、ミニディスク関連機器、デジタルバーサタイルディスク(DVD)関連機器、移動体通信関連機器等のポータブル機器等に使用される電子部品、例えば、インダクタ等は、プリント回路基板等に実装され、発振回路の構成要素等として、ポータブル機器等に実装される。例えば、インダクタは、一般に、電子部品用部材に、無電解めっき法等によって内部電極が形成され、コイルが螺巻され、さらに所望により外部電極等が形成されて、ポータブル機器等に実装される。
これらの電子部品は、年々、小型化及び/又は薄型化されており、その製造方法には、生産性と製品の均質性とを両立させることが求められている。生産性と、製品の均質性、例えば、形成される内部電極における品質の均一性とを向上させることのできる電子部品の製造方法、特に電子部品用部材にめっき法等によって内部電極を形成する方法等として、電子部品用部材を保持するマスク用部材を使用する方法がある。このようなマスク用部材として、例えば、図8及び図9に示されるように、弾性部材60と、前記弾性部材60に形成され、電子部品用部材を挿入して前記電子部品用部材外表面の一部をマスクする穴部61とを有し、前記弾性部材60は、前記穴部61を開口する開口部を備えた平板状の補強部材62(図8において図示しない。)を内包していることを特徴とするマスク用部材7が挙げられる(特許文献1の請求項11参照。)。このマスク用部材7を用いて電子部品用部材をめっきする方法として、「弾性体で形成されたマスク用部材に設けた穴部に電子部品用部材を挿入してめっき液に浸漬し、前記マスク用部材をマスクとして前記マスク用部材と接触しない前記電子部品用部材外表面をめっきすることを特徴とする電子部品のめっき方法」が、特許文献1に記載されている(特許文献1の請求項1参照。)。
これらのマスク用部材は、電子部品用部材と弾性部材とが接している部分をめっき液からマスクする必要があるから、穴部の内径は電子部品用部材の外径よりも小さく形成されている。したがって、電子部品用部材のめっき工程等において、弾性部材は、弾性部材の弾性力に反して、その穴部に電子部品用部材が強制的に挿入され、めっきされた電子部品用部材が穴部から強制的に抜き取られる。
そうすると、このように強制的に挿入され、又は抜き取られた電子部品用部材によって、弾性部材は押圧され、又は引っ張られて弾性変形するから、特に弾性部材の穴部近傍において、弾性部材に亀裂が生じて破損し、又は、弾性部材が補強部材から剥離し、さらには、破損部分又は剥離部分から弾性部材の劣化及び/又は補強部材の劣化若しくは腐食が進行し、その結果、これらのマスク用部材を多数回にわたって使用することができないという問題があった。そのため、電子部品の製造方法、特に電子部品用部材をめっきする方法においても、多数回にわたって使用することができる、耐久性に優れたマスク用部材が求められていた。
特開2005−256035号公報
この発明は、このような従来の問題点を解消し、耐久性に優れたマスク用部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、電子部品用部材を挿入保持する複数の保持孔を有する弾性部材と、複数の貫通孔を有し、前記保持孔が前記貫通孔を貫通するように、前記弾性部材に内蔵される補強部材とを備え、挿入保持した前記電子部品用部材から電子部品を製造するのに使用されるマスク用部材であって、前記補強部材は、前記貫通孔の開口部近傍に、曲面部又は面取部を有することを特徴とするマスク用部材であり、
請求項2は、前記補強部材は、その縁部に、曲面部又は面取部を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク用部材であり、
請求項3は、前記曲面部は、垂直断面における曲率半径Rが、0.05mm以上、前記補強部材の厚さの半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のマスク用部材であり、
請求項4は、前記弾性部材は、シリコーンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク用部材である。
この発明に係るマスク用部材は、電子部品を製造する際に使用されても、補強部材が貫通孔の開口部近傍に曲面部又は面取部を有しているから、電子部品用部材を弾性部材の保持孔に強制的に挿入し、及び抜き取っても、弾性変形した弾性部材の押圧力及び引張力等の力が貫通孔の開口部近傍に集中することを防止することができる。また、電子部品の製造又は保管等において、マスク用部材に衝撃が与えられても、この衝撃が貫通孔の開口部近傍に集中することを防止することができる。その結果、貫通孔の開口部近傍に位置する弾性部材は破損も剥離もしにくく、弾性部材における劣化及び補強部材における劣化又は腐食の進行を効果的に抑制することができる。したがって、この発明によれば、電子部品の製造方法、特に電子部品用部材をめっきする方法において、多数回にわたって使用することができる、耐久性に優れたマスク用部材を提供することができる。
この発明の一実施例であるマスク用部材を、図面を参照して、説明する。このマスク用部材1は、電子部品の製造方法、例えば、電子部品用部材をめっきする工程等の製造工程に加えて、電子部品用部材又は電子部品(この発明において、電子部品用部材には電子部品を含み、以下、電子部品用部材等と称することがある。)を保持して、搬送する工程又は保存等に使用される。このマスク用部材は、電子部品用部材をめっきする工程に特に有利に使用される。
ここで、電子部品としては、例えば、インダクタ、コンデンサ、抵抗器等が挙げられ、電子部品の材料である電子部品用部材としては、例えば、インダクタの場合には、フェライト等で形成された、角柱状及び円柱状等の筒部からなる筒状体、若しくは、角柱状及び円柱状等の筒部の少なくとも一端部に鍔部を有する垂直断面T字型及びH字型の筒状体(例えば、図5に示すフェライトコア5参照。)等のフェライトコア、薄板状体をなすフェライトコア等が挙げられる。これらの電子部品用部材等の大きさは、特に限定されないが、近年の小型化及び/又は薄型化された電子部品用部材等においては、電子部品用部材等は、例えば、フェライトコアとして、前記筒部の直径又は側面の幅が0.5mm、前記筒部の高さ(長さ)が1.0mm程度で、前記鍔部の側面の幅が0.9mm、前記鍔部の高さ(長さ)が0.3mm程度である、前記垂直断面H字型の筒状体フェライトコアが挙げられる。
マスク用部材1は、図1及び図2に示されるように、電子部品用部材(図1及び図2に図示しない。例えば、図5参照。)を挿入保持する複数の保持孔31を有する弾性部材3と、複数の貫通孔21を有し、保持孔31が貫通孔21を貫通するように、弾性部材3に内蔵される補強部材2とを備えて成る。
補強部材2は、後述する弾性部材3を平滑な形状に維持する。補強部材2は、図1及び図2に示されるように、矩形の板状体をなし、補強部材2を貫通する複数の貫通孔21を有している。補強部材2に貫通孔21が形成されていることによって、電子部品用部材等を、弾性部材3の保持孔31に容易に挿入し、保持孔31から容易に取り外すことができる。貫通孔21は、図1及び図2に示されるように、後述する弾性部材3における保持孔31が配列されたパターンと同一のパターンで穿孔され、図1に示される補強部材2においては、貫通孔21が縦横に所定の間隔をおいて碁盤目状に配列されている。なお、補強部材2の四隅それぞれには、作業性等を考慮して、3個の貫通孔が形成されていない。
貫通孔21の配列間隔は、前記電子部品用部材等である筒状体における筒部の直径又は側面の幅(以下、筒部の直径又は側面幅と称することがある。)及び筒部の高さ(長さ)、鍔部の大きさ等によって、任意に調整することができ、好ましくは、生産効率がよく、かつ、保持孔31に電子部品用部材等を容易に挿入し、取り外すことができる程度の間隔に調整される。例えば、貫通孔21の配列間隔は、前記筒部の直径又は側面幅に対して4〜10倍程度に調整され、より具体的には、前記筒部の直径又は側面幅が0.5mm、筒部の高さ(長さ)が1.0mm程度の大きさを有する電子部品用部材等の場合には、貫通孔21の縦横の配列間隔は2〜5mm程度に調整される。
貫通孔21(開口部近傍22を除く)の内径(すなわち、最小径)は、前記筒部の直径又は側面幅及び筒部の高さ(長さ)、鍔部の大きさ等によって、任意に調整することができ、好ましくは、保持孔31に電子部品用部材等を容易に挿入し、取り外すことができる程度の内径に調整される。例えば、貫通孔21の内径は、電子部品用部材等における保持孔31に挿入される筒部の直径又は側面幅に対して3〜9倍程度に調整され、より具体的には、前記筒部の直径又は側面幅が0.5mm、筒部の高さ(長さ)が1.0mm程度の大きさを有する電子部品用部材等の場合には、貫通孔21の内径は、1.5〜4.5mm程度に調整される。なお、貫通孔21の内径は、貫通孔21が円形断面である場合だけではなく、多角形断面である場合をも含む。
この貫通孔21は、図1及び図2に示されるように、貫通孔21の垂直断面(軸線断面、図2参照。)において、その開口部近傍22に、曲面部又は面取部23を有している。この曲面部又は面取部23は、貫通孔21の開口部近傍22に、貫通孔21の垂直断面において直角部又は鋭角部が存在しないように、形成され、貫通孔21の周方向に一巡している。換言すると、図4を参照して後述するように、貫通孔21の垂直断面に存在する角部において、この角部を形成する2つの平面がなす角の外角が直角未満、好ましくは50°以下、より好ましくは40°以下になるように、形成され、貫通孔21の周方向に一巡している。さらに言うと、貫通孔21は、貫通孔21の軸方向中心部から開口部に向けて、開口部近傍22の内径が、連続して及び/又は不連続に、漸次大きくなるように、形成されている。このように、貫通孔21が、その両開口部近傍22に曲面部又は面取部23を有していると、電子部品用部材等を弾性部材3の保持孔31に強制的に挿入し、及び抜き取っても、弾性変形した弾性部材3の押圧力及び引張力等の力が貫通孔21の開口部近傍22に集中することを防止し、開口部近傍22に生じたこれらの力を、開口部近傍22の周囲の弾性部材3に分散させることができる。また、電子部品の製造又は保管等において、マスク用部材1に衝撃が与えられても、この衝撃が貫通孔21の開口部近傍22に集中することを防止し、開口部近傍22に与えられた衝撃を、開口部近傍22の周囲の弾性部材3に分散させることができる。したがって、貫通孔21の開口部近傍22に位置する弾性部材3は破損も剥離もしにくく、弾性部材3における劣化及び補強部材における劣化又は腐食の進行を効果的に抑制することができる。
図2に示される貫通孔21は、その両開口部近傍22に、貫通孔21の垂直断面において平滑な面取部23、すなわち、テーパー面が、貫通孔21の周方向に一巡するように、形成されている。すなわち、この貫通孔21は、直角部又は鋭角部を有せず、鈍角部を有し、この鈍角部を形成する2つの平面がなす角の外角が直角未満である開口部近傍22を有し、この開口部近傍22は、貫通孔21の軸方向中心部から開口部に向けて、その内径が連続して漸次大きく成っている。
貫通孔21の開口部近傍22に形成される曲面部又は面取部23の別の一例が、図3及び図4に示されている。なお、図3及び図4においては、補強部材2のみが示されている。
図3(a)に示される曲面部又は面取部23aは、その両開口部近傍22aに、貫通孔21aの垂直断面において特定の曲率半径Raを有する曲面が、貫通孔21aの周方向に一巡するように、形成されている。ここで、曲率半径Raは、例えば、0.05mm以上、補強部材2の厚さtの半分以下であるのがよい。すなわち、貫通孔21aは、直角部又は鋭角部を有してなく、この開口部近傍22aは、貫通孔21aの軸方向中心部から開口部に向けて、その内径が連続して漸次大きく成っている。
図3(b)に示される曲面部又は面取部23bは、貫通孔21bの軸方向全体にわたって、貫通孔21bの垂直断面において特定の曲率半径Rbを有する曲面が、貫通孔21bの周方向に一巡するように、形成されている。ここで、曲率半径Rbは、例えば、補強部材2の厚さtの半分以上、その1倍以下であるのがよい。すなわち、貫通孔21bは、直角部又は鋭角部を有してなく、この開口部近傍22bは、貫通孔21bの軸方向中心部から開口部にかけて、その内径が連続して漸次大きく成っている。
図3(c)に示される曲面部又は面取部23cは、図2に示される貫通孔21における開口部近傍22に形成された角部に、特定の曲率半径Rcを有する曲面が形成されている。ここで、曲率半径Rcは、例えば、0.05mm以上、補強部材2の厚さtの半分以下であるのがよい。すなわち、貫通孔21cは、直角部又は鋭角部を有してなく、この開口部近傍22cは、貫通孔21cの軸方向中心部から開口部に向けて、その内径が連続して漸次大きく成っている。
図4に示される曲面部又は面取部23dは、その両開口部近傍22dに、貫通孔21dの垂直断面において、直角部又は鋭角部が存在しないように、平滑な面取部23d、23d及び23d、すなわち、3種のテーパー面が、貫通孔21dの周方向に一巡するように、形成されている。すなわち、図4に示されるように、貫通孔21dの垂直断面に存在する角部それぞれにおいて、各角部を形成する2つの平面がなす角の外角θ、θ、θ及びθが何れも、直角未満、好ましくは50°以下、より好ましくは40°以下になるように、形成されている。すなわち、貫通孔21dは、貫通孔21dの軸方向中心部から開口部に向けて、開口部近傍22dの内径が、連続して及び/又は不連続に、漸次大きく成っている。
曲面部又は面取部23は、前記した例に限定されるものではなく、例えば、2種又は4種以上のテーパー面が貫通孔21の周方向に一巡するように形成されていてもよく、前記した例を任意に組み合わせてもよい。
開口部近傍22は、弾性変形した弾性部材3の押圧力及び引張力等の力、並びに、衝撃を貫通孔21の開口部近傍22に集中することを効果的に防止することができる点で、例えば、図4に示される開口部近傍22dのように、複数の面取部23dで形成されているのが好ましく、より均一にこれらの力及び衝撃を分散させ、開口部近傍22に集中することをより一層効果的に防止することができる点で、図3(a)〜図3(c)に示される開口部近傍22a〜22cのように、貫通孔21の開口部近傍22に角部が存在しないのが特に好ましい。
貫通孔21及び開口部近傍22を水平面で切断したときの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形、多角形等の形状を任意に選択することができるが、前記力及び衝撃を開口部近傍22に集中することを効果的に防止することができる点で、角部を有していないのがよく、保持孔31の断面形状と同一形状に形成されるのが特によい。マスク用部材1においては、貫通孔21及び開口部近傍22の断面形状は何れも略円形とされている。
補強部材2は、図2に示されるように、その縁部に、特に縁部全体にわたって、曲面部又は面取部24を有しているのが好ましい。この曲面部又は面取部24は、補強部材2の縁部に、補強部材2の垂直断面において直角部又は鋭角部が存在しないように、形成される。換言すると、曲面部又は面取部24は、補強部材2の垂直断面に存在する角部において、この角部を形成する2つの平面がなす角の外角が直角未満、好ましくは50°以下、より好ましくは40°以下になるように、形成される。さらに言うと、補強部材2は、その軸方向中心部から表面に向けて、補強部材2における水平方向の全長が、連続して及び/又は不連続に、漸次小さくなるように、形成されている。このような曲面部又は面取部24は、補強部材2におけるすべての縁部に形成されるのが特に好ましい。
曲面部又は面取部24は、例えば、図2に示されるように、曲面部又は面取部23と同一形状に形成されても、例えば、図3(a)〜(c)に示されるように、曲面部又は面取部23と異なる形状に形成されてもよい。
補強部材2は、弾性部材3を平滑な形状に維持することのできる材質で形成されていればよく、このような材質として、金属及び樹脂等が挙げられる。具体的には、金属として、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム合金、ニッケル合金等が挙げられ、樹脂として、例えば、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等が挙げられる。補強部材2は、加工性、操作性の観点から、ステンレス鋼、ポリフェニレンスルフィド樹脂で形成されるのがよい。
補強部材2は、後述する弾性部材3の厚さ、電子部品用部材等における筒部の高さ(長さ)及び生産性等を考慮して、その大きさ及び厚さが設定される。補強部材の厚さtは、例えば、筒部の高さが1.0mm程度である電子部品用部材等の場合には、0.5〜1mmに設定される。
弾性部材3は、図1及び図2に示されるように、矩形の板状体をなし、電子部品用部材等を挿入保持、好ましくは貫入保持する複数の保持孔31を有する。この弾性部材3は、補強部材2を被覆し、すなわち、補強部材2を内蔵して、保持孔31に強制的に挿入、好ましくは貫入された電子部品用部材等を、保持する。弾性部材3は、図2に示されるように、補強部材2の貫通孔21内に貫入しているのが、弾性部材3と補強部材2との密着性に優れ、電子部品用部材等の挿入及び抜き取りが容易に行える点で、好ましい。
弾性部材3は、電子部品用部材等を挿入及び/又は抜き取る際に弾性変形するから、所定の伸びを有しているのが好ましい。例えば、弾性部材3は、JIS K6249に規定の切断時伸び(引張速度500mm/min)が、200〜1000%であるのが好ましく、500〜900%であるのがより好ましく、700〜800%であるのが特に好ましい。弾性部材3が前記範囲の切断時伸びを有していると、電子部品用部材等を保持孔31に容易に挿入することができ、また保持孔31から容易に抜き取ることができると共に、マスク効果にも優れる。
また、弾性部材3は、電子部品用部材等を挿入及び/又は抜き取る際に破損しないように、所定の引張強さを有しているのが好ましい。例えば、弾性部材3は、JIS K6249に規定の引張強さ(引張速度500mm/min)が、5〜15MPaであるのが好ましく、7〜14MPaであるのがより好ましく、8〜12MPaであるのが特に好ましい。弾性部材3が前記範囲の引張強さを有していると、電子部品用部材等を保持孔31に挿入し、及び保持孔31から抜き取る際に、弾性部材が破損することを防止することができる。
さらに、弾性部材3は、電子部品用部材等を挿入及び/又は抜き取る際に弾性変形する必要があるから、所定の硬度を有しているのが好ましい。例えば、弾性部材3は、JIS K6253に規定の硬度(JIS A)が、20〜60であるのが好ましく、22〜40であるのがより好ましく、25〜35であるのが特に好ましい。弾性部材3が前記範囲の硬度を有していると、電子部品用部材等を保持孔31に容易に挿入することができ、また保持孔31から容易に抜き取ることができる。
特に、弾性部材3は、所望のように容易に電子部品用部材等を挿入及び/又は抜き取ることができ、このときに破損しにくい点で、前記範囲の切断時伸び、引張強さ及び硬度を有しているのが好ましい。
弾性部材3は、電子部品の製造方法、例えば、電子部品用部材のめっき工程等に使用されるから、製品の均質性を実現し、また、弾性部材3の表面がめっきされないように、その表面は平滑であるのが好ましく、鏡面とされているのがより好ましい。その表面を鏡面にするには、弾性部材3を鏡面金型によって成形する方法、成形後の表面を常法に従って研磨処理する方法等を選択すればよい。
弾性部材3に形成された保持孔31は、図1及び図2に示されるように、所定のパターンで穿孔され、弾性部材3を貫通している。保持孔31は、縦横に所定の間隔をおいて碁盤目状に配列され、その四隅それぞれには、作業性等を考慮して、3個の貫通孔が形成されていない。保持孔31の配列間隔は、前記筒部の直径又は側面幅及び筒部の高さ(長さ)、鍔部の大きさ等によって、任意に調整することができ、好ましくは、高い生産効率を実現することのできる程度の間隔に調整される。例えば、保持孔31の配列間隔は、前記筒部の直径又は側面幅に対して4〜10倍程度に調整され、より具体的には、前記筒部の直径又は側面幅が0.5mm、筒部の高さ(長さ)が1.0mm程度の大きさを有する電子部品用部材等の場合には、保持孔31の縦横の配列間隔は2〜5mm程度に調整される。
保持孔31の内径は、前記筒部の直径又は側面幅及び筒部の高さ(長さ)、鍔部の大きさ等によって、任意に調整することができる。例えば、保持孔31の内径は、電子部品用部材等における保持孔31に挿入される前記筒部の直径又は側面幅に対して、0.5〜0.9倍程度に調整され、より具体的には、前記筒部の直径又は側面幅が0.5mm、筒部の高さ(長さ)が1.0mm程度の大きさを有する電子部品用部材等の場合には、保持孔31の内径は、0.2〜0.5mm程度に調整される。保持孔31は、図1及び図2に示されるように、保持孔31の垂直断面(軸線断面)において、略同一の内径を有しているが、略中心部から端部近傍に向けて内径が漸次小さくなるように穿孔されていてもよい。なお、保持孔31の内径は、保持孔31が円形断面である場合だけではなく、多角形断面である場合をも含む。
保持孔31を水平面で切断したときの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形、多角形等の形状を任意に選択することができるが、マスク効果が優れる点で、電子部品用部材等における保持孔31に挿入される部分、例えば、筒部の断面形状と同一形状に形成されるのがよい。マスク用部材1においては、保持孔31の断面形状は略円形とされている。
弾性部材3は、弾性変形し、電子部品用部材等を挿入保持することのできる材質で形成されていればよく、このような材質として、ゴム及びエラストマー等が挙げられる。具体的には、シリコーンゴムが挙げられる。シリコーンゴムの中でも、高重合度の線状ポリジメチルシロキサン若しくはその共重合体を架橋してゴム弾性を付与したシリコーンゴム、又は、耐酸性のシリコーンゴムが好ましい。高重合度の線状ポリジメチルシロキサンを架橋したシリコーンゴムとしては、例えば、商品名「KE530−U」(信越化学工業株式会社製)等を入手することができる。
弾性部材3は、生産性及び電子部品用部材等の筒部の高さ(長さ)等を考慮して、その大きさ及び厚さが調整される。弾性部材3の厚さは、例えば、電子部品用部材等の保持孔31に挿入される部分、例えば、筒部の長さに対して、1.0〜1.5倍であるのが好ましく、例えば、電子部品用部材等の保持孔31に挿入される部分の長さが1.0mm程度である場合には、1.0〜1.5mmに調整される。
マスク用部材1は、図1及び図2に示されるように、保持孔31が貫通孔21を貫通するように、好ましくは貫通孔21の中心軸と保持孔31の中心軸が一致して保持孔31が貫通孔21を貫通するように、弾性部材3が補強部材2を被覆し、弾性部材3に補強部材2が内蔵される。
マスク用部材1は、次にようにして、製造される。まず、補強部材2が、前記金属又は樹脂等によって、所望の大きさに切り出された後、複数の貫通孔21を研削、グラインダー処理、やすり仕上げ、エッチング等によって、所定のパターンに配列して、穿設し、さらに、貫通孔21を、同様にして、研削、グラインダー処理、やすり仕上げ、エッチング等によって、研磨して、製造される。又は、補強部材2は、所望のパターンに配列された貫通孔21を有するように成形された後、同様に研磨して、製造される。次いで、補強部材2と前記ゴム又はエラストマー等とを、保持孔31を形成可能な金型を用いて、一体成形して、マスク用部材1が製造される。又は、保持孔31を形成可能な金型を用いて、前記ゴム又はエラストマー等を成形し、弾性部材3を製造した後、補強部材2を弾性部材3の所定の位置に内蔵し、弾性部材3を接着して、製造することもできる。なお、補強部材2と弾性部材3とを密着させるために、補強部材2に予めプライマ等を塗布してもよい。
マスク用部材1の使用方法を、電子部品用部材をめっきする方法を例にして、説明する。このマスク用部材1を用いてめっきされる電子部品用部材5、例えば、フェライトコアは、両端部に正方形の角柱をなす鍔部51と、両鍔部51を接続する円柱状をなす筒部52とを有する筒状体であり、図5に示されるように、中心軸を通る垂直面によって切断された断面がH型になっている。このフェライトコア5は、例えば、全長が約1.6mm、筒部52の直径が0.5mm、筒部52の高さ(長さ)が1mm及び鍔部51の一辺の長さが0.9mmに形成されている。
まず、このフェライトコア5を、マスク用部材1に挿入保持させて、又は、挿入保持させないで、前処理を行う。前処理は、苛性ソーダ等のアルカリ溶液による脱脂処理、塩化第一スズ、硝酸又は燐酸の水溶液等による粗面化処理、及び、塩化パラジウム溶液等による触媒化処理等が挙げられる。これらの処理は、常法に従って行えばよい。
このフェライトコア5を貫入保持するマスク用部材1は厚さが1.4mm、保持孔31の内径はフェライトコア5の筒部52の直径に対して0.5〜0.9倍に設定されている。
次いで、図6に示されるように、前処理を行ったフェライトコア5を、マスク用部材1を貫通するように、保持孔31に貫入し、マスク用部材1に貫入保持させる。ここで、マスク用部材1の厚さは筒部52の高さよりも長く調整されているにもかかわらず、図6に示されるように、フェライトコア5の鍔部51がマスク用部材1の両表面に突出するように貫入され、かつ、保持孔31の内径はフェライトコア5の筒部52の直径に対して0.5〜0.9倍に設定されているにもかかわらず、筒部52が保持孔31に貫入されているから、鍔部51の筒部52側表面(裏面)及び筒部52の周側面は弾性部材3の弾性力によって確実にマスクされている。
このようにして、フェライトコア5を貫入保持した状態で、マスク用部材1と共にフェライトコア5をめっき液に浸漬する。そうすると、鍔部51の表面及び側面は、マスク用部材1によってマスクされていないから、めっき液に接触し、めっきされ、一方、鍔部51の裏面及び筒部52の周側面は、マスク用部材1によってマスクされているから、めっき液に接触せず、めっきされない。ここで、めっき液への浸漬は、フェライトコア5を貫入保持したマスク用部材1全体を一度に行ってもよく、マスク用部材1の片側表面を別々に2回行ってもよい。また、フェライトコア5を貫入保持したマスク用部材1をめっき液に浸漬する前に、マスク用部材1のマスク性を高めるために、マスク用部材1を、例えば、60〜90℃程度に、加熱してもよい。
このようにして、マスク用部材1と共にフェライトコア5をめっき液に浸漬した後に、常法に従って、後処理を行い、鍔部51に内部電極が形成されたフェライトコア5を製造することができる。次いで、このフェライトコア5に、コイル等を螺巻し、さらに所望により外部電極等が形成され、インダクタとされる。このインダクタは、例えば、プリント回路基板等に、半田付け等により、実装される。
マスク用部材1においては、貫通孔21及び保持孔31は何れも碁盤目状に配列されているが、この発明において、貫通孔21及び保持孔31の配列は碁盤目状に限定されず、貫通孔及び保持孔は、例えば、正六角形が最密に配置されるハニカム配列、45度回転して縦横に配列されるスクエア配列、一点から放射状とされる放射形状の配列、放射曲線形状の配列、同心円形状の配列、一点から渦巻き状とされる渦巻き形状の配列等に従って、配列されてもよい。
また、マスク用部材1においては、貫通孔21における両開口部近傍22に曲面部又は面取部23が形成されているが、この発明において、曲面部又は面取部は貫通孔における両開口部近傍に形成される必要はなく、曲面部又は面取部は、マスク用部材の耐久性を向上させるには、貫通孔における少なくとも一方の開口部近傍に形成されていればよい。
さらに、マスク用部材1においては、垂直断面H字型の円柱状体をなすフェライトコア5を貫入保持しているが、この発明において、電子部品用部材等は垂直断面H字型の筒状体に限定されず、例えば、垂直断面T字型の筒状体をなしていてもよく、また、マスク用部材は、電子部品用部材等を貫入保持する必要はなく、少なくとも電子部品用部材等を挿入保持することができればよい。
(実施例1)
厚さ0.8mmのステンレス鋼(SUS304)を、一辺の長さが100mmの正方形をなす板に切り出した。切り出された板に、内径3.5mmの貫通孔を、図1に示される配列に、縦横配列間隔が4mmとなるように、縦横22列ずつ、グラインダーにより、穿孔した。なお、図1に示されるように、補強部材の四隅には、3個ずつ貫通孔を穿孔せず、合計472個の貫通孔を穿孔した。
このようにして形成されたステンレス鋼製板の縁部、及び、各貫通孔の両開口部をグラインダー処理、次いで、やすり仕上げにより研磨し、縁部及び開口部近傍に、図1及び図2に示される形状をなす面取部を形成して、補強部材を作製した。ステンレス鋼製板の縁部に形成されたテーパー面の長さは0.2mmであり、開口部近傍に形成されたテーパー面の補強部材表面に位置する開口径は3.9mmであった。
次いで、金型に、前記補強部材を収納し、さらに、シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、商品名「KE530−U」)と、架橋剤(信越化学工業株式会社製、商品名「C−8」)との混合物を充填した。なお、この金型には、補強部材における貫通孔の軸上に保持孔を形成可能な突起が形成されている。この金型を、180℃で、5分間加熱し、補強部材とシリコーンゴムとを一体成形し、前記貫通孔に弾性部材が貫入するように、弾性部材に補強部材が内蔵されたマスク用部材を製造した。製造したマスク用部材は、縦102mm、横102mm、厚さ1.4mmを有し、内径0.3mmの保持孔が472個形成されていた。
(比較例1)
ステンレス鋼製板の縁部、及び、ステンレス鋼製板に形成された貫通孔の開口部を研磨せず、図8に示される垂直断面形状をなす貫通孔とした以外は、実施例1と同様にして、マスク用部材を製造した。
前記シリコーンゴムと前記架橋剤との混合物を、実施例1と同様にして、JIS K6249に準じたダンベル片に成形し、シリコーンゴム試験片を作製した。引張試験機(株式会社オリエンテック製、商品名「テンシロンRTM−100」)を用いて、JIS K6249に記載の方法に従い、引張速度500mm/minで、このシリコーンゴム試験片の引張強さ、切断時伸びを測定し、さらに、JIS K6253に記載の方法に従って、シリコーンゴム試験片の硬度(JIS A)を測定した。この測定をそれぞれ3回ずつ行い、その算術平均値を、シリコーンゴム試験片の引張強さ、切断時伸び及び硬度とした。その結果、引張強さは8.4MPaであり、切断時伸びは770%であり、硬度は31であった。
図7に示されるようにして、実施例1及び比較例1で製造したマスク用部材の耐久試験を行った。すなわち、マスク用部材における補強部材が内蔵された部分の大部分をクランプ等の治具8で挟持し、マスク用部材を垂直に固定した。次いで、自由端とされたマスク用部材の縁部(弾性部材のみ)全体をクランプ等の治具8で均一に挟持し、垂直に固定されたマスク用部材に対する角度が90°となるように、マスク用部材に対して一方の方向(マスク用部材に対して右側)にマスク用部材の縁部近傍を曲げた後、そのまま水平方向に50Nの引張力で引張り、この状態を1秒間保持した。その後、同様にして、逆方向(マスク用部材に対して左側)にマスク用部材の縁部近傍を曲げた後、そのまま水平方向に50Nの引張力で引張り、この状態を1秒間保持した。マスク用部材の縁部近傍を右側及び左側にそれぞれ1回ずつ曲げて、耐久試験の1サイクルとし、補強部材における縁部近傍に位置する弾性部材に亀裂又は剥離が生じたサイクル数を、評価した。この耐久試験をそれぞれ3回ずつ行い、その算術平均値を、弾性部材に亀裂又は剥離が生じたサイクル数とした。その結果、実施例1のマスク用部材では、弾性部材に亀裂又は剥離が生じるサイクル数が85回であったのに対して、比較例1のマスク用部材では34回であった。
また、図5に示されるフェライトコア(全長が約1.6mm、筒部の直径が0.5mm、筒部52の高さ(長さ)が1mm及び鍔部51の一辺の長さが0.9mm)を実施例1及び比較例1で製造したマスク用部材に貫入保持し、無電解ニッケルを含むめっき液に浸漬して、常法に従って内部電極を形成した。このめっき工程をそれぞれ50回ずつ行い、マスク用部材の貫通孔近傍に亀裂及び剥離が発生した個所を調査した。この調査をそれぞれ3回ずつ行い、亀裂及び剥離の発生状況を総合的に判断した。その結果、実施例1のマスク用部材では弾性部材に亀裂及び剥離がほとんど発生していなかったのに対して、比較例1のマスク用部材では弾性部材の多数の個所に亀裂及び剥離が発生していた。
図1は、この発明の一実施例であるマスク用部材の一例を示す概略上面図である。 図2は、図1のA−A線で切断したマスク用部材における断面の一部を示す概略断面図である。 図3は、補強部材の変形例を示す概略断面図であり、図3(a)は開口部近傍に、特定の曲率半径Raを有する曲面が形成された補強部材における垂直断面の一部を示す概略断面図であり、図3(b)は貫通孔の軸方向全体にわたって特定の曲率半径Rbを有する曲面が形成された補強部材における垂直断面の一部を示す概略断面図であり、図3(c)は開口部近傍に特定の曲率半径Rcを有する曲面を有する角部が形成された補強部材における垂直断面の一部を示す概略断面図である。 図4は、補強部材の別の変形例における垂直断面の一部を示す概略断面図である。 図5は、中心軸を通る垂直面によって切断された電子部品用部材の断面を示す概略断面図である。 図6は、マスク用部材に電子部品用部材を貫入保持させた状態を、垂直面によって切断された断面の一部を示す概略断面図である。 図7は、マスク用部材の耐久試験を説明するための説明図である。 図8は、従来のマスク用部材を示す概略斜視図である。 図9は、図8のB−B線で切断した従来のマスク用部材における断面の一部を示す概略断面図である。
符号の説明
1、7 マスク用部材
2、62補強部材
21 貫通孔
22 開口部近傍
23 曲面部又は面取部
24 曲面部又は面取部
3、60 弾性部材
31 保持孔
61 穴部
5 電子部品用部材
51 鍔部
52 筒部
8 治具

Claims (4)

  1. 電子部品用部材を挿入保持する複数の保持孔を有する弾性部材と、複数の貫通孔を有し、前記保持孔が前記貫通孔を貫通するように、前記弾性部材に内蔵される補強部材とを備え、挿入保持した前記電子部品用部材から電子部品を製造するのに使用されるマスク用部材であって、
    前記補強部材は、前記貫通孔の開口部近傍に、曲面部又は面取部を有することを特徴とするマスク用部材。
  2. 前記補強部材は、その縁部に、曲面部又は面取部を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク用部材。
  3. 前記曲面部は、垂直断面における曲率半径Rが、0.05mm以上、前記補強部材の厚さの半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のマスク用部材。
  4. 前記弾性部材は、シリコーンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク用部材。


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