JP2007246824A - ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリカーボネート95〜50質量%、及び(B)ガラス繊維5〜50質量%からなる組み合わせを含むガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物であって、(B)ガラス繊維は、断面が丸型形状を有するガラス繊維と扁平形状を有するガラス繊維との混合物からなり、該扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の20質量%以上であることを特徴とするガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物、及びそのガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
【選択図】なし
Description
その中で、ガラス繊維で強化されたポリカーボネート樹脂組成物は、ノートパソコンのハウジング、電動工具のハウジング等に用いられている。また、近年はデジタルカメラ、液晶プロジェクター、プロジェクションTV等の鏡筒に用いられている。これらの鏡筒等の製品では、薄肉化や大型化しており、さらに優れた成形時流動性、機械的強度、剛性、寸法精度等が求められている。
例えば、ガラス繊維で強化されたポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる鏡筒が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このガラス繊維としては、断面が丸型形状を有するもののみを用いている。このために得られた鏡筒の成形時流動性、機械的強度、剛性、及び寸法精度(真円度)が満足できるものではない。
また、断面が扁平形状を有するガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。この熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートが例示されている。
しかし、特許文献2では、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートを用いた実施例は示されておらず、また、ガラス繊維として、断面が扁平形状有するもののみを用いており、断面が丸型形状を有するガラス繊維と併用することは考慮されていない。
特許文献3では、成形品の収縮率の異方性を改良するために、補強材として断面が扁平形状を有するガラス繊維の粉末、断面が丸型形状を有するガラス繊維のガラスミルドファイバー、又はガラスフレークを用いているが、得られた成形体の機械的強度及び弾性率が満足できるものではない。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供するものである。
(1)(A)ポリカーボネート95〜50質量%、及び(B)ガラス繊維5〜50質量%からなる組み合わせを含むガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物であって、(B)ガラス繊維は、断面が丸型形状を有するガラス繊維と扁平形状を有するガラス繊維との混合物からなり、該扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の20質量%以上であることを特徴とするガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(2)断面が扁平形状を有するガラス繊維の扁平率(断面の長径/短径の比)が、1.5〜10であることを特徴とする前記(1)に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(3)(A)ポリカーボネート90〜55質量%、及び(B)ガラス繊維10〜45質量%からなる組み合わせを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(4)断面が扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の30質量%以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(5)断面が扁平形状ガラス繊維の扁平率(断面の長径/短径の比)が、2.0〜6であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(6)(A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(C)酸化防止剤0.01〜0.3質量部を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(7)(A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(D)離型剤0.1〜3質量部を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(8)(A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(E)難燃剤0.05〜15質量部、及び(F)難燃助剤0.05〜15質量部を含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
(10)成形体が、円筒形状成形体であることを特徴とする前記(9)に記載の成形体。
(11)成形体が、鏡筒であることを特徴とする前記(9)又は(10)に記載の成形体。
本発明で用いる(A)ポリカーボネート(以下、単に「(A)成分」ということがある)としては、特に制限はなく種々のものを挙げることができる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンとを反応させる方法、又は二価フェノールとジフェニルカーボネート等とを反応させるエステル交換法により製造されたものを用いることができる。
二価フェノールとしては、好ましくはビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特に好ましくはビスフェノールAを主原料としたものである。
この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
ここで分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネートは、ポリカーボネートの製造において、末端封止剤として、炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールを用いることにより得ることができる。
これらのアルキルフェノールとしては、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、ノナデシルフェノール、イコシルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール及びペンタトリアコンチルフェノール等が挙げられる。
この置換基としては、少なくとも1個が前記の炭素数10〜35のアルキル基であればよく、他の4個は特に制限はなく、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、ハロゲン原子又は無置換であってもよい。
また、例えば、塩化メチレン溶媒中において、トリエチルアミン触媒、前記炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールの存在下、二価フェノールと、ホスゲン又はポリカーボネートオリゴマーとの反応により得られるものである。
ここで、炭素数が10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールは、ポリカーボネートの片末端又は両末端を封止し、末端が変性される。この場合の末端変性は、全末端に対して20%以上、好ましくは50%以上とされる。すなわち、他の末端は、水酸基末端、又は下記の他の末端封止剤を用いて封止された末端である。
分子末端が炭素数10以上のアルキル基を有するポリカーボネートであると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上し、分子末端が炭素数35以下のアルキル基を有するポリカーボネートであると、その耐熱性及び耐衝撃性が良好となる。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物に用いる(B)ガラス繊維(以下、単に「(B)成分」ということがある)は、断面が丸型形状を有するガラス繊維と扁平形状を有するガラス繊維との混合物からなり、該扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の20質量%以上であるものである。該含有量が、20質量%以上であれば、十分な流動性、強度及び寸法精度(真円度)が得られる。該含有量としては、好ましくは30質量%以上である。
これらのガラス繊維の形態は、特に制限はなく、例えば、ロービング、ミルドファイバー及びチョップドストランド等いずれの形態のものも用いることができる。この中で、機械的強度と弾性率のバランスの観点から、好ましくは、ロービング又はチョップドストランドの形態ものを好適に用いることができる。
これらのガラス繊維の平均繊維径としては、7〜15μmのものが好ましく、より好ましくは10〜13μmである。また、これらのガラス繊維の平均繊維長は、用いるガラス繊維の形態により相違するが、チョップドストランドを用いる場合は、通常1〜5mmである。
また、これらのガラス繊維の平均繊維径としては、好ましくは、長径が20〜35μm、及び短径が5〜12μmであり、より好ましくは、長径が20〜30μm、及び短径が7〜10μmである。これらのガラス繊維の平均繊維長としては、用いるガラス繊維の形態により相違するが、チョップストランドを用いる場合は、通常1〜5mmである。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、該樹脂組成物の酸化による変質等を防止、抑制するために、必要に応じて、(C)酸化防止剤(以下、単に「(C)成分」ということがある)を配合することができる。(C)酸化防止剤としては、各種のものを挙げることができるが、効果及び物性のバランス等の観点から、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、射出成形品の金型からの型離れをよくするために、必要に応じて、(D)離型剤(以下、単に「(D)成分」ということがある)を配合することができる。
離型剤としては、シリコーンオイル、高級アルコール、カルボン酸エステル、ポリオレフィンワックス及びポリアルキレングリコール等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数6〜40の一価のアルコールが挙げられる。具体的には、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、イコシルアルコール、ドコシルアルコール、トリアコンチルアルコール、テトラコンチルアルコール、ガーベットアルコール(炭素数20)等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン−プロピレングリコール共重合体等が挙げられる。これらのポリアルキレングリコールの分子量としては、500〜20,000の範囲のものが好適である。
上記の離型剤は、一種単独でも、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、難燃性を付与するために、必要に応じて、難燃剤(以下、単に「(E)成分」ということがある)を配合することができる。
(E)難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤、膨張性黒鉛等、公知のものを目的に応じて用いることができる。
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は比較的難燃化効率はよいが、成形時の有害ガスの発生、金型腐食の恐れや成形品の焼却時に有害物質を排出する恐れがあり、環境汚染、安全性の観点から、ハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、ハロゲン非含有有機リン系難燃剤等が挙げられる。
ハロゲン非含有機リン系難燃剤としては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば、特に制限なく用いることができる。中でも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステル化合物が好適に用いられる。リン酸エステル化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー又はこれらの混合物であってもよい。
有機リン系難燃剤以外のハロゲン非含有リン系難燃剤としては、赤リン等が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等の塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の塩が挙げられる。これらの中で、ナトリウム、カリウム、セシウムの塩が好適に挙げられる。また、その有機酸の塩は、フッ素、塩素、臭素のようなハロゲンが置換されていてもよい。例えば、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸のカリウム塩等が挙げられる。
シリコーン系難燃剤としては、例えば、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類が挙げられる。この官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基等が挙げられる。
上記の難燃剤は一種単独でもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、難燃性を向上させるために、必要に応じて、難燃助剤(以下、単に「(F)成分」ということがある)を配合することができる。
(F)難燃助剤としてはポリフルオロオレフィン、酸化アンチモン等が挙げられる。
ポリフルオロオレフィンとしては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体又は共重合体である。例えば、ポリジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等が好適に挙げられる。この中では、燃焼時の溶融滴下防止の観点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて配合することもできる。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤、及び着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。
次に、本発明ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、(A)及び(B)成分と、必要に応じて用いられる(C)、(D)、(E)及び(F)成分と、さらに、必要に応じて用いられる各種添加剤とを配合し、溶融混練することにより得られる。
配合及び混練は、通常用いられる機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー等で予備混合して、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常260〜320℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練成形としては、押出成形機、特に、ベント式の押出成形機の使用が好ましい。なお、ポリカーボネート以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネートと溶融混練し、マスターバッチとして添加することもできる。
本発明の成形体は、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物よりペレットを製造し、次いで、このペレットを射出成形することにより製造することができる。
射出成形法としては、外観のヒケ防止又は軽量化のために、ガス注入成形法を採用することもできる。
とりわけ、本発明のガラス繊維ポリカーボネート樹脂組成物は、寸法精度(真円度)に優れた円筒形状成形品、あるいは鏡筒の製造に好適に用いられる。
実施例1〜6、及び比較例1〜5
下記配合成分のうち、(A)ポリカーボネート及び(B)ガラス繊維を、表1及び表2に示す配合量で用いた。シリンダー温度300℃の二軸押出成形機(東芝機械(株)製、TEM−35)のホッパーから、(A)ポリカーボネートを供給し、(B)ガラス繊維はサイドフィードして混練し、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。
このペレットを80℃で5時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械(株)製、IS100EN)で、シリンダー温度300℃、金型温度80℃にて成形して、試験片を作製した。
また、前記樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、ES1000)で、シリンダー温度300℃、金型温度90℃にて、長さ30mm、内径50mm、肉厚1mmの円筒形状成形体(鏡筒)を作製した。
得られたペレット、試験片、及び円筒形状成形体を用いて、下記の各種物性試験によって、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の性能を評価した。その結果を表1及び表2に示す。
下記配合成分のうち、(B)ガラス繊維以外の各成分をドライブレンドし、このドライブレンド物を二軸押出成形機のホッパーから供給した以外は、前記実施例と同様にペレット、試験片、及び円筒形状成形体を作製し、評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(A)ポリカーボネート:タフロンA1900(出光興産(株)製、粘度平均分子量:19,000)
(B)ガラス繊維
(B−1)丸型形状ガラス繊維:03MA409C(旭ファイバーグラス(株)製、扁平率=1、平均繊維径=13μm、平均繊維長=3mm)
(B−2)扁平形状ガラス繊維:CGS 3PA−820(日東紡績(株)製、扁平率=4、平均繊維径 短径=7μm、長径=28μm、平均繊維長=3mm)
(B−3)扁平形状ガラス繊維:CGH 3PA−870(日東紡績(株)製、扁平率=2、平均繊維径 短径=10μm、長径=20μm、平均繊維長=3mm)
(C)酸化防止剤:トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガフォス168)
(D)離型剤:ジメチルシリコーン(東レ・ダウコーニング(株)製、SH200)
(E)難燃剤:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(大日本インキ(株)製、メガファックF114)
(F)難燃助剤:ポリテトラフルオロエチレン(旭硝子(株)製、CD076)
(G)ガラスフレーク:REFG−101(日本板硝子(株)製、平均粒径=1mm)
(1)スパイラルフロー長さ(SFL)
前記で作製したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、NEX500)でシリンダー温度300℃、金型温度80℃、射出圧力125Mpaにて成形し、肉厚3mm、幅10mmのスパイラル状の成形品を作製し、その流動長さを測定した。数値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
(2)曲げ強度及び曲げ弾性率
肉厚4mmの試験片を用いて、ASTM D−790に準拠して曲げ試験を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(3)アイゾッド(IZOD)衝撃強度(ノッチ付き)
肉厚3mmの試験片を用いて、ASTM D−256に準拠して測定した。
(4)真円度
真円度測定機(ランクテーラーホブソン(株)製、タリロンド300型)を用いて、前記で作製した円筒形状成形体の反ゲート側(流動末端)の内接面の真円度を測定し、10サンプルの測定値の平均値を真円度とした。
ここで、真円度とは、円形形体における幾何学的に正しい円からの狂いの大きさをいい、円形形体を2つの同心の幾何学的円で挟んだとき、同心の2つの円の間隔が最小となる場合のこの2つの円の半径の差(μm)で表示する。
(5)離型油圧
前記で作製したペレットを、射出成形機(東芝機械(株)IS100EN)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度40℃にて成形し、外形寸法80mm×160mm、高さ40mm、肉厚3mmの箱状成形品を作製し、離型時の突き出しピンの油圧を測定した。
(6)難燃性
外形寸法127mm×12.7mmで、肉厚1.5mmの試験片を用い、UL94規格に準拠して、垂直燃焼試験を行った。
(1)実施例1〜6
得られた成形体は、流動性、機械的強度及び弾性率のバランスに優れ、かつ、得られた円筒形状成形体は寸法精度(真円度)に優れている。
(2)実施例7
得られた成形体及び円筒形状成形体は、前記(1)と同様の結果が得られ、かつ、該成形体は、実施例2との対比において、離型剤を添加したことにより離型性に優れている。
(3)実施例8
得られた成形体及び円筒形状成形体は、前記(1)及び(2)と同様の結果が得られ、かつ、該成形体は、実施例7との対比において、難燃剤及び難燃助剤を添加したことにより難燃性に優れている。
(4)比較例1〜3
(B)成分のうち扁平形状ガラス繊維の含有量が、所定量より少ないと、曲げ弾性率、曲げ強度、及び寸法精度(真円度)が劣る。
(5)比較例4
ポリカーボネートの配合量が所定量より多く、及びガラス繊維の配合量が所定量より少ないと、曲げ強度、曲げ弾性率及び衝撃強度が低下する。
(6)比較例5
ポリカーボネートの配合量が所定量より少なく、及びガラス繊維の配合量が所定量より多いと、流動性が低下し、鏡筒末端まで樹脂組成物を充填することができない。
(7)比較例6
(B)成分の扁平形状ガラス繊維の代わりに(G)ガラスフレークを用いると、曲げ強度、曲げ弾性率、及び衝撃強度が低下する。
Claims (11)
- (A)ポリカーボネート95〜50質量%、及び(B)ガラス繊維5〜50質量%からなる組み合わせを含むガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物であって、(B)ガラス繊維は、断面が丸型形状を有するガラス繊維と扁平形状を有するガラス繊維との混合物からなり、該扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の20質量%以上であることを特徴とするガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- 断面が扁平形状を有するガラス繊維の扁平率(断面の長径/短径の比)が、1.5〜10であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート90〜55質量%、及び(B)ガラス繊維10〜45質量%からなる組み合わせを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- 断面が扁平形状を有するガラス繊維の含有量が、(B)ガラス繊維全量の30質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- 断面が扁平形状ガラス繊維の扁平率(断面の長径/短径の比)が、2.0〜6であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(C)酸化防止剤0.01〜0.3質量部を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(D)離型剤0.1〜3質量部を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)成分及び(B)成分からなる組み合わせ100質量部に対して、(E)難燃剤0.05〜15質量部、及び(F)難燃助剤0.05〜15質量部を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
- 成形体が、円筒形状成形体であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
- 成形体が、鏡筒であることを特徴とする請求項9又は10に記載の成形体。
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