JP2007246405A - フルタミド及びその誘導体を認識する抗体 - Google Patents

フルタミド及びその誘導体を認識する抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】フルタミド及び/又はフルタミド代謝物の簡便な検出方法が要望されている。
【解決手段】フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンがそのスペーサーを介して血清蛋白質に結合した抗原、及びその抗原を用いて製造されるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体。

Description

この発明は、フルタミド(一般名:2−メチル−N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド)及び/又はフルタミド代謝物を認識することができる抗体に関する。本発明の抗体は、フルタミドによる肝障害の発生を予測又は診断することに使用することができる。
フルタミドによる重要な副作用として肝機能異常があるが、通常の動物実験では再現が困難であることから、特異体質性の肝障害であると考えられている(相澤良夫、消化器科、38(2)、218頁−223頁、2004.)。一般に、特異体質性の肝障害の発現機序は、投与された化合物が薬物代謝酵素によって化学的に反応性の高い代謝物に変換され、その反応性代謝物が細胞内の生体高分子である蛋白質や核酸などと共有結合することによって細胞障害を引き起こすと考えられている。通常、このような反応性代謝物は細胞内の解毒機構によって無毒化されるが、解毒機能が低い、あるいは薬物代謝活性が高く、反応性代謝物の生成量が多いなど生理的なバランスが不均衡となった場合には、細胞内の生体高分子との共有結合体が形成されると考えられている(Kevin,PB et al、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.45、p.177−202、2005.)。このようなタイプの毒性発現の解析は、放射性同位元素をラベルした化合物を作製して、これを動物や細胞などに曝露した後、回収した臓器や細胞のホモジネートなどから蛋白質分画を調製して、その抽出液の放射活性を検出することによって検出することが可能である(毒性生化学(上)、159頁−162頁、毒性試験講座6、1988)。しかし、この方法では結合体の局在性の解析は困難であった。また、放射標識した化合物ではどのような代謝物が結合しているかを類推することが困難であり、さらには放射性物質の使用のため特別な施設が必要となる、などのデメリットがあった。
近年、化合物構造を認識する抗体を用いた生体蛋白質に共有結合した化合物を検出する免疫化学的手法が利用されている(非特許文献1〜3を参照)。抗体を用いた検出は臓器切片の免疫組織染色に適用することができ、組織構築を壊すことなく結合体の局在の解析が可能である他、生体試料中の化合物の検出も可能である。また、結合抗体の検出には各種の増感法の使用により検出感度を高くすることも可能である。低分子である化合物はそれのみでは生体内で抗体の産生を誘導することはできない、いわゆるハプテンであり、化合物を高分子のキャリアー蛋白質に結合させることによって初めて抗原として免疫反応を誘導することができる。このような低分子化合物であるハプテンとキャリアー蛋白質を結合させた抗原の免疫によって作製した抗体を用いて、肝障害を引き起こすことが知られているアセトアミノフェン、ジクロフェナックやハロタンでは肝臓組織中での共有結合化合物の検出や化合物が結合している蛋白質の分取、同定などが報告されている(非特許文献3)。また、キャリアー蛋白質に結合させるハプテンを修飾することにより、産生される抗体の化合物認識部位を変化させることができ、このような抗体の利用により生体高分子に結合している化合物の構造を特定することも可能となる。
なお、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物が抗原性を有することは従来知られておらず、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体は提供されていない。
抗体の作成には、薬物にコハク酸、グルタル酸をスペーサーとして結合させて薬物のハプテンを合成し、非特許文献1には、このハプテンをキャリアー蛋白質に結合させたハプテン−蛋白質複合体を作成し、続いてこれをウサギ等の動物に投与することで作成方法が知られている。特許文献2にはスペーサーにカルボニルアミノ酪酸を用いたハプテンが報告されている。
国際公開2003/99869号公報 特開平10−36341号広報 Methods in Enzymology,vol.70,(Immunochemical Techniques(Part A)) Analytical Biochemistry,116,p.402−407,1981 Drug Metabolism Reviews,29(1&2),p.39−57,1997
本発明の課題は、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を高感度に検出するための手段を提供することにある。より具体的には、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を簡便かつ確実に検出することができ、生体内におけるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の局在部位を認識する抗体を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、フルタミドの骨格を含む特定の抗原蛋白質を用いることによりフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識するポリクローナル抗体を用いることによって、フルタミドによる肝障害において、フルタミドの代謝物であるFLU−1−N−OHが肝細胞中において蛋白質結合体を形成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンがそのスペーサーを介して血清蛋白質に結合した抗原、
(2)フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが下記一般式(1)
Figure 2007246405
(式中、R1は水素原子又は水酸基を表し、mは2から4の整数を表す。)
または下記一般式(2)
Figure 2007246405
(式中、nは2から4の整数を表す。)で表される前記(1)に記載の抗原、
(3)血清蛋白質がスカシ貝ヘモシアニンである前記(1)又は(2)に記載の抗原、
(4)血清蛋白質がウシ血清アルブミンである前記(1)又は(2)に記載の抗原、
(5)前記(1)ないし(4)のいずれか一項に記載の抗原を用いて製造されるルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体、
(6)ポリクローナル抗体である前記(5)に記載の抗体、
(7)前記(5)又は(6)に記載の抗体を用いてフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を含む生体試料の免疫染色をする方法、
(8)前記(5)又は(6)に記載の抗体を用いて生体試料中に含まれるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を検出する方法、
(9)前記(5)又は(6)に記載の抗体を用いてフルタミドの投与による肝障害を検出する方法、
に関する。
本発明ではフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体が提供される。従来のフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の検出方法はLC−MSを用いるものであったが、生体試料中に於けるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の局在部位を知ることは不可能であった。本発明の抗体を用いることで血清中のフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を検出できるだけでなく、生体試料中に於けるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の局在部位を知ることも可能となった。また、本発明の抗体を用いて、フルタミドによる肝障害の発生を予測又は診断することも可能となった。
本発明の抗体の製造方法は特に限定されないが、例えば、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが結合したキャリアー蛋白質、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが結合した血清蛋白質、好ましくはフルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが結合したスカシ貝ヘモシアニン又は血清アルブミンを含む抗原を用いることが望ましい。この抗原の製造方法は特に限定されないが、例えば、リン酸緩衝液中に水溶性カルボジイミド等の縮合剤を用いて、血清アルブミンなどの血清蛋白質にフルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンを結合させることにより容易に製造できる。
フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンは、例えば、下記一般式(1)で表されるように、フルタミド、あるいはOH−フルタミドのニトロ基を還元してアミノ基とし、これにコハク酸、グルタル酸等のスペーサーを導入することで得られる。
Figure 2007246405
(式中、R1は水素原子又は水酸基を表し、mは2から4の整数を表す。)
また、下記一般式(2)で表されるように、フルタミドの代謝物であるFLU−1のアミノ基に上記のスペーサーを導入することでも合成できる。スペーサーの導入位置を工夫することにより、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物との親和性の程度や選択性の異なる抗体を構成するハプテンを合成することができる。
Figure 2007246405
(式中、nは2から4の整数を表す。)
該ハプテンと血清蛋白質への結合の前に、ハプテンをシリカゲルカラム、セファデックスLH−20等で精製することが望ましい。
フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンに結合させるキャリアー蛋白質としては、一般的に抗原性のない蛋白質であればいかなるものを用いてもよく、中でも血清蛋白質が好ましい。血清蛋白質としては例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)のほか、ウシ血清アルブミン(BSA)やウサギ血清アルブミン(RSA)など他の哺乳動物の血清アルブミン、卵白アルブミン(OVA)、ミオグロビン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。これらのうち、本発明においては、KLH又はBSAが好ましい。
これにより、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物の骨格がそのまま保存された本発明の抗原を得ることができ、これを用いて哺乳類動物を免疫することにより、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する本発明の抗体を効率よく得ることができる。本発明の抗原にはフルタミド及び/又はフルタミド代謝物が直接結合した血清蛋白質を含んでいてもよい。血清蛋白質へのフルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンの導入率は特に限定されないが、血清蛋白質1分子当たりフルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが少なくとも3個以上導入されていることが望ましい。
本発明の抗体は、本発明の抗原をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの溶媒に溶解し、この溶液を動物に投与して免疫することによりに容易に製造できる。必要に応じて上記溶液に適宜のアジュバントを添加した後、エマルジョンとして免疫を行ってもよい。アジュバントとしては、油中水型乳剤、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、水酸化アルミニウムゲルなどのアジュバントのほか、生体成分由来のタンパク質やペプチド性物質などを用いてもよい。例えば、フロイントの不完全アジュバント又はフロイントの完全アジュバントなどを好適に用いることができる。アジュバントの投与経路、投与量、投与時期は特に限定されないが、所望の免疫応答を増強できるように適宜選択することが望ましい。
免疫に用いる動物の種類も特に限定されず、例えばマウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどを用いることができるが、好ましくは日本白色種ウサギ(Japanese White Rabbit)を用いることができ、この他にも、NZWウサギ(New Zealand White Rabbit)など抗体作成用に用いられているウサギなど種々の動物を用いることが可能である。動物の免疫は定法に従って行えばよく、例えば、抗原の溶液、好ましくはアジュバントとの混合物を哺乳動物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射することにより免疫を行うことができる。免疫応答は、一般的に免疫される哺乳動物の種類および系統によって異なるので、免疫スケジュールは使用される動物に応じて適宜設定することが望ましい。抗原投与は最初の免疫後に何回か繰り返し行うことが好ましい。
例えば、初回免疫としては前記抗原をPBSに溶解させた溶液とフロイント完全アジュバントとを混合することによって得られたエマルジョンを用いて行い、2回目以降の免疫は、前記抗原をPBSに溶解させた溶液とフロイント不完全アジュバントとを混合することによって得られたエマルジョンを用いて行うことが望ましい。初回免疫では免疫反応を誘発させるため菌体が含まれているフロイント完全アジュバントを用いることが有利であり、2回目以降の追加免疫は、新たに抗体を作るのではなく、初回免疫の時にすでに発現しB細胞に記憶されている抗体を増やすことを目的とするものであるため、フロイント不完全アジュバントを用いることが有利である。初回免疫から追加免疫の間の間隔、追加免疫と追加免疫との間の間隔も、特に限定されない。例えば、初回免疫は抗体を産出させるためのものであり、通常、最初に抗原を注射してから4〜5日で抗体が血中に表れ、次第に量が増大して10日前後にピークとなることから、初回免疫から最初の追加免疫までは2週間以上おくことが好ましい。
免疫された動物の血清から本発明の抗体を取得することができるが、その方法は特に限定されず、当業者に利用可能な方法であればいかなる方法を用いてもよい。抗体の精製は、例えば、抗体の精製はDEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法などを適宜組み合わせて行うことができる。抗体がフルタミド及び/又はフルタミド誘導体を認識するか否か、あるいはその反応が特異的であるか否かについても当業者に周知の方法、例えば、抗体価の測定、競合ELISA法、ウエスタンブロッティング法等を利用して容易に確認することが可能である(P.Tissen著「エンザイムイムノアッセイ」東京化学同人,1989年)。
本発明の抗体としては、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテン、例えば、ハプテンA:(N−(4−イソブチルアミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)、ハプテンB:(N−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニルアミノ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)、ハプテンD:(N−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)、又は蛋白質と結合したこれらハプテンを識別できる抗体などが挙げられる。
なお、ハプテンA−蛋白質結合体はフルタミドを、ハプテンB−蛋白質結合体はOH−フルタミドを、ハプテンD−蛋白質結合体はフルタミド及びその主な代謝物の共通構造であるベンゼン環部位を抗原のエピトープとなるように指向して作製した。
本発明の抗体としては、免疫した動物のリンパ球を用いて製造したハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を本発明の抗体として用いてもよい。本発明の抗体としては、上記の性質を有するポリクローナル抗体を好適に用いることができるが、上記の性質を有するモノクローナル抗体も好ましい。
フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識するモノクローナル抗体は本発明の抗原を用いることによって容易に製造することが可能である(例えばAntibodies,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)第6章などを参照のこと)。抗体産生細胞の調製に用いる哺乳類動物の種類は特に限定されないが、例えば、マウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等が挙げられ、好ましくはマウス、ラット、ウサギ等のげっ歯類であり、より好ましくはマウスを用いることができる。例えば、BALB/C系統のマウスはハイブリドーマ作製時に同系統で確立された骨髄腫由来細胞株を用いることができるので好ましい。
最終免疫後、免疫した哺乳動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞株と細胞融合することによりハイブリドーマを産生することができる。細胞融合には増殖能力の高い免疫産生細胞株を用いることが好ましく、また骨髄腫由来の細胞株は融合する免疫産生細胞の由来する哺乳類動物と適合性があることが好ましい。細胞融合は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などを採用することができる。得られたハイブリドーマは定法に従って増殖させることができ、産生される抗体の性質を確認しつつ所望のハイブリドーマを選択することができる。ハイブリドーマのクローニングは、例えば限界希釈法や軟寒天法などの周知の方法により行うことが可能である。
所望の性質を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、産生される抗体とフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の結合能をELISA法、RIA法、蛍光抗体法などの方法を用いてアッセイすることにより確認することができる。上記のようにして選別されたハイブリドーマを大量培養することにより、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物に対して特異的に反応するモノクローナル抗体を製造することができる。大量培養の方法は特に限定されないが、例えば、ハイブリドーマを適宜の培地中で培養してモノクローナル抗体を培地中に産生させる方法や、哺乳動物の腹腔内にハイブリドーマを注射して増殖させ、腹水中に抗体を産生させる方法などを挙げることができる。モノクローナル抗体の精製はDEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法などを適宜組み合わせて行うことができる。
本発明の抗体としては、抗原抗体反応活性を有する抗体のフラグメントやキメラ抗体を用いることも可能である。抗体の断片としては機能性の断片であることが好ましく、例えば、F(ab’)2、Fab’などが挙げられ、これらは抗体を蛋白分解酵素(例えば、ペプシン又はパパイン等)で処理することにより製造できる。また、本発明のモノクローナル抗体は、固相担体などの不溶性担体上に固定された固定化抗体として使用したり、標識物質で標識した標識抗体として使用することができる。このような固定化抗体や標識抗体はいずれも本発明の範囲に包含される。
例えば、不溶性担体にモノクローナル抗体を物理的に吸着させ、あるいは化学的に結合させることにより固定化抗体を製造することができる。不溶性担体としては、ポリスチレン樹脂などの高分子基材、ガラスなどの無機基材、セルロースやアガロースなどの多糖類基材などからなる不溶性担体を用いることができ、その形状は特に限定されず、板状、ビーズ状など任意の形状を選択できる。
標識抗体を製造するための標識物質としては、例えば酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、又は放射性同位体等が挙げられ、標識物質と抗体との結合法としては、当業者に利用可能なグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、又は過ヨウ素酸法などの方法を用いることができる。もっとも、固定化抗体や標識抗体の種類、及びそれらの製造方法は上記の例に限定されることはない。例えば、標識抗体の検出のために、酵素、化学発光物質、ビオチン及びアビジンをさらに1種以上の他の物質と反応させることにより生じるシグナルを検出する方法は当業者に周知であり、本発明の抗体の検出のために好ましく用いられる。例えば、酵素の場合には基質を用いて酵素活性を測定する方法を用いることができ、ビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的である。
本発明の抗体を用いてフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を検出することができる。例えば、本発明の抗体を用いて生体組織中に生成したフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を検出することができ、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物が存在している生体内において、障害発生部位を容易に特定することが可能になる。特に肝臓において、フルタミドの投与による壊死領域をフルタミド代謝物と蛋白質のアダクトを検出することにより、特定することができる。
本発明の抗体を用いて、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物、例えば、下記式(5)〜(10)で表されるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物等を検出することができる。
Figure 2007246405
フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を含む試料の種類は特に限定されない。ヒトから分離した生体試料の場合、その種類は特に限定されないが、例えば、血液、血清、血漿、リンパ球培養上清、尿、髄液、唾液、汗、腹水、羊水、又は細胞若しくは臓器の抽出液などの液体試料のほか、手術により切除された組織や細胞なども含まれる。測定は公知の方法(例えば、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」、臨床病理刊行会、1983年、石川榮治ら編「酵素免疫測定法」、第3版、医学書院、1987年、北川常廣ら編「蛋白質核酸酵素別冊No.31 酵素免疫測定法」,共立出版,1987年などに記載の方法、P.Tissen著「エンザイムイムノアッセイ」東京化学同人、1989年)等により行うことができる。すなわち、ELISAでは担体上に結合させた本発明の抗体、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を含む試料、既知量のフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を反応させた後、標識化した抗体を反応させ、標識剤の活性を測定することにより試料中のフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を測定することができる。免疫組織学的検出ではフルタミド又はフルタミド代謝物を投与した動物の臓器から作製する薄切標本上に本発明の抗体、標識化2次抗体を反応させた後、標識剤の活性を利用して生成させた不溶性沈殿物を確認することによって検出することができる。また、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を含む試料は有機溶媒で抽出し、抽出液中の成分を高速液体クロマトグラフィーで分離した後、イオン化させ、得られたイオンを真空中で質量と電荷の比(m/z)によって分離し、各イオンの強度を測定することにより試料中のフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を同定することができる。
本発明の抗体はフルタミドによる肝障害の予測または診断にも用いることができる。フルタミドによる肝障害においては、代謝物であるFLU−1(上記式(7))のアミノ基がN−水酸化されて生成されるFLU−1−N−OH(上記式(8))が反応性代謝物として肝細胞中においてN−水酸化部位を介して蛋白質結合体を形成することが肝障害の原因のひとつであると考えられている。本発明の抗体を用いる前記の測定方法により、フルタミド服用患者から採取した生体試料に含まれるフルタミド代謝物の存在を確認することで、フルタミドによる肝障害の予測または診断が可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
実施例1 フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンA:(N−(4−イソブチルアミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)の合成
(1) FLU−6(N−(4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)イソブチルアミド)の合成
フルタミド(816mg、2.96mmol;入手先:シェーリング・プラウ)のエタノール(24mL)溶液に二塩化スズ・二水和物(3.34g、14.81mmol)を加え、45分間還流下攪拌した。反応終了後、エタノールを留去した。2N 水酸化ナトリウム水溶液(20mL)及び酢酸エチル(20mL)を加え、分液した。有機層を2N 水酸化ナトリウム水溶液(20mL)で2回、水(20mL)で3回、飽和食塩水(20mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル=3/1で溶出)で精製し、下記式(11)で表される標記化合物(689mg、2.80mmol、収率:94%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,ppm):1.22(3H,s),1.26(3H,s),2.48(1H,m),4.07(2H,brs),6.70(1H,d,J=8.7Hz),7.13(1H,brs),7.48(1H,dd,J=2.3、8.7Hz),7.55(1H,d,J=2.3Hz)。
Figure 2007246405
(2)ハプテンA(N−(4−イソブチルアミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)の合成
FLU−6(180mg、0.73mmol)、無水コハク酸(2.19g、21.93mmol)をピリジン(13.5mL)に溶解し、100℃で12時間攪拌した。反応終了後、ピリジンを留去した。酢酸エチル(100mL)及び水(100mL)を加え分液した。有機層を水(100mL)で5回、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=20/1で溶出)、続いてセファデックスLH−20カラム(メタノール/水=80/20で溶出)で精製し、下記式(12)で表される標記化合物(80mg、0.23mmol、収率:32%)を得た。
1H−NMR(CD3OD,ppm):1.18(3H,s),1.21(3H,s),2.59(1H,m),2.67(4H,m),7.44(1H,d,J=8.8Hz),7.55(1H,dd,J=2.3、8.8Hz),8.08(1H,d,J=2.3Hz)。
MS(FAB、POS)m/z:347[M+H]+
Figure 2007246405
実施例2 フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンB:(N−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニルアミノ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)の合成
(1)FLU−5(N−(4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド)の合成
OH−フルタミド(174mg、0.59mmol;US3875229号公報の記載に準じて合成)のエタノール(5.2mL)溶液に二塩化スズ・二水和物(0.67g、2.99mmol)を加え、4時間還流下攪拌した。FLU−6の合成と同様の後処理、精製方法により、下記式(13)で表される標記化合物(135mg、0.55mmol、収率:92%)を得た。
1H−NMR(CD3OD,ppm):1.43(6H,s),6.81(1H,d,J=8.8Hz),7.42(1H,m),7.69(1H,d,J=2.3Hz)。
Figure 2007246405
(2)ハプテンB(N−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニルアミノ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)の合成
FLU−5(30mg、0.11mmol)、無水コハク酸(341mg、3.41mmol)をピリジン(5mL)に溶解し、100℃で12時間攪拌した。ハプテンAの合成と同様の後処理、精製方法により、下記式(14)で表される標記化合物(10.7mg、0.03mmol、収率:26%)を得た。
1H−NMR(CD3OD,ppm):1.45(6H,s),2.68(4H,m),7.46(1H,d,J=8.8Hz),7.82(1H,dd,J=2.4、8.8Hz),8.15(1H,d,J=2.4Hz)。
MS(FAB、POS)m/z:363[M+H]+
Figure 2007246405
実施例3 フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンD:(N−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スクシニック アシッド)の合成
FLU−1(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン)(100mg、0.49mmol;入手先:アルドリッチ)、無水コハク酸(1.46g、14.62mmol)をピリジン(5mL)に溶解し、100℃で15時間攪拌した。ハプテンAの合成と同様の後処理、精製方法により、下記式(15)で表される標記化合物(57.3mg、0.19mmol、収率:38%)を得た。
1H−NMR(CD3OD,ppm):2.70(4H,m),8.00(2H,m),8.21(1H,m)。
MS(ESI、NEG)m/z:305[M−H]-
Figure 2007246405
合成例 Flu−1−N−OH (N−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ヒドロキシルアミン)の合成
塩酸ヒドロキシルアミン(83mg、1.20mmol)及び炭酸ナトリウム(254mg、2.40mmol)を5−フルオロ−2−ニトロベンゾトリフルオリド(51mg、0.24mmol)のエタノール溶液(1mL)に加え、2.5時間加熱還流した。室温に冷却の後、水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水(20mL)で2回、飽和食塩水(10mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1で溶出)で精製し、下記式(16)で表される標記化合物(20mg、0.087mmol、収率:37%)を得た。
Figure 2007246405
1H−NMR(DMSO−d6,ppm):7.01(1H,dd,J=2.4、9.1Hz),7.13(1H,d,J=2.4Hz),8.10(1H,d,J=9.1Hz),9.38(1H,brs),9.94(1H,1H,brs)。
13C−NMR(DMSO−d6,ppm):108.82(q,J=6.5Hz),112.16(s),122.30(q,J=270.0Hz),129.02(s),135.78(s),155.01(s)。
MS(ESI、NEG)m/z:221[M−H]-
実施例4 抗原の作成
実施例1〜3で得たハプテン化合物は高分子蛋白質に結合させて抗原とした。高分子蛋白質としては貝ヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)を使用した。
実施例4−1 ハプテン−KLH抗原(ハプテン−KLH))の作成
(i)ハプテンA−KLHの作成
ハプテンAとKLHとの結合物の作製は以下のように行った。3.7mgのハプテンAを0.75mLのメタノールに溶解した(10.7μM)。2.5mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(EDC)を0.75mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0、13.0μM)に溶解し、ハプテンA溶液をEDC溶液に攪拌しながら滴下して加え、この混合溶液を室温で2分間攪拌した。10.671mgのKLHを1.5mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解し(3.6nM)、ハプテンA−EDC混合液をKLH溶液に攪拌しながら滴下して加えた。この反応溶液を室温で12時間攪拌した後、10mMのPBS(pH7.4)中で2日間透析した。反応溶液を3000rpmで10分間、遠心分離し、上清を得た。上清の蛋白質濃度およびハプテンAのモル吸光係数からハプテンA導入数は170.83個/KLH1分子であることを決定した。
(ii)ハプテンB−KLHの作成
1mLのメタノールに3.9mgの実施例2で得られたハプテンBを溶解した溶液(10.8M)、2.5mgのEDCを1mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した溶液(13.0μM)、11.128mgのKLHを2mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解した溶液(3.7nM)を用いて前記のハプテンAの結合操作と同様の方法で行った。上清の蛋白質濃度およびハプテンBのモル吸光係数からハプテンB導入数は129.39個/KLH1分子であることを決定した。
(iii)ハプテンD−KLHの作成
0.7mLのメタノールに3.514mgの実施例3で得られたハプテンDを溶解した溶液(11.5M)、3.0mgのEDCを0.1mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した溶液(15.7μM)、10.34mgのKLHを2mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解した溶液(3.4nM)を用いて前記のハプテンAの結合操作と同様の方法で行った。、上清の蛋白質濃度およびハプテンDのモル吸光係数からハプテンD導入数は261.98個/KLH1分子であることを決定した。
実施例4−2 ハプテン−BSA抗原(ハプテン−BSA)の作成
(i)ハプテンA−BSAの作成
0.35mLのメタノールに6.1mgのハプテンAを溶解した(17.6μM)。5mgのEDCを0.35mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解し(26.1μM)、ハプテンA溶液をEDC溶液に攪拌しながら滴下して加え、この混合溶液を室温で5分間攪拌した。1.52mgのBSAを0.76mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解し(0.022μM)、ハプテンA−EDC混合液をBSA溶液に攪拌しながら滴下して加えた。この反応溶液を室温で12時間攪拌した後、10mMのPBS(pH7.4)中で2日間透析した。反応溶液を3000rpmで10分間、遠心分離し、上清を得た。上清の蛋白質濃度およびハプテンAのモル吸光係数からハプテンA導入数は18.67個/BSA1分子であることを決定した。
(ii)ハプテンB−BSAの作成
0.5mLのメタノールに4.3mgのハプテンBを溶解した溶液(11.9M)、3.5mgのEDCを0.1mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した溶液(18.3μM)、1.02mgのBSAを0.551mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解した溶液(0.0148μM)を用いて、前記のハプテンAの結合操作と同様の方法で行った。導入数は19.47個/BSA1分子であることを決定した。
(iii)ハプテンD−KLHの作成
0.64mLのメタノールに3.552mgのハプテンDを溶解した溶液(11.6M)、3.0mgのEDCを0.1mLの20mMリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した溶液(15.7μM)、1.0mgのBSAを0.5mLの160mMのリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解した溶液(0.0145μM)を用いて、前記のハプテンAの結合操作と同様の方法で行った。導入数は16.90個/BSA1分子であることを決定した。
実施例5 抗体の作成
実施例4で得た抗原溶液500μgと同量のフロイト完全アジュバントを別々の注射器にとり、コネクターで連結させて交互に動かすことにより混合してエマルジョンを調製した。免疫動物として各ハプテン抗原につき日本白色種ウサギ2羽を用いて、調製したエマルジョンを当該ウサギの背部皮下の数箇所に接種した。2週間後、前記と同様のエマルジョンを調製し、当該ウサギの背部皮下の数箇所に接種し、追加免疫とした。この追加免疫を2週間毎に繰り返し行い、追加免疫の各10日後に耳静脈から少量の血液を採取し、後述するELISA法によって目的とする抗体の産生を確認した。
ELISAによる抗体価の確認によって追加免疫後の抗体価の上昇がみられず、抗体の産生が一定になった時期に当該ウサギの抗体価の高いウサギから大量採血をおこなった。採血は耳動脈から行い、37℃で1時間、次いで4℃で1時間静置した後、3000回転/分で10分間遠心分離し、得られた上清を0.2μmのフィルターを通して滅菌処理をして、本発明のポリクローナル抗体を含む抗血清を得た。
実施例6 エピトープの確認(抗体の生成の確認)
実施例5で得た抗血清を用いて、各ハプテンに対する抗体が生成していることを直接ELISA法によって確認した。固相抗原として前記した免疫に使用したハプテン抗原のキャリアー蛋白質とは異なる蛋白質であるBSAを結合させたハプテン抗原(ハプテン−BSA)を使用した。ELISAは以下のように実施した。各ハプテン−BSAを50mM炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解して0.01μg/mLとし、これを100μLずつ96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れ、37℃で2時間静置して固相化した。また、ハプテンを結合していないBSAについても同様にマイクロプレートに入れた。0.05%Tween20を含むPBS(T−PBS)の200μL/ウェルで3回洗浄した後、各ウェルに1%スキムミルクを含むPBSを200μL/ウェル加えて、37℃で2時間静置することにより、非特異的な抗体の結合をブロックした。各ウェルをT−PBSで3回洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで2倍段階希釈した各ハプテン抗原で免疫して得られた抗血清(一次抗体)を100μL/ウェルで加え、37℃で1時間静置した。各ウェルをT−PBSで3回洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで3000倍に希釈したHRP標識抗ウサギIgG(二次抗体)を100μL/ウェルで加え、37℃で1時間静置した。各ウェルをT−PBSで3回洗浄し、O−フェニレンジアミン0.4mg/クエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を100μL/ウェルで加えて発色させた。3M塩酸を25μL/ウェルで加えて反応を停止し、マイクロプレートリーダーで490nmの吸光度を測定した。また、ウサギ血清中に非特異的な結合因子が無いことを確認するために免疫前に採血した血清を使用して、前記と同様の操作を行った。
吸光度の上昇は、加えた血清中に固相化した抗原と結合する抗体が存在することを意味する。
結果を図1、2および3に示す。得られた抗血清はハプテン−BSAに対して結合することが確認できた。5回免疫後の抗血清で4回免疫後の抗血清と比べて抗体価の上昇がみられず、抗体の産生が一定になった。一方、ハプテンを結合していないBSAのみを固相したウェルでは結合が見られなかった。また、免疫前の抗血清でも結合が見られなかった。本発明のポリクローナル抗体を含む抗血清はキャリアー蛋白質であるBSAに結合させたハプテンを認識して結合していることが確認された。以下の実施例において、抗ハプテンA抗体は本発明の抗ハプテンA抗体を含む実施例5で得られた抗血清、抗ハプテンB抗体は本発明の抗ハプテンB抗体を含む実施例5で得られた抗血清、抗ハプテンD抗体は本発明の抗ハプテンD抗体を含む実施例5で得られた抗血清をそれぞれ表す。
実施例7 エピトープの確認(競合ELISA)
次に競合ELISAを用いて、実施例5において得られた本発明の抗体の化合物認識を確認するために競合物質を用いて検討した。競合物質としてハプテンAおよびBの免疫抗血清ではフルタミド、OH−フルタミド、FLU−1、FLU−2、ハプテンDの免疫抗血清ではフルタミド、OH−フルタミド、FLU−1、FLU−2、FLU−1−N−OHを用いた。
実施例6で記載した方法と同様に各ハプテン−BSAを50mM炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解して0.01μg/mLとし、これを100μLずつ96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れ、37℃で2時間静置して固相化した。0.05%Tween20を含むPBS(T−PBS)の200μL/ウェルで3回洗浄した後、各ウェルに1%スキムミルクを含むPBSを200μL/ウェル加えて、37℃で2時間静置することにより、非特異的な抗体の結合をブロックした。各ウェルをT−PBSで3回洗浄した後、予め、抗ハプテンA抗体は600,000倍、抗ハプテンB抗体は60,000倍、抗ハプテンD抗体は80,000倍に0.05%スキムミルクを含むPBSで希釈した溶液0.15mLと各競合物質を0.05%スキムミルクを含むPBSに溶解した溶液(1mMから公比10で1pM)0.15mLを混合して37℃で1時間静置した混合溶液各100μLを加え、さらに37℃で1時間静置した。各ウェルをT−PBSで同様に洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで3000倍に希釈したパーオキシダーゼ標識抗ウサギIgG(二次抗体)を100μL/ウェルで加え、37℃で1時間静置した。各ウェルをT−PBSで3回洗浄し、O−フェニレンジアミン0.4mg/クエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を100μL/ウェルで加えて発色させた。3M塩酸を25μL/ウェルで加えて反応を停止し、マイクロプレートリーダーで490nmの吸光度を測定した。
結果を図4、5および6に示す。添加した競合物質が抗体と結合してプレートに固相したハプテン−BSAと抗体との結合が阻害されれば、490nmでの吸光度は競合物質を加えていないものと比べて減少する。競合ELISAでは、フルタミドは加えた競合物質の中で最も低い添加濃度から抗ハプテンA抗体の固相抗原に対する結合を阻害し、OH−フルタミドは加えた競合物質の中で最も低い添加濃度から抗ハプテンB抗体の固相抗原に対する結合を阻害した。また、抗ハプテンD抗体は添加した全ての競合物質により固相抗原に対する同程度の結合阻害が見られた。
実施例8 エピトープの確認(認識部位の確認)
本発明のポリクローナル抗体の認識部位を確認するため、実施例4で得た本発明のハプテン−BSAを抗原としたウェスタンブロット法を用いて交差反応性の検討を行った。各ハプテン−BSAをサンプルローディング緩衝液(62.5mMトリス塩酸(pH6.8)、2%SDS、20%グリセロール、5%2−メルカプトメタノール)で0.1ng/mLに希釈し、95℃で3分間加熱した。この溶液を、SDS含有10%ポリアクリルアミドゲルのウェルに10μL添加し、25mAで60分間電気泳動した。ゲル中の蛋白質は転写緩衝液(25mMトリス、192mMグリシン、20%(v/v)メタノール)中で、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に200mAで40分間転写した。転写した膜はPBS(pH7.4)で洗浄し、1%スキムミルクを含むPBSに浸し、4℃で16時間静置することにより非特異的な抗体の結合をブロックした。膜を0.05%Tween20を含むPBS(T−PBS)で洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで各ハプテンA、BおよびD抗体を5,000倍、5,000倍および4,000倍に希釈した溶液に浸し、室温で90分間振盪した。T−PBSで同様に洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで3,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG(2次抗体)に浸し、室温で60分間振盪した。T−PBSで同様に洗浄した後、0.3%ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、0.6%ニトロブルーテトラゾニウム(100mM NaCl、5mM MgCl2、100mMトリス塩酸(pH9.5))に浸して発色させた。
結果を図7、8および9に示す。抗ハプテンA抗体および抗ハプテンB抗体は、ハプテンA−BSAおよびハプテンB−BSAに対して結合を示したが、ハプテンD−BSAには結合を示さなかった。また、抗ハプテンD抗体はハプテンD−BSAのみで結合が認められ、ハプテンA−BSAおよびハプテンB−BSAに対して結合を示さなかった。
このことから、抗ハプテンA抗体および抗ハプテンB抗体はフルタミドおよびOH−フルタミドのアミド領域を認識しており、その結合は抗ハプテンA抗体ではフルタミドのアミド領域に対して、抗ハプテンB抗体ではOH−フルタミドのアミド領域に対して強い親和性を持つことが示された。抗ハプテンAおよびB抗体はハプテンD−BSAには結合を示さなかったことから、フルタミドおよびその代謝物に共通構造であるベンゼン環を認識していないことが示された。また、抗ハプテンD抗体はフルタミドおよびその代謝物に共通構造であるベンゼン環を認識していることが示された。
実施例9 フルタミドによるラット実験的肝障害モデルの作製
肝障害モデルの作製は以下のように実施した。絶食絶水下で60mg/kgのphenobarbitalを腹腔内に、150mg/kgのフルタミドを経口的に、それぞれ1日1回5日間反復投与した。最終投与後4時間に採血し、ヘパリン添加後、3000回転/分で遠心分離し、得られた血漿を用いてアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン(T−BIL)を測定した。また、肝臓を摘出して、一部を10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定後、ヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製し、病理組織学的検査を行った。対照動物に対するAST、ALT、T−BILは3.8倍、7.0倍、1.4倍に上昇し、病理組織学的には小葉中心性の肝細胞壊死巣が認められ、実験的肝障害の誘発を確認した。
実施例10 FLU−1−N−OHの検出
フルタミド代謝物であるFLU−1からFLU−1−N−OHが生成するかについて、実施例9で作製したラット実験的肝障害モデルの肝臓から調製したミクロソーム蛋白質を用いて代謝実験を行った。ミクロソームの調製は以下のように行った。ラット実験的肝障害モデル5匹の肝臓(肝臓重量:3.30g、5.97g、5.71g、5.82g、5.37g)を細切し、肝臓重量の2倍量の1.15%KClを加えて、10回ホモジナイズした後、遠心分離(4℃、9000×g、25分)し、得られた上清を更に遠心分離(4℃、109200×g、1時間)した。沈殿物に超純水を加えて混和し、更に超純水を加えて7mLとした後、0.5mLずつ分注して液体窒素で凍結後、使用時まで−80℃で保存した。
このミクロソーム蛋白質を基質としてFLU−1を用いて代謝実験を行った。10mMFLU−1(メタノール溶液)10μLを窒素気流下で乾固し、ラット実験的肝障害モデルから調製したミクロソーム蛋白質0.5mg/0.5mL及び0.1Mりん酸カリウム緩衝液(pH7.4)0.48mLを添加し、37℃で5分間振とうした後、80mMNADPH20μLを加えて代謝反応を開始した。37℃で30分間振とうした後、冷0.1%アスコルビン酸含有99%酢酸エチル(4mL)を加えて代謝反応を停止した。内標準物質としてビカルタミド(特開平2−131462号公報に記載に従って合成した。)1μgを添加し、30秒間混和した後、遠心分離(4℃、1800×g、5分)した。上清を減圧下で乾固し、残渣に50%メタノール/25mM酢酸緩アンモニウム衝液(pH5.0)100μLを添加し、溶解した。ろ過液中のFLU−1−N−OHを高速液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化(負イオン)−マススペクトロメトリーにより検出した。測定条件は、分析カラム:CAPCELL PAK C18 SG−120(4.6×150mm、5μm)、移動相:メタノール及び25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)のグラジエントモード、流速:0.6mL/分、検出:マススキャン(100−500amu、2秒間)で行った。
FLU−1−N−OHの標準品の保持時間は32分、マススペクトルは基準ピークであるm/z221([M−H]-イオン)及びそれより低いイオン強度のm/z204及びm/z281のピークを示すが、ラット実験的肝障害モデルから調製した全ての肝ミクロソームにおいてFLU−1−N−OH標準品と同じ保持時間及びマススペクトルを示す代謝物の生成が認められ、FLU−1−N−OHと同定した。また、無処置ラットの肝臓から調製したミクロソームを用いた比較例においてはFLU−1−N−OHの生成は検出されなかった。
実施例11 アダクト体の検出
フルタミドおよび/又はフルタミド代謝物が生体蛋白質とアダクト体を形成するかについて、無処置のラット肝臓から調製したミクロソーム蛋白質を用いてウェスタンブロットで検出を行った。アセトンに溶解したFLU−1−N−OHを最終濃度が0.5mMになるようにミクロソーム溶液(2mg/mL)に添加し、37℃で1時間振盪した。反応溶液を氷中に移し、50%トリクロロ酢酸を反応溶液量の1/4量加え、氷中で10分間静置した後、15,000回転/分で遠心分離し、蛋白画分を得た。未結合の化合物を除くため、メタノールを加えてよく混合した。氷中で10分間静置した後、15,000回転/分で遠心分離した。得られた蛋白質画分をサンプルローディング緩衝液(62.5mMトリス塩酸(pH6.8)、2%SDS、20%グリセロール、5%2−メルカプトメタノール)で2μg/mLに溶解し、95℃で3分間加熱した。この溶液を、SDS含有10%ポリアクリルアミドゲルのウェルに25μL添加し、25mAで60分間電気泳動した。ゲル中の蛋白質は転写緩衝液(25mMトリス、192mMグリシン、20%(v/v)メタノール)中で、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に200mAで40分転写した。転写した膜はPBS(pH7.4)で洗浄し、1%スキムミルクを含むPBSに浸し、4℃で16時間静置することにより非特異的な抗体の結合をブロックした。膜は0.05%Tween20を含むPBS(T−PBS)で洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで抗ハプテンD抗体を4,000倍に希釈した溶液に浸し、室温で90分間振盪した(1次抗体)。T−PBSで同様に洗浄し、0.05%スキムミルクを含むPBSで3,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG(2次抗体)に浸し、室温で60分間振盪した。T−PBSで同様に洗浄した後、0.3%ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、0.6%ニトロブルーテトラゾニウム(100mM NaCl、5mM MgCl2、100mMトリス塩酸(pH9.5))に浸して発色させた。
競合物質としてFLU−1(1mM)を予め抗ハプテンD抗体と混合し、37℃で1時間静置したものを1次抗体とし、比較例として前記と同様の処理を行った。
また、フルタミド、OH−フルタミド、FLU−1をFLU−1−N−OHに代えて同様の反応溶液を行い、フルタミド及びOH−フルタミドについては抗ハプテンA抗体及びB抗体を1次抗体として、FLU−1については抗ハプテンD抗体を1次抗体として、それぞれ蛋白質結合性を検討した。さらに、ミクロソーム蛋白質の代わりにハプテンD−BSAを用いて同様の処理を行った。
結果を図10に示す。ラットのミクロソーム蛋白質とFLU−1−N−OHの反応により、抗ハプテンD抗体で認識される複数のバンドが検出された。これらのバンドは予めFLU−1(1mM)と混合して1時間静置した抗ハプテンD抗体では検出できなかったことから、本抗体がミクロソームに強固に結合しているFLU−1−N−OHを検出していると考えられた。フルタミド、OH−フルタミド、FLU−1においてはいずれも明らかなバンドは検出されなかった。
実施例12 ラット肝の免疫染色
生体試料を用いて免疫組織化学的染色を行った。ラットにフェノバルビタールとともにフルタミドを投与して作製した実験的肝障害モデルの肝臓の病理組織検査では、小葉中心性の肝細胞壊死巣が認められる。また、実施例10(肝障害誘発ラットの肝臓から調製したミクロソームを用いた代謝実験)ではFLU−1−N−OHの生成が認められている。この小葉中心領域には薬物代謝酵素が多く存在することが知られていることから、投与されたフルタミドが薬物代謝酵素によって代謝され、反応性の高いFLU−1−N−OHが生成し、N−水酸化部位を介して壊死領域の肝細胞蛋白に結合していると推定した。
肝障害を実験的に誘発したラットおよび対照のラットの肝臓を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定し、パラフィンに包埋後、3μmに薄切し、プレパラートに固定し、組織標本とした。標本をキシレンに浸漬して脱パラフィンし、エタノールに浸漬して脱水した後、内因性のペルオキダーゼ活性を抑制するために0.3%過酸化水素を含む無水メタノールに室温で30分間浸漬した。PBS(pH7.2)で洗浄し、非特異的反応を抑制するために標本上にウマ血清を滴下し、室温で30分間静置した。標本に抗ハプテンD抗体(1次抗体)を滴下し、4℃で12時間静置した静置した。PBS(pH7.2)で洗浄し、ビオチン標識抗ウサギIgG(2次抗体)を滴下し、室温で60分間静置した。PBS(pH7.2)で洗浄し、Vectastain Elite ABC Kit(Burlingame、CA)およびジアミノベンジジンを用いて発色させた後、ヘマトキシリンで対比染色した。免疫組織化学的染色では壊死領域に一致して陽性染色像が得られた。本染色像は予めFLU−1(1mM)と混合して1時間静置した抗ハプテンD抗体を滴下した標本(比較例)では染色像が消失したことから、本発明の抗体が肝臓組織の壊死領域に強固に結合しているFLU−1−N−OHを検出していると考えられた。
これらの実施例から明らかな様に、本発明の抗体は、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識した。また本発明の抗体は、簡便にフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の検出、特に生体試料中に於けるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の局在性を検出することができ、生体試料が肝臓の場合は、肝障害の発生部位を確定することができた。よって、本発明の抗体を用いることによって、生体試料中に於けるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物の存在量が概算でき、フルタミドによる肝障害の予測・診断が可能となる。
ハプテンAと特異的に結合する抗体が免疫血清中に生成していることを直接ELISA法により検出した結果を示した図である。−●−はハプテンA−BSAを固相したウェルに対してハプテンA−KLH免疫血清を反応させた場合、−○−はBSAのみを固相したウェルに対してハプテンA−KLH免疫血清を反応させた場合、−◆−はハプテンA−BSAを固相したウェルに対して免疫前の血清を反応させた場合の結果を示す。 ハプテンBと特異的に結合する抗体が免疫血清中に生成していることを直接ELISA法により検出した結果を示した図である。−●−はハプテンB−BSAを固相したウェルに対してハプテンB−KLH免疫血清を反応させた場合、−○−はBSAのみを固相したウェルに対してハプテンB−KLH免疫血清を反応させた場合、−◆−はハプテンB−BSAを固相したウェルに対して免疫前の血清を反応させた場合の結果を示す。 ハプテンDと特異的に結合する抗体が免疫血清中に生成していることを直接ELISA法により検出した結果を示した図である。−●−はハプテンD−BSAを固相したウェルに対してハプテンD−KLH免疫血清を反応させた場合、−○−はBSAのみを固相したウェルに対してハプテンD−KLH免疫血清を反応させた場合、−◆−はハプテンD−BSAを固相したウェルに対して免疫前の血清を反応させた場合の結果を示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンA抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性を競合ELISA法で検出した結果を示した図である。−●−はフルタミド、−○−はOH−フルタミド、−◆−はFLU−1、−◇−はFLU−2を示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンB抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性を競合ELISA法で検出した結果を示した図である。−●−はフルタミド、−○−はOH−フルタミド、−◆−はFLU−1、−◇−はFLU−2を示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンD抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性を競合ELISA法で検出した結果を示した図である。−●−はフルタミド、−○−はOH−フルタミド、−◆−はFLU−1、−◇−はFLU−2、−□−はFLU−1−N−OHを示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンA抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性をウェスタンブロット法で検討した結果を示した図である。レーン1はハプテンA−BSA結合物、レーン2はハプテンB−BSA、レーン3はハプテンD−BSA結合物、レーン4は分子量マーカーを示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンB抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性をウェスタンブロット法で検討した結果を示した図である。レーン1はハプテンA−BSA、レーン2はハプテンB−BSA、レーン3はハプテンD−BSAを示す。 実施例5で得た本発明の抗ハプテンD抗体のフルタミドおよびその代謝物に対する交差性をウェスタンブロット法で検討した結果を示した図である。レーン1はハプテンD−BSA、レーン2はハプテンA−BSA、レーン3はハプテンB−BSA、レーン4は分子量マーカーを示す。 FLU−1−N−OHの蛋白質結合体を抗ハプテンD抗体を用いたウェスタンブロット法で検出した結果を示した図である。レーン1および3はミクロソーム蛋白質、レーン2および4はハプテンD−BSAをそれぞれ用い、レーン1および2は抗ハプテンD抗体、レーン3および4は抗ハプテンD抗体に競合物質としてFLU−1を混合した抗体溶液をそれぞれ1次抗体として使用した。

Claims (9)

  1. フルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンがそのスペーサーを介して血清蛋白質に結合した抗原。
  2. フルタミド及び/又はフルタミド代謝物のハプテンが下記一般式(1)
    Figure 2007246405
    (式中、R1は水素原子又は水酸基を表し、mは2から4の整数を表す。)
    または下記一般式(2)
    Figure 2007246405
    (式中、nは2から4の整数を表す。)で表される請求項1に記載の抗原。
  3. 血清蛋白質がスカシ貝ヘモシアニンである請求項1又は請求項2に記載の抗原。
  4. 血清蛋白質がウシ血清アルブミンである請求項1又は請求項2に記載の抗原。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の抗原を用いて製造されるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を認識する抗体。
  6. ポリクローナル抗体である請求項5に記載の抗体。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の抗体を用いてフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を含む生体試料の免疫染色をする方法。
  8. 請求項5又は請求項6に記載の抗体を用いて生体試料中に含まれるフルタミド及び/又はフルタミド代謝物を検出する方法。
  9. 請求項5又は請求項6に記載の抗体を用いてフルタミドの投与による肝障害を検出する方法。
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