JP2007245270A - アルミニウム合金の乾式加工用切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルミニウム合金などの軟質金属の乾式切削加工を行うにあたり、物理的および化学的な見地から溶着を大幅に抑制し、高寿命とすることができる切削工具を提案する。
【解決手段】 基材の表面にダイヤモンド膜が被覆された切削工具で、基材に形成された切れ刃の二番逃げ面には切削方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第1の条痕が形成され、二番逃げ面に被覆されたダイヤモンド膜上には第1の条痕に沿って凹凸を有し、ダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド結晶粒子は研磨されて曲面になっている工具とする。また、切れ刃のすくい面には加工時に切屑が流れる方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第2の条痕が形成され、すくい面に被覆されたダイヤモンド膜上には第2の条痕に沿って凹凸を有する工具とする。凹凸を有するダイヤモンド膜表面の摩擦係数は0.3未満とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ADC12などの中Si含有アルミニウム合金のような軟質金属の切削を行うにあたり、環境問題に配慮した乾式切削加工が可能な切削工具に関する。
近年、自動車関係を主とする機械加工ラインでは、アルミニウム合金の加工が数多く行われている。機械加工の1つとして切削加工が多用されるが、アルミニウム合金など軟質金属の切削加工を行う場合、切削工具の切れ刃にアルミニウム合金が溶着するという問題が発生する。このような問題を防止するため、効率的に切屑を排出させ、発生する加工熱の冷却を行うために大量の切削油や電力を使用しながら加工されていた。しかしながら、この分野においても環境問題への取り組みが要求されており、大量の切削油や電力を消費することは地球環境に著しく悪影響を及ぼすため、機械加工に携わるメーカーでは、切削油を使わない乾式切削や省エネの加工法などを採用する方向にあり、地球環境への負荷を低減させる対策が講じられている。
このようなことから、アルミニウム合金の切削加工においても、乾式加工が行われているが、乾式加工では上記のような切れ刃にアルミニウム合金が溶着するという問題がより顕著に現れ、溶着が発生すると切れ刃周辺が溶着金属により埋まってしまい、切削不能になったり最悪の場合は工具が破損するなどの問題が生じる。また、切れ刃に硬質膜を形成した切削工具で、切れ刃に溶着が発生すると、硬質膜が溶着金属とともに剥がれるという問題も発生し、工具の寿命を著しく短くするという問題も生じる。このような問題を防止するために、アルミニウム合金の加工に適した切削工具として様々なものが提案されている。
例えば、アルミニウム合金を加工するための超硬エンドミルで切れ刃への溶着を防止するために、刃部に第一層として炭化チタン(TiC)または窒化アルミチタン(TiAlN)被覆を形成し、その上にダイヤモンドに似た物性を持つ炭化チタン系(TiC/C)またはダイヤモンドに似た物性を持つ炭化珪素系の非晶質膜(SiC/C)の第二層被覆を付加した超硬エンドミルがある。このような動摩擦係数の小さい非晶質の硬質被覆処理を施すことで、アルミニウム合金をドライ切削加工しても溶着が少なく長寿命を保つことができるものとされている。さらに、形状面での改善として、(1)切れ刃刃先部に、外径の2〜6%の長さの正面戻し(チャンファー)を付加し、切屑の流出速度の変曲点を与えて溶着を回避する、(2)刃部の刃溝ねじれ角を38〜52°という高角度(強ねじれ)にすることにより、切削抵抗を小さくして耐溶着性を向上させる、(3)心厚を外径の43〜57%と小さくし切屑のチップポケットを大きくして切屑の排出性を向上させる、(4)外周すくい角を9〜21°と大きくして切屑の大きさを適度にし、外周逃げ角を7〜17°として切屑の流れを良好にするなどの改善が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
また加工方法の改善としては、被削材、加工条件あるいは工具種類などの加工環境に合わせて、必要最小限の切削油を供給するMQL(Minimum Quantity Lubrication)加工法や、限りなく乾式加工に近づけた極微量の切削油のみを供給するNDM(Near Dry Machining)加工法などが提案されている。
工具刃部への硬質被覆処理技術については、上記のような被覆の他にもTiN、TiCN、CrN、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの被覆を切れ刃に施したものが提案されている。
さらに、硬質被覆でより高い耐摩耗性を要求される場合、ダイヤモンド膜を被覆するものがあるが、ダイヤモンド膜は自形面を持った多結晶質であるため、表面の凹凸が大きく、切屑とダイヤモンド膜との間の摩擦係数が大きくなるため、溶着が酷く、切屑の流れも悪くなる。これを改善するものとして、切れ刃およびその周辺にダイヤモンド膜を被覆し、さらにその表面に潤滑性に優れたDLCなどの保護膜を被覆した切削工具が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
特開2001−293611号公報 特開2003−25117号公報
アルミニウム合金の切削加工においては、工具切れ刃への切屑の溶着により加工抵抗が過度に増大し、工具の折損を引き起こす問題や、加工時に形成される構成刃先の脱落により被削材の加工面の品位を悪化させたり、切れ刃の欠損を引き起こす問題などが発生しやすく、上記のような対策を行っても問題はなお残されており、画期的な対策が確立されていないのが現状である。
アルミニウム合金の乾式加工において、切屑の溶着と構成刃先の形成に大きく影響を及ぼす原因の一つは、加工する際に発生する加工熱である。乾式加工において加工熱を放熱させるためには気体による冷却(エアブロー、冷風、窒素ブローなど)が基本であることから、加工熱を逃がす能力に限界が有り、その結果、熱の影響で切屑の溶着や構成刃先の形成を誘発することになる。
二つめの原因は、上記したように切屑とダイヤモンド膜との間の摩擦係数が大きくなることであり、これにより摩擦熱が発生し切屑の溶着を誘発する。
三つめの原因として、工具切れ刃の表面と切屑との化学的親和性が高いために切屑の溶着が起こりやすいことがある。工具切れ刃の表面が金属結合などを起こしやすい状態では、上記のように物理特性を向上させたとしても溶着の問題は残り、根本的に解決するのは困難と予想される。
この化学的親和性の問題や工具寿命の点から考えると、ダイヤモンド膜を被覆した工具が必要となる。しかしながら、ダイヤモンド膜被覆工具では上記のような表面形状の点から溶着が酷くなるという問題があり、特許文献2に記載の提案のようにダイヤモンド膜表面にDLCなどの保護膜を被覆することで、ある程度は改善されるものの、化学的親和性の問題が発生して溶着しやすくなったり、保護膜自体はダイヤモンド膜に比べて耐摩耗性が劣るので保護膜が摩耗して溶着が酷くなったり、切屑の流れが悪くなることが予想される。
以上のようなことから、本発明はアルミニウム合金などの軟質金属の乾式切削加工を行うにあたり、物理的および化学的な見地から溶着を大幅に抑制し、高寿命とすることができる切削工具を提案するものである。
本発明の切削工具の第1の特徴は、アルミニウム合金の乾式加工用で基材の表面にダイヤモンド膜が被覆された切削工具であって、
前記基材に形成された切れ刃の二番逃げ面には切削方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第1の条痕が形成され、
前記二番逃げ面に被覆されたダイヤモンド膜上には前記第1の条痕に沿った凹凸を有し、
前記ダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド結晶粒子は研磨されて曲面になっていることである。
第2の特徴は、前記基材に形成された切れ刃のすくい面には加工時に切屑が流れる方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第2の条痕が形成され、前記すくい面に被覆されたダイヤモンド膜上には前記第2の条痕に沿った凹凸を有することである。
第3の特徴は、前記凹凸を有するダイヤモンド膜表面の摩擦係数は0.3未満であることである。
以上のような構成の切削工具とすることにより、工具切れ刃の表面と切屑との化学的親和性は極めて低くなって溶着を防止するとともに、高寿命の工具とすることができる。また、ダイヤモンド膜表面に形成された凹凸により、被削材や切屑との滑りが円滑に行われるとともに、膜表面が効率よく冷却されて、切屑が溶着するのを大幅に防止することができる。さらに、ダイヤモンド結晶粒子は研磨されて曲面になっているため摩擦係数が大幅に低減され、加工熱の発生を防止して、溶着を防止することができる。
本発明の切削工具の一実施の形態としてエンドミルを例にあげて説明する。図1は本発明のエンドミルの例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。また、図2は本発明のエンドミルの切れ刃部の先端部分を示した部分拡大図である。エンドミル1は、基材2の一端側に底切れ刃6と外周切れ刃3が形成されている。一端側の外周には外周二番逃げ面4、すくい面5、溝8が形成され、外周二番逃げ面4とすくい面5との交差部に外周切れ刃3が形成されている。また、一端側の端部には底二番逃げ面7が形成され、この面とすくい面5との交差部に底切れ刃6が形成されている。外周二番逃げ面4および底二番逃げ面7には、切削方向と平行な方向または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第1の条痕が形成されている。そして、これらの切れ刃3および6が形成された基材2の一端側全体にはCVD法などによりダイヤモンド膜が被覆されており、外周二番逃げ面4および底二番逃げ面7の部分のダイヤモンド膜表面には基材2表面に形成された第1の条痕に沿った凹凸9を有している。すなわち、基材2の表面の形状に沿った形状の微小な凹凸9がダイヤモンド膜表面にも形成されており、凹凸9自体は多数のダイヤモンド結晶粒子からなっているので、凹凸9の表面はダイヤモンド結晶粒子によるさらに微小な凹凸を有している。そして、このようなダイヤモンド結晶粒子はその稜線および稜線周辺が研磨されて、鋭利な稜線が除去され、ダイヤモンド結晶粒子は曲面になっている。このような構成とすることで、ダイヤモンド膜表面の摩擦係数は0.3未満になっている。
外周二番逃げ面4および底二番逃げ面7の部分のダイヤモンド膜表面は、非常に切屑が溶着しやすい部分であるが、ダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺が研磨されて曲面になったダイヤモンド膜の表面は凹凸9を有することで冷却用の気体が流れやすくなりしかも表面積が増えることにより冷却効果が高まる上、凹凸9の形成される方向は第1の条痕に沿って形成されることから切削方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向となって摩擦係数は小さくなり、摩擦熱の発生も抑えられて、切屑が溶着するのを防止することができる。また、ドリルのような切削工具の場合には、すくい面5の部分の基材2表面に切屑が流れる方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向の第2の条痕を形成しておき、その表面にダイヤモンド膜を被覆してダイヤモンド膜の表面に、第2の条痕に沿った凹凸9を形成すれば、上記と同様に切屑が溶着するのを防止することができ、切屑をスムーズに排出させることができる。さらに、ダイヤモンド膜と切屑との間の化学的親和性は極めて低くなり、化学的な面でも溶着を防止することができる。
なお、外周二番逃げ面4、底二番逃げ面7およびすくい面5の部分の基材2に形成する第1または第2の条痕の粗さは、Rmax0.5〜2.0μmとするのが好ましい。このようにすることで、ダイヤモンド膜との密着力が適切に確保され、ダイヤモンド膜の剥離を防止できる。また、ダイヤモンド膜を構成するダイヤモンド結晶粒子の大きさは、第1または第2の条痕の粗さの1/2以下の粒径とするのが好ましく、1/10以下とするのがより好ましい。このようにすることで、基材2に形成された条痕の凹んだ部分にもダイヤモンド膜を密に形成することが可能になり、ダイヤモンド膜の剥離防止になるとともに基材2に形成された条痕の形状がダイヤモンド膜表面に形成される凹凸9に反映されやすくなり、ダイヤモンド膜表面の凹凸9の形状を制御しやすくなる。
本発明のダイヤモンド膜被覆切削工具および従来のダイヤモンド膜被覆切削工具として、図1に示すような2枚刃のエンドミルを製作し、切削加工試験を行って、性能の比較を行った。
基材2の材料として、ダイヤモンド膜被覆の阻害要素であるCoの含有量を抑え、かつ機械的強度の点でも切削加工に耐えうるK10相当の超硬合金を用意し、この基材2の一端側に切れ刃の径がφ8.0mmの2枚刃を形成した。そして、本発明のエンドミルは、外周二番逃げ面4を円周方向(回転方向)と平行な方向に研削加工した。また、底二番逃げ面7を回転方向と平行な方向に研削加工した。この加工により、外周二番逃げ面4と底二番逃げ面7には回転方向と平行な方向に第1の条痕が形成されている。外周二番逃げ面4と底二番逃げ面7の回転方向と直角方向の面粗さはRmax1.0μmとした(以下、本発明1と記載する)。また、従来のエンドミルは、これらの研削加工は行わず、外周二番逃げ面4と底二番逃げ面7の表面は、鏡面に近い状態となっており、Rmax0.2μmになっている(以下、比較例1と記載する)。
次に、本発明1および比較例1のエンドミルで基材2の切れ刃を形成した一端側全体に熱フィラメントCVD法により、ダイヤモンドの結晶粒径が0.5μm以下のもので構成されるダイヤモンド膜を約3μmの厚さに被覆した。さらにこれらのダイヤモンド膜表面に投射式研磨装置によって弾性を有する砥粒集合体を投射することで、ダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺を曲面状に加工した。この時、本発明1のエンドミルでは予め外周二番逃げ面4および底二番逃げ面7の部分に設けた第1の条痕に沿ってダイヤモンド膜表面に凹凸が形成されており、ほぼ基材と同等の面粗さであった。
このようにして製作したエンドミルを使い、表1の条件によりADC12の切削加工を行い、アルミニウム合金が切れ刃に溶着する状態を比較した。試験の結果を、表2に示す。
Figure 2007245270
Figure 2007245270
表2は、特に溶着が起こりやすい二番逃げ面の溶着状態を一定の加工距離ごとに4段階に分けて判定した結果である。溶着状態により、「無」、「少」、「中」、「多」の4段階としている。この結果より、二番逃げ面に凹凸を形成すると実質的な表面積が大きくなり、乾式切削加工の冷却手段としてエアブローを併用することにより、効率的に加工熱が放熱され、加工点で発生する熱の蓄積が防止されて、被削材の溶着が大幅に抑制されることがわかった。
第2の実施例として、実施例1で製作したものと同じ形状のエンドミルを製作し、切削加工試験を行って、性能の比較を行った。
本発明のエンドミルとして、実施例1の本発明1とまったく同じものを製作した(以下、本発明2と記載する)。また、従来のエンドミルとして、基材2の外周二番逃げ面4および底二番逃げ面7には本発明2と同様に回転方向と平行な方向に研削加工を行って第1の条痕を形成し、外周二番逃げ面4と底二番逃げ面7の回転方向と直角方向の面粗さは本発明2と同等(Rmax1.1μm)とした。そして、基材2の切れ刃を形成した一端側全体に実施例1と同様のダイヤモンド膜を被覆した。なお、この後、ダイヤモンド膜表面を投射式研磨装置により研磨することは行わず、被覆したままの状態とした。従って、ダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺は曲面状にはなっていない(以下、比較例2と記載する)。これらのエンドミルを使い、表3の条件によりADC12の切削加工を行い、アルミニウム合金が切れ刃に溶着する状態を比較した。試験の結果を、表4に示す。
Figure 2007245270
Figure 2007245270
表4は、実施例1と同様に、二番逃げ面の溶着状態を一定の加工距離ごとに4段階に分けて判定した結果である。この結果より、二番逃げ面に回転方向と平行に凹凸を形成しても、被覆したダイヤモンド膜表面のダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺を曲面化しなければ、被削材の溶着を防止することは困難であり、溶着が酷くなることが伺える。そして、実施例1の結果と合わせて考えると、本発明のような乾式加工用切削工具の場合、被覆したダイヤモンド膜表面のダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺を曲面化することである程度溶着を抑制することは可能であるが、二番逃げ面に回転方向と平行に凹凸を形成することでより効果的に溶着を抑制できることがわかる。
第3の実施例として、スパイラルドリルを製作し、切削加工試験を行って、性能の比較を行った。スパイラルドリルの場合、切屑の排出時に溶着が起こりやすいこともあり、すくい面における凹凸の方向の違いによる切削性能への影響を検証した。
本発明のスパイラルドリルとして切れ刃形状が図4に示す形状のものと、比較のためのスパイラルドリルとして切れ刃形状が図5に示す形状のものを製作した。基材2の材料は、実施例1や2のエンドミルと同じK10相当の超硬合金を用意し、この基材2の一端側に切れ刃の径がφ5.0mmの切れ刃10を形成した。そして、この切れ刃10の二番逃げ面11には研削加工により第1の条痕を、さらにすくい面5を形成する溝8の面には研削加工により第2の条痕を形成した。いずれのドリルも二番逃げ面11には回転方向と平行の方向に第1の条痕を形成したが、溝8の面に形成する第2の条痕は、本発明のスパイラルドリルでは、切屑が流れる方向と平行な方向に形成し、この方向と直角方向の面粗さはRmax1.0μmとした(以下、本発明3と記載する)。また、比較のためのスパイラルドリルでは、切屑が流れる方向と直角方向に形成し、この方向と直角方向すなわち切屑が流れる方向の面粗さはRmax1.0μmとした(以下、比較例3と記載する)。
次に、本発明3および比較例3のドリルで基材2の切れ刃10を形成した一端側のうち、先端から約5mmの範囲に熱フィラメントCVD法により、ダイヤモンドの結晶粒径が0.5μm以下のもので構成されるダイヤモンド膜を約3μmの厚さに被覆した。さらにこれらのダイヤモンド膜表面に投射式研磨装置によって弾性を有する砥粒集合体を投射することで、ダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺を曲面状にした。この時、両者のドリルの溝8の面に予め設けた第2の条痕に沿ってダイヤモンド膜表面に凹凸が形成されており、ほぼ基材と同等の面粗さであった。
このようにして製作したドリルを使い、表5の条件によりAC2C(6%−Si)の穴明け加工を行い、被削材が切れ刃や溝に溶着する状態を比較した。試験の結果を、表6に示す。
Figure 2007245270
Figure 2007245270
表6は、ドリルの二番逃げ面11および溝8の溶着状態を4段階に分けて判定した結果である。溶着状態により、「無」、「少」、「中」、「多」の4段階としている。この結果より、比較例3のドリルでは切屑の流れる方向に対して直角に凹凸が残存しているため、切屑の滑りが悪くなったことが原因と考えられる溶着が酷く、加工を繰り返していくと、工具の折損を引き起こす結果につながったと考えられる。
また、この結果から投射式研磨装置によって弾性を有する砥粒集合体を投射し、ダイヤモンド結晶粒子の稜線周辺を曲面状にしたとしても、切屑が流れる溝部において、切屑の滑り方向と直角に凹凸が形成されていると、耐溶着性の効果はあまり得られず、悪影響を及ぼすことがわかった。
本発明は、乾式加工用の切削工具に利用できるが、これ以外にもダイヤモンド膜を被覆した工具や部材で被加工物と摩擦や摺動するものなどにも利用することができる。
本発明の切削工具であるエンドミルの例を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図。 本発明の切削工具であるエンドミルの例を示す図で、切れ刃部分の部分拡大図。 従来のエンドミルの例を示す図で、切れ刃部分の部分拡大図。 本発明の切削工具であるスパイラルドリルの例を示す図で、切れ刃部分の部分拡大図。 実施例3における比較例3のスパイラルドリルの切れ刃部分を示す部分拡大図。
符号の説明
1 エンドミル
2 基材
3 外周切れ刃(エンドミル)
4 外周二番逃げ面(エンドミル)
5 すくい面
6 底切れ刃(エンドミル)
7 底二番逃げ面(エンドミル)
8 溝
9 凹凸
10 切れ刃(スパイラルドリル)
11 二番逃げ面(スパイラルドリル)

Claims (3)

  1. 基材の表面にダイヤモンド膜が被覆された切削工具であって、
    前記基材に形成された切れ刃の二番逃げ面には切削方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第1の条痕が形成され、
    前記二番逃げ面に被覆されたダイヤモンド膜上には前記第1の条痕に沿った凹凸を有し、
    前記ダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド結晶粒子は研磨されて曲面になっていることを特徴とするアルミニウム合金の乾式加工用切削工具。
  2. 前記基材に形成された切れ刃のすくい面には加工時に切屑が流れる方向と平行または平行な方向とのなす角度が20度以内の方向に第2の条痕が形成され、
    前記すくい面に被覆されたダイヤモンド膜上には前記第2の条痕に沿った凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記凹凸を有するダイヤモンド膜表面の摩擦係数は0.3未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の切削工具。
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