JP2007245246A - 静電容量型memsアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】一対の電極のみを用いて揺動部材の揺動周波数及び機械的共振周波数を個別に制御可能な静電容量型MEMSアクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明に係るMEMSアクチュエータ100は、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材11と、該揺動部材11を静電力を利用して揺動駆動するための一対の電極18、19とを具備するMEMSデバイス1と、前記MEMSデバイス1が具備する前記一対の電極18、19間に電圧を印加する電源手段2とを備えている。前記電源手段2は、パルス電圧を前記一対の電極18、19間に印加すると共に、前記パルス電圧のデューティ比を変更可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係るMEMSアクチュエータ100は、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材11と、該揺動部材11を静電力を利用して揺動駆動するための一対の電極18、19とを具備するMEMSデバイス1と、前記MEMSデバイス1が具備する前記一対の電極18、19間に電圧を印加する電源手段2とを備えている。前記電源手段2は、パルス電圧を前記一対の電極18、19間に印加すると共に、前記パルス電圧のデューティ比を変更可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、パルス電圧を印加することによって生じる静電力を用いてマイクロミラー等の揺動部材を揺動させるように構成された静電容量型MEMSアクチュエータに関し、特に一対の電極のみを用いて揺動部材の揺動周波数及び機械的共振周波数を個別に制御可能とすることにより、MEMSデバイスの小型化と低コスト化を実現可能とした静電容量型MEMSアクチュエータに関する。
近年、レーザを用いたプリンタ、複写機、プロジェクタ等に使用されるレーザ光走査装置など各種装置の小型化が要請されている。斯かる装置の小型化の要請により、シリコンなどの半導体製造プロセス等における技術を応用して種々の機械要素の小型化を実現するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製されるマイクロミラースキャナ等のMEMSデバイスが種々提案されている。
例えば、マイクロミラースキャナには、シリコン基材にMEMS技術を用いて、サスペンションビームによって揺動可能に支持されたマイクロミラーや、マイクロミラーを揺動駆動するためのパルス電圧(ハイ・レベルとロー・レベルとが交互に繰り返される電圧)が印加される一対の電極などが形成されており、前記一対の電極間にパルス電圧を印加することによって生じる静電力によってマイクロミラーが揺動するように構成されている。一般的に、印加するパルス電圧のデューティ比(duty ratio)、すなわちパルス電圧の1周期におけるハイ・レベルの期間の比率は50%の固定値とされている。そして、マイクロミラーの固有振動数(機械的共振周波数)と略一致する周波数(揺動周波数)が得られるパルス電圧を印加することにより、共振現象が生じて、小さな駆動力でも比較的大きなマイクロミラーの振れ角(揺動する角度範囲)を得ることを可能としている。
ここで、マイクロミラーの機械的共振周波数は、マイクロミラーの駆動環境(温度等)や製作環境(加工誤差等)によって変動することが知られている。そして、マイクロミラーの揺動周波数を一定とした場合(電極間に印加するパルス電圧の周波数を一定とした場合)には、上記のような環境要因によって機械的共振周波数が変動することにより、マイクロミラーの振れ角が変動してしまうという問題がある。マイクロミラーの振れ角が変動すれば、マイクロミラーに向けて照射したレーザ光の反射光が走査される範囲が変動することになる結果、レーザプリンタ等の走査範囲が変動してしまうという問題が生じる。このような問題を解決するために、マイクロミラーの機械的共振周波数を調整可能に構成することが望まれている。
そこで、マイクロミラーの機械的共振周波数を電気的に調整する手段として、マイクロミラーの振れ角制御用(揺動周波数制御用)の一対の電極に加えて、機械的共振周波数制御用の一対の電極を新たに設け、各電極対に印加する電圧を個別に制御することにより、各種環境要因による機械的共振周波数の変動の影響を低減することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−311376号公報
特開2004−177957号公報
しかしながら、特許文献1及び2で提案されている手段は、上記のようにマイクロミラーの振れ角制御用の一対の電極に加えて、機械的共振周波数制御用の一対の電極を新たに設ける必要があるため、必然的にデバイスの小型化を図る上での制約が生じる他、コストが増大するという問題がある。
一方、機械的共振周波数制御用の一対の電極を新たに設けることなく、マイクロミラーの機械的共振周波数の変動に応じて、当該変動後の機械的共振周波数と略一致するようにマイクロミラーの揺動周波数を調整する(振れ角制御用の一対の電極間に印加するパルス電圧の周波数を調整する)方法も考えられる。しかしながら、一定の周波数でレーザ光を走査することが要求されるレーザプリンタのような用途に対しては、上記のようにマイクロミラーの機械的共振周波数の変動に応じて揺動周波数を調整する(変更する)方法を採用することはできない。また、仮に揺動周波数を変更することが許容される用途に適用する場合であっても、揺動周波数を安定した状態で変更するためには、互いに周波数の異なるクロックを発生する複数のクロック発生回路等を設ける必要があり、コストが増大するという問題が生じる。
以上に説明した従来技術の問題は、マイクロミラースキャナに限るものではなく、揺動部材を具備する各種の静電容量型MEMSデバイスを備えたMEMSアクチュエータに共通するものである。
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、一対の電極のみを用いて揺動部材の揺動周波数及び機械的共振周波数を個別に制御可能とし、ひいては揺動周波数を一定としたまま揺動部材の振れ角を制御可能な静電容量型MEMSアクチュエータを提供することを課題とする。
斯かる課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、静電容量型MEMSデバイスが具備する揺動部材の振れ角制御用(揺動周波数制御用)の一対の電極間に印加するパルス電圧のデューティ比を適宜調整すれば、必要とされる揺動部材の揺動周波数を一定としたままで機械的共振周波数を調整可能である(デューティ比を大きくすれば機械的共振周波数を大きくできる)ことを見出した。本発明は、斯かる発明者らの知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、該揺動部材を静電力を利用して揺動駆動するための一対の電極とを具備するMEMSデバイスと、前記MEMSデバイスが具備する前記一対の電極間に電圧を印加する電源手段とを備えた静電容量型MEMSアクチュエータであって、前記電源手段は、パルス電圧を前記一対の電極間に印加すると共に、前記パルス電圧のデューティ比を変更可能に構成されていることを特徴とする静電容量型MEMSアクチュエータを提供するものである。
斯かる発明によれば、一対の電極間に印加するパルス電圧の周波数を調整することにより揺動部材の揺動周波数を、デューティ比を調整することにより揺動部材の機械的共振周波数を、それぞれ個別に制御可能である。従って、印加するパルス電圧の周波数を例えば、レーザプリンタ等で必要とされる走査周波数に対応した一定の周波数に設定する一方、デューティ比を適宜変更して、前記設定した揺動周波数と略一致するように機械的共振周波数を調整することにより、大きな揺動部材の振れ角を得ることが可能である。本発明によれば、一対の電極しか必要としないため、MEMSデバイス、ひいてはMEMSアクチュエータの小型化と低コスト化を実現可能である。
ここで、従来より、揺動部材の揺動駆動を開始する際には、揺動部材の機械的共振周波数よりも十分に高い周波数のパルス電圧を印加する一方、揺動駆動を開始した後には、印加するパルス電圧の周波数の1/2を前記機械的共振周波数よりも若干高い程度に低下させれば、揺動部材の振れ角を大きくできることが知られている。しかしながら、従来のMEMSアクチュエータで上記駆動方法を実現するには、揺動部材の振れ角制御用(揺動周波数制御用)の電極間に、揺動駆動開始時と開始後とで異なる周波数のパルス電圧を印加しなければならないため、複数のクロック発生回路等を設ける必要があり、コストが増大するという問題が生じる。
しかしながら、本発明に係るMEMSアクチュエータによれば、パルス電圧のデューティ比を調整することにより揺動部材の機械的共振周波数を制御可能であるため、パルス電圧の周波数を変更せずに機械的共振周波数の方を変更することにより、上記駆動方法と同様の作用効果を奏することが可能である。
すなわち、好ましくは、前記電源手段から印加されるパルス電圧の周波数は一定値に設定され、前記揺動部材の揺動駆動を開始する際には、前記揺動部材の機械的共振周波数が、前記パルス電圧の周波数の1/2よりも低くなるように、前記パルス電圧のデューティ比が設定される一方、前記揺動部材の揺動駆動を開始した後には、前記揺動部材の機械的共振周波数が、前記パルス電圧の周波数の1/2よりも低くなるように、且つ、前記揺動駆動を開始した際の前記揺動部材の機械的共振周波数よりも高くなるように、前記パルス電圧のデューティ比が設定される。
斯かる好ましい構成によれば、揺動駆動を開始する際及び開始後のパルス電圧のデューティ比を調整するだけで、揺動部材の機械的共振周波数を制御してパルス電圧の周波数の約1/2に近づけることで揺動部材の振れ角を容易に大きくすることが可能である。なお、揺動駆動開始の際のデューティ比を設定してから大きくするまで(定常駆動状態のデューティ比にするまで)の遷移時間は、0.2秒以上とすることが好ましい。
ここで、本発明の発明者らによってなされた特願2005−135131号に記載のように、印加するパルス電圧に直流バイアス電圧を重畳し、該重畳する直流バイアス電圧の値を適宜調整することによっても、必要とされる揺動部材の揺動周波数を一定としたままで機械的共振周波数を調整可能である。従って、パルス電圧のデューティ比の調整と直流バイアス電圧値の調整とを併用する構成を採用すれば、パルス電圧のデューティ比の調整のみの場合よりも広範囲に亘る機械的共振周波数の調整が可能である。
従って、好ましくは、前記電源手段は、前記パルス電圧に直流バイアス電圧を重畳して前記一対の電極間に印加すると共に、前記重畳する直流バイアス電圧の電圧値を変更可能に構成される。
斯かる好ましい構成によれば、パルス電圧のデューティ比及び重畳する直流バイアス電圧値の双方を調整可能であり、これにより広範囲に亘って機械的共振周波数を調整できるため、たとえ揺動部材の駆動環境や製作環境によって機械的共振周波数が大きく変動したとしても、揺動部材を一定の振れ角で揺動させ易いという利点が得られる。
本発明に係るMEMSアクチュエータによれば、一対の電極のみを用いて揺動部材の揺動周波数及び機械的共振周波数を個別に制御可能であるため、MEMSデバイスの小型化と低コスト化を実現可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る静電容量型MEMSアクチュエータについて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るMEMSアクチュエータの電気的な概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すMEMSデバイスの概略構成を示す分解斜視図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るMEMSアクチュエータの電気的な概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すMEMSデバイスの概略構成を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100は、静電容量型MEMSデバイス1と、後述するようにMEMSデバイス1が具備する一対の電極間に電圧を印加する電源手段2とを備えている。また、本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100は、好ましい構成として、MEMSデバイス1の近傍に配置された温度センサ3を備えている。
図2に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイス1は、シリコン材から形成された上層基板1Aと絶縁材料(例えばガラス材)から形成された下層基板1Bとが上下に積層された構造を有している(図2は、上層基板1Aと下層基板1Bとを分離した状態を示すが、実際には両者は積層されている)。なお、本実施形態に係るMEMSデバイス1は、エッチングや成膜など公知のMEMS技術を適用することにより当業者であれば容易に作製することが可能であるため、その具体的な製造方法については説明を省略する。
上層基板1Aには、中央に楕円状の揺動部材(本実施形態ではマイクロミラー)11が形成されていると共に、その揺動軸(図2に示すX軸)方向両端部に、それぞれ接続部12を介してサスペンションビーム13A、13Bが形成されており、揺動部材11はサスペンションビーム13A、13Bによって揺動軸周りに揺動可能に支持されている。
サスペンショビーム13A、13Bの揺動軸方向端部(揺動部材11に接続されている側と反対側の端部)は、ヒンジ15A、15Dを介して、アンカーとなる接着パッド14A、14Bにそれぞれ接続されている。また、サスペンショビーム13Aには、接着パッド14Cと、ヒンジ15Bとが形成されており、ヒンジ15Bが接着パッド14Cに接続されている。同様にして、サスペンショビーム13Bには、接着パッド14Dと、ヒンジ15Cとが形成されており、ヒンジ15Cが接着パッド14Dに接続されている。
また、サスペンションビーム13A、13Bの揺動軸と直交する軸(図2に示すY軸)方向の端部には、電極としてY軸方向に延びる揺動櫛歯18A、18Bが形成されており、上層基板1Aの本体19に形成された電極としてのY軸方向に延びる固定櫛歯19A、19Bと揺動軸方向に沿って交互に配置されている。これら揺動櫛歯18A、18Bと固定櫛歯19A、19Bとの組合せが、本発明における一対の電極に相当する。以下、適宜、揺動櫛歯18A、18Bと固定櫛歯19A、19Bとの組合せを「一対の電極18、19」と称する。
一方、下層基板1Bには、上層基板1Aに形成された揺動部材11とサスペンションビーム13A、13Bとを揺動軸周りに揺動可能とするべく、揺動部材11に対応する位置に楕円形の掘り込み領域16が形成され、サスペンションビーム13A、13Bに対応する位置に矩形の掘り込み領域16A、16Bが形成されている。また、下層基板1Bには、上層基板1Aと下層基板1Bとが積層された状態で上層基板1Aに形成された接着パッド14C、14Dの裏面をそれぞれ固着するべく、固定用パッド17A、17Bが形成されている。また、接着パッド14A、14Bの裏面は、下層基板1Bの周壁に固着される。
以上に説明した構成を有するMEMSデバイス1において、揺動櫛歯18A、18Bと固定櫛歯19A、19Bとの間に電源手段2(図1参照)からパルス電圧を印加すれば、揺動櫛歯18A、18Bと固定櫛歯19A、19Bとの間に静電力が作用し、これにより揺動部材11は、接着パッド14A〜14Dを固定端とし、ヒンジ15A〜15Dの弾性力に抗しながら揺動軸周りに揺動することになる。
電源手段2は、パルス電圧を一対の電極18、19間に印加すると共に、前記パルス電圧のデューティ比を変更可能に構成されている。具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る電源手段2は、駆動周波数発生部21と、デューティ比演算部22と、直流電源23と、スイッチング回路24とを備え、これら構成要素によってデューティ比可変のパルス電圧を生成している。
図3は、電源手段2の各構成要素から出力される信号波形を模式的に示す図である。図3(a)は駆動周波数発生部21から出力される信号波形を、図3(b)はデューティ比演算部22から出力される信号波形を、図3(c)は直流電源23から出力される信号波形を、図3(d)はスイッチング回路24から出力される信号波形を示す。図3(a)に示すように、駆動周波数発生部21からは、所定の一定周波数f(周期T)のパルス信号Aが出力される。一方、図3(b)に示すように、デューティ比演算部22からは、パルス信号Aと同じ周波数f(周期T)を有するが、パルス信号Aとは位相の異なるパルス信号Bが出力される。そして、図3(d)に示すように、スイッチング回路24では、パルス信号Aがハイ・レベルになってからパルス信号Bがハイ・レベルになるまでの時間T1の間にハイ・レベル(図3(c)に示す直流電源23から出力される電圧V)になる周波数f(周期T)のパルス電圧が生成され、該パルス電圧がMEMSデバイス1の一対の電極18、19間に印加される。
ここで、デューティ比演算部22は、出力するパルス信号Bの位相を変更可能に構成されている。パルス信号Bの位相を変更することにより、時間T1が変化し、スイッチング回路24から出力されるパルス電圧のデューティ比(=T1/T)が変更されることになる。より具体的に説明すれば、本実施形態では、デューティ比演算部22に、温度センサ3で測定したMEMSデバイス近傍1の雰囲気温度と、設定するべきパルス信号Bの位相との対応関係が予め設定されている。そして、押釦スイッチ(図示せず)等から揺動駆動開始信号が入力されることにより、デューティ比演算部22は、温度センサ3から入力された温度測定値と前記対応関係とに基づいて、パルス信号Bの位相を設定する。これにより、スイッチング回路24から出力されるパルス電圧のデューティ比が、温度センサ3の温度測定値に応じて変更されることになる。
図4は、パルス電圧のデューティ比を変更することにより揺動部材11の機械的共振周波数が変化する様子を模式的に示す説明図である。図4に示すように、周波数fのパルス電圧のデューティ比を大きくすれば、揺動部材11の機械的共振周波数特性は周波数の高い方向にシフトし、機械的共振周波数(最大の振れ角が得られる共振周波数)がf0からf1に高まることになる。逆に、デューティ比を小さくすれば、機械的共振周波数がf1からf0に低下することになる。
図5は、一対の電極18、19間に印加するパルス電圧の周波数(約6kHz)及び振幅(120V)を一定とする一方、デューティ比を種々の値(8%〜91%)に変更した条件で、揺動部材11の機械的共振周波数を実際に評価した結果の一例を示すグラフである。なお、MEMSアクチュエータ100を構成するMEMSデバイス1は、気密容器内に収容し、この気密容器内の気圧を大気圧に設定した。図5に示すように、印加するパルス電圧のデューティー比を変更することにより、揺動部材11の機械的共振周波数も変化することが分かる。より具体的には、印加するパルス電圧のデューティー比を大きくすることにより、機械的共振周波数が高まることになる。
以上に説明した本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100によれば、一対の電極18、19間に印加するパルス電圧の周波数fを調整することにより揺動部材11の揺動周波数を、デューティ比を調整することにより揺動部材11の機械的共振周波数を、それぞれ個別に制御可能である。従って、印加するパルス電圧の周波数fを例えば、レーザプリンタ等で必要とされる走査周波数(揺動周波数)に対応した一定の周波数に設定する一方、デューティ比を適宜変更して、前記設定した揺動周波数と略一致するように機械的共振周波数を調整することにより、大きな揺動部材11の振れ角を得ることが可能である。そして、一対の電極18、19しか必要としないため、MEMSデバイス1、ひいてはMEMSアクチュエータ100の小型化と低コスト化を実現可能である。
また、本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100によれば、温度センサ3の温度測定値(MEMSデバイス近傍1の雰囲気温度)に応じて、パルス電圧のデューティ比が変更されることになる。従って、仮に揺動部材11の温度変化が生じたとしても、揺動部材11を一定の振れ角で揺動させることが可能である。
なお、本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100において、揺動部材11の揺動駆動を開始する際と、開始した後とで、設定するパルス電圧のデューティ比を変更することが好ましい。具体的には、デューティ比演算部22がタイマー機能を具備するように構成し、デューティ比演算部22に揺動駆動開始信号が入力された直後と、揺動駆動開始信号が入力されてから予め設定された所定時間(例えば0.2秒以上)経過後とで、デューティ比演算部22で設定するパルス電圧のデューティ比(実際にはパルス信号Bの位相)を変更するように構成することが好ましい。
より具体的に説明すれば、デューティ比演算部22に揺動駆動開始信号が入力された直後においては、揺動部材11の機械的共振周波数(図4のf0)がパルス電圧の周波数の1/2(図4のf/2)よりも低くなるように、パルス電圧のデューティ比が設定される。一方、揺動駆動開始信号が入力されてから予め設定された所定時間経過後においては、揺動部材11の機械的共振周波数(図4のf1)がパルス電圧の周波数の1/2(図4のf/2)よりも低くなるように、且つ、揺動駆動開始信号が入力された直後の揺動部材11の機械的共振周波数(図4のf0)よりも高くなるように、パルス電圧のデューティ比が設定される。
上記の好ましい構成を採用することにより、揺動部材11の揺動駆動を開始する際には、揺動部材11の機械的共振周波数f0よりも十分に高い周波数fのパルス電圧をMEMSデバイスの一対の電極18、19間に印加する一方、揺動駆動を開始した後の定常駆動状態では、揺動部材11の機械的共振周波数f1の2倍よりも若干高い周波数fのパルス電圧をMEMSデバイスの一対の電極18、19間に印加することになり、揺動部材11の振れ角を大きくすることが可能である。そして、上記定常駆動状態において、前述のように温度センサ3の温度測定値に応じてパルス電圧のデューティ比を変更する構成とすれば、仮に揺動部材11の温度変化が生じたとしても、揺動部材11を一定の振れ角で揺動させることが可能である。
図6は、以上に説明した本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100において、一対の電極18、19間に印加するパルス電圧の周波数(約6kHz)及び振幅(100V)を一定とする一方、デューティ比を種々の値(30%〜90%)に変更した条件で、揺動部材11の振れ角を評価した結果の一例を示すグラフである。なお、MEMSアクチュエータ100を構成するMEMSデバイス1は、気密容器内に収容し、この気密容器内の気圧を40Paに設定した。
図6に示すように、印加するパルス電圧のデューティ比を30%〜90%の範囲で変更することにより、揺動部材11の振れ角は4.7°〜10.9°の範囲で変化し、デューティ比30%での振れ角を基準にすると、約2.3倍の振れ角となるまで調整可能であることが分かった。
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係るMEMSアクチュエータの電気的な概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100Aは、電源手段2Aが、スイッチング回路24から出力されたパルス電圧をMEMSデバイス1の一対の電極18、19間に直接印加するのではなく、直流バイアス電圧を重畳して印加すると共に、前記重畳する直流バイアス電圧の電圧値を変更可能に構成されている点が、前述した第1実施形態に係るMEMSアクチュエータ100と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、以下、上記相違点についてのみ説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るMEMSアクチュエータの電気的な概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100Aは、電源手段2Aが、スイッチング回路24から出力されたパルス電圧をMEMSデバイス1の一対の電極18、19間に直接印加するのではなく、直流バイアス電圧を重畳して印加すると共に、前記重畳する直流バイアス電圧の電圧値を変更可能に構成されている点が、前述した第1実施形態に係るMEMSアクチュエータ100と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、以下、上記相違点についてのみ説明する。
本実施形態に係る電源手段2Aは、第1実施形態に係る電源手段2と同様に、駆動周波数発生部21と、デューティ比演算部22と、直流電源23と、スイッチング回路24とを備えている。さらに、本実施形態に係る電源手段2Aは、直流バイアス電圧を出力する直流バイアス電源手段25(出力する直流バイアス電圧の電圧値を変更可能に構成されている)と、スイッチング回路24から出力されたパルス電圧に前記直流バイアス電圧を重畳するための加算回路26とを備えている。
図8は、加算回路26から出力される信号波形を模式的に示す図である。図8に示すように、加算回路26からは、スイッチング回路24から出力されたパルス電圧(図3(d)参照)に直流バイアス電圧(電圧値V0)が重畳されたパルス電圧が出力されることになる。そして、直流バイアス電源手段25から出力される直流バイアス電圧の電圧値V0を調整することにより、前述したように揺動部材11の機械的共振周波数を調整可能である。以上のように、本実施形態に係るMEMSアクチュエータ100Aは、デューティ比演算部22によるパルス電圧のデューティ比の調整と、直流バイアス電源手段25による直流バイアス電圧値の調整とを併用する構成である。従って、第1の実施形態のようにパルス電圧のデューティ比のみを調整する場合に比べれば、広範囲に亘って機械的共振周波数を調整可能であるという利点を有する。
なお、直流バイアス電源手段25から出力する直流バイアス電圧の電圧値V0は、デューティ比演算部22と同様に、温度センサ3の測定温度に応じて変更する構成を採用することが可能である。より具体的には、直流バイアス電源手段25に、温度センサ3で測定したMEMSデバイス近傍1の雰囲気温度と、設定するべき直流バイアス電圧の電圧値V0との対応関係を予め設定しておき、温度センサ3から入力された温度測定値と前記対応関係とに基づいて、電圧値V0を設定する構成とすればよい。また、デューティ比演算部22と同様に、直流バイアス電源手段25がタイマー機能を具備するように構成し、揺動駆動開始信号が入力された直後と、揺動駆動開始信号が入力されてから予め設定された所定時間経過後とで、出力する直流バイアス電圧の電圧値V0を変更する構成を採用することも可能である。
1・・・MEMSデバイス
2,2A・・・電源手段
3・・・温度センサ
18、19・・・電極
100,100A・・・MEMSアクチュエータ
2,2A・・・電源手段
3・・・温度センサ
18、19・・・電極
100,100A・・・MEMSアクチュエータ
Claims (3)
- 基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、該揺動部材を静電力を利用して揺動駆動するための一対の電極とを具備するMEMSデバイスと、
前記MEMSデバイスが具備する前記一対の電極間に電圧を印加する電源手段とを備えた静電容量型MEMSアクチュエータであって、
前記電源手段は、パルス電圧を前記一対の電極間に印加すると共に、前記パルス電圧のデューティ比を変更可能に構成されていることを特徴とする静電容量型MEMSアクチュエータ。 - 前記電源手段から印加されるパルス電圧の周波数は一定値に設定され、
前記揺動部材の揺動駆動を開始する際には、前記揺動部材の機械的共振周波数が、前記パルス電圧の周波数の1/2よりも低くなるように、前記パルス電圧のデューティ比が設定される一方、
前記揺動部材の揺動駆動を開始した後には、前記揺動部材の機械的共振周波数が、前記パルス電圧の周波数の1/2よりも低くなるように、且つ、前記揺動駆動を開始した際の前記揺動部材の機械的共振周波数よりも高くなるように、前記パルス電圧のデューティ比が設定されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型MEMSアクチュエータ。 - 前記電源手段は、前記パルス電圧に直流バイアス電圧を重畳して前記一対の電極間に印加すると共に、前記重畳する直流バイアス電圧の電圧値を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量型MEMSアクチュエータ。
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---|---|---|---|---|
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2006
- 2006-03-13 JP JP2006067964A patent/JP2007245246A/ja not_active Withdrawn
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