JP2017161561A - 可動反射素子 - Google Patents

可動反射素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2017161561A
JP2017161561A JP2016043049A JP2016043049A JP2017161561A JP 2017161561 A JP2017161561 A JP 2017161561A JP 2016043049 A JP2016043049 A JP 2016043049A JP 2016043049 A JP2016043049 A JP 2016043049A JP 2017161561 A JP2017161561 A JP 2017161561A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
piezoelectric element
voltage
frame
linear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016043049A
Other languages
English (en)
Inventor
緒方 健治
Kenji Ogata
健治 緒方
省吾 黒木
Shogo Kuroki
省吾 黒木
嘉之 渡部
Yoshiyuki Watabe
嘉之 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
I Pex Inc
Original Assignee
Dai Ichi Seiko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi Seiko Co Ltd filed Critical Dai Ichi Seiko Co Ltd
Priority to JP2016043049A priority Critical patent/JP2017161561A/ja
Publication of JP2017161561A publication Critical patent/JP2017161561A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】電力を有効に活用する可動反射素子を提供する。
【解決手段】一対のアクチュエータ部140,150のそれぞれにおいて、線状部材240,250は、一端で固定枠110側と接続し、他端で鏡面部130側と接続し、一端から他端まで延びる可撓性のある部材である。圧電素子340A,350Aは、線状部材240,250上に形成され、駆動電圧に従って伸縮して線状部材240,250を変形させて、固定枠110に対して鏡面部130を揺動させる。圧電素子340B,350Bは、線状部材240,250上に形成され、線状部材240,250の変形に応じて発生する電圧を駆動電圧調整用の検出電圧として出力する。圧電素子340C,350Cは、線状部材240,250上に形成され、線状部材240,250の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する。
【選択図】図3

Description

本発明は、可動反射素子に関する。
特許文献1には、圧電膜と電極とからなる駆動用圧電部の伸縮によってミラーを駆動し、そのミラーでレーザ光を反射しスクリーンに走査する水平偏向素子部を備えた光偏向器が開示されている。この光偏向器では、駆動用圧電部の駆動に対応して動作する検出用圧電部(圧電膜と電極とからなる)で生じた信号に基づいて、水平偏向素子(駆動用圧電部)を制御して、ミラーの駆動を安定化させている。
特開2014−048327号公報
スマートフォン等のような携帯型端末では、電源は端末内に搭載される二次電池となる。携帯型端末の稼働時間を長くするには、端末内の部品としては、消費電力が少なく、電力を有効に活用できるものを採用するのが望ましく、これは可動反射素子も例外ではない。また、携帯型端末に搭載される場合に限らず、省エネルギーの観点から、電力を有効に活用できる可動反射素子の開発が望まれている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電力の有効活用が可能な可動反射素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る可動反射素子は、
フレームに対してミラーを揺動軸回りに揺動させるために前記ミラーの両側に設けられた一対のアクチュエータを備える可動反射素子であって、
前記一対のアクチュエータのそれぞれは、
一端でフレーム側と接続し、他端でミラー側と接続し、前記一端から前記他端まで延びる可撓性のある線状部材と、
前記線状部材に形成され、駆動電圧に従って伸縮して前記線状部材を変形させて、前記フレームに対して前記ミラーを揺動させる第1の圧電素子と、
前記線状部材に形成され、前記線状部材の変形に応じて発生する電圧を駆動電圧調整用の検出電圧として出力する第2の圧電素子と、
前記線状部材に形成され、前記線状部材の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する第3の圧電素子と、
を備える。
この場合、前記第3の圧電素子は、
前記線状部材において、発生する電圧が既定値以上となる部分に形成されている、
こととしてもよい。
前記第1の圧電素子は、前記線状部材を構成する、前記揺動軸に交差して延びる最長の直線部分に形成され、
前記第2の圧電素子は、前記線状部材の前記フレーム側の端部に形成され、
前記第3の圧電素子は、前記第1の圧電素子よりも前記ミラー側に形成されている、
こととしてもよい。
前記線状部材は、
前記フレーム側の部材に一端が接続され、前記揺動軸に交差する第1の方向に延びる第1の線状部と、
一端が前記第1の線状部の他端と接続し、前記第1の方向に直交する第2の方向に延びた第2の線状部と、
一端が前記第2の線状部の他端と接続し、前記第2の線状部の他端から折り返して前記第1の線状部に対向して平行に延び、他端がミラー側の部材と接続する第3の線状部と、
を有し、
前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子は、前記第1の線状部に形成されており、
前記第3の圧電素子は、前記第2の線状部及び前記第3の線状部の少なくとも一方に形成されている、
こととしてもよい。
前記ミラーが形成された鏡面部と、
前記鏡面部を囲む内側フレームと、
前記内側フレームを囲む外側フレームと、
前記ミラーと前記内側フレームとを連結し、前記内側フレームに対して前記鏡面部を内側揺動軸回りに揺動させるために前記ミラーの前記内側揺動軸の両側にそれぞれ設けられた一対の内側駆動部と、
前記内側フレームと前記外側フレームとを連結し、前記外側フレームに対して前記内側フレームを、前記内側揺動軸に直交する外側揺動軸回りに揺動させるために前記内側フレームの前記外側揺動軸の両側にそれぞれ設けられた一対の外側駆動部と、
を備え、
前記内側駆動部及び前記外側駆動部の少なくとも一方が、前記アクチュエータである、
こととしてもよい。
前記第3の圧電素子は、前記第3の線状部の長手方向中央から前記第2の線状部側にオフセットした位置に形成されている、
こととしてもよい。
前記第3の圧電素子は、前記第3の線状部の長手方向中央から前記鏡面部側にオフセットした位置に形成されている、
こととしてもよい。
前記第3の圧電素子は、
前記線状部材において厚さが非連続に変化する部分に近接して形成されている、
こととしてもよい。
前記第3の圧電素子は、
前記線状部材において折れ曲がった部分の内側に近接して形成されている、
こととしてもよい。
本発明によれば、第1の圧電素子の駆動による線状部材の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する第3の圧電素子を備えているので、その回生電圧を電源に充電することにより、電力の有効活用が可能となる。
図1(A)は、本発明の一実施の形態に係る可動反射素子の上面図である。図1(B)は、図1(A)の可動反射素子をXZ平面で切断した断面図である。 図2(A)は、図1(A)の可動反射素子の側面図である。図2(B)は、XZ平面で切断した可動反射素子の積層構造を示す断面図である。図2(C)は、YZ平面で切断した可動反射素子の積層構造を示す断面図である。 D層を強調した可動反射素子の上面図である。 図4(A)、図4(B)及び図4(C)は、可動反射素子におけるアクチュエータ部の動作を示す図である。 図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、本発明の一実施の形態に係る可動反射素子における可動枠のY軸方向への傾斜状態(X軸周りの回転状態)を示す側面図である。 図6(A)、図6(B)及び図6(C)は、本発明の一実施の形態に係る可動反射素子における鏡面部のX軸方向への傾斜状態(Y軸周りの回転状態)を示す側面図である。 図7(A)、図7(B)、図7(C)及び図7(D)は、外側のアクチュエータ部に形成される回生用の圧電素子の配置パターンを示す上面図である。 図8(A)、図8(B)及び図8(C)は、アーム部の中点を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図9(A)、図9(B)及び図9(C)は、アーム部の連結部分を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、アーム部と可動部との端部を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図11(A)、図11(B)及び図11(C)は、検出用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図12(A)、図12(B)、図12(C)及び図12(D)は、内側のアクチュエータ部に形成される回生用の圧電素子の配置パターンを示す上面図である。 図13(A)、図13(B)及び図13(C)は、アーム部の中点を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図14(A)、図14(B)及び図14(C)は、アーム部の連結部分を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図15(A)、図15(B)及び図15(C)は、アーム部と可動部との端部を基準にして回生用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 図16(A)、図16(B)及び図16(C)は、検出用の圧電素子の大きさを変更した場合の外側のアクチュエータ部の上面図である。 二次元走査装置を利用したプロジェクタの構成を示すブロック図である。 フィードバック制御機能を備えたプロジェクタの模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、反射素子の動作により回生用の電圧を発生させ電力の効率利用をはかる可動反射素子100の基本的な構成と、その動作について説明する。
図1(A)、図1(B)に示すように、可動反射素子100は、全体として矩形(長方形)平板状の素子である。可動反射素子100は、最も外周に配置された平板状の枠体である固定枠110と、固定枠110の枠内に配置された矩形平板状の枠体である可動枠120と、可動枠120の枠内に配置された矩形平板状の部材であり、入射した光、電磁波等のビーム反射面、すなわちミラーが形成された鏡面部130と、を備える。可動枠120は、鏡面部130を囲む内側フレームに対応し、固定枠110は、内側フレーム(可動枠120)を囲む外側フレームに対応する。固定枠110、可動枠120は、鏡面部130を揺動させるために設けられている。
図1(A)、図1(B)におけるハッチングは、断面を示すものではなく、各構成要素を区別するために設けられている。図1(A)、図1(B)において、固定枠110は、水玉状のハッチングで示され、可動枠120は、所定の間隔を置いた4本斜線のハッチングで示され、鏡面部130は、等間隔斜線のハッチングで示されている。
本実施の形態では、鏡面部130の重心位置を原点OとするXYZ3次元直交座標系を規定する。このXYZ座標系では、可動反射素子100の長手方向をX軸方向とし、可動反射素子100の平板内の方向であって、X軸方向に直交する方向(可動反射素子100の短手方向)である、可動反射素子100の厚み方向をZ軸方向とする。鏡面部130には反射面が形成されている。鏡面部130において反射面が設けられている側を+Z方向とする。
さらに、可動反射素子100は、可動枠120のX軸方向両側で固定枠110と可動枠120とを連結する一対の部材であるアクチュエータ部140(外側駆動部)と、鏡面部130のY軸方向両側で可動枠120と鏡面部130とを連結する一対の部材であるアクチュエータ部150(内側駆動部)とを備える。図1(A)において、アクチュエータ部140及びアクチュエータ部150は、かご網目状のハッチングで示されている。
図1(B)に示すように、固定枠110の下面は、外部物体としての土台基板200の上面に、スペーサ300を介して固着される。固定枠110では、下面の一部が、スペーサ300を介して土台基板200の上面に固着されていればよい。
可動枠120、鏡面部130、アクチュエータ部140及びアクチュエータ部150は、土台基板200に直接固着されない状態で用いられ、土台基板200から浮いた状態となっている。可動枠120は、アクチュエータ部140を介して固定枠110に支持されている。また、鏡面部130は、アクチュエータ部150を介して可動枠120に支持されている。
アクチュエータ部140は、少なくとも上下方向(Z軸方向)に関して可撓性を有しており、上方に反ったり、下方に反ったりすることができる。アクチュエータ部140は、固定枠110に対して可動枠120をX軸(外側揺動軸)周りに揺動させる。
アクチュエータ部150は、少なくとも上下方向(Z軸方向)に関して可撓性を有しており、上方に反ったり、下方に反ったりすることができる。アクチュエータ部150は、可動枠120に対して鏡面部130をY軸(内側揺動軸)周りに揺動させる。アクチュエータ部140,150の動作により、鏡面部130で反射される光を、2次元走査することが可能となる。
図1(B)に示すように、固定枠110、可動枠120の厚みに比べて、鏡面部130、アクチュエータ部140、150の厚みは小さく設定されており、鏡面部130、アクチュエータ部140、150の下方には空隙が形成されている。
図2(A)、図2(B)に示すように、可動反射素子100(固定枠110、可動枠120、鏡面部130、アクチュエータ部140及びアクチュエータ部150)は、A層100A、B層100B、C層100C及びD層100Dがこの順に積層された積層構造を有している。A層100A、B層100B、C層100Cの3層は、互いに同一の平面形状(図1(A)の上面図に示す形状)を有しているが、D層100Dの平面形状は、A層100A、B層100B、C層100Cとは異なっており、D層100Dは、C層100C上の一部に設けられている。A層100Aは、実際には、3つの層(100A1、100A2、100A3)に分かれている。D層100Dは、主として、鏡面部130、アクチュエータ部140及びアクチュエータ部150に設けられている。
A層100Aは、他の各層の支持基板となる基板層であり、その上面に形成されるB層100B、C層100C、D層100Dを支持することができる材質によって形成されている。ただし、アクチュエータ部140,150は、少なくとも上下方向(Z軸方向)に関して可撓性を有している必要がある。すなわち、基板層としてのA層100Aは、アクチュエータ部140,150が必要な範囲内(鏡面部130を、要求される角度で傾斜させるために必要な範囲内)で撓みを生じることができるよう、ある程度の可撓性を有する材料によって形成される。この実施の形態では、シリコン基板によってA層100Aが構成されている。より具体的には、図1(B)に示すように、A層100Aは、シリコンからなる支持層100A1と、支持層100A1の上に形成された二酸化シリコンのBOX層(二酸化ケイ素絶縁膜)100A2と、BOX層100A2の上に形成されたシリコンからなる活性層100A3の3層構造となっている。なお、A層100Aは、BOX層100A2を含まず、支持層100A1と活性層100A3とからなる2層構造であってもよい。即ち、A層100Aは、単一のシリコン基板でもよい。
B層100Bは、圧電素子の下部電極を構成する。D層100Dは、圧電素子の上部電極を構成する。したがって、いずれも導電性材料によって形成される。
C層100Cは、圧電素子を構成し、圧電効果を呈する圧電材料によって構成される。例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)またはKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)の薄膜によってC層100Cが形成されている。本実施の形態では、圧電材料層(C層100C)を導電性材料層(B層100B及びD層100D)で挟んだサンドイッチ構造体によって圧電素子が構成される。
図2(B)及び図2(C)に示すように、固定枠110は、A層110A、B層110B、C層110Cを含み、可動枠120は、A層120A、B層120B、C層120Cを含み、鏡面部130は、A層130A、B層130B、C層130C、D層130Dを含む。アクチュエータ部140は、A層140A、B層140B、C層140C、D層140Dを含む。アクチュエータ部150は、A層150A、B層150B、C層150C、D層150Dを含む。
図3では、D層100Dの部分(具体的には、140D,150D,160D,170D,180D,190Dの部分)にハッチングが施されている。図3におけるハッチングは、D層の平面形状パターンを示すものであり、断面を示すためのものではない。
図3に示すように、D層100Dは、アクチュエータ部140に形成された駆動用電極140D、検出用電極160D及び回生用電極180Dと、アクチュエータ部150に形成された駆動用電極150D及び検出用電極170D及び回生用電極190Dと、鏡面部130に形成された反射層130Dと、を含む。固定枠110及び可動枠120には、配線を除き、D層は形成されていない。図3に示す固定枠110及び可動枠120においては、配線の図示を省略している。駆動用電極140D,150Dは、圧電素子340A,350Aの電極を形成し、反射層130Dは、鏡面部130の反射面を形成する。それ以外の部分には、配線を除きD層100Dを形成する必要はない。
固定枠110には、前述の通り、配線として機能するD層100Dが形成される。しかし、駆動用電極140D,150D等は、それぞれ別個の圧電素子を形成するために電気的に絶縁されている必要があるので、C層100Cの上面全面に、同一の平面形状を有するD層100Dを形成するのは望ましくない。
なお、D層100Dのうち、各アクチュエータ部140,150に形成される部分140D,150D,160D,170D,180D,190Dは、上述のように、圧電素子用の上部電極層を構成することになる。しかし、鏡面部130に形成されるD層130Dは、鏡面部130の反射面として機能する。したがって、アクチュエータ部140,150のD層140D,150D,160D,170D,180D,190Dは、導電性の層であればよく、表面が反射性である必要はない。また、鏡面部130に形成されるD層130Dは、表面が反射性を有していればよく、導電性の層である必要はない。
ただし、可動反射素子100を量産する場合は、上部電極層140D,150D,160D,170D,180D,190D及び反射層130Dを、同一の材料からなるD層100Dとして形成する。この場合、D層100Dの材料としては、電極層の機能と反射層の機能とを兼ね備えた材料が用いられる。
より具体的に言えば、D層100Dは、上面が反射面(鏡面)としての機能も果たす必要があるため、D層100Dの上面部分を、反射率の高い耐腐食性に優れた材料、例えば金(Au)の薄膜層によって構成するのが望ましい。金(Au)の薄膜層は、光や電磁波に対して良好な反射率を有しており、しかも耐腐食性に優れているため、長期間にわたって安定した反射性能を維持することができる。なお、B層100Bは、下部電極(導電層)としての機能を果たせばよいので、任意の金属層で十分である。
図2(B)、図2(C)に示す可動反射素子100は、量産化に適した構造を有している。特に、可動反射素子100の製造には、半導体製造プロセスを利用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子の製造方法を適用することが可能である。図2(B)及び図2(C)に示す構造を有する可動反射素子100は、MEMS素子として、半導体製造プロセスを利用した製造方法により量産することができ、小型化に適している。また、駆動を行うための素子として圧電素子を用いているため、低消費電流化に適している。
図2(B)、図2(C)に示す可動反射素子100は、シリコン基板100A(A層:基板層)の上面に、白金層100B(B層:下部電極層)、PZT層100C(C層:圧電材料層)、白金/金層100D(D層:下層部分は白金、上層部分は金からなる2層構造層)を順次堆積させて構成されている。上部電極層及び下部電極層として白金を用いるのは、圧電材料層となるPZT層との間に良好な界面を形成できるためである。一方、反射層としては、上述したように金を用いるのが好ましいので、D層100Dの下層部分は上部電極層に適した白金を用い、上層部分は反射層に適した金を用いることとする。
4層の積層構造体を形成したら、D層100Dに対してパターニング処理を行って図3に示すハッチングが施された領域及び配線のみを残し、更に、A層100A、B層100B、C層100Cの部分に対して、エッチングなどの方法で上下方向に貫通するスリットを形成する。また、アクチュエータ部140,150や鏡面部130の下面側の一部をエッチング等で除去すれば、図2(B)、図2(C)に示すように、アクチュエータ部140,150や鏡面部130が、土台基板200から浮いた構造を実現できる。
反射可動素子100の各部の寸法の一例について説明する。A層100Aの厚みは、一辺5mm角、厚み0.5mm(500μm)である。B層100Bの厚みは、300nm程度である。また、C層100Cの厚みは、2μm程度である。D層100Dの厚みは、300nm程度である。ここで、アクチュエータ部140,150や鏡面部130については、シリコン基板(A層)100Aの下面側をエッチング除去して、厚みを0.010mm(10μm)としている。これにより、土台基板200の上面との間に、0.20mmの空隙が形成される。また、図3に示す平面図において、固定枠110と可動枠120、固定枠110とアクチュエータ部140、可動枠120とアクチュエータ部150の間のスリットの幅を0.3mmとし、アクチュエータ部140,150の幅を0.5mmとしている。
各部の寸法は任意に変更することができる。アクチュエータ部140,150の厚みや幅、長さは、鏡面部130が所定の角度範囲(可動鏡として要求される性能を満たす範囲)で傾斜できるような可撓性が得られる寸法に変更すればよい。また、固定枠110の厚みは、この可動反射素子100を土台基板200に堅固に固着できる寸法に設定すればよい。
次に、アクチュエータ部140について説明する。図2(B)に示すように、アクチュエータ部140は、A層(基板層)140A、B層(下部電極層)140B、C層(圧電材料層)140C及びD層(駆動用電極)140Dを備えている。アクチュエータ部140のA層(基板層)140Aにより構成される部分を「線状部材240」と呼ぶ。図3に示すように、線状部材240の形状は、略S字状となっている。線状部材240は、一端で固定枠110側と接続し、他端で鏡面部130側(実際には可動枠120)と接続し、可撓性を有する。
線状部材240は、3つの部分から構成されており、それぞれの部分を、アーム部240A(第1の線状部)と、アーム部240B(第2の線状部)と、アーム部240C(第3の線状部)としている。すなわち、線状部材240は、アーム部240A、240B及び240Cを備える。
+X側のアクチュエータ部140の線状部材240の構成について説明する。図3に示すように、アーム部240Aの−Y側の一端は、フレーム側の部材である固定枠110の内辺(+Y側を向いた内辺の+X側の隅部)に接続している。アーム部240Aは、固定枠110と可動枠120との隙間をY軸方向に沿って、−Y側の一端から+Y方向(X軸に交差する方向)に延びている。アーム部240Aは、固定枠110と可動枠120との隙間で、アーム部240Cに沿って延びることができるような幅となっている。アーム部240Aは、可動枠120のY軸方向に沿った外辺の中点Nを超えて、すなわちX軸を超えて直線状に延びている。
アーム部240Bの+X側の一端は、アーム部240Aの+Y側の端部と接続している。アーム部240Bの幅及び厚みは、アーム部240Aとほぼ同じである。アーム部240Bは、その+X側の一端からX軸方向に沿って可動枠120の方向に延びている。
アーム部240Cは、+Y側の一端がアーム部240Bの−X側の他端と接続する。アーム部240Cは、アーム部240Bの−X端から折り返してアーム部240Aに対向して平行に延びている。アーム部240Cの幅及び厚みは、アーム部240Aとほぼ同じである。アーム部240Cは、その−Y端で可動枠120の外辺の中点(X軸上の点)Nと接続している。
−X側のアクチュエータ部140の線状部材240についても、アーム部240A、240B及び240Cを備える。この−X側の線状部材240では、アーム部240Aは、固定枠110の+Y側の内辺から−Y方向に可動枠120の外辺の中点Nを超えて延びており、アーム部240Bは、アーム部240Aの−Y側の端部から+X方向に延び、アーム部240Cは、アーム部240Bの+X側の端部から+Y方向に延びて可動枠120の外辺の中点Nと接続している。
このように、一対の線状部材240それぞれは、鏡面部130の重心Oを中心として2回回転対称(360°/2=180°回転対称)に配置されている。
図3に示すように、線状部材240には、D層100Dとして、駆動用電極140Dと、検出用電極160Dと、回生用電極180Dが設けられている。具体的には、駆動用電極140Dは、線状部材240を駆動するために、アーム部240Aの長手方向に沿って設けられている。検出用電極160Dは、線状部材240の変形量を検出するために、アーム部240Aの固定枠110側の端部に設けられている。回生用電極180Dは、回生用の電圧を発生させるためにアーム部240Cに設けられている。駆動用電極140D、検出用電極160D及び回生用電極180Dは、線状部材240の幅よりも幅が狭くなるように形成されている。
B層(下部電極層)140B、C層(圧電材料層)140C、D層(駆動用電極)140Dの3層構造部分を圧電素子340A(第1の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子340Aは、線状部材240を構成する、X軸に交差して延びる最長の直線部分、アーム部240Aに形成されている。圧電素子340Aは、駆動電圧に従って伸縮して線状部材240を変形させて、固定枠110に対して可動枠120及び鏡面部130をX軸回りに揺動させる。
図4(A)、図4(B)及び図4(C)は、圧電素子340Aの動作を示す断面図である。図4(A)に示すように、A層140Aは、シリコン基板等からなり、B層140B、C層140C、D層140Dからなる3層構造体が圧電素子340Aである。C層(圧電材料層)140Cは、厚み方向に所定極性の電圧を印加すると、長手方向(厚み方向に直交する方向)に伸縮する性質を有する。
図4(B)に示すように、D層(駆動用電極)140D側が正、B層(下部電極層)140B側が負となるように、両電極層間に電圧を印加すると、C層(圧電材料層)140Cは長手方向(厚み方向に直交する方向)に伸びる。したがって、D層(駆動用電極)140Dが正で、B層(下部電極層)140Bが負となる極性(以下、正極性と呼ぶ)の電圧を印加すると、第1の圧電素子340Aは長手方向に伸び、可撓性を有するA層140Aの上面側に、面方向(Y軸に沿った方向)に伸びる方向への応力が加わる。その結果、A層140Aは、上方が凸になるように反り返る。
逆に、図4(C)に示すように、D層(駆動用電極)140D側が負、B層(下部電極層)140B側が正となるように、両電極層間に電圧を印加すると、C層(圧電材料層)140Cは長手方向に縮む性質をもっている。したがって、D層(駆動用電極)140Dが負で、B層(下部電極層)140Bが正となる極性(以下、逆極性と呼ぶ)の電圧を印加すると、第1の圧電素子340Aは長手方向に縮み、可撓性を有するA層140Aの上面側に、面方向に縮む方向への応力が加わる。その結果、A層140Aは、下方が凸になるように反り返る。伸縮の度合いは、印加する電圧値に応じた量になる。
もちろん、D層(駆動用電極)140D側が正、B層(下部電極層)140B側が負となるように、両電極層間に電圧を印加すると、C層(圧電材料層)140Cが長手方向に縮む一方で、D層(駆動用電極)140D側が負、B層(下部電極層)140B側が正となるように、両電極層間に電圧を印加すると、長手方向に伸びる性質を有するようなC層(圧電材料層)140Cを用いても構わない。この場合、正極性の電圧を印加すると、下方が凸になるように反り返り、負極性の電圧を印加すると、上方が凸になるように反り返る。
いずれにしても、D層(駆動用電極)140DとB層(下部電極層)140Bとの間に、所定極性の電圧を印加することにより、図4(B)又は図4(C)に示す変形を生じさせることができる。変形の度合いは、印加する電圧値に応じた量になる。なお、圧電素子を構成する材料によって(例えば、バルク、薄膜によって)、分極作用が異なるので、電圧の極性と伸縮の関係とが上述とは逆になる場合がある。
図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、可動反射素子100における可動枠120のY軸方向への傾斜状態(X軸周りの回転状態)を示す側面図である。図5(A)〜図5(C)では、可動枠120を太線で示し、固定状態にある土台基板200にハッチングを施して示す。また、アクチュエータ部140の変形状態は、実際よりも誇張して示されている。
図4(A)に示すように、アクチュエータ部140の圧電素子340Aを構成するB層(下部電極層)140BとD層(駆動用電極)140Dとの間に電圧が加えられていない場合には、図5(A)に示すように、可動枠120及び鏡面部130は、アクチュエータ部140を介して土台基板200の上方に水平姿勢のまま支持されている。白い三角形は、鏡面部130の重心Gを示す。重心Gは、座標系の原点Oと一致している。
圧電素子340Aを構成するB層(下部電極層)140BとD層(駆動用電極)140Dとの間に、図4(B)に示すように、D層(駆動用電極)140D側が正となるような極性の電圧を印加する。この場合、B層140B、C層140C、D層140Dの3層からなる圧電素子340Aは長手方向に伸び、可撓性を有するA層140Aの上面側に、面方向に伸びる方向への応力が加わる。その結果、図5(B)に示すように、アーム部240Aが、上方に凸になるように反り返る。アーム部240Aが、上方に凸になるように反り返ると、アーム部240Bを介して、アーム部240Cがその+Y端が下がるように傾斜するようになり、アクチュエータ部140全体が、+Y端が下がるように傾斜するようになる。これにより、可動枠120及び鏡面部130を、その+Y端が下がるように傾斜させることができる。
圧電素子340Aを構成するB層(下部電極層)140BとD層(駆動用電極)140Dとの間に、図4(C)に示すように、逆極性の電圧を印加すると、圧電素子340Aは長手方向に縮み、可撓性を有するアーム部240Aを構成するA層140Aの上面側に、面方向に縮む方向への応力が加わる。その結果、図5(C)に示すように、アーム部240Aは、下方が凸になるように反り返る。アーム部240Aが、下方に凸になるように反り返ると、アーム部240Bを介して、アーム部240Cの+Y端が上がるように傾斜するようになり、アクチュエータ部140全体が、+Y端が上がるように傾斜するようになる。これにより、可動枠120及び鏡面部130を、その+Y端が上がるように傾斜させることができる。
可動枠120及び鏡面部130の傾斜の度合いは、印加する電圧値に応じた量になる。したがって、印加する電圧の極性および値を調整すれば、可動枠120、鏡面部130のY軸方向への傾斜角度を任意に調整することが可能である。
一対のアクチュエータ部140では、線状部材240が鏡面部130を中心に2回回転対称(360°/2=180°回転対称)に配置されているので、固定枠110に対して、可動枠120をY軸方向に傾斜させるためには、+X側の圧電素子340A及び−X側の圧電素子340Aに、それぞれ逆極性の電圧を加えれば良い。常に、+X側の圧電素子340A及び−X側の圧電素子340Aに逆極性の電圧を加えるようにし、その電圧を例えば正弦波状に変化させるようにすれば、固定枠110に対して、可動枠120及び鏡面部130をX軸周りに揺動させることができる。
また、B層(下部電極層)140B、C層(圧電材料層)140C、D層(検出用電極)160Dの3層構造部分を圧電素子340B(第2の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子340Bは、線状部材240のフレーム側の端部、すなわち固定枠110側の端部に形成されている。圧電素子340Bは、線状部材240の変形に応じて発生する電圧を駆動電圧調整用の検出電圧として出力する。
圧電素子340Bは、固定枠110と接続するアクチュエータ部140の端部に設けられている。この部分は、アクチュエータ部140内の応力が最も大きくなる場所である。したがって、この場所に圧電素子340Bを配設することにより、アクチュエータ部140の変位を安定して検出することができる。
圧電素子340Bによるアクチュエータ部140の変位の検出原理は、図4(A)、図4(B)及び図4(C)に示す圧電素子340Aにおける線状部材240の変形の原理と逆である。圧電素子340Aの変形によりアーム部240Aが変形すると、アーム部240Aの固定枠110の端部に取り付けられた圧電素子340B内にも応力が発生して変形し、圧電素子340Bは、その変形に応じた電圧を発生する。発生した電圧信号は、固定枠110上に設けられた配線パターンへ出力される。
また、B層(下部電極層)140B、C層(圧電材料層)140C、D層(回生用電極)180Dの3層構造部分を圧電素子340C(第3の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子340Cは、線状部材240の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する。
圧電素子340Cは、アーム部240Cに設けられている。圧電素子340Cによる回生電圧の発生原理は、圧電素子340Bにおける検出原理と同じである。圧電素子340Aの変形によりアーム部240Aが変形すると、アーム部240Cに取り付けられた圧電素子340C内にも応力が発生し変形する。圧電素子340Cは、その変形に応じた電圧を発生する。発生した電圧信号は、固定枠110上に設けられた配線パターンへ出力される。圧電素子340Cは、圧電素子340Aよりも可動枠120側(鏡面部130側)に形成されている。
次に、アクチュエータ部150について説明する。図2(C)に示すように、アクチュエータ部150は、A層(基板層)150A、B層(下部電極層)150B、C層(圧電材料層)150C及びD層(駆動用電極)150Dから構成されている。アクチュエータ部150のA層(基板層)150Aで構成される部分を「線状部材250」と呼ぶ。図3に示すように、線状部材250の形状は、略S字状となっている。
線状部材250は、アーム部250A(第1の線状部)と、アーム部250B(第2の線状部)と、アーム部250C(第3の線状部)と、を備える。
+Y側の線状部材250の構成について説明する。アーム部250Aの+X側の一端は、可動枠120の内辺(−X側を向いた内辺の+Y側の隅部)に接続している。アーム部250Aは、可動枠120と鏡面部130との隙間をX軸方向に沿って、+X側の一端から−X方向に延びている。アーム部250Aは、可動枠120と鏡面部130との隙間で、アーム部250Cと間隔を置いて、−X方向に延びることができるような幅となっている。アーム部250Aは、鏡面部130のX軸方向に沿った外辺の中点K(Y軸上の点)を超えて、すなわちY軸を超えて延びている。アーム部250Aは、可動枠120の+X側を向いた内辺の近傍まで延びている。
アーム部250Bの+Y側の一端は、アーム部250Aの−X側の端部と接続している。アーム部250Bの幅及び厚みは、アーム部250Aとほぼ同じである。アーム部250Bは、その+Y側の一端からY軸方向に沿って鏡面部130の方向に延びている。
アーム部250Cは、−X側の一端がアーム部250Bの−Y側の他端と接続している。アーム部250Cは、アーム部250Bの−Y端から+X方向に折り返してアーム部250Aに沿うように延びている。アーム部250Cの幅及び厚みは、アーム部250Aとほぼ同じである。アーム部250Cは、その+X端で鏡面部130の外辺の中点(Y軸上の点)Kと接続している。
−Y側のアクチュエータ部150の線状部材250についても、アーム部250A、250B及び250Cを備える。この−Y側の線状部材250では、アーム部250Aは、−X側の内辺から+X方向に鏡面部130の外辺の中点Nを超えて延びており、アーム部250Bは、アーム部250Aの+X側の端部から+Y方向に延びている。アーム部250Cは、アーム部250Bの+Y側の端部から−X方向に延びて鏡面部130の外辺の中点Kと接続している。このように、一対の線状部材250は、鏡面部130を中心として2回回転対称に配置されている。
図3に示すように、線状部材250には、D層100Dとして、駆動用電極150Dと、検出用電極170Dと、回生用電極190Dが設けられている。具体的には、駆動用電極150Dは、線状部材250を駆動するために、アーム部250Aの長手方向に沿って設けられている。検出用電極170Dは、線状部材250の変形量を検出するために、アーム部250Aのフレーム側(可動枠120側)の端部に設けられている。回生用電極190Dは、回生用の電圧を発生させるためにアーム部250Cに設けられている。駆動用電極150D、検出用電極170D及び回生用電極190Dは、線状部材250の幅よりも幅が狭くなるように形成されている。
B層(下部電極層)150B、C層(圧電材料層)150C、D層(駆動用電極)150Dの3層構造部分を圧電素子350A(第1の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子350Aは、線状部材250を構成する、Y軸に交差して延びる最長の直線部分、すなわちアーム部250Aに設けられている。圧電素子350Aの動作は、図4(A)、図4(B)及び図4(C)に示す圧電素子340Aの動作と同じである。
アクチュエータ部150の圧電素子350Aを構成するB層(下部電極層)150BとD層(駆動用電極)150Dとの間に、電圧が加えられていない場合には、図6(A)に示すように、鏡面部130は、水平姿勢のまま可動枠120に支持されている。白い三角形は、鏡面部130の重心Gを示す。重心Gは、座標系の原点Oと一致している。
B層(下部電極層)150BとD層(駆動用電極)150Dとの間に、D層(駆動用電極)150D側が正となるような極性の電圧を印加すると、圧電素子350Aは長手方向(厚み方向に直交する方向)に伸び、可撓性を有するA層150Aの上面側に、面方向(X軸に沿った方向)に伸びる方向への応力が加わる。その結果、アーム部250Aが、上方に凸になるように反り返る。アーム部250Aが上方に凸になるように反り返ると、アーム部250Bを介して、アーム部250Cの+X端が下がるように傾斜するようになり、アクチュエータ部150全体が+X端が下がるように傾斜する。これにより、図6(B)に示すように、鏡面部130は、Y軸周りに回転し、Y軸周りの回転+Ry(Y軸に対して右ねじの回転方向が正)を生じる。このようにして、可動反射素子100は、鏡面部130を+X端が下がるように傾斜させることができる。
圧電素子350Aを構成するB層(下部電極層)150BとD層(駆動用電極)150Dとの間に、逆極性の電圧を印加すると、B層100B、C層100C、D層100Dの3層からなる圧電素子350Aは長手方向に縮み、可撓性を有するアーム部250Aを構成するA層150Aの上面側に、面方向に縮む方向への応力が加わる。その結果、アーム部250Aは、下方が凸になるように反り返る。アーム部250Aが、下方に凸になるように反り返ると、アーム部250Bを介して、アーム部250Cの+X端が上がるように傾斜するようになり、アクチュエータ部150全体が+X端が上がるように傾斜する。これにより、図6(C)に示すように、鏡面部130は、Y軸周りに回転し、Y軸周りの回転−Ryを生じる。このようにして、可動反射素子100は、鏡面部130を+X端が上がるように傾斜させることができる。
一対のアクチュエータ部150では、線状部材250が鏡面部130を中心に2回回転対称に配置されているので、可動枠120に対して、可動枠120をX軸方向に傾斜させるためには、+Y側の圧電素子350A及び−Y側の圧電素子350Aにそれぞれ逆極性の電圧を加えれば良い。常に、+X側の圧電素子350A及び−X側の圧電素子350Aに逆極性の電圧を加えるようにし、その電圧を例えば正弦波状に変化させるようにすれば、可動枠120に対して、鏡面部130をY軸周りに揺動させることができる。
前述のように、鏡面部130は、固定枠110に対して、アクチュエータ部140、可動枠120、アクチュエータ部150を介して接続されており、アクチュエータ部140,150によって、土台基板200から浮いた宙吊り状態で支持されている。したがって、アクチュエータ部140が上方もしくは下方に反り返ると、宙吊り状態で支持されている鏡面部130は、可動枠120とともに、X軸周り、すなわちY軸方向に傾斜する。また、アクチュエータ部150が上方もしくは下方に反り返ると、宙吊り状態で支持されている鏡面部130は、Y軸周り、すなわちX軸方向に傾斜する。
傾斜の度合いは、印加する電圧値に応じた量になる。したがって、印加する電圧の極性および値を調整すれば、鏡面部130のX軸方向への傾斜角度を任意に調整することが可能になる。
また、B層(下部電極層)150B、C層(圧電材料層)150C、D層(検出用電極)170Dの3層構造部分を圧電素子350B(第2の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子350Bは、線状部材250の変形に応じて発生する電圧を駆動電圧調整用の検出電圧として出力する。
圧電素子350Bは、可動枠120と接続するアクチュエータ部150の端部に設けられている。この部分は、アクチュエータ部150内の応力が最も大きくなる場所である。したがって、この場所に圧電素子350Bを配設することにより、アクチュエータ部150の変位を安定して検出することができる。
圧電素子350Bによるアクチュエータ部150の変位の検出原理は、図4(A)、図4(B)及び図4(C)に示す圧電素子340Aにおける線状部材240の変形の原理と逆である。圧電素子350Aの変形によりアーム部250Aが変形すると、アーム部250Aの可動枠120の端部に取り付けられた圧電素子350B内にも応力が発生し、圧電素子350Bは、その応力に応じた電圧を発生する。発生した電圧信号は、可動枠120に設けられた配線パターンへ出力される。
また、B層(下部電極層)150B、C層(圧電材料層)150C、D層(回生用電極)190Dの3層構造部分を圧電素子350C(第3の圧電素子)と呼ぶ。圧電素子350Cは、線状部材250の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する。
圧電素子350Cは、アーム部250Cに設けられている。圧電素子350Cによる回生電圧の発生原理は、圧電素子350Bにおける検出原理と同じである。圧電素子350Aの変形によりアーム部250Aが変形すると、アーム部250Cに取り付けられた圧電素子350C内にも応力が発生し、圧電素子350Cは、その応力に応じた電圧を発生する。発生した電圧信号は、可動枠120上に設けられた配線パターンへ出力される。
(圧電素子の変形例)
アクチュエータ部140上の圧電素子340A,340B,340Cの大きさ、設置位置などは、図3に示すものには限られない。
ただし、アクチュエータ部140の駆動による可動枠120のX軸方向の傾斜量を最大にするには、圧電素子340Aは、最も長いアーム部240Aの長手方向に延びるように取り付けられるのが望ましい。また、検出電圧発生用の圧電素子340Bについては、圧電素子340Aの駆動により発生する応力が最大となる、アーム部240Aと固定枠110との境界線上に形成される。このようにすれば、検出電圧を大きくすることができるためである。
回生電圧発生用の圧電素子340Cについては、図7(A)に示すように、線状部材240において、圧電素子340A,340Bが形成されていない部分に形成されるようにすればよい。図7(A)〜図11(C)には、アクチュエータ部140に発生する応力分布も示されている。この応力分布では、応力が高くなるにつれて、色が明るくなっている(色が薄くなっている)。圧電素子340Cは、線状部材240において、発生する電圧(あるいは応力)が既定値以上となる部分(明るい色(薄い色)の部分)に形成されるようにするのが望ましい。
本実施の形態では、図7(B)に示すように、圧電素子340Cは、アーム部240Cに圧電素子340Aと平行に延びるようにして形成されている。しかしながら、図7(C)に示すように、圧電素子340Cをアーム部240Bに形成してもよい。この場合には、圧電素子340Cは、圧電素子340Aと直交するようになる。また、図7(D)に示すように、圧電素子340Cを、アーム部240B,240Cに1つずつ設けるようにしてもよい。
圧電素子340Cの大きさや長さも任意に設定可能である。ただし、図8(A)、図8(B)及び図8(C)に示すように、アーム部240Cの中点を基準にして圧電素子340Cの長さを短くしていけば、圧電素子340Cで発生する電荷Qは小さくなるので、回生用電圧を大きくするには、圧電素子340Cの長さは、図8(A)に示すように長い方が良い。なお、圧電素子340Cにおける電荷Qと発生電圧Vとの間には以下の関係がある。
Q=CV=εS/t・V・・・(1)
ここで、ε[F/V]は、圧電層140Cの誘電率であり、Sは、圧電素子340Cの回生用電極180Dの面積である。また、tは、圧電層140Cの厚みであり、Vは圧電素子340Cで発生する電圧である。上式によれば、圧電素子340Cの面積Sが大きければ大きいほど、発生する電荷Qが大きくなり、回生用の電圧Vは大きくなる。
しかしながら、回生用電極180Dの面積を変えれば、アクチュエータ部140の共振周波数が変化するため、回生用電極180Dの面積(圧電素子340Cの大きさ)は、アクチュエータ部140の共振周波数を考慮しつつ、設定する必要がある。
図9(A)、図9(B)及び図9(C)に示すように、アーム部240Cの短手方向(Y軸方向)における中点を基準にして、圧電素子340Cの長さを短くしていった場合にも、圧電素子340Cで発生する電荷Qは小さくなる。さらに、図10(A)、図10(B)及び図10(C)に示すように、アーム部240Cの可動枠120側の端部を基準にして、圧電素子340Cの長さを短くしていった場合にも、圧電素子340Cで発生する電荷Qは小さくなる。
しかしながら、例えば回生用電極180Dの面積が同じ図8(C)、図9(B)及び図10(B)を比較すると、可動枠120側(鏡面部130側)に圧電素子340Cを設けた方が、アーム部240B側(固定枠110側)に圧電素子340Cを設けたときよりも回生電圧から算出される電荷Qが大きくなった。したがって、アクチュエータ部140を構成する圧電素子340Cは、アーム部240Cの長手方向(Y軸方向)中央から可動枠120側にオフセットした位置に形成されるようにするのが望ましい。これは、アクチュエータ部140の厚みが10μm程度なのに対し、可動枠120の厚みが500μmであり、それらの間の部分は、線状部材240において厚さが非連続に変化する部分に近接する部分であるため、圧電素子340Cが設けられた位置で、内部に発生する応力が大きくなるためである。このように、圧電素子340Cは、線状部材240において厚さが非連続に変化する部分に近接して形成されている。
ここで、図11(A)〜図11(C)に示すように、検出用電極160Dの面積(検出用の圧電素子340Bの大きさ)を段階的に小さくした場合における電荷Qを比較した。この結果、検出用電極160Dの面積(検出用の圧電素子340Bの大きさ)は、回生用の圧電素子340Cで発生する電荷Qには影響を与えないことがわかった。
また、アクチュエータ部150上の圧電素子350A,350B,350Cの大きさ、設置位置なども、図3に示すものには限られない。図12(A)〜図16(C)には、アクチュエータ部150に発生する応力分布も示されている。この応力分布では、応力が高くなるにつれて、色が明るくなっている(色が薄くなっている)。
ただし、アクチュエータ部150の駆動による鏡面部130のY軸方向の傾斜量を最大にするには、圧電素子350Aは、アーム部250Aの長手方向に延びるように取り付けられるのが望ましい。また、検出電圧発生用の圧電素子350Bについては、圧電素子350Aの駆動により発生する応力が最大となる、アーム部250Aと可動枠120との境界線上に形成されるのが望ましい。このようにすれば、検出電圧を大きくすることができるためである。
回生電圧発生用の圧電素子350Cについては、図12(A)に示すように、線状部材250において、圧電素子350A,350Bが形成されていない部分に形成されるようにすればよい。また、圧電素子350Cは、線状部材250において、発生する電圧が規定値以上となる部分に形成されるようにするのが望ましい。本実施の形態では、図12(B)に示すように、圧電素子350Cは、アーム部250Cに圧電素子350Aと平行に延びるようにして形成されている。しかしながら、図12(C)に示すように、圧電素子350Cをアーム部250Bに形成してもよい。この場合には、圧電素子350Cは、圧電素子350Aと直交するようになる。また、図12(D)に示すように、圧電素子350Cを、アーム部250B,250Cに1つずつ設けるようにしてもよい。
圧電素子350Cの大きさや長さも任意に設定可能である。ただし、図13(A)、図13(B)及び図13(C)に示すように、アーム部250Cの中点を基準にして圧電素子350Cの長さを短くしていけば、圧電素子350Cで発生する電荷Qは小さくなるので、回生用電圧を大きくするには、圧電素子350Cの長さは、図13(A)に示すように長い方が良い。
しかしながら、回生用電極190Dの面積を変えれば、アクチュエータ部150Aの共振周波数が変化するため、回生用電極190Dの面積(圧電素子350Cの大きさ)は、アクチュエータ部150Aの共振周波数を考慮しつつ、設定する必要がある。
図14(A)、図14(B)及び図14(C)に示すように、アーム部250Bの短手方向(Y軸方向)における中点を基準にして、圧電素子350Cの長さを短くしていった場合には、圧電素子350Cで発生する電荷Qは小さくなる。さらに、図15(A)、図15(B)及び図15(C)に示すように、アーム部250Cの鏡面部130側の端部を基準にして、圧電素子350Cの長さを短くしていった場合にも、圧電素子350Cで発生する電荷Qは小さくなる。
しかしながら、例えば回生用電極190Dの面積が同じ図13(C)、図14(B)及び図15(B)を比較すると、アーム部250B側(可動枠120側)に圧電素子350Cを設けた方が、鏡面部130側に圧電素子350Cを設けたときよりも回生電圧から算出される電荷Qが大きくなった。したがって、アクチュエータ部150を構成する圧電素子350Cは、アーム部250Cの長手方向(X軸方向)中央からアーム部250B側にオフセットした位置に形成されるようにするのが望ましい。これは、アーム部250Cとアーム部250Bとが線状部材250において折れ曲がった部分であり、その部分の内側に応力が高い場所が存在しているためである。このように、圧電素子350Cは、線状部材250において折れ曲がった部分の内側に近接して形成されている。
ここで、図16(A)〜図16(C)に示すように、検出用電極170Dの面積(検出用の圧電素子350Bの大きさ)を段階的に小さくした場合における電荷Qと比較した。この結果、検出用電極170Dの面積(検出用の圧電素子350Bの大きさ)は、回生用の圧電素子350Cで発生する電荷Qには影響を与えないことがわかった。
このように、可動反射素子100は、Y軸に沿って延びたアクチュエータ部140と、X軸に沿って延びたアクチュエータ部150と、を有しており、その上面もしくは下面には、それぞれ所定極性の電圧を印加することにより長手方向に沿って伸縮する圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cが固着されている。そのため、アクチュエータ部140の圧電素子340Aに電圧を印加して、圧電素子340Aを伸縮させれば、圧電素子340Cに回生電圧を出力させつつ、鏡面部130をY軸方向に傾斜させる(X軸周りに揺動させる)ことができる。また、アクチュエータ部150の圧電素子350Aに電圧を印加して、圧電素子350Aを伸縮させれば、圧電素子350Cに回生電圧を出力させつつ、鏡面部130をX軸方向に傾斜させる(Y軸周りに揺動させる)ことができる。このため、回生電圧を確保しつつ、X軸およびY軸の2軸方向(2軸周り)に関して、二次元走査装置を実現するために十分な変位角を確保することが可能になる。
次に、可動反射素子100を備える二次元走査装置について説明する。
可動反射素子100は、鏡面部130の表面に形成された反射面を2軸の自由度をもって傾斜させることができる。このため、可動反射素子100を、二次元的に走査する二次元走査装置に組み込んで、光ビームや指向性電波の二次元走査を行うことができる。この二次元走査装置により、光ビームを走査すれば、スクリーンに画像を投影するプロジェクタを実現することができ、指向性電波を走査すれば、車載用のレーダ等を実現することができる。
以下では、図17に示すように、可動反射素子100を交流信号で駆動させる二次元走査装置20を構成し、この二次元走査装置20をプロジェクタ80に組み込んだ場合について説明する。この二次元走査装置20は、上述したような車載用のレーダ装置などにも利用可能である。
プロジェクタ80は、スクリーン10上に画像を投影する機能を有する。プロジェクタ80は、二次元走査装置20、レーザ光源30、表示制御装置40及びバッテリ50を備える。なお、レーダ装置においては、レーザ光源30の代わりに、指向性電波を発生する電波源(アンテナ)を備える。プロジェクタ80は、バッテリ50の電力で動作する。
二次元走査装置20は、可動反射素子100とコントローラ22とを備える。可動反射素子100を構成する圧電素子340A,350Aに交流電圧を印加することにより、XY平面に平行な反射面Mを有する鏡面部130をY軸方向(X軸周り)およびX軸方向(Y軸周り)に傾斜させることができる。コントローラ22は、この可動反射素子100の圧電素子に駆動信号(交流電圧)を供給する。
可動反射素子100は、上述のように、アクチュエータ部140,150を備えている。コントローラ22は、アクチュエータ部150の圧電素子350Aに対して第1の周期である第1の駆動信号を供給し、アクチュエータ部140の圧電素子340Aに対して第2の周期である第2の駆動信号を供給する。
レーザ光源30は、レーザビームを発生させ、これを二次元走査装置20内の可動反射素子100の反射面Mに照射する。反射面Mで反射したレーザビームは、スクリーン10上の所定位置にスポットSを形成する。したがって、可動反射素子100の反射面Mを二次元方向に傾斜させると、スクリーン10上に形成されるスポットSの位置を二次元方向に走査することができる。
表示制御装置40は、外部から与えられる画像データに基づいて、スクリーン10上に所定の画像を表示するための表示制御を行う。具体的には、表示制御装置40は、表示対象となる画像についての画像データに基づく変調信号をレーザ光源30に与えるとともに、二次元走査装置20内のコントローラ22に対して制御信号を与える。
レーザ光源30は、表示制御装置40から与えられる変調信号に基づいて、強度もしくは波長またはその双方を変調したレーザビームを発生させ、これを二次元走査装置20内の可動反射素子100の鏡面部130の反射面Mに照射する。
一方、二次元走査装置20は、表示制御装置40から入力される制御信号に基づいて、反射面Mで反射したレーザビームによりスクリーン10上に形成されるスポットSが、スクリーン10上を二次元的に移動するように、可動反射素子100の鏡面部130を揺動させる。
表示制御装置40から二次元走査装置20に与えられる制御信号は、可動反射素子100の鏡面部130の揺動動作のON/OFFを示すとともに、揺動動作のタイミングを示す信号になっている。表示制御装置40は、レーザ光源30に与える変調信号のタイミングに同期した制御信号を二次元走査装置20に与える。その結果、スクリーン10上のスポットSの位置と、スポットSを形成するレーザビームの変調内容とが同期し、スクリーン10上に画像データに応じた画像が表示される。
(共振周波数の調整)
二次元走査装置20をプロジェクタ80等に利用する場合、可動反射素子100の反射面Mの傾斜角はできるだけ大きな範囲に設定できる方が好ましい。反射面Mの傾斜角を大きくするには、鏡面部130の揺動運動の振幅を大きくする必要がある。振幅を大きくするためには、圧電素子340A,350Aに供給する電圧を大きくする必要がある。ただ、同じ電圧の交流信号を供給した場合でも、鏡面部130の揺動運動の振幅は、その周波数によって異なってくる。これは、一般に、振動系におけるエネルギー効率は、振動系に固有の共振周波数で振動させた場合に最も高まるためである。
例えば、可動反射素子100の鏡面部130の共振周波数fは、各部の材質やアクチュエータ部の寸法や形状によって一義的に定まる物理的な固有値になる。この共振周波数fで鏡面部130を振動させると、最もエネルギー効率が良好になる。別言すれば、同じ振幅を得るために必要な供給電圧は、共振周波数fで振動させた場合に最も低くなる。
鏡面部130を共振周波数fで振動させる場合には、圧電素子340A,350Aに5V程度の交流駆動信号を供給すれば十分であるのに対して、特定の非共振周波数で振動させる場合には、500〜1000Vの交流駆動信号が必要になるケースもあった。可動反射素子100をMEMS素子などの微細な半導体素子として形成した場合、このような高い電圧で駆動させると絶縁破壊などが生じる可能性がある。
このような観点から、実用上は、可動反射素子100の鏡面部130を共振周波数fで振動させる運用を行うのが好ましい。換言すれば、用途が予め定まっているのであれば、その用途に適した振動周波数が共振周波数fに一致するように、可動反射素子100の機械的構造部の設計を行うようにするのが好ましい。
例えば、二次元走査装置20を、プロジェクタ80に用いる場合について考える。このプロジェクタ80では、前述したとおり、コントローラ22から可動反射素子100に対して、駆動信号Dx,Dyが供給され、スクリーン10上でラスタ走査方式又は8の字走査方式でスポットSの走査が行われる。
可動反射素子100の用途として、X軸に沿った方向に関しては周波数fx=15〜20kHzで振動させ、Y軸に沿った方向に関しては周波数fy=80Hzで振動させる用途に利用することが予め定まっているのであれば、可動反射素子100を設計する段階から、これらの周波数fx,fyが共振周波数となるような配慮を行うのが好ましい。そのような設計を行った可動反射素子100をプロジェクタ80に組み込めば、鏡面部130は、その固有の共振周波数で振動させられることになるので、極めて効率の良い動作が可能になる。
上述したように、二次元走査装置20をプロジェクタ80に組み込んで用いる場合、通常、水平走査時間と垂直走査時間との間に大きな差が生じることになるので、可動反射素子100に要求されるX軸に沿った方向に関する共振周波数fxとY軸に沿った方向に関する共振周波数fyとの間にも大きな差が生じる。したがって、このようなプロジェクタ80用の可動反射素子100では、鏡面部130のX軸に沿った方向に関する共振周波数fxとY軸に沿った方向に関する共振周波数fyとが異なるようにする必要がある。
一般に、ある振動系の共振周波数fは複数通り存在し、低い方から順に、第1次共振周波数、第2次共振周波数、...のように称呼されている。したがって、X軸に沿った方向に関する共振周波数がfxであり、Y軸に沿った方向に関する共振周波数がfyであるような可動反射素子を設計する際には、X軸に沿った方向に関する特定の次数の共振周波数がfxとなり、Y軸に沿った方向に関する特定の次数の共振周波数がfyとなるような設計を行えばよい。
なお、X軸に沿った方向に関する任意の次数の共振周波数がY軸に沿った方向に関する任意の次数の共振周波数と一致してしまうと、X軸に沿った方向の振動とY軸に沿った方向の振動との間に不都合な干渉が生じる可能性がある。したがって、実用上は、X軸に沿った方向に関する各次数の共振周波数が、Y軸に沿った方向に関するいずれの次数の共振周波数にも一致しないような設計を行うのが好ましい。
(フィードバック制御)
上述したように、図17に示すプロジェクタ80を構成するコントローラ22は、可動反射素子100の反射面MをX軸方向およびY軸方向に振動させる駆動機能を有しているが、実用上は、このような駆動を適切に行うために、コントローラ22にフィードバック制御機能をもたせておくのが好ましい。図18は、このようなフィードバック制御機能を備えたプロジェクタ80の模式図である。なお、可動反射素子100の上面図におけるハッチングは、D層の平面形状パターンを明瞭に示すためのものであり、断面を示すためのものではない。
二次元走査装置20は、可動反射素子100とコントローラ22とによって構成されている。可動反射素子100には、一対のアクチュエータ部140のそれぞれに、3組の圧電素子(1組は、D層(駆動用電極)140Dを有する圧電素子340A、もう1組は、D層(検出用電極)160Dを有する圧電素子340B、さらにもう1組は、D層(回生用電極)180Dを有する圧電素子340C)が形成され、アクチュエータ部150のそれぞれに、3組の圧電素子(1組は、D層(駆動用電極)150Dを有する圧電素子350A、もう1組は、D層(検出用電極)170Dを有する圧電素子350B、さらにもう1組は、D層(回生用電極)190Dを有する圧電素子350C)が形成されている。
すなわち、アクチュエータ部140、150には、合計6組の圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cが設けられている。これら6組の圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cのうちの一部は駆動用圧電素子として機能し、一部は検出用圧電素子として機能し、残りは回生用圧電素子として機能する。具体的には、D層(駆動用電極)140D,150Dの領域に形成される圧電素子は駆動用圧電素子として機能し、D層(検出用電極)160D,170Dの領域に形成される圧電素子は検出用圧電素子として機能し、D層(回生用電極)180D,190Dの領域に形成される圧電素子は回生用圧電素子として機能する。
もっとも、6組の圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cの基本的な層構成は同一であり、その物理的な構成や基本機能に差があるわけではない。ここで、各圧電素子を「駆動用圧電素子」、「検出用圧電素子」及び「回生用圧電素子」と呼んで区別しているのは、専らコントローラ22側から見たときの機能を区別するためである。各圧電素子のB層(下部電極層)100Bは接地電位に固定されており、D層(駆動用電極)140D,150D,D層(検出用電極)160D,170Dは、図18に示すコントローラ22の内部に設けられたX軸方向振動制御部221もしくはY軸方向振動制御部222に接続されている。
ここで、X軸方向振動制御部221からD層(駆動用電極)150Dに対しては、X軸方向駆動信号Dxが与えられ、Y軸方向振動制御部222からD層(駆動用電極)140Dに対しては、Y軸方向駆動信号Dyが与えられる。一方、D層(検出用電極)170Dの電圧を示す信号は、X軸方向検出信号SxとしてX軸方向振動制御部221にフィードバックされ、D層(検出用電極)160Dの電圧を示す信号は、Y軸方向検出信号SyとしてY軸方向振動制御部222にフィードバックされる。
X軸方向振動制御部221は、このX軸方向検出信号Sxをフィードバック信号として参照してX軸方向駆動信号Dxを生成するフィードバック制御を行い、Y軸方向振動制御部222は、このY軸方向検出信号Syをフィードバック信号として参照してY軸方向駆動信号Dyを生成するフィードバック制御を行う。
ここで、アクチュエータ部140、150に形成された圧電素子を構成するC層(圧電材料層)100Cは、前述の通り、D層(上部電極層)100DとB層(下部電極層)100Bとの間に所定極性の電圧を印加すると、図4(B)、図4(C)に示すように、長手方向に伸縮する性質を有している。このため、圧電素子を駆動素子として捉えた場合は、電圧の印加により機械的な変形(応力)を生じる素子ということになるが、逆に、この圧電素子を検出素子又は回生素子として捉えると、生じた機械的な変形(応力)を電気信号として検出する素子ということもできる。
具体的には、図4(A)に示す圧電素子には、外力の作用によって図4(B)に示すような変形が生じると、D層(上部電極層)100D側に正電荷、B層(下部電極層)100B側に負電荷が生じる分極作用があり、外力の作用によって図4(C)に示すような変形が生じると、D層(上部電極層)100D側に負電荷、B層(下部電極層)100B側に正電荷が生じる分極作用がある。上述したX軸方向検出信号Sxは、アクチュエータ部150の変形に起因して、D層(検出用電極)170Dに発生した電荷を示す信号であり、図6(B),図6(C)に示すような変形状態におけるアクチュエータ部150の上面の伸縮程度を示している。同様に、上述したY軸方向検出信号Syは、アクチュエータ部140の変形に起因して、D層(検出用電極)160Dに発生した電荷を示す信号であり、図5(B),図5(C)に示すような変形状態におけるアクチュエータ部140の上面の伸縮の度合いを示している。
X軸方向駆動信号Dx及びY軸方向駆動信号Dyとして、駆動信号を供給すると、各アクチュエータ部140,150に形成された駆動用圧電素子は所定周期で伸縮運動を繰り返すことになるが、その結果、アクチュエータ部140,150に形成された検出用圧電素子にも所定周期で伸縮運動が生じることになる。フィードバック信号としてコントローラ22に戻されるX軸方向検出信号SxおよびY軸方向検出信号Syは、このような各アクチュエータ部140,150の周期的な伸縮運動を示す信号ということになり、鏡面部130のX軸方向およびY軸方向の振動を示す信号となる。
前述のように、レーザ光源30から照射されたレーザビームは、鏡面部130の反射面Mで反射して、スクリーン10上の所定位置にスポットSを形成することになる。したがって、X軸方向検出信号Sxは、スポットSのX軸方向の位置を示す信号に相当し、Y軸方向検出信号Syは、スポットSのY軸方向の位置を示す信号に相当する。X軸方向振動制御部221は、スクリーン10上のスポットSのX軸方向の位置を示す信号Sxに基づいて、スポットSをスクリーン10上でX軸に沿った方向に走査するためのX軸方向駆動信号Dxを生成するフィードバック制御を行うことができる。同様に、Y軸方向振動制御部222は、スクリーン10上のスポットSのY軸に沿った方向の位置を示す信号Syに基づいて、スポットSをスクリーン10上でY軸に沿った方向に走査するためのY軸方向駆動信号Dyを生成するフィードバック制御を行うことができる。
以上、図18に示す可動反射素子100についてフィードバック制御を行う場合を説明したが、一般論として説明すれば、可動反射素子100の1つもしくは複数のアクチュエータ部140,150にそれぞれ複数の圧電素子を設けるようにし、この複数の圧電素子の一部を駆動用圧電素子として機能させ、別の一部は検出用圧電素子又は回生用圧電素子として機能させるようにすればよい。ここで、駆動用圧電素子は、コントローラ22から供給される駆動信号に基づいて鏡面部130を揺動させる機能を果たし、検出用圧電素子は、鏡面部130の揺動に起因して発生した電荷を示す検出信号をコントローラ22にフィードバックする機能を果たす。そうすれば、コントローラ22は、この検出信号に基づいて駆動信号に対するフィードバック制御を行うことができる。
より具体的には、コントローラ22には、X軸方向振動制御部221とY軸方向振動制御部222とを設けておくようにする。ここで、X軸方向振動制御部221は、X軸に沿って延びたアクチュエータ部150に設けられた検出用圧電素子からフィードバックされるX軸方向検出信号Sxに基づいて、アクチュエータ部150に設けられた駆動用圧電素子に供給するX軸方向駆動信号Dxを生成すればよい。また、Y軸方向振動制御部222は、Y軸に沿って延びたアクチュエータ部140に設けられた検出用圧電素子からフィードバックされるY軸方向検出信号Syに基づいて、アクチュエータ部140に設けられた駆動用圧電素子に供給するY軸方向駆動信号Dyを生成すればよい。
このように、コントローラ22にフィードバック制御機能を設けておけば、鏡面部130の揺動運動が適切に行われているか否かを監視しながら、適切な揺動運動から外れる場合には、これを自動的に修正する制御が可能になる。
図18に示す表示制御装置40は、外部から与えられる画像データに基づいて、スクリーン10上に画像を表示させる処理を行う装置であり、レーザ光源30に対して所定のタイミングで画像データ(個々の画素の画素値を示すデータ)に基づく変調信号を提供するとともに、X軸方向振動制御部221に対してX軸方向走査制御信号Cxを与え、Y軸方向振動制御部222に対してY軸方向走査制御信号Cyを与える。
ここに示す例の場合、X軸方向走査制御信号Cxには、X軸に沿った方向に関する所定振幅Gxを示す情報および所定周波数φxを示す情報が含まれており、Y軸方向走査制御信号Cyには、Y軸に沿った方向に関する所定振幅Gyを示す情報および所定周波数φyを示す情報が含まれている。表示制御装置40は、これら走査制御信号Cx,Cyを用いて、鏡面部130の揺動運動の振幅および周波数を所望の値に設定することができる。振幅Gx,Gyを大きな値に設定すればするほど、スクリーン10上には大きな画像が表示されることになり、周波数φx,φyを大きな値に設定すればするほど、スクリーン10上には早いフレームレートで画像表示を行うことができる。
なお、前述したとおり、実用上は、効率的な振動が可能になるように、X軸に沿った方向に関する所定周波数φxとしては、可動反射素子100に固有のX軸方向共振周波数fxを設定し、Y軸に沿った方向に関する所定周波数φyとしては、可動反射素子100に固有のY軸方向共振周波数fyを設定するのが好ましい。
X軸方向振動制御部221は、フィードバックされたX軸方向検出信号Sxの振幅および周波数が、X軸方向走査制御信号Cxによって指示された所定振幅Gxおよび所定周波数φxに応じた値になるように、X軸方向駆動信号Dxの振幅および周波数を増減するフィードバック制御を行う。同様に、Y軸方向振動制御部222は、フィードバックされてきたY軸方向検出信号Syの振幅および周波数が、Y軸方向走査制御信号Cyによって指示された所定振幅Gyおよび所定周波数φyに応じた値になるように、Y軸方向駆動信号Dyの振幅および周波数を増減するフィードバック制御を行う。
なお、X軸方向振動制御部221から表示制御装置40に対しては、X軸方向走査位置信号Uxが与えられ、Y軸方向振動制御部222から表示制御装置40に対しては、Y軸方向走査位置信号Uyが与えられる。ここで、X軸方向走査位置信号Uxは、スクリーン10上のスポットSのX軸に沿った方向に関する現在位置(位相)を示す信号であり、Y軸方向走査位置信号Uyは、スクリーン10上のスポットSのY軸に沿った方向に関する現在位置(位相)を示す信号である。これら走査位置信号UxおよびUyは、それぞれX軸方向検出信号SxおよびY軸方向検出信号Syの位相に基づいて生成することができる。
表示制御装置40は、これら走査位置信号UxおよびUyに基づいて、スクリーン10上のスポットSの現在位置を認識することができるので、画像データに基づいて、位置に応じた画素の画素値を示すデータを変調信号としてレーザ光源30に提供できる。レーザ光源30は、こうして提供された変調信号に基づいて、発生するレーザビームの強度を変調することができる。したがって、「8の字状走査方式」を採用した場合にも、スクリーン10上のスポットSの位置には、位置に応じた適切な画素を表示することができる。
また、上述のように、一対のアクチュエータ部140,150を駆動して、鏡面部130をX軸方向、Y軸方向に2次元走査する場合、一対のアクチュエータ部140,150の変形により圧電素子340C,350Cで発生した電圧信号Rx1,Rx2,Ry1,Ry2は、バッテリ50に送られ充電される。バッテリ50は、電力E1,E2,E3をレーザ光源30、コントローラ22、表示制御装置40等に送り、それらの電源として機能する。よって、アクチュエータ部140,150の駆動を利用した回生回路により、バッテリ50の電力を長持ちさせることができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、圧電素子340A,350Aにより変形する線状部材240,250の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する圧電素子340C,350Cを備えているので、その回生電圧をバッテリ50に充電することにより、電力の有効活用が可能となる。
また、可動反射素子100によれば、アクチュエータ部140のY軸方向に沿った部分の長さは、固定枠110の内辺からY軸方向に沿った可動枠120の外辺の中点までの距離よりも長くなっている。このようにすれば、アクチュエータ部150の長さに対するアクチュエータ部140の長さの比をさらに大きくすることができる。これにより、可動枠120の駆動周波数と鏡面部130の駆動周波数との比率を所望の値にできる。また、アクチュエータ部140,150を例えば何重にも折り返すことなく、鏡面部130を実用上十分な範囲で揺動させることができる。よって、本実施の形態の可動反射素子100によれば、駆動周波数の最適化と小型化とを実現することができる。
また、可動反射素子100によれば、アクチュエータ部140の長さを長くすることができるので、可動反射素子100のX軸方向の長さに対してY軸方向の長さを短くすることができる。後述するように、X軸周りの揺動を、ビームの垂直方向の走査に対応させた場合、プロジェクタ等の機器に可動反射素子100を組み込んだとき、可動反射素子100のY軸方向を、機器の厚み方向に対応させることができる。したがって、可動反射素子100を採用すれば、可動反射素子100のY軸方向の長さが短いので、可動反射素子100を組み込む機器をより薄くして小型化することができる。
また、アクチュエータ部140は、可動枠120の外辺の中点Nに接続されているので、XY方向以外のモーメントが可動枠120に殆ど働かず、可動枠120の振動がいずれかの方向に偏らず捩じれないようにすることができる。
本実施の形態では、アクチュエータ部140の一対の部材それぞれが、鏡面部130の原点Oを中心として2回回転対称に配置されている。また、アクチュエータ部150の一対の部材それぞれが、鏡面部130を中心として2回回転対称に配置されている。そして、アーム部240Aにおいて固定枠110と接続される一端から他端へ向かう向きと、アーム部250Aにおいて可動枠120と接続される一端から他端へ向かう向きとが、鏡面部130の重心を中心とする回転方向に関して同じになっている。
また、アクチュエータ部140とアクチュエータ部150が、略S字状となっている。これにより、駆動周波数の比率を最適化できるとともに、可動枠120を小型化することができる。また、鏡面部130を偏りなく保持してバランス良く揺動させることができる。
ただし、アクチュエータ部140,150及び鏡面部130は、変位を生じる可動構成要素であるため、外部物体と接触することは避けた方がよい。この点、固定枠110のように枠状であれば、可動構成要素を内部に囲い込むことができるので、可動構成要素を外部物体との接触から保護できる。
また、固定枠110、可動枠120および鏡面部130については、矩形状に限られるものではなく、例えば楕円状、多角形状であってもよい。
また、この実施の形態においては、圧電素子340Cおよび圧電素子350Cで出力される回生電圧における電位の向き(極性)が同一になるように、圧電素子340Cおよび圧電素子350Cにおける分極方向を合わせることで、より効率的に回生電圧(エネルギー)を得ることが可能である。また、この実施の形態においては、圧電素子340Cおよび圧電素子350Cを階層構造にすることでも、より大きな回生電圧を得ることが可能である。
また、この実施の形態では、固定枠110を支持する土台基板200が設けられている。このように、土台基板200を設け、固定枠110の下面を土台基板200の上面に固定すれば、アクチュエータ部140、可動枠120、アクチュエータ部150および鏡面部130が、この土台基板200の上方に浮いた状態になり、土台基板200の上方に確保された空隙の大きさによって定まる自由度の範囲内で鏡面部130を傾斜させることができる。また、鏡面部130に過剰な変位が生じることを防ぐことができるので、アクチュエータ部140,150に過度な撓みが生じ、破損してしまうことを防止することができる。また、この実施の形態では、固定枠110の厚みに比べて、アクチュエータ部140、アクチュエータ部150、鏡面部130の厚みを小さくすることにより、宙吊り構造を実現しているが、これら各部の厚みを同一にし、固定枠110の下面に、いわゆるスペーサ300を履かせることにより宙吊り構造を実現するようにしてもよい。
なお、土台基板200を、可動反射素子100の装置筐体とすれば、土台基板200は、可動反射素子100の製品自体に組み込まれた一部品ということになる。これに対して、可動反射素子100の製品自体としては、土台基板200を含まない形態を採ることも可能である。この場合、この可動反射素子を部品として実装する何らかの装置の実装面の構造体が、土台基板200として機能するようになる。
また、上記実施の形態では、アーム部240A〜240C,250A〜250Cの長手方向中央に、圧電素子340A〜340C,350A〜350Cを設けたが、アーム部240Aの外辺付近に圧電素子340A〜340C,350A〜350Cを設けてもよい。
また、圧電素子340C,350Cの形状は長方形状であったが、本発明はこれには限られない。例えば、線状部材240,250における応力分布にしたがって、圧電素子340C,350Cの形状を、線状部材240,250における応力が高い部分の形状に合わせた形にしてもよい。
また、上記実施の形態では、アクチュエータ部140,150の両方に、回生用の圧電素子340C,350Cを設けたが、いずれか一方に設けるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、固定枠110に、アクチュエータ部140、可動枠120、アクチュエータ部150及び鏡面部130を配置した構造を採用している。しかしながら、固定枠110を枠体によって構成する必要はなく、例えば、アクチュエータ部140の一端を固定できれば枠状でなくてもよい。
なお、例えば、アクチュエータ部140では上面に圧電素子340A,340B,340Cを設け、アクチュエータ部150では下面に圧電素子350A,350B,350Cを設ける、というように、圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cの配置を逆にすることも可能である。また、アクチュエータ部140、150について、各線状部材240,250の上下両面に圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cを形成してもかまわない。ただし、実用上は、線状部材240,250の上面に圧電素子340A,340B,340C,350A,350B,350Cを形成するのが、製造プロセスを単純化する上で好ましい。
また、上記実施の形態におけるアーム部240A〜240C,250A〜250Cは、規定の方向に延びていればよく、直線形状であっても、曲がりを含む形状であってもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
10 スクリーン、20 二次元走査装置、22 コントローラ、30 レーザ光源、40 表示制御装置、50 バッテリ、80 プロジェクタ、100 可動反射素子、100A A層(基板層、シリコン基板)、100A1 支持層、100A2 BOX層、100A3 活性層、100B B層(白金層、下部電極層)、100C C層(PZT層、圧電材料層)、100D D層(白金/金層、上部電極層)、110 固定枠、110A A層、110B B層、110C C層、120 可動枠、120A A層、120B B層、120C C層、130 鏡面部、130A A層、130B B層、130C C層、130D D層(反射層)、140 アクチュエータ部、140A A層(基板層、線状部材)、140B B層(下部電極層)、140C C層(圧電材料層)、140D D層(上部電極層、駆動用電極)、150 アクチュエータ部、150A A層(基板層、線状部材)、150B B層(下部電極層)、150C C層(圧電材料層)、150D D層(上部電極層、駆動用電極)、160D、170D D層(上部電極層、検出用電極)、180D,190D D層(上部電極層、回生用電極)、200 土台基板、221 X軸方向振動制御部、222 Y軸方向振動制御部、240 線状部材、240A,240B,240C アーム部、250 線状部材、250A,250B,250C アーム部、300 スペーサ、340A,340B,340C,350A,350B,350C 圧電素子、S スポット

Claims (9)

  1. フレームに対してミラーを揺動軸回りに揺動させるために前記ミラーの両側に設けられた一対のアクチュエータを備える可動反射素子であって、
    前記一対のアクチュエータのそれぞれは、
    一端でフレーム側と接続し、他端でミラー側と接続し、前記一端から前記他端まで延びる可撓性のある線状部材と、
    前記線状部材に形成され、駆動電圧に従って伸縮して前記線状部材を変形させて、前記フレームに対して前記ミラーを揺動させる第1の圧電素子と、
    前記線状部材に形成され、前記線状部材の変形に応じて発生する電圧を駆動電圧調整用の検出電圧として出力する第2の圧電素子と、
    前記線状部材に形成され、前記線状部材の変形に応じて発生する電圧を回生電圧として出力する第3の圧電素子と、
    を備える可動反射素子。
  2. 前記第3の圧電素子は、
    前記線状部材において、発生する電圧が既定値以上となる部分に形成されている、
    請求項1に記載の可動反射素子。
  3. 前記第1の圧電素子は、前記線状部材を構成する、前記揺動軸に交差して延びる最長の直線部分に形成され、
    前記第2の圧電素子は、前記線状部材の前記フレーム側の端部に形成され、
    前記第3の圧電素子は、前記第1の圧電素子よりも前記ミラー側に形成されている、
    請求項2に記載の可動反射素子。
  4. 前記線状部材は、
    前記フレーム側の部材に一端が接続され、前記揺動軸に交差する第1の方向に延びる第1の線状部と、
    一端が前記第1の線状部の他端と接続し、前記第1の方向に直交する第2の方向に延びた第2の線状部と、
    一端が前記第2の線状部の他端と接続し、前記第2の線状部の他端から折り返して前記第1の線状部に対向して平行に延び、他端がミラー側の部材と接続する第3の線状部と、
    を有し、
    前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子は、前記第1の線状部に形成されており、
    前記第3の圧電素子は、前記第2の線状部及び前記第3の線状部の少なくとも一方に形成されている、
    請求項3に記載の可動反射素子。
  5. 前記ミラーが形成された鏡面部と、
    前記鏡面部を囲む内側フレームと、
    前記内側フレームを囲む外側フレームと、
    前記ミラーと前記内側フレームとを連結し、前記内側フレームに対して前記鏡面部を内側揺動軸回りに揺動させるために前記ミラーの前記内側揺動軸の両側にそれぞれ設けられた一対の内側駆動部と、
    前記内側フレームと前記外側フレームとを連結し、前記外側フレームに対して前記内側フレームを、前記内側揺動軸に直交する外側揺動軸回りに揺動させるために前記内側フレームの前記外側揺動軸の両側にそれぞれ設けられた一対の外側駆動部と、
    を備え、
    前記内側駆動部及び前記外側駆動部の少なくとも一方が、前記アクチュエータである、
    請求項4に記載の可動反射素子。
  6. 前記第3の圧電素子は、前記第3の線状部の長手方向中央から前記第2の線状部側にオフセットした位置に形成されている、
    請求項5に記載の可動反射素子。
  7. 前記第3の圧電素子は、前記第3の線状部の長手方向中央から前記鏡面部側にオフセットした位置に形成されている、
    請求項5に記載の可動反射素子。
  8. 前記第3の圧電素子は、
    前記線状部材において厚さが非連続に変化する部分に近接して形成されている、
    請求項2に記載の可動反射素子。
  9. 前記第3の圧電素子は、
    前記線状部材において折れ曲がった部分の内側に近接して形成されている、
    請求項2に記載の可動反射素子。
JP2016043049A 2016-03-07 2016-03-07 可動反射素子 Pending JP2017161561A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016043049A JP2017161561A (ja) 2016-03-07 2016-03-07 可動反射素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016043049A JP2017161561A (ja) 2016-03-07 2016-03-07 可動反射素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017161561A true JP2017161561A (ja) 2017-09-14

Family

ID=59856945

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016043049A Pending JP2017161561A (ja) 2016-03-07 2016-03-07 可動反射素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017161561A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210018746A1 (en) * 2019-07-15 2021-01-21 Microvision, Inc. Microelectromechanical (MEMS) Scanners for Scanning Laser Devices

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210018746A1 (en) * 2019-07-15 2021-01-21 Microvision, Inc. Microelectromechanical (MEMS) Scanners for Scanning Laser Devices
US11513341B2 (en) * 2019-07-15 2022-11-29 Microvision, Inc. Microelectromechanical (MEMS) scanners for scanning laser devices

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107636512B (zh) 可动反射元件和二维扫描装置
CN212334582U (zh) 微机电设备和微型投影仪装置
CN106809796B (zh) 具有双轴致动的微机械结构及对应的mems设备
US11933968B2 (en) Biaxial resonant microelectromechanical mirror structure with piezoelectric actuation having improved characteristics
JP6789438B2 (ja) 光走査装置およびその制御方法
US20170160540A1 (en) Micromechanical device having a structure tiltable by a quasi-static piezoelectric actuation
JP6680364B2 (ja) 可動反射素子
CN111149372B (zh) 超声波传感器
IT201800008091A1 (it) Dispositivo micromeccanico dotato di una struttura orientabile tramite attuazione quasi-statica di tipo piezoelettrico e avente elementi di irrigidimento
CN215006226U (zh) 微机电系统镜设备和微型投影仪装置
WO2015170624A1 (ja) 可動反射素子および二次元走査装置
JP2017161561A (ja) 可動反射素子
US11086122B2 (en) Microelectromechanical device having a structure tiltable through an actuation of the piezoelectric type
EP4261592A9 (en) Microelectromechanical mirror device with piezoelectric actuation having improved stress resistance
EP4082962A1 (en) Microelectromechanical mirror device with piezoelectric actuation and improved opening angle
US20220413281A1 (en) Light control system
JP2023005225A (ja) 半導体デバイスおよび半導体デバイスの製造方法
JP2015215586A (ja) 可動反射素子