JP2007244690A - ドライクリーニングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライクリーニングにおいて、洗濯物から溶剤中に移行する油脂汚れを低コストで効率よく除去し、溶剤を高度に清浄化して長期にわたって反復使用可能とし、運転コストの大幅な低減と処理能率の向上を図り得るシステムを提供する。
【解決手段】ドライクリーニングに使用した溶剤Sを酸化カルシウムを主体とする固形処理剤Cに接触させることにより、溶剤S中の油脂汚れを脂肪酸カルシウムに転化して除去する。
【選択図】図3

Description

本発明は、商業クリーニングの一手法であるドライクリーニングシステムに関する。
一般的に、ドライクリーニングに供される洗濯物の汚れは、平均的に60%程度を油脂汚れ(中性脂肪と脂肪酸が略30%ずつで、中性脂肪は加水分解して脂肪酸に転化する)が占め、且つこの油脂汚れが他の水溶性汚れや不溶性汚れを付着させるバインダーとして機能している。そこで、ドライクリーニングでは、油脂汚れを有機溶剤で溶解させることにより、その油脂汚れと共に水溶性汚れや不溶性汚れも繊維から分離し、溶剤中に溶解・分散した汚れ成分をフィルターによって除去し、もって溶剤を清浄化する形で反復使用するようにしている。
そのフィルターとしては、金属ネット状やコイル状の筒体周面にろ過助剤層を付着させるパウダーフィルター、二重の筒形ろ網間にろ過助剤を充填したものを蛇腹状のろ紙炉筒で被包したカートリッジフィルター、円板を重ねた形状の骨組みにろ布を被せ、付着した汚れを円板の高速回転で分離するスピンディスクフィルター等がある。また、上記のろ過助剤には、活性炭を主剤としてアルミナゲルや膠質土を含むものが汎用されている(非特許文献1)。
新版クリーニング技術の手引・第4章ドライクリーニング(平成12年10月12日全国クリーニング生活衛生同業組合連合会発行、75〜99頁)
ところが、上記のパウダーフィルターやカートリッジフィルターを用いるシステムでは、油脂汚れは主としてろ過助剤による吸着で除去されるが、該ろ過助剤には他の汚れ成分も吸着されるので油脂汚れに対する吸着能力自体が充分でない上、溶剤の反復使用回数の増加に伴ってその吸着力を減じて溶剤中に溶存する油脂汚れが増え、吸着飽和に達したのちは油脂汚れの濃度が上昇一方になる。また、スピンディスクフィルターを用いるシステムでは、該フィルターの円板の高速回転でろ布から分離した汚れを溶剤と共に蒸留器に送り、この蒸留器で溶剤を蒸発させて残る高沸点成分を汚れとして排出するようにしているが、油脂汚れ中の吉草酸やイソ酪酸の如き低沸点成分は溶剤と一緒に蒸発して冷却再生されるため、これら低沸点成分の汚れが次第に蓄積してくることになる。
しかして、脂肪酸には独特な臭気があり、特に低級脂肪酸は悪臭であり、これらの残留によってドライクリーニング後の衣類が不快臭を放つことになるため、これを回避する上で溶剤中の油脂汚れはオレイン酸換算で溶剤100gに対して0.2gが限界とされている。また、当然ながら、溶剤中に溶存する油脂汚れの濃度が上昇するほど洗浄力は低下することになる。従って、ドライクリーニング業界においては、不快臭の防止と洗浄力の確保のために、溶剤の酸価の管理が重要視され、該酸価を一定値以下に維持することが推奨されている。
しかしながら、溶剤の酸価を一定値以下に維持する上で、パウダーフィルターを用いるシステムではろ過助剤の交換を頻繁に行い、またカートリッジフィルターではそれ自体の交換を早期に行い、更にスピンディスクフィルターを用いるシステムでは溶剤の更新を速める必要があり、これらによってドライクリーニングの運転コストが嵩み、処理能率も低下することになり、特に使用済みのカートリッジフィルターの場合は再生不能で産業廃棄物になるという問題もある。
本発明は、上述の情況に鑑み、ドライクリーニングにおいて、洗濯物から溶剤中に移行する油脂汚れを低コストで効率よく除去し、これによって溶剤を高度に清浄化して長期にわたって反復使用可能とし、もって運転コストの大幅な低減と処理能率の向上を図り得るシステムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドライクリーニングシステムは、ドライクリーニングに使用した溶剤を酸化カルシウムを主体とする固形処理剤に接触させることにより、該溶剤中の油脂汚れを脂肪酸カルシウムに転化して除去することを特徴としている。
請求項2の発明は、前記請求項1のドライクリーニングシステムにおいて、溶剤タンクから導出される溶剤をフィルターを通して該洗浄槽へ送り、洗浄後の溶剤を前記溶剤タンクへ戻すようにした溶剤循環経路中に、前記固形処理剤を配置する構成としている。
請求項3の発明は、前記請求項1又は2のドライクリーニングシステムにおいて、前記固形処理剤が貝殻を粉砕及び焼成したものとしている。
請求項4の発明は、前記請求項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニングシステムにおいて、前記固形処理剤が液透過性の袋内に充填されてなるものとしている。
請求項5の発明は、前記請求項1〜4のいずれかに記載のドライクリーニングシステムにおいて、石油系溶剤を用いる構成としている。
請求項1の発明によれば、クリーニング溶剤中の油脂汚れ(脂肪酸)を酸化カルシウムを主体とする固形処理剤との接触によって金属石けんである脂肪酸カルシウムに転化するが、この酸化カルシウムと脂肪酸成分との反応性がよいため、溶剤を急速に高度に清浄化でき、もってドライクリーニング後の洗濯物の不快臭を確実に防止し得ると共に、処理能率の低下なく溶剤を長期にわたって反復使用できるから、運転コストが従来に比して大幅に低減される。また、酸化カルシウムは水に対する溶解度が低く、溶剤中に存在する水の量も僅かであり、固形処理剤を多く存在させても溶存する脂肪酸に対応する分だけ反応が進み、脂肪酸の全量が脂肪酸カルシウムに転化しても溶剤は酸価ゼロ(中性)でアルカリ性にはならず、且つ水以外の余分な副生物もないから、洗濯物が脱色したり傷んだりする懸念はない。
請求項2の発明によれば、前記固形処理剤を配置した溶剤循環経路に汚れ除去用のフィルターが介在するが、該固形処理剤と油脂汚れとの反応で生成する脂肪酸カルシウムの沈殿がパサパサした粘性に乏しい性状であるため、該フィルターの目詰まりを生じにくい上、ろ過助剤を用いるフィルターでは吸着能力を専ら油脂汚れ以外の汚れ成分の吸着に費やすことができ、それだけフィルター寿命が延びると共にシステムを長く継続運転でき、処理能率が大きく向上する。
請求項3の発明によれば、固形処理剤が貝殻を粉砕及び焼成したものであるから、水に溶解する際に殆ど発熱せず、石油系溶剤を使用するドライクリーニングでも安全に使用できる上、その原料としてホタテ貝等の大量に食消費される貝類の殻を利用でき、それだけ原料コストひいてはドライクリーニングコストを低減できると共に、従来では廃棄対象物であった貝殻の有効利用によって省資源及び環境保全にも貢献できる。
請求項4の発明によれば、固形処理剤が液透過性の袋内に充填されているため、その取扱い性がよく、溶剤循環経路の何処にでも支障なく配置できる上、該袋内で酸化カルシウムと脂肪酸成分との反応が進むから、その袋材料として不織布や織布の如きろ過性のものを使用すれば、生成した脂肪酸カルシウムが循環溶剤中へ移行せずに袋内に溜まってゆき、この袋を配置部から取り出すことで該脂肪酸カルシウムを系外へ排出除去でき、その除去のためのフィルター等の各別なろ別設備が不要となる。
請求項5の発明によれば、溶剤が石油系溶剤であるため、塩素系溶剤やフッ素系溶剤のような環境問題を生じない。
図1は基本的なドライクリーニングシステムの一例を示す概略装置構成図である。図中、Wはワッシャーと称される回転ドラム式の洗浄槽、Tは溶剤タンク、Fは溶剤タンクTから洗浄槽Wへの送液管路L1,L2の間に介在する汚れ除去用のフィルター、Pは溶剤タンクT内のソープを含む溶剤Sを送液管路L1,L2を通して洗浄槽Wへ送る送液ポンプ、Bは洗浄槽Wから溶剤タンクTへ至る脱液管路L3に介装されたボタントラップ、Vは必要に応じて設備される蒸留器である。しかして、フィルターFとしては、既述のパウダーフィルター、カートリッジフィルター、スピンディスクフィルター等が使用される。なお、蒸留器Vは、洗浄槽Wから導出される洗浄後の溶剤Sを管路L4より導入し、所定温度に加熱・減圧蒸留し、蒸発した溶剤Sを凝縮して管路L5より溶剤タンクTへ戻すと共に、非蒸発の高沸点成分を下方のドレンDより排出するようになっている。また、ボタントラップBは、洗浄後の溶剤Sをネットに通過させることにより、衣類から脱落したボタン等の粗大異物を収集するものである。
ドライクリーニングは、洗浄槽W内に所要量の洗濯物を収容すると共に、送液ポンプPによって溶剤タンクT内の溶剤Sの所要量を該洗浄槽W内に送り込み、ドラムを所定時間(石油系溶剤では一般的に20分程度)回転させて洗浄したのち、洗浄後の溶剤Sを溶剤タンクTへ戻し、洗浄槽Wから洗濯物を取り出す。そして、溶剤Sは酸価、着色度合、透明度等より不良と判定されるまで反復使用される。また、フィルターFについては、管路の流量や圧力の計測から判定されるろ過能力が限界に達した際、パウダーフィルターやスピンディスクフィルターではろ過助剤層の離脱や汚れ分離によって再生させ、カートリッジフィルターでは新品と交換する。更に、蒸留器Vを設備したシステムでは、所定の洗濯回数置きに該蒸留器Vを稼働して溶剤S中の高沸点不純物を除去する。
なお、洗濯物の油脂汚れには、食物に由来する多様な動物性及び植物性の油脂類(多くは不飽和脂肪酸)による偶発的な汚れと、人体の皮脂や汗から来る油脂類による定常的な汚れとがある。そして、ドライクリーニング後の衣類に残留した場合に不快臭を与えるのは、主として皮脂や汗に含まれていた酪酸(沸点164℃)、イソ酪酸(沸点152〜155℃)、吉草酸(沸点186〜187℃)等の低沸点の飽和脂肪酸類であるが、これらは特に石油系溶剤(沸点150〜210℃)と沸点が近いため、前記蒸留器Vによる分離除去は困難である。
そこで、本発明のドライクリーニングシステムにおいては、溶剤Sの循環経路中に、酸化カルシウムを主体とする固形処理剤を配置して洗浄後の溶剤Sと接触させることにより、該溶剤S中の油脂汚れを金属石けんである脂肪酸カルシウムに転化して除去する。すなわち、油脂汚れ成分をモノカルボン酸とすれば、次式(1)の反応となる。
2RCOOH+CaO→(RCOO)2 Ca+H2 O ・・・・(1)
(式中、Rは飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基)
しかして、この酸化カルシウムと脂肪酸成分との反応性がよく、溶剤中の油脂汚れが急速に脂肪酸カルシウムに転化する上、その生成物が粘性の乏しいパサパサした沈殿物となるため、溶剤S中に遊離していてもフィルターFのろ材やろ過助剤層を目詰まりさせにくく、且つ該フィルターFを含む一般的なろ別手段によって溶剤Sから容易に分離除去できる。従って、このドライクリーニングシステムでは、溶剤Sが急速に高度に清浄化され、ドライクリーニング後の洗濯物は不快臭のない良好な仕上がり状態になり、且つ溶剤Sを処理能率の低下なく長期にわたって反復使用できるから、運転コストが従来に比して大幅に低減される。フィルターFがろ過助剤を用いるタイプでは、その吸着能力を専ら油脂汚れ以外の汚れ成分の吸着に費やすことができ、それだけフィルター寿命が延びると共にシステムを長く継続運転でき、処理能率が大きく向上する。
なお、脂肪酸と反応して金属石けんを生成する金属の内、アルカリ金属は特にイオン化傾向が大きく脂肪酸塩を形成し易いが、脂肪酸のアルカリ金属塩は水に容易に溶解して沈殿しないため、ドライクリーニングの溶剤S中から分離除去することが極めて困難であり、また酸素の存在下や水中で激しく反応して発熱するので安定性にも問題がある。一方、アルカリ土類金属もイオン化傾向が大きく、その脂肪酸塩は難溶性になるが、安価で安定性の良いカルシウム化合物であっても、例えば塩化カルシウム(CaCl2 )では、反応時に発熱を伴う上、塩酸を生成するので中和のためにアルカリの添加が必要になる。また炭酸カルシウム(CaCO3 )の場合、水には殆ど溶解しないためイオン化量も少なく、ドライクリーニング溶剤中での脂肪酸と反応することは殆どない。その他、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )等のアルカリも脂肪酸と反応して金属石けんを生成するが、その沈殿は柔らかで粘着性を持つため、フィルター表面に付着した際に目詰まりを起こし、ろ過機能を著しく阻害することになる。
これに対し、本発明で用いる固形処理剤の主体をなす酸化カルシウムでは、脂肪酸との反応性はよいが、水に対する溶解度が低く、溶剤S中に存在する水の量も僅かであるため、固形処理剤を多く存在させてもカルシウムが多量に溶剤S中に溶出することはなく、溶存する脂肪酸に対応する分だけ反応が進み、脂肪酸の全量が脂肪酸カルシウムに転化しても酸価ゼロ(中性)になるだけであるから、アルカリ性下の染料溶出による衣類の脱色を生じる恐れはなく、且つ水以外の有害無用な副生物も生成しないから、洗濯物の生地が傷んだりする懸念もない。
固形処理剤の配置部位としては、特に制約はなく、例えば図1における溶剤タンクT内、フィルターF内、ボタントラップB内のいずれでもよいし、管路L1〜L3の何れかに図示仮想線で示すように当該固形処理剤を充填した反応槽Rを介在させてもよい。そして、このような固形処理剤は、フィルターFがパウダーフィルターやカートリッジフィルターである場合に、粉末乃至粒状の固形処理剤をろ過助剤(例えば、活性炭を主剤としてアルミナゲルや膠質土を含むもの)に混合した形で使用することもできるが、特に液透過性の袋内に充填した形態で用いることが推奨される。
すなわち、固形処理剤を液透過性の袋内に充填した形態とすれば、取扱い性がよく、溶剤循環経路の何処にでも支障なく配置できる上、該袋内で酸化カルシウムと脂肪酸成分との反応が進むことになる。従って、その袋材料として不織布や織布の如きろ過性を持つものを使用すれば、袋内の固形処理剤が反応に消費されて減少してゆく一方で、生成した脂肪酸カルシウムが循環溶剤中へ移行せずに袋内に溜まってゆくから、所定のクリーニング回数又は稼働日数に達した時点、あるいは酸化測定等で油脂汚れの除去能率低下が判明した時点で、この袋を配置部から取り出すことで該脂肪酸カルシウムを系外へ簡単に排出除去でき、その除去のためのフィルター等の各別なろ別設備が不要となり、除去操作自体も極めて容易になる。
このような固形処理剤としては、酸化カルシウムを主体とするものであればよく、酸化カルシウムとしての純度が低くても支障はなく、化学品としての酸化カルシウム粉末つまり石灰石の熱分解で得られる生石灰も使用できるが、特に貝殻を粉砕及び焼成したものが好適である。すなわち、一般的な生石灰では水と激しく反応して発熱するため、溶剤Sが引火性のある石油系溶剤である場合に使用困難であるが、貝殻の焼成品では殆ど反応熱を生じないので石油系溶剤にも安全に使用できる。また、貝殻の焼成品の場合、その原料としてホタテ貝、牡蠣、サザエ、ホッキ貝、ハマグリ、アサリ、シジミその他の大量に食消費されている貝類の殻を利用でき、それだけ原料コストひいてはドライクリーニングコストを低減できると共に、従来では廃棄対象物であった貝殻の有効利用によって省資源及び環境保全にも貢献できるという利点もある。なお、作用効果的に最も好適な貝殻はホタテ貝殻である。更に、他の岩化していない天然カルシウム源として、ウニの殻、鶏卵の殻、珊瑚等も利用できる。
しかして、上記貝殻の如きカルシウム源の焼成は、少量ではオートクレーブや電気炉等を用い、多量ではロータリーキルンや大型燃焼炉等を用いて行うが、好適には不活性ガス雰囲気として、温度700〜1200℃程度で数分〜数時間程度加熱すればよい。また、粉砕は焼成前後のいずれでもよいし、粗粉砕して焼成後に更に粉砕してもよく、粒度の制約は特にない。
固形処理剤の使用量は、既述のように多くしても支障がなく、また少なくしても消費減量に応じて補充すればよいから、特に好適な範囲はないが、3カ月間程度を補充・交換なしに稼働する場合を目安として溶剤100L当たり10〜30g程度とするのがよい。また、固形処理剤を充填する前記の液透過性の袋としては、材質的に溶剤S及び水に溶解せず、固形処理剤及び生成した脂肪酸カルシウムの漏れを生じない密度の布材、特に不織布からなるものがコストと封入の容易さとから好適である。
溶剤Sとしては、石油系溶剤の他にフッ素系溶剤や塩素系溶剤も使用可能であるが、特に石油系溶剤は安価で且つオゾン層破壊のような環境問題を生じない点で好適である。なお、近年では新しいドライ溶剤として、高価ではあるが、ハイドロフルオルエーテル(HFE)系やハイドロフルオルカーボン(HFC)系のようなオゾン層破壊の問題がないフッ素系溶剤、オゾン層への実害がないとされる臭素系溶剤、シリコーン系溶剤等も登場しており、これらも使用可能である。
一方、溶剤S中には、一般的に使用されているドライクリーニング用洗剤を適宜配合できる。しかして、石油系溶剤に配合する洗剤は、洗浄力付与の他に、摩擦低減による引火性及び揮発性の低下作用を担うものである。なお、脂肪酸カルシウムの生成反応は水系で進行するため、溶剤S中に水分の存在が不可欠になるが、この反応に要する程度の水分は洗濯物に付随する湿気として充分に供給されるため、溶剤Sに対して別途に水を加える必要はない。
その他、本発明のドライクリーニングシステムにおいては、既述のように溶剤Sの循環経路中に固形処理剤を配置して洗浄後の溶剤Sと接触させる以外に、循環経路とは別の処理槽に該固形処理剤を装填しておき、ドライクリーニングに供した溶剤Sを循環経路から抜き出して該処理槽に導入することにより、その溶剤S中の油脂汚れを脂肪酸カルシウムに転化させ、この脂肪酸カルシウムをろ別分離し、もって清浄化した溶剤Sを元の循環経路に戻す方式も採用可能である。このような方式は、例えば、上記処理槽をトラックに搭載し、ドライクリーニング施設を巡回して溶剤S中の油脂汚れを除去するような事業形態に応用できる。
本発明のドライクリーニングシステムについて、ビーカースケールの模擬試験と、実際に商業ペースで稼働している実機による試験とを行った。なお、これら試験に用いた固形処理剤は次の方法によって製造した。
〔固形処理剤〕
乾燥したホタテ貝殻を粗粉砕し、この粉砕物を電気炉内に装填して内部を窒素ガスで置換し、約1100℃にて30分間の焼成を行い、焼成物を室温まで放冷させたものを再粉砕し、この粉砕物を篩にかけて粒径5mm以上の粗大粒子を除き、平均粒子径約80μmの粉末状の固形処理剤を得た。そして、この粉末状の固形処理剤を厚さ136μmのポリエステルスパンポンド不織布(重量…42g/m2 )からなる縦横10×16cmの袋内に30gずつ封入し、袋入り固形処理剤C(図2及び図3参照)とした。
<模擬試験>
後記実機試験と同じ石油系溶剤100gに、同実機試験と同じカチオンソープ0.3gと、油脂汚れとしてオレイン酸をサンプルAでは0.4g、サンプルBでは0.6gを添加混合し、汚れ溶剤サンプルA,Bを調製した。そして、両汚れ溶剤サンプルA,Bの処理前の酸価と、それぞれ粉末状の固形処理剤0.04gを添加して攪拌混合したのち、静置して2時間後、24時間後、3日後、1か月後の酸価とを測定したところ、次表の結果が得られた。
Figure 2007244690
上表で示すように、脂肪酸を溶存するドライクリーニング溶剤に酸価カルシウムを主体とする固形処理剤を添加することで酸価が急速に低下し、元の油脂汚れの多少に拘らず、3日目以降は酸価0.1と低い値で安定しており、溶剤中に溶存していた脂肪酸が固形処理剤の酸価カルシウムと反応して脂肪酸カルシウムに転化し、以降は油脂汚れが極めて少ない状態に維持されることが明らかである。
図2及び図3に、実機試験に用いたドライクリーニング装置の模式図を示す。図中、Mは2タンク型のドライクリーニング機、T1,T2は溶剤タンク、Wは回転ドラム式の洗浄槽、Fはカートリッジフィルター、Vは蒸留器、Sは溶剤、Cは袋入り固形処理剤である。なお、具体的な装置構成と洗浄条件、使用した溶剤及び洗剤と固形処理剤は次のとおりである。
ドライクリーニング機M・・・アサヒ製作所のCOA−1016(JIMS13kg、 タンクT1の容量250L、タンクT2の容量300L) 洗浄1回当たりの溶剤装填量・・・60L
洗浄1回当たりの衣類数 ・・・25点
溶剤S・・・石油系溶剤(日米鉱油社製ニューソルデラックス−ハイソフト)に0.2 重量%のカチオンソープ(松井化学社製ダブルグリーンCA−SP)を溶解 している。
実機試験1
図2(A)(B)の如く両タンクT1,T2に溶剤Sを収容して実際に商業稼働しているドライクリーニング機Mにおいて、そのタンクT2内に袋入り固形処理剤Cを1袋装填し、平成17年12月24日から平成18年1月31日まで、実働27日間で1日平均3回の洗浄の内、1回を一浴式洗浄、2回を二浴式洗浄として、商業ペースのドライクリーニングを継続的に行った。その一浴式洗浄は、図2(A)で示すように、タンクT1の溶剤Sを矢印a1,a2のようにフィルターFを通して洗浄槽Wへ供給し、洗浄後の脱液した溶剤Sを矢印a3のように同じタンクT1に戻すものである。また、二浴式洗浄は、図2(B)で示すように、タンクT1の溶剤Sを矢印b1,b2のようにフィルターFを通して洗浄槽Wへ供給し、洗浄を行った後に脱液した溶剤Sを矢印b3のように蒸発器Vへ導入し、減圧蒸留して不揮発の高沸点成分を除いた上で、凝縮した溶剤Sを導出して矢印b4のように袋入り固形処理剤Cを装填したタンクT2へ流入させる第一浴洗浄を行った後、該タンクT2内の溶剤Sを矢印b5のように直接に洗浄槽Wへ供給し、洗浄を行った後に脱液した溶剤Sを矢印b6のようにタンクT1に流入させる第二浴洗浄を行うものである。
しかして、試験前の両タンクT1,T2の溶剤Sは、それ以前から試験と同じ1日平均3回の洗浄を行っていた結果、酸価が0.4であって、脂肪酸の臭気が酷く、試験直前に行ったクリーニング後の衣類から脂肪酸特有の不快臭が発する状態であった。ところが、この試験開始の翌日にはクリーニング後の衣類の不快臭が殆どなくなり、更に翌々日以降のクリーニングからは衣類に不快臭が残ることは全くなくなった。なお、試験開始の翌日における両タンクT1,T2の溶剤Sの酸価は0.1、1か月以上を経過した1月末でも同酸価は0.1であり、固形処理剤Cによる油脂汚れの除去作用が試験期間中に継続して発揮されていることが実証された。更に、試験期間終了後にタンクT2内から固形処理剤の袋を取り出し、この袋を開いて内容物の状態を光学顕微鏡(700倍)で観察したところ、固形処理剤の残存している個々の貝殻粒子がパサパサした脂肪酸カルシウムの析出物に覆われた状態であった。
実機試験2
実機試験1に用いたものとは別に両タンクT1,T2に溶剤Sを収容して実際に商業稼働していたドライクリーニング機Mについて、タンクT2を空にすると共に、それまで使用していた溶剤Sが残るタンクT1内に袋入り固形処理剤Cを 袋装填し、平成17年12月15日から平成18年1月31日まで、実働35日間で1日平均3回の一浴式洗浄による商業ペースのドライクリーニングを継続的に行った。この洗浄操作は、図3で示すように、タンクT1の溶剤Sを矢印a1,a2のようにフィルターFを通して洗浄槽Wへ供給し、洗浄後の脱液した溶剤Sを矢印a3のようにタンクT1に戻すものである。
しかして、試験前のタンクT1内の溶剤Sは、それ以前から実機試験1と同じ1日平均3回の洗浄を行っていたことにより、酸価が0.6と高く、やはり脂肪酸の臭気が酷く、試験直前に行ったクリーニング後の衣類から不快臭が発する状態であった。しかるに、試験開始の翌日から衣類の不快臭は認められなくなり、この状態が試験終了日まで継続した。また、試験開始の翌日におけるタンクT1内の溶剤Sの酸価は0.4、試験終了日の同酸価は0.1であり、固形処理剤Cによる油脂汚れの除去作用が試験期間中に継続して発揮されていることが実証された。更に、試験期間終了後、溶剤タンクT2から固形処理剤の袋を取り出して内容物を実機試験1と同様に光学顕微鏡で観察したところ、やはり残存する個々の貝殻粒子がパサパサした脂肪酸カルシウムの析出物に覆われた状態であることが判った。
基本的なドライクリーニングシステムの一例を示す概略装置構成図である。 本発明の実機試験1に用いたドライクリーニング装置を示し、(A)は一浴式洗浄における模式図、(B)は二浴式洗浄における模式図である。 同実機試験2に用いたドライクリーニング装置の模式図である。
符号の説明
C 袋入り固形処理剤
F フィルター
L1〜L5 管路
M ドライクリーニング機
S 溶剤
T,T1,T2 溶剤タンク
V 蒸留槽
W 洗浄槽

Claims (5)

  1. ドライクリーニングに使用した溶剤を酸化カルシウムを主体とする固形処理剤に接触させることにより、該溶剤中の油脂汚れを脂肪酸カルシウムに転化して除去することを特徴とするドライクリーニングシステム。
  2. 溶剤タンクから導出される溶剤をフィルターを通して該洗浄槽へ送り、洗浄後の溶剤を前記溶剤タンクへ戻すようにした溶剤循環経路中に、前記固形処理剤を配置する請求項1記載のドライクリーニングシステム。
  3. 前記固形処理剤が貝殻を粉砕及び焼成したものである請求項1又は2に記載のドライクリーニングシステム。
  4. 前記固形処理剤が液透過性の袋内に充填されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニングシステム。
  5. 石油系溶剤を用いる請求項1〜4のいずれかに記載のドライクリーニングシステム。
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