JP2007241053A - レジスト保護膜材料及びパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な液浸リソグラフィーを可能とし、しかもフォトレジスト層の現像時に同時に除去することができて、優れたプロセス適用性を有する液浸リソグラフィー用として有効な保護膜材料、及びこのような材料を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)に示される化合物を溶媒として含有する、アルカリ現像液に可溶なレジスト保護膜材料。
【化1】
Figure 2007241053

(上式中、R1は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフッ素原子を1個以上有するアルキル基であり、R2とR3は同一又は異種で水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基でフッ素原子を1個以上有していても良く、R4は炭素数1〜9の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、R1+R2+R3+R4の炭素数の合計が6〜10の範囲である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工、特に波長193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、リソグラフィー、好ましくは投影レンズとウエハーの間に水を挿入する液浸フォトリソグラフィーにおいて、フォトレジストを保護すべくレジスト上層材料として用いるレジスト保護膜材料及びこれを用いたレジストパターンの形成方法に関する。
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジストのエッチング耐性低下等の種々の問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1)。
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44にまで上げることができる。NAの向上分だけ解像力が向上し、NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示されている(非特許文献2)。
ここで、レジスト膜の上に水が存在することによる様々な問題が指摘された。発生した酸や、クエンチャーとしてレジスト膜に添加されているアミン化合物が水に溶解してしまうことによる形状変化や、膨潤によるパターン倒れなどである。そのため、レジスト膜と水との間に保護膜を設けることが有効であることが提案されている(非特許文献3)。
レジスト上層の保護膜は、今まで反射防止膜として検討された経緯がある。例えば、特許文献1〜3に示されるARCOR法などである。ARCOR法はレジスト膜上に透明な反射防止膜を形成し、露光後剥離する工程を含む方法であり、その簡便な方法で微細かつ高精度及び合わせ精度の高いパターンを形成する方法である。反射防止膜として低屈折率材料のパーフルオロアルキル化合物(パーフルオロアルキルポリエーテル、パーフルオロアルキルアミン)を用いると、レジスト−反射防止膜界面の反射光を大幅に低減し、寸法精度が向上する。フッ素系の材料としては、前述の材料以外に特許文献4に示されるパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)−テトラフルオロエチレン共重合体、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体などの非晶質ポリマーなどが提案されている。
しかし、上記パーフルオロアルキル化合物は、有機物との相溶性が低いことから、塗布膜厚を制御するための希釈液にはフロンなどが用いられているが、周知の通りフロンは現在環境保全の観点からその使用が問題となっている。また、上記化合物は均一な成膜性に問題があり、反射防止膜としては十分であるとはいえなかった。また、フォトレジスト膜の現像前に、反射防止膜をフロンで剥離しなければならなかった。そのため、従来装置に反射防止膜剥離用のシステムの増設をしなければならない、フロン系溶剤のコストがかなりかさむなど実用面でのデメリットが大きかった。
従来装置に増設なしで反射防止膜の剥離を行おうとすると、現像ユニットを使って剥離を行うのが最も望ましい。フォトレジストの現像ユニットで用いられる溶液は、現像液であるアルカリ水溶液と、リンス液である純水であるので、これらの溶液で容易に剥離できる反射防止膜材料が望ましいといえる。そのため、数多くの水溶性の反射防止膜材料及びこれらを用いるパターン形成方法が提案された。例えば、特許文献5〜6等である。
ところが、水溶性保護膜は、露光中に水に溶解してしまうので液浸リソグラフィーには用いることができない。一方で、非水溶性のフッ素系ポリマーは特殊なフロン系の剥離剤が必要であるということとフロン系溶媒専用の剥離カップが必要という問題があり、非水溶性で、簡便に剥離可能なレジスト保護膜が求められていた。
ヘキサフルオロアルコール基はアルカリ溶解性を有し、かつ撥水性が高い特性を有するために液浸露光用レジスト保護膜として検討されている(非特許文献4)。
特開昭62−62520号公報 特開昭62−62521号公報 特開昭60−38821号公報 特開平5−74700号公報 特開平6−273926号公報 特許第2803549号公報 Proc. SPIE Vol. 4690 xxix Proc. SPIE Vol. 5040 p724 2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography Proc. SPIE Vol. 5753−05 (2005)
更に疎水性の高いアルカリ現像可能なレジスト保護膜の開発が望まれている。
ここで、液浸リソグラフィー用レジスト保護膜材料に用いられる溶媒としては、炭素数4以上の高級アルコール(特願2004−121506号)、炭素数8以下のエーテル(特願2004−229085号)が用いられている。
フォトレジストが(メタ)アクリル系ポリマーをベースとしている場合、(メタ)アクリル系ポリマーを殆ど溶解させず、αフルオロメチルアルコールを有するレジスト保護膜用ポリマーを溶解させる炭素数4以上の高級アルコールを用いることが可能であった。しかしながら、ポリノルボルネンやROMPベースのサイクロオレフィンポリマー、シルセスキオキサンポリマーは炭素数4以上のアルコールに溶解する。ポリノルボルネンやROMPベースのサイクロオレフィンポリマーあるいはシルセスキオキサンをベースとしたレジスト上に、アルコールを溶媒としたレジスト保護膜を適用した場合、現像後のレジストパターンの形状が頭張りあるいは膜減りが生じてしまう問題が生じていた。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル及び/又はアクリルを表す。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、良好な液浸リソグラフィーを可能とし、しかもフォトレジスト層の現像時に同時に除去することができて、優れたプロセス適用性を有する液浸リソグラフィー用として有効な保護膜材料、及びこのような材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、フルオロアルキル基のエステル化合物をレジスト保護膜材料の溶媒としてレジスト膜上に形成した場合、レジスト保護膜用ポリマーを溶解させ、かつレジスト膜を溶解させず、パターン形状やプロセスマージンに悪影響を及ぼさないことを見いだし、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は下記のレジスト保護膜材料及びパターン形成方法を提供する。
本発明は、下記一般式(1)に示される化合物を溶媒として含有する、アルカリ現像液に可溶なレジスト保護膜材料。
Figure 2007241053
(上式中、R1は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフッ素原子を1個以上有するアルキル基であり、R2とR3は同一又は異種で水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基でフッ素原子を1個以上有していても良く、R4は炭素数1〜9の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、R1+R2+R3+R4の炭素数の合計が6〜10の範囲である。)本発明のレジスト保護膜材料は、好ましくは、アルカリ水に溶解するポリマーを含有する。
また、本発明は、ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成する工程と、該保護膜形成工程後の露光工程と、該露光工程後の現像工程と含んでなるリソグラフィーによるパターン形成方法であって、上記レジスト上層膜材料が、上記レジスト保護膜材料であることを特徴とするパターン形成方法を提供する。好ましくは、液体中で露光を行う露光工程を含む、液浸リソグラフィーによるパターン形成方法を提供する。
本発明のパターン形成方法によれば、レジスト膜上に形成されるレジスト保護膜が、非水溶性でアルカリ水溶液(アルカリ現像液)に溶解可能であり、しかもレジスト膜とミキシングしないものであるので、良好な液浸リソグラフィーを行うことができ、またアルカリ現像時にレジスト膜の現像と保護膜の除去とを同時に一括して行うことができる。
液浸リソグラフィー用レジスト保護膜に用いられる溶媒としては、レジスト膜を溶解させないこと、保護膜用ポリマーを溶解させスピンコートによる成膜性が良好であること、引火点が室温以上であり、毒性が低く、不快臭の無いこと、原料コストや製造コストが低いこと等が挙げられる。付随的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと混溶する特性があれば、初期段階ではレジストと同じコーターカップを使用できるメリットもある。
レジストを溶解させる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等に代表されるエステル系、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、γブチロラクトンなどのラクトン系の溶媒が挙げられる。
一方、レジストを溶解させない溶媒としては、特願2004−121506号に示されるように、炭素数4以上の高級アルコール、トルエン、キシレン、アニソール、ヘキサン、シクロヘキサンなどの非極性溶媒を挙げることができる。特に炭素数4以上の高級アルコールが好ましく用いられ、具体的には1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノールが挙げられる。
また、特願2004−121506号に示されるように、フッ素系の溶媒もレジスト層を溶解しないので保護膜用溶媒として好ましく用いることができることが示されている。
このようなフッ素置換された溶媒を例示すると、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、S−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トルフルオロブタノール1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサノン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール,2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等が挙げられる。
また、特願2004−229085号に記載のエーテル系溶媒も用いることができ、特にはジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジsecペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテルなどのエーテル化合物を用いることが出来る。
極性基であるアルカリ溶解性基を有する保護膜用ポリマーを溶解させるには、極性基を有する溶媒である必要がある。エステル基は溶解性に優れた極性基であるが、炭化水素だけのエステル化合物はレジストポリマーを溶解させてしまう。
そこで、本発明者らは、極性基を有してかつレジストポリマーを溶解させない溶媒としてフルオロアルキル基を有するエステル化合物を考案した。
フルオロアルキル基を有するエステル化合物として前述の2,2,2−トリフルオロエチルブチレートが挙げられるが、このものは沸点が116℃であり、蒸発しやすい性質を持つ。溶媒が蒸発しやすい場合、スピンコート後の膜厚均一性が低下したり、保存中に固形分濃度が変化することにより膜厚が変化する。より炭素数が多く、沸点が高い溶媒が望まれている。
本発明のレジスト保護膜材料は、特に好ましくは、ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、水中又は溶液中で露光を行った後、現像を行う液浸リソグラフィーによるパターン形成方法であって、上記レジスト上層膜材料として好適に用いられるもので、フルオロアルキル基のエステル化合物を添加してなる。
特に一般式(1)に示される化合物は、エステル化前の原料となるフルオロアルキル基を有するアルコールが安価で工業的に大量生産されている。フルオロアルキルの(メタ)アクリル酸エステルも工業的に大量生産されており、(メタ)アクリルのオレフィンを水素添加することによっても得ることも出来る。
フルオロアルキル基のエステル化合物としては、下記に例示することが出来る単独溶媒あるいは2種以上の混合溶媒が挙げられる。
Figure 2007241053
Figure 2007241053
Figure 2007241053
Figure 2007241053
一般式(1)において、R1とR2とR3とR4の炭素数の合計が6以上の化合物は、引火点が30度以上になるので、取り扱いにおける安全面が向上する。一般式(1)において、R1とR2とR3とR4の炭素数の合計が10以下の化合物は沸点が230℃以下であり、スピンコーティング可能な沸点を有しており好ましい。
本発明の液浸リソグラフィー用レジスト保護膜材料組成物は、一般式(1)に示されるフルオロアルキルエステル化合物を溶媒として含むことを特徴とするが、前述の炭素数4以上の高級アルコール類、トルエン、キシレン、アニソール、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、エーテル類およびフッ素系溶媒と混合することも出来る。
本発明で用いる保護膜用ベースポリマーとしては、アルカリ現像液に溶解するポリマーが好ましく用いられる。アルカリ現像液に溶解するには、αトリフルメチルヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
αトリフルメチルヒドロキシ基としては一般的には下記一般式(2)に示される。
Figure 2007241053
上式中、R5は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素原子を1個以上有するアルキル基である。
一般式(2)に示されるαトリフルオロメチルアルコールを有する繰り返し単位a(aはモル分率も表す。)を得るためのモノマーAとしては下記に例示することが出来る。
Figure 2007241053
Figure 2007241053
Figure 2007241053
ここでR6は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
レジスト保護膜用ポリマーのアルカリ溶解性の繰り返し単位としてのカルボキシル基を有する繰り返し単位b(bはモル分率も表す。)を得るためのモノマーBとしては、具体的には下記に例示することができる。
Figure 2007241053
Figure 2007241053
本発明のレジスト保護膜材料としては、一般式(1)に示されるフルオロアルキル基のエステル化合物を溶媒とし、ポリマーとして一般式(2)で示されるαトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基等のアルカリ溶解性基を有することが特に好ましいが、撥水性、滑水性を向上させるために疎水性基を有する繰り返し単位を共重合することが出来る。疎水性基としてはフルオロアルキル基とアルキル基があるが、これらの両方を組み合わせた方が滑水性が著しく向上する。
フルオロアルキル基を有する繰り返し単位c(cはモル分率も表す。)を得るためのモノマーCとしては、下記に例示することが出来る。
Figure 2007241053
Figure 2007241053
Figure 2007241053
アルキル基を有する繰り返し単位d(dはモル分率も表す。)を得るためのモノマーDとしては、下記に例示することが出来る
Figure 2007241053
Figure 2007241053
Figure 2007241053
アルキル基とフルオロアルキル基の両方を疎水性基として有する繰り返し単位eを共重合することも出来る。繰り返し単位e(eはモル分率も表す。)を得るためのモノマーEとしては、具体的には下記に例示することが出来る。
Figure 2007241053
Figure 2007241053
ここで、R6は前述の通りである。
この場合、繰り返し単位a、bによって水への溶解速度が0.1Å(オングストローム)/s以下であり、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液からなる現像液の溶解速度が300Å/s以上のレジスト保護膜を形成することができる。繰り返し単位c、d、eによって撥水性や滑水性を向上させることが出来る。
アルカリ可溶性ポリマーは、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解度が300Å/s以上のポリマーを意味する。
上記繰り返し単位a、b、c、d、eの比率は、好ましくは0≦a≦1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、0≦e≦0.9、より好ましくは0≦a≦0.9、0≦b≦0.9、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8の範囲であり、好ましくは0≦a+b≦1.0、さらに好ましくは0.1≦a+b≦0.9、a+b+c+d+e=1である。
なお、ここで、a+b+c+d+e=1とは、繰り返し単位a、b、c、d、eを含むポリマーにおいて、繰り返し単位a、b、c、d、eの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示す。
保護膜用のポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料とミキシングを起こしたり、水に溶解し易くなったりすることがある。大きすぎるとスピンコート後の成膜性に問題が生じたり、アルカリ溶解性が低下したりすることがある。
保護膜用ポリマーを合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a〜eを得るための不飽和結合を有するモノマーA〜Eを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え、加熱重合を行うことにより、ポリマーを得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50℃から80℃に加熱して重合できる。反応時間としては、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。
本発明のレジスト保護膜材料は、上記保護膜用のポリマーをフルオロアルキル基を有するエステル化合物の溶媒に溶解させて用いることが好ましい。また、この場合、スピンコーティング法による成膜性の点から、上記ポリマーの濃度が0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%となるように溶媒を使用することが好ましい。
本発明の非水溶性でかつアルカリ可溶性のレジスト保護膜(上層膜)材料を使ったパターン形成方法について説明する。
まず、フォトレジスト層の上に非水溶性でかつアルカリ可溶性のレジスト保護膜(上層膜)材料をスピンコート法等で成膜する。膜厚は10〜500nmの範囲が好ましい。露光方法はレジスト保護膜と投影レンズの間が空気あるいは窒素などの気体であるドライ露光でもよいが、レジスト保護膜と投影レンズ間が液体で満たされている液浸露光でもよい。液浸露光では、好ましくは、180〜250nmの範囲の露光波長を用い、投影レンズとウエハーの間に、水やアルカン等の露光波長に対して透明な液体を挿入させたものを用いることができるが、安全性の点から水が好ましく用いられる。また、液体として、シリカやアルミナ等のナノパーティクル、界面活性剤、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩等の溶液を用いてもよい。
液浸露光において、ウエハー裏面への水の回り込みや、基板からの溶出を防ぐために、ウエハーエッジや裏面のクリーニングの有無、及びそのクリーニング方法は重要である。例えばレジスト保護膜をスピンコート後に40〜130℃の範囲で10〜300秒ベークすることによって溶媒を揮発させる。レジストや、ドライ露光の場合はスピンコート時にエッジクリーニングを行うが、液浸露光の場合、親水性の高い基板面が水に接触すると、エッジ部分の基板面に水が残ることがあり、好ましいことではない。そのためレジスト保護膜のスピンコート時にはエッジクリーニングをしない方法が挙げられる。
レジスト保護膜を形成後、KrF又はArF液浸リソグラフィーによって好ましくは水中で露光する。露光後、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、好ましくはアルカリ現像液で10〜300秒現像を行う。アルカリ現像液は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられており、本発明のレジスト保護膜の剥離とレジスト膜の現像を同時に行うことがプロセス簡略化の点から好ましい。PEB前に、レジスト保護膜上に水が残っている場合がある。水が残っている状態でPEBを行うと、水が保護膜を通過しレジスト中の酸を吸い出してしまい、パターン形成ができなくなる。PEB前に保護膜上の水を完全に除去するため、PEB前のスピンドライ、保護膜表面の乾燥空気や窒素によるパージ、あるいは露光後のステージ上の水回収ノズル形状や水回収プロセスの最適化などによって保護膜上の水を乾燥あるいは回収する必要がある。更に、本発明に示される撥水性の高いレジスト保護膜は、水回収性に優れている特徴がある。
レジスト材料の種類は、特に限定されない。ポジ型でもネガ型でもよく、通常の炭化水素系の単層レジスト材料でもよく、珪素原子などを含んだバイレイヤーレジスト材料でもよい。KrF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂としてポリヒドロキシスチレン又はポリヒドロキシスチレン−(メタ)アクリレート共重合体の、ヒドロキシ基あるいはカルボキシル基の水素原子が酸不安定で置換された重合体が好ましく用いられる。
ArF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂として芳香族を含まない構造が必須であり、具体的にはポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、テトラシクロドデセン誘導体−無水マレイン酸交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、ノルボルネン誘導体−マレイミド交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、テトラシクロドデセン誘導体−マレイミド交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、及びこれらの2つ以上の、あるいはポリノルボルネン及びメタセシス開環重合体から選択される1種あるいは2種以上の高分子重合体が好ましく用いられる。
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、GPCはゲルパーミエーションクロマトグラフィーであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。
実施例1〜12と比較例1〜5
ラジカル重合によって下記レジスト保護膜用ポリマー1〜9を得た。
表1に示す組成で溶媒100重量部、保護膜用ポリマー1〜9が3.5重量部の割合で混合し、0.1ミクロン高密度ポリエチレンフィルターで濾過し、レジスト保護膜材料を作成した。
レジストは下記レジスト用ポリマー100重量部、酸発生剤(PAG)6重量部、クエンチャー0.8重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1300重量部に溶解させ、0.1ミクロン高密度ポリエチレンフィルターで濾過し、レジスト溶液を作成した。
Si基板上に作製した日産化学社製反射防止膜ARC−29Aの80nm膜厚上にレジスト溶液を塗布し、110℃で60秒ベークして膜厚200nmのレジスト膜を作製した。その上にレジスト保護膜を塗布し、110℃で60秒間ベークした。擬似的な液浸露光を再現するために、露光後の膜の純水リンスを5分間行った。ニコン製ArFスキャナーS307E(NA0.85、σ0.93、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、純水をかけながら5分間リンスを行い、110℃で60秒間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、2.38質量%TMAH現像液で60秒間現像を行った。
ウエハーを割断し、ピッチ240nm、直径120nmホールのパターン形状を比較した。結果を表1に示す。
比較例6〜15
保護膜なしで露光、純水リンス、PEB、現像を行った比較例6〜10の結果を表2に示す。露光後純水リンスを行わない通常のプロセスを行った比較例11〜15の結果を表3に示す。
Figure 2007241053
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本発明のフルオロアルキル基を有するエステル系溶媒を用いたレジスト保護膜を適用した場合、(メタ)アクリレート系ポリマーの場合だけでなく、ポリノルボルネンやROMPポリマーをベースとしたレジスト、シルセスキオキサンをベースとしたレジストにおいても膜の溶解やインターミキシングの発生が無く、保護膜を適用しない場合と同様、矩形なパターンを得ることが出来た。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2007241053
    (上式中、R1は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフッ素原子を1個以上有するアルキル基であり、R2とR3は同一又は異種で水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基でフッ素原子を1個以上有していても良く、R4は炭素数1〜9の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、R1+R2+R3+R4の炭素数の合計が6〜10の範囲である。)
    に示される化合物を溶媒として含有する、アルカリ現像液に可溶なレジスト保護膜材料。
  2. さらに、アルカリ可溶性ポリマーを含有する請求項1記載のレジスト保護膜材料
  3. ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成する工程と、該保護膜形成工程後の露光工程と、該露光工程後の現像工程と含んでなるリソグラフィーによるパターン形成方法であって、上記レジスト上層膜材料が、請求項1又は請求項2に記載のレジスト保護膜材料であることを特徴とするパターン形成方法。
  4. 上記露光工程が、液体中で露光を行うことを含む、液浸リソグラフィーによるパターン形成方法である請求項3に記載のパターン形成方法。
  5. 上記露光工程が、180〜250nmの範囲の露光波長を用い、投影レンズとウエハーの間に水又は該露光波長に対して透明な溶体を挿入させたものを用いる請求項4に記載のパターン形成方法。
  6. 上記現像工程が、アルカリ現像液により上記フォトレジスト層の現像と上記レジスト上層膜材料の保護膜の剥離とを同時に行うことを含む請求項3〜5のいずれかに記載のパターン形成方法。
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