JP2007240266A - コンクリート中の短繊維抽出方法及び短繊維抽出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート打ちを行う任意の工事現場において、コンクリートに混入されている短繊維の量を低コスト且つ、短時間で抽出・計量する。
【解決手段】サンプリングした定量のコンクリートから洗いかごを用いて粗骨材を分離した後の短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根6を所要深さ位置まで降下させるとともに短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網3を設置し、撹拌羽根6の回転で水の中に生じさせた渦巻流により短繊維を浮上させて採取網3に引っ掛け採取し、採取した短繊維を乾燥後に計量する。
【選択図】図1
【解決手段】サンプリングした定量のコンクリートから洗いかごを用いて粗骨材を分離した後の短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根6を所要深さ位置まで降下させるとともに短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網3を設置し、撹拌羽根6の回転で水の中に生じさせた渦巻流により短繊維を浮上させて採取網3に引っ掛け採取し、採取した短繊維を乾燥後に計量する。
【選択図】図1
Description
本発明は、コンクリート中の短繊維抽出方法及び短繊維抽出装置に関するものであり、特に、工事現場においてコンクリートを打つ際にコンクリート補強用の短繊維が適正量だけ混入されているか否かを検査するために行うコンクリート中の短繊維抽出方法及び短繊維抽出装置に関するものである。
従来、生コンクリートには砂、砂利及び砕石等の骨材が混入されている。また、国土交通省の規定では、これらの骨材と共に樹脂等の短繊維を含んだコンクリート補強材をコンクリートに混入することが義務付けられている。
前記短繊維は、例えば、ペットボトル等を再利用して繊維状に加工したものであって、直径が約1mmで長さが約30mm程度の細長い樹脂繊維であり、比重は1.32程度である。そして、コンクリートと強固に結合するように樹脂繊維の表面が凹凸状になっている。このような短繊維を、コンクリート1m3 当たりに約0.3%重量比で混入することが規定されている。
このコンクリートに短繊維が所定の割合で混入されているか否かの検査は、それぞれの工事現場ごとにコンクリート打ちの作業時において実施されているが、その際、コンクリート中の短繊維の抽出は、具体的には、任意のコンクリートミキサ車から定量7リットルのコンクリートをサンプリングして行われる。
このような、従来のコンクリート中の短繊維の抽出方法として、例えば循環水流式の洗い出し装置を用いた方法が知られている。洗い出し装置は、撹拌装置、循環装置及びろ過装置の組み合わせからなり、この洗い出し装置により、サンプリングしたコンクリートの入った水の撹拌→ろ過→循環→撹拌というサイクルを繰り返しながら、コンクリート中の短繊維を抽出し、計量している。
さらに、他の従来のコンクリート中の短繊維抽出方法として、例えば、網目のかごを用いてコンクリートから短繊維を抽出するようにした方法がある。この短繊維抽出方法は、サンプリングしたコンクリートの入った水を網目のかごを用いてふるいにかけ、砂利や砂等と共に短繊維を取り出し、最終的に短繊維のみを抽出している。そして、抽出された短繊維の数量を人手によって数えて計量している。
また、コンクリートへの短繊維の混入に関する従来技術として、コンクリートにガラス繊維、強化プラスチック、炭素繊維等の高強度繊維集合体を混入して、コンクリート構造物の劣化やひび割れを防止するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−146812号公報。
従来の循環水流式の洗い出し装置を用いた抽出方法においては、装置が複雑なためコスト高になり、さらには小さな工事現場には持ち出せないというおそれがある。
また、従来の網目のかごを用いてコンクリートから短繊維を抽出するようにした方法においては、コンクリートに混入されている砂利や砂等から短繊維を選別しなければならない。このため、短繊維の計量時間がかなり長くなってしまう。加えて、抽出された短繊維を人手によって数えているために、さらに長い計量時間を要してしまう。特に、コンクリート中の短繊維のサンプリング計量は、例えば、朝方の作業開始直後、昼前後、及び夕方の作業終了直前の、それぞれの時間帯に搬入されたコンクリートミキサ車から各2回ずつランダムにサンプリングして行われ、一日に合計6回のサンプリング計量が行われることになる。そのため、1回毎の短繊維の計量時間が長くなることは、結果的には、装置コストや人件費が増大してコンクリートの工事費用を高騰させる要因となるとともに、短時間においてコンクリートの品質性能管理を正確に把握できないという問題があった。
そこで、コンクリート打ちを行う任意の工事現場において、コンクリートに混入されている短繊維の量を低コスト且つ、短時間で抽出・計量するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、コンクリートに骨材と共に補強材として混入されている短繊維を当該コンクリートの中から抽出するコンクリート中の短繊維抽出方法であって、定量のコンクリートをサンプリングするサンプリング工程と、水を収容した容器の中に洗いかごを設置し、該洗いかごの中にサンプリングした前記コンクリートを投入後、前記洗いかごを揺動することにより粗骨材を前記洗いかごの中に残して前記短繊維及び細骨材を前記洗いかごの外にふるい出し、前記洗いかごを取り出すことにより前記コンクリートから前記粗骨材を分離する分離工程と、前記洗いかごを取り出した後の前記短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根を所要深さ位置まで降下させるとともに前記短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網を設置し、前記撹拌羽根の回転で前記水の中に生じさせた渦巻流により前記短繊維を浮上させて前記採取網に引っ掛け採取する短繊維採取工程とを有するコンクリート中の短繊維抽出方法を提供する。
この構成によれば、容器中の水の中に網目の比較的粗い洗いかごを設置し、該洗いかごにコンクリートを投入して揺動することにより、砂利、砕石等の粗骨材が洗いかごの中に残り、砂等の細骨材及び短繊維が洗いかご外の水中にふるい出される。容器から洗いかごを取り出して粗骨材を分離除去した後の短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根の回転で渦巻流を生じさせることで、細骨材よりも比重の小さい短繊維のみが浮き上がり採取網に引っ掛かって採取される。採取した短繊維を乾燥後に計量することでコンクリート中への短繊維の混入割合が求められ、コンクリート中に短繊維が適正量だけ混入されているか否かが検査される。
請求項2記載の発明は、上記短繊維採取工程の際に上記短繊維及び細骨材を含む水が入った容器を搭載する撹拌用台車が備えられ、該撹拌用台車における容器搭載部の側方には、上部に撹拌モータが装備された支持杆が上下調整自在に立設され、上記撹拌羽根は前記撹拌モータの回転軸に取り付けられて非稼働時には前記容器の上方位置に待機しているコンクリート中の短繊維抽出装置を提供する。
この構成によれば、短繊維採取工程の際、短繊維及び細骨材を含む水が入った容器は、上方に撹拌羽根が待機した状態で装備されている撹拌用台車に搭載される。そして、前記撹拌羽根が短繊維及び細骨材を含む水の中に所要深さ位置まで降下し、撹拌モータの駆動により前記撹拌羽根が回転されて前記水の中に渦巻流が生じる。
請求項3記載の発明は、上記撹拌羽根は、上記回転軸が上記容器中の水面に対し所要の角度となるように上記所要深さ位置まで降下させ、所定の回転数で回転させる請求項2記載のコンクリート中の短繊維抽出装置を提供する。
この構成によれば、短繊維及び細骨材を含む水の中に短繊維を浮き上がらせるのに好適な渦巻流が効率よく発生する。
請求項1記載の発明は、定量のコンクリートをサンプリングするサンプリング工程と、水を収容した容器の中に洗いかごを設置し、該洗いかごの中にサンプリングした前記コンクリートを投入後、前記洗いかごを揺動することにより粗骨材を前記洗いかごの中に残して前記短繊維及び細骨材を前記洗いかごの外にふるい出し、前記洗いかごを取り出すことにより前記コンクリートから前記粗骨材を分離する分離工程と、前記洗いかごを取り出した後の前記短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根を所要深さ位置まで降下させるとともに前記短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網を設置し、前記撹拌羽根の回転で前記水の中に生じさせた渦巻流により前記短繊維を浮上させて前記採取網に引っ掛け採取する短繊維採取工程とを具備させたので、粗骨材を分離除去した後の短繊維及び細骨材を含む水に撹拌羽根の回転で渦巻流を生じさせることにより短繊維のみを浮き上がらせて採取網で採取し、採取した該短繊維を乾燥後に計量することで、コンクリートに混入されている短繊維の量を短時間で計量でき、コンクリートの品質性能管理を正確に把握することができる。また、抽出装置は、水を収容する容器、洗いかご、撹拌羽根及び採取網という比較的簡素で且つ、少数の機具で構成されることで、低コスト化を図ることができるとともに大、小任意の工事現場に容易に持ち出すことができるという利点がある。
請求項2記載の発明は、上記短繊維採取工程の際に上記短繊維及び細骨材を含む水が入った容器を搭載する撹拌用台車が備えられ、該撹拌用台車における容器搭載部の側方には、上部に撹拌モータが装備された支持杆が上下調整自在に立設され、上記撹拌羽根は前記撹拌モータの回転軸に取り付けられて非稼働時には前記容器の上方位置に待機させたので、短繊維採取工程の際、短繊維及び細骨材を含む水が入った容器を、上方に撹拌羽根が待機した状態で装備されている撹拌用台車に搭載させるようにしたことで、前記水の中に短時間で効率よく所要の渦巻流を生じさせることができる。また、抽出装置における主要な機具である短繊維採取用の機具を任意の箇所に容易に移動させることができるという利点がある。
請求項3記載の発明は、上記撹拌羽根は、上記回転軸が上記容器中の水面に対し所要の角度となるように上記所要深さ位置まで降下させ、所定の回転数で回転させるようにしたので、短繊維を浮き上がらせるのに好適な渦巻流が効率よく発生して、コンクリートに混入されている短繊維を短時間で精度よく採取することができるという利点がある。
コンクリート打ちを行う任意の工事現場において、コンクリートに混入されている短繊維の量を低コスト且つ、短時間で抽出するという目的を、コンクリートに骨材と共に補強材として混入されている短繊維を当該コンクリートの中から抽出するコンクリート中の短繊維抽出方法であって、定量のコンクリートをサンプリングするサンプリング工程と、水を収容した容器の中に洗いかごを設置し、該洗いかごの中にサンプリングした前記コンクリートを投入後、前記洗いかごを揺動することにより粗骨材を前記洗いかごの中に残して前記短繊維及び細骨材を前記洗いかごの外にふるい出し、前記洗いかごを取り出すことにより前記コンクリートから前記粗骨材を分離する分離工程と、前記洗いかごを取り出した後の前記短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根を所要深さ位置まで降下させるとともに前記短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網を設置し、前記撹拌羽根の回転で前記水の中に生じさせた渦巻流により前記短繊維を浮上させて前記採取網に引っ掛け採取する短繊維採取工程とを有することにより実現した。
以下、本発明の実施例を図面に従って詳述する。図1は短繊維採取工程の際における抽出装置の組立て状態を示す構成図、図2の(a)〜(e)は抽出装置を構成する各機具を分解して示す図、図3の(a)〜(c)は分離工程を説明するための図、図4の(a)、(b)は短繊維採取工程を説明するための図である。
まず、図1及び図2の(a)〜(e)を用いて、本実施例に係るコンクリート(生コンクリート)中の短繊維抽出方法に適用される抽出装置の構成を説明する。抽出装置を構成する器具としては、容積が20リットル程度でステンレス又は樹脂で作製された水を収容するための容器1、水を収容した該容器1の中に設置して粗骨材を分離するための網目の粗い洗いかご2、短繊維採取用の採取網としての掛け止め具3aが付設された網目の細かい金網3、短繊維採取工程の際に短繊維及び細骨材を含む水が入った前記容器1を撹拌用台車に搭載するときに使用される移動台車4、及び撹拌羽根6が予め上方に待機した状態で装備された前記撹拌用台車5が備えられている。
該撹拌用台車5における容器搭載部の側方には、支持筒7が立設され、該支持筒7に支持杆8が上下調整自在に嵌挿されている。該支持杆8の上部に撹拌モータ9が装備され、該撹拌モータ9の回転軸10に前記撹拌羽根6が取り付けられている。該回転軸10には、撹拌羽根6の深さ位置を決める際の目安となるゲージローラ11が取り付けられている。
前記支持筒7の下方部には、前記支持杆8を上下方向に駆動する油圧を制御するためのハンドル12が設けられている。非稼働時には、該ハンドル12の操作により、前記支持杆8が上方に上げられ、前記撹拌羽根6は容器1の上方位置に待機している(図1の仮想線位置)。前記支持筒7の側部には、前記支持杆8を所定の高さ位置に固定するためのロックねじ13が設けられている。該ロックねじ13の上方における支持筒7の側部には、前記撹拌モータ9の運転・停止操作を行うための運転ボタン14を有する制御ボックス15が配設されている。該制御ボックス15には漏電ブレーカが備えられている。
撹拌用台車5には、搭載される容器1を所定の位置で固定するためのロックレバー16が設けられ、搭載された該容器1に水が収容されていないときには、撹拌羽根6が空回りしないように図示しない安全機構が備えられている。また、撹拌用台車5には、該撹拌用台車5が移動しないように固定するための図示しない台車ストップ用アジャスタが装備されている。
次に、上述のように構成された抽出装置による各工程を順に説明する。
サンプリング工程から説明する。サンプリング工程では、任意のコンクリートミキサ車から定量の例えば7リットルのコンクリートをサンプリングする。サンプリング回数は、1日に数回、例えば、連続した2回ずつのサンプリングで1日に3回行い、合計で6回のサンプリングを行い、以下の各工程を実行する。
分離工程を、図3の(a)〜(c)を用いて説明する。分離工程では、上から15cm程度のところまで水17を収容した容器1の中に洗いかご2を設置し、該洗いかご2の中にサンプリングした前記コンクリートを、空気量を測定した後、投入する。
前記洗いかご2を、左右の回転方向に交互に回すように揺動する。これにより、砂利、砕石等の粗骨材18が洗いかご2の中に残り、砂等の細骨材19及び短繊維20が洗いかご2外の水中にふるい出される(図3の(a))。
容器1から洗いかご2を取り出すと、砂利、砕石等の粗骨材18は洗いかご2と共に容器1外に取り出され(図3の(c))、容器1内の水17の中には砂等の細骨材19と短繊維20が沈殿した状態で残る(図3の(b))。このとき、洗いかご2の中や砂利、砕石等の粗骨材18に短繊維20が付着していないか否かをチェックし、もし短繊維20が付着していれば取り出して、容器1内の水17の中に戻す。
このようにして、砂利、砕石等の粗骨材18が分離、除去され、砂等の細骨材19及び短繊維20が水17の中に沈殿した容器1が準備される。
短繊維採取工程を、図4の(a)、(b)を用いて説明する。短繊維採取工程は、砂等の細骨材及び短繊維が水17の中に沈殿した容器1を、撹拌羽根6が予め上方に待機した状態で装備されるとともに台車ストップ用アジャスタにより移動が規制された撹拌用台車5に搭載して実行する。
このとき、まず容器1を前記移動台車(図2の(d)参照)上にセットし、この移動台車を撹拌用台車5に突き合わせる。この移動台車と撹拌用台車5とを突き合わせた状態で、容器1を撹拌用台車5の方向へ移動させてロックレバー16の位置に押し当てる。そして、該ロックレバー16を倒すことにより、容器1は撹拌用台車5の所定の位置に固定される。これにより、容器1は撹拌用台車5上に強固に固定され、撹拌作業を安定して行うことが可能となる。
容器1が撹拌用台車5上に搭載、固定された後、前記短繊維及び細骨材を含む水17の中に撹拌羽根6を所要深さ位置まで降下させる。このとき、ゲージ板21を容器1の上縁部に置き、ハンドル12を操作して油圧駆動により撹拌羽根6を容器1内に降ろす。ゲージローラ11がゲージ板21に当たる位置まで撹拌羽根6が降りると、撹拌羽根6は、容器1の底部よりやや上部位置の水17を撹拌する状態となる(図4の(a))。
この状態で、ゲージ板21を容器1から取り除きロックねじ13を軽く締め付けて撹拌羽根6の深さ位置及び容器1中の水面に対する回転軸10の角度、即ち撹拌角度を仮決定する。仮決定後、運転ボタン14をオン操作して撹拌モータ9の駆動により撹拌羽根6を回転させたとき、水17の中に渦巻流が生じるか否かを確認し、正常に渦巻流が生じていればロックねじ13を固く締め付けて、撹拌羽根6の深さ位置及び撹拌角度を決定して固定する。
容器1の容積が20リットルの場合は、撹拌羽根6の深さ位置は容器1の底部より3〜4cm上部であって、撹拌角度は30±5゜程度である。しかし、容器1の容積や撹拌羽根6の大きさによって、短繊維20の採取に最適な渦巻流の生じる状態は異なる。このため、撹拌羽根6の深さ位置や撹拌角度は適宜に変える必要があり、上記の各数値に限定されるものではない。
上記のように撹拌羽根6を所要の深さ位置及び撹拌角度に固定した状態で、短繊維20及び細骨材19を含む水17の上部位置に短繊維採取用の金網3を設置する。金網3は、その縦方向長さの半分程度以上が水17の中に沈められるように設置する。
上記のような各準備の後、運転ボタン14をオン操作して撹拌モータ9を所要の回転数及び所要の撹拌角度で回転させると、容器1内の水17が撹拌羽根6で撹拌されて水17の中に渦巻流が発生する。回転数については、例えば、電源系統が50Hzの場合は300rpm、60Hzの場合は360rpmで回転させ、撹拌角度については、前記30±5゜程度で回転させる。この回転数及び撹拌角度により、短繊維20及び砂等の細骨材19を含む水17の中に短繊維20のみを浮き上がらせるのに好適な渦巻流が効率よく発生する。
これにより、細骨材19である砂の比重は2〜3であるのに対し、比重が1.32程度で軽い短繊維20が渦巻流に乗って旋回しながら上昇し、その旋回過程において大半の短繊維20は網目の細かい金網3に引っ掛かり、他の短繊維20は水面より跳ね上がって金網3に引っ掛かる。
このようにして、撹拌羽根6を例えば、3〜4分の所定時間回転させた後、運転ボタン14によって撹拌モータ9を停止させると、容器1の底部には比重の大きい砂等の細骨材19のみが沈殿し、比較的比重の小さい短繊維20の全てが金網3に引っ掛かって効率よく採取される(図4の(b))。
次いで、計量工程を説明する。計量工程では、採取した前記短繊維20を乾燥した後、例えば1/100グラム単位まで計量できる高精度の秤を用いて計量する。採取した短繊維20を乾燥後に計量することで前記サンプリングしたコンクリート中の短繊維20の混入割合が求められ、コンクリート中に短繊維20が重量比で0.3%程度の適正量だけ混入されているか否かが検査される。
また、次のような他の計量方法としてもよい。即ち、金網3に採取された短繊維20を該金網3と共に取り出して乾燥させた後、前記と同様の秤によって、取り出した金網3及び短繊維20を含む全重量を計量する。金網3自身の重量は予め分かっているため、短繊維20を採取して取り出した金網3から風袋を相殺すれば短繊維20の正味の重量が分かる。斯くして、サンプリングしたコンクリートの重量から短繊維20の重量比が適正比であるか否かが判定される。
上述したように、本実施例に係るコンクリート中の短繊維抽出方法においては、抽出装置は、水17を収容する容器1、洗いかご2、撹拌羽根6を備えた撹拌用台車5及び採取用の金網3という比較的簡素で且つ、少数の機具で構成されることで、低コスト化を図ることができるとともに大、小任意の工事現場に容易に持ち出すことができる。
短繊維採取工程の際、短繊維20及び細骨材19を含む水17が入った容器1を、上方に撹拌羽根6が待機した状態で装備されている撹拌用台車5に搭載し、その撹拌羽根6を所要深さ位置まで降下させるとともに所定の撹拌角度及び所定の回転数で回転させるようにしたことで、短繊維20を浮き上がらせるのに好適な渦巻流を効率よく発生させることができて、コンクリートに混入されている短繊維20を短時間で精度よく採取することができる。そして、コンクリートに混入されている短繊維20の量を計量し判定する前記サンプリング工程から計量工程までの全工程を20分〜30分程度の短時間で実行することができる。
最後に、従来の循環式洗い出し装置による抽出方法及び人手作業による水洗い抽出方法と、本発明による抽出方法とを比較した結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明は従来方法に比べて、骨材洗い出し時間、短繊維採取時間及び計量所要時間が1/10〜1/30以下に短縮し、且つ、短繊維採取率が高くなった。更に、作業人数は従来方法では2人又は3人必要であったが、本発明では1人で済んだ。要するに、本発明は従来と比較して、短繊維混入量の抽出・計測を短時間で行うことができ、作業効率を低下させずにコンクリートの品質性能管理を正確に把握できることが判明した。
本発明の実施例に係るコンクリート中の短繊維抽出方法を示すものである。
短繊維採取工程の際における抽出装置の組立て状態を示す構成図。
抽出装置を構成する各機具を分解して示す図であり、(a)は短繊維採取用の金網を示す図、(b)は洗いかごを示す図、(c)は容器を示す図、(d)は移動台車を示す図、(e)は撹拌用台車を示す図。
粗骨材を分離する分離工程を説明するための図であり、(a)は容器の中に洗いかごを設置した状態を示す図、(b)は短繊維及び細骨材を含む水が入った容器を示す図、(c)は粗骨材を分離した洗いかごを示す図。
短繊維採取工程を説明するための図であり、(a)は容器を撹拌用台車に搭載した状態を示す図、(b)は短繊維を金網に採取した状態を示す図。
1 容器
2 洗いかご
3 金網(採取網)
5 撹拌用台車
6 撹拌羽根
8 支持杆
9 撹拌モータ
10 回転軸
17 水
18 粗骨材
19 細骨材
20 短繊維
2 洗いかご
3 金網(採取網)
5 撹拌用台車
6 撹拌羽根
8 支持杆
9 撹拌モータ
10 回転軸
17 水
18 粗骨材
19 細骨材
20 短繊維
Claims (3)
- コンクリートに骨材と共に補強材として混入されている短繊維を当該コンクリートの中から抽出するコンクリート中の短繊維抽出方法であって、
定量のコンクリートをサンプリングするサンプリング工程と、水を収容した容器の中に洗いかごを設置し、該洗いかごの中にサンプリングした前記コンクリートを投入後、前記洗いかごを揺動することにより粗骨材を前記洗いかごの中に残して前記短繊維及び細骨材を前記洗いかごの外にふるい出し、前記洗いかごを取り出すことにより前記コンクリートから前記粗骨材を分離する分離工程と、前記洗いかごを取り出した後の前記短繊維及び細骨材を含む水の中に撹拌羽根を所要深さ位置まで降下させるとともに前記短繊維及び細骨材を含む水の上部位置には短繊維採取用の採取網を設置し、前記撹拌羽根の回転で前記水の中に生じさせた渦巻流により前記短繊維を浮上させて前記採取網に引っ掛け採取する短繊維採取工程とを有することを特徴とするコンクリート中の短繊維抽出方法。 - 上記短繊維採取工程の際に上記短繊維及び細骨材を含む水が入った容器を搭載する撹拌用台車が備えられ、該撹拌用台車における容器搭載部の側方には、上部に撹拌モータが装備された支持杆が上下調整自在に立設され、上記撹拌羽根は前記撹拌モータの回転軸に取り付けられて非稼働時には前記容器の上方位置に待機していることを特徴とするコンクリート中の短繊維抽出装置。
- 上記撹拌羽根は、上記回転軸が上記容器中の水面に対し所要の角度となるように上記所要深さ位置まで降下させ、所定の回転数で回転させることを特徴とする請求項2記載のコンクリート中の短繊維抽出装置。
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