JP2007239764A - 真空断熱材の使用方法および真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも芯材と該芯材を収納し内部を減圧状態に維持する外包材とを備え、前記芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、前記芯材の真空引き後の厚みが0.1〜6mmである真空断熱材を、対象物に対し軟質層を介して適用することを特徴とする真空断熱材の使用方法。少なくとも芯材と該芯材を収納し内部を減圧状態に維持する外包材とを備え、前記芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、前記芯材の真空引き後の厚みが0.1〜6mmである真空断熱材であり、該真空断熱材外表面の少なくとも一部に軟質層を有することを特徴とする真空断熱材。
【選択図】図1
Description
また本発明において真空断熱材は軟質層を介して適用され、しかも芯材として真空引き後の厚みを比較的小さく設定した有機繊維からなるシート状繊維集合体を用いるので、当該軟質層が折れシワを有効に吸収し、真空断熱材と対象物との間の隙間発生を防止する。そのため、対象物に対する曲面加工性・密着性が向上し、隙間からの熱移動が抑制されるので、断熱性も向上する。さらには軟質層の介在によって折れシワのキズに由来する破損を有効に防止できるので、施工性が向上する。有機繊維として特にポリエチレンテレフタレート繊維を用いた場合には、曲面加工性が顕著に向上する。すなわち、芯材を構成する有機繊維、特にポリエチレンテレフタレート繊維は柔軟性があるため、当該繊維は真空引き後であっても真空断熱材内部において変形に合わせて円滑に挙動する。そのため真空断熱材は変形時において復元力が比較的弱く、しかも折れシワが比較的小さく、かつ少ないので、当該真空断熱材は給水機器における円筒状タンクや配管設備における円筒状配管等の対象物(適用部材)への適用が容易で、しかもそれらへの十分な密着をより有効に達成できる。
また本発明において真空断熱材は外包材の外表面に軟質層を有するため、外包材、特に折れシワ部分にキズが付き難い。
また本発明において真空断熱材は、製造過程における曲面加工等の予備加工を要さず、その場で対象物の形状に合わせて変形させつつ適用できるので、使用が簡便である。
さらに芯材がシート状ポリエステル繊維集合体とされると、連続気泡発泡体を用いた真空断熱材を上回る断熱性を発揮し、またガラス繊維と比較して取扱い性に極めて優れる。
有機繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジック繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等が挙げられる。これらの繊維は1種からなる単独繊維または複数種の混合繊維として用いられる。吸湿性が少なく断熱性に優れ、しかも量産性、コスト性に優れる観点から、好ましくはポリエステル繊維であり、特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維である。
有機繊維の好ましい繊維長(平均繊維長)は、10〜150mmである。10mm未満ではシート状に加工することが難しくなる。150mmを越えると断熱性が低下する傾向にある。好ましくは、20〜80mmである。
芯材厚み(真空引き後)の測定において、外包材の厚みは非常に小さいので考慮しないものとする。
真空断熱材が後述するように外表面に軟質層が積層されたり、軟質層からなる袋に挿入されたり、または軟質層からなるラッパーで包まれたりして、使用される場合における芯材の厚みおよび密度は、軟質層が積層される前、袋に挿入される前、あるいはラッパーで包まれる前の真空断熱材における芯材のものである。
繊維集合体をニードルパンチ法等によりシート状に成形し、芯材を得る。得られた芯材を、適当な大きさ及び形(例えば、四角形)にカットし、内部に含まれる水分等を除去するために乾燥を行う。当該乾燥は、120℃で1時間程度の条件にて行われるが、より芯材、特にポリエステル繊維の水分等を除去するために、120℃において真空乾燥するのが好ましい。さらに、遠赤外線による乾燥を併用してもよい。真空度については、0.5〜0.01Torr程度で乾燥を行うのが好ましい。
例えば、発泡ポリエチレンシートはソフトロン(積水化学工業社製)、スリムエース(古河電気工業社製)、フォームエース(古河電気工業社製)、ミラマット(JSP社製)等として入手可能である。
また例えば、発泡ポリプロピレンシートはPボード(JSP社製)等として入手可能である。
また例えば、発泡ポリウレタンシートはクララフォーム(倉敷紡績社製)等として入手可能である、
また例えば、発泡ポリスチレンシートはエスレンシート(積水化成品社製)等として入手可能である。
例えば、真空断熱材が水に濡れる可能性のあるような用途、特に保冷容器、浴槽、貯湯タンクの断熱材として使用される場合、防水性の観点から、軟質層はポリエチレン、ポリプロピレンからなっていることが好ましく、すなわち発泡ポリエチレンシートまたは発泡ポリプロピレンシートであることが好ましい。
(A)軟質層を予め真空断熱材の外表面に存在させる方法;
(B)軟質層を予め対象物の真空断熱材適用面に適用する方法;および
(C)真空断熱材を対象物に適用する時に、軟質層を真空断熱材と対象物との間に挿入する方法;
等が挙げられる。
本明細書中、「適用」は、適用されるべき表面に保持・固定させ得るいかなる実施形態も包含する概念で使用するものとし、例えば、接着剤、接着シートまたは両面テープ等による接着、片面テープによる貼着、ホットメルトフィルムによる熱圧着等が挙げられる。特に好ましい「適用」としては、接着シートまたは両面テープによる接着である。
真空断熱材の軟質層への適用手段として接着剤または両面テープを用いる場合、軟質層における真空断熱材との接触面の少なくとも一部において接合が達成されればよい。
また例えば、真空断熱材1の対象物への適用手段として、片面テープを用いる場合、軟質層はそのまま単に挿入され、挟み込まれればよい。すなわち真空断熱材1を片面テープで対象物に貼着しながら、それらの間に軟質層を単に挟み込めばよい。
軟質層シートA;
発泡ポリエチレンシート(「スリムエース」Rグレード;古河電気工業社製、発泡倍率15倍、厚み3mm)を用いた。なお、軟質層シートの両面にはアクリル系接着剤からなる接着層が設けられている。
軟質層シートB;
平均繊維太さ1.5デニールおよび平均繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付220g/m2および厚み7mmのPET不織布を用いた。なお、軟質層シートの両面にはアクリル系接着剤からなる接着層が設けられている。
ガス吸着材A;
平均繊維太さ1.5デニールおよび平均繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付50g/m2のPET不織布(寸法50mm×100mm)を2枚重ね合わせて三方をシールした。その中へガス吸着物質10gを入れて開口部をシールし、ガス吸着材Aを得た。
(実施例1)
表に記載の繊維をニードルパンチ法によりシート状に加工した。なお、PET繊維の繊維太さは、1.5デニールである。当該シートを350mm×500mmの大きさに裁断し、温度120℃にて1時間乾燥を行った。乾燥後のシートを芯材としてナイロン、アルミ蒸着PET、アルミ箔、高密度ポリエチレンの4層構造からなるガスバリアフィルム製外包材に挿入し、同時にガス吸着材Aを1個外包材の中に挿入した。その後、真空引き装置にて、内圧が0.01Torrとなるよう真空引きを行い、熱融着により密封し、真空断熱材を得た。その上に軟質層シートA(350mm×500mm)の接着層面を積層・貼着し、軟質層を形成した。得られた真空断熱材は、350mm×500mmの大きさで芯材厚み1mmであった。得られた真空断熱材の芯材の密度は220kg/m3であった。
軟質層を形成しなかったこと以外、実施例1と同様の方法により、真空断熱材を得た。真空断熱材の大きさ、芯材厚みおよび芯材密度は実施例1と同様であった。
真空断熱材を、500mm辺が高さに対応するように直径100mm、高さ500mmの円筒状プラスチック製容器の側面に巻き付けた。詳しくは、真空断熱材を容器の形状に合わせて変形させながら巻き付けた。そのときの曲面加工性及び施工性を、以下の基準に沿って評価した。
◎;多少の折りシワを吸収し、容器側面と真空断熱材との密着性に優れる;
○;若干の隙間は残るが、容器側面と真空断熱材との密着性は良い;
×;隙間が残り、容器側面と真空断熱材との密着性が低い;
××;芯材の折れ部分で、容器側面と真空断熱材との隙間が大きく発生する。
◎;多少の折りシワは発生するが、曲面状の巻き付けは極めて容易である;
○;多少の折りシワは発生するが、曲面状の巻き付けは容易である;
×;真空断熱材が硬いが、曲面状の巻き付けは可能である;
××;真空断熱材が硬く、曲面状に巻き付けが困難である。
(実施例2)
芯材に使用する繊維の種類、平均繊維径および軟質層シートの種類等を表に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法により、真空断熱材を得た。
軟質層を形成しなかったこと以外、実施例2と同様の方法により、真空断熱材を得た。
曲面加工性および施工性について、実験例1と同様の方法により評価した。
(実施例3)
芯材に使用するシートを3枚重ねて用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、真空断熱材を得た。
軟質層を形成しなかったこと以外、実施例3と同様の方法により、真空断熱材を得た。
曲面加工性および施工性について、実験例1と同様の方法により評価した。
(実施例4および比較例4〜6)
芯材に使用する繊維の種類、平均繊維径、真空引き後の芯材厚みおよび軟質層シートの種類等を表に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法により、真空断熱材を得た。曲面加工性および施工性について、実験例1と同様の方法により評価した。
実施例3で使用した真空断熱材、軟質層シートを用い、あらかじめ軟質層シートを実験例1の評価で用いた円筒状プラスチック製容器の側面に貼り付けた。その後、真空断熱材を軟質層付き容器の側面に巻き付け。そのときの曲面加工性及び施工性を、実験例1と同様の基準にて評価した。
本発明において真空断熱材は、曲面状の対象物に対してより有効に適用可能であり、さらに表面に突起等の凹凸を有する対象物に対してより有効に適用可能である。また、建物の入隅部、出隅部のような角部分を有する対象物に対する断熱においても有効に適用可能である。
Claims (9)
- 少なくとも芯材と該芯材を収納し内部を減圧状態に維持する外包材とを備え、前記芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、前記芯材の真空引き後の厚みが0.1〜6mmである真空断熱材を、対象物に対し軟質層を介して適用することを特徴とする真空断熱材の使用方法。
- 真空断熱材が外表面に軟質層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材の使用方法。
- 軟質層を対象物に適用した後で、該軟質層の上に真空断熱材を適用することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材の使用方法。
- 対象物が、平面形状、曲面形状、角部形状、凹凸形状またはそれらの複合形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空断熱材の使用方法。
- 少なくとも芯材と該芯材を収納し内部を減圧状態に維持する外包材とを備え、前記芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、前記芯材の真空引き後の厚みが0.1〜6mmである真空断熱材であり、該真空断熱材外表面の少なくとも一部に軟質層を有することを特徴とする真空断熱材。
- 真空断熱材外表面の少なくとも一部に軟質層が積層されたことを特徴とする請求項5に記載の真空断熱材。
- 軟質層が発泡プラスチック製シートからなることを特徴とする請求項5または6に記載の真空断熱材。
- 芯材がポリエステル繊維からなるシート状繊維集合体であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の真空断熱材。
- 芯材がポリエチレンテレフタレート繊維からなるシート状繊維集合体であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の真空断熱材。
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