JP2007239229A - 開口枠の躯体への取付構造 - Google Patents

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Abstract

【目的】 躯体の開口部に開口枠を取り付ける作業時間を短縮し、且つ、容易とする。
【構成】 開口部1aの内周1bに固定した躯体固定具に開口枠2に向かう突出部5cと突出部5cの先端に見込方向に向かう先端部材5aを設ける。サッシアンカー3は先端部材5aを越えて内周1bに向かう突出部3cを設け、突出部3c先端から見込方向で且つ突出部5cに向かう先端部材3aを設ける。先端部材3a,5a間にくさび6を挿入する。開口枠2にサッシアンカー3を取り付けて、くさび6を挿入するだけで開口枠は固定できる。
【選択図】 図1

Description


本発明はコンクリートの躯体の開口部にアルミサッシ又はスチールサッシの開口枠を取り付ける開口枠の躯体への取付構造に関する。

コンクリートの躯体(以下、単に躯体という)に窓を構成する場合に躯体には予め窓とする位置に開口部を設ける。この開口部はアルミサッシ又はスチールサッシの窓の開口枠が挿入されると開口枠の外周と開口部の間が数センチメートル離れる大きさとなっている。
躯体の開口部への開口枠の取り付けは開口部内へ人力又は簡単な荷役機械で開口枠を持ち上げる又は吊り下げる等して開口部に合せ、見込方向へ移動して開口枠を開口部内へ入れ、下枠と開口部内周の下部間にくさびアセンブリを挿入してこのくさびで開口部における開口枠の所定位置を調整して開口枠の上下位置を調整する。開口枠の左右位置は開口枠をくさびアセンブリ上で移動して定めてある。同時に開口枠のたわみも修正する。次に開口枠の上枠の外周とこの外周と対向する開口部の内周との間にくさびアセンブリを挿入する。これによって開口枠の壁面に沿う方向及び見込方向の納まりを定める。そして開口枠の下枠、上枠と開口部内周のとの間に挿入したくさびアセンブリで開口枠を開口部に位置決めして仮の固定とする。
次に開口枠の躯体への固定を行う。この固定には溶接によるもの、溶接によらないもの等種々の提案がなされている。
溶接による固定方法は躯体のコンクリート打設時又は打設後型枠を外した後に開口部内周に凹部又は穴を設け、開口部内に向って突出する躯体固定具を該凹部又は穴に挿通しモルタルで埋め込み固定する。一方開口枠の外周にはサッシアンカーを取り付ける。そして躯体固定具に対してサッシアンカーを合せて躯体固定具とサッシアンカーを溶接する。
開口枠を溶接によらないで機械的に開口部に固定するものとしては上記において躯体固定具とサッシアンカーをボルト結合する提案がある。
溶接によらないで開口部内周に凹部を設け、この凹部に躯体固定具の一端を挿入すると共にその他端をサッシアンカーに設けた凹穴に挿入して、該凹部、凹穴に合成樹脂接着剤を充填する提案がある。
上述のようにして、開口部内において開口枠が躯体に固定された後は、最初の工程で開口枠を位置決めしていたくさびを取り除く。すると開口枠はサッシアンカー、躯体固定具を介して躯体に固定される。その後、開口枠と開口部間の隙間をモルタルで埋める。
特公昭48−34951号公報 実開昭56−74176号公報 実開昭63−12584号公報 特公平4−26392号公報
開口部に開口枠を挿入して開口枠と開口部間にくさびアセンブリを入れて開口枠の位置決めを行う方法は多く使われている方法であり、くさびアセンブリによらないで位置決めを行うと共に固定もできる提案もされている。
開口枠の躯体への固定に上述したように開口枠に固定した躯体固体具とサッシアンカーを溶接により結合する方法として種々の提案があるが、溶接によるときは開口枠を開口部に取り付ける作業の大部分の時間が溶接している時間ということになってしまう。そこで溶接時間を如何にして短縮するか、溶接以外の固定方法はないのかどうかが課題となる。
そこで、合成樹脂接着剤で躯体固定具を躯体に固定すると共に躯体固定具とサッシアンカーを同接着剤で固定すると、作業時間は短いものの接着剤を充填する時間が必要である。そして、接着剤が固化するまでの養生期間は開口枠についての次の作業に進めないということになる。
開口部内周に設けた躯体固定具とサッシアンカーを機械的に連結する場合、従来は躯体固定具を躯体に埋め込んでいる。この場合躯体固定具とサッシアンカーはボルト結合している。躯体固定具を躯体に予め埋め込む工程として上述と同様に工数が長くなる。また躯体固定具とサッシアンカーとを固定する固定位置は開口枠外周と開口部内周との間の狭い空間であり作業性がよくない。
本発明はコンクリートの躯体の開口部にアルミサッシの開口枠を取り付けるに当って開口枠が位置決めされた後に開口枠外周と開口部内周間の距離の不同にかかわらず躯体固定具とサッシアンカーを簡単確実に固定できる開口枠の躯体への取付け構造を提供することを目的とする。
本発明は躯体固定具を速やかに開口部内周に固定できるアルミサッシの躯体への取付構造を提供することを目的とする。
本発明は躯体固定具とサッシアンカーの相対位置の変動にかかわらずサッシアンカーと躯体固定具を速やかに固定できる固定手段を有するアルミサッシの躯体への取付構造を提供することを目的とする。
本発明は躯体固定具とサッシアンカーにより開口枠を開口部内に固定した後においても開口枠の位置を調整可能な開口枠の躯体への取付構造を提供することを目的とする。
本出願に係る第1の発明はコンクリートの躯体1の開口部1aに開口枠2を取り付ける構造であって、
a.開口部1aを有するコンクリートの躯体1と、
b.躯体1の開口部1aに外周2aが間をおいて挿入される開口枠2と、
c.躯体1の開口部1aの内周1bに固定される固定具取付部5bと、固定具取付部5bから開口枠2の外周に向うように固定部取付部5bから離れた位置において開口枠1aの内周1bにほぼ平行な方向に延びる固定具先端部材5aを有する躯体固定具5と、
d.開口枠2の外周2aに取り付けられるアンカー取付部3bと、アンカー取付部3bから躯体1の開口部1aの内周1bに向って固定具先端部材5aの先端側を越えた位置において固定具先端部材5aとほぼ平行な方向に延び固定具先端部材5aと隙間4をおいて重なりを持つアンカー先端部材3aと、を有するサッシアンカー3と、
e.アンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間の隙間4に挿入されるくさび6と、
を有し、開口枠を見込方向及び壁面に沿う方向に位置を調整可能にくさびで固定することを特徴とする開口枠の躯体への取付構造である。
本出願に係る第2の発明は固定具取付部5bから開口枠2に向かって突出する固定具突出部5cの先端に固定具先端部材5aを有し、アンカー取付部3bから開口部1aの内周1bに向ってのびるアンカー突出部3cの先端にアンカー先端部材3aを有することを特徴とする第1の発明に記載の開口枠の躯体への取付構造である。
本出願に係る第3の発明は躯体固定具5はほぼ並列する一対の固定具突出部5cの各々に先端が間をおいて対向する固定具先端部材5aを有し、サッシアンカーはアンカー突出部が固定具先端部材の先端間を挿通しており、アンカー突出部の先端から両側に向って延びるアンカー先端部材を有することを特徴とする第2の発明に記載の開口枠の躯体への取付構造。
本出願に係る第4の発明は開口枠2の外周2aにはサッシ枠材の長手方向に条溝2bが設けられ、アンカー取付部3bは該条溝2bに移動可能に嵌合していることを特徴とする第1から第3の何れか1つの発明に記載のアルミサッシの躯体への取付構造。
本出願に係る第5の発明は開口枠2の条溝2bは広幅のT溝であって、サッシアンカー3はアンカー先端部材3aを開口枠2のサッシ枠材の長手方向に平行にしてアンカー取付部3bを開口枠2の条溝2b内に入れ、開口枠2の外周2aに直交する中心線を回動の中心として直角だけ回動することによりアンカー取付部3bが開口枠2の条溝2bに嵌合して開口枠2に取り付けられることを特徴とする第1から第3の何れか1つの発明に記載の開口枠の躯体への取付構造。
本出願に係る第6の発明はくさび6はアンカー先端部材3aとアンカー取付部3bに嵌合するための隔片部を有し、サッシアンカー3に保持されることを特徴とする第3から第5の発明の何れか1つに記載の開口枠の躯体への取付構造。
本出願に係る第7の発明はアンカー突出部3cの1側に請求項6に記載のくさび6と、アンカー突出部3cの他の1側において、アンカー突出部3cとアンカー先端部材3aとアンカー取付部3bと固定部先端部材5aの先端とで囲まれた中に嵌入し、アンカー先端部材3aとアンカー取付部3bに保持される隔片12と、を有することを特徴とする第3から第6の発明の何れか1つに記載の開口枠の躯体への取付構造である。
本発明によれば、躯体固定具とサッシアンカーの相対位置にかかわらず両者を拘束できる。従ってアルミサッシの開口枠の外周と躯体の開口枠の内周の距離が不等であってもくさびで固定するので直ちに開口枠を拘束できるので作業時間がきわめて短い。また、一旦開口枠を開口部に固定した後でも、くさびを外すだけで開口枠の位置を調節できる。
本出願に係る第1の発明はコンクリートの躯体1の開口部1aに開口枠2を取り付ける構造であって、
a.開口部1aを有するコンクリートの躯体1と、
b.躯体1の開口部1aに外周2aが間をおいて挿入される開口枠2と、
c.躯体1の開口部1aの内周1bに固定される固定具取付部5bと、固定具取付部5bから開口枠2の外周に向うように固定部取付部5bから離れた位置において開口枠1aの内周1bにほぼ平行な方向に延びる固定具先端部材5aを有する躯体固定具5と、
d.開口枠2の外周2aに取り付けられるアンカー取付部3bと、アンカー取付部3bから躯体1の開口部1aの内周1bに向って固定具先端部材5aの先端側を越えた位置において固定具先端部材5aとほぼ平行な方向に延び固定具先端部材5aと隙間4をおいて重なりを持つアンカー先端部材3aと、を有するサッシアンカー3と、
e.アンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間の隙間4に挿入されるくさび6と、
を有し、開口枠を見込方向及び壁面に沿う方向に位置を調整可能にくさびで固定する開口枠の躯体への取付構造である。
上記c.には、「開口枠2の内周1bにほぼ平行な方向に延びる固定具先端部材5a」と記載されている。開口部1aの内周1bの上面は外周2aと対向する面が水平である面を有する。内周1bの側面は開口枠2の外周2aと対向する面が見込方向の垂直面を有する。内周1bの下面は通常雨仕舞のため外部側へ向って下る傾斜面である。この傾斜面の傾斜は大きくない。
一方開口枠2の外周2aは上枠側が水平面上にある。外周2aは竪枠側が見込方向の垂直面上にある。外周2aの下枠側は水平面上にある又は外周2aに接する平面が外部側に向って下がっている。
ここで、上述の点より躯体固定具5が開口枠2の内周1bにほぼ平行であるとは、
(1)開口枠2の上枠側にあっては内周1bをとおる平面に対して固定具先端部材5aが平行している。平行はしないで傾いているが平行に近い。開口枠2の竪枠側にあっては内周1bをとおる平面に対して平行している。平行はしないで傾いているが平行に近い。等の場合を含む。
(2)開口枠2の下枠側にあっては内周をとおる面に対して平行である。水平面に対して平行である。を含み、また、これらの面に対して傾いてはいるが平行に近い場合を含む。
上記d.にはサッシアンカー3の構成としてアンカー先端部材3aが「固定具先端部材5aとほぼ平行な方向に延び」と記載されている。ここでのほぼ平行な方向とは後述の実施例のくさび6のくさび面にアンカー先端部材3a又は固定具先端部材5aが接触し両先端部材3a,5aが平行である場合と、何れか又は両先端部材3a,5aがくさび6のくさび面に沿って互いの間で傾けるようにしても、これらがくさび6のくさび面に接している限り、くさび6の作用を妨げることはない。ただし、アンカー先端部材3aと固定具先端部材5aのなす角が小さい範囲に限られる。上述のようにアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aののびる方向は多様である。次にのべる実施例にはその詳細が示されている。
(全体構成)
図8は躯体1の開口部1a内に開口枠2を取り付けた状態を示している。開口枠2は上枠と下枠夫々において外周2aと開口部1aの内周1b間にくさびアセンブリ11を挿入されることにより位置決めされている。くさりアセブリ11は同じ2片のくさびの大端と小端を重ねて重ねた面と反対側の両側の面をライナで挟んであり、周知である(例えば特公平4−26392号公報第2頁左欄第27行から第32行参照)。
開口枠2は開口部1a内に固定手段Aで固定されている。この固定手段Aは開口枠2の上枠、下枠、竪枠の夫々に複数個設けられている。これらの固定手段Aは協動して開口枠2を不動としている。
図1、図2は開口枠2の上枠側における固定手段A示す。図1は開口枠の上枠の縦断面図、図2は図1の要部を室内側より見る正面図である。
図1、図2を参照して実施例1のコンクリートの躯体1の開口部1aにアルミサッシの開口枠2を取り付ける構造について説明する。
開口部1aを有するコンクリートの躯体1と、躯体1の開口部1aに外周2aが間をおいて挿入されるアルミサッシの開口枠2と、固定手段Aと、を有するものにおいて各部は次の構成を有する。
(開口枠)
開口枠2は上枠、下枠、竪枠がアルミサッシの押出し形材で形成されており、図略されているが内側に嵌め殺し、引き違い、開き等の障子が設けられる。図1に示すように開口枠2の外周2aには条溝2bが設けてある。本例では条溝2bは広幅のT溝である。開口枠2の外周2aのT溝は、上枠、竪枠においては開口部1aの内周1bと平行な見込方向の平面上に外周2aがある。条溝2bの開口2b1は開口部1aの内周1bを正面に見て開口している。
条溝2bの底は平面部2b3の中間に平面部2b3より少し高い平面状の中高部2b2が設けられている。平面部2b3と中高部2b2の段部にはタッピング穴2b4が設けられている。平面部2b3は開口枠2が開口部1a内に挿入して位置決めされると開口部の内周1bと平行となる。なお、開口枠2の竪枠では条溝2bの底は一平面である。開口枠2の下枠の形状については後述する。
(躯体)
躯体1は鉄筋コンクリート造りの建物の躯体のことであり、窓等のための開口部1aを有する。開口部1aの内周1bは外部側に回り縁1dが躯体1の打設時に躯体1の一部として一体に設けてある。
内周1bは躯体1の内壁面1hに対して直角である。開口部1aは見込方向から見て方形であり、内周1bと開口枠2の外周2aとは数センチメートルの間をおいている。
(固定手段)
固定手段Aはサッシアンカー3と、躯体固定具5と、くさび6とを有する。
(サッシアンカー)
サッシアンカー3は図1、図2に示すように開口枠2の外周2aに取り付けるアンカー取付部3bと、アンカー取付部3bから躯体1の開口部1aの内周1bに向って固定具先端部材5aの先端5a1側を越えて突出したアンカー突出部3cと、アンカー突出部3cの突出端から固定具突出部5cに向って見込み方向に突出したアンカー先端部材3aとを有する。
サッシアンカー3はアルミ押出型材を切断して作られる。アンカー取付部3bは図1に示すように平板部3b1の両縁の下側に鍵形部3b2を設けて支持部としての案内条溝3dを有する。案内条溝3dは開口枠2に条溝2bを構成するためのリップ2eに嵌合している。リップ2eへサッシアンカー3を嵌合するには、開口枠2を構成するサッシ枠材の端部からサッシアンカー3を嵌入してリップ2e上を滑らせる。
開口枠2は竪枠の条溝2bの底板の背部に上枠、下枠端部を突き当てて該底板を挿通するタッピングねじをタッピング穴2b4(下枠については後述)にねじ込み固定する。即ち、開口枠2は竪枠勝に四方組されているので竪枠端部からサッシアンカー3は条溝2bに挿入する。上枠、下枠は端部においてサッシアンカー取付部3bを条溝2bに入れることができるようにリップ2eをアンカー取付部3bの幅よりもわずかに大きく切り欠いておく。そしてこの切り欠きからサッシアンカー3を挿入してリップ2eに嵌合する。リップ2eを切り欠いて作るこの切り欠きはサッシアンカー先付け工法(開口部に先ず開口枠を挿入して位置決め仮固定した後にサッシアンカーを取り付ける後付け工法に対して、サッシアンカーを先に取り付けた開口枠を開口部に挿入する場合をいう)においては上枠、下枠の長手方向の端部においてサッシアンカーの入り得るようにリップ2eを切り欠いておく。
本例のサッシアンカー3は、アンカー突出部3cから見込方向の外部側に向ってアンカー先端部材3aが突出して、アンカー突出部3cとアンカー先端部材3aでもって鍵形形状をなしている。一方、躯体固定具5はこの鍵形形状と係り合うように固定具突出部5cと固定具先端部材5aでもって鍵形形状となっている。
サッシアンカー3を取り付けた状態の開口枠2が躯体固定具5を固定した開口部1a内にあって、サッシアンカー3と躯体固定具5をくさび6を介して係合可能としてある。
サッシアンカー3はアルミ押出型材を切断して作られる。この切断は単に押出型材をその押出方向に対して直角に切断するだけなので大量に使用される固定手段Aに適するだけでなく、加工が単純でコストを低く抑えることができる。
(躯体固定具)
図1に示すように躯体固定具5は開口部1aの内周1bに固定された固定具取付部5bと、固定具取付部5bから開口枠2に向ってアンカー先端部材3aの先端3a1側を越えて突出した固定具突出部5cと固定具突出部5cの突出端からアンカー突出部3cに向って見込方向に突出した固定具先端部材5aと、を有するアルミ押出型材を切断した一体物である。
固定具取付部5bは平板状で方形である。方形の各角部には固定用の穴5b1が設けてある。この穴5b1を通ってアンカー7が躯体1に打ち込まれている。ここで、アンカー7としては、コンクリート用のピンを打ち込んでもよいし、コンクリートドリルで躯体にあけた穴に拡張式アンカー(外側筒体の中にピンが嵌合しており、先端のコーンが筒体のテーパ穴に嵌合しており、ピンを打撃することのよりテーパ穴構成部材を拡径して固定する等)を用いることができる。なお、アンカーを設ける位置において躯体にインサートしてナットを設けておいて、穴5b1を挿通してボルトを該ナットにねじ込んでもよい。
本例の躯体固定具5は固定具突出部5cの先端から見込方向の内部側に向って固定具先端部材5aが突出している。固定具突出部5cと固定具先端部材5aでもって鍵形形状をしている。
そして、アンカー先端部材3aと固定具先端部材5aは板状で板面は平行している。
(躯体への躯体固定具の取付)
図8に示す固定手段Aの位置に躯体固定具5の固定具取付部5bを内周1bに当接してアンカー7で固定する。
(開口枠の躯体への取付)
既にのべたようにサッシアンカー先付工法又はサッシアンカー後付け工法が採用できる。もしくはサッシアンカーの一部を先付けし、サッシアンカーの残りを後付けする先付工法と後付け工法を併用もできる。
(サッシアンカー先付けによる開口枠の躯体への取付)
この場合の作業は開口部1a外に開口枠2を置いて作業を行う。
サッシアンカー3の案内条溝3dを開口枠2のリップ2eに嵌め込み、条溝2bに沿って移動させて図8に示す固定手段Aとなる位置にサッシアンカー3を配置する。
アンカー取付部3bと開口枠2の中高部2b2との間に図示されないくさびを挿入してサッシアンカー3が開口枠2の枠材に沿ってその長手方向に移動しないようにしておく。
このようにサッシアンカー3を取り付けられた開口枠2を開口部1a内に挿入する。挿入は室内側から行う。室内側に置いてある開口枠2を手作業、又は簡単な荷役機械で持ち上げてもしくは吊り下げて見込方向外方へ移動する。そして、開口枠2の下枠に沿う開口部1aの内周1bとの間にくさびアセンブリ11を挿入する。このくさびアセンブリ11上に開口枠2を着座させる。このとき、躯体固定具5の突出部5cと先端部材5a、サッシアンカー3の突出部3cと先端部材3aは夫々が鍵形をしている。そこで、躯体固定具5の突出部5cはサッシアンカー3の先端部材3aの先端3a1側を越えて開口枠2に近い側まで突出している。また、サッシアンカー3の突出部3cは躯体固定具5の先端部材5aの先端5a1側を超えて開口部内周1bに近い側まで突出している。
そこでサッシアンカー3の先端部材3aと躯体固定具5の先端部材5aは板面が対向して対向部は平行平面となり、図1においてくさび6を除いた形となる。
そこで、開口枠2のサッシ枠材の長手方向において図2に示すように躯体固定具5にサッシアンカー3が重なる。重ならないときは、サッシアンカー3をサッシ枠材の長手方向に沿って移動する。なお、本例では躯体固定具5のサッシ枠材の長手方向に従う長さをサッシアンカー3の同長さより大きくしたが、これは逆であっても同長でもよい。
次にサッシアンカー3の鍵形部3b2の部分をかしめてサッシアンカー3を開口枠2に対して固定する。尚、躯体固定具5の躯体1への取り付け、サッシアンカー3の開口枠2への取り付けが共に治具で行われるときは、サッシアンカー3を開口枠2に取り付けた際に、サッシアンカー3を開口枠2に位置決め固定しておいてもよい。
次に開口枠2の開口部1aに対する位置、開口枠2の見込方向位置を修正した後に、開口枠2の上枠とこの上枠に対向する開口部1aの内周1bとの間にくさびアセンブリ11を挿入し、開口枠2を開口枠1aに対して仮固定する。
次に図2に示すように躯体固定具5とサッシアンカー3の夫々の先端部材5a,3a間にくさび6を挿入する。これを開口枠2の全外周側にて行う。これによって、開口枠2はサッシアンカー3、くさび6、躯体固定具5を介して躯体1に固定され、開口枠2の開口部1aに対する位置が定まる。
(サッシアンカー後付けによる開口枠への躯体への取付)
室内に置かれてある開口枠2を手作業又は簡単な荷役機械で持ち上げもしくは吊り下げて見込み方向外方へ向って移動して、開口部1a内に挿入する。次に、開口枠2の下枠とこの下枠に対向する開口部1aの内周1bとの間にくさびアセンブリ11を挿入して、開口枠2をくさびアセンブリ11上にのせる。そして、開口枠2の開口部1aに対する位置決めを行う。その後、開口枠2の上枠とこの上枠の外周2aと対向する開口部1aの内周1bとの間にくさびアセンブリ11を挿入してくさびアセンブリ11の高さを拡大して開口枠2を開口部1a内において躯体1に対して固定する。
サッシアンカー3は開口枠2の各枠のリップ2eを切り欠いて設けた切り欠き部(開口枠2を組み立てる前にリップ2eを切り欠いておく)から各枠に挿入する。本例の場合はリップ2eの切り欠き部は、上枠、下枠にあっては夫々の枠体を支持するくさびアセンブリ11の間、竪枠にあっては何れでもよいが、サッシ枠材の長手方向の端部を切り欠くときは、切り欠き長さが短くてよい。
各リップ2eにその案内条溝3dを嵌合したサッシアンカー3は各枠に沿って移動し、既に躯体1に配設されている躯体固定具5に合わせる。そしてサッシアンカー3の案内条溝3d回りの部材を変形させてリップ2eを加圧してサッシアンカー3を開口枠2に対して固定する。その後は、サッシアンカー先付けによる組立と同様である。
(下枠における固定手段)
図3は開口枠2の下枠における下枠と躯体との取付関係を示す。上枠側と異る点のみを説明する。
下枠の外周2aは全体として見込方向外下りとなっている。条溝2bは斜め下方内部側を向いて開口している。条溝2bの底板2b5は見込方向外側に向って下る平板である。底板2b5から立上る水返し壁2b6が設けてある。水返し壁2b6の上方に内側レール2b7が設けてある。底板2b5下端から見込方向の外部へ向う平板部2b8上に外側レール2b9が設けてある。各レール2b7,2b9の根本側にタッピング穴2b4が設けてある。2つのタッピング穴2b4は高さが異なるが竪枠の条溝2bの底板背部に下枠を当接し、該底板を貫通するタッピングねじがねじ込まれる点は上枠側と同様である。各、レール2b7,2b9に内障子8、外障子9が案内されている。ただし、開口枠2を開口部1aに配設する作業の際は内障子8、外障子9は開口枠2から外した状態で行われる。
躯体1の開口部1aの内周1bは見込方向の外下りである。躯体固定具5は上枠が取り付けられる側の躯体固定具5と同様である。そこで、下枠側の躯体固定具5の取付部5bとこの取付部5bと対向する開口部1aの内周1bとの間にはライナ13が挿入される。このライナ13を一旦開口部1aの内周1bに当接して躯体1へ固定しておく。この固定は例えばライナ13を挿通するピンを躯体1へ打込む。次に、躯体固定具5の取付部5bをライナ13に当接し、この取付部5bの穴5b1を挿通してライナ13、躯体1にコンクリートドリルで穿孔して設けた穴にアンカーを打ち込む(図示されない)。
サッシアンカー3は取付部3bが条溝2bに沿うように見込方向外下りであるほかは、先に述べた上枠側のサッシアンカーと同様である。
次に本発明の実施例2について説明する。
躯体1、開口枠2は前実施例の上枠側と同様であるので、これらの説明は省略する。
図4は実施例2の上枠側の縦断面図、図5は図4を見込方向から見る一部断面を含む正面図である。
図に示すように固定具突出部5cと固定具先端部材5aを鍵形状として、この鍵形状を一対として固定具先端部材5aの先端5a1側を間をおいて対向させた躯体固定具5と、固定具先端部材5aの先端5a1側間を挿通するアンカー突出部3cとアンカー突出部3cの突出端から両側に向って夫々見込方向にのびるアンカー先端部材3aと、を有するサッシアンカー3を有する。サッシアンカー3と躯体固定具5との間に嵌合するくさび6と隔片12を有する。
固定具取付部5bは方形板状であって、その四角部に穴5b1を有し、躯体固定具5は実施例1と同様にしてアンカー7で躯体1に固定される。
本例では図4に示すように開口枠2の上枠の長手方向から見て固定具突出部5c、固定具先端部材5aからなる鍵形状は固定具取付部5bを含めて左右対称に設けてある。
アンカー取付部3bは実施例1と同様である。図4に示すようにアンカー取付部3bの左右方向を2等分する位置からアンカー突出部3cが突出している。固定具先端部材5aの先端5a1間を丁度2等分する位置をアンカー突出部3cは通り抜けている。アンカー突出部3cの突出端が固定具取付部5bにのぞんでいる。アンカー突出部3cの突出端から見込み方向の両側に向ってのびるアンカー先端部材3aが設けてある。アンカー先端部材3aの先端3a1は固定具突出部5cにのぞんでいる。図示のように、アンカー先端部材3aは固定具先端部材5aと固定具取付部5bの中間位置にある。本例での固定具先端部材5aと固定具取付部5b間を2等分する位置にアンカー先端部材3aがある。
上記において、本例はアンカー突出部3cアンカー先端部材3aが一対あるとして、2本のアンカー突出部3cは重なっていると考えることができる。
上記構成のため、サッシアンカー3は一定位置にある躯体固定具5に対して、見込方向及び図4において上下方向に限定的に移動可能となっている。
サッシアンカー3は見込方向に固定具先端部材5aの対向している先端5a1間、又は、アンカー先端部材3aの先端3a1と対向している固定部突出部5c間の何れか近い方の距離だけ見込方向に移動可能である。
内周1bに対して直角方向(図4において上下方向)については、一定位置にある躯体固定具5に対して、サッシアンカー3は躯体固定具5に向ってアンカー先端部材3aと固定具取付部5b間、又はアンカー取付部3bと固定具先端部材5a間の何れか近い方の距離だけ移動可能である。また、内周1bに対して直角方向については一定位置にある躯体固定具5に対して、サッシアンカー3は躯体固定具5から離れる方向に固定具先端部材5aとアンカー先端部材3a間の距離だけ移動可能である。
前実施例1においてはくさび6が施工されていない場合に開口枠2の見込方向内部側への移動に伴なってサッシアンカー3が内部側へ自在に移動できるので、サッシアンカー3を図8の開口枠2回りの固定手段Aの位置と同じ位置に取り付けられた開口枠2は内部側から開口部1a内に挿入して、躯体固定具5とサッシアンカー3の位置が一致する。
本実施例2ではサッシアンカー先付、後付工法の何れの工法をとるとしても、開口枠2が開口部1a内に納まって、くさびアセンブリ11で位置決めし仮固定された状態では、最初は開口枠2のサッシ枠材の長手方向においてサッシアンカー3は躯体固定具5とは完全に外れた位置にある。そこで、サッシアンカー3の案内条溝3dを開口枠2のリップ2e上を滑動させて移動する。そして、サッシアンカー3のアンカー突出部3cが固定具先端部材5aの先端5a1間に入ると共にアンカー先端部材3aは固定具取付部5bと固定具先端部材5a間に入る。これによって、図5に示すようにサッシ枠材(本例では上枠)の長手方向に関してサッシアンカー3は躯体固定具5に重なる。
なお、サッシアンカー先付工法では、開口部1aの内周1bに固定された状態の躯体固定具5の配置とはずらした状態で開口枠2の外周2aにサッシアンカー3を配置してから、サッシアンカー3付の開口枠2を開口部1a内に挿入する。
サッシアンカー後付工法では実施例1と同様であり、開口部1a内に位置決めして仮固定された開口枠2の切り欠きを通じてサッシアンカー3を開口枠2に取り付ける。
(くさび及び隔片)
実施例2では夫々の組の固定手段Aにおいて、サッシアンカー3を躯体固定具5に対して両者が遠のかないように拘束すると共に見込方向の両方向に移動しないように拘束する。
図4に示すように実施例2では上述した躯体固定具5とサッシアンカー3の関係位置はくさび6と隔片12でもって固定される。
図4,図6を参照して、くさび6はくさび部6Aと隔片部6Bとを有する一体物である。また図4の紙面に夫々が平行な大端面6kと小端面6mを有する。
くさび部6Aは見込方向に従うくさび面6e,6fを有する。
図4に示すようにくさび面6e,6fは固定具先端部材5aとアンカー先端部材3aを加圧している。
図6に示すように大端面6k側の縁ではくさび面6e,6fの大端側の角6e1,6f1に直交する大端側の角6g1から小端面6m側に向うくさび面6gが設けてある。
図6に示すくさび面6gと反対側の面6hは図4に示すようにアンカー突出部3cに接している。このときくさび面6gは固定具突出部5cに接している。
隔片部6B側の面6jは大端面6k、小端面6mに直角で且つ、くさび面6e,6fのなす角の2等分面6PLに平行している。この面6jはアンカー取付部3bに平行している。この面6jはアンカー取付部3bに接触している。
隔片部6Bは面6hに対して平行な面6iが設けてある。面6iは組立状態では固定具先端部材5aの先端とは一致するか離れているか何れかである。
上記説明より明らかなようにくさび6はアングル形状をしたブロックである。くさび6は合成樹脂、金属をモールドして作られる。必要により肉は中抜きである。
図4に示すように、隔片12はアンカー先端部材3aを加圧するくさび面12aを有する。図5に示すようにくさび面12aは大端面12b、小端面12cとする隔片12の一側面である。くさび面12aに対して反対側の隔片12の面12dはアンカー取付部3bに接する面である。これらの各面に交叉する2つの面は平行な平面であり、アンカー突出部3cと固定具先端部材5aの先端5a1に夫々接する面12e,12fである。即ち,隔片12は一面をくさび面12aとしてほぼ直方体である。隔片12はくさび6と同様な材料でモールド等で作られる。
上記構成により、躯体固定具5に対してサッシアンカー3が図5に示すように重なる位置に位置した後は、図4に示すように固定具突出部5c、固定具先端部材5a、アンカー突出部3c、アンカー先端部材3aで囲まれた中へくさび6を挿入する。くさび6の挿入により、くさび面6e,6fでアンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間は押し拡げられようとする。図8の各固定手段Aの位置においてくさび6でこれらの両先端部材3a,5a間を押し拡げようとすることにより上枠下枠側の対向する固定手段Aにより上下方向の位置が定まり、両側の竪枠側の対向する固定手段Aにより左右方向の位置が定まり、開口枠2は固定手段Aにより開口部1a内において躯体1に支持される。同時にくさび面6gは固定具突出部5cを加圧し面6hはアンカー突出部3cに接触し、躯体固定具5に対するサッシアンカー3の見込方向位置が定まる。
通常は、くさび面6e,6fと両先端部材3a,5a間の摩擦力で開口枠2は見込方向の内部側へは移動しない。本例ではくさび6とはアンカー突出部3cを間において、更に隔片12をアンカー先端部材3aとアンカー取付部3bとアンカー突出部3cと固定具先端部材5aの先端5a1間に挿入する。このとき、隔片12の面12dはアンカー取付部3bと接し、くさび面12aはアンカー先端部材3aを加圧する。面12eは固定具先端部材5aの先端5a1に接し、面12fはアンカー突出部3cに接する。そこで、隔片12はサッシアンカー3に固定される。そして、躯体固定具5に対してサッシアンカー3は見込方向内部側へ移動できない。
上記の例ではくさび6、隔片12の両者はアンカー先端部材3aとアンカー取付部3b間に圧入保持可能なのでくさび6、隔片12の何れか又は両者を取り付けたサッシアンカー3を用いて、サッシアンカー3を開口枠2に取り付けた後に、サッシアンカー3と躯体固定具5の位置を一致させるような作業も可能である。
図7は下枠側についての図である。下枠側についての説明は実施例1の説明及び上記下枠側の説明にゆずる。
なお、図示されないが隔片12としては固定具突出部5cとアンカー先端部材3aの先端3a1との間に丁度嵌合する隔片を採用してもサッシアンカー3の内部側への移動は阻止され、隔片12と同効を奏する。
次にスチールサッシについての実施例について図9を用いて説明する。この実施例3は開口枠2が鋼板製の場合である。図は上枠の断面が示されている。本例では上枠、下枠、竪枠は断面が同形状である。この実施例3は開口枠2内に玄関ドア10を設ける場合である。
開口枠2の上枠は図9の紙面に直交する方向に延在している。開口枠2の内周は段形となっていて外側内周2f、内側内周2gが段部2hでつらなっている。開口枠2の内側材2iは内側内周2gから上方へ折曲し内部側に面しており、上端は板材を切断した縁2i1となっている。外側材2jは外側内周2fから上方へ折曲している。外側材2j上端は内部側へ折曲して外周2kとなっている。外周2kの縁は板材を切断した縁2k1となっている。
サッシアンカー3は図9、図10に示すように開口枠2の外周2kに取り付けるアンカー取付部3bと、アンカー取付部3bから躯体1の開口部1aの内周1bに向って固定具先端部材5aの先端5a1側を越えて突出したアンカー突出部3cと、アンカー突出部3cの突出端から固定具突出部5cに向って見込み方向に突出したアンカー先端部材3aとを有する点は実施例1と同様である。
アンカー取付部3bの外部側端部には取付部3gが設けてある。アンカー取付部3bの内部側端部は折曲して、折曲した部分に取付部3hが設けてある。
図10に示すように取付部3gは内外部方向に切り目3g1を平行して設けて、両切り目間を曲げ起こして曲げ片3g3としてある。切り目3g1を境にして曲げ片3g3に隣接して平板片3g2が夫々設けてある。平板片3g2と曲げ片3g3は切り目3g1位置において板面に直角方向の隙間iが設けてある。
取付部3hはアンカー取付部3bとは直角な平板片3h2を切り目3h1で切断して曲げ起こして曲げ片3h3としてある。平板片3h2と曲げ片3h3は切り目位置において板面に直角方向の隙間jが設けてある。平板片3h2には穴3iが設けられている。
アンカー先端部材3a、アンカー突出部3cは平板状のアンカー取付部3bから曲げ起して設ける。曲げ起した部分は穴3nとなっている。
躯体固定具5は実施例1と同様であり、同様に躯体1の内周1bに取付けられる。
本例ではサッシアンカー3を先付けした開口枠2を開口部1aに取り付ける。
開口枠2は開口部1a外において外周が開放された状態でサッシアンカー3を取り付ける作業を行う。
図9において説明すると、取付部3hの曲げ片3h3を内側材2iの縁2i1よりもわずかに上になるようにサッシアンカー3を持ち、開口枠2の外周2kの縁2k1にサッシアンカー3の隙間iを一致させて、サッシアンカー3を縁2k1に向って押し付けると平板片3g2と曲げ片3g3が縁2k1を挟持する。そして、曲げ片3h3が開口枠2の内側材2iの縁2i1を越えて平板片3h2は内側材2iに当るので、取付部3hを下方へ向かって押すと、縁2i1は平板片3h2、曲げ片3h3で挟持される。ここで、図10に示す穴3iを挿通して予め内側材2iに設けてあるめねじに小ねじ14をねじ込み、サッシアンカー3を開口枠2に固定する。
本例では図9の左側よりサッシアンカー3付の開口枠2を開口部1aに挿入し、くさび6を両先端部材3a,5a間に嵌め込む。
なお、内側材2iの縁2i1を縁2k1に向って折曲した開口枠2とした場合には、リップ2eを用いてサッシアンカー3を取り付ける前実施例を採用できる。
図11、図12は実施例4を示す。実施例4は実施例2のアルミサッシにおける実施例に対応するスチールサッシにおける実施例である。
開口枠2は内側材2i上端にリップ2m及び外側内周材2fと内側内周材2g間の段差部に気密パッキンを保持するための条溝2nを備えた点を除くと、ほぼ実施例3と同様であり、実施例3と相当する部分には同一の符号を用いる。
開口枠2の外周2kとリップ2mは、リップ2mの方が低く段差がある。この段差にほぼ従って、水平なアンカー取付部3bは、外部側の取付部3mを高い位置とするように段部3b3を設けている。外部側の取付部3mに対してアンカー取付部3bの内部側には内部側の取付部3mを設けてある。
取付部3mは図12に示すように板材の端縁を切り起こしたものである。両側の端縁ではこの切り起し部分は切り目3m1を境に互に反対側を曲げ片3m2としている。切り目3m1を境にして曲げ片3m2に隣る平板片3m3は両側のフランジ部分で段差3b3だけオフセットしている。平板片3m3とアンカー先端部材3aは平行平面である。切り目3m1は垂直面上にある。
曲げ片3m2、平板片3m3は先端の位置がほぼ揃っている。サッシアンカー3の長さLは開口枠2の開口2b1の対向間隔よりも大きい。曲げ片3m2と平板片3m3は切り目3m1を境にして図11に示すように上下に分かれており隙間hが設けてある。この隙間hに開口枠2の外周の縁2k1、リップ2mが入る形となる。隙間hはサッシアンカー3の中央から見て端部へ行く程わずかに拡がっている。隙間hのあることにより、図11に示すように、曲げ片3m2と平板片3m3は二股を構成する。
隙間hの最大となる端部での値は開口枠2の縁2k1、リップ2mの厚さよりも大である。一方、開口2b1の対向間隔に一致する位置よりも開口2b1内においては取付部3mは縁2k1、リップ2mの厚さよりも隙間hの方が小さい。
アンカー取付部3bは板金プレス加工により作られる。アンカー突出部3c、アンカー先端部材3aは溶接されている。アンカー突出部3cはアンカー取付部3bに溶接されている。
開口枠2の外周2kへのサッシアンカー3の取り付けはサッシアンカー3の開口枠2への取付位置からアンカー取付部3bの板面に垂直な中心を中心にして90度回動した位置で行われる。即ち、サッシアンカー3の長手方向(長さLの方向)を開口枠2の長手方向に且つ開口2b1間に合せる。次にサッシアンカー3を開口枠2の外周に直交する方向に移動して、サッシアンカー3の両端の曲げ片3m2と平板片3m3間の二股を構成している隙間hを開口枠2の外周2kの縁2k1、リップ2mに合わす。
次に、開口枠2の外側から外周2kを直角方向から見てサッシアンカー3を反時計回りに回動して行くと、サッシアンカー3の上記隙間hは開口枠2の開口2b1(口部)を構成する縁2k1、リップ2mに嵌合する。そこで更に回動すると切り目3m1において曲げ片3m2と平板片3m3間の隙間hは奥へ行く程幅が次第にせまくなり、最奥では0(ゼロ)となるので縁2k1、リップ2mを切り目3m1近傍において曲げ片3m2と平板片3m3で挟持する。この隙間hの曲げ片3m2と平板片3m3の夫々の切り目3m1がなす角度(図11,図12で示される曲げ片3m2の下面と平板片3m3の上面とのなす角)は小さいので縁2k1、リップ2mはくさび作用で曲げ片3m2と平板片3m3とで強く加圧される。そこで、サッシアンカー3は強固に開口枠2に取り付け得る。このとき、サッシアンカー3の最初から回動角は90度近くである。回動角は90度を越えることがないようにサッシアンカー3における取付部3mの位置は定められている。
図11に示す位置において図8に示すようにサッシアンカー3を取り付けられた開口枠2が開口部1a内に挿入されている。
その後、くさびアセンブリ11で開口枠2は開口部1aに対して位置決め後、仮固定される。
このとき実施例2と同様に躯体固定具5とサッシアンカー3は開口枠2の枠材の長手方向についてくい違っている。そこで、取付部3mをたたいて、縁2k1、リップ2m上でサッシアンカー3を開口枠2の枠材の長手方向に移動させ、サッシアンカー3を躯体固定具5に重ねる。その後、くさび6、隔片12を躯体固定具5とサッシアンカー3の間に挿入する。
本例では、開口枠2の外周2k、リップ2mを切り欠かなくてもサッシアンカー2に取り付け得る。そこで、サッシアンカー3後付けで開口枠2を開口部1aに取り付けることができる。
図8に示すように、開口部1aにくさびアセンブリ11で開口枠2を位置決めし仮固定する。そして、開口部1aと開口枠2の外周との間にサッシアンカー3を挿入して、先にのべたのと同様にして、サッシアンカー3を開口枠2に取り付ける。その後にサッシアンカー3を開口枠2の枠材長手方向に沿って移動して躯体固定具5と重ね、くさび6、隔片12を施工する。
図13から図15は実施例5を示す。実施例5は実施例1においてアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aの夫々の突出部3c,5cの先端から延びる方向を変更したものである。実施例1においては、アンカー先端部材3a、固定具先端部材5aは見込方向にのびている。本例では、アンカー先端部材3a、固定具先端部材5aは開口枠2のサッシ枠材の長手方向に平行であり、また躯体1の壁面(図13の紙面)に平行である。このため、図13の場合は開口枠2の上枠が表現されているが、上枠の長手方向に対してアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aは平行である。また、開口部1aの内周1bと開口枠2の外周2a間の空間Sは開口枠2の上枠の長手方向に沿って細長い。そこで空間Sの長手方向に対してアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aは平行である。
サッシアンカー3はアンカー取付部3bが実施例1と同様であり、図14に示すように案内条溝3dは開口枠2のリップ2eに嵌合している。アンカー突出部3cとアンカー先端部材3aは実施例1と同様である。アンカー取付部3bに対するアンカー突出部3cは実施例1の状態から垂直な軸線を中心としてアンカー突出部3cを90度回転した位置にある。
躯体固定具5は実施例1と同じ部材が用いられている。躯体固定具5は実施例1の状態から垂直な軸線を中心にして90度回転した位置において開口部1aの内周1bに固定されている。
くさび6は実施例1と同様である。
本実施例では、たとえば、図15に示すように固定手段Aを設ける。
開口枠2を開口部1aに設けるには、躯体固定具5を開口部1aの内周1bに図15に示すように固定する。その後は、サッシアンカー先付け、後付けの何れかにより図15のように固定手段15の躯体固定具5に対するサッシアンカー3の関係位置を定めた後は、図14に矢印で示すようにアンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間にくさび6を挿入する。
この実施例5によれば開口枠2は見込方向の位置の調整量を大きくとれる。くさび6を指先でもって室内側から目視できるアンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間に挿入できるので作業性がよい。
(その他の実施例)
各実施例では上枠に関してのべた。上枠に関していえば、アンカー先端部材3aと固定具先端部材5aは水平方向を向いている。(下枠に関しても同じ、竪枠に関しては垂直方向)。しかし、水平方向(垂直方向)に限定されるものではなく傾けてもよい。例えば、図1の紙面上において開口部1aの内周1bに対してアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aを傾けてもよい。ただし、図1の紙面上においての傾斜角はくさび6に対するアンカー先端部材3a又は躯体固定具5aの摩擦係数の内小さい方の値を正切(tangent)とする角(摩擦角と称するものとする)以内に限られる。
図13においては、図15に示すように開口枠2の上枠、下枠側の夫々の固定手段Aを左右対称に配設したときはアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aの傾きは摩擦角による制約はないがこの傾きを大きくすると、開口枠2を左右に位置を調整したときに、アンカー先端部材3aと固定具先端部材5aの間の間隙4が大きく変動するので結局はぼ水平な程度にアンカー先端部材3a、固定具先端部材5aを配設する必要がある。
実施例1において垂直な軸線を中心にサッシアンカー3のアンカー先端部材3aとアンカー突出部3cの部分及び躯体固定具5を90度回動したのと同様に実施例2にも適用される。同様にスチールサッシの実施例3、実施例4に対しても実施例5の考え方が適用される。
サッシアンカーは薄板鋼板のブランクを、打ち抜きと、曲げ起しと、又は、更に溶接で製作できる。又はサッシアンカーはアルミ押出型材を切断してもよいので大量に用いられるサッシアンカーに好適である。躯体固定具は形状が簡単で開口部内周に簡単に配列できる。実施例1,3によれば治具を用いて躯体固定具を開口部内に配設し、同治具を用いてサッシアンカーを開口枠に配備可能であるので作業が容易で早く、正確に仕上がる。
そして、何れの実施例においても、躯体固定具とサッシアンカー間に入れるくさびの差込み長さにより、躯体固定具とサッシアンカーの相対的な位置を決められるので、開口部内への開口枠の配備を簡単に行うことができる。又、くさび、隔片の種々なサイズのものを準備しておくことにより、開口枠の開口部に対する調整範囲を大きくできる。
何れの実施例においても開口部と開口枠の間のせまい空間での作業はくさびを躯体固定具とサッシアンカー間に挿入するだけなので作業時間が短く簡単な作業であり、作業性にすぐれる。
実施例1の上枠側の縦断面図である。 図1の内部側より見る正面図である。 実施例1の下枠側の縦断面図である。 実施例2の上枠側の縦断面図である。 図4の一部を削除した状態の内部側より見る正面図である。 実施例2のくさびの斜視図である。 実施例2の下枠側の縦断面図である。 躯体の開口部への開口枠の取り付けを示す正面図である。 実施例3の縦断面図である。 実施例3のサッシアンカーの(a)は斜視図、(b)は(a)の向こう側を手前に回して見る斜視図である。 実施例4のサッシアンカーの縦断面図である。 実施例4のサッシアンカーの斜視図である。 実施例5の正面図である。 図13に対して直角な縦断面図である。 実施例5の開口部への開口枠の取り付けを示す正面図である。
符号の説明
A…固定手段 L…長さ h,i,j…隙間 S…空間
1…躯体 1a…開口部 1b…内周 1d…回り縁 1h…内壁面
2…開口枠 2a…外周 2b…条溝 2b1…開口 2b2…中高部 2b3…平面部 2b4…タッピング穴 2b5…底板 2b6…水返し壁 2b7…内側レール 2b8…平板部 2b9…外側レール 2e…リップ 2f…外側内周材 2g…内側内周材 2h…段部 2i…内側材 2i1…縁 2j…外側材
2k…外周 2k1…縁 2m…リップ 2n…条溝
3…サッシアンカー 3a…アンカー先端部材 3a1…先端 3b…アンカー取付部 3b1…平板部 3b2…鍵形部 3b3…段差部 3c…アンカー突出部 3d…案内条溝 3g…取付部 3g1…切り目 3g2…平板片 3g3…曲げ片 3h…取付部 3h1…切り目 3h2…平板片 3h3…曲げ片 3i…穴 3m…取付部 3m1…切り目 3m2…曲げ片 3m3…平板片 3n…穴
4…隙間
5…躯体固定具 5a…固定具先端部材 5a1…先端 5b…固定具取付部 5b1…穴 5c…固定具突出部
6…くさび 6A…くさび部 6B…隔片部 6e…くさび面 6e1…角 6f…くさび面 6f1…角 6g…くさび面 6g1…角 6h,6i,6j…面 6k…大端面 6m…小端面 6PL…2等分面
7…アンカー
8…外障子
9…内障子
10…ドア
11…くさびアセンブリ
12…隔片 12a…くさび面 12b…大端面 12c…小端面 12d,12e,12f…面
13…ライナ
14…小ねじ

Claims (7)

  1. コンクリートの躯体1の開口部1aに開口枠2を取り付ける構造であって、
    a.開口部1aを有するコンクリートの躯体1と、
    b.躯体1の開口部1aに外周2aが間をおいて挿入される開口枠2と、
    c.躯体1の開口部1aの内周1bに固定される固定具取付部5bと、固定具取付部5bから開口枠2の外周に向うように固定部取付部5bから離れた位置において開口枠1aの内周1bにほぼ平行な方向に延びる固定具先端部材5aを有する躯体固定具5と、
    d.開口枠2の外周2aに取り付けられるアンカー取付部3bと、アンカー取付部3bから躯体1の開口部1aの内周1bに向って固定具先端部材5aの先端側を越えた位置において固定具先端部材5aとほぼ平行な方向に延び固定具先端部材5aと隙間4をおいて重なりを持つアンカー先端部材3aと、を有するサッシアンカー3と、
    e.アンカー先端部材3aと固定具先端部材5a間の隙間4に挿入されるくさび6と、
    を有し、開口枠を見込方向及び壁面に沿う方向に位置を調整可能にくさびで固定することを特徴とする開口枠の躯体への取付構造。
  2. 固定具取付部5bから開口枠2に向かって突出する固定具突出部5cの先端に固定具先端部材5aを有し、アンカー取付部3bから開口部1aの内周1bに向ってのびるアンカー突出部3cの先端にアンカー先端部材3aを有することを特徴とする請求項1に記載の開口枠の躯体への取付構造。
  3. 躯体固定具5はほぼ並列する一対の固定具突出部5cの各々に先端が間をおいて対向する固定具先端部材5aを有し、サッシアンカーはアンカー突出部が固定具先端部材の先端間を挿通しており、アンカー突出部の先端から両側に向って延びるアンカー先端部材を有することを特徴とする請求項2に記載の開口枠の躯体への取付構造。
  4. 開口枠2の外周2aにはサッシ枠材の長手方向に条溝2bが設けられ、アンカー取付部3bは該条溝2bに移動可能に嵌合していることを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載のアルミサッシの躯体への取付構造。
  5. 開口枠2の条溝2bは広幅のT溝であって、サッシアンカー3はアンカー先端部材3aを開口枠2のサッシ枠材の長手方向に平行にしてアンカー取付部3bを開口枠2の条溝2b内に入れ、開口枠2の外周2aに直交する中心線を回動の中心として直角だけ回動することによりアンカー取付部3bが開口枠2の条溝2bに嵌合して開口枠2に取り付けられることを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の開口枠の躯体への取付構造。
  6. くさび6はアンカー先端部材3aとアンカー取付部3bに嵌合するための隔片部を有し、サッシアンカー3に保持されることを特徴とする請求項3から5の何れか1つに記載の開口枠の躯体への取付構造。
  7. アンカー突出部3cの1側に請求項6に記載のくさび6と、アンカー突出部3cの他の1側において、アンカー突出部3cとアンカー先端部材3aとアンカー取付部3bと固定部先端部材5aの先端とで囲まれた中に嵌入し、アンカー先端部材3aとアンカー取付部3bに保持される隔片12と、を有することを特徴とする請求項3から6の何れか1つに記載の開口枠の躯体への取付構造。
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