JP2007236246A - 植物における金属成分吸収向上剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物に必要とされる第4周期元素の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分吸収向上剤を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)
21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
(式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする、植物における第4周期の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分吸収向上剤。
【選択図】なし

Description

本発明は植物が生育する際に第4周期元素の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分の吸収を向上させる金属成分吸収向上剤に関する。
植物の生育にとって必須な元素のうち、炭素、水素、酸素は大気、水から供給される。また、窒素、リン及びカリウムの3元素は、土壌から吸収されるが、植物の吸収量に比較して土壌中での存在量が比較的少ないため欠乏になりやすく、外部から補給したときの効果が現れやすいことから、肥料3要素という。植物には肥料3要素以外にも必須の微量要素があり、具体的にはマンガン、ホウ素、鉄、亜鉛、銅、モリブデン、塩素及びニッケルとされている。また、人間においても鉄、亜鉛、銅、マンガン、バナジウムについては欠乏症が知られるようになってきた。特に鉄は婦人の3分の1が潜在性の鉄欠乏性貧血であるといわれるように、その欠乏の分布はきわめて広い。
鉄(Fe)は生体内で二価鉄イオン(Fe2+)として酵素の活性化に関与している。また、ポルフィリン環の中に入ってヘムとなり、このヘムは様々な酵素の活性中心に存在している。ヘム鉄含有タンパクとしてはシトクロム、ペルオキシダーゼ、カタラーゼが、鉄―硫黄タンパクとしてはフェレドキシンがあり、主として酸化還元反応、電子伝達反応に関与している。クロロフィルはポルフィリン環にマグネシウムイオンが入ったもので、このポルフィリン環合成の前駆物質であるプロトポルフィリノーゲン合成酵素とプロトクロロフィライド合成酵素は、遺伝子レベルでの制御に鉄が関与していると考えられている。したがって、鉄欠乏になると、ポルフィリンの合成が抑えられ、クロロフィルが合成されなくなるので、植物は横白化症を呈し、光合成ができなくなり枯死する。
銅は植物体内にあっては組織の構成成分か代謝に関わる酵素の一部となっている。一般的な欠乏の症状としては、クロロシス、ネクロシス、葉のねじれなどである。圃場において銅欠乏が発生する植物としては、オオムギ、コムギ、アルファルファ、レタス、ニンジン、タマネギ、トマト、タバコそれに柑橘類などの栽培植物である。
マンガンは生理作用として光合成、呼吸、酸素の活性化等があり、多くの植物において、植物体中のマンガン量の増大に伴って呼吸が増大する。マンガンが欠乏すると葉にクロロシスが観察される。
亜鉛は亜鉛酵素など多数が明らかになり、亜鉛の関与する生体内の反応も多く知られるようになった。欠乏の症状としては伸長成長の抑制、タンパク合成の阻害などが様々な植物の様々な部位で認められている。
窒素、リン及びカリウムの3元素は肥料として施用されるが、上記のように金属成分にも注意を払わないと不足するものが出て、欠乏症がおきる。また、理論的には植物はきわめて薄い塩溶液から、根の皮層を通して、選択的かつ能動的にイオンを吸収できるが、利用可能なイオンでもその存在比が不適当だと多かれ少なかれこの能力が制限され、欠乏症がおきる恐れがある。欠乏症が発生しても、その地域や作物に必要元素を投入すれば回避できることもあるが、一方過剰害のおそれがあることから慎重にならざるを得ない面もある。よって、金属成分の吸収を向上させることは、窒素、リン及びカリウムの欠乏症を防ぎ、金属成分の施肥による過剰害の恐れを防ぐことができる。一方、人間においても、食生活の変化により、一日当たりの必要な金属成分摂取量が減少しており、野菜に含まれる金属成分量を増加させることで、食事を通して得られる金属成分量を増加させることができると考えられる。
植物の金属成分吸収を向上させる技術としては、安息香酸及び/又は安息香酸誘導体がカリウムイオンの吸収を向上させることが報告されている(特許文献1)。また、アミノ酸の水溶液と共に葉の表面に散布することで、カルシウムイオンの吸収を向上させた報告もある(特許文献2)が、他の金属成分に関して吸収向上が認められる物質は知られていない。
一方、5−アミノレブリン酸は、微生物・発酵分野においては、VB12生産、ヘム酵素生産、微生物培養、ポルフィリン生産など、動物・医療分野においては、感染症治療(非特許文献1)、殺菌、ヘモフィラス診断、誘導体原料、除毛、リウマチ治療(非特許文献2)、がん治療(非特許文献3)、血栓治療(非特許文献4)、癌術中診断(非特許文献5)、動物細胞培養、UVカット、ヘム代謝研究、育毛、重金属中毒ポルフィリン症診断、貧血予防などに、植物分野においては植物成長調節作用を有し農薬などに有用なことが知られている。しかしながら、5−アミノレブリン酸が、金属吸収向上作用を有することは知られていない。
特開2002−284607号公報 特開2001-192310号公報 Peter W. et. al., J. Am. Acad. Dermatol., 31, 678-680(1994) Kenneth T., United States Patent 5, 368, 841(1994) Hillemanns P. et. al., Int. J. Cancer, 85, 649-653(2000) 山田一郎 et. al., 日本形成外科学会要旨集(1988) Kamasaki N. et. al., 日本レーザー医学会誌 22, 255-262(2001)
したがって、本発明は、植物に必要とされる第4周期元素の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分吸収向上剤を提供することを目的とする。
かかる実状において、本発明者らは、種々研究を重ねた結果、5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩が優れた植物における金属成分吸収向上作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記一般式(1)
21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
(式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする、植物における第4周期の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分吸収向上剤を提供するものである。
また、本発明は、植物の根、茎葉又は周囲の土壌を、下記一般式(1)
21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
(式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を含有する組成物で処理することを特徴とする、植物中の第4周期元素の第2族から第12までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分含量を向上させる方法を提供するものである。
本発明の金属成分吸収向上剤は、植物における、第4周期元素の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分の吸収向上により、植物の金属欠乏症を防ぐと共に、植物中の第4周期元素の2族から12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分を増やすことで、人間が食事を通して植物から得られる金属分を増やすことができる。
本発明の金属成分吸収向上剤の有効成分は、5−アミノレブリン酸、その誘導体(前記一般式(1))又はそれらの塩である。
一般式(1)中、R1及びR2で示されるアルキル基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、特に炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。アシル基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基、アルケニルカルボニル基又はアロイル基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイル基が好ましい。当該アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基が好ましく、特に炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。当該アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜16のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数6〜16のアリール基と上記炭素数1〜6のアルキル基とからなる基が好ましく、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
3で示されるアルコキシ基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜16のアルコキシ基、特に炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイルオキシ基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイルオキシ基が好ましい。当該アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、特に総炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。当該アルコキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、炭素数6〜16のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、前記アラルキル基を有するものが好ましく、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R1及びR2としては水素原子が好ましい。R3としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はアラルキルオキシ基が好ましく、より好ましくはヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基、特にメトキシ基又はヘキシルオキシ基が好ましい。
5−アミノレブリン酸誘導体としては、5−アミノレブリン酸メチルエステル、5−アミノレブリン酸エチルエステル、5−アミノレブリン酸プロピルエステル、5−アミノレブリン酸ブチルエステル、5−アミノレブリン酸ペンチルエステル、5−アミノレブリン酸ヘキシルエステル等が挙げられ、特に5−アミノレブリン酸メチルエステル又は5−アミノレブリン酸ヘキシルエステルが好ましい。
5−アミノレブリン酸およびその誘導体の塩としては、例えば塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の酸付加塩及びナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の金属塩が挙げられる。なお、これらの塩は使用時において水溶液として用いられ、その作用は5−アミノレブリン酸の場合と同一である。5−アミノレブリン酸とその塩はそれぞれ単独でも、これらの2種以上を混合して用いることもできる。
5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩は、公知の化合物であり、化学合成、微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法によっても製造することができる。その生産物は、植物に対して有害な物質を含まない限り分離精製することなく、そのまま用いることができる。また、有害な物質を含む場合は、その有害物質を適宜、有害とされないレベルまで除去した後、用いることができる。
本発明の金属成分吸収向上剤の適用対象となる植物としては、特に限定されず、農業分野で広く栽培されている植物が挙げられるが、例えばイネ、オオムギ、コムギ、ヒエ、トウモロコシ、アワ等の穀物類;カボチャ、カブ、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ホウレンソウ、コマツナ、ミツバ、アスパラガス、ブロッコリー、ニラ、セロリ、レタス、シュンギク、キョウナ、チンゲンサイ、ピーマン、トマト、ナス、キュウリ、オクラ等の野菜類;ミカン、リンゴ、カキ、ウメ、ナシ、ブドウ、モモ、イチゴ、スイカ、メロン等の果実類;キク、ガーベラ、パンジー、ラン、シャクヤク、チューリップ等の花卉類;サツキ、クヌギ、スギ、ヒノキ、ナラ、ブナ等の樹木類;アズキ、インゲン、ダイズ、ラッカセイ、ソラマメ、エンドウ等の豆類;コウライシバ、ベントグラス、ノシバ等の芝類;ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、タロイモ等のイモ類;ネギ、ワケギ、タマネギ、ラッキョウ等のネギ類;アルファルファ、クローバー、レンゲ等の牧草類;ニンジン、ダイコン、カブ、ゴボウ等の根菜類が挙げられ、野菜類が好ましく、ホウレンソウがより好ましい。
本発明において、第4周期元素の第2族から第12族中の元素としては、カルシウム、バナジウム、マンガン、鉄、銅及び亜鉛ゲルマニウムが挙げられ、好ましくは、カルシウム、マンガン、鉄、銅及び亜鉛である。本発明の吸収向上剤は、特に、鉄の吸収向上のために好適に用いられる。
本発明において、金属成分吸収向上剤には、5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩単独でもよいが、これ以外に、植物成長調節剤、糖類、アミノ酸、有機酸、アルコール、ビタミン、ミネラル等を配合することができる。ここで用いられる植物成長調節剤としては、例えば、エピブラシノライド等のブラシノライド類、塩化コリン、硝酸コリン等のコリン剤、インドール酪酸、インドール酢酸、エチクロゼート剤、1−ナフチルアセトアミド剤、イソプロチオラン剤、ニコチン酸アミド剤、ヒドロキシイソキサゾール剤、過酸化カルシウム剤、ベンジルアミノプリン剤、メタスルホカンブ剤、オキシエチレンドコサノール剤、エテホン剤、クロキンホナック剤、ジベレリン、ストレプトマイシン剤、ダミノジット剤、ベンジルアミノプリン剤、4−CPA剤、アンシミドール剤、イナペンフィド剤、ウニコナゾール剤、クロルメコート剤、ジケブラック剤、メフルイジド剤、炭酸カルシウム剤、ピペロニルブトキシド剤等を挙げることができる。
糖類としては、例えばグルコース、シュクロース、キシリトール、ソルビトール、ガラクトース、キシロース、マンノース、アラビノース、マジュロース、スクロース、リボース、ラムノース、フラクトース、マルトース、ラクトース、マルトトリオース等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えばアスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、チロシン、グリシン、アルギニン、アラニン、トリプトファン、メチオニン、バリン、プロリン、ロイシン、リジン、イソロイシン等を挙げることができる。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、フタル酸、安息香酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グリコール酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、レブリン酸等を挙げることができる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、グリセロール等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えばニコチン酸アミド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンB13、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB2、ビタミンK3、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK1、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、σ−トコフェロール、p−ヒドロキシ安息香酸、ビオチン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、α―リポニック酸等を挙げることができる。
ミネラルとしては、例えばチッソ、リン、カリウム、カルシウム、ホウ素、マンガン、マグネシウム、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、マグネシウム等を挙げることができる。
本発明の金属成分吸収向上剤は、植物の根、茎葉又は周囲の土壌を処理することにより使用される。具体的には、茎葉処理用(茎葉処理剤)として使用してもよいし、土壌処理用(土壌処理剤)として使用してもよい。また、植物を植えつけたり、挿し木等する前に吸収させてもよい。さらに、水耕栽培時に水中に添加しておいてもよい。
本剤を茎葉処理剤として用いる場合、5−アミノレブリン酸又はその塩を1〜1000ppm、特に10〜500ppmの濃度で含有せしめ、これを10アール当たり10〜1000L、特に50〜300L使用するのが好ましい。単子葉植物等葉面に薬剤が付着しにくい植物に対して用いる展着剤の種類及び使用量については、特に制限されない。
本剤を土壌処理剤として使用する場合、5−アミノレブリン酸又はその塩として10アール当たり1〜1000g、特に10〜500g用いるのが好ましい。なお、水耕栽培時も、ほぼ同量用いるのが好ましい。
本剤を用いて植つけ前につけ込んで5−アミノレブリン酸又はその塩を吸収させるような方法をとる場合、つけ込む液の5−アミノレブリン酸又はその塩の濃度は0.001〜10ppm、特に0.01〜5ppmであることが望ましく、つけ込み時間は1時間以上1週間以内特に3時間以上1日以内が望ましい。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは単に例示の目的で掲げられるものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕5−アミノレブリン酸のカルシウム吸収向上効果
コンテナ2個を用意し、それぞれに土を入れ、ホウレンソウの種を均等に植えた。種苗した日から毎日1回じょうろで水を与えた。コンテナの一方に、5−アミノレブリン酸塩酸塩1ppmを溶かした水道水を霧吹きで1日1回、50mL程度を散布し、種苗から3週間後に間引きを、38日後に2つのコンテナの収穫を行った。収穫は地上より上の部分を切り取り、植物体の自然乾燥を行った。乾燥後、植物体を1つずつ乳鉢ですり潰し、乾重量中のカルシウムをICPを用いて測定し、その含有濃度を算出した。5−アミノレブリン酸を添加したもの、添加しなかったもののカルシウム濃度平均値を表1に示す。
Figure 2007236246
表1に示した通り、5−アミノレブリン酸塩酸塩の散布によりホウレンソウにおいてカルシウムの含有率向上効果が認められ、金属成分吸収剤として有用であることがわかった。
〔実施例2〕5−アミノレブリン酸のマンガン吸収向上効果
実施例1と同様にしてホウレンソウ中のマンガン含有濃度を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2007236246
表2に示した通り、5−アミノレブリン酸塩酸塩の散布によりホウレンソウにおいてマンガンの含有率向上効果が認められ、金属成分吸収剤として有用であることがわかった。
〔実施例3〕5−アミノレブリン酸の鉄吸収向上効果
実施例1と同様にしてホウレンソウ中の鉄含有濃度を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2007236246
表3に示した通り、5−アミノレブリン酸塩酸塩の散布によりホウレンソウにおいて鉄の含有率向上効果が認められ、金属成分吸収剤として有用であることがわかった。
〔実施例4〕5−アミノレブリン酸の銅吸収向上効果
実施例1と同様にしてホウレンソウ中の銅含有濃度を算出した。結果を表4に示す。
Figure 2007236246
表4に示した通り、5−アミノレブリン酸塩酸塩の散布によりホウレンソウにおいて銅の含有率向上効果が認められ、金属成分吸収剤として有用であることがわかった。
〔実施例5〕5−アミノレブリン酸の亜鉛吸収向上効果
実施例1と同様にしてホウレンソウ中の亜鉛含有濃度を算出した。結果を表5に示す。
Figure 2007236246
表5に示した通り、5−アミノレブリン酸塩酸塩の散布によりホウレンソウにおいて亜鉛銅の含有率向上効果が認められ、金属成分吸収剤として有用であることがわかった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
    (式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする、植物における第4周期の第2族から第12族までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分吸収向上剤。
  2. 第4周期元素第2族から第12族までの元素から選ばれる金属が、カルシウム、マンガン、鉄、銅及び亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の金属成分吸収向上剤。
  3. 植物の根、茎葉又は周囲の土壌を、下記一般式(1)
    21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
    (式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を含有する組成物で処理することを特徴とする、植物中の第4周期元素の第2族から第12までの元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分含量を向上させる方法。
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