JP2007236182A - 電力制御装置及び電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低電力損失、低ノイズで交流(AC)電力制御ができるようにすることを目的とする。
【解決手段】交流信号の入力端子13a及び出力端子13bと、この入力端子13a及び出力端子13b間に接続された直流阻止用コンデンサ12a、12bと、この入力端子13a及び出力端子13b間に接続され、制御信号により容量が変化する可変コンデンサ10とを有し、この制御信号でこの可変コンデンサ10の容量を変化させることでこの交流信号の電圧又は電流を制御するようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気機器、電子機器における電圧又は電流を制御するのに適用して好適な電力制御装置及び電源装置に関する。
近年、電子技術における利便性、効率性が評価され、IT(information technology)、AV(audio visual)に代表される電子機器の普及が全世界的に加速している。また同時に地球環境、地球資源の有限性も強く指摘されるようになり機器の省エネルギー技術が強く求められている。
例えば電子機器の電源では効率の向上が継続的に行われ一部のスイッチング電源に見られるように90%以上の効率を達成しているものもある。しかしながら実態は依然としてコスト面やノイズ面から低効率の電源が多く使用されている。
また効率が高い電源においても入力電源電圧変動や部品ばらつき、負荷電流の変化に影響を受け例えば低消費電力時などでは効率が大きく低下してしまっていた。
一般的に電源効率は機器の定格負荷(電力)で高くなるように設計されているが、実際の機器では動作電力は常に変動しており、同時に効率も変動している。テレビジョン受像機を例にとれば音声出力や画面の輝度によりその電力は大きく変動する。逆の言い方をすれば負荷電流の大きさに最適な入力電圧が存在することになる。
それ以外にも商用電源の電圧変動の影響も受けるため実動作での電源効率はスペックよりも低くなってしまう。これは電源方式がスイッチングレギュレータであろうとシリーズレギュレータであろうと同じことである。
例えば一般にトランスは無負荷時でも無負荷損が発生するために無負荷時に効率最小となりその後負荷電流の増加にともない効率が上昇するが、負荷損は負荷電流の二乗で発生するため電流がある範囲を超えると負荷損が全損失の主要因となり逆に効率は低下する。この関係を図19に示す。
実際にトランスレス電源としては、例えば図27に示すように、例えば交流(AC)100Vの商用電源1の一端をコンデンサ2を介して、ダイオードブッリジより成る整流回路3の一方の入力端子に接続し、この商用電源1の他端をこの整流回路3の他方の入力端子に接続し、この整流回路3の一方及び他方の出力端子4a及び4b間に定電圧用のツェナーダイオード5及び平滑用コンデンサ6を並列に接続したものである。
斯かる図27に示す如き、トランスレス電源では、商用電源1を直接整流し、その後レギュレータを構成するツェナーダイオード5を介することで、出力端子4a及び4b間に安定な直流電圧(DC)を得るようにしている。
このとき、コンデンサ2により、予め電圧を下げレギュレータを構成するツェナーダイオード5の負担を軽くすることが行われている。
小電力の場合はコンデンサが利用されることが多い。これはコンデンサによる電圧降下は電流の位相が電圧とずれるために電力損失が発生しないためであり、例えば待機電力用電源等に利用されている。しかしながらこの回路では負荷変動等により整流出力が変動することから通常は最大負荷に合わせて回路を構成し軽負荷の時はレギュレータで電力を損失させることで安定電圧を作り出している。
また、コンデンサ両端の電圧降下は周波数や負荷電流の変動により大きく変化してしまうため、負荷電流が大きく、負荷変動の大きい機器では使用することができない。従って現状では待機電力等数十mW程度の極小電力用途に限定されている。
また、図27のトランスレス電源において、リレー等により消費電力の大きい動作時はコンデンサ2に所定の他のコンデンサを並列接続することで供給電力を増やすことも可能であるが、広い負荷範囲に対応するためには複数のコンデンサを切り換える必要がある。リレー等で複数のコンデンサを切り替えることは原理的に可能であるが、スペースやコスト面以外に応答が遅いこと、切り換え時のノイズが発生すること、連続的に容量を変化できないこと、耐久性に難があることなど実用的ではない。従って負荷の変動に合わせて容量値を連続的に可変できるデバイスが必要となる。
高周波回路の用途には電気的に容量制御可能なコンデンサとしてダイオードの端子間容量を利用したバリキャップなどが存在するが電力制御としては、容量値、耐圧などで使用できない。
また、近年ではMEMS(micro electro mechanical system)を利用した可変コンデンサも複数提案されているが高周波信号での使用を前提としている。
一般に、コンデンサの容量は、誘電率、電極面積、電極間距離で決まる。従ってこのうちどれか1つ以上を制御すればいいことが分かる。実際にMEMSで提案されているのは、電極を変位させることによる電極間距離や対向電極面積を可変する方式である。
また、例えば特許文献1にはセラミックコンデンサに50Vを印加し誘電率を変えることで容量を70%変化させた例が開示され、応用例としてフィルタ回路のカットオフ周波数や時定数発振回路の発振周波数を可変することが提示されている。
特開昭62−259417号公報
上述したように、電子機器、電子回路における電力損失は使用電力の増大を招きユーザに余分な電気代を負担させるだけではなく、ひいては地球資源の浪費、地球温暖化の促進につながってしまうため電力損失は極小であることが望ましい。
回路が簡単でノイズが少ない電源トランスを用いたシリーズレギュレータ方式では、商用電源に接続された電源トランスにより必要となる電圧に降圧したあと、ダイオードにより整流され大容量コンデンサによって平滑される。この整流出力は不安定なためトランジスタの端子間電圧降下を制御するレギュレータにより電圧の安定化を行っている。この場合の電圧降下は直流電圧降下であり基本的に全て熱に変換され、大きな電力損失が発生してしまう。必要となる電圧降下量は電源トランス他の部品特性のばらつき、負荷電流の大小などの影響が大きく、電子機器を安定に動作させるためにマージンをとると通常状態では電力損失が非常に大きくなり、ひどい場合は30%程度の効率となってしまっている。
また、スイッチングレギュレータ方式においては電圧の安定化は半導体素子によるオン、オフ制御のため電力損失が少なく効率が高く取れるが、それでも入力や負荷条件により効率が変化し軽負荷条件などでは効率の悪化が生じてしまい、もっと広範囲な入力及び負荷変動に対応することが求められている。
また、特許文献1に開示の可変コンデンサでは、電力用途としては容量が小さく、制御電圧も高い必要があるため実用的ではない。
電子機器における電力制御では周波数制御とは違い素子ごとの容量値は厳密である必要はなく周波数範囲も300KHz程度と低くても応用範囲が広く、誤差検出が電圧、または電流により可能なためフィードバック制御が容易である。
以上電子機器における電力制御用可変コンデンサについて述べてきたが現在実使用できるデバイスは存在していない。
そこで本発明者は種々研究を重ねた結果、前述特許文献1にあるように直流電界用の電極を追加した4端子デバイスを用いることなく、既存部品を組み合わせることで必要な容量、耐圧を持つ直流電圧制御可能な可変コンデンサが得られることを見出した。
しかしながら扱える電力を大きくしようとコンデンサの容量を大きくするとコストが高くなりサイズが大きくなってしまうという問題があった。また性能的にはもっと広い可変範囲、すばやい応答、低駆動電圧が望まれている。
本発明は、斯かる点に鑑み、低電力損失、低ノイズで交流(AC)電力制御ができるようにすることを目的とする。
また、本発明は電力制御装置においてサイズの大型化を抑えながら容量の増加及び可変範囲を広く応答性が向上する積層構成可能及び高耐圧/低駆動な回路構成を提供することを目的とする。
本発明電力制御装置は、電圧降下素子としてコンデンサを使用することで交流(AC)電圧又は電流を制御する電力制御装置であって、電圧降下を可変するための制御信号により静電容量を可変させる可変コンデンサを備えるものである。
特に、誘電体の誘電率を制御する可変コンデンサに抵抗器又はインダクタを介して直流(DC)電圧を印加し、制御信号から入出力信号への影響を排除するために直流阻止用のコンデンサを介して入出力される構成のものである。
また、本発明電源装置は、平滑直流電圧と基準電圧とから生成するエラー信号をフィードバックすることで整流回路への最適な入力電圧に制御することで不要な電力損失を削減する。
この発明に係る電力制御装置は、電圧降下素子としてコンデンサを使用することでAC電圧/電流を制御する電力制御装置であって、電圧降下を可変するための制御信号により静電容量を可変させる可変コンデンサ素子を備えるものである。
特に、誘電体の誘電率を制御する可変コンデンサにバイアス抵抗またはインダクタを介して制御電圧を印加し、今までは独立に存在していた制御信号と入出力信号への影響の排除を電力用の可変コンデンサに兼務させる構成とするものである。
本発明によれば、制御信号によりコンデンサ容量値を可変する電力制御装置が汎用部品の組み合わせにより簡単に構成できる。制御信号に対して制御方向は構成の仕方により、正、負どちらでも対応が可能である。この電力制御装置は交流(AC)電力のコンデンサによる制御であり電力損失がなくアナログ的に制御することが出来、原理的にスイッチングノイズが発生しない。平滑出力電圧や負荷電流を検出し、それをフィードバックすることで入力や出力の変動を吸収し電源装置の効率が最適になるよう交流信号又はパルス入力電圧を制御することが出来るため電力損失の低減、電源効率の向上など機器の省エネを達成できる。
また、通常想定している設計上のマージンを極小にすることが可能となりトランス部品の選択、設計の自由度が上がるためにコスト低減に寄与できる。
また、本発明によれば、制御電圧によりコンデンサ容量値を可変する電力制御デバイスが汎用部品の組み合わせにより簡単に構成できる。構成する全てのコンデンサを可変とし、制御電圧の影響排除用としても使用することで、容量が大きく可変範囲が広く応答速度が速い電力制御デバイスとすることができる。
また、ダイオードを介して制御電圧を印加することでDC直列とAC直列の接続数を変えることが可能となり、結果として低い制御電圧で高いAC電圧を制御することが可能となる。さらに積層も容易なため積層数を増やすことでさらに容量を増やことや制御端子を有する4端子積層コンデンサとすることで少ない部品点数で回路を構成することが可能となる。
また、制御電圧に対して制御方向は構成の仕方により、正、負どちら側からでも対応が可能となるため、設計及び製造工程の自由度が大きくなる。この電力制御デバイスはAC電力のコンデンサによる制御であり電力ロスがなくアナログ的に制御することができ、原理的にスイッチングノイズが発生しないようにすることができる。
さらに、平滑出力電圧や負荷電流を検出し、それをフィードバックすることで入力や出力の変動を吸収し電源回路の効率が最適になるようAC又はパルス入力電圧を制御することができるため、電力ロスの低減、電源効率の向上など機器の省エネを達成できる。
また、通常想定している設計上のマージンを極小にすることが可能となりトランス部品の選択、設計の自由度が上がるためにコスト低減に寄与できる。
以下、図面を参照して、本発明電力制御装置及び電源装置を実施するための最良の形態の例につき説明する。
図1A例は、本例電力制御装置の基本構成例を示す。図1Aにおいて、10は可変コンデンサを示し、この可変コンデンサ10は、例えば温度特性がF特性の大容量の積層セラミックコンデンサで構成する。
この積層セラミックコンデンサは、図2の曲線aに示す如く、印加電圧に応じて静電容量変化率が変化するもので、この積層セラミックコンデンサに使用されている強誘電体が直流電圧電界の影響により誘電率が大きく変化することを利用するものである。
この可変コンデンサ10の一端及び他端の夫々の制御端子11a及び11bを夫々直流阻止用コンデンサ12a及び12bを介して交流信号の入力端子13a及び出力端子13bに接続する。この場合、交流信号に方向はないので、入力端子13a及び出力端子13bは、互いに逆であっても良い。
この場合、直流阻止用コンデンサ12a及び12bとして、固定容量のコンデンサである印加電圧−静電容量変化率が図2の曲線bに示す如く、変化しない電解コンデンサ等の大容量、高耐圧のコンデンサを使用する。
また、制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aに接続し、この制御端子11bを抵抗器14bを介して直流電圧V2の制御信号が供給される制御信号入力端子15bに接続する。
この場合、可変コンデンサ10に印加する直流電圧(V1、V2)である制御信号は、直流阻止用コンデンサ12a及び12bにより阻止されるので、入力及び出力に影響しないため、入力端子13a及び出力端子13b間の交流信号と制御用の直流電圧(V1、V2)とは、独立に扱うことができる。この可変コンデンサ10の容量を変化するのに必要なのは電位差であり、基本的にこの制御信号である直流電圧の極性は、プラスでもマイナスでもかまわないし、制御信号入力端子の片側例えば図1Cに示す如く制御信号入力端子15bがグランドであっても良い。
本例においては、交流信号はコンデンサ12a及び12bを通過し、コンデンサ12a、12b及び可変コンデンサ10の合成容量で決るインピーダンスで電圧降下及び電流が制御される。ここで、許容電流を大きくするために低いインピーダンス言い換えれば、大きな容量が必要になる。
また、抵抗器14a、14bが交流信号にとって負荷とならないように、抵抗器14a、14bのインピーダンスがコンデンサ12a、12b及び可変コンデンサ10の合成容量で決るインピーダンスに比して十分に大きく例えば100倍以上とし、また、必要な直流電圧である制御信号が印加できるように、この抵抗器14a、14bの抵抗値を可変コンデンサ10の絶縁抵抗の値より小さい抵抗値例えば1/100以下となるようにする。
通常コンデンサの絶縁抵抗の値は、数MΩ以上であるため使用範囲は、かなり広く取れる。但し、可変コンデンサ10の容量変化の応答が、抵抗器14a、14b、可変コンデンサ10で決る時定数で決ることから、抵抗器14a、14bの抵抗値はあまり大きくすべきではなく、全体のバランスを考慮して決める必要がある。
また、本例において、コンデンサ12a、12bの容量を可変コンデンサ10の容量に比して十分に大きな値とすれば、合成容量や耐圧は、この可変コンデンサ10に強く依存することになる。図1A例では、可変コンデンサ10を1つのコンデンサとして記述しているが、もちろん並列接続、直列接続による複数のコンデンサで構成しても良い。
図1Aの構成において、例えば22μFの温度特性がF特性の積層セラミックコンデンサを20個並列接続して440μF(定格電圧16V)の可変コンデンサ10とし、コンデンサ12a及び12bを夫々2200μF(定格電圧16V)とし、互いに逆向きに接続し、この容量を1100μFの無極性のコンデンサとした。また、抵抗器14a及び14bを夫々10kΩとした。この場合、コンデンサを無極性としたが、特に無極性である必要はない。
上述電力制御装置の例において、可変コンデンサ10に印加する制御信号としての制御電圧とコンデンサ12a、12b及び可変コンデンサ10の合成容量の関係は、図3の曲線dに示す如くであった。この場合、可変コンデンサ10に制御電圧を印加しないときの容量は、計算では440μFであるが、実際には約400μFとなり、制御電圧を印加すると図3の曲線eに示す如く略双曲線で容量が減少する可変コンデンサとして機能する。図3の曲線eに示す如く、この可変コンデンサ10に定格電圧16Vの半分の制御電圧8Vを印加したとき、この可変コンデンサ10の容量変化は、約75%となった。このコンデンサ12a及び12b間の50Hzにおける制御電圧−インピーダンス変化は、図3の曲線fに示す如くで、定格電圧内では、14Ω〜100Ωと約7倍の変化であり、制御電圧に対し略リニアに変化した。
本例の電力制御装置としては図4に示したように制御電圧が高くなるとインピーダンスが増えるため端子間電圧降下が増える、つまり出力電圧が低くなる。F特性の積層セラミックコンデンサより成る可変コンデンサ10は高温で容量が小さくなり可変範囲が狭くなるため図4に1点鎖線で示したように低制御電圧での電圧降下が増え傾きが緩やかになる。
図5に440μFの可変コンデンサ10に流せる電流の最大値の計算結果を示した。最大電流は可変コンデンサ10のリップル電流の定格以下であること、また耐圧電圧を越えない範囲であることが求められる。この例ではリップル電流Iacは20個のコンデンサで分割するために非常に大きくなるため耐圧16Vを超えない電流範囲で決まると考えてよく、印加される直流電圧Vdcに端子間交流電圧Vacの和が耐圧以下であればよい。つまりVac+Vdc≦16Vから最大Iacが求められる。実際には実行値ではなくピーク値が耐圧を超えないようにしなければならないため以下の式から求められる。
Iac=(16−Vdc)/(√2×Z)
ここでVdcは制御印加電圧でZはその時の可変コンデンサ10のインピーダンスである。許容電流値は印加電圧とともに双曲線で減少することが分かり、例えば0.2A流したい場合は制御電圧を6V以下に抑えなければならないことになる。このことから可変コンデンサをシリーズに接続し可変コンデンサ自身に負荷電流を流す図1Aの構成は電流容量を大きくしにくいことが分かる。実際の設計では容量だけでなく耐圧をいくつに設定するかがコンデンサを選定するポイントになる。
本例の電力制御装置そのものの合成インピーダンスはコンデンサ12a、12bを大きくすればさらに低くすることが可能である。また図1Bに示すように補正用として固定コンデンサ10aを追加することでもインピーダンスを低く、許容電流を大きくすることが可能となる。
商用周波数ではなくスイッチング電源等のもっと高い周波数、例えば50KHzで使えばインピーダンスは1/1000となるので、もっと小さい容量でもっと大きい電流を流すことが可能となる。また図1Cに示したように制御信号入力端子15bをグランドとすることで直流阻止用コンデンサ12bを省くことも可能である。この場合は、可変コンデンサ10の片端子が制御端子11bと出力端子13bを兼ねることになり、部品コストの削減及びデバイスの低インピーダンス化が実現できる。
図6に本例の電力制御装置の応答特性を示す。測定は制御電圧0からステップ状に電圧を上げた時の抵抗器14bの両端の電圧変化をモニタし安定するまでの時間を測定した。電圧がステップ状に変化すると可変コンデンサ10は非常に低いインピーダンスとなり、ほぼ制御端子11a、11bの抵抗器14a、14bにより分圧されるため抵抗器14bの両端電圧はステップ状に上昇しその後、抵抗器14a、14b、可変コンデンサ10で決る時定数で支配される特性により緩やかに減少しゼロに集約する。
この電圧変化の期間のみ微小な制御電流が流れる電圧制御装置のため制御に必要な電力は非常に小さいものになる。電圧によりコンデンサ容量が変化するために、この応答は電圧の関数(可変コンデンサ10の容量が電圧の関数のため)となる。低電圧の時は容量が大きく応答時間が長くなり本例では安定状態になるまで30秒程度となった。このように抵抗器とコンデンサの組み合わせによっては非常に低速での制御しか出来なくなる。
そこで、抵抗器14a、14bは可変コンデンサ10のインピーダンスとの関係で定数を決めているので、可変コンデンサ10のインピーダンスごとに値を変えても大きいな問題は生じない。従って、例えば抵抗器14bにトランジスタを並列接続し、このトランジスタで抵抗値を変化させることでこの時定数を調整すれば高速化が図れることになる。
後述電源装置は、図7Aに示す如く、基準値と比較されたエラー信号に応じた信号を制御電圧V1として使用しているが、それと逆向きの信号V3によりトランジスタのコレクターエミッタ間抵抗値を図7Bに示す如く制御すればよい。同じように抵抗器14aを制御することも可能であるし、トランジスタそのものを抵抗器14bとすることも可能である。抵抗器14a、14bを合成容量や可変コンデンサ10の容量の変化に合わせ、例えば可変コンデンサ10の容量が大きい時は低抵抗値に、可変コンデンサ10の容量が小さい時は高抵抗値に制御すればよい。図7A、Bに示す如く、可変コンデンサ10の容量Cの可変範囲と同じだけ抵抗器14bの値Rも可変させRCをほぼ一定にすれば直流電圧が高い時の応答に揃えることが出来、数倍早くすることが可能になる。
図8、図11、図13及び図15は、夫々本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の他の例を示す。この図8、図11、図13及び図15につき説明するに、図1に対応する部分には同一符号を付して示し、その詳細説明は省略する。
図8Aは、分岐構成の基本構成例を示す。図8Aにおいては、可変コンデンサ10の一端の制御端子11aを直流阻止用のコンデンサ12aを介して交流信号の入力端子13aに接続すると共にこの制御端子11bを直流阻止用のコンデンサ12bを介して交流信号の出力端子13bに接続する。この場合、交流信号に方向はないので、入力端子13a及び出力端子13bは、互いに逆であっても良い。
また、この制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aに接続すると共に可変コンデンサ10の他端の制御端子11bを抵抗器14bを介して直流電圧V2の制御信号が供給される制御信号入力端子15bに接続する。
この場合、制御信号入力端子15bをグランドとし、制御信号入力端子15aよりの直流電圧V1の制御信号だけで制御するようにしても良い。
この図8A例は、分岐構成としたもので、可変コンデンサ10は、交流信号の入出力ラインから分岐されており、負荷電流は、抵抗器14a、14bを無視すればコンデンサ12a、12bにのみ流れるため、図1例の構成に対し、同じ可変コンデンサ10の容量でも許容電流を大きくすることが容易である。
図1例では電圧降下を大きくしたいときに制御信号の印加直流電圧を大きくすると、流せる交流電流が小さくなってしまうのに対し、この図8A例では、電圧降下を大きくしたいときに制御信号の印加直流電圧を小さくし、可変コンデンサ10に大きな交流電流を分岐させる方向となる。
図8Aにおいて、コンデンサ12a、12b、可変コンデンサ10、抵抗器14a、14bを図1Aの上述例と同じ定数としたときの測定結果を図9に示す。図9の曲線iは、コンデンサ12a、12b及び可変コンデンサ10の合成容量、図9の曲線jは、可変コンデンサ10の容量、図9の曲線kは、50Hzのときの合成インピーダンスである。この合成インピーダンスは約11Ω〜94Ωの変化を示した。
このコンデンサ12aのインピーダンスは3Ωなので、可変コンデンサ10のインピーダンスとしては8Ω〜91Ωとなり、コンデンサ12aと可変コンデンサ10とで減衰器を構成していることになる。
本例の電力制御装置としては、図10に実線で示す如く、制御電圧が上がるとコンデンサ12bのインピーダンスが上がるために、減衰器としては、減衰量が減り、図1例とは逆向きの制御方向となる。高温時においては、図10に破線で示す如く、減衰量が減る方向、つまり電圧降下の範囲が狭くなるので、省エネ効果が減ってしまうが、負帰還制御ができなくなる恐れはなくなる。
図8B例は、図8Aの可変コンデンサ10に補正用の固定コンデンサ10aを並列に接続したものであり、図8C例は、図8Aの可変コンデンサ10に補正用の固定コンデンサ10aを直列に接続したものであり、この図8B及び図8C例においても図8A例同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
図8D例は、図8Aに示す如き可変コンデンサ10を交流信号の入力端子13a及び出力端子13b間に2段設けたもので、この図8Dは図8Aにおいて、可変コンデンサ10と同様の可変コンデンサ20の一端の制御端子21aを直流阻止用コンデンサ12bを介して制御端子11aに接続すると共にこの制御端子21aを直流阻止用のコンデンサ22を介して出力端子13bに接続し、この制御端子21aを抵抗器23aを介して直流電圧V4の制御信号が供給される制御信号入力端子24aに接続すると共に可変コンデンサ20の他端の制御端子21bを抵抗器23bを介して直流電圧V5の制御信号が供給される制御信号入力端子24bに接続する。
斯かる図8D例においても、図8A例同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
図11例は、可変コンデンサを複数設けた分岐構成を示す。図11Aは、この可変コンデンサを複数設けた分岐構成の基本構成例を示し、この11Aにおいては、可変コンデンサ10の一端及び他端の制御端子11a及び11bを夫々直流阻止用コンデンサ12a及び12bを介して交流信号の入力端子13a及び出力端子13bに接続する。
この制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aに接続し、この制御端子11bを抵抗器14bを介して直流電圧V2の制御信号が供給される制御信号入力端子15bに接続する。
本例においては、可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ30の一端の制御端子を制御端子11bに接続し、この可変コンデンサ30の他端の制御端子31を抵抗器14cを介して直流電圧の制御信号が供給される制御信号入力端子15cに接続する。
この図11A例においては、2つの可変コンデンサ10及び30を有するため、コンデンサの2つの可変コンデンサ10及び30の制御方向を互いに逆向きにすることで、減衰器としての減衰量を大きくすることができる。
図11Aにおいて、例えば制御信号入力端子15cをグランドとし、制御信号入力端子15aにハイレベル信号を供給してハイレベルとし、制御信号入力端子15bに供給する直流電圧V2の制御電圧で制御したときには、可変コンデンサ10及び30は互いに逆向きに制御され、図12の曲線lに示す如き減衰特性が得られる。
また、上述とは逆に、制御信号入力端子15cをハイレベルとし、制御信号入力端子15aをグランドとし、制御信号入力端子15bに供給する直流電圧V2の制御電圧で制御したときには、図12の曲線mに示す如く、曲線lと逆に動く特性となる。
図11B及び図11Cは、夫々図11Aの拡張構成例を示し、図11Bは図11Aの構成の制御端子11bと直流阻止用コンデンサ12bとの間に可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ32を接続し、この可変コンデンサ32の他端の制御端子33を抵抗器14dを介して直流電圧の制御信号が供給される制御信号入力端子15dに接続する。
また、図11Cは、図11Bにおいて可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ34の一端の制御端子を制御端子33に接続し、この可変コンデンサ34の他端の制御端子35を抵抗器14eを介して直流電圧の制御信号が供給される制御信号入力端子15eに接続する。
この図11B及び11C例においても、図11A例同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
図13は、1入力2出力の例を示す。図13例においては、可変コンデンサ10の一端及び他端の夫々の制御端子11a及び11bを夫々直流阻止用コンデンサ12a及び12bを介して交流信号の入力端子13a及び出力端子13bに接続する。
この制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aに接続し、この制御端子11bを抵抗器14bを介して直流電圧V2の制御信号が供給される制御信号入力端子15bに接続する。
また、可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ36の一端の制御端子を制御端子11bに接続し、この可変コンデンサ36の他端の制御端子37を直流阻止用コンデンサ12cを介して交流信号の出力端子13cに接続し、この制御端子37を抵抗器14fを介して直流電圧V6の制御信号が供給される制御信号入力端子15fに接続する。
この図13において、制御信号入力端子15aをグランドとし、制御信号入力端子15b及び15fに夫々別々の制御信号(制御電圧)V2及びV6を供給して制御したときには、出力端子13b及び13cに図14に示す如き出力1及び出力2を得ることができる。
この図13例によれば、トランスの出力端子を増やすことなく、出力電圧をマルチ化することができる。
また、この図13例においては、入出力に方向はないので、この図13例を2入力1出力としても使用することができる。
図15例は、交流信号に対する耐圧を上げるようにした例を示す。図15Aにおいては、可変コンデンサ10の一端の制御端子11aを直流阻止用コンデンサ12aを介して交流信号の入力端子13aに接続すると共にこの制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aに接続する。
この可変コンデンサ10の他端の制御端子11bを抵抗器14bを介して直流電圧V2の制御信号が供給される制御信号入力端子15bに接続する。
この図15A例においては、可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ38の一端の制御端子を制御端子11bに接続し、この可変コンデンサ38の他端の制御端子39を直流阻止用コンデンサ12bを介して交流信号の出力端子13bに接続すると共にこの制御端子39を抵抗器14gを介して直流電圧V7の制御信号が供給される制御信号入力端子15gに接続する。
斯かる、図15A例において、制御信号入力端子15bをグランドとし、制御信号入力端子15a及び15gに同じ制御電圧を供給したときには、交流信号は可変コンデンサ10及び38で分圧されるので、交流信号に対する耐圧は2倍となる。
斯かる、図15A例によれば、交流信号と直流電圧の制御信号との耐圧を別に設定できるため、低い直流電圧の制御信号で高い電圧の交流信号を制御することができる。
図15B例は、図15A例に更にもう1つの可変コンデンサ10と同様に構成した可変コンデンサ40を設けたもので、この可変コンデンサ40の一端の制御端子を制御端子39に接続し、この可変コンデンサ40の他端の制御端子41を直流阻止用のコンデンサ12bを介して出力端子13bに接続すると共にこの制御端子41を抵抗器14hを介して直流電圧の制御信号が供給される制御信号入力端子15hに接続する。
この15B例においては、可変コンデンサ40が増えた分だけ交流信号に対する耐圧を上げることができる。
図16例は、シリーズレギュレータ方式の電源装置の例を示し、本例においては、電源トランスの2次側に図8A例に示す電力制御装置を適用した例を示す。この図16例は、交流100Vの商用電源1の一端及び他端を電源トランス7の1次巻線7aの一端及び他端に接続する。
この電源トランス7は商用電源1を約交流8Vに降圧するように構成したもので、この電源トランス7の2次巻線7bの一端を入力端子13a、直流阻止用のコンデンサ12a及び12bの直列回路、出力端子13bを介してダイオードブリッジより成る整流回路3の一方の入力端子に接続し、このコンデンサ12a及び12bの接続点である可変コンデンサ10の一端の制御端子11aを抵抗器14aを介して直流電圧V1の制御信号が供給される制御信号入力端子15aである後述するエラーアンプを構成する演算増幅回路8の出力端子に接続する。
また、可変コンデンサ10の他端の制御端子11bを抵抗器14bを介して制御信号入力端子15bに接続する。本例では、この制御信号入力端子15bをグランド即ち整流回路3の他方の出力端子である接地端子に接続する。
この場合、本例では、可変コンデンサ10として22μFの温度特性がF特性の積層セラミックコンデンサを20個並列接続して440μF(定格電圧16V)としたものを使用し、コンデンサ12aとして3300μFの電解コンデンサを使用し、コンデンサ12bとして2200μFの電解コンデンサを使用し、抵抗器14aとして10kΩの抵抗器を使用し、抵抗器14bは0Ωとした。
この電源トランス7の2次巻線7bの他端を整流回路3の他方の入力端子に接続し、この整流回路3の一方及び他方の出力端子間に平滑用コンデンサ6aを接続する。
この整流回路3及び平滑用コンデンサ6aで平滑された直流電圧を3端子の5Vの定電圧回路9を介して直流電圧の一方及び他方の出力端子4a及び4bに供給する。この一方及び他方の出力端子4a及び4b間に平滑用コンデンサ6bを接続する。
本例においては、この整流回路3の出力側に得られる平滑直流電圧をエラーアンプを構成する演算増幅回路8の一方の入力端子に供給すると共にこの演算増幅回路8の他方の入力端子を基準電圧例えば6Vの電池8aを介して接地する。
図16例の電源装置は、上述如く構成されているので、整流回路3の出力側の平滑直流電圧は基準電圧と比較され、片電源動作可能な演算増幅回路8により差動増幅され、制御信号入力端子15aにフィードバックされ、整流回路3の出力側の平滑直流電圧が基準電圧の6Vになるように制御される。
従来の電源装置である図16例に本例の電力制御装置を設けないときは、電源トランス7の出力電圧は、交流100V入力時、整流出力で9.6V(0.5A)、交流85V入力時、整流出力で8.6V(0.5A)である。この場合、設計マージンを考慮しなければならないために最大定格時
(9.6−5)V×0.5A=2.3W
もの電力損失が3端子定電圧回路9で生じている。
これに対し、図16例では、整流回路3の出力側を6.0Vになるように本例電力制御装置で制御しているので、この電力損失は、
(6.0−5)V×0.5A=0.5W
となり、この図16例によれば、1.8Wの大幅な省エネが達成できる。
更に、電力損失が1W以下となるため放熱のためのヒートシンクが不要になり、省スペース及びコスト削減という効果も生じる。
また、図17及び図18は夫々電源装置の他の例を示す。この図17例及び18例に付き説明するに、図16及び図1Aに対応する部分には同一符号を付して示し、その詳細説明は省略する。
図17例においては、電源トランス7の2次巻線の一端と整流回路3の一方の入力端子と間に図1Aに示す電力制御装置を接続したもので、この他方の制御信号入力端子15bを接地したものである。その他は、図16例と同様に構成したものである。
この図17例においては、電源トランス7の2次巻線7bと整流回路3との間に図1Aに示す電力制御装置を接続して、この電力制御装置のインピーダンスを変えることで電圧降下量を制御し、整流回路の入力直流電圧を安定化させて、整流直流電圧を安定化させるようにしたものである。
この図17例においても図16例同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。この図17例は、図16例と異なり分岐電流が流れないことと交流印加電圧が小さくなるという相違がある。これは図16例では、常に電源トランス7の出力と大地間の電位差が加わるのに対し、図17例では、電力制御装置に流れる電流(負荷電流と略同じ)で、加わる電位がきまる。
図18例は、電源トランス7の2次巻線の一端を図1Aに示す電力制御装置の入力端子13aに接続し、出力端子13bを接地すると共に他方の制御信号入力端子15bを接地し、その他を、図16例と同様に構成したものである。
この18例は、電源トランス7の2次巻線7bの一端と大地との間に図1A例の電力制御装置を接続して分岐電流を流すようにしたもので、分岐電流を流すことは、図16例と同じであるが、この図18例では、電源トランス7の2次巻線7bと整流回路3とは直結されるので、直流成分が除去されない相違がある。
この図18例の電圧降下は、電源トランス7の出力インピーダンスを利用して達成しており、図16例の電源トランス7の出力インピーダンスとコンデンサ12bのインピーダンスとの合成値での電圧降下より、図18例の電圧降下の範囲が広くなる。この図18例においても図16例同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
以上述べてきた、本例の電力制御装置は、基本構成がコンデンサであるために、入出力端子間の電圧降下に起因するエネルギー損失は、誘電損失や等価直列抵抗等に依存し、極微小に抑えられる。
更に、制御に関するエネルギーも制御信号の変化時のみ電流が流れる電圧駆動タイプとなり極微小に抑えられる。しかも、スッチング素子ではないためノイズの発生もなく、新たなノイズ対策も不用であるためにコンデンサによる電圧降下分を最初から見込んでおくだけで、現在の回路を殆ど変更することなく本例電力制御装置を組み込むことができる。
尚、前述の説明では直流電圧により積層セラミックコンデンサの容量を可変する例を述べたが、制御信号は直流電圧である必要はなく抵抗器を介して可変コンデンサに制御電圧を印加することからPWM信号などのパルスのデューティー比でもよい。そのほかにも電流、温度、機械的圧力またはこれらの組み合わせでもよい。変化させるものは誘電率である必要はなく、電極間距離、電極面積、またはこれらの組み合わせでもよい。
この直流電圧による誘電率変化以外の容量変化の例として、(a)に温度による誘電率の変化によるもの、(b)は静電ポリマーの伸縮により電極間距離及び、又は電極面積の変化によるものである。
例えば積層セラミックコンデンサの部品温度をペルチャ素子の発熱、吸熱作用により制御することで容量変化を起こすことが出来る。また機械的圧力の場合では静電ポリマーをピエゾ素子等の圧電デバイスにより伸縮させることで容量変化を起こすことができる。これらは可変コンデンサに制御端子を直接有する必要がないため、入出力は制御系と完全に分離されるうえに一次二次の距離的分離が容易であり、一次側に電力制御装置を配置する時に有利となる。
また、可変コンデンサは積層セラミックコンデンサである必要はなく、前述したように容量が可変でき必要な耐圧があればよく、圧電素子、静電エラストマーなどの利用が可能である。
可変コンデンサに求められる仕様は使われる回路の電圧、電流、周波数で決まり、種々の部品を組み合わせることで大電力からμWまで対応が可能である。交流電源で動作する全ての機器の電源回路または電力制御回路が対象となるだけでなく、電池で動作する例えばmWクラスのシリコンオーディオ等のDC/DCコンバータに組み込むことも可能ありで小型、低コスト化にて省エネが可能となる。
また、上述例では、制御信号を抵抗器を介して可変コンデンサに供給するように述べたが、この抵抗器の代わりにインダクタであっても良いことは勿論である。
以下、図面を参照しながら、この発明の他の実施の形態について説明する。
図20は他の実施の形態を示すものであり、図20Aに上述した図1における基本回路構成と、図20Bに本発明における他の実施の形態の基本回路構成を示す。また、理解を助けるために図20Bと同じ回路構成を図20C,図20Dにブリッジとして示した。図20A、図20B、図20C、図20D中のRLは負荷抵抗を示してあり、矢印・実線は可変コンデンサC2に流れる負荷電流の経路を示し、矢印・点線は制御電圧E及び制御コンデンサCCからなる制御回路に流れる不要な電流経路である。
説明のため全てのコンデンサの容量を1Cとし可変コンデンサの最小値を0.2Cとした。可変コンデンサが最大値のときに同じ電流が流れて負荷抵抗RLに同じAC85Vが加わるように図20Bのコンデンサの最大値は図20Aの値の2/3(0.67C)としてある。
図20Aの構成は3つのコンデンサC1〜C3により構成されるが実際に可変するコンデンサはC2のみとなっている。制御信号は抵抗R1,R2を介してC2のみに印加されている。可変コンデンサC2に固定コンデンサC1,C3が接続されるために全体での容量は0.33C(最大値)〜0.14C(最小値)となる。また可変コンデンサC2端子間ではAC電圧差が生じるため制御回路とは抵抗R1,R2として10KΩの抵抗により接続し、制御回路への不要電流を小さくしている。
この抵抗R1,R2の抵抗値が大きいほうが不要な経路に流れる電流が減り無駄な電力が削減される。可変コンデンサC2の絶縁抵抗値は10MΩ以上のため静特性としてはもっと大きな値も可能であるが、抵抗R1,R2と可変コンデンサC2により決定される応答速度の関係で必要以上に大きくすることは難しい。
図20Bの構成は4つのコンデンサC1〜C4により構成され制御電圧EがC1,C2及びC3,C4にそれぞれ印加されるため全てのコンデンサが可変コンデンサとして動作する。AC信号はC1,C2の中間点及びC3,C4の中間点に印加されるためにC1=C2、C3=C4であればC1,C2の中間点及びC3,C4の中間点は制御電圧Eの中点でありDC的には等価となり制御電圧Eの交流回路への影響はない。同じくC1,C4の中間点及びC3,C2の中間点である制御端子にはAC電位差は生じず(92.5V)制御回路に不要なAC電流が流れることはない。
実際にはコンデンサ間の容量ばらつきにより若干の電位差が生じる可能性があるため抵抗R1,R2の抵抗値をゼロにはできないが図20Aに比べれば大幅に小さくすることが可能で10Ω程度でも十分なため応答速度が改善される。さらにコンデンサC1〜C4全体の合成容量は0.67C(最大値)〜0.14C(最小値)と最大容量と変化範囲を増加させることができることが分かる。
制御電圧に対する容量変化及びインピーダンスの実測値を図21に示す。縦軸はコンデンサC1〜C4の合成容量101及びインピーダンス102を、横軸は制御電圧Eを示し、コンデンサ耐圧1Vを基準としてそれぞれ相対値で示してある。容量・耐圧が同じ4つのコンデンサC1〜C4による合成容量101はコンデンサひとつ分の容量1C(左上)となりこのとき耐圧はコンデンサ二つ分の2Vとなる。制御電圧としてE=V(コンデンサ一個分の耐圧に相当)を印加したときに容量は0.4C以下(右下)に変化した。
図22は4端子可変コンデンサとして積層した例を示した。図22Aは4端子積層セラミックコンデンサ、図22Bは内部電極と外部電極、図22Cは積層の例である。
図22A、図22Cで示す4端子積層セラミックコンデンサでは、制御端子1(113)で示す制御電極1、交流端子1(111)で示す交流電極1、制御端子2(114)で示す制御電極2、交流端子2(112)で示す交流電極2のように制御電極1,2と交流電極1,2が交互になるように積層されている。
そして、図22Bで示すように、内部電極である制御電極1,2と交流電極1,2が、それぞれ相対する外部電極である制御端子1(113)、制御端子2(114)と交流端子1(111)、交流端子2(112)に接続されている。この外部電極がメッキ電極品115として成形され、下地電極116の上から、ニッケルメッキ117及び錫メッキ118が施される。
図22Cで示す4端子積層セラミックコンデンサから積層の一部の4つのコンデンサC1〜C4部分を抜き出すと基本構成になっていることが分かるように、基本構成となるコンデンサ列をそのまま重ねて外部電極で並列に接続することで容量を増やす積層構造を簡単に構成することが可能である。
図23に制御電極1,2が2つごとに交流電極1,2を1つ積層する場合を示す。図23Aはそのままの積層、図23Bは積層の工夫を示す。
図23Aに交流端子1(111)で示す交流電極1、制御端子1(113)で示す制御電極1、制御端子2(114)で示す制御電極2、交流端子2(112)で示す交流電極2、制御端子1(113)で示す制御電極1、制御端子2(114)で示す制御電極2、交流端子1(111)で示す交流電極1とそのまま積層した場合を示す。
この場合には、121に示すように、1Vの制御電圧のプラス(+)とマイナス(−)がC2又はC5のようにそれぞれコンデンサ1個に印加されるものと、122に示すように、1/2Vの制御電圧のマイナス(−)とプラス(+)がC3及びC4のようにそれぞれコンデンサ2個に印加されるものの二つの場合ができてしまい、交流電極間にDC電位差が生じるなど積層時に問題が生じてしまう。
これはC1〜C3、C4〜C6のように積層単位が3つの直列コンデンサ列となっているためであり、図23Bに示したように、C3及びC4のコンデンサ2個の両端に制御電圧のマイナス(−)が印加されるようにし、C5のようにコンデンサ1個に1Vの制御電圧のマイナス(−)とプラス(+)が印加されるようにして制御電極の順序を積層ごとに逆にすることで対応が可能となる。
図24に可変コンデンサのAC列数とDC列数が異なる他の基本構成を示す。図24Aは可変コンデンサ6個でAC4列DC2列、図24Bは可変コンデンサ6個の変形を示す。
図24Aは6つの可変コンデンサC1〜C6で構成し、制御電圧EはD1、C1、C2、D2のループと、D3、C5、C6、D4のループと、D3、C4、C3、D2のループに流れる。しかし、交流電圧のAC100Vは可変コンデンサC2〜C5のループに流れる。このように、制御電圧Eは2つの直列コンデンサ間同士に印加する制御電圧をそれぞれ順方向に接続されたダイオードを介して印加することで、DC的には2個の可変コンデンサが直列でありながらAC的には4個の可変コンデンサが直列となっている。こうすることでより低い制御電圧でより大きなAC電圧を制御することが可能となる。
図24Bはこの回路を分かりやすく変形したものでダイオードの接続方向により制御電圧Eに方向性が生じること、また例えばD1が逆方向となるためC1からC5を経由してAC電流が流れない。同様に、D4が逆方向となるためC2からC6を経由してAC電流が流れないこと、つまりコンデンサ2個直列の経路が逆方向のダイオードで遮断されていることが分かる。
図25は図24を拡張して高AC耐圧低制御電圧の例を示すもので図示したようにDC的には2個直列ごとに制御電圧を順方向のダイオードを介して印加しながらコンデンサをC2n−1,C2nまで直列に接続していけばAC直列コンデンサの数はいくらでも増やすことが可能であり高耐圧の可変コンデンサを低い電圧で制御できるようになる。
図26は図24の拡張例であり、図26Aは可変コンデンサ8個でAC6列DC2列、図26Bは可変コンデンサ10個でAC8列DC2列を示す。このように、DC列数は2列、AC列数は2nで増加する(nは整数)。
図26Aは2n=6からn=3(奇数)の場合で、このとき、AC100Vは可変コンデンサC2〜C7の6個の可変コンデンサが直列で合計6列、DCの制御電圧EはD1、C1、C2、D2と、D3、C5、C6、D4と、D3、C4、C3、D2、D5、C8、C7、D4の2個ずつの可変コンデンサが直列でそれぞれ2列となる。ここで、制御電圧Eのプラス(+)側のダイオードはD1、D3、D5の3個(=n)であるが、マイナス(−)側のダイオードはD2、D4の2個(=n−1)となる。
図26Bは2n=8からn=4(偶数)の場合で、このとき、AC100Vは可変コンデンサC2〜C9の8個の可変コンデンサが直列で合計8列、DCの制御電圧EはD1、C1、C2、D2と、D3、C5、C6、D4と、D3、C4、C3、D2、D5、C8、C7、D4、D5、C9、C10、D6の2個ずつの可変コンデンサが直列でそれぞれ2列となる。ここで、制御電圧Eのプラス(+)側のダイオードはD1、D3、D5の3個(=n−1)であり、マイナス(−)側のダイオードもD2、D4、D6の3個(=n−1)となる。
また、本発明は上述例に限ることなく、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成が採り得ることは勿論である。
本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明電力制御装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明電源装置を実施するための最良の形態の例を示す構成図である。 本発明電源装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明電源装置を実施するための最良の形態の他の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明における他の実施の形態を示すものであり、図20Aは図1における基本回路構成と、図20Bは本発明における他の実施の形態の基本回路構成、図20Cは理解を助けるための回路構成,図20Dはブリッジである。 制御電圧に対する容量変化及びインピーダンスの実測値を示す図である。 4端子可変コンデンサとして積層した例を示す図であり、図22Aは4端子積層セラミックコンデンサ、図22Bは内部電極と外部電極、図22Cは積層の例である。 制御電極1,2が2つごとに交流電極1,2を1つ積層する場合を示す。図23Aはそのままの積層、図23Bは積層の工夫を示す。 可変コンデンサのAC列数とDC列数が異なる他の基本構成を示す。図24Aは可変コンデンサ6個でAC4列DC2列、図24Bは可変コンデンサ6個の変形を示す。 図24を拡張して高AC耐圧低制御電圧の例を示す図である。 図24の拡張例を示す図であり、図26Aは可変コンデンサ8個でAC6列DC2列、図26Bは可変コンデンサ10個でAC8列DC2列を示す。 従来の電源装置の例を示す構成図である。
符号の説明
1…商用電源、3…整流回路、4a、4b…直流電圧出力端子、6a、6b…平滑用コンデンサ、7…電源トランス、8…演算増幅回路、9…3端子定電圧回路、10…可変コンデンサ、11a、11b…制御端子、12a、12b…コンデンサ、13a…入力端子、13b…出力端子、14a、14b…抵抗器、15a、15b…制御信号入力端子

Claims (8)

  1. 交流信号の入力端子及び出力端子と、
    前記入力端子及び出力端子間に接続された直流阻止用コンデンサと、
    前記入力端子及び出力端子間に接続され、制御信号により容量が変化する可変コンデンサとを有し、
    前記制御信号で前記可変コンデンサの容量を変化させることで前記交流信号の電圧又は電流を制御するようにしたことを特徴とする電力制御装置。
  2. 交流信号が1次巻線に供給する電源トランスの2次巻線の一端を電力制御装置の入力端子に接続し、前記電力制御装置の出力端子を整流回路の一方の入力端子に接続すると共に前記2次巻線の他端を前記整流回路の他方の入力端子に接続し、前記電力制御装置の入力端子及び出力端子間に直流阻止用コンデンサを設けると共に制御信号により容量が変化する可変コンデンサを設け、前記整流回路の出力側に得られる平滑直流電圧と基準電圧とから生成するエラー信号を前記制御信号として前記可変コンデンサの容量を制御するようにしたことを特徴とする電源装置。
  3. 交流信号が1次巻線に供給する電源トランスの2次巻線の一端を整流回路に接続すると共に前記2次巻線の他端を前記整流回路の他方の入力端子に接続し、前記2次巻線の一端を電力制御装置の入力端子に接続すると共に前記電力制御装置の入力端子及び出力端子間に直流阻止用コンデンサを設けると共に制御信号により容量が変化する可変コンデンサを設け、前記整流回路の出力側に得られる平滑直流電圧と基準電圧とから生成するエラー信号を前記制御信号として前記可変コンデンサの容量を制御するようにしたことを特徴とする電源装置。
  4. 交流信号の入力端子及び出力端子と、
    前記入力端子及び出力端子間に接続されたコンデンサと、
    前記入力端子及び出力端子間に接続され、制御信号により容量が変化する可変コンデンサとを有し、
    前記制御信号で前記可変コンデンサの容量を変化させることで前記交流信号の電圧又は電流を制御するようにしたことを特徴とする電力制御装置において、
    前記コンデンサと前記可変コンデンサとが直列接続されたコンデンサ列が並列接続されている構成において並列接続端子間に前記制御信号が印加され、直列接続の中点端子間に前記交流信号が印加される回路構成を
    特徴とする電力制御装置。
  5. 前記制御信号を供給する制御電圧が印加される直列に接続されるコンデンサの容量、耐圧が等しいことを特徴とする請求項4に記載の電力制御装置。
  6. 前記制御信号を供給する二つの制御端子と前記交流信号が印加される二つの交流端子を有し、前記二つの制御端子のうちの制御端子1を有する誘電体、前記二つの交流端子のうちの交流端子1を有する誘電体、前記二つの制御端子のうちの制御端子2を有する誘電体、前記二つの交流端子のうちの交流端子2を有する誘電体が順次積層されていることを特徴とする請求項5に記載の電力制御装置。
  7. 交流信号の入力端子及び出力端子と、
    前記入力端子及び出力端子間に接続されたコンデンサと、
    前記入力端子及び出力端子間に接続され、制御信号により容量が変化する可変コンデンサとを有し、
    前記制御信号で前記可変コンデンサの容量を変化させることで前記交流信号の電圧又は電流を制御するようにしたことを特徴とする電力制御装置において、
    前記コンデンサと前記可変コンデンサとが直列接続されたコンデンサ列が並列接続されている構成において外部電極にて並列接続にするコンデンサ列ごとに前記制御信号を供給する制御電極の積層順序を変えて積層されることを特徴とする電力制御装置。
  8. 交流信号の入力端子及び出力端子と、
    前記入力端子及び出力端子間に接続されたコンデンサと、
    前記入力端子及び出力端子間に接続され、制御信号により容量が変化する可変コンデンサとを有し、
    前記制御信号で前記可変コンデンサの容量を変化させることで前記交流信号の電圧又は電流を制御するようにしたことを特徴とする電力制御装置において、
    前記制御信号を供給する制御電圧が前記可変コンデンサのうちの制御対象の可変コンデンサに対してダイオードを介して印加される
    ことを特徴とする電力制御装置。
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