JP2007235363A - 特性決定方法,コモンモードフィルタおよび通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板10,ハーネス30および第2基板20それぞれをSパラメータでモデル化し、このSパラメータに基づいて第1基板10とハーネス30との間を流れるコモンモード電流iLを算出する。次に、電流算出手順にて算出したコモンモード電流が最小となるようなコモンモードフィルタのSパラメータを算出し、このSパラメータで特定される特性を、コモンモードフィルタ18の新たな特性として決定する。
【選択図】図2
Description
該モデル化手順にてモデル化したSパラメータに基づいて前記差動伝送線路を流れるコモンモード電流を、電流算出手順によって算出する。次に、該電流算出手順にて算出したコモンモード電流が所定のしきい値以下となるようなコモンモードフィルタのSパラメータを、パラメータ算出手順によって算出する。そして、該パラメータ算出手順にて算出したSパラメータで特定される特性を、特性決定手順によってコモンモードフィルタの特性として決定する。
(1)全体構成
通信システム1は、図1に示すように、第1基板10,第2基板20,この両者を接続するハーネス30などからなる。
ハーネス30は、ツイストペアケーブルで構成された差動通信用の伝送線路である。
(2)コモンモードフィルタの特性
上述した第1基板10のコモンモードフィルタ18は、以下に示す特性決定方法のいずれかにてその特性が決定されたものである。その手順について以下に説明する。
(2−1)特性決定方法その1
まず、通信システム1を、図2に示すように、トランシーバIC12,コモンモードフィルタ18,配線パターン16,ハーネス30,第2基板20それぞれを4ポート(入力,出力にそれぞれ2つずつの線路)のデバイスとしてモデル化した構成を想定する。
このモデル化手順では、まず、上記モデルのトランシーバIC12を、2つの信号源E1,E2およびインピーダンスZ1,Z2からなる等価回路とみなし、この等価回路に基づいてSパラメータ「Sic」を算出する。ここで、トランシーバIC12を等価回路とみなすにあたっては、まず、図3に示すように、トランシーバIC12に負荷回路100を接続した状態で、この負荷回路100における特定の抵抗(図3のr1,r2参照)を複数の値それぞれに変化させた場合における全ての抵抗(図3のr1〜r3参照)それぞれの電圧波形を測定する。そして、こうして測定された電圧波形をFFT(Fast Fourier Transform)によりスペクトル解析し、各周波数成分から最小二乗法により求められるパラメータに基づいて信号源E1,E2およびインピーダンスZ1,Z2の推定値を得る。こうして得られた信号源およびインピーダンスに基づいて、トランシーバIC12のSパラメータが算出される。なお、このトランシーバIC12からみたコモンモードフィルタ18との間における入射波と反射波との関係は、下記の式1−1のようになる。
続いて、コモンモードフィルタ18のSパラメータ「Scf」を、ネットワークアナライザにて実測し、その値を得る。ここで、コモンモードフィルタ18からトランシーバIC12をみた場合の入射波と反射波との関係は、下記の式1−2のようになる。
続いて、配線パターン16のSパラメータ「Sbd」を、ネットワークアナライザにて実測し、その値を得る。ここで、配線パターン16からコモンモードフィルタ18をみた場合における入射波と反射波との関係は、下記の式1−4のようになる。
続いて、ハーネス30と第2基板20とを結合したブロックのSパラメータ「Sld」を、ネットワークアナライザにて実測し、その値を得る。ここで、ハーネス30から第1基板10をみた場合における入射波と反射波との関係は、下記の式1−6のようになる。
ここでは、まず、第1基板10とハーネス30との間における伝送線路それぞれを流れる電流iL1,iL2を、上記式1−5,式1−6,および,電流iL1,iL2を示す下記の式1−7,1−8に基づいて算出する。そして、こうして算出した各電流iL1,iL2,および,下記の式1−9に基づいてコモンモード電流iLを算出する。
iL=(iL1+iL2)/2 … (1−9)
次に、電流算出手順にて算出したコモンモード電流が所定の最小となるようなコモンモードフィルタのSパラメータを算出する(パラメータ算出手順)。ここでは、コモンモードフィルタ18が対称な性質を有するものであることを条件として、上記の式1−9にて算出されるコモンモード電流が最小となるパラメータ(Sパラメータ)を算出する。この最小となるSパラメータは,勾配法等の最適化アルゴリズムによって求められる.
そして、パラメータ算出手順にて算出したSパラメータで特定される特性を、コモンモードフィルタ18の新たな特性として決定する(特性決定手順)。
(2−2)特性決定方法その2
続いて、上記特性決定方法とは別の方法について説明する。
次に、電流算出手順にて算出したコモンモード電流が最小となるようなコモンモードフィルタ18のSパラメータを算出する(パラメータ算出手順)。ここでは、コモンモードフィルタ18が無損失のものであることを条件として、上記の式2−2にて算出されるコモンモード電流が最小となるパラメータ(Sパラメータ)を算出する。ここで、ミックスモードSパラメータに関しては、コモンモードフィルタ18における特性の対称性を考慮すると、下記の式2−3,2−4が成立する。
Smmcc12=Smmcc21 … (2−4)
また、ここで、コモンモードフィルタ18が無損失のものであることを前提にすると、下記の式2−5が成立する。
よって、上記の式2−2,2−3,2−4,2−5に基づき、コモンモード電流Fcc(Smmcc11,Smcc12)の絶対値が最小になるパラメータ(Sパラメータ)を算出することとすればよい。このSパラメータをもとめる際には,勾配法等の最適化アルゴリズムを用いて,算出することができる.
そして、パラメータ算出手順にて算出したSパラメータで特定される特性を、コモンモードフィルタ18の新たな特性として決定する(特性決定手順)。
(3)作用,効果
このように構成された第1基板10のコモンモードフィルタ18は、上述した特性決定方法によって、その特性が決定されたものである。この方法では、コモンモードフィルタ18が設けられる第1基板10を含めた通信システム1全体の中で、そのコモンモードフィルタ18として望ましい特性,具体的にいうと、コモンモード電流を抑制するのに適した特性を決定している。そのため、この方法により決定した特性を有するコモンモードフィルタ18を用いれば、このコモンモードフィルタ18が設けられる伝送線路において、コモンモード電流を充分に抑制することができる。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
Claims (4)
- 差動通信を行うための伝送線路である差動伝送線路を介してデータを送受信するノードとして、コモンモードフィルタを有する第1のノードとコモンモードフィルタを有しない第2のノードとが存在する通信システムのうち、前記第1のノード内の伝送線路に設けられるコモンモードフィルタの特性を決定するための特性決定方法であって、 前記第1のノード,前記差動伝送線路および前記第2のノードそれぞれをSパラメータでモデル化するモデル化手順と、
該モデル化手順にてモデル化したSパラメータに基づいて前記差動伝送線路を流れるコモンモード電流を算出する電流算出手順と、
該電流算出手順にて算出したコモンモード電流が最小となるようなコモンモードフィルタのSパラメータを算出するパラメータ算出手順と、
該パラメータ算出手順にて算出したSパラメータで特定される特性を、コモンモードフィルタの特性として決定する特性決定手順と、からなる
ことを特徴とする特性決定方法。 - 前記モデル化手順では、前記第1のノードをSパラメータでモデル化するにあたり、該第1のノードにおいてデータの送信を制御するデータを送信電圧に変換して伝送線路を駆動するトランシーバIC,および,該トランシーバICにより送信されるデータを伝送する伝送線路それぞれのSパラメータを算出し、該算出したSパラメータそれぞれを結合することにより、前記第1のノードのモデル化を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の特性決定方法。 - 差動通信を行うための伝送線路である差動伝送線路を介してデータを送受信するノードとして、コモンモードフィルタを有する第1のノードとコモンモードフィルタを有しない第2のノードとが存在する通信システムのうち、前記第1のノード内の伝送線路に設けられるコモンモードフィルタであって、
請求項1または請求項2に記載の特性決定方法により決定された特性を有している
ことを特徴とするコモンモードフィルタ。 - 差動通信を行うための伝送線路である差動伝送線路を介してデータを送受信するノードとして、コモンモードフィルタを有する第1のノードとコモンモードフィルタを有しない第2のノードとが存在する通信システムであって、
前記第1のノードは、該第1のノード内の伝送線路にコモンモードフィルタが設けられており、該コモンモードフィルタとして、請求項1または請求項2に記載の特性決定方法により決定された特性を有するものが用いられている
ことを特徴とする通信システム。
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