JP2007234468A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電界分布の変動を抑制し、表示品位の向上した平面表示装置を提供する。
【解決手段】平面表示装置は、画像表示面が形成された第1基板11、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板12を有した外囲器10と、外囲器内で第2基板上に設けられ画像表示面を励起する複数の電子放出源18と、外囲器内で第1基板および第2基板の間に設けられ、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサ14と、を有している。各スペーサは、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した被覆材料で形成された被膜40により被覆されている。
【選択図】図4
【解決手段】平面表示装置は、画像表示面が形成された第1基板11、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板12を有した外囲器10と、外囲器内で第2基板上に設けられ画像表示面を励起する複数の電子放出源18と、外囲器内で第1基板および第2基板の間に設けられ、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサ14と、を有している。各スペーサは、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した被覆材料で形成された被膜40により被覆されている。
【選択図】図4
Description
この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設されたスペーサとを備えた平面表示装置に関する。
近年、軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として機能するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。
SEDにおいて、第1基板および第2基板間の空間、すなわち真空外囲器内は、高い真空度に維持されることが重要となる。真空度が低い場合、電子放出素子の寿命、ひいては、装置の寿命が低下してしまう。また、第1基板および第2基板間に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、多数の板状あるいは柱状のスペーサが配置されている(例えば、特許文献1)。画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。実用的な表示特性を得るためには、通常の陰極線管と同様の蛍光体を用い、アノード電圧を数kV以上望ましくは5kV以上に設定することが必要となる。
特開2001−272926号公報
上記構成のSEDにおいて、高い加速電圧を持った電子が蛍光面に衝突した際、蛍光面で2次電子および反射電子が発生する。第1基板と第2基板との間の空間が狭い場合、蛍光面で発生した2次電子および反射電子が、基板間に配設されたスペーサに衝突し、その結果、スペーサが帯電する。SEDにおける加速電圧では、通常、スペーサは正に帯電する。この場合、電子放出素子から放出された電子ビームはスペーサに引き付けられ、本来の軌道からずれてしまう。その結果、蛍光体層に対して電子ビームのミスランディングが発生し、表示画像の色純度が劣化するという問題がある。
このようなスペーサの帯電を抑制するため、スペーサ表面に表面抵抗率が1×10 8ないし1×1012Ω/□程度の被膜をコーティングしたものが提案されている。しかしながら、表示装置を駆動し、電子ビームが第1基板に照射されると、第1基板の温度が上昇する。その影響で、各スペーサの第1基板側に位置した部分の温度が上昇し、スペーサの第2基板側の部分と温度差が生じる。このような温度差により、スペーサの表面抵抗率が変化し、その結果、スペーサ周辺の電界分布が変化してしまう。
電界分布が変化すると、電子放出素子から蛍光体層に向けて放出された電子ビームの挙動に影響を与える。その結果、蛍光体層に対して電子ビームのミスランディングが発生し、表示画像の色純度が劣化する。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、電界分布の変動を抑制し、表示品位の向上した平面表示装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明の態様に係る平面表示装置は、画像表示面が形成された第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内で前記第2基板上に設けられ前記画像表示面を励起する複数の電子放出源と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、前記各スペーサは、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した被覆材料で形成された被膜により被覆されている。
この発明の他の態様に係る平面表示装置は、画像表示面が形成された第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内で前記第2基板上に設けられ前記画像表示面を励起する複数の電子放出源と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、
前記各スペーサは、温度抵抗係数αの絶対値が20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmであるスペーサ被覆材料によって被覆され、温度抵抗係数αは、ある温度Tにおける抵抗値をR(T)、基準となる温度T0における抵抗値をR0とした場合、α={R(T)/R0−1}/(T−T0)である。
前記各スペーサは、温度抵抗係数αの絶対値が20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmであるスペーサ被覆材料によって被覆され、温度抵抗係数αは、ある温度Tにおける抵抗値をR(T)、基準となる温度T0における抵抗値をR0とした場合、α={R(T)/R0−1}/(T−T0)である。
この発明によれば、スペーサ表面を温度抵抗係数αの小さい被膜で被覆することにより、第1基板の温度が上昇してもスペーサの表面抵抗率は変化しにくくなる。そのため、電界分布の変動を抑制し、電子ビームの挙動に影響を与えにくくなるので、表示品位の向上した平面表示装置を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面表示装置としてSEDに適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板11(第1基板)、および背面基板12(第2基板)を備え、これらの基板は1〜2mmのギャップを置いて対向配置されている。前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁13を介して周縁部同士が接合され、内部が10−4Pa程度以下の高真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。側壁13は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材23により、前面基板11の周縁部および背面基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図1および図2に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板11(第1基板)、および背面基板12(第2基板)を備え、これらの基板は1〜2mmのギャップを置いて対向配置されている。前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁13を介して周縁部同士が接合され、内部が10−4Pa程度以下の高真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。側壁13は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材23により、前面基板11の周縁部および背面基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図2および図3に示すように、前面基板11の内面には画像表示面として機能する蛍光面15が形成されている。蛍光面15は、赤、青、緑に発光する多数の矩形状の蛍光体層R、G、Bおよび遮光層17を有している。横長画面の場合でいうと長軸方向を第1方向X、短軸方向を第2方向Yとした場合、蛍光体層R、G、Bは、第1方向Xに所定のギャップをおいて繰り返し配列され、第2方向には同一色の蛍光体層が所定のギャップをおいて配列されている。蛍光体層R、G、Bは、周知のスクリーン印刷やフォトリソグラフィーにより形成される。遮光層17は、前面基板11の周縁部に沿って延びた矩形枠部17a、および矩形枠部の内側で蛍光体層R、G、Bの間をマトリックス状に延びたマトリックス部17bを有している。
蛍光面15上には、例えば、アルミニウムを主成分としアノード電極として機能するメタルバック層20が形成されている。更に、メタルバック層20に重ねてゲッター膜22が形成されている。表示動作時、メタルバック層20には所定のアノード電圧が印加される。
図2に示すように、背面基板12の内面には、蛍光面15の蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。背面基板12の内面上には、電子放出素子18を駆動する多数本の配線21がマトリックス状に設けられ、その端部は真空外囲器10の外部に引出されている。
背面基板12および前面基板11の間には、これらの基板に作用する大気圧を支持するため、多数の板状のスペーサ14が配置されている。これらのスペーサ14はそれぞれ背面基板12の長手方向に延びているとともに、幅方向に所定の間隔を置いて配設されている。各スペーサ14の一側縁は前面基板11の内面に当接し、他側縁は背面基板12の内面に当接している。
図4に示すように、スペーサ14は、ガラス等の絶縁材料により形成されている。各スペーサ14の外面は、温度抵抗係数αが小さいスペーサ被覆材料で形成された被膜40によって被覆されている。スペーサ被覆材料としては、例えば、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した複合材料が用いられている。被膜40が形成された状態において、各スペーサ14の表面抵抗率は、1×10 8Ω/□〜1×1011Ω/□となっている。
被膜40の温度抵抗係数αは、ある温度Tにおける抵抗値をR(T)、基準となる温度T0における抵抗値をR0とした場合、α={R(T)/R0−1}/(T−T0)である。被膜40は、温度抵抗係数αの絶対値が20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmに形成されている。
上記構成のSEDにおいて、画像を表示する場合、メタルバック層20を介して蛍光体層R、G、Bにアノード電圧を印加し、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光層へ衝突させる。これにより、対応する蛍光体層R、G、Bが励起されて発光し、カラー画像を表示する。
以上のように構成されたSEDによれば、スペーサ14表面に温度抵抗係数αの小さい被膜40を被覆することにより、電子ビームの衝突により前面基板11の基板温度が上昇し、スペーサの前面基板側に位置した部分と、スペーサの背面基板側の部分とで温度差が生じた場合でも、スペーサの表面抵抗率の変化を抑制することができる。そのため、温度変化に起因するスペーサ周辺の電界分布変化を抑制し、電子ビームの挙動変化を防止することが可能となる。その結果、蛍光体層に対する電子ビームのミスランディングをなくし、表示画像の色純度を向上することができる。これにより、表示品位の向上したSEDが得られる。
(実施例)
前面基板11および背面基板12に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ14として、珪酸酸ガラスで形成されたスペーサを用いた。スペーサ14の表面にスパッタ法を用いてAuSiOC材料をコーティングし、被膜40を形成した。スパッタには、RF電源を使用し、SiCターゲット上にAuの金属タブレットを置く方法で実施した。
前面基板11および背面基板12に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ14として、珪酸酸ガラスで形成されたスペーサを用いた。スペーサ14の表面にスパッタ法を用いてAuSiOC材料をコーティングし、被膜40を形成した。スパッタには、RF電源を使用し、SiCターゲット上にAuの金属タブレットを置く方法で実施した。
SiCとAuとの面積割合(Au/SiC)は14%とした。スパッタ前の到達真空度は2×10-3Paとし、Ar投入量を25cssm、パワーは350Wで10分間スパッタを行った。これにより、スペーサ14の表面に被膜40を形成した。得られた被膜40の表面抵抗率は2.7×10 8Ω/□(30℃)であり、20〜70℃での温度抵抗係数αは−5400ppmであった。
図5は、被膜40におけるAuの原子量割合と、表面抵抗率および温度抵抗係数αとの関係を示している。この図から分かるように、Auタブレットの占有面積が増加すると被膜の温度抵抗係数は小さくなり、表面抵抗率も小さくなる傾向にある。例えば、Auタブレットの占有面積が14%の時に成膜した被膜40の組成は下記の通りとなる。
Au:24%、 Si:14%、 O:39%、 C:20%
このように、Auの原子量割合が多いとスペーサの表面抵抗率が小さくなりすぎて表示装置に適用できず、逆に、Auの原子量割合が少ないと温度抵抗係数αの値が大きくなる傾向があり適用することが難しくなる。被膜40の表面抵抗率は1×10 8Ω/□以上が望ましい。
Au:24%、 Si:14%、 O:39%、 C:20%
このように、Auの原子量割合が多いとスペーサの表面抵抗率が小さくなりすぎて表示装置に適用できず、逆に、Auの原子量割合が少ないと温度抵抗係数αの値が大きくなる傾向があり適用することが難しくなる。被膜40の表面抵抗率は1×10 8Ω/□以上が望ましい。
そこで、前述したように、被膜40は、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した複合材料が用いられている。被膜40が形成された状態において、各スペーサ14の表面抵抗率は、1×10 8Ω/□〜1×1011Ω/□となっている。被膜40の温度抵抗係数αは、20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmとしている。
前述した第1の実施形態において、スペーサ14は板状としたが、これに限らず、柱状のスペーサとしてもよい。図6に示すように、第2の実施形態に係るSEDによれば、前面基板11と背面基板12との間には複数の柱状のスペーサ14が設けられ、複数行および複数列に並んで配列されている。各スペーサ14は、その一端が前面基板11に当接し、他端が背面基板12に当接している。各スペーサ14は、直接、前面基板11に当接していてもよいが、ここでは、スペーサを支持した支持基板24を介して前面基板に当接している。各スペーサ14は、例えばガラスにより形成され、その表面は、被膜40により被覆されている。
被膜40は、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した複合材料が用いられている。被膜40が形成された状態において、各スペーサ14の表面抵抗率は、1×10 8Ω/□〜1×1011Ω/□となっている。被膜40の温度抵抗係数αは、20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmとしている。
第2の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。そして、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
スペーサ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた表示装置にも適用可能である。
10…真空外囲器、 11…前面基板、 12…背面基板、 13…側壁、
14…スペーサ、 15…蛍光面、 18…電子放出素子、 40…被膜、
R、G、B…蛍光体層
14…スペーサ、 15…蛍光面、 18…電子放出素子、 40…被膜、
R、G、B…蛍光体層
Claims (3)
- 画像表示面が形成された第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、
前記外囲器内で前記第2基板上に設けられ前記画像表示面を励起する複数の電子放出源と、
前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1基板および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、
前記各スペーサは、Siを10〜20%、Cを15〜25%、Oを35〜45%、Auを20〜30%の原子量割合で混合した被覆材料で形成された被膜により被覆されている平面表示装置。 - 画像表示面が形成された第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、
前記外囲器内で前記第2基板上に設けられ前記画像表示面を励起する複数の電子放出源と、
前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1基板および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、
前記各スペーサは、温度抵抗係数αの絶対値が20℃〜70℃の範囲において2000〜10000ppmであるスペーサ被覆材料によって被覆され、
温度抵抗係数αは、ある温度Tにおける抵抗値をR(T)、基準となる温度T0における抵抗値をR0とした場合、
α={R(T)/R0−1}/(T−T0)
である平面表示装置。 - 前記各スペーサは、表面抵抗率が1×10 8ないし1×1011Ω/□である請求項1又は2に記載の表面表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006056477A JP2007234468A (ja) | 2006-03-02 | 2006-03-02 | 画像表示装置 |
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