JP2007048468A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、電子ビームの経時的な軌道変化を抑制でき、良質な画像を表示できる表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】SEDは、蛍光体スクリーンを有する前面基板、多数の電子放出素子を有する背面基板、両基板の周縁部同士を封着する側壁、および複数の柱状のスペーサ8を有する。各スペーサ8は、前面基板に対向する上端8a側から酸化クロムをスパッタリングにより成膜し、180度反転させた後、下端8b側からタンタルとアルミニウムの酸化化合物をスパッタリングにより成膜することにより製造される。
【選択図】図4
【解決手段】SEDは、蛍光体スクリーンを有する前面基板、多数の電子放出素子を有する背面基板、両基板の周縁部同士を封着する側壁、および複数の柱状のスペーサ8を有する。各スペーサ8は、前面基板に対向する上端8a側から酸化クロムをスパッタリングにより成膜し、180度反転させた後、下端8b側からタンタルとアルミニウムの酸化化合物をスパッタリングにより成膜することにより製造される。
【選択図】図4
Description
この発明は、背面基板に設けた電子放出素子から電子を放出させて前面基板に設けた蛍光体層を励起発光させることによりカラー画像を表示する表示装置に関する。
近年、偏平な平面パネル構造の真空外囲器を有する表示装置として、液晶ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイ(PDP)等が知られている。また、FEDの一種として、表面伝導型の電子放出素子を備えた表示装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
SEDは、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有する。これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周縁部を互いに接合され、内部を真空にされて偏平な平面パネル構造の真空外囲器を構成している。
前面基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、背面基板の内面には、蛍光体層を励起発光させる電子の放出源として、画素毎に対応する多数の電子放出素子が整列配置されている。また、背面基板の内面上には、電子放出素子を駆動するための多数本の配線がマトリックス状に設けられ、その端部は真空外囲器の外部に引き出されている。
前面基板と背面基板の間には板状のグリッドが配設されている。このグリッドには、電子放出素子に対して整列した位置関係で多数のビーム通過孔が形成されているとともに、前面基板および背面基板の内面に当接することで基板間の隙間を維持するための複数の柱状のスペーサが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
このSEDを動作させる場合、基板間に10[kV]程度の高電圧を与え、配線に接続した駆動回路を介して各電子放出素子に選択的に駆動電圧を印加する。これにより、各電子放出素子から選択的に電子ビームが放出され、これら電子ビームが、グリッドの対応するビーム通過孔を通って対応する蛍光体層に照射され、蛍光体層が励起発光されてカラー画像が表示されるようになっている。
このSEDで色ずれの無い良質な画像を表示するためには、各電子放出素子から放出される電子ビームの軌道を安定させることが重要となる。しかし、電子ビームの照射により蛍光体層から放出される二次電子がスペーサに帯電し、近くを通る電子ビームの軌道に悪影響を与える場合がある。
この問題を解決するため、酸化クロムなどの高抵抗材料によりスペーサを被覆して帯電を抑制する方法が考えられる。しかし、この種の高抵抗材料は温度が変わると抵抗が変化する性質を有するため、電子ビームの照射により蛍光体層を有する前面基板が背面基板に比べて高温になると、前面基板に近い側のスペーサ端部が背面基板に近い側の端部より高温になり、前面基板側と背面基板側でスペーサ被膜の抵抗が異なってしまい、電子ビームの軌道に悪影響を与える問題が生じる。
特開2003−312818号公報
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、電子ビームの経時的な軌道変化を抑制でき、良質な画像を表示できる表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明の表示装置は、画像表示面を有する第1基板と、この第1基板の画像表示面に対して隙間を介して対向配置され、上記画像表示面を励起する電子ビームを放出する多数の電子放出源を有する第2基板と、上記第1および第2基板間に当接して配置され、上記第1および第2基板に作用する大気圧加重を支えるスペーサと、を有し、上記スペーサは、温度変化に対する抵抗の変化率を上記基板間の隙間方向に沿って異ならせてある。
上記発明によると、第1基板と第2基板に作用する大気圧加重を支えるスペーサの温度変化に対する抵抗の変化率を基板間の隙間方向に沿って異ならせてある。このため、電子ビームの照射によって加熱される画像表示面を有する第1基板が第2基板に比べて高温になった場合であっても、第1基板に近い側のスペーサ端部と第2基板に近い側のスペーサ端部とで抵抗が大きく異なることを防止でき、近くを通る電子ビームの軌道に悪影響を与えることを抑制できる。
この発明の表示装置は、上記のような構成および作用を有しているので、電子ビームの経時的な軌道変化を抑制でき、良質な画像を表示できる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
始めに、図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態に係る表示装置の一例として、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)1について説明する。図1は、前面基板2を部分的に切り欠いた状態のSED1の真空外囲器10を示す斜視図であり、図2は、図1の真空外囲器10を線II-IIの位置で切断した断面図であり、図3は、図2の断面を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
始めに、図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態に係る表示装置の一例として、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)1について説明する。図1は、前面基板2を部分的に切り欠いた状態のSED1の真空外囲器10を示す斜視図であり、図2は、図1の真空外囲器10を線II-IIの位置で切断した断面図であり、図3は、図2の断面を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
図1乃至図3に示すように、SED1は、それぞれ矩形のガラス板からなる前面基板2(第1基板)および背面基板4(第2基板)を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間を介して互いに平行に対向配置されている。なお、背面基板4は、前面基板2より1回り大きいサイズを有する。また、前面基板2および背面基板4は、ガラスからなる矩形枠状の側壁6を介して周縁部同士が接合され、内部が真空の扁平な平面パネル構造の真空外囲器10を構成している。
前面基板2の内面には画像表示面として機能する蛍光体スクリーン12が形成されている。この蛍光体スクリーン12は、赤、青、緑の蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン12上には、アルミニウム薄膜等からなるメタルバック14が形成されている。
背面基板4の内面には、蛍光体スクリーン12の蛍光体層R、G、Bを励起発光させるための電子を放出する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子16が設けられている。これらの電子放出素子16は、画素毎、すなわち蛍光体層R、G、B毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子16は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、背面基板4の内面上には、各電子放出素子16に駆動電圧を与えるための多数本の配線18がマトリックス状に設けられ、その端部は真空外囲器10の外部に引き出されている。
接合部材として機能する側壁6は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材19により、前面基板2の周縁部および背面基板4の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。本実施の形態では、背面基板4と側壁6をフリットガラス19aを用いて接合し、前面基板2と側壁6をインジウム19bを用いて接合した。もし、配線18のある背面基板4と側壁6を低融点金属で封着する場合は、配線18と封着材19の電気ショートを避けるため、中間層として絶縁層を設ける必要がある。
また、SED1は、前面基板2と背面基板4の間に、複数本の円柱状のスペーサ8を備えている。各スペーサ8は、上述したメタルバック14、および蛍光体スクリーン12の遮光層11を介して前面基板2の内面に当接する上端8a、および背面基板4の内面上に設けられた配線18上に当接する下端8bを有し、前面基板2および背面基板4の外側から作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持するように機能する。
さらに、SED1は、前面基板2のメタルバック14と背面基板4との間にアノード電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。電圧供給部は、例えば、背面基板4の電位を0Vに設定し、メタルバック14の電位を10kV程度にするよう、両者の間にアノード電圧を印加する。
そして、上記SED1において、画像を表示する場合、配線18に接続した図示しない駆動回路を介して電子放出素子16の素子電極間に電圧を与え、任意の電子放出素子16の電子放出部から電子ビームを放出するとともに、メタルバック14にアノード電圧を印加する。電子放出部から放出された電子ビームは、アノード電圧により加速され、蛍光体スクリーン12に衝突する。これにより、蛍光体スクリーン12の蛍光体層R、G、Bが励起されて発光し、カラー画像を表示する。
また、上記構造のSED1を製造する場合、予め、蛍光体スクリーン12およびメタルバック14の設けられた前面基板2を用意し、電子放出素子16および配線18が設けられているとともに側壁6およびスペーサ8が接合された背面基板4を用意しておく。そして、前面基板2、および背面基板4を図示しない真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁6を介して前面基板2を背面基板4に接合する。これにより、複数本のスペーサ8を備えたSED1が製造される。
上記構造のSED1で色ずれの無い良質な画像を形成するためには、各電子放出素子16から放出される電子ビームの軌道を安定させて、対応する蛍光体層R、G、Bに適切なスポット位置で電子ビームを照射する必要がある。反面、電子ビームの照射により蛍光体層から放出される二次電子がスペーサ8に帯電し、この帯電電荷が近くを通る電子ビームの軌道に悪影響を与えてスポット位置にズレを生じることが知られている。従って、このような不具合を解消するため、一般に、スペーサ8の表面に酸化クロムなどの高抵抗部材を被覆して帯電を抑制する方法が採用される。
しかし、電子ビームの照射により蛍光体層R、G、Bを有する蛍光体スクリーン12が加熱されると、前面基板2が経時的に比較的高温(50℃程度)に加熱され、前面基板2側のスペーサ8の上端8a近くが背面基板4側のスペーサ8の下端8b近くと比較して高温になる。このように、基板間の隙間方向(スペーサ8の軸方向)に沿ってスペーサ8に温度分布を生じると、被覆した高抵抗部材にも温度分布を生じる。
この種の高抵抗部材は、温度が変化すると抵抗が変化する性質を有するため、上述したようにスペーサ8の軸方向に沿って温度分布を生じると高抵抗部材の抵抗にも分布を生じ、高抵抗部材の抵抗分布が初期値から変化してしまい、当該スペーサ8の近くを通る電子ビームの軌道に悪影響を与え、電子ビームのランディング位置にズレを生じてしまう問題が生じる。
このため、本実施の形態では、前面基板2が経時的に加熱されて各スペーサ8の軸方向に沿った温度分布が変化した状態のとき、各電子放出素子16から放出される電子ビームの軌道が安定してビームスポットが正常な位置に形成されるように、予め、各スペーサ8の軸方向に沿った温度変化に対する抵抗の変化率を異ならせる工夫をした。
特定の物質の温度変化に対する抵抗の変化率αは、当該物質の温度T℃における抵抗値をR(T)Ωとし、基準となる温度T0における抵抗値をR0とした場合、
α=〔{R(T)/R0}−1〕/(T−T0)
と定義される。以下、この変化率αを抵抗温度係数と称する。
α=〔{R(T)/R0}−1〕/(T−T0)
と定義される。以下、この変化率αを抵抗温度係数と称する。
具体的には、例えば、帯電防止のため各スペーサ8の表面を被覆した高抵抗部材(被膜)20の抵抗温度係数をスペーサ8の軸方向に沿って異ならせるよう工夫した。これにより、スペーサ8の軸方向に沿って温度分布を生じた場合であっても、近くを通る電子ビームの軌道に悪影響を与えることのない程度にスペーサ8の抵抗分布を設定できる。
図4に示すように、この発明の第1の実施の形態によると、各スペーサ8の上端8a側から酸化クロムをスパッタリングにより成膜し、スペーサ8を180度反転させた後、スペーサ8の下端8b側からタンタルとアルミニウムの酸化化合物をスパッタリングにより成膜した。本実施の形態では、被膜20の抵抗温度係数をスペーサ8の軸方向に沿って徐々に変化させることができ、具体的には、前面基板2から背面基板4に向けて被膜20の抵抗温度係数を徐々に大きくすることができた。これにより、スペーサ8の上端8a近くにおいて、温度が大幅に上昇した場合であっても、下端8b近くと比較して被膜20の温度変化に対する抵抗の変化率を低く抑えることができ、電子ビーム軌道への悪影響を抑制できる。
また、図5に示すように、第2の実施の形態によると、各スペーサ8の上端8a側から例えば酸化クロムをスパッタリングにより成膜し、スペーサ8の軸方向に沿って被膜20の膜厚に変化を持たせた。具体的には、上端8aから下端8bに向けて膜厚を薄く?した。この実施の形態でも、膜厚の変化に応じて被膜20の抵抗温度係数を徐々に変化させることができ、前面基板2から背面基板4に向けて被膜20の抵抗温度係数を徐々に大きくすることができた。
さらに、図6に示すように、第3の実施の形態によると、各スペーサ8の側面を軸方向に2分割し、上端8a側の側面に酸化クロムを成膜し、下端8b側の側面にタンタルとアルミニウムの酸化化合物を成膜した。この実施の形態では、スペーサ8の上端8a側と下端8b側の被膜の抵抗温度係数を2段階で異ならせることができ、スペーサ8の上端8a近くにおける抵抗の変化率を低くでき、上述した各実施の形態と同様に、電子ビーム軌道に与える悪影響を抑制できる。なお、スペーサ3の側面を3つ以上の領域に分割して異なる高抵抗部材を被覆しても良い。
以上のように、上述した各実施の形態によると、各スペーサ8の軸方向(前面基板2と背面基板4との間の隙間方向)に沿って被膜20の抵抗温度係数を異ならせるようにしたため、前面基板2の温度が経時的に上昇した場合であっても、各電子放出素子16から放出される電子ビームの経時的な軌道変化を抑制できランディング位置にズレを生じることを抑制でき、長時間に亘って色ずれの無い良質な画像を表示できる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
例えば、上述した実施の形態では、各スペーサ8の表面を被覆した被膜20の抵抗温度係数をスペーサ8の軸方向に沿って異ならせることにより、各スペーサ8の軸方向に沿った抵抗温度係数を異ならせた場合について説明したが、これに限らず、他の方法を用いてスペーサ8の軸方向に沿った抵抗温度係数を異ならせるようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、複数本の円柱状のスペーサ8を用いた場合について説明したが、これに限らず、細長い帯状のスペーサを用いても良く、この場合においても、前面基板2に当接する上端側と背面基板4に当接する下端側で各スペーサを被覆した被膜の抵抗温度係数を異ならせれば良い。
さらに、上述した実施の形態では、スペーサ8の表面にスパッタリングにより高抵抗部材を成膜した場合について説明したが、これに限らず、成膜の方法はいかなるものであっても良い。
1…SED、2…前面基板、4…背面基板、6…側壁、8…スペーサ、8a…上端、8b…下端、10…真空外囲器、12…蛍光体スクリーン、14…メタルバック、16…電子放出素子、20…被膜。
Claims (6)
- 画像表示面を有する第1基板と、
この第1基板の画像表示面に対して隙間を介して対向配置され、上記画像表示面を励起する電子ビームを放出する多数の電子放出源を有する第2基板と、
上記第1および第2基板間に当接して配置され、上記第1および第2基板に作用する大気圧加重を支えるスペーサと、を有し、
上記スペーサは、温度変化に対する抵抗の変化率を上記基板間の隙間方向に沿って異ならせてあることを特徴とする表示装置。 - 上記スペーサは、その表面に帯電を抑制するための被膜を有し、この被膜の温度変化に対する抵抗の変化率を上記基板間の隙間方向に沿って異ならせてあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 上記第1基板から上記第2基板に向けて上記被膜の温度変化に対する抵抗の変化率が徐々に大きくされていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
- 上記被膜は、上記第1基板から上記第2基板に向けてその膜厚を変化させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
- 上記被膜は、温度変化に対する抵抗の変化率が異なる少なくとも2種類の材料により形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
- 上記少なくとも2種類の材料は、体積抵抗の異なる材料であることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
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