JP2007233673A - Icタグ用膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タグ側に特殊な構成等を必要とすることなく、容器の材質や内容物の有無にかかわらずICタグの通信特性を良好に維持する。
【解決手段】 無線通信を行うICタグ20を装着する被装着物の表面に塗布して用いられるICタグ用膜10であって、10MHz〜50MHzにおける複素比透磁率の実数部及び虚数部が10以上となる構成としてある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信を行うICタグを装着する被装着物の表面に積層されるICタグ用膜に関し、特に、ICタグを容器に取り付ける際にその容器の材質や内容物の有無にかかわらずICタグの通信特性を良好に維持することができるICタグ用膜に関する。
一般に、PET樹脂等からなる樹脂製容器や、アルミニウム缶やスチール缶等の金属製容器は、例えば、ビール、コーラ、サイダー等の炭酸飲料・果汁飲料や各種お茶類等の飲料用の容器、缶詰食品の容器、各種液体製品の容器等に広く使用されている。
また、樹脂フィルム等の軟包材にAl箔等の金属層を積層した包装材料からなるパウチ容器は、軽量で柔軟性、耐久性、ガスバリア性等に優れ、加工も容易で安価に製造できることから、食品や飲料のみならず、洗剤、化粧品等の主に液体製品の容器として広く使用されている。
そして、このような樹脂製あるいは金属製の各種容器には、商品名や内容物の成分、生産者、生産地、賞味期限等の所定の商品情報が、文字やバーコード等で表示されている。この種の商品情報の表示は、通常、容器や容器を包装する包装体に印刷されたり、ラベル等に印刷されて容器に貼付されるようになっている。
ところが、商品情報等の表示は、容器のデザイン等を損なわないよう小さく表示されるのが一般的であり、その結果、表示面積や表示される文字の大きさ、文字数等が限られたものとなり、充分な情報が表示できないという問題があった。
また、バーコード表示の場合、リーダで読み取るためにバーコード自体を容器表面に平面状に表示しなければならず、また、傷や汚れ等があると読み取り不能となってしまい、しかも、バーコードでコード化できる情報量は限られていることから、文字による表示の場合と同様に、商品情報を表示、認識する手段としては一定の限界があった。
そこで、このような従来の商品情報表示の不利・不便を解消し、必要かつ十分な商品情報を簡易かつ正確に表示等する手段として、最近ではICタグが利用されるようになってきている。
ICタグは、非接触ICタグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、RFタグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを樹脂やガラス等で封止してタグ(荷札)状に形成した超小型の通信端末で、ICチップに所定の情報を記録して対象物にタグを取り付け、記録した情報を無線通信により読取装置(リーダ・ライタ)側でピックアップすることにより、ICチップに記録された情報を認識、表示するものである。
このようなICタグは、ICチップのメモリに数百バイト〜数キロバイトのデータが記録可能であり、十分な情報等を記録でき、また、読取装置側と非接触であるため接点の磨耗や傷、汚れ等の心配もなく、さらに、タグ自体は無電源にすることができるため対象物に合わせた加工や小型化・薄型化が可能となる。
そして、このようなICタグを用いることで、商品に関する種々の情報、例えば商品の名称や重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限・賞味期限等の種々の情報が記録可能となり、従来の文字やバーコードによる商品表示では不可能であった多種多様な商品情報であっても、小型・薄型化されたタグを商品に装着するだけで利用することが可能になった。
ところが、このようなICタグをPETボトルのような樹脂製容器に取り付けた場合、容器の内容物の影響によりタグの通信特性が劣化し、容器に内容物(例えば飲料)が入っている場合と入っていない場合とで、ICタグの通信距離が変化してしまうという問題が発生した。
ICタグを容器に取り付けると、ICタグが発生する電磁波は容器を貫通する方向に生じることになるが(図11参照)、容器に内容物が入っている状態では、内容物が有する誘電率(蓄えられる電気量の大きさ)によってアンテナ特性が変化し、容器に内容物が入っていると、容器が空の場合よりタグの通信距離が短くなってしまう。
このため、PET容器にICタグをそのまま取り付けると、内容物の影響で通信特性が変化してしまい、内容物が入っている状態(例えば、出荷・販売時)と、内容物が入っていない状態(例えば、容器の回収・廃棄時)とで、ICタグの通信距離等が変動することになり、ICタグの動作が不安定になる等の問題が生じるおそれがあった。
特に、ICタグの周波数が高くなる程、このような内容物による影響が大きくなった。
一方、ICタグをアルミニウム缶やスチール缶あるいはパウチ容器のような金属容器に取り付けた場合、金属容器の導電性によってICタグが影響を受けてしまい、正確な無線通信が行えなくなるという問題が発生した。
ICタグを容器に取り付けると、ICタグが発生する磁束は容器を貫通する方向に生じることになる。このため、タグを金属容器に取り付けた場合、アンテナ部が発する磁波・電磁波が金属容器側に吸収される熱損失等が生じてしまい、タグの通信特性が損なわれる事態が生じる。
例えば、図11(a)に示すように、ICタグ120を金属製の容器130に取り付けると、図11(b)に示すように、ICタグ120が発する磁束により金属製の容器130の表面に渦電流が誘起され、この渦電流によって、ICタグ120の磁束が打ち消されて熱損失が生じる。
また、金属製の容器130の影響によりタグ120のアンテナコイル部のインダクタンス等が変化してしまい、これによりアンテナの共振回路の共振周波数もずれてしまう。
このようにして、通常の汎用されているICタグをそのまま金属容器に取り付けると、タグが誤動作したり、リーダ・ライタとの無線通信が行えないという問題が発生した。
そこで、従来、アルミニウム缶やスチール缶のような金属容器に取り付けるICタグとして、タグの構成を金属容器専用のものにすることで、金属容器からの影響を回避し得る金属専用ICタグの提案がなされている(例えば、特許文献1−2参照。)。
従来提案されている金属専用のICタグは、タグ内部の金属容器と対向する側に、シート形状等に形成した磁性体(高透磁率体)や誘電体が配設されるようになっており、これによって、ICタグが発する磁束を磁性体内に通過させて、金属容器側に渦電流が発生することを防止するようになっていた。
具体的には、特許文献1では、透磁率が12以上の軟式フェライトを40〜90%含んだシート等からなる金属容器専用のICタグ用包装材料が提案されている。
また、特許文献2では、粒径5〜100μm、厚み0.5〜5μmのケイ素鋼粉末100重量部を樹脂0.5〜30重量部内に分散させることにより、電磁波ノイズを減衰する電磁波吸収体が提案されている。
特開2004−127057号公報(第2−4頁、図1) 特開2002−158482号公報(第2−6頁、図4)
しかしながら、従来提案されている金属容器用のICタグは、金属容器による影響が回避し得たとしても、上述したような樹脂容器における内容物の影響によるICタグの問題について何等考慮されていなかった。
また、このような従来の金属専用のICタグでは、タグ自体が金属専用に設計・構成されたもので、既存のICタグを金属容器用に使用可能とするものではなかった。すなわち、通常の汎用タグについて金属容器に使用した場合の問題点を解決するものではなかった。
ICタグは、安価で大量生産される汎用タグを使用してこそ、低コストで小型軽量かつ大記憶容量の無線通信手段として使用できるという特徴を最大限に生かすことができるものであり、金属専用の大型で複雑な構成で、樹脂製容器への対応ができないタグでは、汎用タグのメリットを著しく減殺するものであった。
さらに、特許文献1−2で提案されているものは、ICタグ本来の通信特性を十分に活かすことができず、ICタグ用の包装材料や電磁波吸収体を備える分だけタグ全体の厚みが増加するという問題があった。
特許文献1記載のICタグ用包装材料では、その厚みに比べICタグの通信距離が極端に短いものとなってしまった。例えば、同文献によれば、厚さ2〜4mmのフィルム層(PE)に、厚さ0.25mmのフェライト層を積層して構成した包装材料では、通信距離がわずか2mmしか得られなかった。このため、現実の汎用タグを実装するための基材等として採用することは困難であった。
また、上述の特許文献2に記載の電磁波吸収体の場合、その周波数特性を見ると、50MHz以下の低周波数帯域における複素比透磁率の虚数部がほぼ0(ゼロ)となっている(同文献の図4参照)。
ここで、複素比透磁率の虚数部は、磁気損失項であり、その値が大きいほど損失が大きくなり、電磁波をより吸収するという特性をもつ。従って、複素比透磁率の虚数部が小さくなるほど電磁波の吸収量は減少し、これにより金属面への電磁波透過量が増し、渦電流による反磁界を誘起し、ICタグに悪影響を及ぼす。このような電磁波吸収体に実装されたICタグは、通信特性が劣化することになる。
このため、同文献に記載された電磁波吸収体に、例えば、比較的低周波数帯域を使用する電磁誘導方式のICタグを実装して使用した場合、ICタグの通信特性が悪化することが明らかであり、現在広く使用されている13.56MHz帯のICタグへの適用は事実上不可能であった。
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、扁平状磁性体金属と樹脂組成物とを一定の割合で混合し、扁平状磁性体金属を均一に配向、分散させることで、透磁率の高いICタグ用膜をタグ装着面に塗布形成することができ、これによって、ICタグを装着する容器の材質や内容物の有無にかかわらず、当該ICタグの通信特性を良好に維持することができ、かつ、タグサイズの薄型化・小型化が可能となり、汎用のICタグをそのまま使用することができるICタグ用膜の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のICタグ用膜は、請求項1に記載するように、無線通信を行うICタグを装着する被装着物の表面に備えられるICタグ用膜であって、10MHz〜50MHzにおける複素比透磁率の実数部が10以上である構成としてある。
また、請求項2に記載するように、前記複素比透磁率は虚数部が10以上である構成としてある。
そして、本発明のICタグ用膜は、請求項3に記載するように、前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面に塗布により積層形成される構成としてある。
このような構成からなる本発明のICタグ用膜によれば、ICタグを実装する膜として、複素比透磁率の実数部および虚数部を一定値以上として透磁率の高い膜を生成し、当該膜をICタグ装着面や基材に塗布したうえでICタグを装着することにより、ICタグで送受信される電磁波は高透磁率の磁性膜を通るので、金属容器側に透過せず、金属容器側に生じる渦電流の発生を抑制することができる。
ここで、ICタグ用膜の複素比透磁率は、実数部及び虚数部が10以上の場合に、装着されたICタグの通信特性が優れ、好適であり、特に、13.56MHz帯RFID等、低周波数帯域での通信を行うICタグが金属等に装着された場合におけるICタグの通信距離の改善をすることができる。
そして、このような本発明のICタグ用膜は、電磁波シールド塗料として塗料化され、タグを実装する基材や容器の表面に塗布することで、積層形成することができる。
これにより、ICタグ用膜は、容器や基材の表面に、本発明に係る電磁波シールド塗料を塗布するだけで、簡単に積層形成することができる。
ここで、このように電磁波シールド塗料により塗布形成されるICタグ用膜は、容器や基材の表面の任意の箇所に塗布形成することができる。
例えば、ICタグを取り付ける実装部分のみに電磁波シールド塗料を塗布することにより、使用するICタグの大きさや装着部位等に合わせて、容器や基材の任意の部位に任意の大きさ・形状のICタグ用膜を容易かつ迅速に塗布形成することができる。
また、例えばラベル缶のように缶全体がプラスチック材で包装された缶容器に、小売店においてICタグを後から取り付けるような場合には、ICタグは容器の任意の部位に無作為に取り付けられることになるので、磁性塗料を缶容器の包装材の全体に塗布してICタグ用膜を形成する。
これにより、低コストで、任意のICタグに対応可能な汎用性、拡張性の高い包装体やタグ用基材を実現することができる。
また、本発明のICタグ用膜は、請求項4に記載するように、表面抵抗が0.1MΩ/cm以上である構成としてある。
このように、ICタグ用膜の表面抵抗を0.1MΩ/cm以上にすることにより、ICタグ用膜の絶縁効果を高めることができ、膜表面での渦電流の発生を抑えて、誤作動のない安定した通信環境を実現することができる。
また、本発明のICタグ用膜は、請求項5に記載するように、扁平状磁性体金属100重量部及び樹脂組成物10〜50重量部からなる構成としてある。
特に、請求項6に記載するように、前記扁平状磁性体金属は、平均粒径5〜50μmの粉末により構成し、また、請求項7に記載するように、厚みが0.2〜5μmの粉末により構成することができる。
さらに、請求項8に記載するように、前記扁平状磁性体金属は、前記樹脂組成物中の凝集物の平均厚みが5μm以下である構成とすることができる。
このような構成からなる本発明のICタグ用膜によれば、扁平状の磁性体金属と樹脂組成物とを一定の割合で混合させることで、ICタグ用膜を塗布形成可能な電磁波シールド塗料を構成している。
また、電磁波シールド塗料に含有・混練される磁性体金属は、一定の大きさの粉末状にし、その粉末ごとに生ずる凝集物の大きさを極力抑えるようにしている。
これにより、膜中の磁性体を一様に配向するとともに、分散性を向上させることができ、均一でムラのない電磁波シールド塗料を生成することができる。
ICタグ用膜中における磁性体金属は、平均粒径、厚み及び凝集物の厚みを一定範囲内に含まれる好適な値に設定することで、磁性体金属がバインダー中に満遍なく均一に分散されて、装着されたICタグを良好な通信特性に保つことができるようになる。
従って、本発明に係る扁平状磁性体金属の構成によれば、電磁波シールド塗料を塗布することで形成されるICタグ用膜の厚みを薄膜化しつつ、良好な電磁波遮蔽効果を奏するICタグ用膜を実現することができるようになる。
また、本発明のICタグ用膜は、請求項9に記載するように、前記扁平状磁性体金属の、前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面に対する平均角度(フィラー平均角度)が10度以下である構成としてある。
このように、本発明のICタグ用膜では、フィラー平均角度を小さくし、電磁波シールド塗料の塗布面(タグ装着面)と扁平状磁性体金属とが極力平行になるよう配向して膜を構成している。
これによって、塗布形成されたICタグ用膜を貫通しようとする電磁波を効果的に吸収することができ、磁性体材料の配分を抑えつつ、優れた電磁波遮蔽効果を奏することができる。
特に、フィラー平均角度が10度以下の場合に、装着されたICタグが良好な通信特性を表すことができる。
また、本発明のICタグ用膜は、請求項10に記載するように、前記扁平状磁性体金属が、Fe−Si、Fe−Ni、Fe−Ni−Al、Fe−Cu−Si−Nb−Cr−B、Ni、フェライトのうちの少なくとも1つからなるものとしている。
このような構成からなる本発明のICタグ用膜によれば、ICタグ用膜を構成する扁平状磁性体金属として、任意の磁性材料を選択して使用することができる。
これにより、使用するICタグの出力や周波数に対応した好適な透磁率等を備えたICタグ用膜を設定することができ、汎用性、拡張性に優れたICタグ用膜を提供することができる。
さらに、本発明のICタグ用膜は、請求項11に記載するように、前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面から当該ICタグを離間させる距離層を備える構成としてある。
このような構成からなる本発明のICタグ用膜によれば、ICタグ用膜を塗布形成する基材層として、PET樹脂等のプラスチックからなる樹脂層や、不織布、発泡樹脂層を備えることができ、これら樹脂層や不織布層を、ICタグをICタグ用膜から離間させる距離層(空気層)として機能させることができる。
ICタグに対する容器の内容物による影響を低減するには、理想的にはタグの実装部分の実効比誘電率を1.0(空気)とすることが望ましいが、これではICタグを空気中に浮揚させることを意味し、プラスチック材単体でこのような構成とすることは困難である。
そこで、本発明では、ICタグ用膜を塗布する基材層となる、PET樹脂等のプラスチックからなる樹脂層や、不織布,発泡樹脂等を備えるようにして、これら樹脂層、不織布層等を、ICタグをICタグ用膜から離間させる距離層(空気層)として機能させるようにしてある。
不織布は、例えばPET樹脂からなる不織布であれば内部に多数の空洞ができるので、実効比誘電率をPET樹脂そのものよりも更に小さくでき、理想値である1.0により近い値に設定することが可能であり、ICタグを容器から離間させる距離層を構成する物質として最適である。同様に、発泡樹脂の場合にも、内部に空気や窒素、二酸化炭素等の気体が充填され、実行比誘電率を1.0に近い値にすることができる。
また、不織布や発泡樹脂の特長は設計の自由度にあり、所望の厚みと大きさの距離層を容易かつ低コストで形成することが可能となる。
そこで、本発明では、ICタグを容器から離間させる距離層として不織布又は発泡樹脂を採用し、これによって、ICタグが容器に近接・接触することで生じる容器内容物の誘電率の影響による通信特性の変化や、金属容器の影響による共振周波数のズレや金属による熱損失を有効に防止することができる。
なお、距離層としては、同様の観点から、不織布や発泡樹脂以外にも、例えば樹脂塗料を格子状に塗布することで内部に空洞を有することで形成でき、これを本発明の距離層として採用することもできる。
また、PET樹脂等からなる樹脂層は、距離層として任意の厚みに設定可能であり、また、例えばロール状に巻き取り可能な薄膜フィルム状に薄く長く形成することができ、本発明のICタグ用膜を塗布形成して任意の形状や大きさのICタグを実装するための基材材料として好適である。
そして、フィルム状等に形成された樹脂層には、不織布等からなる距離層を更に積層形成可能であり、また、樹脂層の表面に電磁波シールド塗料等を塗布することも容易に行える。
このように、PET樹脂等のプラスチックからなる樹脂層は、本発明に係る距離層として、また、電磁波シールド塗料を塗布積層する基材層として好適に機能させることができる。
以上のように、本発明のICタグ用膜によれば、膜中の扁平状磁性体金属を適度に分散し、また一様に配向しているため、その厚みを抑えつつ、良好な電磁波遮蔽効果を得ることができる。
従って、本発明に係るICタグ用膜は、ICタグを装着する容器や基材の表面に塗布形成して薄膜化することができ、このICタグ用膜にICタグを実装することにより、既存のどのようなICタグであっても、タグ側には特殊な構成等を必要とすることなく、容器の内容物の有無に影響を受けず、かつ、どのような材質の容器に装着しても使用することができ、タグ本来の適正な通信範囲での正確な無線通信が可能となる。
これにより、小型・薄型で軽量であるという汎用のICタグの利点を何等損なうことなく、各種の樹脂容器や金属容器について使用してもICタグ本来の良好な通信特性を得ることができる、特に、PETボトル等の樹脂容器や、アルミニウム缶やスチール缶、ラベル缶、パウチ容器等の金属容器に好適なICタグ用膜を提供することができる。
以下、本発明のICタグ用膜の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るICタグ用基材を模式的に示す要部斜視図であり、(a)はICタグ用膜を容器に直接積層形成する場合を、(b)はICタグ用膜を基材となる距離層に積層し、その距離層を容器に装着する場合を示している。
図1に示すように、本実施形態のICタグ用膜10は、ICタグ20が実装されてタグの一部を構成するものであり、膜表面の所定の箇所に、リーダ・ライタ(図示せず)との間で無線通信を行うICタグ20が取り付けられるようになっている。
具体的には、図1(a)に示すように、本実施形態のICタグ用膜10は、金属やPET樹脂からなる容器30の表面に直接塗布されることにより容器表面に積層形成されるようになっている。
そして、このICタグ用膜10が電磁波遮蔽層として機能し、ICタグ用膜10上の任意の箇所にICタグ20を装着することで、ICタグ20から輻射され、容器30を透過しようとする電磁波を効果的に遮蔽することができる。
なお、ICタグ20が実装されたICタグ用膜10は、その表面が図示しないPETフィルム等からなるカバーフィルムでカバーされるようになっている。
また、図1(b)に示すように、ICタグ用膜10は、不織布や発泡樹脂、PET樹脂等からなる距離層11の容器30側の面に塗布形成され、その塗布面の反対側にICタグ20を装着した状態で、距離層11とともに容器30に取り付けることもできる。この場合には、距離層11がICタグ用膜10の基材として機能するとともに、距離層11に実装されるICタグ20をICタグ用膜10及び容器30側から離間させる空気層として機能することになる。これにより、ICタグ20をICタグ用膜10及び容器30表面から一定距離だけ離間させて通信特性を向上させることができる。なお、ICタグ用膜10は、距離層11のICタグ20側の面に塗布しても良い。
また、このように基材として機能する距離層11を備えることにより、ICタグ用膜10を塗布した距離層11を、金属缶やPET樹脂容器などの包装体として用いることもでき、容器の製造工程において、ICタグ用膜10及びICタグ20を実装した距離層11を容器に巻装・装着等しておくことができ、生産性を高めるために使用することができる。
なお、この場合にも、距離層11に実装されたICタグ用膜10とICタグ20の表面は、図示しないカバーフィルムでカバーされる。
[ICタグ用膜]
ICタグ用膜10は、上述したように、容器30や基材となる距離層11の表面に積層されて、ICタグ20の磁界(電磁波)を容器30側から遮蔽させる層として機能する。
具体的には、本実施形態のICタグ用膜10は、10MHz〜50MHzにおける複素比透磁率の実数部が10以上となるように構成してある。
また、ICタグ用膜10は、10MHz〜50MHzにおける複素比透磁率の虚数部が10以上となるように構成してある。
また、ICタグ用膜10は、表面抵抗が0.1MΩ/cm以上となるように構成してある。
このような構成とすることで、ICタグ用膜10は、ICタグ20を実装する膜として、複素比透磁率の実数部および虚数部を一定値以上として透磁率の高い電磁波遮蔽層として形成し、この電磁波遮蔽層にICタグ20実装することで、ICタグ20で送受信される電磁波を、高透磁率の磁性膜に通すことができ、電磁波が金属容器側に透過せず、金属容器側に生じる渦電流の発生を抑制することができる。
ここで、ICタグ用膜の複素比透磁率は、実数部及び虚数部が10以上の場合に、装着されたICタグの通信特性が優れ、好適であり、特に、13.56MHz帯RFID等、低周波数帯域での通信を行うICタグが金属等に装着された場合におけるICタグの通信距離の改善をすることができる。
また、ICタグ用膜の表面抵抗を所定値以上に設定することにより、ICタグ用膜10の絶縁効果を高めることができ、膜表面での渦電流の発生を抑えて、誤作動のない安定した通信環境を実現することができる。
また、ICタグ用膜の複素比透磁率は、Sパラメータ反射法により測定することができる(電気通信学会技法Vol.84 No.310)。
以下、Sパラメータ反射法について概略を説明する。
[Sパラメータ反射法]
Sパラメータ反射法による複素比透磁率の測定方法とは、試料に測定したい周波数の電波信号を垂直に入射した場合に、その反射量、透過量及び位相を測定することにより、複素比透磁率を計算より求める手法である。
具体的には、ネットワークアナライザと同軸管を用いて行い、測定手順は以下の通りである。
(1)完全反射測定(リファレンス)
まず、同軸管先端に金属板を付ける(試料は付けない)。
次に、同軸管にネットワークアナライザより測定したい周波数発信させS11及び位相を測定する。
ここで、S11とは、ネットワークアナライザが受信した電波強度とネットワークアナライザが発信した電波強度のことをいい、位相とは、ネットワークアナライザが受信した電波強度とネットワークアナライザが発信した電波の位相差のことをいう。
(2)疑似透過測定(リファレンス)
まず、同軸管先端に電波が透過しやすい治具をつける(試料は付けない)。
次に、同軸管にネットワークアナライザより測定したい周波数発信させS11及び位相を測定する。
(3)試料反射測定
まず、同軸管先端に金属板を付け、同軸管中側の金属板表面に試料を置く。
次に、同軸管にネットワークアナライザより測定したい周波数発信させS11及び位相を測定する。
(4)試料透過測定
まず、同軸管先端に電波が透過しやすい治具をつけ、同軸管中側の治具表面に試料を置く。
次に、同軸管にネットワークアナライザより測定したい周波数発信させS11及び位相を測定する。
以上のような4つの測定を行うことにより、計算によって複素比透磁率を導き出すことができる。
そして、以上のような特性を有するICタグ用膜10は、本実施形態では、具体的に以下に示すような成分により構成される。
図3は、本発明の一実施形態に係るICタグ用膜の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すとおり、本実施形態のICタグ用膜10は、フィラーとなる扁平状の磁性体金属101と、フィラーのバインダーとなる樹脂組成物102とが混合されて構成されている。
磁性体金属101は、樹脂組成物102中で一様に配向され、かつ、適度に分散される。
この磁性体金属101は、例えば、Fe−Si、Fe−Si−Cr、Fe−Ni、Fe−Ni−Al、Fe−Cu−Si、Fe−Cu−Si−Nb、Fe−Cu−Si−Nb−Cr−B、Ni、Nb、Cr、フェライト等からなる。
ここで、磁性体金属101は、平均粒径が5〜50μmで、厚みが0.2〜5μmの扁平状金属が好適である。
磁性体金属101の厚みが0.2μm未満である場合、塗料作成中に粉末が破損してしまう可能性が高くなり、それにより透磁率の減少を引き起こす等の弊害がある。
また、磁性体金属101の厚みが5μmを超えると、粉末を一様に配列することが困難となり、透磁率の減少を引き起こす。
一方、磁性体金属101の平均粒径が5μm未満であると、粉末凝集が起こりやすくなる等の弊害がある。
また、磁性体金属101の平均粒径が50μmを超えると、均一な分散が困難になる等の弊害がある。
これに対して、磁性体金属101が、平均粒径が5〜50μmで、厚みが0.2〜5μmの範囲であれば、粉末を効率的に分散させることができ、また一様に配列することが容易にできるため好ましい。
また、磁性体金属101の配向は、フィラー角度が小さければ小さいほど優れた電磁波遮蔽効果を奏することになり、特に、フィラー平均角度が10度以下の膜が好適である。
フィラー角度が小さくなるほど、磁性体金属の扁平面と膜の塗布面とが平行に近づき、効果的に電磁波を吸収することができ、フィラー平均角度を10度以下とすることが好ましい。
樹脂組成物102は、ニスやプライマーといったエポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる。
これらを溶媒とすることにより、磁性体金属101を樹脂組成物102中に均等に分散し、バインダー全体に満遍なく一様に配向(層状配列)させることができるようになる。
すなわち、樹脂組成物102は、磁性体金属101のいわゆる「浮き粉」として機能する。
この樹脂組成物102と磁性体金属101の混合比は、本実施形態では、磁性体金属100重量部に対して樹脂組成物10〜50重量部としてある。
扁平状磁性体金属100重量部に対し樹脂組成物が10重量部未満である場合には、磁性体金属が均一に分散されないため優れた電磁波遮蔽効果を奏し得ず、また、好適な密着強度(粘度)が得られ難い。
また、扁平状磁性体金属100重量部に対し樹脂組成物が50重量部を超える場合には、相対的に磁性体の割合が減少するので十分な電磁波遮蔽効果を奏することが困難になる。
そこで、本実施形態では、磁性体金属100重量部に対して樹脂組成物10〜50重量部となるように構成してある。
そして、以上のような成分からなるICタグ用膜10は、磁性体金属101を含有・混練した樹脂組成物102が適度な粘度を有して液体化されており、樹脂層11の表面に塗布可能な電磁波シールド塗料として構成されるようになっている。
これにより、ICタグ用膜10は、塗料が塗布されることにより容器30や距離層11の表面に積層されるようになっている。これにより、ICタグ用膜10の製造工程はきわめて容易かつ迅速に行えるようになっている。
また、このように電磁波シールド塗料を塗布するだけでICタグ用10を形成できるので、ICタグ20を取り付ける実装部分のみに塗料を塗布することで、使用するICタグ20の大きさや装着部位等に合わせて、容器や距離層11の任意の部位に任意の大きさ・形状のICタグ用膜10を容易かつ迅速に塗布形成することができる。なお、ICタグ20が容器30の任意の部位に無作為に取り付けられるような場合には、容器30の表面全体に電磁波シールド塗料を塗布してICタグ用膜10を形成することができる。
[距離層]
距離層11は、ICタグ用膜10が積層される基材となる層で、ICタグ20をICタグ用膜10及び容器30から離間させるための層である(図1(b)参照)。
距離層11は、不織布や発泡樹脂等によって形成することができる。
ICタグ20に対する樹脂容器の内容物による影響や金属容器の影響を低減するには、理想的にはタグの実装部分の実効比誘電率を1.0(空気)とすることが望ましいが、これではICタグを空気中に浮揚させることを意味し、ICタグ用基材10単体でそのような構成を取ることは困難である。
そこで、不織布や発泡樹脂からなる距離層11を形成することで、ICタグを空気中に浮揚させた場合に近い実効比誘電率が得られる。
不織布は、例えばPET樹脂からなる不織布であれば内部に多数の空洞ができるので、実効比誘電率をPET樹脂そのものよりも更に小さくでき、理想値である1.0により近い値に設定することが可能となる。同様に、発泡樹脂の場合にも、内部に空気や窒素、二酸化炭素等の気体が充填され、実行比誘電率を1.0に近い値にすることができる。
また、不織布や発泡樹脂の特長は設計の自由度にあり、所望の厚みと大きさの距離層を容易かつ低コストで形成することが可能となる。
本実施形態では、ICタグ20を容器から離間させる距離層11として不織布あるいは発泡樹脂を採用し、これによって、ICタグがICタグ用膜及び金属に接触・近接することで生じる共振周波数のズレや金属による熱損失、内容物の影響による通信特性の劣化等を防止することができる。
不織布は、例えば、合成繊維製、天然繊維製等の任意の材質のものを選択可能であり、厚みや大きさ、形状等は、実装するICタグ20に対応して任意に設定することができる。
また、距離層11に好適な発泡樹脂としては、種々の方法に形成することができるが、例えば、発泡剤を用いる方法、ポリマーを混合(混練)する際に空気や窒素ガスを注入する方法、化学反応を利用する方法等がある。
距離層11の厚みは、ICタグ用基材10としての厚み等を考慮すると、15μm程度とするのが好ましい。
なお、距離層11を構成する不織布や発泡樹脂は、図1(b)で示す例では、ICタグ用膜10の基材としても機能しているが、図2に示すように、別途基材となるPET樹脂層等かなる基材層12を備え、その基材層12の表面に接着剤や熱融着等で不織布や発泡樹脂からなる距離層11を接着・積層することもできる。
この場合ICタグ用膜10は、図2に示すように、基材層12の容器30側の面に塗布するのが好ましいが、距離層11と基材層12の間や距離層11とICタグ20との間にくるように塗布しても良い。
なお、不織布や発泡樹脂以外にも、同様の観点から、例えば樹脂塗料を格子状に塗布することで内部に空洞を有する距離層を形成することができ、これを距離層11として採用することもできる。
また、不織布等からなる距離層11は、上述した基材層12が備えられる場合に、その基材層12が距離層11として機能してICタグの通信利得が十分確保される場合には、その基材層12を距離層11とすることで、不織布等からなる距離層11を省略することも可能である。
基材層12は、図2に示すように、ICタグ用膜10の基材となる層であり、PET樹脂等で薄膜フィルム状に形成されている。
具体的には、基材層12は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の熱可塑性プラスチックにより形成される。
例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂を薄膜形成することで基材層12を形成することができる。熱可塑性ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートを主成分とする共重合体またはブレンド等で、融点が約200〜260℃のものを使用でき、また、ポリエステル系樹脂被膜の厚みは、通常約5〜50μm程度である。
ICタグ用膜10としての厚みや強度、耐久性等を考慮すると、基材層12の厚みは5μmから100μm程度が好ましい。
ここで、熱可塑性ポリエステル系樹脂の薄膜は、押出しラミネート法や無延伸キャストフィルム・ラミネート法等により形成され、熱接着後急冷された非晶質で無延伸のものが好ましい。無延伸で非晶質の熱可塑性ポリエステル系樹脂被膜は、展伸性と密着性に優れており、基材となる金属層12を薄肉化することによる延びや収縮変形に対しても、剥離や亀裂等の損傷を生ずることなく追従することができる。
この基材層12は、単層(1層)であってもよく、また、2層、3層等の多層であってもよい。多層の場合、延伸フィルムを熱接着や接着剤層を介して接着することで形成できる。
このように、基材となる基材層12を備えることで、ICタグ用膜10は、ロール状に巻き取り可能な薄膜フィルム状に薄く長く形成することができ、任意の形状や大きさの容器を包装するICタグ用基材として好適である。
なお、この基材層12は、適宜省略することも可能である。上述したように、本実施形態では、ICタグ20を容器から離間させる距離層11を備えることができ(図1(b)参照)、この距離層11を基材として、距離層11にICタグ用膜10を積層形成する場合には、基材層12は省略することができる。この意味では、基材層12は、距離層11の一部を構成する層と捉えることができ、不織布等からなる距離層11とともに、基材層12の厚みによってICタグ20を容器から離間させて、良好な通信特性を得ることができる。すなわち、距離層11とともに基材層12が備えられることで、ICタグ20は「距離層+樹脂層」の厚みによって容器から所定距離だけ離間させることができるようになる。
[塗料の製造]
ICタグ用膜10を構成する電磁波シールド塗布の製造方法としては、上述したFe−Siなどの磁性体金属101を、ニスやプライマーといったエポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂などの樹脂組成物102の溶媒に混入して製造することができる。
ここで、磁性体金属101は扁平状に加工された粉末状のものが好適である。但し、磁性体金属101は、球状のものを使用することもでき、扁平状のものと球状のものを混合して使用することも可能である。
使用する磁性体の扁平形状の長径は、例えば5μmから50μmの範囲のものが好ましく、磁性体が球状の場合は、粒径が15μmから30μmの範囲のものが好ましい。
溶媒には、油性又は水性の塗料を使用することができ、熱乾燥タイプやUV硬化タイプなど、特に限定はされない。
また、磁性体と溶媒の混合比としては、電磁波シールド効果や金属に塗布可能な粘度を考慮すると、溶媒が40%から75%の範囲が好適である。
[塗料材料の分散]
フィラーとなる磁性体金属101とバインダーとなる樹脂組成物102の混合・混練は、一般的な手混ぜによる方法でもフィラーをバインダー中に分散させることは可能で、ある程度の分散効果はあるが、さらに図4に示すような混練機(以下、3本ローラーミル50という。)による塗料作製やスプレー塗布などにより分散効率を上げることが好ましい。
以下、3本ローラーミル50を使用したフィラーとバインダーの混練方法の具体的な手順を説明する。
まず、図4に示すように、第一ロール501と第二ロール502間の隙間を最小にして、その間に材料a(例えば、磁性体金属であるFe−Si粉末を樹脂溶媒に混入させたもの)を入れ、所定時間練ることで磁性体金属101を適度に分散させる。このとき、第二ロール502と第三ロール503は最大に広げておき、分散が不十分な材料が第三ロールに付着しないようにしておく。
その後、第一ロール501と第二ロール502の隙間を適度に広げ、第二ロール502に付着する材料の厚みを厚くする。
次に、第二ロール502と第三ロール503間の隙間を徐々に狭くし、第二ロール502に付着した材料を第三ロール503へ付着させ、第三ロール503に付着した混練済みの材料(電磁波シールド塗料)a’を、ドクターブレード504により採取する。
これにより電磁波シールド塗料が出来上がる。
[塗料の塗布・加熱処理]
以上のようにして混合・混練された電磁波シールド塗料を容器30や基材(距離層11,基材層12)の表面に塗布するには、バーコータ、ロールコート、刷毛、スプレーなどを用いることができる。また、塗料は、直接容器や基材に塗布してもよいが、密着性を考慮すると、塗布面にプライマーなどの接着剤を塗布した後に、その上に電磁波シールド塗料を塗布するのが好ましい。
また、塗布面に電磁波シールド塗料とニス、プライマー又は樹脂などを交互に塗布し、積層させても良い。この場合、最上層は電磁波シールド塗料でないことが好ましい。
塗料の塗布厚は、磁性体粉末の溶媒への混入濃度及び粉末の大きさにもよるが、ICタグ用膜10としての厚みを考慮に入れた場合、50μmから300μm程度が好ましい。また、塗布厚は厚いほど電磁波シールド効果を高めることができる。
容器や基材等の塗布面に塗布された電磁波シールド塗料は、その後、加熱処理を施すことによりICタグ用膜10として形成される。
図5は、本実施形態に係るICタグ用膜となる電磁波シールド塗料に加熱処理を施した状態を模式的に示す説明図である。
まず、ICタグ20の取り付け対象となる容器30等の塗布面に電磁波シールド塗料が塗布された後、その塗布面を所定の温度で一定時間加熱する。
この加熱処理により、図5(a)に示すように、加熱前に多量に含まれていた溶媒が揮発し、塗膜表面が下がってくる。
このとき、磁性体金属101には塗布面から金属面方向に対する力(図5(a)の矢印参照)が働くため、徐々に塗布面と平行になり、最終的には、図5(b)のように磁性体金属101が一様に配向された構造となる。
これによって、任意の塗布面にICタグ用膜10を積層形成することができる。
以上のようにして本実施形態のICタグ用膜10を形成することによって、上述したように、ICタグ用膜10の複素比透磁率の実数部及び虚数部を10以上とし、表面抵抗値を0.1MΩ/cm以上とすることが可能となる。
すなわち、ICタグ用膜10が上述した各条件を満たす場合に、優れた電磁波遮蔽効果が得られ、ICタグの通信特性を良好に保つことが可能となる。
これによって、ICタグ用膜10全体の透磁率を効果的に大きくすることができ、ICタグ用膜10の電磁波吸収特性を向上させつつ、その厚みを極力抑えることが可能となる。
また、ICタグ用膜10は、膜の表面抵抗も効果的に大きくすることができるようになり、渦電流の発生等を抑え、誤作動のない安定したシールド効果を奏することが可能となる。
[ICタグ]
ICタグ20は、ICチップとアンテナを有し、これらICチップとアンテナが樹脂やガラス等からなる基材に搭載されて一体的に封止されて一つのICタグを構成している。
そして、本実施形態では、ICタグ用膜10がICタグ20の基材の一部を構成し、図1に示すように、ICタグ20は、ICタグ用膜10を介して容器30の表面に実装されるようになっている。
なお、上述したように、ICタグ用膜10は、不織布等からなる距離層11に積層することができ、その場合には、ICタグ20は、距離層11の厚み分だけICタグ用膜10と容器表面から離間して実装されることになる。
このICタグ20は、ICタグ用膜10が塗布形成される容器の製造工程において、同時にICタグ20も実装することができ、また、製造・出荷されたICタグ用膜10やICタグ用膜10が積層形成された容器等に対して、後からICタグ20を取り付けることもできる。
ここで、ICタグ20に備えられるICチップは、メモリ等の半導体チップからなり、例えば数百バイト〜数キロバイトのデータが記録可能となっている。
そして、アンテナを介してリーダ・ライタとの間で無線通信によって読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップに記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップに記録されるデータとしては、例えば、商品の名称や重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意の情報や各種データが記録可能であり、また、書換も可能である。データの記録や書換は専用のリーダ・ライタにより行える。
また、ICタグ20で使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、いわゆるUHF帯に属する860M〜960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長が異なってくる。
本実施形態では、電磁波シールド塗料からなるICタグ用膜10によって、金属製の容器30に渦電流等が発生することを防止できる。
また、不織布等かなる距離層11や基材層12を備えることで、ICタグ20をICタグ用膜10及び容器30から十分に離間させることができるので、容器30の内容物の影響によるタグ側のインダクタンス等の変化も防止でき、これによって、ICタグ20のアンテナの共振周波数のズレや内容物の有無による通信距離の変動等も防止することができる。
これによって、どのような周波数帯のICタグ20であっても、本実施形態に係るICタグ用膜10を介して容器30に装着されることで、良好な通信特性を維持することができる。
[容器]
次に、以上のような本実施形態のICタグ用膜10が積層される容器の一例を図6〜図7に示す。
図6は、本実施形態に係るICタグ用膜10を塗布してICタグ20を実装した包装材を巻装したPETボトル容器の一例を示す斜視図である。
また、図7は、本実施形態に係るICタグ用膜10を缶容器の表面に塗布し、その塗布面にICタグを装着した缶容器の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、本実施形態のICタグ用膜10は、表面にICタグ用膜10が塗布され、その上にICタグ20を装着された包装材(基材層)12を、PETボトル30Aの胴部に巻装して容器30を包装することができる。
ICタグ20を含む包装材12は適切な大きさに裁断され、PETボトル容器30Aや缶容器30Bの胴部に巻装され、包装の両端部を熱溶着や接着剤等で固定・着接する。
また、図7に示すように、本実施形態のICタグ用膜10は、包装材や基材を介さず、容器の表面に直接電磁波シールド塗料を塗布して積層形成することもできる。図7に示す例では、缶容器30Bの胴部の所定箇所にICタグ用膜10が塗布・積層され、その上にICタグ20を実装するようになっている。
[通信特性]
次に、本実施形態に係るICタグ用膜を介して容器に実装されるICタグの通信特性について図8〜図10を参照して説明する。
図8は、共振周波数13.56MHzのICタグを、本実施形態のICタグ用膜10を不織布からなる距離層11に塗布して金属容器に実装した場合の、ICタグ用膜10の膜厚とICタグの通信距離の関係を示すグラフである。
同図では、ICタグ用膜10を構成する電磁波シールド塗料として、Fe−Si100重量部に対して、樹脂(ニス)を30重量部(「-●-」)、45重量部(「-△-」)、67重量部(「-×-」)の配分とし、手混ぜにより混練して塗料を製造した場合の、塗料膜厚と通信距離の関係を示している。
同図に示すように、ICタグ用膜10の膜厚だけでなく、塗料中の樹脂配分によっても通信特性に影響を与えることがわかる。
具体的には、いずれの樹脂配分の場合でも、塗料膜厚を厚くすると通信距離が伸びることがわかる。
樹脂配分としては、Fe−Si100重量部に対して、樹脂30重量部の場合が最も通信距離が長くなり、膜厚300μmで40mm以上の通信距離が得られており、樹脂重量部が45部、67部と増加するにつれて通信距離が短くなることがわかる。
図9は、図8と同様、共振周波数13.56MHzのICタグを使用して、本実施形態のICタグ用膜10を介して金属容器に実装した場合に、樹脂材料と混練方法が異なる3つのパターンについて、それぞれICタグ用膜10の膜厚とICタグの通信距離の関係を表したものである。
具体的には、バインダーに7850(バルスパーロック製クリアコーティング7850)を使用してFeSi粉末を混ぜ、3本ローラーミル(図4参照)を使用して混練したもの(「-○-」)と、同様にバインダー7850にFeSi粉末を混ぜて手混ぜにより混練したもの(「-△-」)、バインダーにニスを使用してFeSi粉末を混ぜて手混ぜにより混練したもの(「-□-」)について、それぞれ、塗料膜厚と通信距離の関係を調べたものである。
同図に示すように、いずれのバインダー、混練方法の場合でも、塗料膜厚を厚くすると通信距離が伸びることがわかる。
そして、混練方法として、3本ローラーミルによって混練した塗料の方が、手混ぜによる場合よりも通信距離が長くなっており、3本ローラーミルを使用した混練により、バインダー中の磁性体金属が十分に分散されてICタグ用膜10のシールド効果が向上することがわかる。
特に、3本ローラーミルによって混練した塗料では、膜厚300μmで60mm以上の通信距離が得られており、図8に示した場合と比較して、より良好な通信特性が確保できることがわかる。
これは、バインダーにニスを使用してFeSi粉末を混ぜて手混ぜにより混練した塗料の複素比誘電率の実数部が10、虚数部が5で有るのに対し、3本ローラーミルによって混練した塗料の複素比誘電率の実数部が22、虚数部が10と非常に高い値となっているためである。
図10は、共振周波数13.56MHzのICタグを本実施形態のICタグ用膜10を介してPET樹脂製の容器に実装した場合の、容器内容物の有無とICタグの通信距離の変化の関係を示すグラフである。
同図に示すように、ICタグ20は、ICタグ用膜がない場合、水の有無により約150mmの通信距離の違いが生じる。これに対し、不織布(距離層11)に塗布されたICタグ用膜10を介してPET樹脂容器に実装されるICタグ20は、容器内に内容物(水)がある場合(「-●-」)と、ない場合(「-△-」)とで比較すると、通信距離にほとんど変動が見られない。これは、ICタグ用膜により電磁波を内容物側へ透過することを防ぎ、損失を抑制しているためである。
これに対して、ICタグ用膜10を介さず、ICタグ20を直接PET樹脂容器に取り付けた場合には、特に内容物がある場合(「-○-」)と、内容物が有る場合(「-×-」)との通信距離の格差が大きくなっている。また、不織布を備えない場合には、ICタグ用膜101の膜厚が厚くなると、それに比例して、内容物の有無に拘わらず通信特性が劣化している。
このことから、ICタグ用膜10は、ICタグ20を容器側から一定の間隔をとり、かつ、ICタグ20の電磁波をシールドする適切な膜厚とすることで、樹脂容器に装着するICタグの通信特性を良好に維持し得ることがわかる。
以上説明したように、本実施形態のICタグ用膜10によれば、樹脂容器や金属容器等のICタグが装着される容器30の表面に塗布形成することができ、塗料は磁性体金属101と樹脂組成物102との合成物により形成することができる。そして、この塗膜によって、樹脂容器の内容物の影響による通信特性の劣化と、それに伴う内容物の有無による通信距離の変動等を防止するとともに、金属容器の影響による通信利得の熱損失と共振周波数のズレを防止することができる。
具体的には、ICタグ用膜10を構成する磁性体金属101を一様に配向し、分散させることによって、ICタグ用膜10の透磁率を高めることができるためであり、当該ICタグ用膜10を介してICタグ20を金属容器や樹脂容器に取り付けた場合には、ICタグ20から輻射される電磁波をこれら容器30に透過させないようにすることができる。
これにより、既存のどのようなICタグであっても、本実施形態のICタグ用膜10を介して金属容器や樹脂容器に取り付けられることにより、タグ本来の適正な通信範囲での正確な無線通信が行えるようになる。
従って、本実施形態のICタグ用膜10によれば、電磁波の吸収性や遮蔽性に優れた、ICタグの誤作動や通信距離の低下を防ぎ、安定した動作環境を実現することができる。
このように、本実施形態のICタグ用膜10によれば、どのようなICタグ20をどのような容器30に取り付けても、また、容器30に内容物があってもなくても、ICタグ20の通信利得を常に良好な状態に確保することができ、正確な無線通信が可能となり、既存の汎用タグであってもそのまま使用することができ、汎用性、信頼性に優れたICタグ用の膜や基材を提供することができる。
[実施例]
以下、本発明に係るICタグ用膜の一実施例を説明する。
(実施例1)
フィラーとしてケイ素鋼扁平粉(Fe−Si、粒径平均25μm、厚み平均1μm)とポリエステル系バインダー(バルスパーロック社製クリアコーティング7850、固形分30%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを30重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて分散させ、さらに10分間3本ローラーミルにて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、180℃で5分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の複素比透磁率については、キーコム(株)社製のSパラメータ方式反射法同軸管タイプεr、μr測定器システムを用いて測定した。測定結果は、複素比透磁率の実数部μ’=22、虚数部μ’’=10であった。また、表面抵抗は1.0×10Ω/cmであった。
塗膜の上にICタグ(テキサス・インスツルメンツ社製、動作周波数13.56MHz)を取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は50mmであり良好であった。
(実施例2)
フィラーとしてFe−Cu−Si−Nb−Cr−B系フィラー(日立金属(株)社製「ファインメット」、粒径平均35μm、厚み平均1μm)とポリエステル系バインダー(バルスパーロック社製クリアコーティング7850、固形分30%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを45重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて分散させ、さらに10分間3本ローラーミルにて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、180℃で5分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の透磁率については、複素比透磁率の実数部μ’=30.5、虚数部μ’’=10.2であった。また、表面抵抗は4.5×1011Ω/cmであった。
塗膜の上に実施例1と同様のICタグを取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は55mmであり良好であった。
(実施例3)
フィラーとしてパーマロイ(Fe−Ni、粒径平均50μm、厚み平均1μm)とポリエステル系バインダー(バルスパーロック社製クリアコーティング7850、固形分30%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを45重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて分散させ、さらに10分間3本ローラーミルにて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、180℃で5分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の透磁率については、複素比透磁率の実数部μ’=10.2、虚数部μ’’=3.3であった。また、表面抵抗は1.2×10Ω/cmであった。
塗膜の上に実施例1と同様のICタグを取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は22mmであり良好であった。
(実施例4)
フィラーとしてケイ素鋼扁平粉(Fe−Si、粒径平均25μm、厚み平均1μm)とポリエステル系バインダー(バルスパーロック社製クリアコーティング7850、固形分30%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを30重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、180℃で5分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の透磁率については、複素比透磁率の実数部μ’=14、虚数部μ’’=9.8であった。また、表面抵抗は1.0×10Ω/cmであった。
塗膜の上に実施例1と同様のICタグを取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は30mmであり良好であった。
(実施例5)
フィラーとしてケイ素鋼扁平粉(Fe−Si、粒径平均25μm、厚み平均1μm)とエポキシ系バインダー(東洋インキ製造(株)社製ニス「TFA5−217」、固形分45%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを30重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、200℃で2分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の透磁率については、複素比透磁率の実数部μ’=10.0、虚数部μ’’=5.0であった。また、表面抵抗は8.0×10Ω/cmであった。
塗膜の上に実施例1と同様のICタグを取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は30mmであり良好であった。
(比較例1)
フィラーとしてケイ素鋼扁平粉(Fe−Si、粒径平均25μm、厚み平均1μm)とエポキシ系バインダー(東洋インキ製造(株)社製ニス「TFA5−217」、固形分45%)とをフィラー100重量部に対し、バインダーを67重量部配合した。配合したフィラー及びバインダー50gを手で軽く混ぜて混合した。これをアルミニウムDI缶の表面に塗り、200℃で2分間乾燥させた。塗膜の厚みは、200μmとした。
塗膜の透磁率については、複素比透磁率の実数部μ’=6.9、虚数部μ’’=2.7であった。また、表面抵抗は1.0×10Ω/cmであった。
塗膜の上に実施例1と同様のICタグを取り付けて通信試験を行った結果、通信距離は10mm程度であり良好な通信特性が得られなかった。
以上、本発明のICタグ用膜について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るICタグ用膜は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明のICタグ用膜を介してICタグが取り付けられる容器として、飲料や食品の容器として用いられるPETボトルや缶容器、パウチ容器を例にとって説明したが、本発明のICタグ用膜を適用できる容器としては、容器の用途や収納する内容物、容器の構成成分等は特に限定されるものではない。すなわち、樹脂製や金属製の容器であれば、どのような大きさ、形状、材質等の容器であってもよく、また、容器に収納される内容物がどのようなものであってもよい。
以上説明した本発明のICタグ用膜は、例えば、PETボトル容器、アルミニウム缶やスチール缶等の金属缶(ラベル缶)、パウチ容器等の任意の樹脂容器、金属容器に取り付けられるICタグ用の膜・基材として好適に利用できる。
本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を模式的に示す斜視図であり、(a)はICタグ用膜を容器に直接積層形成する場合、(b)はICタグ用膜を距離層に積層し、その距離層を容器に装着する場合を示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を模式的に示す斜視図であり、ICタグ用膜を積層した距離層を基材層に積層し、その基材層を容器に装着する場合を示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜の構成を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜の生成過程において使用される3本ローラーミルを示すものであり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は(a)に示すA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜の生成の様子を模式的に示した説明図であり、(a)は混合材料に熱処理を施す前の状態を、(b)は混合材料に熱処理を施した後の状態を示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を包装材に塗布し、塗布面にICタグを装着した包装材をPETボトル容器に取り付ける状態を模式的に示す斜視図であり、(a)は包装材を容器に取り付ける前の状態を、(b)は包装体を容器に取り付けた状態を示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を金属缶容器に直接塗布し、塗布面にICタグを取り付けた状態を示した斜視図である。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を金属容器に塗布した場合における、膜厚とICタグの通信距離の関係を示すグラフであり、(a)は樹脂30重量部を、(b)は樹脂45重量部を、(c)は樹脂67重量部を、それぞれFe−Si100重量部に混合させた場合を示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を金属容器に塗布した場合における、膜厚とICタグの通信距離の関係を示すグラフであり、(a)は樹脂としてバルスパーロック製クリアコーティング7850を用い3本ローラーミルで混練したもの、(b)は同じ樹脂を用い手混ぜにより混連したもの、(c)は樹脂としてニスを用い手混ぜにより混練したものを示している。 本発明の一実施形態に係るICタグ用膜を介してICタグを樹脂容器に装着した場合における、容器内容物の有無とICタグの通信距離の関係を示すグラフである。 従来の一般的な金属容器にICタグを実装した場合の通信特性の状態を模式的に示す説明図であり、(a)は金属容器に実装されたICタグの状態を、(b)は(a)に示すICタグが発する磁束の状態を示している。
符号の説明
10 ICタグ用膜
11 距離層
12 基材層
20 ICタグ
30 容器
40 内容物
50 3本ローラーミル
101 磁性体金属
102 樹脂組成物

Claims (11)

  1. 無線通信を行うICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面に備えられるICタグ用膜であって、
    10MHz〜50MHzにおける複素比透磁率の実数部が10以上であることを特徴とするICタグ用膜。
  2. 10MHz〜50MHzにおける前記複素比透磁率の虚数部が10以上である請求項1記載のICタグ用膜。
  3. 前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面に塗布により積層形成される請求項1又は2記載のICタグ用膜。
  4. 表面抵抗が0.1MΩ/cm以上である請求項1、2又は3に記載のICタグ用膜。
  5. 扁平状磁性体金属100重量部及び樹脂組成物10〜50重量部からなる請求項1乃至4のいずれかに記載のICタグ用膜。
  6. 前記扁平状磁性体金属が、平均粒径5〜50μmの粉末である請求項5記載のICタグ用膜。
  7. 前記扁平状磁性体金属が、厚みが0.2〜5μmの粉末である請求項5又は6記載のICタグ用膜。
  8. 前記扁平状磁性体金属は、前記樹脂組成物中の凝集物の平均厚みが5μm以下である請求項5、6又は7に記載のICタグ用膜。
  9. 前記扁平状磁性体金属の、前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面に対する角度が、平均10度以下である請求項5乃至8のいずれかに記載のICタグ用膜。
  10. 前記扁平状磁性体金属が、Fe−Si、Fe−Ni、Fe−Ni−Al、Fe−Cu−Si−Nb−Cr−B、Ni、フェライトのうちの少なくとも1つからなる請求項5乃至9のいずれかに記載のICタグ用膜。
  11. 前記ICタグを装着する被装着物及び/又は基材の表面から当該ICタグを離間させる距離層を備える請求項1乃至10のいずれかに記載のICタグ用膜。
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