JP2007233322A - レジスト保護膜材料及びパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】一般式(1)で示される部分構造を有する高分子化合物を含むレジスト保護膜材料。
Figure 2007233322

(R1は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R2、R3、R4は水素原子、又は炭素数1〜20直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基から選ばれ、R2、R3、R4の内少なくとも一つは一つ以上のフッ素で置換されたフルオロアルキル基、かつ少なくとも一つはフッ素を含まないアルキル基、かつR2、R3、R4の内2個以上が水素原子になることがない。)
【効果】本発明のレジスト保護膜材料を用いたパターン形成方法によれば、レジスト膜上に形成されるレジスト保護膜が、非水溶性でアルカリ水溶液(アルカリ現像液)に溶解可能で、しかもレジスト膜とミキシングしないものであるので、良好な液浸リソグラフィーを行えて、またアルカリ現像時にレジスト膜の現像と保護膜の除去とを同時に一括して行うことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工、特に波長193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、投影レンズとウエハーの間に水を挿入する液浸フォトリソグラフィーにおいて、フォトレジスト層を保護すべくレジスト上層膜材料として用いるレジスト保護膜材料及びこれを用いたレジストパターンの形成方法に関する。
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジストのエッチング耐性低下等の種々の問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix)。
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44にまで上げることができる。NAの向上分だけ解像力が向上し、NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示されている(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724)。
ここで、レジスト膜の上に水が存在することによる様々な問題が指摘された。発生した酸や、クエンチャーとしてレジスト膜に添加されているアミン化合物が水に溶解してしまうことによる形状変化や、膨潤によるパターン倒れなどである。そのため、レジスト膜と水との間に保護膜を設けることが有効であることが提案されている(非特許文献3:2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography)。
レジスト上層の保護膜は、今まで反射防止膜として検討された経緯がある。例えば、特許文献1〜3:特開昭62−62520号公報、特開昭62−62521号公報、特開昭60−38821号公報に示されるARCOR法などである。ARCOR法はレジスト膜上に透明な反射防止膜を形成し、露光後剥離する工程を含む方法であり、その簡便な方法で微細かつ高精度及び合わせ精度の高いパターンを形成する方法である。反射防止膜として低屈折率材料のパーフルオロアルキル化合物(パーフルオロアルキルポリエーテル、パーフルオロアルキルアミン)を用いると、レジスト−反射防止膜界面の反射光を大幅に低減し、寸法精度が向上する。フッ素系の材料としては、前述の材料以外に特許文献4:特開平5−74700号公報に示されるパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)−テトラフルオロエチレン共重合体、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体などの非晶質ポリマーなどが提案されている。
しかし、上記パーフルオロアルキル化合物は、有機物との相溶性が低いことから、塗布膜厚を制御するための希釈液にはフロンなどが用いられているが、周知の通りフロンは現在環境保全の観点からその使用が問題となっている。また、上記化合物は均一な成膜性に問題があり、反射防止膜としては十分であるとはいえなかった。また、フォトレジスト膜の現像前に、反射防止膜をフロンで剥離しなければならなかった。そのため、従来装置に反射防止膜剥離用のシステムの増設をしなければならない、フロン系溶剤のコストがかなりかさむなど実用面でのデメリットが大きかった。
従来装置に増設無しで反射防止膜の剥離を行おうとすると、現像ユニットを使って剥離を行うのが最も望ましい。フォトレジストの現像ユニットで用いられる溶液は、現像液であるアルカリ水溶液と、リンス液である純水であるので、これらの溶液で容易に剥離できる反射防止膜材料が望ましいといえる。そのため、数多くの水溶性の反射防止膜材料及びこれらを用いるパターン形成方法が提案された。例えば、特許文献5,6:特開平6−273926号公報、特許第2803549号公報などである。
ところが、水溶性保護膜は、露光中に水に溶解してしまうので液浸リソグラフィーには用いることができない。一方で、非水溶性のフッ素系ポリマーは特殊なフロン系の剥離剤が必要であるということとフロン系溶媒専用の剥離カップが必要という問題があり、非水溶性で、簡便に剥離可能なレジスト保護膜が求められていた。
ここで、ヘキサフルオロアルコールをペンダントしたメタクリレートをベースにする現像液可溶なトップコートが提案されている(非特許文献4:J.Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p615 (2005))。このものはTgが150℃と高く、アルカリ溶解性も高く、レジストとの相性も良好である。
露光機のスキャンスピードを上げるためには、水に接触するフォトレジスト保護膜の滑水性を上げる必要がある。滑水性を上げるには、単に撥水性を上げるだけではなく、異種の撥水性基を組み合わせ、ミクロドメイン構造を形成することが効果的であると報告されている。例えば、シロキサンをグラフトしたフッ素樹脂などは非常に優れた滑水性を示す(非特許文献5:XXIV FATIPEC Congress Book.、Vol.B, p15−38 (1997))。このものは、フッ素樹脂単独、シリコーン樹脂単独よりも優れた滑水性を示し、TEM観察により、10〜20nmのドメイン構造を形成していることが示されている(非特許文献6:Progress in Organic Coatings, 31, p97−104(1997))。
Proc. SPIE Vol. 4690 xxix Proc. SPIE Vol. 5040 p724 2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography J.Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p615 (2005) XXIV FATIPEC Congress Book.、Vol.B, p15−38 (1997) Progress in Organic Coatings, 31, p97−104(1997) 特開昭62−62520号公報 特開昭62−62521号公報 特開昭60−38821号公報 特開平5−74700号公報 特開平6−273926号公報 特許第2803549号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、良好な液浸リソグラフィーを可能とし、しかもフォトレジスト層の現像時に同時に除去することができて、優れたプロセス適用性を有する液浸リソグラフィー用として有効な保護膜材料、及びこのような材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、疎水性基としてフルオロアルキル基とアルキル基の両方を有する繰り返し単位を有する高分子化合物を含むことによって、滑水性が非常に高いフォトレジスト用保護膜材料として有望であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は下記のレジスト保護膜材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示される部分構造を有する高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト保護膜材料。
Figure 2007233322

(式中、R1は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R2、R3、R4は水素原子、又は炭素数1〜20直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基から選ばれ、R2、R3、R4の内少なくとも一つは一つ以上のフッ素で置換されたフルオロアルキル基であり、かつ少なくとも一つはフッ素を含まないアルキル基であり、かつR2、R3、R4の内2個以上が水素原子になることがない。)
請求項2:
下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のレジスト保護膜材料。
Figure 2007233322

(式中、R1〜R4は前述の通り。R5、R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは−O−、−C(=O)−O−又は−C(=O)−O−R7−C(=O)−O−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。0≦a≦1、0≦b≦1、0<a+b≦1の範囲である。)
請求項3:
更に、高分子化合物が、カルボキシル基及び/又はαトリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位と、一般式(2)で示されるフルオロアルキル基とアルキル基との両方を有する繰り返し単位を有する請求項2記載のレジスト保護膜材料。
請求項4:
更に、上記高分子化合物を溶解する溶媒を含有する請求項1、2又は3記載のレジスト保護膜材料。
請求項5:
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、露光を行った後、現像を行うリソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト上層膜材料として請求項1乃至4のいずれか1項記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項6:
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、水中で露光を行った後、現像を行う液浸リソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト上層膜材料として請求項1乃至4のいずれか1項記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項7:
液浸リソグラフィーが、180〜250nmの範囲の露光波長を用い、投影レンズとウエハーの間に水を挿入させたものである請求項6記載のパターン形成方法。
請求項8:
露光後に行う現像工程において、アルカリ現像液によりフォトレジスト層の現像とレジスト上層膜材料の保護膜の剥離とを同時に行う請求項6又は7記載のパターン形成方法。
本発明のレジスト保護膜材料を用いたパターン形成方法によれば、レジスト膜上に形成されるレジスト保護膜が、非水溶性でアルカリ水溶液(アルカリ現像液)に溶解可能であり、しかもレジスト膜とミキシングしないものであるので、良好な液浸リソグラフィーを行うことができ、またアルカリ現像時にレジスト膜の現像と保護膜の除去とを同時に一括して行うことができる。
上記非特許文献6によると、フルオロアルキル基のフッ素原子は水分子の水素原子と弱く結合する。一方、アルキル基は水分子の酸素と結合する。分子軌道法による計算では、フルオロアルキル基と水によるフッ素−水素結合距離は0.187nmであり、アルキル基−水による水素−酸素結合距離0.252nmよりも短く、フルオロアルキル基の方がアルキル基よりも水分子と短い結合距離にいることが示されている。水分子との結合距離が短いと滑水性が低下することになり、好ましくない。ここでは、フルオロアルキル基とアルキル基とでは、水分子集合体への配向角度が示され、それぞれの配向角度が異なることが示されている。
本発明者らは、水への結合距離を長くするために、フルオロアルキル基とアルキル基の両方を撥水性基として用いることを試みた(特願2005−301197号)。ここでフルオロアルキル基を持つポリマーと、アルキル基を持つポリマーとのブレンド、あるいはフルオロアルキル基を有する繰り返し単位とアルキル基を有する繰り返し単位との共重合によって今までにない高い滑水性を得ることができた。
フルオロアルキル基とアルキル基とが共存すると、それぞれに対する水の最適な配向位置が異なるために、撥水性基と水との間に斥力が働き、水との結合距離が長くなることによって高い滑水性を得ることができたと考えられる。
更に、本発明においては、1分子中にフルオロアルキル基とアルキル基の両方を存在させることによって水との斥力を更に増大させる効果を狙った。これによって今までにない程の優れた滑水性を有する液浸リソグラフィー用の保護膜を得ることができ、本発明を完成させたものである。
本発明のレジスト保護膜材料は、特に、ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、水中で露光を行った後、現像を行う液浸リソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト上層膜材料として好適に用いられるもので、下記一般式(1)で示される部分構造を有する高分子化合物を添加してなることを特徴とする。
Figure 2007233322

(式中、R1は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R2、R3、R4は水素原子、又は炭素数1〜20直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基から選ばれ、R2、R3、R4の内少なくとも一つは一つ以上のフッ素で置換されたフルオロアルキル基であり、かつ少なくとも一つはフッ素を含まないアルキル基であり、かつR2、R3、R4の内2個以上が水素原子になることがない。)
一般式(1)で示される部分構造を有する高分子化合物の繰り返し単位としては、下記一般式(2)に示すものが好ましい。
Figure 2007233322

(式中、R1〜R4は前述の通り。R5、R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは−O−、−C(=O)−O−又は−C(=O)−O−R7−C(=O)−O−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。0≦a≦1、0≦b≦1、0<a+b≦1の範囲である。)
この場合、式(1)の部分構造を有する高分子化合物としては、式(2)の繰り返し単位を有するポリマーが好ましく、特に一般式(2)で示される繰り返し単位とカルボキシル基及びαトリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位との共重合によって得られたポリマーを使うことによって、水への溶解速度が0.1Å(オングストローム)/s以下であり、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液からなる現像液の溶解速度が300Å/s以上のレジスト保護膜を形成することができる。
フルオロアルキル基とアルキル基の両方を有するアルキル基の合成方法を例示する。下記に示されるようにエポキシ基を有するフルオロアルキルとアルキルグリニャール試薬との反応によって、フルオロアルキル基とアルキル基の両方を有するアルコールを得る。このアルコールと(メタ)アクリル酸クロリドとのエステル化反応によって、一般式(2)の繰り返し単位aを得るためのモノマー、即ち、フルオロアルキル基とアルキル基の両方を有する(メタ)アクリルを得ることができる。下記(メタ)アクリレートとジシクロペンタジエンとのDiels−Alder反応、あるいはノルボルネンカルボン酸と下記アルコールの縮合反応によって繰り返し単位bのモノマーを得ることができる。
Figure 2007233322

(式中、R5は上記の通りである。)
一般式(2)で示される繰り返し単位aを与えるモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
Figure 2007233322

ここで、R5は前述の通りである。
一般式(2)で示される繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
Figure 2007233322

ここで、R6は前述の通りである。
アルカリ溶解型トップコート用ポリマーにするには、カルボキシル基及び/又はαトリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位と一般式(2)で示されるフルオロアルキル基とアルキル基との両方を有する繰り返し単位を共重合することが好ましい。
αトリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位cとしては、下記一般式(3)で示されるものである。
Figure 2007233322

(上式中、R5、R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは単結合、−O−、−C(=O)−O−又は−C(=O)−O−R18−C(=O)−O−である。R18は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、フッ素置換されたアルキレン基、トリフルオロメチル基を有していてもよい。R16は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、R17は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はジフルオロメチル基であり、R17とR16は結合して環を形成してもよく、その場合はR16、R17はそれぞれ炭素数3〜12、特に3〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であるが、環の中にエーテル結合を有してもよく、アルキレン基の水素原子の1個又は2個以上がフッ素原子で置換されていてもよく、例えば上記環の水素原子がトリフルオロメチル基に置換したものが含まれる。nは1又は2であり、0≦(c−1)≦0.95、0≦(c−2)≦0.95の範囲である。)
上記一般式(3)で示される繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。なお、R5、R6は前述の通りである。
Figure 2007233322
Figure 2007233322
Figure 2007233322
Figure 2007233322
カルボキシル基を有する繰り返し単位dとしては、下記一般式(4)で示されるものである。
Figure 2007233322

(式中、R5、Y、nは前述の通り。R19は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、−COOH、又は−CH2−COOHである。0≦(d−1)≦0.95、0≦(d−2)≦0.95の範囲である。)
上記一般式(4)で示される繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。なお、R5は前述の通りである。
Figure 2007233322
Figure 2007233322
更に、レジスト膜とのミキシングを防止するために、パーフルオロアルキル基を有する繰り返し単位eを共重合することもできる。繰り返し単位eを得るためのモノマーは下記に例示することができる。なお、R5、R6は前述の通りである。
Figure 2007233322
Figure 2007233322
上記繰り返し単位a、b、(c−1)、(c−2)、(d−1)、(d−2)、eの比率は、0≦a≦1.0、0≦b≦1.0、0<a+b≦1.0、0≦(c−1)≦0.95、0≦(c−2)≦0.95、0≦(c−1)+(c−2)≦0.95、0≦(d−1)≦0.95、0≦(d−2)≦0.95、0≦(d−1)+(d−2)≦0.95、0≦e≦0.9の範囲であり、好ましくは0≦a≦0.8、0≦b≦0.8、0.1≦a+b≦1.0、特に0.1≦a+b≦0.8、0≦(c−1)≦0.9、0≦(c−2)≦0.9、0≦(c−1)+(c−2)≦0.9、0≦(d−1)≦0.9、0≦(d−2)≦0.9、0≦(d−1)+(d−2)≦0.9、0<(c−1)+(c−2)+(d−1)+(d−2)≦0.95、特に0<(c−1)+(c−2)+(d−1)+(d−2)≦0.9、0≦e≦0.8の範囲であり、a+b+(c−1)+(c−2)+(d−1)+(d−2)+e=1である。
なお、ここで、a+b+(c−1)+(c−2)+(d−1)+(d−2)+e=1とは、繰り返し単位a、b、(c−1)、(c−2)、(d−1)、(d−2)、eを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、(c−1)、(c−2)、(d−1)、(d−2)、eの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示す。
本発明の高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000であることが望ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料とミキシングを起こしたり、水に溶解し易くなったりする。大きすぎるとスピンコート後の成膜性に問題が生じたり、アルカリ溶解性が低下したりすることがある。
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a〜eを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え、加熱重合を行うことにより、高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。モノマー段階のフルオロアルコール基はアセチル基やアセタールなどで置換されていて、重合後にアルカリ処理又は酸処理によってフルオロアルコールにしてもよい。
本発明のレジスト保護膜材料は、上記高分子化合物を溶媒に溶解させて用いることが好ましい。またこの場合、スピンコーティング法による成膜性の点から、上記高分子化合物の濃度が0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%となるように溶媒を使用することが好ましい。
用いられる溶媒としては特に限定されないが、レジスト層を溶解させる溶媒は好ましくない。例えば、レジスト溶媒として用いられるシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類などは好ましくない。
レジスト層を溶解しない溶媒としては、炭素数4以上の高級アルコール、トルエン、キシレン、アニソール、ヘキサン、シクロヘキサン、エーテルなどの非極性溶媒を挙げることができる。特に炭素数4以上の高級アルコールが好ましく用いられ、具体的には1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテルが挙げられる。
一方、フッ素系の溶媒もレジスト層を溶解しないので好ましく用いることができる。
このようなフッ素置換された溶媒を例示すると、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、S−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トルフルオロブタノール1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサノン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール,2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノールなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の非水溶性でかつアルカリ可溶性のレジスト保護膜(上層膜)材料を使ったパターン形成方法について説明する。
まず、フォトレジスト層の上に非水溶性でかつアルカリ可溶性のレジスト保護膜(上層膜)材料をスピンコート法などで成膜する。膜厚は10〜500nmの範囲が好ましい。露光方法はレジスト保護膜と投影レンズの間が空気あるいは窒素などの気体であるドライ露光でもよいが、レジスト保護膜と投影レンズ間が液体で満たされている液浸露光でもよい。液浸露光では水が好ましく用いられる。液浸露光において、ウエハー裏面への水の回り込みや、基板からの溶出を防ぐために、ウエハーエッジや裏面のクリーニングの有無、及びそのクリーニング方法は重要である。例えばレジスト保護膜をスピンコート後に40〜130℃の範囲で10〜300秒間ベークすることによって溶媒を揮発させる。レジスト膜や、ドライ露光の場合はスピンコート時にエッジクリーニングを行うが、液浸露光の場合、親水性の高い基板面が水に接触すると、エッジ部分の基板面に水が残ることがあり、好ましいことではない。そのためレジスト保護膜のスピンコート時にはエッジクリーニングをしない方法が挙げられる。
レジスト保護膜を形成後、KrF又はArF液浸リソグラフィーによって水中で露光する。露光後、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、アルカリ現像液で10〜300秒間現像を行う。アルカリ現像液は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられており、本発明のレジスト保護膜の剥離とレジスト膜の現像を同時に行う。PEB前に、レジスト保護膜上に水が残っている場合がある。水が残っている状態でPEBを行うと、水が保護膜を通過しレジスト中の酸を吸い出してしまい、パターン形成ができなくなる。PEB前に保護膜上の水を完全に除去するため、PEB前のスピンドライ、保護膜表面の乾燥空気や窒素によるパージ、あるいは露光後のステージ上の水回収ノズル形状や水回収プロセスの最適化などによって保護膜上の水を乾燥あるいは回収する必要がある。更に、本発明に示される撥水性の高いレジスト保護膜は、水回収性に優れている特徴がある。
レジスト材料の種類は、特に限定されない。ポジ型でもネガ型でもよく、通常の炭化水素系の単層レジスト材料でもよく、珪素原子などを含んだバイレイヤーレジスト材料でもよい。KrF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂としてポリヒドロキシスチレン又はポリヒドロキシスチレン−(メタ)アクリレート共重合体の、ヒドロキシ基あるいはカルボキシル基の水素原子の一部又は全てが酸不安定基で置換された重合体が好ましく用いられる。
ArF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂として芳香族を含まない構造が必須であり、具体的にはポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、テトラシクロドデセン誘導体−無水マレイン酸交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、ノルボルネン誘導体−マレイミド交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、テトラシクロドデセン誘導体−マレイミド交互重合体及びポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元共重合体、及びこれらの2つ以上の、あるいはポリノルボルネン及びメタセシス開環重合体から選択される1種あるいは2種以上の高分子重合体が好ましく用いられる。
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、GPCはゲルパーミエーションクロマトグラフィーであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。
また、合成例で使用したモノマー1〜14の構造式を下記に示す。
Figure 2007233322
[合成例1]
200mLのフラスコにモノマー1を22.1g、モノマー6を9.7g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー1とした。
Figure 2007233322
[合成例2]
200mLのフラスコにモノマー2を25.6g、モノマー6を7.8g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー2とした。
Figure 2007233322
[合成例3]
200mLのフラスコにモノマー3を32.6g、モノマー6を5.8g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー3とした。
Figure 2007233322
[合成例4]
200mLのフラスコにモノマー4を35.0g、モノマー7を15.5g、溶媒としてメタノールを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、85℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー4とした。
Figure 2007233322
[合成例5]
200mLのフラスコにモノマー5を41.5g、モノマー8を13.2g、溶媒としてメタノールを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、85℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー5とした。
Figure 2007233322
[合成例6]
200mLのフラスコにモノマー1を19.1g、メタクリル酸を5g、モノマー6を7g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー6とした。
Figure 2007233322
[合成例7]
200mLのフラスコにモノマー1を23.5g、モノマー11を6.5g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー7とした。
Figure 2007233322
[合成例8]
200mLのフラスコにモノマー5を25.5g、モノマー8を11.2g、溶媒としてメタノールを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、85℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー8とした。
Figure 2007233322
[合成例9]
200mLのフラスコにモノマー1を20.6g、モノマー14を7.5g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、実施例ポリマー9とした。
Figure 2007233322
[比較合成例1]
200mLのフラスコにモノマー5を35.0g、モノマー9を9.0g、溶媒としてメタノールを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、比較例ポリマー1とした。
Figure 2007233322
[比較合成例2]
200mLのフラスコにモノマー5を41.5g、モノマー10を10.5g、溶媒としてメタノールを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3g加え、65℃まで昇温後、25時間反応させた。この反応溶液をヘキサンに晶出させて樹脂を単離した。得られた樹脂の組成は1H−NMR、分子量はGPCで確認し、比較例ポリマー2とした。
Figure 2007233322
[実施例、比較例]
実施例ポリマー1〜9、比較例ポリマー1,2は上記合成例に示したポリマーを用いた。
実施例ポリマー1〜9、比較例ポリマー1,2の1.0gをジイソペンチルエーテル23g、2−メチル−1−ブタノール2gの混合溶媒に溶解させ、それぞれ0.2ミクロンサイズのポリプロピレンフィルターで濾過し、レジスト保護膜溶液を作製した。
シリコン基板上にレジスト保護膜溶液をスピンコートし、100℃で60秒間ベークした後、50nm膜厚のレジスト保護膜(TC−1〜9、比較TC−1,2)を作製し、J.A.ウーラム社製分光エリプソメトリを用いて波長193nmにおける保護膜の屈折率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2007233322
次に、上記方法でレジスト保護膜を形成したウエハーを純水で5分間リンスし、膜厚の変動を観察した。結果を表2に示す。
Figure 2007233322
また、上記方法でレジスト保護膜を形成したウエハーを2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、膜厚の変動を観察した。結果を表3に示す。
Figure 2007233322
協和界面科学製の傾斜法接触角計Drip Master 500を用いて、上記方法でレジスト保護膜を形成して水平に保ったウエハー上に50μLの純水を滴下し、水玉を形成した。次に、このウエハーを徐々に傾斜させ、水玉が転落し始めるウエハーの角度(転落角)と後退接触角を求めた。結果を表4に示す。
Figure 2007233322
転落角が小さいことは、水が流動し易いことを示し、後退接触角は高速のスキャン露光においても液滴が残りづらいことを示す。本発明のフルオロアルキル基とアルキル基の両方を1つの繰り返し単位中に有するポリマーの場合は、フルオロアルキル基のみを有するポリマーよりも転落角が小さく、後退接触角が大きい特徴がある。
更に、下記に示すレジストポリマー5g、PAG0.25g、クエンチャーであるトリ−n−ブチルアミン0.6gを55gのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液に溶解し、0.2ミクロンサイズのポリプロピレンフィルターで濾過し、レジスト溶液を作製した。Si基板上に作製した日産化学工業社製反射防止膜ARC−29Aの87nm膜厚上にレジスト溶液を塗布し、120℃で60秒間ベークして膜厚150nmのレジスト膜を作製した。その上にレジスト保護膜を塗布し、100℃で60秒間ベークした。擬似的な液浸露光を再現するために、露光後の膜の純水リンスを5分間行った。ニコン製ArFスキャナーS307E(NA0.85 σ0.93 4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、純水をかけながら5分間リンスを行い、110℃で60秒間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、2.38質量%TMAH現像液で60秒間現像を行った。
保護膜なしで露光、純水リンス、PEB、現像、また露光後純水リンスを行わない通常のプロセスも行った。
ウエハーを割断し、75nmラインアンドスペースのパターン形状、感度を比較した。結果を表5に示す。
Figure 2007233322
Figure 2007233322
保護膜なしで露光後純水リンスを行った場合はT−top形状になった。これは発生した酸が水に溶解したためと考えられる。一方、本発明の保護膜を使った場合は形状の変化は起こらなかった。従来型のフルオロアルキル基のみを疎水性基とした保護膜の場合は、現像後のレジスト形状が膜減りでかつテーパー形状となった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示される部分構造を有する高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト保護膜材料。
    Figure 2007233322

    (式中、R1は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R2、R3、R4は水素原子、又は炭素数1〜20直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基から選ばれ、R2、R3、R4の内少なくとも一つは一つ以上のフッ素で置換されたフルオロアルキル基であり、かつ少なくとも一つはフッ素を含まないアルキル基であり、かつR2、R3、R4の内2個以上が水素原子になることがない。)
  2. 下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のレジスト保護膜材料。
    Figure 2007233322

    (式中、R1〜R4は前述の通り。R5、R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは−O−、−C(=O)−O−又は−C(=O)−O−R7−C(=O)−O−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。0≦a≦1、0≦b≦1、0<a+b≦1の範囲である。)
  3. 更に、高分子化合物が、カルボキシル基及び/又はαトリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位と、一般式(2)で示されるフルオロアルキル基とアルキル基との両方を有する繰り返し単位を有する請求項2記載のレジスト保護膜材料。
  4. 更に、上記高分子化合物を溶解する溶媒を含有する請求項1、2又は3記載のレジスト保護膜材料。
  5. ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、露光を行った後、現像を行うリソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト上層膜材料として請求項1乃至4のいずれか1項記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
  6. ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト上層膜材料による保護膜を形成し、水中で露光を行った後、現像を行う液浸リソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト上層膜材料として請求項1乃至4のいずれか1項記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
  7. 液浸リソグラフィーが、180〜250nmの範囲の露光波長を用い、投影レンズとウエハーの間に水を挿入させたものである請求項6記載のパターン形成方法。
  8. 露光後に行う現像工程において、アルカリ現像液によりフォトレジスト層の現像とレジスト上層膜材料の保護膜の剥離とを同時に行う請求項6又は7記載のパターン形成方法。
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