JP2007233292A - マルチポートカプラ及び光ポンピングデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の光ファイバ挿入用の複数の孔を持つキャピラリに、励起光を導光する複数の光ファイバ又は信号光を導光する光ファイバと励起光を導光する複数の光ファイバとが挿入されてなり、該キャピラリの先端が増幅用ファイバの一端に接続され、該増幅用ファイバに励起光又は信号光と励起光とを入射可能に結合されるマルチポートカプラにおいて、前記キャピラリのほぼ全長にわたって、前記光ファイバと孔との空隙を潰した構造を有することを特徴とするマルチポートカプラ。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、図5に示すように、励起光結合用のマルチモードファイバ2を複数本束ね、コアに希土類元素がドープされ且つダブルクラッド構造を有する増幅用ファイバ3の断面領域まで断面積を減少、傾斜させた断面積減少部4を有し、この断面積減少部4の先端を増幅用ファイバ3の一端に融着接続して結合部5とした光ファイバデバイス1が開示されている。
特許文献1に開示された従来技術では、複数本のMMFを束ね、断面積減少部を形成する工程において、各光ファイバ間に存在する空隙を埋めようとする力が働き、最外周に配置されたMMFの断面形状が変形し易く、この変形が増幅用ファイバ(クラッドポンピングファイバ)との結合において、結合効率の低下に繋がる問題がある。また、この問題に関連し、励起ポート数を増加させるにつれて、断面形状の変形量が大きくなり、結合効率が低下するため、拡張性に乏しく、よりハイパワーのポンピング要求に対応することが難しいという懸念がある。
複数本の光ファイバを整列させるためにキャピラリを使用したマルチポートカプラにおいては、キャピラリの形状について、詳しく言及されている提案は知られていない。
また、キャピラリを溝付きの石英ガラス管で固定することで、マルチポートカプラの周囲に温度変化が生じた場合に光ファイバが受ける応力が低減でき、光学特性の安定化と長期的な信頼性を向上させることができる。
また、キャピラリからの光ファイバ出口部分を弾性接着剤で固めることで、光ファイバが共振した時に、キャピラリ出口部分に作用する応力が緩和され、機械的信頼をより向上させることができる。
また、石英管とキャピラリ及び光ファイバとの接着に前記弾性接着剤より固めの接着剤を選定して用いることにより、挿入した光ファイバ及びキャピラリに引っ張り応力が作用した場合にも、光ファイバ裸線部分に作用する応力が低減でき、信頼性をさらに高めることができる。
また、キャピラリ部を溝付きの石英ガラス管で固定することで、取り扱いし易くなり、製造作業性を向上できる。
図1は、本発明のマルチポートカプラとそれを用いた光ポンピングデバイスの一実施形態を示す側面図である。図1中、符号10はマルチポートカプラ、11はキャピラリ、12は増幅用ファイバ、13はブリッジファイバ、14は延伸部、15は被覆部、16及び17は接続部、20は光ポンピングデバイスである。
本発明の構造の特徴は、キャピラリ11のほぼ全長に渡って径を収縮させたところにある。これにより、キャピラリ11端において光ファイバとキャピラリ11に設けられた孔の壁との間に空隙が存在しなくなる。空隙をなくすことで、衝撃や振動による破断がなくなり、機械的信頼性の高いマルチポートカプラ10が作製可能となる。
図7に示すように、キャピラリ30の孔31と、光ファイバ裸線34との間に空隙36が存在すると、マルチポートカプラに振動や衝撃が加わった時に、固定されていない部分の光ファイバ長に依存した共振周波数の振動が発生した場合、光ファイバが撓んで孔31の開口周縁のキャピラリ角部35へと衝突してしまうおそれがある。光ファイバ裸線34部分がキャピラリ角部35に衝突してしまうと、衝突した部分に微細な傷が生じ、そこから傷が進展することにより、結果的に光ファイバの破断が起こってしまう。
次に、本発明のマルチポートカプラの製造例を説明する。本製造例は単なる例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、マルチポートカプラの製造に用いるキャピラリ11の一例を示す断面図である。本製造例で使用したキャピラリは、材質が石英ガラスからなり、外径が800μm程度、長さが1.8mm程度の円柱形状をなしており、キャピラリ断面の中心に一つ、その周りに9個の合計10個の孔18が開いたものを使用した。キャピラリ11の材質を、挿入する光ファイバと同じ石英ガラスとすることで、線膨張係数が等しくなるため、空隙を潰す工程で生じる応力を和らげることができ、長期的な信頼性を向上させることができる。キャピラリの孔径は、例えば、直径125μmの光ファイバ裸線を挿入する場合、全ての孔18を150μm程度とすることが望ましい。
さらに、石英ガラス管24とキャピラリ11及び光ファイバ裸線部分22との各固定部25,27の接着には、前記弾性接着剤よりも固めの接着剤、例えば紫外線硬化型接着剤などを選定して用いることにより、挿入した光ファイバ及びキャピラリ11に引っ張り応力が作用した場合にも、光ファイバ裸線部分22に作用する応力を低減させ、信頼性を高めることが可能になる。また、融着作業を行う際には、石英ガラス管24部分を把持し、調心や固定が行えるため、取り扱いし易くなり、作業性も向上する。
また、キャピラリ11を溝付きの石英ガラス管24で固定することで、マルチポートカプラ10の周囲に温度変化が生じた場合に光ファイバが受ける応力が低減でき、光学特性の安定化と長期的な信頼性を向上させることができる。
また、キャピラリ11からの光ファイバ出口部分26を弾性接着剤で固めることで、光ファイバが共振した時に、キャピラリ出口部分に作用する応力が緩和され、機械的信頼性をより向上させることができる。
また、石英ガラス管24とキャピラリ11及び光ファイバとの接着に前記弾性接着剤より固めの接着剤を選定することにより、挿入した光ファイバ及びキャピラリ11に引っ張り応力が作用した場合にも、光ファイバ裸線部分22に作用する応力が低減でき、信頼性をさらに高めることができる。
また、キャピラリ11を溝付きの石英ガラス管24で固定することで、取り扱いし易くなり、製造作業性を向上できる。
Claims (7)
- 複数の光ファイバ挿入用の複数の孔を持つキャピラリに、励起光を導光する複数の光ファイバ又は信号光を導光する光ファイバと励起光を導光する複数の光ファイバとが挿入されてなり、該キャピラリの先端が増幅用ファイバの一端に接続され、該増幅用ファイバに励起光又は信号光と励起光とを入射可能に結合されるマルチポートカプラにおいて、
前記キャピラリのほぼ全長にわたって、前記光ファイバと孔との空隙を潰した構造を有することを特徴とするマルチポートカプラ。 - 前記キャピラリの材質が石英ガラスからなることを特徴とする請求項1に記載のマルチポートカプラ。
- 前記キャピラリと、増幅用ファイバとの間に、テーパ形状を有するブリッジファイバを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチポートカプラ。
- 空隙を潰した前記キャピラリと、該キャピラリに挿入した全ての光ファイバの被覆部の端部を収容し固定可能な溝が設けられた補強用の石英ガラス管を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマルチポートカプラ。
- 前記キャピラリからの光ファイバ出口部分を弾性接着剤で固定し、キャピラリと石英ガラス管及び光ファイバと石英ガラス管との固定部を、前記弾性接着剤よりも固い接着剤で固定したことを特徴とする請求項4に記載のマルチポートカプラ。
- 光ファイバが繋がっている側の前記キャピラリ端から、挿入した光ファイバの被覆部までの長さが5mm〜100mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマルチポートカプラ。
- 複数の励起光源から発する励起光を導光する光ファイバと、増幅用ファイバとを、請求項1〜6のいずれかに記載のマルチポートカプラで結合した構造を有することを特徴とする光ポンピングデバイス。
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