JP2007232779A - 液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、絶縁性液体は、大豆油と、半乾性油および/または不乾性油とのエステル交換によって得られた油脂を含むものであることを特徴とする。エステル交換する際の、大豆油と半乾性油との混合重量比は、100:5〜100:500であるのが好ましい。また、エステル交換する際の、大豆油と不乾性油との混合重量比は、100:5〜100:300であるのが好ましい。また、半乾性油として、例えば、ひまわり油、菜種油、または、サフラワー油を用いることができる。不乾性油として、例えば、オリーブ油、ひまし油、または、落花生油を用いることができる。
【選択図】なし
Description
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
しかしながら、従来の液体現像剤で用いられてきた絶縁性液体は、石油系の炭化水素を主とするものであるため、例えば、画像形成装置等の外に出た場合に、環境に悪影響を及ぼすことが懸念されていた。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記絶縁性液体は、大豆油と、半乾性油および/または不乾性油とのエステル交換によって得られたエステル交換油脂を含むものであることを特徴とする。
これにより、環境安定性に優れるとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れ、かつ、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
これにより、環境安定性、定着特性に特に優れた液体現像剤を提供することができる。
本発明の液体現像剤では、エステル交換する際の、前記大豆油と前記不乾性油との混合重量比は、100:5〜100:300であることが好ましい。
これにより、環境安定性、定着特性に特に優れた液体現像剤を提供することができる。
これにより、優れた定着性を保持しつつ、環境安定性に特に優れた液体現像剤を提供することができる。
本発明の液体現像剤では、前記不乾性油は、オリーブ油、ひまし油、または、落花生油であることが好ましい。
これにより、液体現像剤は、特に優れた環境安定性を示すものとなる。
これにより、絶縁性液体の化学的な劣化を十分に防止しつつ、酸化重合反応を効率良く進行させることができ、トナー粒子を記録媒体に定着した際の定着強度をより向上させることができる。
これにより、液体現像剤中におけるエステル交換油脂の不本意な酸化をより効果的に防止することができる。
本発明の液体現像剤は、定着時における、前記エステル交換油脂の酸化重合反応を促進する酸化重合促進剤を含むものであることが好ましい。
これにより、必要時(定着時)において、エステル交換油脂を効果的に酸化重合(硬化)させることができる。その結果、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
これにより、液体現像剤の保存時等における酸化重合反応をより確実に防止するとともに、定着時においては、カプセルが定着時の圧力等によって潰れることにより、酸化重合促進剤とエステル交換油脂とが接触し、エステル交換油脂の酸化重合反応を確実に進行させることができる。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
<絶縁性液体>
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明において、絶縁性液体は、大豆油と、半乾性油および/または不乾性油とのエステル交換反応によって得られた油脂(エステル交換油脂)を含むものである。なお、半乾性油とは、不飽和脂肪酸成分を含む、ヨウ素価が90以上120未満の油脂のことを言い、不乾性油とは、ヨウ素価が90よりも小さい油脂のことを言う。また、大豆油は、一般に、乾性油(ヨウ素価が120以上油脂)に分類される油脂である。
また、大豆油、半乾性油は、トナー粒子の記録媒体への定着性向上に寄与することができる成分である。より詳しく説明すると、大豆油、半乾性油は、酸化重合することにより(定着時における定着温度で酸化重合することにより)、それ自体が硬化し、トナー粒子の定着性を向上させる機能を有する成分である。
すなわち、大豆油を絶縁性液体として単独で用いた場合、定着強度を比較的高いものとすることはできるが、大豆油が比較的容易に酸化重合しやすいため、液体現像剤の環境安定性が低下するという問題がある。
また、これらの大豆油、半乾性油、不乾性油を混合して用いることも考えられるが、この場合、それぞれの特徴を発揮させることができず、優れた環境安定性、優れた定着特性の両立を図るのは困難であった。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、大豆油と、半乾性油および/または不乾性油とのエステル交換反応によって得られたエステル交換油脂を絶縁性液体の構成成分として用いることにより、優れた環境安定性と、優れた定着特性とを両立できることを見出した。
また、不乾性油としては、例えば、オリーブ油、ひまし油、落花生油、アボガド油、ヘーゼルナッツ油等が挙げられる。上述した中での、オリーブ油、ひまし油、落花生油を用いた場合、液体現像剤は、特に優れた環境安定性を示すものとなる。
なお、上述したようなエステル交換反応としては、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、酵素を用いてエステル交換反応を行う方法や、触媒存在下で加温することによってエステル交換反応を行う方法等が挙げられる。
また、大豆油と不乾性油とでエステル交換反応する場合、大豆油と半乾性油との混合重量比は、100:5〜100:300であるのが好ましく、100:10〜100:150であるのがより好ましく、100:30〜100:90であるのがさらに好ましい。これにより、環境安定性、定着特性に特に優れた液体現像剤を提供することができる。
酸化防止剤の熱分解温度は、具体的には、200℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましい。これにより、酸化防止剤としての機能を十分に保持しつつ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
また、液体現像剤中には、上述したエステル交換油脂の酸化重合反応(硬化反応)を促進する酸化重合促進剤(硬化促進剤)が含まれていてもよい。これにより、必要時(定着時)において、エステル交換油脂を効果的に酸化重合(硬化)させることができる。その結果、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体のヨウ素価は、特に限定されないが、30〜220であるのが好ましく、80〜220であるのがより好ましい。これにより、絶縁性液体の化学的な劣化を十分に防止しつつ、酸化重合反応を効率良く進行させることができ、トナー粒子を記録媒体に定着した際の定着強度をより向上させることができる。
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、ポリエステル樹脂は、前述したようなエステル交換油脂との親和性が高いことから、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいる。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での粒径の標準偏差は、1.0μm以下であるのが好ましく、0.1〜1.0μmであるのがより好ましく、0.1〜0.8μmであるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での平均円形度の標準偏差は、0.15以下であるのが好ましく、0.001〜0.10であるのがより好ましく、0.001〜0.05であるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。画像形成装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
また、感光体から中間転写ローラへのトナー画像の転写の後には、感光体は、除電光P21によって除電されるとともに、感光体上に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP22によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する記録媒体F5に画像が転写され、記録媒体F5上でのトナー画像は、後述するような定着装置を使用して定着が行われる。
また、現像ローラP13と感光体P2との間は、200μm〜800μmの間隔が設けられると共に、現像ローラP13と感光体P2との間には直流電圧200〜800Vに重畳される500〜3000Vpp、周波数50〜3000Hzの交流電圧が印加されるのが好ましい。それ以外は、図4を参照しつつ説明した画像形成装置と同様である。
図3は、本発明の液体現像剤が適用される定着装置の一例を示す断面図である。
定着装置F40は、図3に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、紫外線照射手段F8と、スプリングF9とを有している。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
このように、記録媒体F5上の未定着のトナー画像F5aを熱定着ローラで加熱し、その後紫外線照射することにより、記録媒体に染み込んだエステル交換油脂を確実に酸化重合させることができる。その結果、硬化したエステル交換油脂によって、アンカー効果が働き、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。また、前述したようなエステル交換油脂の酸化重合を利用することにより、熱定着ローラによって特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
(実施例1)
[トナー粒子の製造]
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃、分子量:7500):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のポリエステル樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が3.0μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
上記のようにして得られた懸濁液を噴霧乾燥により乾燥することで、吐出した水系懸濁液の液滴から分散媒が除去され、乾燥トナー粒子を得た。
一方、絶縁性液体を以下のようにして得た。
まず、大豆油(日清オイリオ社製、商品名:「大豆白絞油」、ヨウ素価:120):120重量部と、半乾性油としての菜種油(日清オイリオ社製、ヨウ素価:100):90重量部とを用意した。
次に、触媒としてのナトリウムメチラート:1.2重量部を添加した後、100℃で1時間攪拌し、エステル交換反応を行った。
その後、濾過して触媒を除去した後、減圧乾燥することにより、絶縁性液体としてのエステル交換油脂を得た。
得られた絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は2.0×1013Ωcmであった。また、得られた絶縁性液体のヨウ素価は、111であった。
一方、以下のようにして、カプセル化された酸化重合促進剤を用意した。
まず、酸化重合促進剤としてのオクチル酸亜鉛:10gをアセトン15mlに溶解させ、得られた溶液を多孔質親水性シリカゲルに吸着させ、芯材を得た。
次に、得られた芯材10gとポリエチレングリコール(PEG)20gとを加温混合し、混合物を得た。
次に、この混合物を日石三菱社製AF6号ソルベント400ml中に入れ、ホモミキサーにて十分分散させた後、徐冷してPEGを沈着させた。
その後、ろ過により溶剤を除去してカプセル化された酸化重合促進剤を得た。
上記のようにして得られた絶縁性液体:505重量部と、界面活性剤(ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド):1重量部と、カプセル化された酸化重合促進剤:1.25重量部(酸化重合促進剤として1重量部)と、上記トナー粒子:75重量部とを、ホモミキサー(特殊機化工業製)で10分間撹拌・混合することにより、液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.4μm、トナー粒子の平均円形度は0.96μmであった。
大豆油および菜種油の混合量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例6)
菜種油の代わりに、半乾性油としてのひまわり油(昭和産業社製、商品名「ハイオレイックひまわり油」、ヨウ素価:90)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
菜種油の代わりに、半乾性油としてのサフラワー油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイックサフラワー油」、ヨウ素価:110)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例8)
菜種油の代わりに、不乾性油としてのオリーブ油(日清オイリオ社製、ヨウ素価:80)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
大豆油およびオリーブ油の混合量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例8と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例13)
オリーブ油の代わりに、不乾性油としてのひまし油(小倉合成社製、ヨウ素価:85)を用いた以外は、前記実施例8と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例14)
オリーブ油の代わりに、不乾性油としての落花生油(日清オイリオ社製、ヨウ素価:94)を用いた以外は、前記実施例8と同様にして液体現像剤を製造した。
絶縁性液体として、アイソパーGを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例2)
絶縁性液体として、大豆油のみで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
絶縁性液体として、エステル交換を行わず、大豆油と菜種油の混合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例4)
絶縁性液体として、エステル交換を行わず、大豆油とオリーブ油の混合物を用いた以外は、前記実施例8と同様にして液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤中の絶縁性液体の構成およびエステル交換に用いた油脂を表1に示した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、定着強度および環境安定性の評価を行った。
[2.1]定着強度
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を図1に示す画像形成装置に投入し、記録媒体(富士ゼロックスオフィスサプライ製、J紙)上に未定着のトナー画像を形成した。
なお、定着装置としては、アルミ芯金(外径φ30mm、長さ240mm、肉厚1mm)の表面に、厚さ30μmの離型層を形成した熱定着ローラと、熱加硫型シリコーンゴムで形成された外径φ30mm、長さ240mm、肉厚7mmの加圧ローラとを有するものを用いた。離型層としては、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)で構成されたものを用いた。
また、紫外線照射手段として、高圧水銀ランプ(100W/cm2)を用い、記録媒体から2cmの距離から照射した。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、35℃、相対湿度65%の環境下に、6ヶ月間放置した。その後、液体現像剤の様子を観察し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:液体現像剤の増粘/変色がまったく認められない。
◎ :液体現像剤の増粘/変色がほとんど認められない。
○ :液体現像剤の増粘/変色がわずかに認められるが、液体現像剤として問題の無
い範囲である。
△ :液体現像剤の増粘/変色がはっきりと認められる。
× :液体現像剤の増粘/変色が顕著に認められる。
これらの結果を表2に示した。
また、定着装置の定着温度を、160℃、140℃、120℃、100℃、80℃に変更し、上記と同様にして定着強度を評価したところ、同様の結果が得られた。このことから、本発明の液体現像剤は、低温定着に適したものであることがわかる。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (9)
- 絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記絶縁性液体は、大豆油と、半乾性油および/または不乾性油とのエステル交換によって得られたエステル交換油脂を含むものであることを特徴とする液体現像剤。 - エステル交換する際の、前記大豆油と前記半乾性油との混合重量比は、100:5〜100:500である請求項1に記載の液体現像剤。
- エステル交換する際の、前記大豆油と前記不乾性油との混合重量比は、100:5〜100:300である請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記半乾性油は、ひまわり油、菜種油、または、サフラワー油である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記不乾性油は、オリーブ油、ひまし油、または、落花生油である請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体のヨウ素価は、30〜220である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
- 液体現像剤は、酸化防止剤を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
- 液体現像剤は、定着時における、前記エステル交換油脂の酸化重合反応を促進する酸化重合促進剤を含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記酸化重合促進剤は、カプセル化された状態で前記絶縁性液体中に含まれる請求項8に記載の液体現像剤。
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